JP2001172960A - 地盤の改良または強化工法 - Google Patents

地盤の改良または強化工法

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JP2001172960A
JP2001172960A JP35740799A JP35740799A JP2001172960A JP 2001172960 A JP2001172960 A JP 2001172960A JP 35740799 A JP35740799 A JP 35740799A JP 35740799 A JP35740799 A JP 35740799A JP 2001172960 A JP2001172960 A JP 2001172960A
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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】簡易、確実かつ現実的な地上排泥処理を可能と
する。 【解決手段】地盤中に挿入した噴射管1に設けた噴射ノ
ズル3から高圧水を噴射して対象地盤を緩めて泥土S化
し、次いでこの弛緩地盤中に高粘性の自硬性改良材Gを
圧入することにより、弛緩泥土Sを押し上げて地上に排
出させるとともに自硬性改良材Gによる置換を行い改良
体を造成する一方で、排泥11を調泥槽15にて沈降分
離により上澄液と濃縮泥土とに分離し、上澄液を取り出
して貯液槽16に供給し、調泥槽15中の貯留物が所定
の含水比になったら上澄液の取り出しを停止させるとと
もに、調泥槽貯留物を取り出して自硬性材料と混練し混
練物を自硬性改良材として噴射管1へ供給し再利用し、
貯液槽16の上澄み液はそのまま又は水を添加して地盤
弛緩用液として噴射管1へ供給し再利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟弱地盤の改良または
強化工法に係り、特に一旦緩ませた地盤中に粘度の高い
セメント系などの自硬性材料をいわば押し込むように圧
入することにより改良を図る工法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の地盤改良工法としては、種々の
ものが知られている。その代表例は、薬液注入工法であ
る。この工法は、周知のように、地盤中に挿入した注入
管により低圧で薬液を注入するものである。また、この
場合、薬液を地盤を乱すことなく、浸透圧入させること
を基本思想としている。
【0003】他方で、近年、いわゆるジェットグラウト
工法に代表される高圧噴射工法が多く用いられるように
なってきた。この高圧噴射工法は、地盤をグラウトまた
は水のもつ高圧力により乱しながら同時に地盤中にグラ
ウトを注入するものである。この高圧噴射工法は、極端
にいえば地盤の攪拌工法とも言える。
【0004】しかし、第1の薬液圧入工法では、浸透圧
入を行うために、粘度の低い材料、主として水ガラス系
の材料を用いるので、改良強度は低いとともに、耐久性
に乏しい。さらに、改良強度が低い理由は、地盤を改良
材により置換するのではなく浸透注入または割裂注入す
ることをもって良しとするので、単位容積当たりの改良
材の占める割合が低く不均一なことにも起因している。
【0005】さらに問題点を付言すれば、通常砂質土層
の場合には、浸透注入を行うことができるが、注入条件
のわずかな差異により割裂注入の形態となり、浸透注入
を行うことができないことが多々ある。他方、粘性土層
に注入する場合、割裂注入となり、改良材が逸走するこ
とが多い。このために、目的の領域のみを確実に改良す
ることが困難であり、しかも逸走に伴う材料ロスが多
い。また、目的の改良径は均一にできず、トリー状(樹
木状あるいは脈状)になることが多い。
【0006】第2の高圧噴射工法では、地盤を極端に乱
し、かつスライム(泥水)処理に多大な手間と費用を要
する。さらに、切削および注入を均一に行おうとすれ
ば、改良速度を低下させる必要があり、時間がかかる工
法である。しかも、砂質地盤に対しては、強度として3
MPa 以上、粘性地盤の場合には1MPa以上を目標
