JP6378652B2 - 地中連続壁構築方法 - Google Patents

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本発明は、地中連続壁構築方法に関する。
地中内に鉄筋コンクリート製等の地中連続壁を構築する地中連続壁構築方法としては、地中連続壁を先行エレメントと後行エレメントに分け、まず、地中に間隔をおいて先行エレメントを順次形成した後、この先行エレメントに後行エレメントを継ぎ足して前記地中連続壁を構築する方法が一般的に知られている。
この種の地中連続壁構築方法では、特許文献1に開示されているように、地中に間隔をおいて掘削機により掘削される掘削溝内に鉄筋籠を投入すると共にコンクリートを打設して、先行エレメントを形成した後、先行エレメント間の地盤等を掘削機により掘削して得られる掘削溝内に鉄筋籠を投入すると共にコンクリートを打設して、後行エレメントを形成することで、前記地中連続壁を構築している。
この一般的な地中連続壁構築方法を、例えば細粒分含有率が低い(例えば粒径0.075mm未満の土粒子の含有率が約35%以下)土層等を含む地盤において地中連続壁を施工する方法として採用すると、掘削機による地盤の掘削中や鉄筋籠の建て込み中等に、前記掘削溝の溝壁の一部が崩壊するおそれがある。そして、溝壁が崩壊すると、掘削機や鉄筋籠が崩壊した土砂内に埋没等して、掘削が不能になったり、コンクリートの打設が困難になったりするおそれがある。また、溝壁が崩壊すると、予定した地中連続壁の出来形が確保できず、さらに、崩壊した土砂が掘削溝の底部に堆積等して、地中連続壁に要求される支持力が得られないおそれもある。このため、溝壁崩壊リスクの高い土層を含む地盤等において、溝壁を保護しつつ地中連続壁を構築可能な地中連続壁構築方法が求められている。
ここで、地中連続壁の構築の際に溝壁の保護を必要とする場合、例えば、地中連続壁の構築に先立って、この地中連続壁の構築予定領域を挟むように2列のソイルモルタル柱列をSMW工法により構築することが一般的に行われている。詳しくは、大径のオーガスクリューを備えたベースマシンにより、地盤を掘削すると共に原位置の土砂とモルタル等とを原位置で混合及び撹拌して、2列のソイルモルタル柱列を形成し、この2列のソイルモルタル柱列により、地中連続壁の構築用の掘削溝の溝壁を保護することで、地中連続壁構築中における溝壁崩壊の発生を抑制している。
特開平5−132927号公報
ところで、ソイルモルタル柱列により溝壁を保護して地中連続壁を構築する地中連続壁構築方法では、掘削及び混練用の比較的に大径且つ大重量のオーガスクリューを有する大型のベースマシンが必要である。また、この大型のベースマシンの地中連続壁構築予定箇所への据え付け時や搬出時等に、大型クレーンを必要とする。
しかしながら、地中連続壁の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在する施工現場では、上記のような大型のベースマシンや大型クレーンを用いることができない場合もあり、工夫が求められている。
本発明は、このような実状に鑑み、地中連続壁の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域にて、地中連続壁の構築中における溝壁の崩壊を防止しつつ地中連続壁を容易に構築可能な地中連続壁構築方法を提供することを目的とする。
上記課題に対して、本発明の一側面に係る地中連続壁構築方法では、地中に間隔をおいて掘削される先行エレメント用の各掘削溝内に先行エレメントを形成した後、互いに隣り合う前記先行エレメントの端部を掘削すると共に該先行エレメント間の中間領域を掘削して得られる後行エレメント用の各掘削溝内に後行エレメントを形成して地中連続壁を構築する地中連続壁構築方法であって、一つの前記先行エレメント用の前記掘削溝の掘削予定領域と、一つの前記中間領域とを、それぞれ単位領域とし、前記先行エレメント用の前記掘削溝の掘削に先立って、前記単位領域が内部に位置する地盤改良体を、前記単位領域毎にそれぞれ造成する造成工程を含み、前記単位領域毎の前記造成工程では、前記地中に鉛直方向に延伸するボーリング孔を形成し、円筒状の先端ロッドと、当該先端ロッドの先端部側に設けられるノズルと、前記先端ロッドの基端部側に順次継ぎ足される延長ロッドと、を有するロッドを前記ボーリング孔に挿入し、固化材と水を含む液体を前記ノズルから半径方向外方に向けて噴射しつつ、前記ロッドを回転させると共に、前記ロッドを引き上げて、前記ボーリング孔より大径であり且つ前記地盤より強度の高い前記地盤改良体を造成する構成とする。
前記一側面による地中連続壁構築方法によれば、一つの先行エレメント用の掘削溝の掘削予定領域と、互いに隣り合う先行エレメント間の一つの中間領域とを、それぞれ単位領域とし、先行エレメント用の掘削溝の掘削に先立って、この単位領域が内部に位置する地盤改良体を、単位領域毎にそれぞれ造成している。そして、この単位領域毎の造成工程では、先端部側にノズルが設けられた先端ロッドの基端部側に延長ロッドを順次継ぎ足してなるロッドをボーリング孔内に挿入し、このボーリング孔内で前記ノズルから固化材と水を含む液体を半径方向外方に向けて噴射させつつ、ロッドを回転及び引き上げることで、地盤より強度の高い前記地盤改良体を造成している。
これにより、先行エレメント用の各掘削溝は、既に造成されている地盤改良体内を掘削することにより形成でき、後行エレメント用の各掘削溝は、既に造成されている地盤改良体と、既に形成されている互いに隣り合う先行エレメントの端部とを掘削することにより形成することができる。したがって、例えば、各地盤改良体強度を、その地盤改良体や先行エレメントを掘削する掘削装置の能力や工法等に応じて周囲の地盤よりも適宜高めに設定するだけで、各掘削溝の溝壁の安定化を図ることができるため、地中連続壁構築中における溝壁の崩壊を防止することができる。
そして、地中連続壁の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であっても、単に小型の削孔機により前記ロッドを挿入可能な小径のボーリング孔を掘削し、そのボーリング孔に前記ロッドを延長しながら挿入し、そのロッドの先端のノズルから固化材と水を含む液体を噴射させつつロッドを回転及び引き上げるだけで、地中連続壁の構築予定箇所に周囲の地盤よりも適宜強度を高めた地盤改良体を予め構築(造成)することができる。なお、ロッド挿入用の小径の前記ボーリング孔や前記掘削溝を形成するための機械及び工法は、それぞれ、各掘削溝の掘削予定領域の地面からその上空に存在する構造物までの高さに応じて、適宜の機械及び工法を採用すればよい。
このようにして、地中連続壁の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域にて、地中連続壁の構築中における溝壁の崩壊を防止しつつ地中連続壁を容易に構築可能な地中連続壁構築方法を提供することができる。
本実施形態における地中連続壁構築方法により構築した地中連続壁Eの断面図である。 上記地中連続壁Eの上面図である。 上記実施形態における地盤改良体造成装置の概略構成を示す図であり、地中連続壁の構築予定箇所の地盤の断面図でもある。 上記実施形態における掘削装置の概略構成を示す図である。 上記実施形態における地中連続壁構築方法の一例を説明するための概念図であり、地盤改良体の造成途中の状態を示した平面図である。 上記地盤改良体の造成が完了した状態を示した平面図である。 上記地盤改良体の造成工程の一例を説明するための概念図であり、ボーリング孔形成工程を示す図である。 先行エレメント用の各地盤改良体(第1地盤改良体)の造成を説明するための図である。 上記第1地盤改良体の造成途中の状態を示す図である。 上記第1地盤改良体の造成が完了した状態を示す図である。 後行エレメント用の各地盤改良体(第2地盤改良体)の造成が完了し、造成工程が完了した状態を示す図である。 先行エレメント用の掘削溝の掘削途中の状態を示した図である。 先行エレメント用の掘削溝の掘削が完了した状態を示した拡大平面図である。 鉄筋籠建て込み工程を説明するための図である。 コンクリート打設工程を説明するための図であり、先行エレメントの形成が完了した状態を示す図でもある。 先行エレメントの形成が完了した状態を示す拡大平面図である。 後行エレメント用の掘削溝の掘削中の状態を示した図である。 後行エレメント用の掘削溝の掘削が完了した状態を示した拡大平面図である。 前記地盤改良体掘削工程の後の地盤改良体1の薄肉部厚さ及び造成径の設定手順を説明するためのフロー図である。 地盤改良体の一軸圧縮強さと薄肉部厚さとの関係を示す図である。 地盤改良体の断面形状の変形例を示す図である。 地盤改良体の断面形状の別の変形例を示す図である。
