JP2017089319A - 立坑構築方法 - Google Patents

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Makoto Tanaka
田中  誠
博久 早川
Hirohisa Hayakawa
博久 早川
大橋 正明
Masaaki Ohashi
正明 大橋
伊藤 弘之
Hiroyuki Ito
伊藤  弘之
勝利 藤崎
Katsutoshi Fujisaki
勝利 藤崎
雅紀 松井
Masaki Matsui
雅紀 松井
淳 島村
Jun Shimamura
淳 島村
田中 誠治
Seiji Tanaka
誠治 田中
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Abstract

【課題】低空頭下において、立坑構築中における孔壁の崩壊を防止しつつ立坑を容易に構築可能な立坑構築方法を提供する。【解決手段】立坑構築方法であって、複数の地盤改良体3aからなる筒状の地中連続壁体3をその外周面と内周面との間に側壁体2の構築予定領域の外周縁Lが位置するように形成することと、外周縁Lより内側に位置する部分を掘削することと、掘削面Wに沿って側壁体2を形成して立坑1を構築することと、を含み、地中連続壁体3を形成することは、一つの地盤改良体3aの造成予定領域毎に、ボーリング孔を形成することと、先端ロッドとノズルと延長ロッドとを有するロッドをボーリング孔に挿入することと、固化材と水を含む液体をノズルから噴射しつつ、ロッドを回転させると共に引き上げて、地盤より強度の高い地盤改良体3aを造成することと、を含む構成とする。【選択図】図2

Description

本発明は、地盤を開削して立坑を構築する立坑構築方法に関する。
地盤内への地下構造物の埋設工事やトンネル工事等において、地表面から地盤を下方に向かって削孔して立坑を構築し、その立坑内に地下構造物を埋設したり、立坑を介してシールド掘進機等の掘削機を搬入したり、立坑下部をシールド掘進機の発進基地や到達基地等に用いたりしている。
この立坑を、例えば細粒分含有率が低い(例えば粒径0.075mm未満の土粒子の含有率が約35%以下)土層等を含む地盤に構築する場合等においては、地盤の掘削途中において形成される掘削面が崩壊するおそれがある。そのため、この種の立坑を構築する方法においては、外部に露出する掘削面(つまり、地盤露出面)の崩壊を防止するために、立坑内側からこの掘削面を覆うように矢板を設置すると共に、更に対向する矢板の間に切梁等の支保工を架け渡して矢板を補強している。このように、矢板からなる立坑の側壁体(土留壁とも言う)が配置されて、この側壁体の内周面によって囲まれて区画される空間が形成され、この空間を通じてシールド掘進機等の掘削機が搬入されたりしている。
また、上記掘削面の崩壊を抑制しつつ立坑の構築を行う方法として、特許文献1に記載された方法も知られている。この特許文献1に記載された方法では、地下構造物の埋設用の立坑の構築に先立って、この立坑の構築予定領域を囲むようにソイルモルタル柱列をSMW工法により構築している。詳しくは、大径のオーガスクリューを備えたベースマシンにより、地盤を掘削すると共に原位置の土砂とモルタル等とを原位置で混合及び撹拌して、ソイルモルタル柱列を形成し、このソイルモルタル柱列により、立坑の構築予定領域を囲むことで、立坑の構築中における掘削面の崩壊の発生を抑制している。
特開2012−140826号公報
ところで、掘削面を覆うように矢板を設置すると共に支保工により矢板を補強して掘削面の崩壊を抑制する従来の立坑構築方法では、支保工を矢板間に架け渡す際に、その支保工の重量に応じた揚重能力を有するクレーンを必要とする。また、特許文献1に記載された方法では、掘削及び混練用の比較的大径且つ大重量のオーガスクリューを有する大型のベースマシンが必要である。また、この大型のベースマシンの立坑構築予定箇所への据え付け時や搬出時等に、大型クレーンを必要とする。
しかしながら、矢板と支保工を用いた上記従来の立坑構築方法を、立坑の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在する施工現場において採用する場合、大型のクレーンを用いることができないため、クレーンの揚重能力が制約されて、支保工の重量やサイズ等が限定される(小型化される)ことになる。この場合、支保工の段数が増加して、施工効率の低下を招くため、工夫が求められている。
また、特許文献1に記載された方法を、立坑の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在する施工現場において採用しようとしても、このような施工現場には、上記のような大型のベースマシンや大型クレーンを用いることができない場合もあり、工夫が求められている。
本発明は、このような実状に鑑み、立坑(側壁体)の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域にて、立坑の構築中における掘削面の崩壊を防止しつつ立坑を容易に構築可能な立坑構築方法を提供することを目的とする。
上記課題に対して、本発明の一側面に係る立坑構築方法では、地盤に立坑を構築する立坑構築方法において、前記地盤の鉛直方向に延びると共に互いに重なり合って列をなす複数の地盤改良体からなる筒状の地中連続壁体を、その外周面と内周面との間に、前記立坑の側壁体の構築予定領域の外周縁が位置するように形成することと、前記地中連続壁体の形成後に、前記構築予定領域の外周縁より内側に位置する部分を掘削することと、前記掘削により得られた地盤改良体の掘削面に沿って前記側壁体を形成して、前記立坑を構築することと、を含み、前記地中連続壁体を形成することは、一つの前記地盤改良体の造成予定領域毎に、前記地盤に鉛直方向に延伸するボーリング孔を形成することと、円筒状の先端ロッドと、当該先端ロッドの先端部側に設けられるノズルと、前記先端ロッドの基端部側に順次継ぎ足される延長ロッドと、を有するロッドを前記ボーリング孔に挿入することと、固化材と水を含む液体を前記ノズルから半径方向外方に向けて噴射しつつ、前記ロッドを回転させると共に、前記ロッドを引き上げて、前記ボーリング孔より大径であり且つ前記地盤より強度の高い前記地盤改良体を造成することと、を含む構成とする。
前記一側面による立坑構築方法によれば、立坑の側壁体の構築予定領域の外周縁より内側に位置する部分を掘削する前に、地盤の鉛直方向に延びると共に互いに重なり合って列をなす複数の地盤改良体からなる筒状の地中連続壁体を、当該地中連続壁体の外周面と内周面との間に、立坑の側壁体の構築予定領域の外周縁が位置するように形成している。その後、構築予定領域の外周縁より内側に位置する部分を掘削して得られた地盤改良体の掘削面に沿って立坑の側壁体を形成して、立坑を構築している。そして、一つの地盤改良体の造成予定領域毎に、先端部側にノズルが設けられた先端ロッドの基端部側に延長ロッドを順次継ぎ足してなるロッドをボーリング孔内に挿入し、このボーリング孔内で前記ノズルから固化材と水を含む液体を半径方向外方に向けて噴射させつつ、ロッドを回転及び引き上げることで、地盤より強度の高い前記地盤改良体を造成している。
