JP7486461B2 - 地盤改良工法 - Google Patents

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Description

本発明は、機械拌式の深層混合処理工法による地盤改良工法に関する。
従来、地盤改良工法として、スラリー化したセメント系の固化材を原位置で軟弱地盤に注入し、軟弱地盤とともに拌混合し、化学的に固化する機械拌式の深層混合処理工法(CDM工法)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。かかる工法は、陸上地盤・水底地盤において施工可能である。
深層混合処理工法では、たとえば、図18(a)のように、ロッド101の下端部に攪拌翼102およびスラリー状の固化材の吐出口103を設けた攪拌機を用い、改良対象の地盤Gにおいて、ロッド101をモータ等により回転駆動して刃先先端104から地盤中に貫入し、吐出口103から固化材を吐出し、攪拌翼102の回転とロッド101の上下動により固化材と掘削土を攪拌混合することで、固化した改良杭100を造成する。
特許第4885326号公報
上述のような深層混合処理工法により海底地盤のような飽和砂質土地盤を改良した場合、造成した改良杭の天端が下がったうえに杭上部(杭頭部から最大で10m程度)の強度も著しく低下する施工不良が生じることがある。この原因を究明するために発明者らが行った実験の結果から次のことが判明した。すなわち、図18(a)のように、飽和砂質土地盤Gにおいて回転するロッド101を上方に引き抜きながらセメントスラリーと土砂を攪拌混合して改良杭100を造成するとき、図18(b)のように、改良杭100の上部の施工時に攪拌翼102による原位置拌動作および吐出口103からのセメントスラリーの吐出による過剰水圧の上昇によって改良域が局所的に流動化し、地表面に土砂混じりセメントスラリーCSとして流出する結果、図18(c)のように、杭100の天端が沈んだ沈下部100bが生じ、杭100の上部100aに強度低下部が生じてしまう。また、この現象は砂質土や火山灰質土など液状化現象を生じやすい土質の場合に発生し易いことが明らかとなった。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、深層混合処理工法による地盤改良において地盤改良部の天端沈下や上部の強度低下のような施工不良を防止可能な地盤改良工法を提供することを目的とする。
本発明者らは、さらなる実験・検討を行い、ロッドの回転速度、貫入速度・引抜速度を標準施工よりも緩速施工とすることで上述の施工不良を防止できるという知見を得て本発明に至った。
上記目的を達成するための地盤改良工法は、改良対象の地盤内にスラリー状の固化材を吐出しながらロッドに設けられた攪拌部を回転させて前記地盤内の土砂と前記固化材とを攪拌混合するとともに前記ロッドを前記地盤に対し貫入または引抜することにより前記地盤内に固化した地盤改良部を造成する、機械攪拌式の深層混合処理工法による地盤改良工法であって、前記地盤改良部の設計天端から下方に所定距離の範囲内の上部において前記地盤改良部を緩速施工により造成し、前記上部以外の下部において前記地盤改良部を標準施工により造成し、前記緩速施工は、前記ロッドの貫入速度または引抜速度、および、前記攪拌部の回転速度をそれぞれ、前記標準施工における前記貫入速度または前記引抜速度、および、前記回転速度よりも低くし、前記緩速施工において、前記貫入速度または前記引抜速度を0.1~0.3m/分とし、前記回転速度を10~30rpmとし、前記標準施工において、前記貫入速度または前記引抜速度を0.3~1.0m/分とし、前記回転速度を30~60rpmとするものである。
この地盤改良工法によれば、地盤改良部の設計天端から下方に所定距離の範囲内の上部において、ロッドの貫入速度または引抜速度および攪拌部の回転速度をそれぞれ、上部以外の下部における標準施工よりも遅くする緩速施工により地盤改良部を造成することで、上部において地盤改良部の固化材の局所的な流動化を抑制し、固化材と土砂が混ざったスラリーの地表面への流出による地盤改良部の天端沈下や上部の強度低下のような施工不良を防止することができる。
前記緩速施工において、前記貫入速度または前記引抜速度を0.1~0.3m/分とし、前記回転速度を10~30rpmとし、前記標準施工において、前記貫入速度または前記引抜速度を0.3~1.0m/分とし、前記回転速度を30~60rpmとし、標準施工と比較すると常識外の緩速施工とすることで、地盤改良部の上部において固化材スラリーの局所的な流動を抑制し、天端沈下や強度低下のような施工不良を防止できる
前記固化材は、前記ロッドの刃先先端の近傍に設けられた第1吐出口と、前記第1吐出口よりも上方に設けられた第2吐出口とから吐出可能であり、前記所定距離は、前記先端と前記第2吐出口との間の前記ロッドの軸方向の長さに基づいて設定されることが好ましい。
前記所定距離は、前記軸方向の長さの2~3倍に設定されることが好ましい。所定距離を軸方向の長さの2倍以上とすることで、施工不良を防止可能であり、3倍以下とすることで緩速施工による地盤改良領域が長くなりすぎず、施工効率が低下しすぎることがない。
前記緩速施工を、前記地盤に対し前記ロッドを貫入しながら前記固化材を吐出し攪拌する貫入吐出により行うことが好ましい。