にするが、地盤性状による強度のばらつきおよび改良体
の位置による強度のばらつきが極めて大きいことが問題
である。特に、粘性土地盤の場合、切削不十分なことに
よる土塊の抱き込みによるばらつきが大きい。
【0007】そこで、本発明者らは、先の特願平3−1
29473号として、地盤中に挿入した噴射管の先端部
外周面に設けた高圧水噴射ノズルから高圧水を噴射して
対象地盤を緩めながら、または緩めた後、緩んだ地盤中
に硬練りの自硬性材料を圧入し弛緩泥土を置換充填して
改良体を造成する工法を提案した。この工法によれば、
従来廃棄するしかなかった排泥を圧入用自硬性材料の一
部として混練し、改良部分に戻すことにより、廃土抑制
を図ることができるだけでなく、信頼性の高い改良体を
造成できるようになる利点がある。
【0008】また、本発明者らは、特願平3−2343
22号として、先端部に少なくとも拡径噴出状態におい
て管外側に突出する張出噴射部を設け、この張出噴射部
に改良軸心に対して外方に向けて高圧水を噴射する噴射
ノズルを設け、さらに噴射管の噴射ノズルより先端側に
圧入用自硬性材料の注出口を形成した噴射管を用いて、
地盤の弛緩径または改良径を大きくする技術や、特願平
3−234323号として、噴射管の先端部に少なくと
も拡径噴出状態において管外側に突出する張出噴射部を
設け、この張出噴射部またはこれより下方の噴射管に、
少なくとも張出噴射部の突出長さ分の地盤領域をカバー
して高圧水を噴射する噴射ノズルを設け、さらに最下部
噴射ノズルより先端側に自硬性材料の注出口を形成し、
各噴射ノズルからの高圧水の到達距離は短いとしても、
軸心を基準とした到達距離は長くでき、もって圧力を高
くしまたはノズル径を小さくしなくとも、さらに吐出流
量を増大させなくとも、少なくとも張出噴射部の突出長
さ領域分は、確実に地盤を弛緩させることができる技術
を提案し、さらにこれらの付加的機能として、図11お
よび図12に示すように張出噴射部100を拡縮自在と
する技術も提案した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
先行技術に関し、現実的な地上設備を設計したところ設
備構成が複雑であり、作業が煩雑となる等の問題点が見
出され、普及するまでには至っていない。
【0010】また先行技術においては、噴射管として多
重管たとえば二重管を用い、内管内を自硬性材料流通路
とし、内管外面と外管内面との断面環状の隙間を弛緩用
液の供給路とすることを提案したが、弛緩径を増大させ
るべく弛緩水を超高圧(約40MPa)で供給すると内
管が押し潰されるおそれがあった。そのため、従来は管
の肉厚を増大させることにより対処していたが、噴射管
が重くなる等の問題点があった。
【0011】さらに、張出噴射部を拡縮させる技術にお
いては、前述図11および図12にそれぞれ収縮状態お
よび拡出状態を示すように、噴射管101の外側に地上
から拡出用外管102を押し込むことによって張出噴射
部100を拡出させる例を提案しているが、作業性に難
があった。
【0012】したがって、本発明の主たる課題は、簡
易、確実かつ現実的な地上排泥処理を可能とすること、
超高圧での弛緩水供給を可能とすること、および張出噴
射部の拡縮作業の簡易化および確実化を図ることにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明のうち、請求項1記載の発明は、地盤中に挿入した噴
射管の先端部に設けた噴射ノズルから高圧水または高圧
水と圧縮空気とを噴射して対象地盤を緩めて泥土化し、
次いでこの緩んだ地盤中に高粘性の自硬性改良材を圧入
することにより、前記弛緩泥土を押し上げて地上に排出
させるとともに前記自硬性改良材による置換を行い改良
体を造成する一方で、前記排出泥土を調泥槽に貯留して
沈降分離により上澄液と濃縮泥土とに分離した後、前記
上澄液を取り出して貯液槽に供給し、前記調泥槽中の貯
留物が所定の含水比になったならば前記上澄液の取り出
しを停止させるとともに、前記調泥槽中の貯留物を取り
出して自硬性材料と混練しこの混練物を前記自硬性改良
材として再利用し、前記貯液槽に取り出した上澄み液
は、そのまま又は水を添加して前記地盤の弛緩用の液と