これにより、立坑の側壁体の構築予定領域の外周縁より内側に位置する部分を掘削したとしても、その掘削により得られる掘削面の全周に、地盤そのものではなく、この掘削に先立って造成された地中連続壁体を確実に露出させることができる。したがって、例えば、各地盤改良体強度を、その地盤改良体を掘削する掘削装置の能力や工法等に応じて周囲の地盤よりも適宜高めに設定するだけで、掘削面の安定化を図ることができるため、立坑構築中における掘削面の崩壊を防止することができる。
そして、立坑の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であっても、単に小型の削孔機により前記ロッドを挿入可能な小径のボーリング孔を掘削し、そのボーリング孔に前記ロッドを延長しながら挿入し、そのロッドの先端のノズルから固化材と水を含む液体を噴射させつつロッドを回転及び引き上げるだけで、立坑の構築予定箇所の周囲の地盤よりも適宜強度を高めた複数の地盤改良体を予め構築(造成)することができる。なお、ロッド挿入用の小径の前記ボーリング孔の削孔や立坑の側壁体の構築予定領域の外周縁より内側に位置する部分の掘削のための機械及び工法は、それぞれ、地面からその上空に存在する構造物までの高さに応じて、適宜の機械及び工法を採用すればよい。
このようにして、立坑の側壁体の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域にて、立坑の構築中における掘削面の崩壊を防止しつつ立坑を容易に構築可能な立坑構築方法を提供することができる。
本実施形態における立坑構築方法により構築した立坑の断面図である。 上記立坑の上面図である。 上記実施形態における地盤改良体造成装置の概略構成を示す図であり、立坑の構築予定箇所の地盤の断面図でもある。 上記実施形態における複数の地盤改良体からなる地中連続壁体の上面図である。 上記地盤改良体の造成工程の一例を説明するための概念図であり、ボーリング孔形成工程を示す図である。 上記地盤改良体の造成工程を説明するための別の図である。 上記地盤改良体の上面図である。 上記立坑の構築の推移を示した図である。 図8に続く、上記立坑の構築の推移を示した図である。 上記地中連続壁体を掘削した後の薄肉部厚さと各地盤改良体の造成径の設定手順を説明するためのフロー図である。 地盤改良体の一軸圧縮強さと薄肉部厚さとの関係を示す図である。 上記立坑の側壁体の形成順の変形例を説明するための図である。 上記地盤改良体の断面形状の変形例を説明するための図である。 立坑の断面形状の変形例を説明するための図である。 上記地盤改良体とは別の地盤改良体を追加した変形例を説明するための図である。
以下に、本発明に係る立坑構築方法の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における立坑構築方法により構築した立坑1の垂直断面図を示し、図2は図1に示す立坑1の上面図(地上側から視た平面図)を示す。図3は本実施形態における立坑構築方法において用いる地盤改良体造成装置10の概略構成を示す。なお、図1は、図2に示すA−A線矢視の断面図でもある。
本発明の一実施形態における立坑構築方法は、立坑1の側壁体2の構築予定領域の外周縁L(図2では太線で示されている)に対応して複数の地盤改良体3aからなる地中連続壁体3を造成する造成工程と、上記構築予定領域の外周縁Lの内側の地中連続壁体3及び地盤を鉛直方向に掘削する掘削工程と、この掘削により得られた地盤改良体3aの掘削面W(後述する図8及び図9参照)に沿って側壁体2を形成する側壁体形成工程と、立坑1の床版部4を形成する床版部形成工程とを含む。
本実施形態において、立坑1は、所定の壁厚t1を有し筒状に形成される側壁体2と、床版部4とを備え、全体として有底筒状に形成されて地中内に構築されている。
本実施形態では、側壁体2は、コンクリートからなり、横長矩形筒状の水平断面を有すると共に鉛直方向に適宜高さを有する分割側壁体2aを複数個(図では2個)継ぎ足して構築(形成)されている。また、床版部4は、コンクリートからなり、側壁体2の下端部近辺に形成されるものである。
本実施形態では、既存の鉄道高架橋の直下の低空頭且つ狭隘な施工場所、つまり、立坑1の構築予定箇所の上空に、既設構造物として鉄道高架橋Bが存在する低空頭な場所である上、その構築予定箇所の地上側周辺に、十分な作業スペースを確保することが困難な狭隘な場所で、立坑1を構築するものとして、以下説明する。
具体的には、鉄道高架橋Bは地面から約3〜4mの高さ位置に存在するものとする。なお、本実施形態では、既設構造物は鉄道高架橋Bであり、立坑1をこの鉄道高架橋Bの直下の低空頭且つ狭隘な場所に構築する場合で説明するが、これに限らず、立坑1の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であれば、どのような施工場所でもよい。
また、本実施形態において、立坑1の構築予定箇所を含む地盤は、地面側に位置する上層G1と、その上層G1の下方に位置する支持層G2とを含み、上層G1は細粒分含有率が低く(例えば、粒径0.075mm未満の土粒子の含有率が約35%以下)、支持層G2は適切な強度を有するものとする。また、本実施形態では、立坑1の側壁体2は、具体的には、その下端部が支持層G2に到達するように構築するものとする。
まず、本実施形態の立坑構築方法において用いる地盤改良体造成装置10の構成について、図3を参照して、以下に説明する。
前記地盤改良体造成装置10は、いわゆる高圧噴射撹拌工法により地盤に地盤改良体3a(後述の図6参照)を形成する装置である。地盤改良体造成装置10は、図3に示すように、その本体11とロッド12とを含んで構成される。
前記本体11は、噴射液を貯蔵する噴射液タンク(図示せず)と、噴射液を超高圧・大流量(例えば、圧力:20〜40MPa程度、吐出流量:0.1〜0.6m/分程度)で圧送可能な超高圧ポンプ(図示せず)と、エアーコンプレッサー(図示せず)とを備える。また、本体11の正面には、ロッド12を、その軸心を中心として回転させると共に、軸心に沿って引き上げ及び引き下げ可能に把持する把持部13が取付けられている。
噴射液は、適宜の固化材(例えばセメントなどの自硬性材料)と水とを含む液体としての固化材ミルクである。本実施形態では、噴射液は、固化材としてセメントを用いたセメントミルクであるものとして以下説明するが、固化材ミルクはこれに限らない。固化材ミルクは、地盤改良体3aの一軸圧縮強さquが周囲地盤の強度より高い後述する所定の強度範囲内に収まるように配合されている。
地盤改良体3aの造成予定場所には、ピット(凹部)14が形成される。このピット14は、地面より所定深さ分だけ床掘りすることで形成される。なお、図3、後述する図5及び図6以外の図においては、図の簡略化のため上記ピット14は図示を省略したが実際には各地盤改良体3aに対応してそれぞれピット14が形成されている。
ここで、地盤改良体3aは、立坑1の側壁体2の構築予定領域の外周縁L(図2参照)に対応して複数形成される。各地盤改良体3aは、隣り合う地盤改良体3aと上方から視た平面視で一部重なるように、適宜の断面形状を有して形成されている。
本実施形態おいては、各地盤改良体3aは、円形の断面形状を有し、それぞれ、略等しい造成径(外径)D2で形成されている。なお、立坑1の側壁体2の構築予定領域付近における各地盤改良体3aの配置、及び、これら複数の地盤改良体3aからなる地中連続壁体3については後に詳述する。
