JP4796197B2 - 地盤改良体の構築装置、及び地盤改良体の構築方法 - Google Patents

地盤改良体の構築装置、及び地盤改良体の構築方法 Download PDF

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本発明は地盤改良体の構築装置及び地盤改良体の構築方法に係わり、特に軟弱地盤の改良に好適な構築装置及び構築方法に関する。
一般に、軟弱地盤上に建設される建物は杭基礎によって支持され、建築物の軟弱地盤対策は各種の杭基礎に依存している。しかし、軟弱地盤では、杭の埋設深度が深くなることから建築物の規模が小さい場合には、杭基礎を用いるよりも地盤改良工法を用いた方がコスト面で有利な場合もある。
従来、このような地盤改良工法として、掘削時にセメントミルクなどの固化材を注入しながら、攪拌翼によって機械的に土と固化材とを混合し、コラム状の改良体を構築する工法が知られている。このような工法の一例として、特開2008−127812号公報(特許文献1)記載の発明が公知である。
図7は同文献記載の地盤改良装置の要部を示した図である。同図に示されるように、同公報記載の発明に係る地盤改良装置は、固化材の吐出口を設けた中空ロッド100、該中空ロッド100とともに回転する掘削翼102並びに攪拌翼104,106、該中空ロッド100に対し回転自在に取り付けられた共回り防止翼108等を備えている。粘土層などの粘着力の大きい粘性土を掘削するような場合に、攪拌翼104,106の回転に伴って掘削土も回転しようとする。
一方、特許文献1記載の共回り防止翼108は、中空ロッド100に回転自在に取り付けられていることから、攪拌翼104,106と一緒に回転することがないとともに、且つ共回り防止翼108は掘進時に地盤に食い込んだ状態となるため、やはり掘削土と同時に回転することはなく、且つ、共回り防止翼108によって掘削土を掘進時に縦方向に分割し、掘削土の固まりを小さくすることが可能である。その結果、固化材と掘削土とを、より均一に混練・攪拌することを可能ならしめ、地盤改良作業を効率的に行いうるとされている。
特開2008−127812号公報
前述した特許文献1記載の「地盤改良装置」に関する発明は、確かに、共回り防止翼108を地盤に圧入する際に、掘削土を掘進方向に分割しながら掘り進むため、掘削土をある程度細かくしながら攪拌作業を行うことが可能である。
しかしながら、粘土層や有機質を多く地盤では、依然として固化材を掘削土に対し、十分に混練・攪拌することが難しく、分割された掘削土を基礎杭の構成物として用いるには万全とはいえない。
つまり、掘進時に周囲の地盤を、地盤改良体の構造体の一部として利用する場合は、土砂を固化材に対し十二分に混練・攪拌することによって地盤改良体となる杭体の強度を確保することが求められるが、特許文献1記載の地盤改良装置は、地盤中の構成物と固化材との混練する場合に、掘進方向に分割することができたとしても、有機質を多量に含む泥炭層などの粘性土では、攪拌翼104,106の回転とともに固まり状の土砂が共回りしてしまい、固化材と均一に混合することが難しいという課題があった。
また、特許文献1記載の「地盤改良装置」の場合、地盤改良体を構成する土砂として不適な例えば泥炭などの不良土砂を取り除くことができないために、構築される改良体の強度を十分に確保することが難しく、適用可能な地盤が限定されるという課題があった。
本発明は、このような諸事情に対処するために提案されたものであって、地盤改良体を構築するに際し、掘進時に生じる掘削土と、固化材とを十分に混練・攪拌することにより一定以上の強度を有する杭状又はラップル状の改良体を構築することが可能な地盤改良体の構築装置、及び構築方法を提供することを目的とする。
加えて、粘性土などの不良土砂の置換を速やかに行うことが可能な構築装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、回転可能に配設されたロッドを備え、掘削用のビットを該ロッドの下部に設けるとともに、該ビットの上方位置に該ビットから連続して形成された螺旋状の攪拌翼を取り付け、該攪拌翼の一部に掘削時の土砂を上下に移動可能とする切り欠き部を設け、或いは該切欠き部に加えて又は代替して単一又は複数の小孔を穿設し、前記ロッドを回転させることによって先端のビットにより地盤を掘削するとともに固化材を掘削孔に投入し、前記螺旋状の攪拌翼の回転に伴って掘削土を攪拌しながら固化材と混練し、且つ該攪拌翼の切り欠き部及び小孔のうち、双方又はいずか一方から土砂を移動させて上下方