前記緩速施工を、前記地盤に対し前記ロッドを引き抜きながら前記固化材を吐出し攪拌する引抜吐出により行うようにしてもよい。
上記目的を達成するための別の地盤改良工法は、改良対象の地盤内にスラリー状の固化材を吐出しながらロッドに設けられた攪拌部を回転させて前記地盤内の土砂と前記固化材とを攪拌混合するとともに前記ロッドを前記地盤に対し貫入または引抜することにより前記地盤内に固化した地盤改良部を造成する、機械攪拌式の深層混合処理工法による地盤改良工法であって、前記地盤改良部の設計天端から下方に所定距離の範囲内の上部において前記地盤改良部を緩速施工により造成し、前記上部以外の下部において前記地盤改良部を標準施工により造成し、
前記緩速施工は、前記ロッドの貫入速度または引抜速度、および、前記攪拌部の回転速度をそれぞれ、前記標準施工における前記貫入速度または前記引抜速度、および、前記回転速度よりも低くし、
前記下部において前記標準施工により前記ロッドを引き抜きながら前記固化材を吐出し攪拌する引抜吐出を行うステップと、前記上部の下端近傍において前記固化材の吐出を停止しかつ前記上部において前記緩速施工により前記ロッドを引き抜きながら前記攪拌部により攪拌するステップと、前記引き抜き中に前記ロッドの先端が前記地盤の表面または表面近傍に達してから、前記上部において前記上部の下端近傍まで前記緩速施工により前記ロッドを貫入しながら前記固化材を吐出し攪拌する貫入吐出を行うステップと、を含む。
上記目的を達成するためのさらに別の地盤改良工法は、改良対象の地盤内にスラリー状の固化材を吐出しながらロッドに設けられた攪拌部を回転させて前記地盤内の土砂と前記固化材とを攪拌混合するとともに前記ロッドを前記地盤に対し貫入または引抜することにより前記地盤内に固化した地盤改良部を造成する、機械攪拌式の深層混合処理工法による地盤改良工法であって、前記地盤改良部の設計天端から下方に所定距離の範囲内の上部において前記地盤改良部を緩速施工により造成し、前記上部以外の下部において前記地盤改良部を標準施工により造成し、
前記緩速施工は、前記ロッドの貫入速度または引抜速度、および、前記攪拌部の回転速度をそれぞれ、前記標準施工における前記貫入速度または前記引抜速度、および、前記回転速度よりも低くし、
前記上部において前記緩速施工により前記ロッドを貫入しながら前記固化材を吐出し攪拌する貫入吐出を行うステップと、前記上部の下端近傍において前記固化材の吐出を停止しかつ前記下部において前記標準施工により前記ロッドを貫入しながら前記攪拌部により攪拌するステップと、前記下部において前記標準施工により前記上部の下端近傍まで前記ロッドを引き抜きながら前記固化材を吐出し攪拌する引抜吐出を行うステップと、前記上部の下端近傍において前記固化材の吐出を停止しかつ前記上部において前記緩速施工により前記ロッドを引き抜きながら前記攪拌部により攪拌するステップと、を含む。
また、前記上部の下部領域と前記下部の上部領域とを前記地盤改良部の縦方向に少なくとも30cm重複させることが好ましい(図5(g)、図6(g)参照)。
前記改良対象の地盤は、液状化現象が生じる可能性のある土質からなり、この土質は、たとえば、砂質土や火山灰質土であり、かかる地盤に上述の地盤改良工法を適用して施工することが好ましい。
本発明の地盤改良工法によれば、深層混合処理工法による地盤改良において地盤改良部の天端沈下や上部の強度低下のような施工不良を防止可能である。
本実施形態による地盤改良工法を実施可能な地盤改良施工システムを示す概略図である。 図1の処理機のロッドの先端部を拡大して示す要部側面図である。 本実施形態による第1の地盤改良処理の各工程(a)~(h)を説明するため地盤内の要部を縦方向に見たときの要部断面図である。 本実施形態による第2の地盤改良処理の各工程(a)~(i)を説明するため地盤内の要部を縦方向に見たときの要部断面図である。 本実施形態による第3の地盤改良処理の各工程(a)~(i)を説明するため地盤内の要部を縦方向に見たときの要部断面図である。 本実施形態による第4の地盤改良処理の各工程(a)~(h)を説明するため地盤内の要部を縦方向に見たときの要部断面図である。 本実験例における実験ケース1~6の実験条件を示す図である。 本実験例で用いた模型地盤材料の物理特性を示す図である。 本実験例の実験装置・模型地盤・模型改良杭の縦断面図(a)、平面図(b)、および、実験装置の攪拌翼の側面図(c)である。 実験ケース1,2の標準施工による施工工程(a)~()を示す要部断面図である。 実験ケース3~6の緩速施工による施工サイクル(a)~(e)を示す要部断面図である。 実験ケース1,3,5の改良体の外観写真・概略側面図(a)~(c)である。 実験ケース2,4,6の改良体の外観写真・概略側面図(a)~(c)である。 実験ケース1,3,5において地盤内で計測した間隙水圧の時間変化を示す図(a)~(c)である。 実験ケース2,4,6において地盤内で計測した間隙水圧の時間変化を示す図(a)~(c)、地表面の形状変化を示す図(d)~(f)である。 本実験例における混合強度の検証実験の概要を示す図である。 図16の実験から得たロッドの回転速度と回転トルクとの関係を示すグラフである。 従来の深層混合処理工法による地盤改良工程(a)~(c)を概略的に示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による地盤改良工法を実施可能な地盤改良施工システムを示す概略図である。図2は、図1の処理機のロッドの先端部を拡大して示す要部側面図である。