ピット14には、ロータリーボーリングマシン等の小型の削孔機(図示せず)によって、地中に鉛直方向に延伸する小径のボーリング孔であるガイドホールGHが形成される。ガイドホールGHは、例えば、上層G1と支持層G2との境界位置に達する深さまで形成される。このガイドホールGH内に、ロッド12が挿入される。ここで、ガイドホールGHの内径D1は、地盤改良体3aの造成径、つまり地盤改良体3aの外径(D2)よりも小さい。前記削孔機の削孔用ロッドは、適宜長さに分割されて、適宜継ぎ足して延長可能に構成されている。したがって、低空頭且つ狭隘な場所においても、クレーン等を使用せずに適宜深さのガイドホールGHを、容易に形成することができる。
地盤改良体3aの造成時には、ロッド12とガイドホールGHとの間の隙間を通ってスライム状の混練土(スライム)が上昇し、ピット14に滞留する。このスライムは、ピット14に設置されるサンドポンプ15を介してスライム貯留タンク16内に排泥される。
前記ロッド12は、円筒状の先端ロッド121と、この先端ロッド121の先端部側(下端部側)に設けられる噴射モニタ122と、先端ロッド121の基端部側(上端部側)に順次継ぎ足される適宜本数の延長ロッド123と、を有する。ロッド12の上端部側(つまり、延長ロッド123のうち最後に継ぎ足されるものの上端部側)が地面から突出して把持部13によって把持される。
先端ロッド121及び延長ロッド123は、例えば、外管と内管とからなる二重管によりそれぞれ構成される。なお、本実施形態では、先端ロッド121及び延長ロッド123は二重管構造である場合を一例に挙げて説明するが、これに限らず、三重管等の構造を適宜採用することができる。
本実施形態において、延長ロッド123のうち最後に継ぎ足されるものの上端部には、噴射液入口と圧縮空気入口を有するスイベル17が接続され、先端ロッド121の下端側には、カップリング(図示せず)を介して噴射モニタ122が接続されている。先端ロッド121と延長ロッド123との間、及び、各延長ロッド123,123間は適宜継手を介して接続される。
先端ロッド121及び延長ロッド123は、その内管がスイベル17の噴射液入口と連通して噴射液の流路となり、また、内管と外管との間の隙間がスイベル17の圧縮空気入口と連通して圧縮空気の流路となる。
本体11の噴射液タンク内の噴射液は、超高圧ポンプ、スイベル17の噴射液入口を介してロッド12の内管内に圧送される。また、本体11のエアーコンプレッサーからの圧縮空気は、スイベル17の圧縮空気入口を介してロッド12の外管と内管との間の流路に圧送される。
噴射モニタ122は、ロッド12(先端ロッド121)の内管と連通する噴射液噴射ノズル(図示せず)と、前述の圧縮空気の流路と連通する圧縮空気噴射ノズル(図示せず)とを備える。すなわち、ロッド12の先端部側には、噴射液噴射ノズル及び圧縮空気噴射ノズルが設けられている。
噴射液噴射ノズルの先端は、噴射モニタ122の外周面の一部で径方向外向きに開口している。また、圧縮空気噴射ノズルの先端は、噴射液噴射ノズルの周囲で、径方向外向きに開口している。圧縮空気を噴射液噴射ノズルの周囲から噴射させることにより、噴射液を効率的に噴射させることができる。なお、本実施形態において、噴射モニタ122が本発明に係る「ノズル」に相当する。
地盤改良体造成装置10を作動させて地盤改良体3aを造成するときには、まず、ガイドホールGHの下端部近傍に噴射モニタ122が位置するように、延長ロッド123を順次継ぎ足す。そして、この状態で、本体11の超高圧ポンプ及びエアーコンプレッサーを駆動させて、ロッド12内に、高圧の噴射液及び圧縮空気を圧送することで、噴射モニタ122の噴射液噴射ノズルから高圧の噴射液を、ガイドホールGHの半径方向外方に向けて連続的に噴射させると共に、噴射液噴射ノズルの周囲の圧縮空気噴射ノズルから圧縮空気を噴射させる。これにより、噴射液と圧縮空気とが混合したジェット流Jが形成される。また、ジェット流Jを噴射しつつ、ロッド12を把持部13により回転させる。このときに、ジェット流Jの圧力により、噴射モニタ122の周囲の地盤が切削されると共に、掘削土と噴射液とが撹拌混練されて地盤改良がなされる。これにより、固化材と水とを含むジェット流Jを噴射モニタ122から半径方向外方に向けて噴射可能に構成され、ガイドホールGHより大径であるソイルモルタル製の地盤改良体3aの底部が形成される。
これに続けて、ジェット流Jを連続的に噴射させつつ、ロッド12を把持部13により回転駆動させながら所定の引き上げ速度で、図3に矢印で示す鉛直方向上方に引き上げる。このロッド12の引き上げは、ジェット流Jの噴射がピット14の近傍(例えば底面)に達するまで行われる。この引き上げの際、ロッド12はスイベル17と共に上昇する。したがって、例えば、スイベル17が鉄道高架橋Bに底面近傍の手前に位置するまでの間の適宜タイミングでジェット流Jの噴射を一旦停止させ、延長ロッド123のうちの地面から突出した適宜本数の延長ロッド123を取り外し、最上部の延長ロッド123の上端部をスイベル17に接続し直した後、ジェット流Jの噴射を再開すればよい。このようにして、ガイドホールGHより大径であり、且つ、上層G1と支持層G2との境界面に達する長さを有する円柱状の一本の地盤改良体3aが形成される(後述の図6参照)。
その後、地盤改良体3aの一軸圧縮強さquは、徐々に増加し、地盤改良体3aの材齢期間が長くなるにつれ強度増加速度は緩やかになり、所定の強度範囲内に略収まる。この一軸圧縮強さquの上記所定の強度範囲については後に詳述する。
次に、複数の地盤改良体3aの配置、及び、複数の地盤改良体3aからなる地中連続壁体3について、図4を参照して詳述する。図4は地中連続壁体3の形成(造成)が完了した状態を示した上面図である。
ここで、地中連続壁体3は、地盤の鉛直方向に延びると共に互いに重なり合って列をなす複数の地盤改良体3aからなり、全体として筒状(つまり、中空)に形成されている。そして、地中連続壁体3は、詳しくは、この地中連続壁体3の外周面と地中連続壁体3の内周面との間に、立坑1の側壁体2の構築予定領域の外周縁L(図4及び後述する図7、図8では、二点鎖線で示されている)が位置するように形成されている。
本実施形態においては、各地盤改良体3aは、その中心軸線X1が側壁体2の構築予定領域の外周縁L上に沿って、上下方向に延びるように造成されている。言い換えると、図4に示すように、平面視で各地盤改良体3aの中心が、それぞれ上記外周縁L上に位置するように配置されている。
より具体的には、平面視で矩形状の上記外周縁Lの各角部には、この角部に中心を合わせて地盤改良体3aがそれぞれ配置されている。また、外周縁Lの角部を除く長辺側と短辺側には、それぞれ、外周縁L上に中心を合わせると共に隣り合う地盤改良体3aと一部重複するように一列の列をなして、適宜本数(図では片方の長辺側に5本、片方の短辺側に3本)の地盤改良体3aが配置されている。このように、地中連続壁体3は、複数(図では20本)の地盤改良体3aが一列の列をなして閉合されることで形成され、全体として概略横長矩形筒状の水平断面を有している。なお、隣り合う地盤改良体3aの中心間の距離(造成ピッチ)は、掘削後に、後述する薄肉部厚さt2が確保されるように決定されている。
次に、本発明に係る立坑構築方法の一実施形態を、図1〜図4に加えて、図5〜図9を参照して、上記地盤改良体造成装置10用いた場合について詳述する。
