JP2019167750A - 高圧噴射攪拌工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】改良体の径が深度によって変化してしまうおそれがなく、しかも施行期間が長くなるのを避けることができる高圧噴射攪拌工法を提供する。【解決手段】先端にビット114が備わる注入管113で地盤Gを削孔して注入管113を地盤Gに挿入する削孔工程と、地盤Gに挿入された注入管113を軸回りに回転させながら引き上げる過程で硬化材を高圧噴射して地盤Gに改良体Sを造成する造成工程とを有し、削孔工程において所定の深度毎に削孔データを取得し、この削孔データに基づいて地盤Gの性状を推定し、この推定に基づいて造成工程における注入管113の引上げ速度、注入管113の回転速度、硬化材の噴射量、及び硬化材の噴射圧のいずれか1つ以上を変化させることを特徴とする高圧噴射攪拌工法である。【選択図】図1

Description

本発明は、高圧噴射攪拌工法に関するものである。
高圧噴射攪拌工法とは、例えば、セメント系の硬化材を地盤に高圧噴射して改良体を造成する工法であり、高圧噴射注入工法などと呼ばれることもある。高圧噴射攪拌工法は、地盤改良のために広く採用されており、古くはCCP工法(ケミカルチャーニングパイル工法)等が存在したが、近年では、同工法に対する要求の多様化から、例えば、CJG工法(コラムジェットグラウト工法)、クロスジェット工法、スーパージェットグラウト工法、スーパーミディジェットグラウト工法、JSG工法、RJP工法(ロジンジェットパイル工法)等の様々な工法が存在するに至っている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)。これらの工法は、改良体の径や強度、排泥量、処理速度等の要求に基づいて、選択採用されており、いずれの工法においても日々改良が進んでいる。
しかしながら、改良体を造成する地盤の性状は、深度に応じて、例えば、細粒土、砂質土、礫質土、岩、空洞などと様々に変化する。したがって、造成作業の条件が同一であると、改良体の径が深度によって変化してしまうおそれがあり、目標とする改良径に足らなかったり、目標とする改良径を超えて硬化材の無駄が生じたりするおそれがある。そこで、この問題を防ぐためには、試験削孔を行って地盤の性状を把握しておき、把握した地盤の性状に基づいて造成作業の条件を変化させる等の対策が必要になる。しかしながら、試験削孔を行った地盤の性状と改良体を造成する地盤の性状とは必ずしも一致しないため、正確性に欠けることになる。また、試験削孔を必要とするが故に施工期間が長くなる。
特開2000−290991号公報 特開2005−113647号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、改良体の径が深度によって変化してしまうおそれがなく、しかも施行期間が長くなるのを避けることができる高圧噴射攪拌工法を提供することにある。
上記課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(請求項1に記載の手段)
先端にビットが備わる注入管で地盤を削孔して前記注入管を前記地盤に挿入する削孔工程と、前記地盤に挿入された前記注入管を軸回りに回転させながら引き上げる過程で硬化材を高圧噴射して前記地盤に改良体を造成する造成工程とを有し、
前記削孔工程において所定の深度毎に削孔データを取得し、この削孔データに基づいて前記地盤の性状を推定し、この推定に基づいて前記造成工程における前記注入管の引上げ速度、前記注入管の回転速度、前記硬化材の噴射量、及び前記硬化材の噴射圧のいずれか1つ以上を変化させる、
ことを特徴とする高圧噴射攪拌工法。
(請求項2に記載の手段)
前記削孔工程において前記注入管に送水を行い、
前記削孔データとして、前記送水の送水圧、前記ビットの深度、前記ビットの回転トルク、前記ビットの推進力、前記ビットの保持力、及び前記ビットの回転数を取得する、
請求項1に記載の高圧噴射攪拌工法。
(請求項3に記載の手段)
前記注入管として上側噴射孔及び下側噴射孔が備わる注入管を用い、
前記上側噴射孔から高圧水のみ、高圧水及びこの高圧水を包囲する圧縮空気、硬化材のみ、又は硬化材及びこの硬化材を包囲する圧縮空気を噴射し、
前記下側噴射孔から硬化材のみ、硬化材及びこの硬化材を包囲する圧縮空気、又は硬化材、この硬化材を包囲する圧縮空気及び反応材を噴射する、
請求項1又は請求項2に記載の高圧噴射攪拌工法。
本発明によると、改良体の径が深度によって変化してしまうおそれがなく、しかも施工期間が長くなるのを避けることができる高圧噴射攪拌工法となる。
本形態の高圧噴射攪拌工法に使用するシステムの概略図である。 削孔データ記録装置の構成図である。 地質区分推定装置の構成図である。 注入管のモニター部分の縦断面図及び横断面図である。 造成工程の説明図である。 地盤強度推定装置の構成図である。 造成方法(工程)の形態例を示す説明図である。
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は、本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
