JP6378652B2 - 地中連続壁構築方法 - Google Patents
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Description
この種の地中連続壁構築方法では、特許文献1に開示されているように、地中に間隔をおいて掘削機により掘削される掘削溝内に鉄筋籠を投入すると共にコンクリートを打設して、先行エレメントを形成した後、先行エレメント間の地盤等を掘削機により掘削して得られる掘削溝内に鉄筋籠を投入すると共にコンクリートを打設して、後行エレメントを形成することで、前記地中連続壁を構築している。
この一般的な地中連続壁構築方法を、例えば細粒分含有率が低い(例えば粒径0.075mm未満の土粒子の含有率が約35%以下)土層等を含む地盤において地中連続壁を施工する方法として採用すると、掘削機による地盤の掘削中や鉄筋籠の建て込み中等に、前記掘削溝の溝壁の一部が崩壊するおそれがある。そして、溝壁が崩壊すると、掘削機や鉄筋籠が崩壊した土砂内に埋没等して、掘削が不能になったり、コンクリートの打設が困難になったりするおそれがある。また、溝壁が崩壊すると、予定した地中連続壁の出来形が確保できず、さらに、崩壊した土砂が掘削溝の底部に堆積等して、地中連続壁に要求される支持力が得られないおそれもある。このため、溝壁崩壊リスクの高い土層を含む地盤等において、溝壁を保護しつつ地中連続壁を構築可能な地中連続壁構築方法が求められている。
しかしながら、地中連続壁の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在する施工現場では、上記のような大型のベースマシンや大型クレーンを用いることができない場合もあり、工夫が求められている。
これにより、先行エレメント用の各掘削溝は、既に造成されている地盤改良体内を掘削することにより形成でき、後行エレメント用の各掘削溝は、既に造成されている地盤改良体と、既に形成されている互いに隣り合う先行エレメントの端部とを掘削することにより形成することができる。したがって、例えば、各地盤改良体強度を、その地盤改良体や先行エレメントを掘削する掘削装置の能力や工法等に応じて周囲の地盤よりも適宜高めに設定するだけで、各掘削溝の溝壁の安定化を図ることができるため、地中連続壁構築中における溝壁の崩壊を防止することができる。
そして、地中連続壁の構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であっても、単に小型の削孔機により前記ロッドを挿入可能な小径のボーリング孔を掘削し、そのボーリング孔に前記ロッドを延長しながら挿入し、そのロッドの先端のノズルから固化材と水を含む液体を噴射させつつロッドを回転及び引き上げるだけで、地中連続壁の構築予定箇所に周囲の地盤よりも適宜強度を高めた地盤改良体を予め構築(造成)することができる。なお、ロッド挿入用の小径の前記ボーリング孔や前記掘削溝を形成するための機械及び工法は、それぞれ、各掘削溝の掘削予定領域の地面からその上空に存在する構造物までの高さに応じて、適宜の機械及び工法を採用すればよい。
本発明の一実施形態における地中連続壁構築方法は、地中連続壁構築予定領域に予め地盤改良体1を造成する造成工程と、地盤改良体1内を鉛直方向に掘削して掘削溝Gを形成する掘削工程と、掘削溝G内に鉄筋籠を建て込む鉄筋籠建て込み工程と、コンクリート打設工程とを含む。
図1は、本実施形態における地中連続壁構築方法により構築した地中連続壁Eの部分断面図を示し、図2は図1に示す地中連続壁Eの上面図(地上側から視た拡大平面図)を示す。図3は本実施形態における地中連続壁構築方法において用いる地盤改良体造成装置10の概略構成を示し、図4は本実施形態において用いる掘削装置20の概略構成を示す。なお、図1は、図2に示す地中連続壁Eの中心線Oを通る垂直断面図でもある。