なお、以下の説明では、ガイドホールGHの削孔用には一般的な小型のボーリング装置(図示せず)を用い、側壁体2の構築予定領域の外周縁Lより内側に位置する部分の掘削用には一般的な小型のバックホウ等の重機(図示せず)を用いる場合を一例として説明する。また、地盤改良体3aの造成径D2及びその造成位置(造成ピッチなど)は、適宜に決定され、地盤改良体3aの一軸圧縮強さquは、複数の地盤改良体3aからなる地中連続壁体3の造成が完了してから、地中連続壁体3の上記外周縁Lより内側の部分の掘削が可能となるまでの期間に応じて設定する所定の材齢日(例えば材齢42日目)において、周囲地盤の強度より高い所定の強度範囲内に収まるように設定されているものとして説明する。
本実施形態において、地盤に立坑1を構築する立坑構築方法は、高圧噴射撹拌工法を用いた地中連続壁体3の造成工程と、バックホウを用いた掘削工程と、側壁体形成工程と、床版部形成工程とを含む。図5〜図7は造成工程を示し、図8及び図9は造成工程完了後の立坑1の構築の推移を順番に示した概略の断面図である。詳しくは、図8(a)は造成工程が完了した状態を示し、図8(b)及び図9(d)は上記掘削工程を示し、図8(c)及び図9(e)は上記側壁体形成工程を示し、図9(f)は床版部形成工程を示す。なお、図8及び図9において、前述したピット14は図示を省略している。
造成工程では、まず、図5に示すように、地盤改良体3aの形成予定場所において、地面より所定深さ分だけ床掘りして、凹状のピット14を形成する。そして、前記ボーリング装置としての小型の削孔機(図示せず)によって、地中にロッド12ガイド用のガイドホールGHを、その孔中心軸(X1)が側壁体2の掘削予定領域の外周縁L上に沿って鉛直方向に延びるように、上層G1と支持層G2との境界位置に達する深さまで形成する。例えば、まず、平面視で矩形状の外周縁Lの角部にガイドホールGHの孔中心が略一致するように形成する。前記削孔機は小型であり、且つ、削孔用ロッドが適宜長さに分割されているため、低空頭且つ狭隘な施工場所であっても、例えば、手押し台車等により容易に搬入、据え付け及び搬出することができる上、所望の深さまでガイドホールGHを削孔することができる。
次に、ガイドホールGHの削孔完了後、図3に示すように、地盤改良体造成装置10を、把持部13の軸心がガイドホールGHの孔中心軸(X1)と略一致するように配置する。この地盤改良体造成装置10は、ガイドホールGHの削孔機と同様に、比較的に小型であるため、手押し台車等により所定位置に配置される。その後、ロッド12をガイドホールGH内に挿入し、ガイドホールGHの下端部近傍に噴射モニタ122が位置するまで延長ロッド123を順次継ぎ足す。そして、この状態で、噴射モニタ122からその半径方向外方に向けて、固化材と水とを含む噴射液と圧縮空気とを混合させたジェット流Jを噴射しつつ、ロッド12を回転駆動させながら所定の引き上げ速度(例えば10min/m)で引き上げる。ここで、例えば、噴射液の吐出圧力は約38MPaに設定され、吐出流量は約190L/minに設定されている。このロッド12の引き上げは、ジェット流Jの噴射がピット14の近傍(例えば底面)に達するまで行われる。この引き上げの際、最上部等の延長ロッド123が順次取り外されて、スイベル17が鉄道高架橋Bの底面に干渉しないようにする。これにより、図6及び図7に示すように、ガイドホールGHより大径の造成径D2を有し、且つ、上層G1と支持層G2との境界面に達する長さを有する円柱状の地盤改良体3aを造成する。その後、隣接する地盤改良体3aの形成予定箇所において、上記ガイドホールGHの孔中心軸(X1)が上記外周縁L上に沿って鉛直方向に延びるように形成して、図5〜図7と同じ手順で次の地盤改良体3aを造成する。これを、外周縁Lを一周するように順次繰り返して、図4及び図8(a)に示すように、複数の地盤改良体3aからなる地中連続壁体3の造成を完了させる。これにより、地盤の鉛直方向に延びると共に互いに重なり合って一列の列をなす複数の地盤改良体3aからなる筒状の地中連続壁体3が形成される。この状態で、上記外周縁Lがこの地中連続壁体3の外周面と地中連続壁体3の内周面との間に位置している(図4参照)。
その後、地盤改良体造成装置10は搬出され、造成工程が完了する。このように、本実施形態においては、地盤改良体3aを、その中心軸線X1が側壁体2の構築予定領域の外周縁L上に沿って延びるように造成している。また、複数の地盤改良体3aを、互いに重なり合って一列の列をなすように造成している。
この地盤改良体3a(地中連続壁体3)の一軸圧縮強さquは、例えば、材齢28日目において約570kN/m2となり、材齢42日目において約790kN/m2となり、その後、強度増加速度は緩やかになり、周囲地盤より高い所定の強度範囲(例えば、約500から約1000kN/m2)内に略収まる。この所定の強度範囲の下限値は、地盤改良体3aの周囲地盤の強度より高く設定され、所定の強度範囲の上限値は、上記外周縁Lの内側に位置する部分(地中連続壁体3の一部及び地盤)を掘削する掘削装置(本実施形態ではバックホウ)の掘削力に応じて設定される。なお、後述するように、所定の材齢日における地盤改良体3aの一軸圧縮強さquが前記所定の強度範囲内に収まるように、噴射液(固化材ミルク)が配合されている。
本実施形態では、このように、立坑構築方法は、地盤の鉛直方向に延びると共に互いに重なり合って列をなす複数の地盤改良体3aからなる筒状の地中連続壁体3を、その外周面と内周面との間に、立坑1の側壁体2の構築予定領域の外周縁Lが位置するように形成(造成)することを含む。地中連続壁体3を形成(造成)することは、詳しくは、一つの地盤改良体3aの造成予定領域毎に、地盤にガイドホールGHを形成することと、ロッド12をガイドホールGHに挿入することと、セメントミルクを噴射モニタ122から半径方向外方に向けて噴射しつつ、ロッド12を回転させると共に、ロッド12を引き上げて、ガイドホールGHより大径であり且つ地盤より強度の高い地盤改良体3aを造成することとを含む。
次に、掘削工程では、地中連続壁体3の形成後に、側壁体2の構築予定領域の外周縁Lより内側に位置する部分(地中連続壁体3及び地盤のうちの外周縁Lより内側に位置する部分)を目標掘削深度Zまで掘削する。つまり、この外周縁Lは、掘削部分と非掘削部分との境界を示し、この部分に掘削面Wが形成される。外周縁Lは、言い換えると、上記掘削工程における掘削境界位置の目安となる掘削目安線でもある。この掘削はバックホウを用いて行うものとして説明するが、掘削装置はバックホウに限らず適宜装置を用いることができる。
そして、側壁体形成工程では、この掘削により得られた地盤改良体3aの掘削面Wに沿って側壁体2を形成する。
ここで、本実施形態においては、地中連続壁体3の形成後における上記外周縁Lより内側に位置する部分の掘削(上記掘削工程)と、側壁体2の形成(上記側壁体形成工程)とを、それぞれ所定の掘削深さZ1毎に交互に繰り返し行うことにより、側壁体2の一部(つまり分割側壁体2a)を側壁体2の構築予定領域の上端側から下端側に向って順次継ぎ足して側壁体2の全体を形成する構成とする。
具体的には、図8及び図9に示すように、掘削工程と側壁体形成工程とを、それぞれ二回の作業に分けて順次下方に向かって作業を進める場合を一例に挙げて以下説明する。つまり、一回の掘削作業では、最終的な目標掘削深度Zの例えば半分の深さ(Z1)まで掘削を行い、一回の側壁体形成作業では、この掘削により得られた高さZ1の掘削面Wの全周に沿うように、高さZ1の分割側壁体2aを形成する場合を一例として説明する。