して再利用する、ことを特徴とする地盤の改良または強
化工法である。
【0014】請求項2記載の発明は、前記調泥槽貯留物
の体積および質量を測定する計測手段を設け、これら計
測結果に基づいて前記調泥槽貯留物が所定の含水比にな
ったことを検知または判断する、請求項1記載の地盤の
改良または強化工法である。
【0015】請求項3記載の発明は、前記排出泥土を、
砂礫分の分離除去処理および解泥処理の少なくとも一方
を行った後に、前記調泥槽へ供給する、請求項1または
2記載の地盤の改良または強化工法である。
【0016】請求項4記載の発明は、前記泥土の沈降分
離に先立って、沈降分離を促進させる分離剤を泥土に添
加する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の地盤の改
良または強化工法である。
【0017】請求項5記載の発明は、地盤中に挿入した
噴射管の先端部に設けた噴射ノズルから高圧水または高
圧水と圧縮空気とを噴射して対象地盤を緩めて泥土化
し、次いでこの緩んだ地盤中に高粘性の自硬性改良材を
圧入することにより、前記弛緩泥土を押し上げて地上に
排出させるとともに前記自硬性改良材による置換を行い
改良体を造成する方法において、前記噴射管は、大径円
形管を中心としてその周囲に一つまたは複数の小径円形
管を並設してなり、前記大径円形管を前記地盤弛緩後の
前記自硬性改良材の供給に用い、前記小径円形管を前記
地盤の弛緩用液の供給に用いることを特徴とする、地盤
の改良または強化工法である。
【0018】請求項6記載の発明は、前記小径円形管は
複数とされ、その一部を前記地盤の弛緩用液の供給に用
い、残部を前記弛緩用液による地盤の切削能力向上およ
び泥土の地上へのエアリフトを行う圧縮空気の供給に用
いる、請求項5に記載の地盤の改良または強化工法であ
る。
【0019】請求項7記載の発明は、地盤中に挿入した
噴射管の先端部に設けた噴射ノズルから高圧水または高
圧水と圧縮空気とを噴射して対象地盤を緩めて泥土化
し、次いでこの緩んだ地盤中に高粘性の自硬性改良材を
圧入することにより、前記弛緩泥土を押し上げて地上に
排出させるとともに前記自硬性改良材による置換を行い
改良体を造成する方法において、前記噴射管の先端部に
少なくとも拡径噴出状態において管外側に突出する張出
噴射部が設けられ、この張出噴射部に高圧水を噴射する
噴射ノズルが設けられ、さらに噴射管の前記噴射ノズル
より先端側に前記自硬性改良材の注出口が形成され、前
記張出噴射部は流体圧シリンダに接続されるとともに当
該流体圧シリンダを地上から操作することによって噴射
管の軸心に沿う折り畳み位置と外方に突出する位置との
間で拡縮するように構成されており、前記噴射管を地盤
中に挿入する時には前記張出噴射部を折り畳み収縮状態
とし、前記噴射ノズルから弛緩用液を噴射して対象地盤
を緩める時には前記張出噴射部を外方に突出させること
を特徴とする、地盤の改良または強化工法である。
【0020】請求項8記載の発明は、前記流体圧シリン
ダが水圧を利用して駆動する水圧シリンダとされた、請
求項7記載の地盤の改良または強化工法である。
【0021】<作用>本発明は、「一旦地盤を緩めた
後、その緩んだ泥土部分に高粘性の自硬性材料を圧入す
ることによって、自硬性材料により弛緩部分が置換され
(すなわち圧入した自硬性材料が当該部位に残るととも
に弛緩泥土が噴射管周囲を通り地上に排出され)、非常
に高品質(理想的な配合、緻密)な改良体が造成され
る」との知見に基礎を置いている。
【0022】本発明にしたがって高圧水を噴射すると、
対象地盤を緩めることができる。地盤の弛緩は、主に大
きな土粒子とこれらの土粒子間を繋いでいるその周りの
細かい土粒子との接合が分断されることにより行われ
る。また、この分断により空隙部分の割合が多くなり、
続く改良材の圧入の道が形成される。
【0023】この緩んだ対象地盤に対して、スランプ値
が小さい改良材(自硬性材料)を圧入すると、地盤の緩
んだ部分に改良材が押し込まれるように圧入される。こ
の圧入により、緩んだ地盤を押し広げるように改良材が
注入される。このとき、改良材のスランプ値が小さいの
で、改良材の逸走が防止されるとともに、緩んだ地盤部