本形態の高圧噴射攪拌工法は、削孔工程と、これに続く造成工程とを有する。削孔工程においては、先端にビットが備わる自穿孔型の注入管によって地盤を削孔し、注入管を地盤に挿入する。そして、この際に地盤の性状を調査する。また、造成工程においては、地盤に挿入されている注入管を軸回りに回転させながら引き上げ、この引上げの過程で硬化材を高圧噴射することによって地盤に改良体を造成する。この際、注入管の引上げ速度、注入管の回転速度、硬化材の噴射量、及び硬化材の噴射圧のいずれか1つ以上を、削孔工程において知るに至った地盤の性状に基づいて変化させる。したがって、地盤の性状が深度毎に変化するとしても改良体の径が深度毎に変化してしまうおそれがない。しかも、地盤の性状を調べる別途の工程(施工)が必要にならないため、施行期間が長くなるのを避けることができる。以下、詳細に説明する。
(削孔工程)
図1に模式的に示すように、本形態の高圧噴射攪拌工法に使用するシステムには、地盤Gの削孔及び改良体S(図5参照)の造成を行う削孔・造成装置100と、削孔データ等に基づいて地盤Gの性状(地質区分)を推定する推定装置200とが備わる。
削孔・造成装置100には、注入管113、削孔機本体111、送水ポンプ120、各種センサー130a〜130f、記録装置140等が主に備わる。
注入管113は、削孔機本体111の近傍においてドリフター112によって吊り下げられている。注入管113は、ドリフター112によって回転駆動及び上下動される。注入管113の先端には、地盤Gを削孔するビット114が備わる。注入管113及びビット114が適宜回転、打撃等されることによって地盤Gが削孔され、注入管113が地盤Gに挿入される。この注入管113を地盤Gに挿入する過程で各種センサー130a〜130fを使用して削孔データを取得する。
各種センサー130a〜130fとしては、深度センサー130a、圧力センサー130b〜130e、及び回転数センサー130fが備わる。
深度センサー130aは、上下動するドリフター112の移動量を検出して削孔深度(m)を検出するセンサーである。深度センサー130aは、注入管113をガイドするガイドセル115の上部に搭載されている。削孔深度は、削孔データの取得時における削孔口からの削孔深度である。
圧力センサー130bは、送水ポンプ120の送水圧(MPa)を検出するセンサーである。送水ポンプ120は、通常、注入管113の近傍に配置される。圧力センサー130bは、送水ポンプ120又は送水ポンプ120から注入管113に至る送水管120aに備えられている。送水ポンプ120からの送水は、例えば、掘削土砂を地上に排泥するために行われる。
圧力センサー130cは、注入管113(ビット114)の回転トルク(MPa)を検出するセンサーである。圧力センサー130cは、削孔機本体111に搭載されている。回転トルクは、注入管113(ビット114)を回転させるために必要な油圧機構の駆動圧である。本形態において回転トルクは、注入管113(ビット114)を回転させるための油圧機構の駆動圧を検出することによって間接的に求めているが、ビット114や注入管113の周面に歪み計等のセンサーを設け、回転トルクを直接的に検出することもできる。
圧力センサー130dは、ドリフター112(ビット114)の推進力(MPa)を検出するセンサーである。この推進力は、ドリフター112(ビット114)を推し進めるために必要な油圧機構の駆動圧である。圧力センサー130dは、削孔機本体111に搭載されている。
圧力センサー130eは、ドリフター112(ビット114)を推し進める油圧機構の背圧(保持力(MPa))を検出するセンサーである。圧力センサー130eは、削孔機本体111に搭載されている。圧力センサー130eからの保持力と圧力センサー130dからの推進力との差が、ドリフター112(ビット114)の実質的な推進力(ビット荷重)である。本実施の形態においては、推進力と保持力との差からビット114の実質的な推進力を求めているが、ビット114に荷重計等のセンサーを設け、ビット114の推進力を直接的に検出することもできる。
回転数センサー130fは、注入管113(ビット114)の回転数(歯数)を検出するセンサーである。回転数センサー130fは、ドリフター112に搭載されている。回転数は、単位深度当りのビット回転機構の駆動ギヤ歯数である。
各種センサー130a〜130fによって取得された削孔データは、記録装置140に記録される。この記録装置140は、削孔機本体111に搭載されている。
記録装置140には、図2に示すように、パルスカウンタ141,147、タイマ142、及びA/Dコンバータ143〜146が備わる。
パルスカウンタ141は、削孔データ(検出値)を取得するタイミングを与えるものである。取得タイミングは、例えば、5〜10mmの深度間隔で、好ましくは5mmの深度間隔で与えられる。
記録装置140においては、深度センサー130aからの検出信号がパルスカウンタ141によってカウントされ、削孔深度(m)データとして記録される。また、圧力センサー130bからの検出信号は、A/Dコンバータ143によってデジタル信号に変換されたうえで送水圧(MPa)データとして記録される。また、圧力センサー130cからの検出信号は、A/Dコンバータ144によってデジタル信号に変換されたうえで回転トルク(MPa)データとして記録される。また、圧力センサー130dからの検出信号は、A/Dコンバータ145によってデジタル信号に変換されたうえで推進力(MPa)データとして記録される。また、圧力センサー130eからの検出信号は、A/Dコンバータ146によってデジタル信号に変換されたうえで保持力(MPa)データとして記録される。また、回転数センサー130fからの検出信号は、パルスカウンタ147によってカウントされ、回転数データとして記録される。また、記録装置140においては、タイマ142によって削孔時間が計測され、削孔時間データとして記録される。なお、削孔時間は、単位深度当りの削孔所要時間である。