以下に、本発明に係る地中連続壁構築方法の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の一実施形態における地中連続壁構築方法は、地中連続壁構築予定領域に予め地盤改良体1を造成する造成工程と、地盤改良体1内を鉛直方向に掘削して掘削溝Gを形成する掘削工程と、掘削溝G内に鉄筋籠を建て込む鉄筋籠建て込み工程と、コンクリート打設工程とを含む。
図1は、本実施形態における地中連続壁構築方法により構築した地中連続壁Eの部分断面図を示し、図2は図1に示す地中連続壁Eの上面図(地上側から視た拡大平面図)を示す。図3は本実施形態における地中連続壁構築方法において用いる地盤改良体造成装置10の概略構成を示し、図4は本実施形態において用いる掘削装置20の概略構成を示す。なお、図1は、図2に示す地中連続壁Eの中心線Oを通る垂直断面図でもある。
本実施形態において、地中連続壁Eは、鉄筋コンクリート製の構造壁であり、壁厚tを有して地中内に立設し、水平一方向に適宜長さを有して延伸し、全体として横長矩形断面を有して構築される場合を一例にして挙げて説明する。この地中連続壁Eは、図1及び図2に示すように、その水平延伸方向に所定の間隔をおいて形成される先行エレメントEAと、互いに隣り合う先行エレメントEAの短辺側に順次継ぎ足される後行エレメントEBとからなり、先行エレメントEAと後行エレメントEBとが一列に交互に配列されて構成されている。先行エレメントEAと後行エレメントEBは、それぞれ矩形断面を有し、その短辺方向の長さが地中連続壁Eの壁厚tに相当し、長辺方向の面が地中連続壁Eの壁面になる。各図において、地中連続壁Eは、水平方向一端側の部分のみを図示するが、水平方向他端側まで、同じ構成で延伸している。
また、本実施形態において、先行エレメントEAの出来上がり時(つまり、後行エレメントが継ぎ足される前)の長辺方向の長さであるエレメント幅Wは、後行エレメントEBの出来上がり時のエレメント幅Wと同じであるものとする。先行エレメントEAは、後行エレメントEBとの接続の際に、その端部の一部が掘削(切削)される。このため、継ぎ足された後の先行エレメントEAの幅は、図2に示すように、後行エレメントEBのエレメント幅Wより若干短くなっている。
本実施形態では、既存の鉄道高架橋の直下の低空頭且つ狭隘な施工場所、つまり、地中連続壁Eの構築予定領域の上空に、既設構造物として鉄道高架橋Bが存在する低空頭な場所である上、その構築予定領域の地上側周辺に、十分な作業スペースを確保することが困難な狭隘な場所で、地中に鉄筋コンクリート製の地中連続壁Eを構築する場合を一例として、以下説明する。
具体的には、地中連続壁Eの構築予定領域の鉄道高架橋Bは地面から約3〜4mの高さ位置に存在するものとする。なお、本実施形態では、既設構造物は鉄道高架橋Bであり、地中連続壁Eをこの鉄道高架橋Bの直下の低空頭且つ狭隘な場所に構築する場合で説明するが、これに限らず、地中連続壁Eの構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であれば、どのような施工場所でもよい。
また、本実施形態において、地中連続壁Eの構築予定領域を含む地盤は、地面側に位置する上層G1と、その上層G1の下方に位置する支持層G2とを含み、上層G1は細粒分含有率が低く(例えば、粒径0.075mm未満の土粒子の含有率が約35%以下)、支持層G2は適切な強度を有するものとする。また、本実施形態では、地中連続壁Eは、具体的には、その下端部が支持層G2に到達するように構築するものとする。
まず、本実施形態の地中連続壁構築方法において用いる地盤改良体造成装置10と掘削装置20の構成について、図3及び図4を参照して、以下に説明する。
前記地盤改良体造成装置10は、いわゆる高圧噴射撹拌工法により地盤に地盤改良体1(図2参照)を形成する装置である。地盤改良体造成装置10は、図3に示すように、その本体11とロッド12とを含んで構成される。
前記本体11は、噴射液を貯蔵する噴射液タンク(図示せず)と、噴射液を超高圧・大流量(例えば、圧力:20〜40MPa程度、吐出流量:0.1〜0.6m/分程度)で圧送可能な超高圧ポンプ(図示せず)と、エアーコンプレッサー(図示せず)とを備える。また、本体11の正面には、ロッド12を、その軸心を中心として回転させると共に、軸心に沿って引き上げ及び引き下げ可能に把持する把持部13が取付けられている。
噴射液は、適宜の固化材(例えばセメントなどの自硬性材料)と水とを含む液体としての固化材ミルクである。本実施形態では、噴射液は、固化材としてセメントを用いたセメントミルクであるものとして以下説明するが、固化材ミルクはこれに限らない。固化材ミルクは、地盤改良体1の一軸圧縮強さquが周囲地盤の強度より高い後述する所定の強度範囲内に収まるように配合されている。
地盤改良体1の造成予定場所には、ピット(凹部)14が形成される。このピット14は、地面より所定深さ分だけ床掘りすることで形成される。
ここで、地盤改良体1は、地中連続壁Eの構築予定領域と重複する領域に、先行エレメントEA用の地盤改良体1としての第1地盤改良体1Aと後行エレメントEB用(つまり、後述する中間領域S2用)の地盤改良体1としての第2地盤改良体1Bとに分けて、複数形成される。各地盤改良体1は、隣り合う地盤改良体1と平面視で重なるように、適宜の断面形状を有して形成されている。
本実施形態おいては、各地盤改良体1(1A,1B)は、円形の断面形状を有して形成され、第1地盤改良体1Aの造成径(外径)をD3とし、第2地盤改良体1Bの造成径をD2とする。なお、地中連続壁Eの構築予定領域における地盤改良体1(1A,1B)の配置については後に詳述する。
ピット14には、ロータリーボーリングマシン等の小型の削孔機(図示せず)によって、地中に鉛直方向に延伸する小径のボーリング孔であるガイドホールGHが形成される。ガイドホールGHは、例えば、上層G1と支持層G2との境界位置に達する深さまで形成される。このガイドホールGH内に、ロッド12が挿入される。ここで、ガイドホールGHの内径D1は、地盤改良体1の造成径、つまり地盤改良体1の外径(D2又はD3)よりも小さい。前記削孔機の削孔用ロッドは、適宜長さに分割されて、適宜継ぎ足して延長可能に構成されている。したがって、低空頭且つ狭隘な場所においても、クレーン等を使用せずに適宜深さのガイドホールGHを、容易に形成することができる。
地盤改良体1の造成時には、ロッド12とガイドホールGHとの間の隙間を通ってスライム状の混練土(スライム)が上昇し、ピット14に滞留する。このスライムは、ピット14に設置されるサンドポンプ15を介して、スライム貯留タンク16内に排泥される。
前記ロッド12は、円筒状の先端ロッド121と、この先端ロッド121の先端部側(下端部側)に設けられる噴射モニタ122と、先端ロッド121の基端部側(上端部側)に順次継ぎ足される適宜本数の延長ロッド123と、を有する。ロッド12の上端部側(つまり、延長ロッド123のうち最後に継ぎ足されるものの上端部側)が地面から突出して把持部13によって把持される。
先端ロッド121及び延長ロッド123は、例えば、外管と内管とからなる二重管によりそれぞれ構成される。なお、本実施形態では、先端ロッド121及び延長ロッド123は二重管構造である場合を一例に挙げて説明するが、これに限らず、三重管等の構造を適宜採用することができる。