図1のように、地盤改良施工システム10は、改良対象の地盤Gを攪拌しながらセメントスラリーを地盤G内に吐出する地盤改良処理を行う処理機11と、セメントスラリー(スラリー状の固化材)を製造するセメントスラリープラント12と、セメントスラリープラント12からセメントスラリーを処理機11に送る際にその量を計量する計量計13と、システム全体の制御を行う制御部14と、制御部14による制御に基づいてセメントスラリープラント12の制御操作を行うプラント操作部15と、制御部14による制御に基づいて処理機11の操作を行う処理機操作部16と、を備える。
セメントスラリープラント12は、プラント操作部15での制御操作により、水とセメントと混和剤とをそれぞれ計量し、ミキサー内で混合し、アジテーター内で攪拌したセメントスラリーを圧送ポンプにより処理機11に送るようになっている。
処理機11は、モータ(図示省略)等により同期して回転駆動されるとともに内部をセメントスラリーが通るように構成された二連式の一対のロッド21,22を備え、ロッド21,22を地盤Gに対し上下動(貫入・引抜)させるように構成されている。
一対のロッド21,22は、図2のように、それらの先端部が同様に構成され、ロッド21,22の先端部で軸直交方向に十字状に突き出た上方の攪拌翼21a,22aと、同じく下方の攪拌翼21a’,22a’と、同じく先端側の攪拌翼21b,22bと、刃先状に構成された刃先先端21c,22cと、各刃先先端21c,22cの近傍に設けられ互いに周方向に180度離れて位置する第1吐出口21d,22dと、攪拌翼21a,22aの上方でロッド21,22が回転可能なように上下一対の軸受21e,22eを介してロッド21,22間に固定された固定吐出管23と、固定吐出管23の下方でロッド21,22間のほぼ中央に設けられた第2吐出口23aと、を備える。
ロッド21,22の第1吐出口21d,22d、固定吐出管23の第2吐出口23aからセメントスラリーが吐出可能である。また、固定吐出管23の第2吐出口23aは、その下方の刃先先端21c.22cに対しロッド21,22の軸方向に長さLだけ離間している。
処理機11は、処理機操作部16での制御操作により、ロッド21,22の正回転(貫入)、逆回転(引抜)を制御し、貫入速度・引抜速度、回転速度を変更し、また、第1吐出口21d,22dからのセメントスラリーの吐出・非吐出の切り替え、および、第2吐出口23aからのセメントスラリーの吐出・非吐出の切り替えを制御し、第1吐出口21d,22dと第2吐出口23aとを切り替えて、それぞれ単独で吐出可能である。
処理機11は、ロッド21,22が正回転することで地盤G内に貫入し、また、逆回転することで地盤G内から引き抜かれ、攪拌翼21a,21a’,22a,22a’と攪拌翼21b,22bの回転により地盤G内を攪拌し、第1吐出口21d,22dまたは第2吐出口23aからセメントスラリーを吐出し、原位置において地盤G内の土砂とセメントスラリーとを攪拌混合するとともにロッド21,22の貫入または引抜を行うことで固化した円柱状の改良杭(地盤改良部)を地盤G内に造成する。ロッド21,22の貫入速度・引抜速度は、緩速施工で0.1~0.3m/分、標準施工で0.3~1.0m/分となるように制御され、ロッド21,22の回転速度(攪拌翼21a,22a,21a’,22a’と攪拌翼21b,22bの回転速度)は、緩速施工で10~30rpm、標準施工で30~60rpmとなるように制御される。
なお、図1の地盤改良施工システム10は、改良対象の地盤Gが水底地盤である場合、専用船に搭載されて水上施工を行い、また、GNSSや光波計等から得たデータに基づいて改良杭の造成位置の位置決めや移動を船位誘導システムにより制御可能である。また、各種の計器により潮位、水深、改良杭の深度の計測、記録が可能であり、また、処理機11の傾斜、ロッド21,22の貫入速度・引抜速度・回転速度・トルク・荷重およびセメントスラリーの吐出量・吐出速度の制御、計測、記録が可能である。
図1,図2の地盤改良施工システム10による原位置での地盤改良処理の主な工程は、次のとおりである。
(1)施工開始準備:潮位計作動確認や施工管理機器作動確認を行い、改良開始前までに吐出計画数量に応じてセメントスラリーをセメントスラリープラント12で製造する。
(2)シフト位置確認:GNSSや光波計等により施工位置を確認する。
(3)処理機ゼロ確認:水底地盤の水深確認や深度・傾斜計ゼロの確認を行う。
(4)処理機鉛直性確認:傾斜計計測により処理機11の鉛直性を確認する。
(5)処理機貫入開始:貫入速度を計測する。
(6)地盤処理開始:貫入速度・回転速度を計測制御し、貫入吐出の場合、セメントスラリーの吐出を開始する。
(7)中間層・互層:トルク・荷重変化により貫入速度・回転速度を管理する。
(8)着底・打ち止め・先端処理:改良杭の先端部を補強するため所定量のセメントスラリー吐出と攪拌を行う。
(9)引抜開始:引抜吐出の場合、セメントスラリーの吐出を開始し、引抜速度・回転速度を計測制御する。