分が改良材により置換され、あたかもその地盤部分が改
良材により充填されるようになる。よって、予め定めた
配合のままの改良体が造成されることになる。また、改
良材の押し込み圧力により、地盤部分が圧密されるとと
もに、軟弱な部分には多くの改良材が圧入される一方
で、強度の高い部分に対しては、地盤の緩み度合いが少
ないので、改良材の圧入量が少なく圧入され、もって全
体としては均一な強度をもったかつ均一な改良径の改良
体が造成される。
【0024】他方で、前述のとおり本発明においては地
盤を緩めるのに高圧水を用いるので、排出泥土は、高圧
噴射工法にみられるようにセメントと土粒子との混合ス
ライムでなく、水と土粒子との混合物となる。この点、
高圧噴射工法に比べて排泥処理が容易となる利点があ
る。そして、本発明の主要ポイントはこの地上排泥処理
にある。
【0025】すなわち、本発明においては、排泥を調泥
槽に貯留して沈降分離により上澄液と濃縮泥土とに分離
した後、調泥槽中の貯留物の含水比を監視しながら上澄
液を取り出して貯液槽に供給し、調泥槽中の貯留物が所
定の含水比になったならば上澄液の取り出しを停止させ
るとともに、調泥槽中の貯留物を取り出して自硬性材料
と混練しこの混練物を圧入用の自硬性改良材として供給
し再利用し、貯液槽に取り出した上澄み液は、そのまま
又は水を添加して地盤の弛緩用の液として供給し再利用
する。したがって、簡易な方法で正確に自硬性改良材の
配合管理ができ、理想的な配合の改良体を造成できるよ
うになる。
【0026】また、超高圧での弛緩水供給を可能とする
との課題は、請求項5記載のように、自硬性改良材の大
径円形管の外側に、弛緩水供給専用として一つまたは複
数の小径円形管を別途並設し、十分な強度を確保するこ
とにより解決される。
【0027】さらに、張出噴射部の拡縮作業の簡易化お
よび確実化を図るとの課題は、請求項7記載のように、
張出噴射部の拡縮を流体圧シリンダにより行うように構
成することで解決される。また、特に水圧シリンダを用
いることで、油圧シリンダを用いる場合と比べてメンテ
ナンスが容易となる利点がもたらされる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て添付図面を参照しながら詳説する。 <第1の実施形態;請求項1〜4記載の発明に関する>
図1および図2は、第1の実施形態を示しており、内管
1Aと外管1Bとを有する同心2重管からなる噴射管1
を用い、まずその噴射管1に回転力と押し込み力を作用
させつつその先端の切削ビット2により地盤を切削しな
がら、所定深度まで噴射管1を地盤中に挿入する。図中
1Cはスイベルを示している。
【0029】次にこの噴射管1を回転しながら引き上げ
る過程で、先端より所定距離基部側の周壁に設けた噴射
ノズル3から高圧水を噴射し、地盤の対象域を緩める。
同時に先端に開口する注出口4から、スランプ値(JI
S A 1101)が好ましくは10以上の高粘性地盤
改良材Gを圧入する。かかる高粘性の地盤改良材Gが噴
射管1先端から圧入されると、これに先立って形成され
た弛緩泥土Sは押し上げられ順次地上部に排出されると
ともに、順次弛緩泥土部分Sが地盤改良材Gにより置換
され、柱状の改良体が造成される。
【0030】なお本例のように、2重管または複流路管
を用いる場合、噴射管1を挿入させる過程で又は挿入過
程および引上げ過程の両方において高圧水を噴射して地
盤を緩めることもできる。また図示しないが、高圧水等
を噴射する噴射管と地盤改良材Gを圧入する圧入管とを
別々に用意しておき、先ず対象地盤に噴射管を挿入して
深さ方向全体の弛緩を完了させ、次にこの噴射管を引き
抜いた後にこれとは別の圧入管を挿入して改良材の圧入
を行うようにすることも可能である。
【0031】本発明において、高圧水の圧力としては、
通常圧入管近傍にまたは注入ポンプの出側に設けられる
ゲージの圧力をいう。この圧力としては8〜40MP
a、特に10MPa以上とすることが好ましい。噴射水
量としては、5〜15リットル/分が望ましい。
【0032】本発明ではかかる改良が行われる一方で、
図1に示すように、地上部に順次排出される泥土を上澄
液と濃縮泥土とに分離し、上澄液は弛緩用液の一部また