本実施形態において、延長ロッド123のうち最後に継ぎ足されるものの上端部には、噴射液入口と圧縮空気入口を有するスイベル17が接続され、先端ロッド121の下端側には、カップリング(図示せず)を介して噴射モニタ122が接続されている。先端ロッド121と延長ロッド123との間、及び、各延長ロッド123,123間は適宜継手を介して接続される。
先端ロッド121及び延長ロッド123は、その内管がスイベル17の噴射液入口と連通して噴射液の流路となり、また、内管と外管との間の隙間がスイベル17の圧縮空気入口と連通して圧縮空気の流路となる。
本体11の噴射液タンク内の噴射液は、超高圧ポンプ、スイベル17の噴射液入口を介してロッド12の内管内に圧送される。また、本体11のエアーコンプレッサーからの圧縮空気は、スイベル17の圧縮空気入口を介してロッド12の外管と内管との間の流路に圧送される。
噴射モニタ122は、ロッド12(先端ロッド121)の内管と連通する噴射液噴射ノズル(図示せず)と、前述の圧縮空気の流路と連通する圧縮空気噴射ノズル(図示せず)とを備える。すなわち、ロッド12の先端部側には、噴射液噴射ノズル及び圧縮空気噴射ノズルが設けられている。
噴射液噴射ノズルの先端は、噴射モニタ122の外周面の一部で径方向外向きに開口している。また、圧縮空気噴射ノズルの先端は、噴射液噴射ノズルの周囲で、径方向外向きに開口している。圧縮空気を噴射液噴射ノズルの周囲から噴射させることにより、噴射液を効率的に噴射させることができる。なお、本実施形態において、噴射モニタ122が本発明に係る「ノズル」に相当する。
地盤改良体造成装置10を作動させて地盤改良体1を造成するときには、まず、ガイドホールGHの下端部近傍に噴射モニタ122が位置するように、延長ロッド123を順次継ぎ足す。そして、この状態で、本体11の超高圧ポンプ及びエアーコンプレッサーを駆動させて、ロッド12内に、高圧の噴射液及び圧縮空気を圧送することで、噴射モニタ122の噴射液噴射ノズルから高圧の噴射液を、ガイドホールGHの半径方向外方に向けて連続的に噴射させると共に、噴射液噴射ノズルの周囲の圧縮空気噴射ノズルから圧縮空気を噴射させる。これにより、噴射液と圧縮空気とが混合したジェット流Jが形成される。また、ジェット流Jを噴射しつつ、ロッド12を把持部13により回転させる。このときに、ジェット流Jの圧力により、噴射モニタ122の周囲の地盤が切削されると共に、掘削土と噴射液とが撹拌混練されて地盤改良がなされる。これにより、固化材と水とを含むジェット流Jを噴射モニタ122から半径方向外方に向けて噴射可能に構成され、ガイドホールGHより大径であるソイルモルタル製の地盤改良体1の底部が形成される。
これに続けて、ジェット流Jを連続的に噴射させつつ、ロッド12を把持部13により回転駆動させながら所定の引き上げ速度で、図1に矢印で示す鉛直方向上方に引き上げる。このロッド12の引き上げは、ジェット流Jの噴射がピット14の近傍(例えば底面)に達するまで行われる。この引き上げの際、ロッド12はスイベル17と共に上昇する。したがって、例えば、スイベル17が鉄道高架橋Bに底面近傍の手前に位置するまでの間の適宜タイミングでジェット流Jの噴射を一旦停止させ、延長ロッド123のうちの地面から突出した適宜本数の延長ロッド123を取り外し、最上部の延長ロッド123の上端部をスイベル17に接続し直した後、ジェット流Jの噴射を再開すればよい。このようにして、ガイドホールGHより大径であり、且つ、上層G1と支持層G2との境界面に達する長さを有する円柱状の地盤改良体1が形成される(後述の図9参照)。
その後、地盤改良体1の一軸圧縮強さquは、徐々に増加し、地盤改良体1の材齢期間が長くなるにつれ強度増加速度は緩やかになり、所定の強度範囲内に略収まる。この一軸圧縮強さquの上記所定の強度範囲については後に詳述する。
次に、前記掘削装置20について、図4を参照して説明する。
掘削装置20は、地盤改良体造成装置10により形成された地盤改良体1内を鉛直方向(図4に矢印で示す掘削方向)に掘削して掘削溝Gを形成するものである。
掘削装置20は、例えば、無限軌道を有して自走可能なベースマシン21と、ベースマシン21に支持されて直立する柱状のリーダ22と、リーダ22の頂部に前方に張り出すように水平に取り付けられる補助クレーン23と、掘削機24と、リーダ22に沿って昇降する昇降部25とを備えて構成されている。
前記ベースマシン21は、無限軌道を有して自走可能に構成されている。このベースマシン21には、補助クレーン23の揚重用のウインチ26が設けられている。ウインチ26より引き出されたワイヤロープ27は、補助クレーン23のガイドプーリーに架け渡されて、補助クレーン23の先端部の下方に位置する吊り具28に接続されている。補助クレーン23は、ウインチ26によりワイヤロープ27を巻き上げ又は送り出すことで、吊り具28を介して、掘削機24等の重量物を吊り上げ又は吊り下げることができる。
前記掘削機24は、水平方向に延伸する軸回りに回転して地盤等を掘削可能な複数(図では2個)のカッタードラム29を先端部に有し、横長矩形断面の溝孔(つまり、掘削溝G)を形成可能な、いわゆる水平多軸式連壁掘削機である。この掘削機24による掘削に並行して、図示を省略した処理プラントから水より大きい密度を有する適宜の安定液(例えばベントナイトを含む安定化用泥水)が、形成途中の掘削溝G内に供給される。なお、以下では、安定液は水より大きい密度を有する場合を一例として挙げて説明するが、これに限らず、後述するように安定液として水を使用してもよい場合もある。
前記昇降部25は、直列に連結された複数の円筒状の排泥用リバースロッド25aの一端側(上端側)を把持しつつ上昇又は下降可能に構成されている。このリバースロッド25aは、その下端部を掘削機24内のカッタードラム29近傍まで延設させて、適宜掘削機24に接続されている。つまり、リバースロッド25aは、一端側が昇降部25に把持され、他端側が掘削機24に接続されている。
掘削装置20を作動させて地盤改良体1を掘削するときには、例えば、掘削機24を作動させつつウインチ26によりワイヤロープ27を送り出すと共に、昇降部25を下降させて、地盤改良体1内を鉛直方向下方に向かって掘削する。なお、昇降部25が地面近傍まで下降した場合は、掘削機24を補助クレーン23により保持した(吊り上げた)状態で、昇降部25によるリバースロッド25aの把持を解除しつつ、昇降部25を上昇させる。そして、リバースロッド25aを適宜継ぎ足し、その継ぎ足されたリバースロッド25aを昇降部25により把持した後、再び、ウインチ26及び昇降部25により掘削機24を下降させることで、引き続き掘削を行う。
掘削装置20は、上記掘削に並行して、安定液を掘削溝G内に供給する。これと同時に、リバースロッド25aに接続された図示省略したサクションポンプが起動すると、安定液と地盤改良体1の掘削により発生した掘削土砂とが混合してできた泥水は、リバースロッド25aの下端開口部から吸引されて、掘削溝G外に排出される。排出された泥水は、上記処理プラント(図示省略)にて、適宜処理されて、安定液と残土に分離される。これにより、泥水から安定液を回収することができるようになっている。そして、回収された安定液は、再び掘削溝G内に供給され、以降、処理プラント(安定液タンク等)と掘削溝Gとの間で循環される。
このようにして、掘削装置20は、掘削溝Gの形成時に、掘削溝G内に安定液を供給し、地盤改良体1内で生じた掘削土砂を安定液と共に掘削溝G外に排出し、この排出された安定液を再び掘削溝G内に供給して循環させるように構成されている。つまり、掘削装置20は、いわゆるリバースサーキュレーション工法等により安定液を循環させている。
本実施形態においては、一回の鉛直方向の掘削により形成される掘削溝Gの短辺方向の内寸(溝厚さt1、後述する図13及び図18参照)は地中連続壁Eの壁厚tに相当し、一回の鉛直方向の掘削により形成される掘削溝Gの長辺方向の内寸(溝幅W1)は、先行エレメントEA及び後行エレメントEBの長辺方向の長さであるエレメント幅Wに相当する(つまり、t1=t、W1=W)。このように、本実施形態においては、掘削装置20は、一回の掘り下げ(1ガット)により各エレメントEA,EBの出来上がり時の断面形状と略等しい開口形状の掘削溝Gを形成可能に構成されている。