(10)改良天端処理:処理機深度計確認、引抜速度確認、水底地盤水深確認等により改良杭の天端処理を行う。
(11)引揚・刃先点検:ロッド21,22を引き揚げ、刃先状先端21c,22cを点検する。
(12)施工位置シフト:次の改良杭の施工位置に移動する。
本実施形態による地盤改良処理は、貫入吐出または引抜吐出により改良杭を地盤内に造成する際に、改良杭の設計天端から下方の所定距離の範囲内の上部を緩速施工により施工し、上部以外の下部を標準施工により施工し、これら以外の施工管理を上述のように行うものである。以下、図3~図6を参照して具体的に説明する。
図3は、本実施形態による第1の地盤改良処理の各工程(a)~(h)を説明するため地盤内の要部を縦方向に見たときの要部断面図である。
図3の第1の地盤改良処理は、図1,図2の地盤改良施工システム10を用いて、処理機11のロッド21,22を地盤G内で上方に引き抜きながらセメントスラリーを吐出して攪拌混合し固化した改良杭P(地盤改良部)を造成するものである。
図3(a)のように、ロッド21,22を水中に降下させ、正回転させ、標準施工で刃先先端21c,22cから水底面S1に貫入しながらセメントスラリーを吐出せずに地盤G内を攪拌し(以下、スラリー吐出を伴わない拌を「空打ち」という場合がある)、図3(b)のように、ロッド21,22の刃先先端21c,22cが改良杭の設計改良深度S3に着底するまで空打ちを行う。
次に、図3(b)の着底状態から杭下部の先端処理を行う。すなわち、図3(c)のように、標準施工でロッド21,22を逆回転して空打ちしながら下端S3から上方に所定距離として長さL(図2)程度だけ引き抜いてから、図3(d)のように、標準施工でロッド21,22を正回転させて貫入しながらセメントスラリーSRを下方の第1吐出口21d,22dから吐出する貫入吐出を行い、図3(e)のように、この貫入吐出をロッド21,22の刃先先端21c,22cが下端S3に着底するまで行う。
次に、図3(f)のように、標準施工でロッド21,22を逆回転し上方の第2吐出口23aからセメントスラリーSRを吐出し攪拌しながら下端S3から上方に引き抜く引抜吐出を行う。この標準施工は、従来の施工条件である。
次に、図3(g)のように、上記標準施工による引抜吐出を上方の攪拌翼21a,22aが設計天端S2から下方に距離Hだけ離れた位置近傍に到達するまで行うことで改良杭の杭下部P2を形成し、次に、図1の処理機操作部16での制御操作により緩速施工に切り替え、杭下部P2の上端近傍からロッド21,22を緩速施工により第2吐出口23aからセメントスラリーSRを吐出し攪拌しながら上方に引き抜く。
次に、図3(h)のように、緩速施工による引抜吐出を上方の攪拌翼21a,22a,が設計天端S2に到達するまで行なったところでセメントスラリーの吐出を停止し、先端側の攪拌翼21b,22bが設計天端S2に達したことで、設計天端S2から下方に距離Hの範囲内に杭上部P1を形成する。距離Hは、刃先先端21c、22cと第2吐出口23aとの間のロッド21,22の軸方向の長さL(図2)に基づいて設定されることが好ましく、たとえば、軸方向の長さLの2~3倍に設定される。
以上のように、第1の地盤改良処理によれば、引抜吐出により、杭下部P2を標準施工で形成し、杭上部P1を緩速施工で形成することで、地盤内の土砂とセメントスラリーSRとを攪拌混合して固化した改良杭Pを造成できる。杭上部P1を、ロッド21,22の引抜速度を0.1~0.3m/分、回転速度を10~30rpmとして従来の標準施工と比較すると常識外の緩速施工とすることで、杭上部P1においてセメントスラリーの局所的な流動化を抑制し、杭上部P1の天端沈下や強度低下のような施工不良が発生しない。なお、杭下部P2を標準施工としても所定の土被り圧を確保でき、かつ杭上部P1がすでに緩速施工により安定して地盤改良されているため上述のような施工不良は生じない。
図4は、本実施形態による第2の地盤改良処理の各工程(a)~(i)を説明するため地盤内の要部を縦方向に見たときの要部断面図である。
図4の第2の地盤改良処理は、図1,図2の地盤改良施工システム10を用いて、処理機11のロッド21,22を地盤G内で下方に貫入しながらセメントスラリーSRを吐出して攪拌混合し固化した改良杭P(地盤改良部)を造成するものである。
図4(a)のように、処理機11の一対のロッド21,22を水中に降下させ、正回転させ、刃先先端21c,22cから水底面S1に貫入し、攪拌翼21b,22b、攪拌翼21a,21a’,22a,22a’により地盤Gを攪拌しながら改良天端(設計天端)S2の近傍で第1吐出口21d,22dからセメントスラリーSRを吐出する。この貫入吐出のとき、ロッド21,22の貫入速度が0.1~0.3m/分、回転速度が10~30rpmである緩速施工とする。
かかる緩速施工による貫入吐出を、ロッド21,22の上方の攪拌翼21a,22aが設計天端S2から下方に距離Hだけ離れた位置近傍に到達するまで行う。これにより、距離Hの長さで改良杭の杭上部P1が形成される。
次に、図4(a)(b)のように、上方の攪拌翼21a,22aが設計天端S2から下方に距離Hだけ離れた位置近傍に到達すると、図1の処理機操作部16での制御操作により標準施工に切り替える。すなわち、ロッド21,22の貫入速度を0.3~1.0m/分、回転速度を30~60rpmとする標準施工により第1吐出口21d,22dからのセメントスラリーについて貫入吐出を攪拌しながら行う。この標準施工は、従来の施工条件である。