まず、図8(a)に示すように地中連続壁体3の形成が完了した後、図8(b)に示すように、地面から深さZ1まで一回目の掘削作業を行う。このとき、この掘削により得られる垂直に切り立った掘削面Wの全周には、この掘削に先立って造成された地中連続壁体3が露出している。この状態で、地中連続壁体3は自立可能な強度と壁厚(後述する薄肉部厚さt2)を確保している。その後、図8(c)に示すように、一回目の掘削作業により得られた高さZ1の掘削面Wの全周に沿って、コンクリートからなり横長矩形筒状の水平断面を有する分割側壁体2aを形成する。この分割側壁体2aは地中連続壁体3に固着等させて地中連続壁体3と一体化される。
ここで、外周縁Lより内側に位置する部分が掘削された状態の地中連続壁体3は、図2に示すように、適宜箇所にその壁厚が最小となる薄肉部を有する。具体的には、隣接する地盤改良体3aが重なり合った部分が薄肉部となる。なお、この薄肉部の厚さ(以下において薄肉部厚さt2という)及び造成径D2の設定手順と、薄肉部厚さt2と地盤改良体3aの一軸圧縮強さquとの関係については、後に詳述する。
次に、図9(d)に示すように、図8(c)に示す掘削床面からさらに深さZ1まで二回目の掘削作業を行う。この掘削により得られた掘削面Wにも地中連続壁体3が露出している。この状態においても、地中連続壁体3は自立可能な強度と壁厚(t2)を確保している。その後、図9(e)に示すように、二回目の掘削作業により得られた高さZ1の掘削面Wの全周に沿って、次の分割側壁体2aを、既に形成されている直上の分割側壁体aの下方に継ぎ足すように形成する。これにより、目標掘削深度Zまで伸びる側壁体2の全体が形成され、上記掘削工程と上記側壁体形成工程とが完了する。
最後に、床版部形成工程では、図9(f)に示すように、側壁体2の下端部を塞ぐようにコンクリートからなる床版部4を形成する。これにより、図1及び図2に示す側壁体2と床版部4とを有する立坑1の構築が完了する。
ところで、掘削装置による地中連続壁体3(地盤改良体3a)の削孔性を考慮すると、地盤改良体3aの強度は低強度に抑制されている方が、施工効率(削孔効率)が高い。そこで、本実施形態においては、噴射液の配合を工夫して、低強度の地盤改良体3aの施工を実現した。本実施形態においては、周囲地盤よりも高く設定しつつ掘削装置による掘削効率を考慮して、地盤改良体3aの一軸圧縮強さquは、所定の材齢日(例えば材齢42日目)において、所定の強度範囲内(例えば、約500kN/m2から約1000kN/m2の範囲内)に収まるように設定されている。所定の材齢日は、地盤改良体3aの形成が完了してから地盤改良体3aを掘削可能となるまでの期間に応じて設定される。なお、上記一軸圧縮強さについての約500kN/m2から約1000kN/m2の範囲(所定の強度範囲)は、掘削装置の掘削力と地盤の強度とに応じて定める地盤改良体3aの後述する許容強度範囲R1に相当する。
次に、薄肉部厚さt2と造成径D2の設定手順と、薄肉部厚さt2と地盤改良体3aの一軸圧縮強さquとの関係について説明する。図10は薄肉部厚さt2及び造成径D2の設定手順を説明するためのフロー図であり、図11は一軸圧縮強さquと薄肉部厚さt2との関係を示す図である。
薄肉部厚さt2及び造成径Dの設定手順は、大きく分類するとSTEP1とSTEP2の2つの手順からなる。STEP1では、所定の条件を満たす薄肉部厚さt2の範囲を設定し、STEP2では、最終的な薄肉部厚さt2及び造成径Dを設定して掘削面防護を目的とした地盤改良体3aの施工仕様を決定する。以下に、各STEPについて詳述する。
STEP1では、図10に示すように、STEP11において、必要とする立坑1の側壁体2の外形寸法に合わせて、側壁体2の構築予定領域の外周縁Lの寸法(幅、奥行き)を決定すると共に、外周縁Lより内側に位置する部分の掘削の目標掘削深度Zを決定する。次に、STEP12において、地盤改良体3aの一軸圧縮強さquの値を変化させた場合について、掘削面Wの崩壊についての必要安全率Fsを満足する薄肉部厚さt2を、例えば、三次元円筒すべり法を用いて算出する。これにより、図11に示すように、必要安全率Fsを満足する薄肉部厚さt2と地盤改良体3aの一軸圧縮強さquとの関係線Lin1が得られる。本実施形態では、必要安全率Fsは1.5に設定した。なお、計算手法は、三次元円筒すべり法に限らず、例えば、プロトジャコノフ法、有限要素法等の適宜の手法を用いることができる。なお、隣り合う地盤改良体3aの中心間の距離(造成ピッチ)は、その薄肉部(言い換えると重複部分)において上記必要安全率Fsを満足する薄肉部厚さt2を確保可能に設定すればよい。
次に、STEP13において、掘削装置の掘削力と地盤の強度とに基づいて、地盤改良体3aの許容強度範囲R1を設定する。ここでは、許容強度範囲R1の下限値R1minを周囲地盤の強度より高い値である約500kN/m2とし、許容強度範囲R1の上限値R1maxを掘削装置の掘削性を考慮して約1000kN/m2とする。この許容強度範囲R1は本実施形態における掘削装置による掘削可能強度の一例であり、採用する掘削装置の掘削力等に応じて適宜定めることができる。
また、例えば、掘削面W及び地盤改良体3aの鉛直方向の傾きや、地盤改良体3aの造成径精度等の施工精度に基づいて、上記薄肉部について施工可能な最小の壁厚である最小壁厚tminを設定する。ここでは最小壁厚tmin=180mmとする。
そして、STEP14において、上記地盤改良体3aの許容強度範囲R1と必要安全率Fsとに基づいて、安全壁厚範囲R2を設定する。具体的には、図11に示す薄肉部厚さt2と一軸圧縮強さquとの関係線Lin1において、許容強度範囲R1の下限値R1minと上限値R1maxにそれぞれ対応する薄肉部厚さt2の下限値と上限値を求める。図11では、安全壁厚範囲R2の下限値R2minは150mmとなり、安全壁厚範囲R2の上限値R2maxは220mmとなる。この安全壁厚範囲R2内(つまり、R2max≧t2≧R2min)で薄肉部厚さt2を設定することにより、必要安全率Fsを満足させることができる。ここで、図11から分かるように、一軸圧縮強さquが小さい場合、薄肉部厚さt2を大きくすると必要安全率Fsを満足させることができ、一軸圧縮強さquが大きい場合、薄肉部厚さt2は小さくても必要安全率を満足させることができる。
このようにして、薄肉部厚さt2は、地盤改良体3aを掘削する掘削装置の掘削力と地盤の強度とに応じて定める地盤改良体3aの許容強度範囲R1と、掘削面Wの崩壊についての必要安全率Fsとに基づいて定める安全壁厚範囲R2内で定める。
また、薄肉部厚さt2は、具体的には、前記安全壁厚範囲R2のうちの、地盤改良体3a等の施工精度に応じて定める前記最小壁厚tmin以上の範囲で設定する必要がある。このため、STEP15において、最小壁厚tminが安全壁厚範囲R2の上限値R2max以下であるか否かを判定する。R2max≧tmin(STEP15:YES)の場合、STEP16において、安全壁厚範囲R2のうちの最小壁厚tmin以上の範囲である施工壁厚範囲R3を設定する。薄肉部厚さt2は、この施工壁厚範囲R3内(つまり、R2max≧t2≧tmin)で定めることが可能となり、次のSTEP2に進む。本実施形態では、安全壁厚範囲R2の下限値R2min(=120mm)は最小壁厚tmin(=180mm)より小さいため、施工壁厚範囲R3の上限値R3maxは220mm(=R2max)となり、施工壁厚範囲R3の下限値R3minは180mm(=tmin)となる。