以上のようにして記録装置140に記録された削孔深度毎の削孔データは、無線通信、有線通信によって、あるいはメモリーカード(MD)、フロッピーディスク(FD)、MO、CD−ROM等の記録媒体を介して推定装置200に送られる。なお、本形態の削孔データには、削孔深度(m)、送水圧(MPa)、回転トルク(MPa)、推進力(MPa)、保持力(MPa)、回転数(歯数)のほか、削孔時間(s)が少なくとも含まれている。
なお、本形態においては、注入管113の挿入口(削孔口)に空堀Gxが形成されている。この空堀Gxは、削孔の際に排出される排泥を一時的に蓄えるために地盤Gの表面に形成されたものである。
次に、図3に基づいて削孔データに基づいて地盤Gの性状を、本形態では地質区分を推定する地盤性状(地質区分)の推定装置200について説明する。
本形態の推定装置200には、削孔データの収集記録装置10、教師データの生成装置20、ニューラルネットワーク学習装置30、及び地質区分を判別する地質区分判別装置40が備わる。
削孔データの収集記録装置10は、各種センサー130a〜130fによって取得された削孔データを記録する装置である。収集記録装置10に記録された削孔データは、地質区分判別装置40に送られる。この地質区分判別装置40においては、ニューラルネットワーク学習装置30によって生成されたニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32を利用する等して地質区分判別が行われ、地層(地質区分)データが生成される。
ここで、ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32の生成方法について説明する。なお、ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32の生成は、本形態の高圧噴射攪拌工法に必須のものではない。既存のニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32が存在する場合は、当該基準32を利用すればよく、通常は既存の基準32を利用することになり、ここに本工法においては施工期間が長くなるのを避けることができるとする理由がある。
本形態においては、ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32を生成するために、教師データ生成装置20が存在する。教師データ生成装置20は、ニューラルネットワーク学習装置30で使用する教師データファイル24を生成するための装置である。
教師データファイル24は、後述する試験削孔データに基づいて作成した教師入力パターン24inと当該教師入力パターン24inに対応した地質区分を教示する教師出力パターン24outとから構成される。
教師出力パターン24outは、次の手順で導き出すことができる。まず、適宜の場所、好ましくは削孔ポイント(本形態の工法によって改良体Sを造成する場所)の近傍(調査ポイント)において調査ボーリング(土質試料サンプリング)を行う。この調査ボーリングによって調査ポイントにおける深度毎の地質情報(詳細地質区分)を取得する。なお、詳細地質区分とは、地質を細かく分類した詳細な地質区分である。この詳細地質区分は、例えば、地質柱状図とされる。
調査ボーリングによって取得された詳細地質区分は、変換テーブル23を用いて4〜8の区分に分類された地質区分期待値に変換する。この4〜8の地質区分期待値としては、例えば、以下を例示することができる。
4区分:細粒土、砂質土、礫質土、岩
5区分:細粒土、砂質土、礫質土、岩、空洞
6区分:細粒土(2分割)、砂質土、礫質土、岩、空洞
7区分:細粒土、砂質土、砂、礫質土、礫、岩、空洞
8区分:細粒土(2分割)、砂質土、砂、礫質土、礫、岩、空洞
一方、調査ボーリングと同時に、又は前後して、調査ポイント近傍の1又は複数のポイント(試験ポイント)において試験削孔を行い、試験削孔データを取得する。この試験削孔における削孔は、本形態の工法における削孔工程の削孔と同様とすることができる。
調査ポイントにおける地質区分期待値と試験ポイントにおける試験削孔データとが取得されたら、地質区分期待値及び試験削孔データを深度毎に比較し、試験削孔データと地質区分期待値とを対応付ける。なお、試験削孔データのデータ項目(パラメータ)は、本形態の削孔工程において取得する削孔データのデータ項目と同様であり、削孔深度(m)、送水圧(MPa)、回転トルク(MPa)、推進力(MPa)、保持力(MPa)、回転数(歯数)、削孔時間(s)が少なくとも含まれているのが好ましい。また、本形態においては、地質区分期待値を取得するために調査ボーリングを行うとしているが、調査ポイント又はその近傍の詳細地質区分又は地質区分期待値が存在する場合は、その既存の詳細地質区分又は地質区分期待値を使用することもできる。