次に、図4(c)のように、上述の標準施工による貫入吐出を、ロッド21,22の刃先先端21c,22cが改良杭の設計改良深度(杭下部P2の下端)S3に着底するまで行うことで、杭上部P1の下端から下方に設計改良深度S3まで改良杭の杭下部P2を形成する。設計改良深度S3に着底すると貫入吐出を停止する。
次に、図4(c)の着底状態から杭下部P2の先端処理を行う。すなわち、図4(d)のように、セメントスラリーSRの吐出を停止し、ロッド21,22を逆回転して空打ちしながら下端S3から上方に所定距離だけ引き抜いてから、図4(e)のようにロッド21,22を正回転させて貫入しながらセメントスラリーを第1吐出口21d,22dから吐出する貫入吐出を行い、図4(f)のように、この貫入吐出をロッド21,22の刃先先端21c,22cが下端S3に着底するまで行い、着底すると貫入吐出を停止する。図4(d)~(f)の引抜・貫入吐出は標準施工で行う。
次に、図4(g)のように、セメントスラリーSRの吐出を停止したまま図4(f)の着底状態から標準施工でロッド21,22を逆回転し下端S3から上方に引き抜きながら空打ちし、図4(h)のように、上方の攪拌翼21a,22aが杭上部P1の下端近傍に到達すると、図1の処理機操作部16での制御操作により緩速施工に切り替え、図4(i)のように、ロッド21,22を引き抜きながら空打ちし、杭上部P1から上方に引き抜く。
以上のように、第2の地盤改良処理によれば、貫入吐出により、杭上部P1を緩速施工で形成し、引き続き杭下部P2を標準施工で形成することで、地盤内の土砂とセメントスラリーSRとを攪拌混合して固化した改良杭Pを造成できる。杭上部P1を、ロッド21,22の貫入速度を0.1~0.3m/分、回転速度を10~30rpmとして従来の標準施工と比較すると常識外の緩速施工とすることで、杭上部P1においてセメントスラリーSRの局所的な流動化を抑制し、杭上部P1の天端沈下や強度低下のような施工不良が発生しない。
図5は、本実施形態による第3の地盤改良処理の各工程(a)~(i)を説明するため地盤内の要部を縦方向に見たときの要部断面図である。
図5の第3の地盤改良処理は、図1,図2の地盤改良施工システム10を用いて、処理機11のロッド21,22による引抜吐出で杭下部を形成し、次に、貫入吐出で杭上部を形成するものである。
図5(a)のように、ロッド21,22を水中に降下させ、正回転させ、刃先先端21c,22cから水底面S1に貫入し、空打ちの標準施工を、図5(b)のように、ロッド21,22の刃先先端21c,22cが改良杭の設計改良深度S3に着底するまで行う。
次に、図5(b)の着底状態から杭下部の先端処理を、図3(c)~(e)と同様にして行う。
次に、図5(c)のように、標準施工でロッド21,22を逆回転し上方の第2吐出口23aからセメントスラリーSRを吐出しながら下端S3から上方に引き抜く引抜吐出を行う。
次に、図5(d)のように、上記標準施工による引抜吐出を上方の攪拌翼21a,22aが設計天端S2から下方に距離Hだけ離れた位置近傍に到達するまで行うことで改良杭の杭下部P2を形成する。
次に、図5(e)のように、図1の処理機操作部16での制御操作により緩速施工に切り替えるとともにセメントスラリーSRの吐出を停止し、ロッド21,22を緩速施工により上方に引き抜きながら空打ちし、刃先先端21c,22cが水底面S1近傍に達してから、図5(f)のように、ロッド21,22を正回転させ緩速施工により下方に貫入しながら下方の第1吐出口21c,22cからセメントスラリーSRを吐出する。
次に、図5(g)のように、上記緩速施工による貫入吐出を、上方の攪拌翼21a,22aが設計天端S2から下方に距離Hだけ離れた位置近傍まで行い、さらに杭下部P2の上端に対し少なくとも30cm入り込むまで行うことで、杭上部P1を形成する。これにより、杭上部P1の下部領域と杭下部P2の上部領域とを改良杭の縦方向に少なくとも30cm重複させる。
次に、図5(h)のように、セメントスラリーSRの吐出を停止し、ロッド21,22を緩速施工により上方に引き抜きながら杭上部P1内を空打ちし、図5(i)のように、そのままロッド21,22を上方に引き抜く。
以上のように、第3の地盤改良処理によれば、杭下部P2を引抜吐出による標準施工で形成し、杭上部P1を貫入吐出による緩速施工で形成することで、地盤内の土砂とセメントスラリーSRとを攪拌混合して固化した改良杭Pを造成できる。杭上部P1を、ロッド21,22の貫入速度を0.1~0.3m/分、回転速度を10~30rpmとして従来の標準施工と比較すると常識外の緩速施工とすることで、杭上部P1においてセメントスラリーの局所的な流動化を抑制し、杭上部P1の天端沈下や強度低下のような施工不良が発生しない。
図6は、本実施形態による第4の地盤改良処理の各工程(a)~(h)を説明するため地盤内の要部を縦方向に見たときの要部断面図である。
図6の第4の地盤改良処理は、図1,図2の地盤改良施工システム10を用いて、処理機11のロッド21,22による貫入吐出で杭上部を形成し、次に、引抜吐出で杭下部を形成するものである。