具体的には、地中連続壁Eの構築予定領域の鉄道高架橋Bは地面から約3〜4mの高さ位置に存在するものとする。なお、本実施形態では、既設構造物は鉄道高架橋Bであり、地中連続壁Eをこの鉄道高架橋Bの直下の低空頭且つ狭隘な場所に構築する場合で説明するが、これに限らず、地中連続壁Eの構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であれば、どのような施工場所でもよい。
また、本実施形態において、地中連続壁Eの構築予定領域を含む地盤は、地面側に位置する上層G1と、その上層G1の下方に位置する支持層G2とを含み、上層G1は細粒分含有率が低く(例えば、粒径0.075mm未満の土粒子の含有率が約35%以下)、支持層G2は適切な強度を有するものとする。また、本実施形態では、地中連続壁Eは、具体的には、その下端部が支持層G2に到達するように構築するものとする。
ここで、地盤改良体1は、地中連続壁Eの構築予定領域と重複する領域に、先行エレメントEA用の地盤改良体1としての第1地盤改良体1Aと後行エレメントEB用(つまり、後述する中間領域S2用)の地盤改良体1としての第2地盤改良体1Bとに分けて、複数形成される。各地盤改良体1は、隣り合う地盤改良体1と平面視で重なるように、適宜の断面形状を有して形成されている。
本実施形態おいては、各地盤改良体1(1A,1B)は、円形の断面形状を有して形成され、第1地盤改良体1Aの造成径(外径)をD3とし、第2地盤改良体1Bの造成径をD2とする。なお、地中連続壁Eの構築予定領域における地盤改良体1(1A,1B)の配置については後に詳述する。
本実施形態において、延長ロッド123のうち最後に継ぎ足されるものの上端部には、噴射液入口と圧縮空気入口を有するスイベル17が接続され、先端ロッド121の下端側には、カップリング(図示せず)を介して噴射モニタ122が接続されている。先端ロッド121と延長ロッド123との間、及び、各延長ロッド123,123間は適宜継手を介して接続される。
先端ロッド121及び延長ロッド123は、その内管がスイベル17の噴射液入口と連通して噴射液の流路となり、また、内管と外管との間の隙間がスイベル17の圧縮空気入口と連通して圧縮空気の流路となる。
噴射液噴射ノズルの先端は、噴射モニタ122の外周面の一部で径方向外向きに開口している。また、圧縮空気噴射ノズルの先端は、噴射液噴射ノズルの周囲で、径方向外向きに開口している。圧縮空気を噴射液噴射ノズルの周囲から噴射させることにより、噴射液を効率的に噴射させることができる。なお、本実施形態において、噴射モニタ122が本発明に係る「ノズル」に相当する。
掘削装置20は、地盤改良体造成装置10により形成された地盤改良体1内を鉛直方向(図4に矢印で示す掘削方向)に掘削して掘削溝Gを形成するものである。
掘削装置20は、例えば、無限軌道を有して自走可能なベースマシン21と、ベースマシン21に支持されて直立する柱状のリーダ22と、リーダ22の頂部に前方に張り出すように水平に取り付けられる補助クレーン23と、掘削機24と、リーダ22に沿って昇降する昇降部25とを備えて構成されている。
掘削装置20は、上記掘削に並行して、安定液を掘削溝G内に供給する。これと同時に、リバースロッド25aに接続された図示省略したサクションポンプが起動すると、安定液と地盤改良体1の掘削により発生した掘削土砂とが混合してできた泥水は、リバースロッド25aの下端開口部から吸引されて、掘削溝G外に排出される。排出された泥水は、上記処理プラント(図示省略)にて、適宜処理されて、安定液と残土に分離される。これにより、泥水から安定液を回収することができるようになっている。そして、回収された安定液は、再び掘削溝G内に供給され、以降、処理プラント(安定液タンク等)と掘削溝Gとの間で循環される。
ここで、本実施形態において、掘削溝Gの溝幅W1(=エレメント幅W)は、ガイドホールGHの内径D1より大きく、且つ、第1地盤改良体1Aの造成径D3より小さい(つまり、D1<W1<D3)。