以上のようにして試験削孔データ及び地質区分期待値を取得し、これらのデータに基づいて教師データファイル24を生成したら、当該教師データファイル24をニューラルネットワーク学習装置30に送る。ニューラルネットワーク学習装置30は、教師データ生成装置20によって生成された教師データファイル24の各(深度毎の)教師入力パターン24inを入力層に入力した際に、当該各教師入力パターン24inに対応した教師出力パターン24outが出力層から出力されるように、ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32をバックプロパゲーション学習31によって構築する装置である。
ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32は、一般的な階層型ニューラルネットワークである。ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32の入力層は、試験削孔データのパラメータとして選択された、削孔深度、送水圧、回転トルク、推進力、保持力、回転数、削孔時間のパラメータにそれぞれ対応した7つのユニットから構成される。また、ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32の出力層は、細粒土、砂質土、礫質土、岩、空洞の5つの地質区分にそれぞれ対応した5つのユニットから構成される。なお、土(地盤)は大きく分けて、細粒土、砂質土及び礫質土の3種類に区分され、細粒土は2種類に分類することができ、砂質土は砂に分割することができ、礫質土は礫に分割することができる。これらの分類に、岩と空洞とを加味することで、前述したように4区分〜8区分に区分けすることができる。
地質区分判別装置40においては、以上のようにして構築されたニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32に基づいて地層判別(地質区分の判別)が行われ、地質(地質区分)データが得られる。具体的には、例えば、削孔データに基づいて作成した入力パターン(例えば、0.5,0.3,0.1,0.8,0.4,1.2,3.2)をニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32の入力層に入力すると、その出力層から出力パターン(例えば、0.9,0.1,0.1,0.1,0.1)が得られ、この出力パターンから地質データが得られる。
以上では、調査ボーリング及び試験削孔を行ってニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32を作成し、このニューラルネットワーク(地質区分判別基準)32を利用して削孔データから地質データを取得する形態を説明したが、前述したとおり、既知の地質区分判別基準等が存在する場合は、当該地質区分判別基準に基づき、削孔データから地質データを取得することもできる。
また、以上では、土の区分(地質区分)を基準として地盤の性状を判断する例を示したが、一軸圧縮強度を基準として地盤の性状を判断することもできる。そこで、以下では、地盤Gの一軸圧縮強度を推定する場合の例を説明する。
本形態においては、図6に示すように、地質区分の推定装置200に代えて地盤強度の推定装置300を使用する。この地盤強度の推定装置300は、各種センサー130a〜130fによって得られた削孔データに基づいて地盤Gの一軸圧縮強度を推定する装置である。地盤強度の推定装置300には、削孔データの収集記録装置301と、強度換算装置302とが備わる。
削孔データの収集記録装置301は、削孔・造成装置100から送られてきた削孔データを記録する装置である。削孔データの収集記録装置301に記録された削孔データは、強度換算装置302に送られ、一軸圧縮強度に換算される。一軸圧縮強度を換算するにあたっては、次の地盤強度推定式を用いることができる。
qu=α・{(ビット荷重・削孔時間)/ビット断面積}+β・{(回転トルク・回転数)/(削孔速度・ビット断面積)}+c
但し、quは一軸圧縮強度、α(=1.7〜2.2),β(=0.02〜0.024),c(=0.27〜0.32)は係数である。また、削孔速度(m/h)={3600・データ収集深度間隔(mm)}/(1000・削孔時間)である。ビット荷重(kg)=ビット断面積・(推進力−保持力)+ドリフター重量+注入管重量である。
地盤強度推定式によって得られた一軸圧縮強度は、最終的な地質データとなる。
本方法においては、注入管113を地盤Gに挿入する際に取得した削孔データを使用して注入管113の引上げ速度、注入管113の回転速度、硬化材の噴射量、硬化材の噴射圧等を決定するための地質データを取得することになるため、調査ボーリングや試験削孔等が不要になる。したがって、改良体Sを造成するにあたり高い精度が要求されない場合は本形態を、高い精度が要求される場合は前述した地質区分を利用して地質データを取得する形態を採用するとよい。もちろん、既知のニューラルネットワーク(地質区分判別基準)等が存在する場合は調査ボーリングや試験削孔等が不要であるため、当該ニューラルネットワーク(地質区分判別基準)等を利用するのが好ましい。
(造成工程)
以上のようにして削孔工程において地質データを取得したら、この地質データを利用して造成工程を進めることになる。以下、造成工程において改良体Sを造成する場合を説明する。