ここで、本実施形態において、掘削溝Gの溝幅W1(=エレメント幅W)は、ガイドホールGHの内径D1より大きく、且つ、第1地盤改良体1Aの造成径D3より小さい(つまり、D1<W1<D3)。
次に、地中連続壁Eの構築予定領域における地盤改良体1の配置について、図5及び図6を参照して詳述する。図5は地盤改良体1の造成途中(第1地盤改良体1Aの造成後)の状態を示した平面図であり、図6は地盤改良体1の造成が完了した状態(第2地盤改良体1Bの造成後の状態)を示した平面図である。
本実施形態において、地盤改良体1は、先行エレメントEA用の第1地盤改良体1Aと、後行エレメントEB用の第2地盤改良体1Bとの2種類に分けて造成されている。
ここで、先行エレメントEAは、地中に一定の間隔をおいて掘削される先行エレメントEA用の掘削溝G(後述する図13参照)内に形成される。一方、後行エレメントEBは、先行エレメントEAが形成された後、互いに隣り合う先行エレメントEAの短辺側端部を掘削すると共に互いに隣り合う先行エレメントEA間の中間領域S2(後述する図15及び図16参照)を掘削して得られる後行エレメントEB用の各掘削溝G(後述する図18参照)内に形成される。この一つの先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削予定領域S1と、一つの中間領域S2とを、それぞれ、地盤改良体1の造成の単位領域とする。
先行エレメントEA用の第1地盤改良体1Aは、図5に示すように、その内部に、一つの先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削予定領域(つまり単位領域)S1が位置するように配置されている。
一方、後行エレメントEB用の第2地盤改良体1Bは、図6に示すように、その内部に、互いに隣り合う先行エレメントEA用の掘削予定領域S1間の領域が位置するように配置されている。先行エレメントEAの出来上がり後の状態で言い換えると、第2地盤改良体1Bは、その内部に、互いに隣り合う先行エレメントEA間の一つの中間領域(つまり単位領域)S2が位置するように配置されている。
このように、地盤改良体(1A,1B)1は、先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削に先立って、単位領域(S1又はS2)が内部に位置するように、単位領域毎にそれぞれ配置され、互いに隣接する地盤改良体1はその一部を重複させて造成されている。つまり、第1地盤改良体1Aと第2地盤改良体1Bとは互いに一部重複させて造成されている。また、この地盤改良体1の重複部分における地中連続壁Eの壁厚方向の重複長さは壁厚tより大きくなるように設定されている。
また、本実施形態においては、第2地盤改良体1Bの造成径D2は、第1地盤改良体1Aの造成径D3より小さくなるように設定されている。つまり、中間領域S2に対応して造成される地盤改良体1(1B)の水平断面積は、先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削予定領域S1に対応して造成される地盤改良体1(1A)の水平断面積より小さくなるように設定されている。
次に、本発明に係る地中連続壁構築方法の一実施形態を、図1、図2、図7〜図18を参照して、一般的なボーリング装置(図示省略)と、上記地盤改良体造成装置10と、掘削装置20を用いた場合について詳述する。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、先行エレメントEA用の複数の第1地盤改良体1Aを先に造成した後、後行エレメントEB用の第2地盤改良体1Bを造成するものとし、その後、まず、先行エレメントEAを全て形成し、最後に、後行エレメントEBを全て形成して地中連続壁Eを構築する場合を一例として説明する。また、掘削溝Gの溝幅W1、掘削溝Gの溝厚さt1、第1地盤改良体1Aの造成径D3、第2地盤改良体1Bの造成径D2は、それぞれ適宜に決定され、地盤改良体1(1A,1B)の一軸圧縮強さquは、地盤改良体1の形成が完了してから地盤改良体1に掘削溝Gを形成可能となるまでの期間に応じて設定する所定の材齢日(例えば材齢42日目)において、周囲地盤の強度より高い所定の強度範囲内に収まるように設定されているものとして説明する。
本実施形態において、地中連続壁構築方法は、高圧噴射撹拌工法を用いた地盤改良体1の造成工程と、水平多軸式の掘削機24を用いた掘削工程と、鉄筋籠建て込み工程と、コンクリート打設工程とを含む。図7〜図11は造成工程を示し、図12及び図13は先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削工程を示し、図14は鉄筋籠建て込み工程を示し、図15及び図16はコンクリート打設工程を示し、図17及び図18は後行エレメントEB用の掘削溝Gの掘削工程を示す。
造成工程では、初めに第1地盤改良体1Aの造成を行う。この造成では、まず、図7に示すように、第1地盤改良体1Aの形成予定場所(先行エレメントEA用の掘削予定領域S1)において、地面より所定深さ分だけ床掘りして、凹状のピット14を形成する。そして、前記ボーリング装置としての小型の削孔機(図示せず)によって、掘削予定領域S1の鉛直方向に延びる中心軸X1に、軸心が略一致するように、地中に鉛直方向に延伸するロッド12ガイド用のガイドホールGHを上層G1と支持層G2との境界位置に達する深さまで形成する。前記削孔機は小型であり、且つ、削孔用ロッドが適宜長さに分割されているため、低空頭且つ狭隘な施工場所であっても、例えば、手押し台車等により容易に搬入、据え付け及び搬出することができる上、所望の深さまでガイドホールGHを削孔することができる。
次に、ガイドホールGHの削孔完了後、図8に示すように、地盤改良体造成装置10を、把持部13の軸心がガイドホールGHの軸心(X1)と略一致するように配置する。この地盤改良体造成装置10は、ガイドホールGHの削孔機と同様に、比較的に小型であるため、手押し台車等により所定位置に配置される。その後、ロッド12をガイドホールGH内に挿入し、ガイドホールGHの下端部近傍に噴射モニタ122が位置するまで延長ロッド123を順次継ぎ足す。そして、この状態で、噴射モニタ122からその半径方向外方に向けて、固化材と水とを含む噴射液と圧縮空気とを混合させたジェット流Jを噴射しつつ、ロッド12を回転駆動させながら所定の引き上げ速度(例えば10min/m)で引き上げる。ここで、例えば、噴射液の吐出圧力は約38MPaに設定され、吐出流量は約190L/minに設定されている。このロッド12の引き上げは、ジェット流Jの噴射がピット14の近傍(例えば底面)に達するまで行われる。この引き上げの際、最上部等の延長ロッド123が順次取り外されて、スイベル17が鉄道高架橋Bの底面に干渉しないようにする。これにより、図9に示すように、ガイドホールGHより大径の造成径D3を有し、且つ、上層G1と支持層G2との境界面に達する長さを有する円柱状の第1地盤改良体1Aを造成する。その後、隣接する先行エレメントEA用の掘削予定領域S1において、図7及び図8と同じ手順で次の第1地盤改良体1Aを造成する。これを順次繰り返して、図10に示すように、第1地盤改良体1Aの造成を完了させる。これにより、各第1地盤改良体1Aの内部に、先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削予定領域S1が位置する。
次に、第2地盤改良体1Bの造成を第1地盤改良体1Aの造成と同様にして順次行う。この造成においては、各ガイドホールGHは、その軸心を中間領域S2の鉛直方向に延びる中心軸X2(言い換えると、互いに隣り合う中心軸X1の中央を通る軸)に略一致させて形成される。これにより、各第2地盤改良体1Bの内部に、中間領域S2が位置し、図11に示すように、第1地盤改良体1Aと第2地盤改良体1Bとが一体的に造成された地盤改良体群が形成される。その後、地盤改良体造成装置10は搬出され、造成工程が完了する。このように、本実施形態において、地盤改良体1(1A,1B)は、地中連続壁Eの構築方向に沿って一列に配列されている。