本実施形態において、地盤改良体1は、先行エレメントEA用の第1地盤改良体1Aと、後行エレメントEB用の第2地盤改良体1Bとの2種類に分けて造成されている。
ここで、先行エレメントEAは、地中に一定の間隔をおいて掘削される先行エレメントEA用の掘削溝G(後述する図13参照)内に形成される。一方、後行エレメントEBは、先行エレメントEAが形成された後、互いに隣り合う先行エレメントEAの短辺側端部を掘削すると共に互いに隣り合う先行エレメントEA間の中間領域S2(後述する図15及び図16参照)を掘削して得られる後行エレメントEB用の各掘削溝G(後述する図18参照)内に形成される。この一つの先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削予定領域S1と、一つの中間領域S2とを、それぞれ、地盤改良体1の造成の単位領域とする。
一方、後行エレメントEB用の第2地盤改良体1Bは、図6に示すように、その内部に、互いに隣り合う先行エレメントEA用の掘削予定領域S1間の領域が位置するように配置されている。先行エレメントEAの出来上がり後の状態で言い換えると、第2地盤改良体1Bは、その内部に、互いに隣り合う先行エレメントEA間の一つの中間領域(つまり単位領域)S2が位置するように配置されている。
このように、地盤改良体(1A,1B)1は、先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削に先立って、単位領域(S1又はS2)が内部に位置するように、単位領域毎にそれぞれ配置され、互いに隣接する地盤改良体1はその一部を重複させて造成されている。つまり、第1地盤改良体1Aと第2地盤改良体1Bとは互いに一部重複させて造成されている。また、この地盤改良体1の重複部分における地中連続壁Eの壁厚方向の重複長さは壁厚tより大きくなるように設定されている。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、先行エレメントEA用の複数の第1地盤改良体1Aを先に造成した後、後行エレメントEB用の第2地盤改良体1Bを造成するものとし、その後、まず、先行エレメントEAを全て形成し、最後に、後行エレメントEBを全て形成して地中連続壁Eを構築する場合を一例として説明する。また、掘削溝Gの溝幅W1、掘削溝Gの溝厚さt1、第1地盤改良体1Aの造成径D3、第2地盤改良体1Bの造成径D2は、それぞれ適宜に決定され、地盤改良体1(1A,1B)の一軸圧縮強さquは、地盤改良体1の形成が完了してから地盤改良体1に掘削溝Gを形成可能となるまでの期間に応じて設定する所定の材齢日(例えば材齢42日目)において、周囲地盤の強度より高い所定の強度範囲内に収まるように設定されているものとして説明する。
本実施形態では、このように、先行エレメントEA用の掘削溝Gの掘削に先立って、単位領域(S1,S2)が内部に位置する地盤改良体1(1A,1B)を、単位領域(S1,S2)毎にそれぞれ造成する造成工程を含み、単位領域毎の造成工程では、ロッド12をガイドホールGHに挿入し、セメントミルクを噴射モニタ122から半径方向外方に向けて噴射しつつ、ロッド12を回転させると共に、ロッド12を引き上げて、ガイドホールGHより大径であり且つ地盤より強度の高い地盤改良体1(1A,1B)を造成する。
詳しくは、掘削装置20を、その掘削機24の軸心が第1地盤改良体1Aの延伸方向の中心軸(つまりX1)と略一致するように配置する。その後、第1地盤改良体1Aの上端部近傍にカッタードラム29を位置させて掘削可能な状態となる。第1地盤改良体1Aの造成が完了してから、掘削装置20を配置して第1地盤改良体1Aに掘削溝Gを形成可能となるまでの期間として、例えば約1か月から1か月半ほど要するため、掘削開始時の第1地盤改良体1Aの一軸圧縮強さquは、前記所定の強度範囲に収まっている。この状態で、掘削機24をウインチ26や昇降部25により下降させる。これにより、第1地盤改良体1Aの軸心に溝中心が合された掘削溝Gが形成され始める。