まず、本形態の造成工程においては、図4に示す注入管113Aを使用する。なお、本図においては、注入管113Aの先端部、いわゆるモニター部のみを示している。また、本形態の高圧噴射攪拌工法は、削孔工程及び造成工程を連続して行う工法であり、削孔工程において地盤の性状を調査することで施工が長期化するのを避けるものである。したがって、造成工程において注入管113Aを使用する本形態においては、削孔工程においても注入管113Aを使用していることが前提になる。さらに、詳細は後述するが、この注入管113Aを使用する以下で示す方法は、本発明の一例であり、様々な変形例が可能(例えば、二重管、三重管等の使用)であることに注意を要する。
本形態の注入管113Aは、4本の筒体84,85,86,87によって構成される四重管ロッドからなる。注入管113Aの先端部(モニター部)には、高圧水W及び圧縮空気Aを噴射する上段部80と、硬化材C及び反応材Rを噴射する下段部90とが備わる。
高圧水Wは、図示しない貯留槽に貯留され、この貯留槽から送水ポンプ120によって送水管120a内を送水された後、注入管113Aの第3の流路83aに送られてくる(供給される)。また、圧縮空気Aは、図示しないコンプレッサによって、圧送ホース等を通して注入管113Aの第4の流路83bに送られてくる。さらに、硬化材Cは、図示しないスラリープラントにおいて、セメントサイロから送られてきたセメントと高圧水Wの貯留槽から送られてきた水との混合により生成され、このスラリープラントから超高圧ポンプ等によって第1の流路83cに送られてくる(供給される)。同様に、反応材Rは、適宜のプラントから超高圧ポンプ等によって第2の流路83dに送られてくる(供給される)。
上段部80の側面(周面)には、図4の(a)及び(b)に示すように、第1噴射孔82aと、第1噴射孔82aの外周部に設けられた第2噴射孔82bとからなる上側噴射孔82が設けられている。第1噴射孔82aは、筒体85と筒体86との間に形成された第3の流路83aと連通している。第2噴射孔82bは、筒体86と筒体87との間に形成された第4の流路83bと連通している。第3の流路83aは、高圧水Wの流路とされている。第4の流路83bは、圧縮空気Aの流路とされている。上側噴射孔82からは、圧縮空気Aに包囲された高圧水Wが噴射される。
一方、下段部90の側面(周面)には、図4の(a)及び(c)に示すように、注入管113Aの回転方向を基準として反応材Rの噴射孔90aが硬化材Cの噴射孔90bの下流側(回転方向前方)となるように、かつ同じ高さとなるように、硬化材Cの噴射孔90b及び反応材Rの噴射孔90aが近接して設けられている。硬化材Cの噴射孔90b及び反応材Rの噴射孔90aは、それぞれ第1の流路83c又は第2の流路83dと連通している。硬化材C及び反応材Rは、それぞれ第1の流路83c又は第2の流路83dを経由して硬化材Cの噴射孔90b又は反応材Rの噴射孔90aから同時に噴射される。
ただし、反応材Rの噴射圧力は、硬化材Cの噴射圧力よりも小さい方が好ましい。本実施の形態においては、硬化材Cの噴射圧力を30〜60MPaとするのに対して、反応材Rの噴射圧力を10MPa程度としている。また、噴射時のバランスをとるために、硬化材Cの噴射孔90b及び反応材Rの噴射孔90aからなる下側噴射孔は、上側噴射孔82に対して、平断面視で注入管113Aの反対側に位置させている。
次に、図5に基づいて、注入管113Aを使用した造成工程の施工手順について説明する。
まず、図5の(1)に示すように、地盤Gに注入管113Aが挿入された状態において、圧縮空気Aに包囲された高圧水Wを上段部90に備わる上側噴射孔82から噴射しつつ、注入管113Aを引き上げながら地盤Gを切削する。この切削に際しては、例えば、高圧水Wの噴射圧力を30〜60MPa、圧縮空気Aの噴射圧力を1MPa程度とすることができる。この方法においては、高圧水Wと共に圧縮空気Aが噴射されるため、効果的にエアリフト効果が働き、排泥が空堀Gxに円滑に排出されるとの利点がある。
この段階における注入管113Aの引上げ速度や注入管113Aの回転速度等は、地盤Gの性状(地質区分、一軸圧縮強度等の地質データ)に基づいて変化させることもできるが、改良体Sの径に対する影響が小さいため、一定としてもよい。注入管113Aの引上げ速度を一定とする場合は、例えば、引上げ速度を2〜40分/m、回転速度を1〜20回転/分(2.5cmの引上げピッチで1回転する回転速度)とすることができる。
圧縮空気Aに包囲された高圧水Wを上側噴射孔82から噴射しつつ注入管113Aを引き上げながら、下段部90に備わる硬化材Cの噴射孔90bと反応材Rの噴射孔90aが切削地盤Gs(圧縮空気Aに包囲された高圧水Wによって切削された地盤)の下端部に達したら、図5の(2)に示すように、下段部90の下側噴射孔から切削地盤Gs中に硬化材C及び反応材Rを噴射する。本形態においては、反応材Rの噴射孔90aが硬化材Cの噴射孔90bよりも注入管113Aの回転方向の下流側で、かつほぼ同じ高さに近接して配置されているので、反応材Rの噴射後、ほぼ同じ位置で直ちに硬化材Cが噴射されることになる。その結果、反応材Rを巻き込んで硬化材Cが噴射されるようになり、反応材Rが硬化材Cと確実かつ速やかに混合され、硬化材Cが早期に硬化する。