この地盤改良体1の一軸圧縮強さquは、例えば、材齢28日目において約570kN/m2となり、材齢42日目において約790kN/m2となり、その後、強度増加速度は緩やかになり、周囲地盤より高い所定の強度範囲(例えば、約500から約1000kN/m2)内に略収まる。この所定の強度範囲の下限値は、地盤改良体1の周囲地盤の強度より高く設定され、所定の強度範囲の上限値は、掘削溝Gを形成する掘削装置20の掘削力に応じて設定される。なお、後述するように、所定の材齢日における地盤改良体1の一軸圧縮強さquが前記所定の強度範囲内に収まるように、噴射液(固化材ミルク)が配合されている。
本実施形態では、このように、先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削に先立って、単位領域(S1,S2)が内部に位置する地盤改良体1(1A,1B)を、単位領域(S1,S2)毎にそれぞれ造成する造成工程を含み、単位領域毎の造成工程では、ロッド12をガイドホールGHに挿入し、セメントミルクを噴射モニタ122から半径方向外方に向けて噴射しつつ、ロッド12を回転させると共に、ロッド12を引き上げて、ガイドホールGHより大径であり且つ地盤より強度の高い地盤改良体1(1A,1B)を造成する。
次に、地盤改良体1の掘削工程では、例えば、先行エレメントEA用の掘削溝Gを全て形成する。
詳しくは、掘削装置20を、その掘削機24の軸心が第1地盤改良体1Aの延伸方向の中心軸(つまりX1)と略一致するように配置する。その後、第1地盤改良体1Aの上端部近傍にカッタードラム29を位置させて掘削可能な状態となる。第1地盤改良体1Aの造成が完了してから、掘削装置20を配置して第1地盤改良体1Aに掘削溝Gを形成可能となるまでの期間として、例えば約1か月から1か月半ほど要するため、掘削開始時の第1地盤改良体1Aの一軸圧縮強さquは、前記所定の強度範囲に収まっている。この状態で、掘削機24をウインチ26や昇降部25により下降させる。これにより、第1地盤改良体1Aの軸心に溝中心が合された掘削溝Gが形成され始める。そして、図12に示すように、掘削機24は、そのカッタードラム29が支持層G2を貫入するまで下降する。その結果、第1地盤改良体1Aの造成径D3より小さい溝幅W1及び地中連続壁Eの壁厚tと略一致する溝厚さt1を有し、その溝中心を第1地盤改良体1Aの延伸方向の中心軸(X1)と合わせて形成され、且つ、支持層G2に達する掘削溝Gが形成される。この掘削溝Gを構成する長辺方向及び短辺方向の4つの溝壁は、いずれも第1地盤改良体1Aの掘削面からなる。その後、隣接する掘削予定領域S1において掘削溝Gの掘削を順次繰り返して、図13に示すように、先行エレメントEA用の掘削溝Gの形成を完了させる。
ここで、掘削溝Gが中心軸(X1)に沿って形成された第1地盤改良体1Aは、中空改良体となり、適宜箇所にその壁厚が最小となる薄肉部を有する。なお、薄肉部厚さ(以下において薄肉部厚さという)T(T3)及び造成径D(D3)の設定手順と、薄肉部厚さTと第1地盤改良体1Aの一軸圧縮強さquとの関係については、後に詳述する。
上記掘削に並行して、安定液を掘削溝G内に供給する。これと同時に、サクションポンプ(図示省略)を起動させ、掘削溝G内の掘削土砂と安定液からなる泥水を、排泥用のリバースロッド25aの先端開口部から吸引して上昇させ、処理プラントのスクリーニング部(図示省略)に導いて、掘削溝G外に排出する。また、スクリーン部により、泥水から掘削土砂を適宜取り除き、安定液を回収する。そして、回収した安定液を再び掘削溝G内に供給し、安定液タンクと掘削溝Gとの間で循環させる。これにより、掘削溝Gの溝壁の安定化を図りつつ、掘削溝Gを適宜深さまで掘削する。
次に、先行エレメントEA用の鉄筋籠建て込み工程では、図14に示すように、各掘削溝G内に、予め分割して形成された概略矩形状の鉄筋籠30を、地上側で順次継ぎ足して建て込む。この建て込みは、最下部の鉄筋籠30が掘削溝Gの底部に到達するまで行う。この鉄筋籠建て込み時に、掘削溝G内には、上記掘削工程で用いた安定液をそのまま満たしておくものとする。
鉄筋建て込み後、コンクリート打設工程では、例えば、掘削溝G内に安定液が満たされた状態で、各掘削溝G内にトレミ管をその下端部が掘削溝Gの底部に位置するように挿入する。そして、このトレミ管の下端部開口からコンクリートを掘削溝G内に打設すると共に、安定液を適宜排出して、図15及び図16に示すように、各掘削溝G内にコンクリートを打設する。これにより、先行エレメントEA用の各掘削溝G内に先行エレメントEAがそれぞれ形成される。
次に、後行エレメントEBの形成を、図17及び図18に示すように、例えば、先行エレメントEAの形成と同様にして順次行う。
詳しくは、掘削装置20を、その掘削機24の軸心が第2地盤改良体1Bの延伸方向の中心軸(つまりX2)と略一致するように配置して、掘削機24を下降させる。これにより、第2地盤改良体1Bの軸心に溝中心が合された掘削溝Gが形成され始める。この掘削において、掘削機24は、互いに隣り合う先行エレメントEAの短辺側端部を掘削(切削)すると共にこの互いに隣り合う先行エレメントEA間の中間領域S2を掘削して、後行エレメント用の掘削溝Gを得る。これにより、第2地盤改良体1Bの造成径D2より大きい溝幅W1及び地中連続壁Eの壁厚tと略一致する溝厚さt1を有し、その溝中心を第2地盤改良体1Bの延伸方向の中心軸(X2)と合わせて形成され、且つ、支持層G2に達する掘削溝Gが形成される。この掘削溝Gを構成する溝壁のうち短辺方向の2つの溝壁は、それぞれ先行エレメントEAの短辺側端部の掘削(切削)面からなる。また、この掘削溝Gを構成する溝壁のうち長辺方向の2つの溝壁は、その両端部分については第1地盤改良体1Aの掘削面からなり、それ以外の部分部については第2地盤改良体1Bの掘削面からなる。その後、隣接する中間領域S2を含む掘削予定領域において掘削溝Gの掘削を順次繰り返して、図17及び図18に示すように、後行エレメントEB用の掘削溝Gの形成を完了させる。なお、鉄筋籠30の幅は先行エレメントEAのエレメント幅Wより適宜小さく設定され、短辺側端部の切削時に、鉄筋籠30を切削することがないように構成されている。
ここで、掘削溝Gが中心軸(X2)に沿って形成された第2地盤改良体1Bは、適宜箇所にその壁厚が最小となる薄肉部を有する。なお、薄肉部厚さT(T2)及び造成径D(D2)の設定手順と、薄肉部厚さTと第2地盤改良体1Bの一軸圧縮強さquとの関係については、後に詳述する。
次に、先行エレメントEAと同様に、後行エレメントEB用の各掘削溝G内に、鉄筋籠30を継ぎ足して建て込むと共に、トレミ管を用いてコンクリートを打設することで、図1及び図2に示すように、先行エレメントEAと後行エレメントEBとが一列に交互に配列され、壁厚tを有する地中連続壁Eの構築が完了する。
ところで、掘削装置20による削孔性を考慮すると、地盤改良体1の強度は低強度に抑制されている方が、施工効率(削孔効率)が高い。そこで、本実施形態においては、噴射液の配合を工夫して、低強度の地盤改良体1の施工を実現した。本実施形態においては、周囲地盤よりも高く設定しつつ掘削装置20による掘削溝Gの施工効率を考慮して、地盤改良体1の一軸圧縮強さquは、所定の材齢日(例えば材齢42日目)において、所定の強度範囲内(例えば、約500kN/m2から約1000kN/m2の範囲内)に収まるように設定されている。所定の材齢日は、地盤改良体1の形成が完了してから地盤改良体1に掘削孔BHを削孔可能となるまでの期間に応じて設定される。なお、上記一軸圧縮強さについての約500kN/m2から約1000kN/m2の範囲(所定の強度範囲)は、掘削装置20の掘削力と地盤の強度とに応じて定める地盤改良体1の後述する許容強度範囲R1に相当する。
次に、薄肉部厚さT(T1,T2)と造成径D(D3,D2)の設定手順と、薄肉部厚さT(T1,T2)と地盤改良体1の一軸圧縮強さquとの関係について説明する。