なお、安全壁厚範囲R2の上限値R2maxが最小壁厚tminより小さい(STEP15:NO)場合は、最小壁厚tminが少なくとも安全壁厚範囲R2の上限値R2max以下になるように、例えば、地盤改良体造成装置10のロッド12や掘削装置の掘削精度をより厳密に管理する等して最小壁厚tminを下げ、施工精度を向上させればよい(STEP15’)。
STEP2では、まず、STEP21において、施工壁厚範囲R3内で適切な薄肉部厚さt2を決定する。次に、STEP22において、側壁体2の構築予定領域の外周縁Lに沿う掘削面Wを構成する長辺方向及び短辺方向(全方向)の4つの面において、上記決定した薄肉部厚さt2を確保可能な地盤改良体3aの造成径D2を決定する。
詳しくは、本実施形態において、薄肉部厚さt2は、施工壁厚範囲R3内、つまり、180mm〜220mmの範囲内で定めた。地盤改良体3aの造成径D2は、この定めた薄肉部厚さt2に応じて設定した。
ここで、造成径D2が大きくなるほど地盤改良体3aの施工費が高くなるが、施工現場における総合的な施工精度等を考慮すると、造成径D2を大きくした方が余裕を持って施工することができる。
このようにして、最終的な薄肉部厚さt2及び造成径D2の値を設定して、掘削面Wの防護を目的とした複数の地盤改良体3aからなる地中連続壁体3の施工仕様を決定する。
かかる本実施形態による立坑構築方法によれば、立坑1の側壁体2の構築予定領域の外周縁Lより内側に位置する部分を掘削する前に、地盤の鉛直方向に延びると共に互いに重なり合って列をなす複数の地盤改良体3aからなる筒状の地中連続壁体3を、この地中連続壁体3の外周面と内周面との間に、上記外周縁Lが位置するように形成している。その後、上記外周縁Lより内側に位置する部分を掘削して得られた掘削面Wに沿って側壁体2を形成して、立坑1を構築している。そして、一つの地盤改良体3aの造成予定領域毎に、先端部側に噴射モニタ122が設けられた先端ロッド121の基端部側に延長ロッド123を順次継ぎ足してなるロッド12をガイドホールGH内に挿入し、このガイドホールGH内で噴射モニタ122から固化材ミルクを含むジェット流Jを半径方向外方に向けて噴射させつつ、ロッド12を回転及び引き上げることで、地盤より強度の高い地盤改良体3aを造成している。
これにより、立坑1の側壁体2の構築予定領域の外周縁Lより内側に位置する部分を掘削したとしても、その掘削により得られる掘削面Wの全周に、地盤そのものではなく、この掘削に先立って造成された地中連続壁体3を確実に露出させることができる。したがって、例えば、各地盤改良体3aの強度を、その地盤改良体3aを掘削する掘削装置の能力や工法等に応じて周囲の地盤よりも適宜高めに設定するだけで、掘削面Wの安定化を図ることができるため、立坑構築中における掘削面Wの崩壊を防止することができる。
そして、地中連続壁Eの構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であっても、単に小型の削孔機により地盤改良体造成装置10のロッド12を挿入可能な小径のガイドホールGHを掘削し、そのガイドホールGHにロッド12を順次挿入してジェット流Jを噴射させつつロッドを回転及び引き上げるだけで、立坑1の構築予定箇所の周囲の地盤よりも適宜強度を高めた複数の地盤改良体3aからなる地中連続壁体3を予め構築(造成)することができる。なお、ガイドホールGHの削孔や側壁体2の構築予定領域の外周縁Lより内側に位置する部分の掘削のための機械及び工法は、それぞれ、地面からその上空に存在する構造物までの高さに応じて、適宜の機械及び工法を採用すればよい。
このようにして、立坑の側壁体の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域にて、立坑の構築中における掘削面の崩壊を防止しつつ立坑を容易に構築可能な立坑構築方法を提供することができる。
また、本実施形態では、地中連続壁体3の掘削と、側壁体2の形成とを、それぞれ所定の掘削深さZ1毎に交互に繰り返し行うことにより、分割側壁体2aの一部を上端側から下端側に向って順次継ぎ足して側壁体2の全体を形成する、いわゆる逆巻き方式により側壁体2を形成している。つまり、地中連続壁体3が自立できる深さまで適宜掘削を行い、その後、形成された掘削面Wに沿って分割側壁体2aをその都度形成して立坑を構築している。これにより、切梁等の支保工を用いずに立坑1を構築することができる。
また、本実施形態では、地盤改良体3aを、その中心軸線X1が側壁体2の構築予定領域の外周縁L上に沿って延びるように造成する構成とした。つまり、平面視で、各地盤改良体3aの中心をそれぞれ外周縁L上に位置させる構成とした。これにより、各地盤改良体3aの造成位置と掘削部分との位置関係を容易に管理することができるため、掘削面Wの崩壊についての必要安全率Fsを満足する薄肉部厚さt2を確実かつ容易に確保することができる。
また、本実施形態では、複数の地盤改良体3aを互いに重なり合って一列の列をなすように造成する構成である。これにより、必要な薄肉部厚さt2を確保しつつ、地盤改良体3aの造成範囲及び造成回数を容易に抑えることができるため、地盤改良体3aの造成コストを低くすることができる。なお、複数の地盤改良体3aは一列に限らない。例えば、造成径D2の制約等により、一列では必要な薄肉部厚さt2を確保できない場合等には、地盤改良体3aを複数列の列をなすように形成して、必要な薄肉部厚さt2を確保するようにしてもよい。
また、本実施形態では、掘削後の地中連続壁体3の薄肉部厚さt2を、許容強度範囲R1と、必要安全率Fsとに基づいて定める安全壁厚範囲R2内で定めている。これにより、掘削面Wの崩壊をより確実に防止することができる。
さらに、本実施形態では、薄肉部厚さt2は、安全壁厚範囲R2のうちの、地盤改良体3a等の施工精度に応じて定める最小壁厚tmin以上の範囲である施工壁厚範囲R3内で定められている。これにより、施工精度を考慮して、薄肉部厚さt2を設定することができる。
また、本実施形態では、地盤改良体3aの一軸圧縮強さquは、地盤改良体3aの造成が完了してから地盤改良体3aの掘削が可能となるまでの期間に応じて設定する所定の材齢日において、所定の強度範囲内に収まるように設定されている。これにより、地盤改良体3aを掘削する際に、その一軸圧縮強さquを、確実に意図する強度範囲内に設定することができる。
また、本実施形態では、所定の強度範囲の下限値は、地盤改良体3aの周囲地盤の強度より高く設定され、所定の強度範囲の上限値は、掘削装置の掘削力に応じて設定されている。これにより、地盤改良体3aの所定の材齢日における一軸圧縮強さquを、周囲地盤よりも高く設定しつつ掘削装置の掘削効率を考慮して、確実に低強度に設定することができるため、掘削面Wの崩壊の防止と掘削効率の向上を効率的に両立させることができる。なお、本実施形態においては、所定の強度範囲は、その下限値(許容強度範囲R1の下限値R1mim)を約500kN/m2とし、上限値(許容強度範囲R1の上限値R1max)を1000kN/m2とした場合を一例に挙げて説明したが、これに限らず、掘削装置の掘削力及び周囲地盤の強度に応じて適宜定めることができる。