硬化材Cとしては、例えば、セメント系固化材スラリー等を使用することができる。また、反応材Rとしては、例えば、水ガラス系の珪酸ソーダ等を使用することができる。さらに、前述したように、硬化材Cの噴射圧力は30〜60MPa、反応材Rの噴射圧力は10MPa程度とすることができる。
以後、図5の(3)に示すように、注入管113Aを引き上げながら、圧縮空気Aに包囲された高圧水Wを上端部80に備わる上側噴射孔82から噴射しつつ、下段部90に備わる硬化材Cの噴射孔90bと反応材Rの噴射孔90aとから硬化材C及び反応材Rをそれぞれ噴射する。これにより、円柱状の改良体Sを造成していく。
ただし、硬化材Cの噴射を開始してからの注入管113Aの引上げ速度、注入管113Aの回転速度、硬化材の噴射量や硬化材の噴射圧のいずれか1つ以上は、前述した地盤Gの性状(地質区分、一軸圧縮強度等の地質データ)に基づいて適宜変化させる。具体的には、硬化材Cの切削・混合が容易であり、硬化材Cが注入管113Aから遠方まで到達すると予想される地層(地層区分。例えば、緩い砂層など。)の場合は、注入管113Aの引上げ速度や注入管113Aの回転速度を速くし、他方、硬化材Cが浸透し難く、硬化材Cが注入管113Aから遠方まで到達しないと予想される地層(地層区分。例えば、締まった砂層や砂礫層、高粘着力層など。)の場合は、注入管113Aの引上げ速度や注入管113Aの回転速度を遅くする。このように注入管113Aの引上げ速度を変化させることで、改良体Sの径が一定になる。なお、以上のような調整は、硬化材Cの配合を変化させて対応することを否定する趣旨ではない。
さらに、上側噴射孔82が改良を予定する地盤Gの上端部に達したら、高圧水W及び圧縮空気Aの噴射を停止する。そして、図5の(4)に示すように、硬化材Cの噴射孔90b及び反応材Rの噴射孔90aが改良を予定する地盤Gの上端部に達するまで硬化材C及び反応材Rを噴射して改良体Sの造成を行う。
なお、高圧水Wを噴射して地盤Gを切削するにあたっては、高圧水Wの噴射圧力が大きいほど、高圧水Wの単位時間当たりの噴射量が少なくて足りることが知見されている。また、地盤Gの切削径を大きくするためには、高圧水Wの噴射圧力や高圧水Wの単位時間当たりの噴射量を大きくしなければならないことも知見されている。同様に、改良体Sの径を大きくするためには、硬化材Cの噴射圧力や硬化材Cの単位深さ当たりの噴射量を大きくしなければならないことも知見されている。しかしながら、硬化材Cの噴射圧力を変化させるには、技術的に可能であるが、装置ないしシステムを複雑化する必要がある。そこで、本形態においては、注入管113Aの引上げ速度等を変化させるとし、もって硬化材Cの単位深さ当たりの噴射量を変化させ、改良体Sの径を変化させるというものである。つまり、本形態は、上記の経験則に基づき、注入管113Aの引上げ速度等を変化させることで地盤Gの性状が変化しても改良体Sの径が一定になるように制御しようとするものである。
硬化材C及び反応材Rの確実かつ速やかな混合という観点からは、硬化材Cの噴射孔90b及び反応材Rの噴射孔90aを平断面視でほぼ同じ位置とし、かつ硬化材Cの噴射孔90bの上方に反応材Rの噴射孔90aを設けるという形態も採用することができる。この際、硬化材Cの噴射孔90bと反応材Rの噴射孔90aとの上下方向に関する離間距離は、注入管113Aの引上げピッチの整数倍にするのが好ましい。なお、一般的な段階的ピッチ引上げ方法を採用する場合(通常は、2.5cmピッチ)、硬化材Cの噴射孔90bと反応材Rの噴射孔90aとの離間距離は1ピッチ分の距離が好ましく、螺旋状に引き上げる場合も、当該離間距離はその螺旋形状の1ピッチ分の距離が好ましい。
本形態においては、注入管113Aを連続的に一方向に回転させて円柱状の改良体Sを造成する。ただし、改良体Sは、例えば、扇形柱状等の円柱状以外の形状であってもよい。改良体Sを扇形柱状とする場合は、注入管113Aを所定範囲の角度で正逆回転させて造成する方法、注入管113Aを本形態のように一方向に回転させつつ、その中で所定角度の範囲だけ硬化材Cを噴射して造成する方法等を採用することができる。
注入管113Aを正逆回転させる方法を採用する場合は、反応材Rの噴射孔90aと硬化材Cの噴射孔90bを上下に配置する前述した形態をそのまま適用することができる。これに対し、反応材Rの噴射孔90aと硬化材Cの噴射孔90bを同じ高さに配置する前述した形態を採用する場合は、反応材Rの噴射孔90aを挟んで硬化材Cの噴射孔90bを2箇所設けるか、あるいは硬化材Cの噴射孔90bを挟んで反応材Rの噴射孔90aを2箇所設けるかして、反応材R又は硬化材Cの噴射を、2箇所の噴射孔間で切替え操作する必要がある。
一方、注入管113Aを一方向に回転させつつ、その中で所定角度の範囲だけ硬化材Cを噴射する方法を採用する場合は、所定角度の範囲だけ硬化材Cや反応材Rが噴射されるように操作する必要がある。
以上の形態においては、上段部80から高圧水W及び圧縮空気Aを噴射し、下段部90から硬化材C及び反応材Rを噴射するものであった。しかしながら、上段部80及び下段部90からいかなる噴射材を噴射するかは適宜変更することができ、例えば、上段部80から高圧水Wのみを噴射し、あるいは何も噴射せず(もちろん、上段部80自体を設けない場合を含む。)、あるいは硬化材のみを噴射し、あるいは硬化材及びこの硬化材を包囲する圧縮空気を噴射し、他方、下段部90から硬化材Cのみを噴射し、あるいは硬化材C及び圧縮空気Aを噴射し(通常、圧縮空気Aによって硬化材Cを包囲する。)、あるいは硬化材C、これを包囲する圧縮空気A、及び反応材Rを噴射する形態などとすることができる。