図19は薄肉部厚さT及び造成径Dの設定手順を説明するためのフロー図であり、図20は一軸圧縮強さquと薄肉部厚さTとの関係を示す図である。
薄肉部厚さT及び造成径Dの設定手順は、大きく分類するとSTEP1とSTEP2の2つの手順からなる。STEP1では、所定の条件を満たす薄肉部厚さTの範囲を設定し、STEP2では、最終的な薄肉部厚さT及び造成径Dを設定して溝壁防護を目的とした地盤改良体1の施工仕様を決定する。以下に、各STEPについて詳述する。
STEP1では、図19に示すように、STEP11において、必要とするエレメント(EA,EB)のエレメント幅W及び壁厚tに応じて掘削溝Gの溝幅W1及び溝厚さt1を決定する。次に、STEP12において、掘削形状の寸法をW1,t1とし、地盤改良体1の一軸圧縮強さquの値を変化させた場合について、掘削溝Gの溝壁の崩壊についての必要安全率Fsを満足する薄肉部厚さTを、例えば、三次元円筒すべり法を用いて算出する。これにより、図20に示すように、必要安全率Fsを満足する薄肉部厚さTと地盤改良体1の一軸圧縮強さquとの関係線Lin1が得られる。本実施形態では、必要安全率Fsは1.5に設定した。なお、計算手法は、三次元円筒すべり法に限らず、例えば、プロトジャコノフ法、有限要素法等の適宜の手法を用いることができる。
次に、STEP13において、掘削装置20の掘削力と地盤の強度とに基づいて、地盤改良体1の許容強度範囲R1を設定する。ここでは、許容強度範囲R1の下限値R1minを周囲地盤の強度より高い値である約500kN/m2とし、許容強度範囲R1の上限値R1maxを掘削装置20の掘削性を考慮して約1000kN/m2とする。この許容強度範囲R1は本実施形態における掘削装置20による削孔可能強度の一例であり、採用する掘削装置の掘削力等に応じて適宜定めることができる。
また、例えば、掘削溝G及び地盤改良体1の鉛直方向の傾きや、掘削溝の寸法精度や、地盤改良体1の造成径精度等の掘削溝G及び地盤改良体1の施工精度に基づいて、施工可能な最小の壁厚である最小壁厚Tminを設定する。ここでは最小壁厚Tmin=50mmとする。
そして、STEP14において、上記地盤改良体1の許容強度範囲R1と必要安全率Fsとに基づいて、安全壁厚範囲R2を設定する。具体的には、図20に示す地盤改良体1の薄肉部厚さTと一軸圧縮強さquとの関係線Lin1において、許容強度範囲R1の下限値R1minと上限値R1maxにそれぞれ対応する薄肉部厚さTの下限値と上限値を求める。図22では、安全壁厚範囲R2の下限値R2minは120mmとなり、安全壁厚範囲R2の上限値R2maxは200mmとなる。この安全壁厚範囲R2内(つまり、R2max≧T≧R2min)で薄肉部厚さTを設定することにより、必要安全率Fsを満足させることができる。ここで、図20から分かるように、一軸圧縮強さquが小さい場合、薄肉部厚さTを大きくすると必要安全率Fsを満足させることができ、一軸圧縮強さquが大きい場合、薄肉部厚さTは小さくても必要安全率を満足させることができる。
このようにして、薄肉部厚さTは、掘削装置20の掘削力と地盤の強度とに応じて定める地盤改良体1の許容強度範囲R1と、掘削溝Gの溝壁崩壊についての必要安全率Fsとに基づいて定める安全壁厚範囲R2内で定める。
また、薄肉部厚さTは、具体的には、前記安全壁厚範囲R2のうちの、掘削溝G及び地盤改良体1の施工精度に応じて定める前記最小壁厚Tmin以上の範囲で設定する必要がある。このため、STEP15において、最小壁厚Tminが安全壁厚範囲R2の上限値R2max以下であるか否かを判定する。R2max≧Tmin(STEP15:YES)の場合、STEP16において、安全壁厚範囲R2のうちの最小壁厚Tmin以上の範囲である施工壁厚範囲R3を設定する。薄肉部厚さTは、この施工壁厚範囲R3内(つまり、R2max≧T≧Tmin)で定めることが可能となり、次のSTEP2に進む。本実施形態では、安全壁厚範囲R2の下限値R2min(=120mm)は最小壁厚Tmin(=50mm)より大きいため、施工壁厚範囲R3は安全壁厚範囲R2と一致する。
なお、安全壁厚範囲R2の上限値R2maxが最小壁厚Tminより小さい(STEP15:NO)場合は、最小壁厚Tminが少なくとも安全壁厚範囲R2の上限値R2max以下になるように、例えば、地盤改良体造成装置10のロッド12や掘削装置20の掘削機24の位置決めをより厳密に管理する等して最小壁厚Tminを下げ、施工精度を向上させればよい(STEP15’)。
STEP2では、まず、STEP21において、施工壁厚範囲R3内で適切な薄肉部厚さTを決定する。次に、STEP22において、第1地盤改良体1Aについては、掘削溝Gを構成する長辺方向及び短辺方向(全方向)の4つの溝壁において、上記決定した薄肉部厚さTを確保可能な地盤改良体1の造成径D(D3)を決定する。一方、第2地盤改良体1Bについては、掘削溝Gを構成する長辺方向の2つの溝壁において、上記決定した薄肉部厚さTを確保可能な地盤改良体1の造成径D(D2)を決定する。
詳しくは、本実施形態において、薄肉部厚さTは、施工壁厚範囲(=安全壁厚範囲R2)R3内、つまり、120mm〜200mmの範囲内で定めた。第1地盤改良体1Aの造成径D3は、第2地盤改良体1Bの造成径D2より小さくなるように設定した。
ここで、造成径D(D2,D3)が大きくなるほど地盤改良体1の施工費が高くなるが、施工現場における総合的な施工精度等を考慮すると、造成径Dを大きくした方が余裕を持って施工することができる。
このようにして、最終的な薄肉部厚さT(T3,T2)及び造成径D(D3,D2)の値を設定して、溝壁防護を目的とした地盤改良体1の施工仕様を決定する。
かかる本実施形態による地中連続壁構築方法によれば、一つの先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削予定領域S1と、互いに隣り合う先行エレメントEA間の一つの中間領域S2とを、それぞれ単位領域とし、先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削に先立って、この単位領域が内部に位置する地盤改良体1(1A,1B)を、単位領域毎にそれぞれ造成している。そして、この単位領域毎の造成工程では、先端部側に噴射モニタ122が設けられた先端ロッド121の基端部側に延長ロッド123を順次継ぎ足してなるロッド12をガイドホールGH内に挿入し、このガイドホールGH内で噴射モニタ122から固化材ミルクを含むジェット流Jを半径方向外方に向けて噴射させつつ、ロッド12を回転及び引き上げることで、地盤より強度の高い地盤改良体1を造成している。
これにより、先行エレメントEA用の各掘削溝Gは、既に造成されている地盤改良体1A内を掘削することにより形成でき、後行エレメントEB用の各掘削溝Gは、既に造成されている地盤改良体1A,1Bと、既に形成されている互いに隣り合う先行エレメントEAの短辺側端部とを掘削することにより形成することができる。したがって、例えば、各地盤改良体強度を、その地盤改良体1や先行エレメントEAを掘削する掘削装置20の能力や工法等に応じて周囲の地盤よりも適宜高めに設定するだけで、各掘削溝Gの溝壁の安定化を図ることができるため、地中連続壁構築中における溝壁の崩壊を防止することができる。
そして、地中連続壁Eの構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であっても、単に小型の削孔機により地盤改良体造成装置10のロッド12を挿入可能な小径のガイドホールGHを掘削し、そのガイドホールGHにロッド12を順次挿入してジェット流Jを噴射させつつロッドを回転及び引き上げるだけで、地中連続壁Eの構築予定箇所に周囲の地盤よりも適宜強度を高めた地盤改良体1を予め構築(造成)することができる。なお、ガイドホールGHや掘削溝Gを形成するための機械及び工法は、それぞれ、各掘削溝Gの掘削予定領域の地面からその上空に存在する構造物までの高さに応じて、本実施形態のように、適宜の機械及び工法を採用すればよい。