図6(a)のように、ロッド21,22を水中に降下させ、正回転させ、減速施工で、刃先先端21c,22cから水底面S1に貫入し、攪拌翼21b,22b、攪拌翼21a,21a’,22a,22a’により地盤Gを攪拌しながら改良天端(設計天端)S2の近傍で第1吐出口21d,22dからセメントスラリーSRを吐出する。かかる緩速施工による貫入吐出を、上方の攪拌翼21a,22aが設計天端S2から下方に距離Hだけ離れた位置近傍に到達するまで行う。これにより、距離Hの長さで改良杭の杭上部P1が形成される。
次に、図6(a)(b)のように、上方の攪拌翼21a,22aが設計天端S2から下方に距離Hだけ離れた位置近傍に到達すると、図1の処理機操作部16での制御操作により標準施工に切り替えるとともにセメントスラリーSRの吐出を停止し、標準施工でロッド21,22を貫入しながら地盤G内を刃先先端21c,22cが改良杭の設計改良深度(下端)S3に着底するまで空打ちする。
次に、図6(c)~(e)のように、図6(b)の着底状態から杭下部の先端処理を、図3(c)~(e)と同様にして行う。
次に、図6(f)のように、標準施工でロッド21,22を逆回転し上方の第2吐出口23aからセメントスラリーSRを吐出しながら下端S3から上方に引き抜く引抜吐出を行う。
次に、図6(f)(g)のように、上記標準施工による引抜吐出を上方の攪拌翼21a,22aが設計天端S2から下方に距離Hだけ離れた杭上部P1の下端近傍に到達するまで行うことで、杭下部P2を形成する。
次に、図6(g)のように、図1の処理機操作部16での制御操作により緩速施工に切り替え、緩速施工による引抜吐出を先端側の攪拌翼21b,22bが杭下部P2の上端から杭上部P1に少なくとも30cm入り込むまで行うことにより、杭下部P2の上部領域と杭上部P1の下部領域とを改良杭の縦方向に少なくとも30cm重複させる。
次に、図6(h)のように、セメントスラリーSRの吐出を停止し、ロッド21,22を緩速施工により上方に引き抜きながら杭上部P1内を空打ちし、そのままロッド21,22を上方に引き抜く。
以上のように、第4の地盤改良処理によれば、杭上部P1を貫入吐出による緩速施工で形成し、杭下部P2を引抜吐出による標準施工で形成することで、地盤内の土砂とセメントスラリーSRとを攪拌混合して固化した改良杭Pを造成できる。杭上部P1を、ロッド21,22の貫入速度を0.1~0.3m/分、回転速度を10~30rpmとして従来の標準施工と比較すると常識外の緩速施工とすることで、杭上部P1においてセメントスラリーSRの局所的な流動化を抑制し、杭上部P1の天端沈下や強度低下のような施工不良が発生しない。
また、第1~第4の地盤改良処理において、杭上部P1の距離Hを、図2のロッド21,22の刃先先端21c,22cと第2吐出口23aとの間のロッドの軸方向の長さLの2倍以上に設定することで確実に施工不良を防止し、3倍以下に設定することで緩速施工による施工効率の低下を可能な限り抑えることができる。
また、第3の地盤改良処理の図5(g)、第4の地盤改良処理の図6(g)のように、緩速施工による杭上部P1の下部領域と標準施工による杭下部P2の上部領域とが改良杭Pの縦方向に少なくとも30cm重複するように施工することで、杭上部P1と杭下部P2との境界近傍における施工不良を確実に防止できる。
また、緩速施工は引抜吐出、貫入吐出のどちらの場合でも適用可能であるが、貫入吐出の方が相対的に改良品質が良いので、引抜吐出で比較的長さのある改良杭を施工する場合、上部のみ緩速施工による貫入吐出を適用することが好ましい。すなわち、第3,第4の実施形態である地盤改良処理のように、杭下部P2の標準施工による引抜吐出には杭上部P1の緩速施工による貫入吐出を組み合わせて比較的長さのある改良杭を造成可能である。
(実験例)
次に、本発明について実験例により説明する。
図7に実験条件、図8に実験に用いた模型地盤材料の物理特性、図9に実験装置・模型地盤・模型改良杭の縦断面図(a)、平面図(b)、および、実験装置の攪拌翼の側面図(c)、図10に実験ケース1,2の標準施工による施工工程(a)~(i)、図11に実験ケース3~6の緩速施工による施工工程(a)~(e)をそれぞれ示す。本実験例は、小型模型実験で、図9(a)~(c)のように、実験装置として土槽(L100cm×W100cm×H150cm)、単管の回転ロッド、3段攪拌翼(φ262mm)を用いた1/5スケールの小型CDM改良機を使用した。模型地盤材料は、図8に物理特性を示すように、一般砂質土である東北珪砂6号(Dr≒40%)および国内で採取した火山灰質の浚渫土(Dr≒60%)を用いた。模型地盤を地盤の細粒分が多いため水中落下方式によって作製した。固化材はセメントスラリー(W/C=60% )を用いた。図7の標準施工による実験ケース1,2 を図10(a)~(i)の各工程により行い、緩速施工による実験ケース3,4,5,6を図11(a)~(e)の各工程により行った。図7の実験ケース1~6のいずれも吐出無しで地盤内に貫入してから、セメントスラリーの引抜吐出・攪拌を、実験ケース1,2(標準施工)で引抜速度0.5m/分、回転速度30rpm、実験ケース3,4(緩速施工1)で引抜速度0.15m/分、回転速度10rpm、実験ケース5,6(緩速施工2)で引抜速度0.1m/分、回転速度10rpmとした。また、緩速施工2と比較して、標準施工と緩速施工1ではセメントスラリー注入量が2倍であった。各実験ケース1~6で図9(a)(b)の模型地盤の中心部に地盤改良により直径262mm×長さ600mm(目標値)の改良体を形成した。実験中の間隙水圧(水圧計)、実験中の攪拌翼の回転トルク(トルク計)、実験前後の地表面の変状(レーザー計測)を計測した。