は全部として再利用し、濃縮泥土は改良材の一部として
改良部分に戻す。すなわち、先ず、噴射管1の挿入孔の
口元近傍に泥土ピット10を設け、改良材Gによる置換
に伴って、高圧噴射管1と孔壁との間を上昇した泥土1
1を泥土ピット10へ自動的に流入させる。
【0033】泥土ピット10内の排泥11はポンプ10
P(バックホウでも可)により汲み上げ、振動ふるい1
2等の分離装置に供給して砂礫分を分離除去した後、解
泥槽13へ供給し土塊を解きほぐす。なお、泥土ピット
10の容積が十分に大きければ、砂礫分や土塊等の粗粒
分はピット内で沈降分離されることになるので、かかる
砂礫分の分離除去ならびに解泥を省略して、次述の分離
剤混練機14または調泥槽15へ直接供給することがで
きる。
【0034】本例では、解泥槽13において解泥された
泥土はポンプ13Pにより分離剤混練機14に供給さ
れ、分離剤混練機14おいて分離剤が添加混合された
後、調泥槽15へ供給される。分離剤の添加は、細粒分
が多い等、調泥槽15における沈降分離が困難な場合に
有効であるが、そうでない場合等においては省略するこ
とも可能である。
【0035】調泥槽15に供給した泥土は所定時間(数
分程度)静置され沈降分離により上澄液と濃縮泥土とに
分離される。しかる後、本発明では調泥槽15中の貯留
物の密度または含水比を監視しながら上澄液を取り出し
て貯液槽16に供給し、調泥槽15中の貯留物が所定の
含水比になったならば上澄液の取り出しを停止させる。
【0036】監視に際しては、例えば調泥槽15に貯留
物の体積を計測するための水位計(図示せず)および貯
留物の質量を測定するためのロードセル15Aを設けて
おき、各計測結果に基づきコンピュータ等により貯留物
密度を求める。貯留物密度は含水比と一定の相関がある
ので、これを含水比の指標として監視するか、あるい
は、土粒子の比重を予め計測等しておき、これと、貯留
物体積および貯留物密度より求まる比重とに基づいて貯
留物の含水比を求め、これを監視する。
【0037】その結果、所定の含水比となったならば、
上澄液の取出しを停止させるとともに貯留泥土をアジテ
ータ槽17に投入し、そこから定量ポンプ18によって
改良材混練機19に供給する。改良材混練機19に供給
された泥土は別途供給される自硬性材料と混練され、こ
の混練物がコンクリートポンプ等の圧入ポンプ20によ
り自硬性改良材Gとして噴射管1に供給され再利用され
る。かくして簡易な方法で正確に自硬性改良材の配合管
理ができ。またかかる排泥の再利用によって、その利用
量に応じて排泥処分量が低減される。なお、泥土と混練
する自硬性材料としては、セメントモルタル系、セメン
ト粘土系、石灰系などの各種のものを用いることができ
る。このうち最も好ましいのはセメントモルタル系のも
ので、これに微粒子スラグ、ベントナイトなどの他の無
機材料、発泡剤、気泡剤、分離防止剤、減水剤などの各
種添加剤などを添加することができる。さらに、水ガラ
スやその硬化剤をある割合で添加することもできる。
【0038】一方、貯液槽16に取り出した上澄み液
は、そのまま又は水を添加してから高圧泥水ポンプ21
により地盤弛緩用液として噴射管1へ供給され再利用さ
れる。なお、上澄液を切削用に利用すると、小さな粒子
分を含んでいるので、切削性が良好となる利点がある。
また、濃縮泥土を再利用すると、泥水処理がその分低減
する。
【0039】ところで、本例のように噴射および圧入の
両機能をもった単一の噴射管1を用いると、施工性に優
れる利点がある。この場合、外管1Bと内管1Aとの隙
間を地盤の弛緩用の液の供給に用い、内管1A内を改良
材Gの供給とともに、それに先立つ穿孔時においては、
削孔水の供給にも用いることができる。
【0040】また、たとえば図3に示すような三重管3
0を用いることもできる。この三重管30は外管31、
中管32および内管33を有し、外壁に噴射ノズル34
を取付け、その周囲にエアAの環状吐出口35を形成し
たものである。狭い環状吐出口35から圧縮または高圧
たとえば0.5MPa以上のエアを吐出させると、泥土
11はエアリフト効果により円滑に地上に排出されると
ともに、地盤の切削能力が高まる。