このようにして、地中連続壁の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域にて、地中連続壁の構築中における溝壁の崩壊を防止しつつ地中連続壁を容易に構築可能な地中連続壁構築方法を提供することができる。
また、本実施形態では、掘削溝Gの形成時及び鉄筋籠建て込み時に、掘削溝G内に安定液を供給する構成とした。これにより、掘削溝Gの溝壁のより確実な安定化を図った状態で、掘削溝Gを適宜深さまで掘削可能であると共に鉄筋籠を建て込むことができる。
なお、例えば、地盤に掘削溝を直接削孔しつつ、安定液を供給して溝壁の崩壊を抑制する工法が一般的に知られている。しかし、この工法であっても、地盤の地下水位が比較的高い場合や、掘削装置による掘削溝内への安定液の供給量と吸引量のアンバランスが一時的に生じた場合等においては、溝壁が崩壊する可能性が高い。一方、本実施形態においては、掘削溝Gを形成する工程に先立って地盤改良体1を造成しているため、掘削溝Gの溝壁の崩壊リスクを完全に排除することができる。
また、先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削予定領域S1をカバーする地盤改良体1を造成することにより、後行エレメントEB用の掘削溝Gの掘削予定領域の水平方向両端部も同時に造成することができる。このため、本実施形態では、中間領域S2に対応して造成される地盤改良体(第2地盤改良体1B)1の水平断面積は、先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削予定領域S1に対応して造成される地盤改良体(第1地盤改良体1A)1の水平断面積より小さくなるように設定されている。つまり、本実施形態では、D2はD3より小さくなるように設定されている。これにより、地盤改良体1の造成範囲を狭めることができ、地盤改良体1の造成コストを低くすることができる。
また、本実施形態では、地盤改良体1は、単に、地中連続壁Eの構築方向に沿って一列に配列される構成である。したがって、地中連続壁Eの構築予定領域を挟むように、2列のソイルモルタル柱列をSMW工法により構築する一般的な工法と比較して、地盤改良体の造成に要する工期を短縮することができる。また、上記一般的な工法においては、掘削機による掘削溝の掘削性を考慮して、ソイルモルタル柱列は地中連続壁Eの出来形ラインに隣接して又は出来形ラインから若干のクリアランスを設けて配置され、いずれの場合においても、溝掘削後、出来形ラインと地盤改良体の外周との間に土砂が残存し、この残存土砂を後工程において除去する作業を必要としていたところ、本実施形態による地中連続壁構築方法では、上記除去作業が不要となる。
また、本実施形態では、掘削溝Gの形成後の地盤改良体1の薄肉部厚さTを、許容強度範囲R1と、必要安全率Fsとに基づいて定める安全壁厚範囲R2内で定めている。これにより、溝壁の崩壊をより確実に防止することができる。
さらに、本実施形態では、薄肉部厚さTは、安全壁厚範囲R2のうちの、掘削溝G及び地盤改良体1の施工精度に応じて定める最小壁厚Tmin以上の範囲である施工壁厚範囲R3内で定められている。これにより、施工精度を考慮して、薄肉部厚さTを設定することができる。
また、本実施形態では、地盤改良体1の一軸圧縮強さquは、地盤改良体1の造成が完了してから地盤改良体1に掘削溝Gを形成可能となるまでの期間に応じて設定する所定の材齢日において、所定の強度範囲内に収まるように設定されている。これにより、地盤改良体1に掘削溝Gを形成する際に、その一軸圧縮強さquを、確実に意図する強度範囲内に設定することができる。
また、本実施形態では、所定の強度範囲の下限値は、地盤改良体1の周囲地盤の強度より高く設定され、所定の強度範囲の上限値は、掘削溝Gを形成する掘削装置20の掘削力に応じて設定されている。これにより、地盤改良体1の所定の材齢日における一軸圧縮強さquを、周囲地盤よりも高く設定しつつ掘削装置20による掘削溝Gの施工効率を考慮して、確実に低強度に設定することができるため、溝壁崩壊の防止と掘削溝Gの施工効率の向上を効率的に両立させることができる。なお、本実施形態においては、所定の強度範囲は、その下限値(許容強度範囲R1の下限値R1mim)を約500kN/m2とし、上限値(許容強度範囲R1の上限値R1max)を1000kN/m2とした場合を一例に挙げて説明したが、これに限らず、掘削装置20の掘削力及び周囲地盤の強度に応じて適宜定めることができる。
なお、本実施形態において、各地盤改良体1(1A,1B)は、出来上がり時において、それぞれ円形の断面形状を有して形成される場合で説明したが、地盤改良体1の形状はこれに限らず適宜形状を採用することができる。
例えば、図21に示すように、各地盤改良体1(1A,1B)は、それぞれ半円の断面形状を有していてもよい。この場合、例えば、第1地盤改良体1Aの鉛直方向に延びる側面と第2地盤改良体1Bの鉛直方向に延びる側面とが一列に揃うように、各地盤改良体1(1A,1B)を配置するとよい。また、図示を省略するが、円形や半円に限らず、扇形であってもよいし、扇形中心で反転させて2つの扇形が一体となったリボン形であってもよいし、矩形状であってもよい。矩形状の場合は、例えば、単位領域毎の造成において、ガイドホールGHを複数個所に設けて造成すればよい。また、各地盤改良体1(1A,1B)は、複数の小地盤改良体を互いに一部重ねて一体的に形成されてなるものでもよい。
また、本実施形態において、第2地盤改良体1Bの水平断面積は、第1地盤改良体1Aの水平断面積より小さくなるように設定されものとしたが、これに限らず、第1地盤改良体1Aの水平断面と略一致させてもよいし、大きくなるように設定してもよい。
また、第1地盤改良体1Aと第2地盤改良体1Bとは互いに相似形であるものとしたが、これに限らず、互いに異なる種類の断面形状(円形、半円、扇形、リボン形、矩形、団子状等)を採用してもよい。例えば、図22に示すように、第1地盤改良体1Aとしては、複数の円が一部重なり合って一体となった団子状の断面形状を採用し、第2地盤改良体1Bとしては、円形の断面形状を採用してもよい。
また、各第1地盤改良体1Aにおいても異なる種類の形状及び大きさの改良体を採用してもよいし、各第2地盤改良体1Bにおいても同様である。
また、本実施形態において、第1地盤改良体1A及び第2地盤改良体1Bはそれぞれ一定の間隔(ピッチ)で配置されるものとしたが、これに限らず、不等間隔で配置してもよい。
また、本実施形態において、各地盤改良体1は、それぞれ地表面から支持層G2まで延設されるものとして説明したが、これに限らない。例えば、配管等の埋設物が地中連続壁Eの構築予定領域を横断するように既に埋設されている場合等には、その埋設部分に位置する適宜本数の地盤改良体1については、埋設物の下端近傍から支持層G2まで延設すればよい。この場合、造成工程におけるロッド12の引き上げは、ジェット流Jの噴射がピット埋設物の下端近傍に達するまで行えばよい。
また、本実施形態においては、説明の便宜上、第1地盤改良体1Aを全て造成した後、第2地盤改良体1Bを造成するものとして説明したが、地盤改良体1の造成作業の単位はこれに限らない。例えば、地中連続壁Eの水平方向長さが長い場合等には、適宜小区分に分けて、その小区間毎に、第1地盤改良体1A、第2地盤改良体1Bを造成するとよい。
また、本実施形態においては、説明の便宜上、造成工程の完了後、先行エレメントEAを全て形成した後に、後行エレメントEBの形成を開始するものとして説明したが、これに限らない。上記造成と同様に、小区間毎に、先行エレメントEAと後行エレメントEBの形成を適宜行うとよい。
また、本実施形態においては、説明の便宜上、全先行エレメントEA用の掘削工程の完了後、鉄筋籠建て込み工程に進み、その後、コンクリート打設工程に進むものとして説明したが、先行エレメントEAの形成の作業単位はこれに限らない。例えば、一つの先行エレメントEA毎に掘削、鉄筋籠建て込み、コンクリート打設を完了させてから、次の先行エレメントEAの施工を実施したり、適宜小区分に分けて、その小区分毎に施工したりするとよい。また、後行エレメントEBについても同様である。