図12(a)~(c)に東北珪砂6号の実験ケース1,3,5の改良体の外観写真とその概略側面図を示す。図13(a)~(c)に火山灰質の浚渫土の実験ケース2,4,6の改良体の外観写真とその概略側面図を示す。図14(a)~(c)に実験ケース1,3,5において地盤内で計測した間隙水圧の時間変化を示す。図15(a)~(c)に実験ケース2,4,6において地盤内で計測した間隙水圧の時間変化を示し、(d)~(f)に地表面の形状変化を示す。
東北珪砂6号による模型地盤の実験ケース1,3,5では、地表面には極少量のスラリー流出が認められるが、概ね所定の改良効果が得られていると推測された。標準施工の実験ケース1では、改良中に地表面の盛上りが認められたが、スラリー注入による過剰水圧が速やかに消散できないことに起因すると推測された。改良体天端には杭直径に相当する陥没穴が認められたが、改良体の最大天端沈下量は、実験ケース1(標準施工)の65mmに対し、実験ケース3(緩速施工1)で50mm、実験ケース5(緩速施工2)で30mmであった。
火山灰質の浚渫土による模型地盤の実験ケース2(標準施工)では、改良中の地表面の盛上りが認められた。スラリー流出量も東北珪砂6号の実験ケース1(標準施工)と比べると相対的に多く、ボイリングのような状況であった。改良後には、地表面の広範囲に流出したスラリーが堆積した。改良天端の陥没穴も同様に発生し、その深度は東北珪砂6号の実験ケース1(標準施工)と比較すると深かった。実験ケース4(緩速施工1)は、実験ケース2(標準施工)と概ね同様の傾向にあったが、スラリー流出量や改良中の地表面盛上りは相対的に少なかった。実験ケース6(緩速施工2)は、施工中の地表面盛上りは生じなかった。改良体の最大天端沈下量は、実験ケース2(標準施工)の120mmに対し、実験ケース4(緩速施工1)で75mm、実験ケース6(緩速施工2)で30mmであった(図15(d)~(f)参照)。天端沈下量は、各模型地盤の緩速施工1,2において標準施工よりも小さく、天端沈下が改善された。
図14(a)~(c)、図15(a)~(c)のように、各間隙水圧の最大値は、各模型地盤において標準施工、緩速施工1、緩速施工2の順に小さくなった。間隙水圧が大きいと流動化し易いので、緩速施工1、緩速施工2の方が標準施工よりも流動化し難いと判定された。また、実験ケース1~4では実験後地表面に土砂混じりセメントスラリーが流出したことを確認した。一方、セメントスラリー注入量を減らした実験ケース5,6では土砂混じりセメントスラリーの流出が確認されなかった。
また、ベーンせん断試験機を用い、図16の実験概要に示すように、緩速施工時の攪拌翼による混合強度の検証実験を行った。実験は 、攪拌翼を実験地盤内に貫入し、回転させて引抜吐出時にロッドの回転トルクを測定し、さらに、回転速度を各緩速施工1、各緩速施工2で5,20rpmとし、各標準施工で40,50rpmとして同様にロッドの回転トルクを測定した結果を図17に示す。回転速度が30rpm以上であると、回転トルクが一定であり、攪拌混合による混合物が流動化しているのに対し、30rpm以下であると、回転トルクが増加し、混合物の強度を保持できた。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、図1では二連式(2軸)の一対のロッドを用いたが、本発明は、これに限定されず、4連式(4軸)や8連式(8軸)等のさらに多連式(多軸)のロッド構成であってもよく、また、1軸ロッドであってもよい。
また、本実施形態では、水底地盤に対する水中施工を例にして説明したが、本発明はこれに限定されず、陸上地盤に対する陸上施工であってもよいことはもちろんである。
また、本実施形態において、セメントスラリーの水セメント比W/Cを混和剤等で下げることにより、添加するスラリー体積を減らすことで、スラリー吐出圧を低減し、セメントスラリーの流動化を防ぐ効果が期待される。また、混和剤等でセメントスラリーに増粘性を付与し、セメントスラリーと原地盤とを絡ませることで、セメントスラリーの流動化を防ぐ効果が期待される。
本発明によれば、深層混合処理工法による地盤改良において地盤改良部の天端沈下や上部の強度低下のような施工不良を防止できるので、施工効率の低下をできるだけ抑えつつ品質の良好な地盤改良部を造成可能である。
10 地盤改良施工システム
11 処理機
21,22 ロッド
21a,22a,21a’,22a’ 攪拌翼(攪拌部)
21b,22b 攪拌翼(攪拌部)
21c,22c ロッドの刃先先端
21d,22d 第1吐出口
23 固定吐出管
23a 第2吐出口
G 地盤
CS 土砂混じりセメントスラリー
H 設計天端からの距離(所定距離)
L ロッドの刃先先端と第2吐出口との間のロッドの軸方向の長さ
P 改良杭(地盤改良部)
P1 杭上部(上部)
P2 杭下部(下部)
S1 水底面
S2 改良天端、設計天端
S3 設計改良深度、杭下部の下端
SR セメントスラリー(固化材)

Claims (10)