【0041】<第2の実施形態:請求項5、6記載の発
明に関する>上記第1の実施形態で例示した多重管構造
の噴射管、例えば二重管噴射管1は、内側管1Aの外面
と外側管1Bの内面との隙間を弛緩水の供給路とするも
のであるが、弛緩径を増大させるべく前述の泥水ポンプ
21として近年開発された超高圧泥水ポンプを用いるこ
とを検討すると、内側管1A外面に加わる圧が非常に高
くなるため、内側管1Aが押し潰されることが想定され
た。
【0042】そこで、かかる超高圧の弛緩水供給をする
場合においては、図4〜6に示す噴射管40を用いるこ
とを推奨する。この噴射管40は、大径円形管41を中
心としてその周囲に必要数の小径円形管42,42…を
例えば相互間隔を均等にしてバランス良く束ねて配し、
これら小径円形管42,42…の先端は、大径円形管4
1における先端より所定距離基部側外面に設けた環状噴
射ノズル43上部のエア流入口43Aおよび弛緩水流入
口43Bにそれぞれ接続してなるものである。
【0043】図示例では、大径円形管41の外面にフラ
ンジ部41Fを高さ方向に間隔をあけて一対設け、これ
らフランジ部41Fにより小径円形管42,42…を大
径円形管41の周囲に結束固定している。また環状噴射
ノズル43の外周面には、エア吹出口43Cおよび弛緩
水吐出口43Dが高さ位置を異ならせて別々に形成され
ており、エア流入口43Aがエア吹出口43Cに及び弛
緩水流入口43Bが弛緩水吐出口43Dにそれぞれ連通
している。また、図示しないが弛緩水流入口43Bと連
通する小径円形管42,42には前述の高圧泥水ポンプ
21が、中心の大径円形管41に対しては自硬性改良材
の供給ポンプ20(図1参照)が接続される。
【0044】かくして、小径円形管の一部42,42が
弛緩水の供給に用いられ、残部42,42は圧縮空気の
供給に用いられ、大径円形管41は自硬性改良材の供給
路として又は削孔水の供給路として用いられる。このよ
うに、弛緩水供給路用として専用の円形管42,42を
別途設けることにより、超高圧での弛緩水供給に対応さ
せることができる。
【0045】<第3の実施形態:請求項7および8記載
の発明に関する>他方前述のように、本発明者らは、特
願平3−234322号および特願平3−234323
号において、噴射ノズルを有する張出噴射部を設けた噴
射管により地盤の改良または強化を行う工法について提
案したが、これらは噴射管の外側に地上から拡出用外管
を押し込むことによって張出噴射部を拡出させるもので
あるため、作業性に難があった。
【0046】そこで、新たに図7〜10に示す噴射管5
0も提案する。この噴射管50は、中心管51の先端部
に少なくとも拡径噴出状態において管51外側に突出す
る張出噴射部として拡縮リンク機構羽根52が設けら
れ、この拡縮リンク機構羽根52の先端等の適所に高圧
水を噴射する噴射ノズル(図示せず)が設けられ、さら
に噴射管50の噴射ノズルより先端および中間の適所に
自硬性改良材の注出口53が形成され、拡縮リンク機構
羽根52は流体圧シリンダ54に接続されるとともに当
該流体圧シリンダ54を地上から操作することによって
噴射管50の軸心に沿う折り畳み位置と外方に突出する
位置との間で拡縮するように構成されたものである。
【0047】特に本例の流体圧シリンダ54は、図7お
よび図9に詳しく示すように、拡縮リンク機構羽根52
よりも基端側において、中心管51の先端側肉厚部分5
1A外面を隙間Sをもって取り囲むように短管54Aを
配し、当該隙間Sの上下開口を蓋部材54B,54Bお
よびシールリング54C,54Cによりそれぞれ気密に
塞ぎ、中心管先端側肉厚部分51Aの長手方向に進退自
在のシリンダケース部54Dを形成するとともに、当該
隙間S内における中心管先端側肉厚部分51Aの外面に
環状張出隔壁51Bを設けて、当該隙間Sを上下方向に
二分割し、更にその張出隔壁51Bによって隔離形成さ
れた上側隙間S1および下側隙間S2に連通する連通路
51C,51Dを中心管先端側肉厚部分51Aの管壁内
にそれぞれ設けて構成されている。
【0048】またこれら連通路51C,51Dは、例え
ば前述第2の実施形態と同様の小径円形管42,42か
らなる流体供給路を介して流体供給ポンプ(図示せず)