そして、図12に示すように、掘削機24は、そのカッタードラム29が支持層G2を貫入するまで下降する。その結果、第1地盤改良体1Aの造成径D3より小さい溝幅W1及び地中連続壁Eの壁厚tと略一致する溝厚さt1を有し、その溝中心を第1地盤改良体1Aの延伸方向の中心軸(X1)と合わせて形成され、且つ、支持層G2に達する掘削溝Gが形成される。この掘削溝Gを構成する長辺方向及び短辺方向の4つの溝壁は、いずれも第1地盤改良体1Aの掘削面からなる。その後、隣接する掘削予定領域S1において掘削溝Gの掘削を順次繰り返して、図13に示すように、先行エレメントEA用の掘削溝Gの形成を完了させる。
ここで、掘削溝Gが中心軸(X1)に沿って形成された第1地盤改良体1Aは、中空改良体となり、適宜箇所にその壁厚が最小となる薄肉部を有する。なお、薄肉部厚さ(以下において薄肉部厚さという)T(T3)及び造成径D(D3)の設定手順と、薄肉部厚さTと第1地盤改良体1Aの一軸圧縮強さquとの関係については、後に詳述する。
詳しくは、掘削装置20を、その掘削機24の軸心が第2地盤改良体1Bの延伸方向の中心軸(つまりX2)と略一致するように配置して、掘削機24を下降させる。これにより、第2地盤改良体1Bの軸心に溝中心が合された掘削溝Gが形成され始める。この掘削において、掘削機24は、互いに隣り合う先行エレメントEAの短辺側端部を掘削(切削)すると共にこの互いに隣り合う先行エレメントEA間の中間領域S2を掘削して、後行エレメント用の掘削溝Gを得る。これにより、第2地盤改良体1Bの造成径D2より大きい溝幅W1及び地中連続壁Eの壁厚tと略一致する溝厚さt1を有し、その溝中心を第2地盤改良体1Bの延伸方向の中心軸(X2)と合わせて形成され、且つ、支持層G2に達する掘削溝Gが形成される。この掘削溝Gを構成する溝壁のうち短辺方向の2つの溝壁は、それぞれ先行エレメントEAの短辺側端部の掘削(切削)面からなる。また、この掘削溝Gを構成する溝壁のうち長辺方向の2つの溝壁は、その両端部分については第1地盤改良体1Aの掘削面からなり、それ以外の部分部については第2地盤改良体1Bの掘削面からなる。その後、隣接する中間領域S2を含む掘削予定領域において掘削溝Gの掘削を順次繰り返して、図17及び図18に示すように、後行エレメントEB用の掘削溝Gの形成を完了させる。なお、鉄筋籠30の幅は先行エレメントEAのエレメント幅Wより適宜小さく設定され、短辺側端部の切削時に、鉄筋籠30を切削することがないように構成されている。
ここで、掘削溝Gが中心軸(X2)に沿って形成された第2地盤改良体1Bは、適宜箇所にその壁厚が最小となる薄肉部を有する。なお、薄肉部厚さT(T2)及び造成径D(D2)の設定手順と、薄肉部厚さTと第2地盤改良体1Bの一軸圧縮強さquとの関係については、後に詳述する。
図19は薄肉部厚さT及び造成径Dの設定手順を説明するためのフロー図であり、図20は一軸圧縮強さquと薄肉部厚さTとの関係を示す図である。
また、例えば、掘削溝G及び地盤改良体1の鉛直方向の傾きや、掘削溝の寸法精度や、地盤改良体1の造成径精度等の掘削溝G及び地盤改良体1の施工精度に基づいて、施工可能な最小の壁厚である最小壁厚Tminを設定する。ここでは最小壁厚Tmin=50mmとする。
そして、STEP14において、上記地盤改良体1の許容強度範囲R1と必要安全率Fsとに基づいて、安全壁厚範囲R2を設定する。具体的には、図20に示す地盤改良体1の薄肉部厚さTと一軸圧縮強さquとの関係線Lin1において、許容強度範囲R1の下限値R1minと上限値R1maxにそれぞれ対応する薄肉部厚さTの下限値と上限値を求める。図22では、安全壁厚範囲R2の下限値R2minは120mmとなり、安全壁厚範囲R2の上限値R2maxは200mmとなる。この安全壁厚範囲R2内(つまり、R2max≧T≧R2min)で薄肉部厚さTを設定することにより、必要安全率Fsを満足させることができる。ここで、図20から分かるように、一軸圧縮強さquが小さい場合、薄肉部厚さTを大きくすると必要安全率Fsを満足させることができ、一軸圧縮強さquが大きい場合、薄肉部厚さTは小さくても必要安全率を満足させることができる。