  1. 改良対象の地盤内にスラリー状の固化材を吐出しながらロッドに設けられた攪拌部を回転させて前記地盤内の土砂と前記固化材とを攪拌混合するとともに前記ロッドを前記地盤に対し貫入または引抜することにより前記地盤内に固化した地盤改良部を造成する、機械攪拌式の深層混合処理工法による地盤改良工法であって、
    前記地盤改良部の設計天端から下方に所定距離の範囲内の上部において前記地盤改良部を緩速施工により造成し、前記上部以外の下部において前記地盤改良部を標準施工により造成し、
    前記緩速施工は、前記ロッドの貫入速度または引抜速度、および、前記攪拌部の回転速度をそれぞれ、前記標準施工における前記貫入速度または前記引抜速度、および、前記回転速度よりも低くし、
    前記下部において前記標準施工により前記ロッドを引き抜きながら前記固化材を吐出し攪拌する引抜吐出を行うステップと、
    前記上部の下端近傍において前記固化材の吐出を停止しかつ前記上部において前記緩速施工により前記ロッドを引き抜きながら前記攪拌部により攪拌するステップと、
    前記引き抜き中に前記ロッドの先端が前記地盤の表面または表面近傍に達してから、前記上部において前記上部の下端近傍まで前記緩速施工により前記ロッドを貫入しながら前記固化材を吐出し攪拌する貫入吐出を行うステップと、を含む地盤改良工法。
  2. 改良対象の地盤内にスラリー状の固化材を吐出しながらロッドに設けられた攪拌部を回転させて前記地盤内の土砂と前記固化材とを攪拌混合するとともに前記ロッドを前記地盤に対し貫入または引抜することにより前記地盤内に固化した地盤改良部を造成する、機械攪拌式の深層混合処理工法による地盤改良工法であって、
    前記地盤改良部の設計天端から下方に所定距離の範囲内の上部において前記地盤改良部を緩速施工により造成し、前記上部以外の下部において前記地盤改良部を標準施工により造成し、
    前記緩速施工は、前記ロッドの貫入速度または引抜速度、および、前記攪拌部の回転速度をそれぞれ、前記標準施工における前記貫入速度または前記引抜速度、および、前記回転速度よりも低くし、
    前記上部において前記緩速施工により前記ロッドを貫入しながら前記固化材を吐出し攪拌する貫入吐出を行うステップと、
    前記上部の下端近傍において前記固化材の吐出を停止しかつ前記下部において前記標準施工により前記ロッドを貫入しながら前記攪拌部により攪拌するステップと、
    前記下部において前記標準施工により前記上部の下端近傍まで前記ロッドを引き抜きながら前記固化材を吐出し攪拌する引抜吐出を行うステップと、
    前記上部の下端近傍において前記固化材の吐出を停止しかつ前記上部において前記緩速施工により前記ロッドを引き抜きながら前記攪拌部により攪拌するステップと、を含む地盤改良工法。
  3. 前記緩速施工において、前記貫入速度または前記引抜速度を0.1~0.3m/分とし、前記回転速度を10~30rpmとし、
    前記標準施工において、前記貫入速度または前記引抜速度を0.3~1.0m/分とし、前記回転速度を30~60rpmとする請求項1または2に記載の地盤改良工法。
  4. 改良対象の地盤内にスラリー状の固化材を吐出しながらロッドに設けられた攪拌部を回転させて前記地盤内の土砂と前記固化材とを攪拌混合するとともに前記ロッドを前記地盤に対し貫入または引抜することにより前記地盤内に固化した地盤改良部を造成する、機械攪拌式の深層混合処理工法による地盤改良工法であって、
    前記地盤改良部の設計天端から下方に所定距離の範囲内の上部において前記地盤改良部を緩速施工により造成し、前記上部以外の下部において前記地盤改良部を標準施工により造成し、
    前記緩速施工は、前記ロッドの貫入速度または引抜速度、および、前記攪拌部の回転速度をそれぞれ、前記標準施工における前記貫入速度または前記引抜速度、および、前記回転速度よりも低くし、
    前記緩速施工において、前記貫入速度または前記引抜速度を0.1~0.3m/分とし、前記回転速度を10~30rpmとし、
    前記標準施工において、前記貫入速度または前記引抜速度を0.3~1.0m/分とし、前記回転速度を30~60rpmとする地盤改良工法。
  5. 前記緩速施工を、前記地盤に対し前記ロッドを貫入しながら前記固化材を吐出し攪拌する貫入吐出により行う請求項4に記載の地盤改良工法。
  6. 前記緩速施工を、前記地盤に対し前記ロッドを引き抜きながら前記固化材を吐出し攪拌する引抜吐出により行う請求項4に記載の地盤改良工法。
  7. 前記固化材は、前記ロッドの刃先先端の近傍に設けられた第1吐出口と、前記第1吐出口よりも上方に設けられた第2吐出口とから吐出可能であり、
    前記所定距離は、前記先端と前記第2吐出口との間の前記ロッドの軸方向の長さに基づいて設定される請求項1乃至6のいずれかに記載の地盤改良工法。
  8. 前記所定距離は、前記軸方向の長さの2~3倍に設定される請求項7に記載の地盤改良工法。
  9. 前記上部の下部領域と前記下部の上部領域とを前記地盤改良部の縦方向に少なくとも30cm重複させる請求項1乃至8のいずれかに記載の地盤改良工法。
  10. 前記改良対象の地盤は、液状化現象が生じる可能性のある土質からなる請求項1乃至9のいずれかに記載の地盤改良工法。
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