に接続される。この場合、図8に示すように、小径円形
管42,42…は少なくとも四本設けられ、そのうちの
二本が流体供給用とされ、一本が弛緩液供給用とされ、
残りの一本がエア供給用とされている。
【0049】したがって例えば、連通路51Dを介して
下側隙間S2に対して流体(例:水、油、エア)を所定
圧で供給すれば、シリンダケース部54Dを中心管51
に対して前進(下降)させることができ、逆に連通路5
1Cを介して上側隙間S1に対して流体を所定圧で供給
すれば、シリンダケース部54Dを中心管51に対して
後進(上昇)させることができる。なお、流体圧シリン
ダ54としては、駆動流体として油を用いるものが汎用
されており好適であるように考えられがちであるが、本
発明のように地盤中に挿入される場合には、水圧を利用
して駆動する水圧シリンダとする方が、メンテナンスが
非常に簡易となる等の利点があるため好ましい。
【0050】図示例においては、かかる流体圧シリンダ
54のシリンダケース部54Dと拡縮リンク機構羽根5
2の駆動力入力部とが接続され、シリンダケース部54
Dの前進・後進によって拡縮リンク機構羽根52がそれ
ぞれ拡出・収縮するようになっている。
【0051】かくして、たとえば噴射管50を地盤中に
挿入する時には所定深さまでは拡縮リンク機構羽根52
を拡出させないでおくことで、円滑な挿入を可能とする
とともに、所定の深さに達した時点で始めて図10に示
すように拡縮リンク機構羽根52を拡出させ、その噴射
ノズルから弛緩用液を中心から外方に向けて噴射して対
象地盤の弛緩を行うことができる。
【0052】なお上記例では、特願平3−234322
号と同様に、噴射ノズルが改良軸心に対して外方に向け
て高圧水を噴射する形態を採用しているが、特願平3−
234323号と同様に、張出噴射部またはこれより下
方の噴射管に噴射ノズルを設け、少なくとも張出噴射部
の突出長さ分の地盤領域をカバーして高圧水を噴射する
ように構成することもできる(図示せず)。
【0053】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、簡易、確
実かつ現実的な地上排泥処理が可能となる。また、超高
圧での弛緩水供給が可能となる。さらに、張出噴射部の
拡縮作業の簡易化および確実化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態を示した工程概要図である。
【図2】図1の要部を拡大して示した一部断面図であ
る。
【図3】他の噴射管構造を示した要部拡大縦断面図であ
る。
【図4】第2の実施形態の噴射管を、図5のIV-IV断面
線に沿って一部断面で示した縦断面図である。
【図5】第2の実施形態の噴射管の横断面図である。
【図6】第2の実施形態の噴射管を用いた施工状態概要
図である。
【図7】第3の実施形態の噴射管を示す、一部縦断面正
面図である。
【図8】第3の実施形態の噴射管の横断面図である。
【図9】図7の要部拡大図である。
【図10】第3の実施形態の噴射管を用いた施工状態概
要図である。
【図11】従来の噴射管を示す概要図である。
【図12】従来の噴射管の拡径噴出状態を示す概要図で
ある。
【符号の説明】
1…噴射管、10…泥土ピット、11…排泥、12…振
動ふるい、13…解泥槽、14…分離剤混練装置、15
…調泥槽、16…貯液槽、17…アジテータ、18…定
量ポンプ、19…混練装置、20…自硬性改良剤供給ポ
ンプ、21…高圧泥水ポンプ、41…大径円形管、42
…小径円形管、52…拡縮リンク機構羽根、54…流体
圧シリンダ、W…水、G…改良材、S…弛緩部分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2D040 AB03 AC05 BA01 BA02 BC01 BD05 CA01 CA02 CA04 CA10 DA01 DA02 DA03 DA11 EB04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地盤中に挿入した噴射管の先端部に設けた
    噴射ノズルから高圧水または高圧水と圧縮空気とを噴射
    して対象地盤を緩めて泥土化し、次いでこの緩んだ地盤