なお、上段部80から噴射する高圧水Wは、注入管113Aの周辺部に存在する土砂を緩め、あるいは泥状化する役割を有する。この高圧水Wの噴射においては、前述したように圧縮空気Aも噴射することができるが、圧縮空気Aを噴射しない形態にもエアリフト効果による過剰な排泥が抑制されるとの利点が存在する。また、下段部90から圧縮空気Aを噴射する形態は、硬化材Cの到達距離が延びるという利点を有するが、下段部90から圧縮空気Aを噴射しない形態には、硬化材Cのエアリフト効果が弱まるため、硬化材Cの無駄を防ぐことができるとの利点がある。
前述した上段部80から高圧水W及び圧縮空気Aを噴射し、かつ下段部90から硬化材C及び反応材Rを噴射する形態においては、注入管113Aとして四重管ロッドを使用したが、上記したように噴射材を適宜変化させる場合は、当該変化の態様に応じて注入管113を二重管ロッド、三重管ロッド等の重管ロッドに変えることができる。
また、前述した上段部80から高圧水W及び圧縮空気Aを噴射し、かつ下段部90から硬化材C及び反応材Rを噴射する形態においては、高圧水W及び圧縮空気Aを一方側方へ噴射し、硬化材C及び反応材Rを注入管113Aを挟んだ他方側方へ噴射したが、この噴射方向も適宜変えることができる。具体的には、図7の(1)に示すように、上段部80からの噴射材及び下段部90からの噴射材の少なくともいずれか一方を、注入管113を挟んだ両側方へ噴射することもできる。なお、図示例では、上段部80からの噴射材及び下段部90からの噴射材の両方を、注入管113を挟んだ両側方へ噴射するものとしている。
さらに、以上では切削地盤Gsの径及び改良体Sの径が同一となる例を示したが、図7の(2)に示すように、噴射圧力を適宜調整して改良体Sの径が切削地盤Gsの径よりも大径となるようにすることもできる。
このように改良体Sの径が切削地盤Gsの径よりも大径となるようにする場合においては、例えば、切削地盤Gsの径を0.8〜1.2mとし、改良体Sの径を2.8〜3.8mとすると好適である。このようにバランスに設定すると、排泥量が相対的に少ない状態で目標とする径の改良体Sを造成することができる。
以上において高圧水Wとしては水以外の成分(薬剤)が含まれない高圧水を使用することができるが、必要ならば、切削領域における孔壁保持性や硬化材Cとの混合容易性の観点から高圧水に増粘剤を添加したものを高圧水Wとして使用することもできる。また、高圧水Wには、分散剤を添加することもできる。分散剤の添加量は、例えば、地盤1m3当たり、1〜5kgとすることができる。なお、本形態においては、高圧水に増粘剤や分散剤を添加したものも高圧水Wに含まれる。
高圧水に増粘剤を添加する場合は、高圧水Wの粘度が100〜750mPa・sとなるように調整するとよい。粘度が100mPa・s未満であると、切削領域における孔壁保持効果が十分に得られないおそれがある。他方、粘度が750mPa・s超であると、硬化材Cが目標域まで到達せず、エアリフト効果によって上方へ逸走し、掘削土砂と一緒に排出されてしまうおそれがある。
切削地盤Gsの径を改良体Sの径よりも小径とする場合、高圧水Wの噴射圧力は、例えば、15〜40MPaとすることができる。噴射圧力が低すぎると、下段部90における硬化材Cの噴射による改良体Sの径との関係で、注入管113の引上げに伴う先行する削孔径(切削地盤Gsの径)が十分でなくなるおそれがある。他方、噴射圧力が高すぎると、地盤Gを乱し過ぎて過剰な排泥となるおそれがある。
以上の場合、高圧水Wの吐出量は、例えば、50〜200リットル/分とすることができる。高圧水Wを注入管113を挟んで両側方へ噴射する場合は、各側方への噴射量を、25〜100リットル/分、より好ましくは35〜75リットル/分とすることができる。高圧水Wの噴射量は、上記した噴射圧力と共に切削地盤Gsの径を規定し、また、下段部90から噴射した硬化材Cがリフトする際にこれを希釈し、硬化材Cを希薄な排泥とする機能を有する。このような観点から、高圧水Wの噴射量の下限が規定される。一方、高圧水Wの噴射量が大きすぎると、切削地盤Gsの径が過大となってしまい、余分な排泥をもたらすおそれがある。
なお、以上における高圧水Wの吐出(供給)圧や吐出(供給)量は、削孔データに基づいて変化させることができる。
下段部90から両側方へ噴射材を噴射する場合、その噴射方向は、図7の(1)及び(2)に示すように、いずれをも水平方向にすることもできるが、図7の(3)に示すように、一方側方への噴射位置と他方側方への噴射位置とを上下方向に関して異なる位置とし、かつ上側の噴射を所定角度斜め下方向に、下側の噴射を水平方向にするのも好ましい形態である。この形態においては、水平方向の噴射による改良面を、斜め下方向の噴射線が賽の目状に切削することになり、特に粘性土での改良に際して、きめ細かく全体を改良することができる。すなわち、改良の対象になる地盤全体を均質に乱しながら硬化材Cに置換、攪拌、混合することができる。一方側方への噴射位置と他方側方への噴射位置との上下方向に関する離間距離は、10cm〜50cmとするのが好ましい。また、上側の噴射における水平面との傾斜角度は、5度〜20度とするのが好ましい。さらに、例えば、地盤中に構造物等が存在する場合は、注入管113の下方に切削不可能な領域を存在させないために、下側の噴射孔を斜め下向きに、例えば、5度〜20度の角度を付けて設けることもできる。