このようにして、薄肉部厚さTは、掘削装置20の掘削力と地盤の強度とに応じて定める地盤改良体1の許容強度範囲R1と、掘削溝Gの溝壁崩壊についての必要安全率Fsとに基づいて定める安全壁厚範囲R2内で定める。
なお、安全壁厚範囲R2の上限値R2maxが最小壁厚Tminより小さい(STEP15:NO)場合は、最小壁厚Tminが少なくとも安全壁厚範囲R2の上限値R2max以下になるように、例えば、地盤改良体造成装置10のロッド12や掘削装置20の掘削機24の位置決めをより厳密に管理する等して最小壁厚Tminを下げ、施工精度を向上させればよい(STEP15’)。
詳しくは、本実施形態において、薄肉部厚さTは、施工壁厚範囲(=安全壁厚範囲R2)R3内、つまり、120mm〜200mmの範囲内で定めた。第1地盤改良体1Aの造成径D3は、第2地盤改良体1Bの造成径D2より小さくなるように設定した。
ここで、造成径D(D2,D3)が大きくなるほど地盤改良体1の施工費が高くなるが、施工現場における総合的な施工精度等を考慮すると、造成径Dを大きくした方が余裕を持って施工することができる。
このようにして、最終的な薄肉部厚さT(T3,T2)及び造成径D(D3,D2)の値を設定して、溝壁防護を目的とした地盤改良体1の施工仕様を決定する。
これにより、先行エレメントEA用の各掘削溝Gは、既に造成されている地盤改良体1A内を掘削することにより形成でき、後行エレメントEB用の各掘削溝Gは、既に造成されている地盤改良体1A,1Bと、既に形成されている互いに隣り合う先行エレメントEAの短辺側端部とを掘削することにより形成することができる。したがって、例えば、各地盤改良体強度を、その地盤改良体1や先行エレメントEAを掘削する掘削装置20の能力や工法等に応じて周囲の地盤よりも適宜高めに設定するだけで、各掘削溝Gの溝壁の安定化を図ることができるため、地中連続壁構築中における溝壁の崩壊を防止することができる。
そして、地中連続壁Eの構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であっても、単に小型の削孔機により地盤改良体造成装置10のロッド12を挿入可能な小径のガイドホールGHを掘削し、そのガイドホールGHにロッド12を順次挿入してジェット流Jを噴射させつつロッドを回転及び引き上げるだけで、地中連続壁Eの構築予定箇所に周囲の地盤よりも適宜強度を高めた地盤改良体1を予め構築(造成)することができる。なお、ガイドホールGHや掘削溝Gを形成するための機械及び工法は、それぞれ、各掘削溝Gの掘削予定領域の地面からその上空に存在する構造物までの高さに応じて、本実施形態のように、適宜の機械及び工法を採用すればよい。
なお、例えば、地盤に掘削溝を直接削孔しつつ、安定液を供給して溝壁の崩壊を抑制する工法が一般的に知られている。しかし、この工法であっても、地盤の地下水位が比較的高い場合や、掘削装置による掘削溝内への安定液の供給量と吸引量のアンバランスが一時的に生じた場合等においては、溝壁が崩壊する可能性が高い。一方、本実施形態においては、掘削溝Gを形成する工程に先立って地盤改良体1を造成しているため、掘削溝Gの溝壁の崩壊リスクを完全に排除することができる。
さらに、本実施形態では、薄肉部厚さTは、安全壁厚範囲R2のうちの、掘削溝G及び地盤改良体1の施工精度に応じて定める最小壁厚Tmin以上の範囲である施工壁厚範囲R3内で定められている。これにより、施工精度を考慮して、薄肉部厚さTを設定することができる。