なお、本実施形態では、いわゆる逆巻き方式により分割側壁体2aを形成する場合を一例にして挙げて説明したが、分割側壁体2aの形成は、これに限らない。例えば、図12に示すように、地中連続壁体3の掘削を、所定の掘削深さZ1毎に分割して、目標掘削深度Zまで行う構成とし、所定の掘削深さZ1毎の各掘削の後に、それぞれ、地中連続壁体3を掘削面W側から貫通して地中連続壁体3を周囲地盤と一体化させるアンカー5を打設し、アンカー5の打設が目標掘削深度Zまで完了した後に、掘削面Wの下端側から上方に向かって、アンカー5を順次取り外しつつ分割側壁体2aを順次継ぎ足して側壁体2の全体を形成する構成としてもよい。
詳しくは、図12に示すように、掘削作業を2回の作業に分ける場合、まず、図12(a)に示すように、地面から深さZ1まで掘削した後、適宜、必要な本数のアンカー5を、その先端部が十分に地盤内に到達するように、地中連続壁体3の掘削面W側から地中連続壁体3を貫通させて打設する。次に、図12(b)に示すように、図12(a)に示す掘削床面からさらに深さZ1まで掘削した後、同様に、適宜、必要な本数のアンカー5を打設する。そして、図12(c)に示すように、下側に打設したアンカー5を取り外した後、下側の分割側壁体2aを形成すると共に、床版部4を形成する。その後、図示を上側のアンカー5を取り外した後、下側の分割側壁体2aの直上に上側の分割側壁体2aを継ぎ足して、図9(f)と同じ側壁体2の全体を形成する。つまり、側壁体2は逆巻き方式に限らず、下側から上方に向かって順次形成するいわゆる順巻き方式でもよい。
また、この順巻き方式において、図示を省略するが、地中連続壁体3の掘削を順次進めていく過程において、掘削により得られた掘削面W間に、アンカー5に替って、切梁等の支保工を架け渡す等して、掘削面Wを支持するようにしてもよい。これにより、掘削面Wの崩壊を防止することができる。この場合、地中連続壁体3は周囲地盤より高い強度に設定されているため、掘削面Wに鋼矢板等の土留壁を設けこの土留壁間に切梁を架け渡す従来の切梁支保工による施工方法と比較して、切梁等の支保部材の本数を大幅に削減することができる。また、切梁等の支保工を設ける場合は、地中連続壁体3の薄肉部厚さt2を適宜薄くすることができる。また、この切梁等の支保工は、前述の逆巻き方式において適宜施工してもよい。
また、本実施形態及び上記変形例において、二回に分けて掘削と分割側壁体2aの形成を行う場合で説明したが、作業の分割回数は、二回に限らず適宜回数に分けて行うことができる。また、毎回の掘削深さZ1は同じであるものとしたが、これに限らず、適宜変更してもよい。この場合、分割側壁体2aの形成高さも適宜変更する。
また、掘削装置は、バックホウを用いた場合で説明したが、これに限らず、立坑1の掘削予定領域の地面から上空に存在する既設構造物までの高さに応じて、例えば、バケット式等の適宜の掘削装置を採用することができる。また、立坑1の大きさ等によっては、水より大きい密度を有する適宜の安定液(例えばベントナイトを含む安定化用泥水)を用いて掘削面Wの安定を図りながら掘削するリバースサーキュレーション工法等を適用することができる。また、立坑1の構築予定領域の地下水の水位が低い場合等において、例えば、掘削されて得られた空間内に単に清水を充填させるだけで、充填された清水の水頭と地下水の水頭との間に十分な水頭差を確保することができる場合がある。
また、本実施形態及び上記変形例において、各地盤改良体3aは、それぞれ円形の断面形状を有して形成されるものとしたが、これに限らず適宜形状を採用することができる。
例えば、図13に示すように、地盤改良体3aは、円形の断面形状を有するものと、半円の断面形状を有するものとを混在させてもよい。例えば、図13(a)に示すように、側壁体2の構築予定領域の外周縁L(図13(a)では二点鎖線で示され、図13(b)及び図13(c)では太線で示されている)の長辺側及び短辺側に対応して、半円の地盤改良体(以下において半円地盤改良体という)3aを複数配列し、上記外周縁Lの角部にはそれぞれ円形の地盤改良体3aを配置する。詳しくは、半円地盤改良体3aは、隣接する地盤改良体3aと一部重なり合い、その半円の直線部分がそれぞれ略面一になり且つ外周縁Lの内側に位置するようにそれぞれ造成される。より具体的には、半円地盤改良体3aは、その半円の直線部分が外縁Lと略平行になるように造成されている。したがって、半円地盤改良体3aの半円の直線部分は、側壁体2の構築予定領域の周方向(つまり、図13の断面視で外周縁Lの延びる方向)に延びている。この場合、半円地盤改良体3aの造成において、地盤改良体造成装置10のロッド12は外周縁Lよりも若干内側(掘削側)に位置するように位置決めすればよい。また、この半円地盤改良体3aにおいても、図13(b)に示すように、掘削後において必要な薄肉部厚さt2が確保されるように、造成径D2の設定及び造成ピッチ等が決定されている。この掘削により得られた掘削面Wに沿って、図13(c)に示すように、側壁体2が適宜形成されて、図2と同様な横長矩形筒状の水平断面を有する立坑1が構築される。このように、図13に示す変形例においては、半円地盤改良体3aの側壁体2の構築予定領域の周方向についての改良幅(つまり半円の直線部分の長さ)は、上記周方向と直交する方向についての半円地盤改良体3aの改良厚さ(つまり、半円の直線部分と直交する方向の長さ)より大きくなるように設定されている。
また、図示を省略するが、水平断面形状が円形や半円に限らず、扇形や、扇形中心で反転させて2つの扇形が一体となったリボン形や、長方形の地盤改良体3aを含んでもよい。長方形の場合は、例えば、単位領域毎の造成において、ガイドホールGHを複数個所に設けて造成すればよい。また、各地盤改良体3aは、複数の小地盤改良体を互いに一部重ねて一体的に形成されてなるものでもよい。
つまり、複数の地盤改良体3aのうちの少なくとも一部の地盤改良体3aを、側壁体2の構築予定領域の周方向についての地盤改良体3aの改良幅が前記周方向と直交する方向についての地盤改良体3aの改良厚さより大きくなるように設定して造成するとよい。詳しくは、水平断面形状が扇形の地盤改良体3aの場合は、例えば、扇形の二つの直線部分の一方を外縁Lの内側において外縁Lと平行になるように配置すると共に、この直線部分の長さ(つまり、上記改良幅)がこの直線部分と直交する方向の長さ(つまり、上記改良厚さ)より大きくなるように扇内角を設定すればよい。また、水平断面形状がリボン形の地盤改良体3aの場合は、例えば、一方の扇形の一方の直線部分と他方の扇形の一方の直線部分とを面一にすると共に、この面一にした直線部分を外縁Lの内側において外縁Lと平行になるように配置することにより、この面一にした直線部分の長さ(上記改良幅)をこの面一にした直線部分と直交する方向の長さ(上記改良厚さ)より大きくなように設定できる。そして、水平断面形状が長方形の地盤改良体3aの場合は、その長辺側の直線部分を外縁Lの内側において外縁Lと平行になるように配置することにより、改良幅(長辺の長さ)を改良厚さ(短辺の長さ)より大きくなるように設定できる。
これにより、地盤改良体3aの造成範囲を狭くすることができるため、図4に示す地中連続壁体3と比べて、造成コストを低くすることができる。