硬化材Cを注入管113の両側方へ噴射する場合、それぞれの噴射量は、例えば、90〜300リットル/分、好ましくは110〜140リットル/分とすることができる。また、噴射圧力は、例えば、25〜50MPa、好ましくは35〜45MPaとすることができる。
圧縮空気Aによって硬化材Cを包囲する場合、圧縮空気Aの噴射量は、例えば、5〜18m3/分、好ましくは6〜8m3/分とすることができる。また、圧縮空気Aの噴射圧力は、例えば、1.05MPa以上とすることができる。この場合、コンプレッサは上限が7kg/cm2タイプのものではなく、より高圧の圧力で送給できる高圧タイプのものを用い、8〜12kg/cm2程度の圧力を保持するのが望ましい。
硬化材Cとしては、目標域への確実な注入及び上方への逸送防止という観点から、水/セメント比100〜200のセメントスラリーに増粘剤を添加したものを使用するのが好ましい。また、硬化材Cの粘度は、好ましくは10〜2000mPa・s、より好ましくは20〜500mPa・sである。硬化材Cの粘度が150mPa・s未満であると、硬化材Cが上方へ逸走し易く、排泥が硬化材Cの混じりものになってしまうおそれがある。他方、硬化材Cの粘度が2000mPa・sを超えると、使用する増粘剤の添加量が過剰となりコスト高になると共に粘性が高すぎて硬化材Cの圧送ラインで閉塞トラブルが発生し易くなる。以上の粘度の調整は、増粘剤の添加によるほか、セメント比の調整によっても行うことができる。
硬化材Cに添加する増粘剤としては、例えば、セルロース系、アクリル系、天然高分子系、繊維状鉱物系、層状鉱物系のものなどを使用することができる。
(その他)
詳細な説明はしないが、通常、ビット114には第1の流路83cを通して送られてきた削孔水を吐出する吐出口が形成されている。削孔工程においては、この吐出口から削孔水が吐出される。
削孔工程において地上部に排出された排泥は、空堀Gxに一時的に蓄えられ。この空堀Gxに蓄えられる排泥のスピード(速度)から排泥の流量を測定することができる。なお、排泥は、この空堀Gxからバキューム車などによって吸い上げられ、搬出される。この際、排泥は、図示しない脱水装置等によって土砂分と液状分とに分離し、分離した液状分をさらに凝集処理し、削孔水や高圧水Wとして再利用することもできる。
本発明は、硬化材を地盤に高圧噴射して地盤中に改良体を造成する高圧噴射攪拌工法として利用可能である。
10 削孔データの収集記録装置
20 教師データの生成装置
24 教師データファイル
30 ニューラルネットワーク学習装置
31 バックプロパゲーション学習
32 ニューラルネットワーク(地層判別基準)
40 地質区分判別装置
80 上段部
82 上側噴射孔
82a 第1噴射孔
82b 第2噴射孔
83a 第3の流路
83b 第4の流路
83c 第1の流路
83d 第2の流路
84,85,86,87 筒体
90 下段部
90a 反応材の噴射孔
90b 硬化材の噴射孔
100 削孔・造成装置
111 削孔機本体
112 ドリフター
113,113A 注入管
114 ビット
115 ガイドセル
120 送水ポンプ
120a 送水管
130a 深度センサー
130b〜130e 圧力センサー
130f 回転数センサー
140 記録装置
141,147 パルスカウンタ
142 タイマ
143〜146 A/Dコンバータ
200 地質区分の推定装置
300 地盤強度の推定装置
301 収集記録装置
302 強度換算装置
A 圧縮空気
C 硬化材
G 地盤
Gs 切削地盤
Gx 空堀
R 反応材
S 改良体
W 高圧水

Claims (3)

  1. 先端にビットが備わる注入管で地盤を削孔して前記注入管を前記地盤に挿入する削孔工程と、前記地盤に挿入された前記注入管を軸回りに回転させながら引き上げる過程で硬化材を高圧噴射して前記地盤に改良体を造成する造成工程とを有し、
    前記削孔工程において所定の深度毎に削孔データを取得し、この削孔データに基づいて前記地盤の性状を推定し、この推定に基づいて前記造成工程における前記注入管の引上げ速度、前記注入管の回転速度、前記硬化材の噴射量、及び前記硬化材の噴射圧のいずれか1つ以上を変化させる、
    ことを特徴とする高圧噴射攪拌工法。
  2. 前記削孔工程において前記注入管に送水を行い、
    前記削孔データとして、前記送水の送水圧、前記ビットの深度、前記ビットの回転トルク、前記ビットの推進力、前記ビットの保持力、及び前記ビットの回転数を取得する、
    請求項1に記載の高圧噴射攪拌工法。
  3. 前記注入管として上側噴射孔及び下側噴射孔が備わる注入管を用い、
    前記上側噴射孔から高圧水のみ、高圧水及びこの高圧水を包囲する圧縮空気、硬化材のみ、又は硬化材及びこの硬化材を包囲する圧縮空気を噴射し、
    前記下側噴射孔から硬化材のみ、硬化材及びこの硬化材を包囲する圧縮空気、又は硬化材、この硬化材を包囲する圧縮空気及び反応材を噴射する、
    請求項1又は請求項2に記載の高圧噴射攪拌工法。
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