例えば、図21に示すように、各地盤改良体1(1A,1B)は、それぞれ半円の断面形状を有していてもよい。この場合、例えば、第1地盤改良体1Aの鉛直方向に延びる側面と第2地盤改良体1Bの鉛直方向に延びる側面とが一列に揃うように、各地盤改良体1(1A,1B)を配置するとよい。また、図示を省略するが、円形や半円に限らず、扇形であってもよいし、扇形中心で反転させて2つの扇形が一体となったリボン形であってもよいし、矩形状であってもよい。矩形状の場合は、例えば、単位領域毎の造成において、ガイドホールGHを複数個所に設けて造成すればよい。また、各地盤改良体1(1A,1B)は、複数の小地盤改良体を互いに一部重ねて一体的に形成されてなるものでもよい。
また、第1地盤改良体1Aと第2地盤改良体1Bとは互いに相似形であるものとしたが、これに限らず、互いに異なる種類の断面形状(円形、半円、扇形、リボン形、矩形、団子状等)を採用してもよい。例えば、図22に示すように、第1地盤改良体1Aとしては、複数の円が一部重なり合って一体となった団子状の断面形状を採用し、第2地盤改良体1Bとしては、円形の断面形状を採用してもよい。
また、各第1地盤改良体1Aにおいても異なる種類の形状及び大きさの改良体を採用してもよいし、各第2地盤改良体1Bにおいても同様である。
また、本実施形態において、第1地盤改良体1A及び第2地盤改良体1Bはそれぞれ一定の間隔(ピッチ)で配置されるものとしたが、これに限らず、不等間隔で配置してもよい。
Claims (6)
- 地中に間隔をおいて掘削される先行エレメント用の各掘削溝内に先行エレメントを形成した後、互いに隣り合う前記先行エレメントの端部を掘削すると共に該先行エレメント間の中間領域を掘削して得られる後行エレメント用の各掘削溝内に後行エレメントを形成して地中連続壁を構築する地中連続壁構築方法であって、
一つの前記先行エレメント用の前記掘削溝の掘削予定領域と、一つの前記中間領域とを、それぞれ単位領域とし、
前記先行エレメント用の前記掘削溝の掘削に先立って、前記単位領域が内部に位置する地盤改良体を、前記単位領域毎にそれぞれ造成する造成工程を含み、
前記単位領域毎の前記造成工程では、
前記地中に鉛直方向に延伸するボーリング孔を形成し、
円筒状の先端ロッドと、当該先端ロッドの先端部側に設けられるノズルと、前記先端ロッドの基端部側に順次継ぎ足される延長ロッドと、を有するロッドを前記ボーリング孔に挿入し、
固化材と水を含む液体を前記ノズルから半径方向外方に向けて噴射しつつ、前記ロッドを回転させると共に、前記ロッドを引き上げて、前記ボーリング孔より大径であり且つ前記地盤より強度の高い前記地盤改良体を造成する、地中連続壁構築方法。 - 前記地盤改良体は、前記地中連続壁の構築方向に沿って一列に配列される、請求項1に記載の地中連続壁構築方法。
- 前記中間領域用の前記地盤改良体と、前記先行エレメント用の前記地盤改良体とを、互いに一部重複させて造成する、請求項1又は2に記載の地中連続壁構築方法。
- 前記各掘削溝内に、予め分割して形成された鉄筋籠を順次継ぎ足して建て込むと共にセメント系材料を打設して、前記先行エレメント又は前記後行エレメントを形成する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の地中連続壁構築方法。
- 前記各掘削溝内に、予め分割して形成されたコンクリート製部材又は鋼製部材を順次継ぎ足して建て込み、
前記各掘削溝の溝壁と前記建て込まれた前記コンクリート製部材又は鋼製部材との間に、セメント系材料を充填して、前記先行エレメント又は前記後行エレメントを形成する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の地中連続壁構築方法。 - 前記掘削溝の形成後の前記地盤改良体は、その壁厚が最小となる薄肉部を有し、
前記薄肉部の厚さは、前記掘削溝を形成する掘削装置の掘削力と地盤の強度とに応じて定める前記地盤改良体の許容強度範囲と、前記掘削溝の溝壁崩壊についての必要安全率とに基づいて定める安全壁厚範囲内で定められる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の地中連続壁構築方法。
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