また、本実施形態では、先行エレメントEA及び後行エレメントEBは、掘削溝G内に、予め分割して形成された鉄筋籠30を順次継ぎ足して建て込むと共にコンクリートを打設して形成されてなる鉄筋コンクリート製のエレメントである場合を一例として説明したが、これに限らない。例えば、打設する材料については、コンクリートに限らず、セメント系材料であればよく、例えば、ソイルモルタル等を打設してもよい。また、各エレメント(EA,EB)は、鉄筋とセメント系材料からなるものに限らず、例えば、各掘削溝G内に、予め分割して形成されたコンクリート製部材又は鋼製部材を順次継ぎ足して建て込み、その後、各掘削溝Gの溝壁と建て込まれたコンクリート製部材又は鋼製部材との間に、コンクリート、モルタル、セメントペースト及びソイルモルタル等のセメント系材料を充填して形成されるものであってもよい。この場合、セメント系材料には、各種混和材などを使用してブリージングを抑制させた材料を使用するとよい。
また、本実施形態では、掘削溝Gの形成後、その掘削溝G内に、水より大きい密度を有する適宜の安定液(例えばベントナイトを含む安定化用泥水)をそのまま満たしておくものとしたが、これに限らない。地中連続壁Eの構築予定領域の地下水の水位が低い場合等において、例えば、掘削溝G内に単に清水を充填させるだけで、掘削溝内の清水の水頭と地下水の水頭との間に十分な水頭差を確保することができる場合がある。これにより、鉄筋籠建て込み工程及びコンクリート等のセメント系材料の打設工程において、鉄筋表面に、安定化用泥水の微粒子を付着させることなく、各エレメントEA,EBを構築することができる。
また、地盤改良体1は周囲の地盤よりも高い強度に設定されているため、地中連続壁Eの構築予定領域の地下水の水位が低い場合等においては、掘削溝Gの形成中及びそれ以降の工程において、掘削溝G内に安定液を使用しなくても、溝壁の崩壊リスクを完全に排除することができる場合もある。したがって、本実施形態においては、掘削溝Gの形成時に、掘削溝G内に安定液を供給する構成としたが、地中連続壁Eの構築予定領域の地下水の水位等の地盤状況によっては、これに限らず、安定液を用いなくてもよい場合もある。この場合、掘削溝Gを形成する工法は、低空頭下且つ狭隘な施工場所で施工可能な適宜の工法を採用すればよい。
また、本実施形態では、先行エレメントEA用の掘削溝Gの大きさと後行エレメントEB用の掘削溝Gの大きさは同じであるものとして説明したが、これに限らず、異ならせてもよい。また、本実施形態では、各エレメント(EA,EB)用の掘削溝Gは、一回の鉛直方向の掘削(1ガット)により形成するものとしたが、これに限らず、複数回の鉛直方向の掘削により形成してもよい。例えば、前述の図22に示した変形例においては、一つの先行エレメントEA用の掘削溝Gは、例えば、3ガットにより形成されている。
また、本実施形態では、地中連続壁Eは、水平一方向に、つまり、直線的に延伸するものとして説明したが、これに限らず、湾曲するように延伸してもよい。また、地中連続壁Eは、横長矩形断面を有するものに限らず、所定の壁厚を有した円弧状の断面等の適宜断面形状を適用できる。また、地中連続壁Eは、中空構造であってもよく、例えば、円筒状に形成されてなるものでもよい。
また、本実施形態では、掘削装置20は、いわゆる水平多軸式の掘削機24を用いた場合で説明したが、これに限らず、各掘削溝Gの掘削予定領域の地面から上空に存在する既設構造物までの高さに応じて、例えば、バケット式等の適宜の連壁用の掘削機を採用することができる。
また、地中連続壁Eの構築予定領域の上方に存在する既設構造物の一例として、鉄道高架橋Bを挙げたが、既設構造物は鉄道高架橋Bに限らず、どのようなものでもよい。そして、施工場所は、低空頭且つ狭隘な場所であるものとしたが、これに限らず、地中連続壁Eの構築予定領域の上方の既設構造物までの距離が十分にある場所や、既設構造物が上方に無い場合や、低空頭であるが十分なスペースを確保可能な場所でもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
1…地盤改良体(第1地盤改良体、第2地盤改良体)、10…地盤改良体造成装置、11…本体、12…ロッド、13…把持部、14…ピット、15…サンドポンプ、16…スライム貯留タンク、17…スイベル、20…掘削装置、21…ベースマシン、22…リーダ、23…補助クレーン、24…掘削機、25…昇降部、25a…リバースロッド、26…ウインチ、27…ワイヤロープ、28…吊り具、29…カッタードラム、121…先端ロッド、122…噴射モニタ(ノズル)、123…延長ロッド、261…先端掘削ロッド管、262…削孔ビット、263…延長掘削ロッド管、B…鉄道高架橋(既設構造物)、BH…掘削孔、D1…ガイドホールの内径、D2…第2地盤改良体の造成径、D3…第1地盤改良体の造成径、E…地中連続壁、EA…先行エレメント、EB…後行エレメント、G…掘削溝、G1…上層、G2…支持層、GH…ボーリング孔(ガイドホール)、J…ジェット流、R1…許容強度範囲、R2…安全壁厚範囲、R3…施工壁厚範囲、S1…掘削予定領域、S2…中間領域、t…壁厚、t1…溝厚さ、W…エレメント幅、W1…溝幅

Claims (6)

  1. 地中に間隔をおいて掘削される先行エレメント用の各掘削溝内に先行エレメントを形成した後、互いに隣り合う前記先行エレメントの端部を掘削すると共に該先行エレメント間の中間領域を掘削して得られる後行エレメント用の各掘削溝内に後行エレメントを形成して地中連続壁を構築する地中連続壁構築方法であって、
    一つの前記先行エレメント用の前記掘削溝の掘削予定領域と、一つの前記中間領域とを、それぞれ単位領域とし、
    前記先行エレメント用の前記掘削溝の掘削に先立って、前記単位領域が内部に位置する地盤改良体を、前記単位領域毎にそれぞれ造成する造成工程を含み、
    前記単位領域毎の前記造成工程では、
    前記地中に鉛直方向に延伸するボーリング孔を形成し、
    円筒状の先端ロッドと、当該先端ロッドの先端部側に設けられるノズルと、前記先端ロッドの基端部側に順次継ぎ足される延長ロッドと、を有するロッドを前記ボーリング孔に挿入し、
    固化材と水を含む液体を前記ノズルから半径方向外方に向けて噴射しつつ、前記ロッドを回転させると共に、前記ロッドを引き上げて、前記ボーリング孔より大径であり且つ前記地盤より強度の高い前記地盤改良体を造成する、地中連続壁構築方法。
  2. 前記地盤改良体は、前記地中連続壁の構築方向に沿って一列に配列される、請求項1に記載の地中連続壁構築方法。
  3. 前記中間領域用の前記地盤改良体と、前記先行エレメント用の前記地盤改良体とを、互いに一部重複させて造成する、請求項1又は2に記載の地中連続壁構築方法。
  4. 前記各掘削溝内に、予め分割して形成された鉄筋籠を順次継ぎ足して建て込むと共にセメント系材料を打設して、前記先行エレメント又は前記後行エレメントを形成する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の地中連続壁構築方法。
  5. 前記各掘削溝内に、予め分割して形成されたコンクリート製部材又は鋼製部材を順次継ぎ足して建て込み、
    前記各掘削溝の溝壁と前記建て込まれた前記コンクリート製部材又は鋼製部材との間に、セメント系材料を充填して、前記先行エレメント又は前記後行エレメントを形成する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の地中連続壁構築方法。
  6. 前記掘削溝の形成後の前記地盤改良体は、その壁厚が最小となる薄肉部を有し、
    前記薄肉部の厚さは、前記掘削溝を形成する掘削装置の掘削力と地盤の強度とに応じて定める前記地盤改良体の許容強度範囲と、前記掘削溝の溝壁崩壊についての必要安全率とに基づいて定める安全壁厚範囲内で定められる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の地中連続壁構築方法。
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