また、本実施形態及び上記変形例において、側壁体2は横長矩形筒状の水平断面を有する場合を一例に挙げて説明したが、これに限らず、適宜形状を採用することができる。例えば、図14に示すように、円筒状の水平断面を有する側壁体2を採用することもできる。詳しくは、図14(a)に示すように、円形断面を有する各地盤改良体3aを外周縁L(図14(a)では二点鎖線で示され、図14(b)及び図14(c)では太線で示されている)に対応して造成し、その後、図14(b)に示すように、外周縁Lの内側の部分を掘削し、図14(c)に示すように、この掘削によって得られた掘削面Wに沿って側壁体2を形成すればよい。この場合においても、各地盤改良体3aの断面形状は円形に限らず、前述した適宜の形状を採用することができる。
また、本実施形態及び上記変形例において、側壁体2は、コンクリートからなるもとしたが、これに限らず、セメント系材料であればよく、例えば、ソイルモルタル等を用いてもよい。また、側壁体2は、セメント系材料に限らず、鋼製部材からなる例えば矢板等であってもよい。
また、本実施形態及び上記変形例において、各地盤改良体3aは、それぞれ地表面から支持層G2まで延設されるものとして説明したが、これに限らない。例えば、配管等の埋設物が立坑1の構築予定領域を横断するように既に埋設されている場合等には、その埋設部分に位置する適宜本数の地盤改良体3aについては、埋設物の下端近傍から支持層G2まで延設すればよい。この場合、造成工程におけるロッド12の引き上げは、ジェット流Jの噴射がピット埋設物の下端近傍に達するまで行えばよい。
ところで、立坑1の構築中における地盤の掘削により、地盤中の応力や地下水の条件が変化し、この変化に起因して、掘削底面が破壊されると共に、立坑1(側壁体2)自体が大規模に破損するような事態が生じる場合がある。したがって、掘削底面の土質等によっては、立坑1の構築の際に、掘削面Wの安定と共に掘削底面の安定を図る必要がある場合がある。このような場合は、図15に示すように、地中連続壁体3を形成する際に、側壁体2の構築予定領域の下方に地中連続壁体3の強度より高い強度を有する底部地盤改良体3bを造成すればよい。具体的には、地中連続壁体3の下部を塞ぐように、地盤改良体造成装置10を用いて、地盤改良体3aと同様の手順で複数の改良体を互いに重なり合わせて全体として円盤状の底部地盤改良体3bを形成すればよい。
また、立坑1の構築予定領域の上方に存在する既設構造物の一例として、鉄道高架橋Bを挙げたが、既設構造物は鉄道高架橋Bに限らず、どのようなものでもよい。そして、施工場所は、低空頭且つ狭隘な場所であるものとしたが、これに限らず、立坑1の構築予定領域の上方の既設構造物までの距離が十分にある場所や、既設構造物が上方に無い場合や、低空頭であるが十分なスペースを確保可能な場所でもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
1…立坑、2…側壁体、2a…分割側壁体、3…地中連続壁体、3a…地盤改良体、3b…底部地盤改良体、4…床版部、5…アンカー、10…地盤改良体造成装置、11…本体、12…ロッド、13…把持部、14…ピット、15…サンドポンプ、16…スライム貯留タンク、17…スイベル、121…先端ロッド、122…噴射モニタ(ノズル)、123…延長ロッド、261…先端掘削ロッド管、262…削孔ビット、263…延長掘削ロッド管、B…鉄道高架橋(既設構造物)、D1…ガイドホールの内径、D2…地盤改良体の造成径、G1…上層、G2…支持層、GH…ボーリング孔(ガイドホール)、J…ジェット流、R1…許容強度範囲、R2…安全壁厚範囲、R3…施工壁厚範囲、t1…側壁体の壁厚、t2…薄肉部厚さ、W…掘削面

Claims (10)

  1. 地盤に立坑を構築する立坑構築方法において、
    前記地盤の鉛直方向に延びると共に互いに重なり合って列をなす複数の地盤改良体からなる筒状の地中連続壁体を、その外周面と内周面との間に、前記立坑の側壁体の構築予定領域の外周縁が位置するように形成することと、
    前記地中連続壁体の形成後に、前記構築予定領域の外周縁より内側に位置する部分を掘削することと、
    前記掘削により得られた前記地盤改良体の掘削面に沿って前記側壁体を形成して、前記立坑を構築することと、
    を含み、
    前記地中連続壁体を形成することは、一つの前記地盤改良体の造成予定領域毎に、
    前記地盤に鉛直方向に延伸するボーリング孔を形成することと、
    円筒状の先端ロッドと、当該先端ロッドの先端部側に設けられるノズルと、前記先端ロッドの基端部側に順次継ぎ足される延長ロッドと、を有するロッドを前記ボーリング孔に挿入することと、
    固化材と水を含む液体を前記ノズルから半径方向外方に向けて噴射しつつ、前記ロッドを回転させると共に、前記ロッドを引き上げて、前記ボーリング孔より大径であり且つ前記地盤より強度の高い前記地盤改良体を造成することと、
    を含む、立坑構築方法。
  2. 前記地中連続壁体の形成後の前記掘削と、前記側壁体の前記形成とを、それぞれ所定の掘削深さ毎に交互に繰り返し行うことにより、前記側壁体の一部を前記構築予定領域の上端側から下端側に向って順次継ぎ足して前記側壁体の全体を形成する、請求項1に記載の立坑構築方法。
  3. 前記地中連続壁体の形成後の前記掘削を、所定の掘削深さ毎に分割して、目標掘削深さまで行う構成とし、
    前記所定の掘削深さ毎の各掘削の後に、それぞれ、前記地中連続体を前記掘削面側から貫通して該地中連続壁体を周囲地盤と一体化させるアンカーを打設し、
    前記アンカーの打設が前記目標掘削深さまで完了した後に、前記掘削面の下端側から上方に向かって、前記アンカーを順次取り外しつつ前記側壁体の一部を順次継ぎ足して前記側壁体の全体を形成する、請求項1に記載の立坑構築方法。
  4. 前記側壁体は鋼製部材からなる請求項1〜3のいずれか一つに記載の立坑構築方法。
  5. 前記側壁体はセメント系材料からなる請求項1〜3のいずれか一つ記載の立坑構築方法。
  6. 前記地盤改良体を、その中心軸線が前記構築予定領域の外周縁上に沿って延びるように造成する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の立坑構築方法。
  7. 前記複数の地盤改良体を、互いに重なり合って一列の列をなすように造成する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の立坑構築方法。
  8. 前記複数の地盤改良体のうちの少なくとも一部の前記地盤改良体を、前記構築予定領域の周方向についての該地盤改良体の改良幅が前記周方向と直交する方向についての該地盤改良体の改良厚さより大きくなるように設定して造成する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の立坑構築方法。
  9. 前記地中連続壁体を形成する際に、前記構築予定領域の下方に前記地中連続壁体の強度より高い強度を有する底部地盤改良体を造成することを更に含む、請求項1〜8のいずれか一つに記載の立坑構築方法。
  10. 前記構築予定領域の外周縁より内側に位置する部分が掘削された状態の前記地中連続壁体は、その壁厚が最小となる薄肉部を有し、
    前記薄肉部の厚さは、前記地盤改良体を掘削する掘削装置の掘削力と地盤の強度とに応じて定める前記地盤改良体の許容強度範囲と、前記掘削面の崩壊についての必要安全率とに基づいて定める安全壁厚範囲内で定められる、請求項1〜9のいずれか1つに記載の立坑構築方法。
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