    中に高粘性の自硬性改良材を圧入することにより、前記
    弛緩泥土を押し上げて地上に排出させるとともに前記自
    硬性改良材による置換を行い改良体を造成する一方で、 前記排出泥土を調泥槽に貯留して沈降分離により上澄液
    と濃縮泥土とに分離した後、前記上澄液を取り出して貯
    液槽に供給し、前記調泥槽中の貯留物が所定の含水比に
    なったならば前記上澄液の取り出しを停止させるととも
    に、前記調泥槽中の貯留物を取り出して自硬性材料と混
    練しこの混練物を前記自硬性改良材として再利用し、 前記貯液槽に取り出した上澄み液は、そのまま又は水を
    添加して前記地盤の弛緩用の液として再利用する、こと
    を特徴とする地盤の改良または強化工法。
  2. 【請求項2】前記調泥槽貯留物の体積および質量を測定
    する計測手段を設け、これら計測結果に基づいて前記調
    泥槽貯留物が所定の含水比になったことを検知または判
    断する、請求項1記載の地盤の改良または強化工法。
  3. 【請求項3】前記排出泥土を、砂礫分の分離除去処理お
    よび解泥処理の少なくとも一方を行った後に、前記調泥
    槽へ供給する、請求項1または2記載の地盤の改良また
    は強化工法。
  4. 【請求項4】前記泥土の沈降分離に先立って、沈降分離
    を促進させる分離剤を泥土に添加する、請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の地盤の改良または強化工法。
  5. 【請求項5】地盤中に挿入した噴射管の先端部に設けた
    噴射ノズルから高圧水または高圧水と圧縮空気とを噴射
    して対象地盤を緩めて泥土化し、次いでこの緩んだ地盤
    中に高粘性の自硬性改良材を圧入することにより、前記
    弛緩泥土を押し上げて地上に排出させるとともに前記自
    硬性改良材による置換を行い改良体を造成する方法にお
    いて、 前記噴射管は、大径円形管を中心としてその周囲に一つ
    または複数の小径円形管を並設してなり、前記大径円形
    管を前記地盤弛緩後の前記自硬性改良材の供給に用い、
    前記小径円形管を前記地盤の弛緩用液の供給に用いるこ
    とを特徴とする、地盤の改良または強化工法。
  6. 【請求項6】前記小径円形管は複数とされ、その一部を
    前記地盤の弛緩用液の供給に用い、残部を前記弛緩用液
    による地盤の切削能力向上および泥土の地上へのエアリ
    フトを行う圧縮空気の供給に用いる、請求項5に記載の
    地盤の改良または強化工法。
  7. 【請求項7】地盤中に挿入した噴射管の先端部に設けた
    噴射ノズルから高圧水または高圧水と圧縮空気とを噴射
    して対象地盤を緩めて泥土化し、次いでこの緩んだ地盤
    中に高粘性の自硬性改良材を圧入することにより、前記
    弛緩泥土を押し上げて地上に排出させるとともに前記自
    硬性改良材による置換を行い改良体を造成する方法にお
    いて、 前記噴射管の先端部に少なくとも拡径噴出状態において
    管外側に突出する張出噴射部が設けられ、この張出噴射
    部に高圧水を噴射する噴射ノズルが設けられ、さらに噴
    射管の前記噴射ノズルより先端側に前記自硬性改良材の
    注出口が形成され、前記張出噴射部は流体圧シリンダに
    接続されるとともに当該流体圧シリンダを地上から操作
    することによって噴射管の軸心に沿う折り畳み位置と外
    方に突出する位置との間で拡縮するように構成されてお
    り、 前記噴射管を地盤中に挿入する時には前記張出噴射部を
    折り畳み収縮状態とし、前記噴射ノズルから弛緩用液を
    噴射して対象地盤を緩める時には前記張出噴射部を外方
    に突出させることを特徴とする、地盤の改良または強化
    工法。
  8. 【請求項8】前記流体圧シリンダが水圧を利用して駆動
    する水圧シリンダとされた、請求項7記載の地盤の改良
    または強化工法。
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