向のせん断力を土砂に加えるようにしてなる構築装置を使用して地盤の改良を行う地盤改良体の構築方法であって、地盤改良を行う対象地盤を掘進して掘削孔を形成するとともに、該掘削孔の頭部より固化材を投入しながら前記ビット及び攪拌翼を正転させつつ上下動を反復することによって、掘削土を攪拌して固化材と混練し、且つ該攪拌翼の切り欠き部から土砂を移動させて上下方向のせん断力を土砂に加える掘進・攪拌を行う掘進攪拌工程と、前記掘削孔内において掘削深度まで掘進した後、地盤改良体の先端部まで前記ビット及び攪拌翼の上下動を繰り返す仕上工程とを具備したことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、上記1項において、前記仕上工程の終了後、前記ビット及び攪拌翼を正転又は逆転させながら、前記掘削孔から該ビット及び攪拌翼を引き抜く引き抜き工程を行うことを特徴としている。
上述のように、各請求項記載の発明によれば、掘削孔内にて、攪拌翼により掘削土を攪拌しながら固化材と混練し、且つ攪拌翼の切り欠き部から土砂を移動させて上下方向のせん断力を土砂に加えながら地盤改良体を構築するようにしている。このため、掘削土と固化材とを十二分に攪拌・混練することが可能となり、地盤改良体を構築するに際し、均一で一定強度の改良体の構築が可能となる。また、共回り防止翼が不要となり、装置全体の構造の簡素化を図ることができる。
本発明の第1の実施形態に係る地盤改良体の構築装置の概略構成を示す斜視図である。 同じく、本発明の第1の実施形態に係る地盤改良体の構築装置の要部である攪拌翼を拡大して示す要部斜視図である。 同じく、本発明の第1の実施形態に係る地盤改良体の構築装置の要部である攪拌翼の掘削孔内における状態を示す説明図である。 同じく、本発明の第1の実施形態に係る地盤改良体の構築装置によりコラム状の杭基礎を構築する場合の施工手順を示す説明図である。 同じく、本発明の第1の実施形態に係る地盤改良体の構築装置によりコラム状の杭基礎を構築する場合の攪拌翼等の作用の概略を示す説明図である。 同じく、本発明の第1の実施形態に係る地盤改良体の構築装置の要部である攪拌翼による掘削土の攪拌・混練状況を示す説明図である。 従来の地盤改良装置の要部を示した図である。
以下、本発明に係る地盤改良体の構築装置の好適な実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る地盤改良体の構築装置の概略構成を示す斜視図、図2は本発明の第1の実施形態に係る地盤改良体の構築装置の要部である攪拌翼を拡大して示す要部斜視図である。図1に示されるように、地盤改良体の構築装置10は、バックホー12と、ロッド14と、ビット16と、攪拌翼18等とを備えて構成されている。
バックホー12には、ロッド14を回転駆動する駆動源として油圧モータ或いは電動モータが搭載され、バックホー12に鉛直に立設されたロッド14を回転させることができるようになっている。なお、本実施形態では、掘削作業を行う建設機械として、バックホー12を用いているが、これに限らず、建柱車、ラフタークレーン、小型クローラなどの建設機械を利用することも可能である。
図2に示されるように、ロッド14の最下部にはビット16が設置され、ロッド14が回転することによりビット16が、地盤を掘削するようになっている。
ビット16の上方のロッド14には、螺旋状の攪拌翼18(18A,18B,18C・・)が取り付けられており、攪拌翼18は、その一部に切り欠き部20A,20B,20Cが形成されている。また、攪拌翼18Eには小窓状の小孔21が穿設されている。
図3は掘削孔22に挿入された攪拌翼18の状態を示す説明図であり、同図に示されるように、攪拌翼18はスパイラル状の翼がロッド14に取り付けられて形成され、先端のビット16から螺旋状の2枚の攪拌翼18A,18Bが連続形成され、掘削ビットを兼用した形状となっている。また、ビット16の上方に3枚の攪拌翼18C,18D,18Eを有し、合計5枚の羽根を有している。これらの攪拌翼18によって掘進するに従い、掘削土を上方へ導きながら掘り進むことができるようになっている。
また、攪拌翼18に設けられた切り欠き部20A,20B,20Cは、掘削孔の内部にて、掘進時に生じる掘削土を切り欠き部20A,20B,20Cから強制的に上方へ移動・通過させる。これによって掘削土に対し回転力の他、上下方向へのせん断力を作用させ、回転力とせん断力の双方の相乗効果によって結果的に掘削土を細かく磨りつぶしながら掘進する。掘削中は、セメントミルクなどの固化材が、図示しないスラリーミキシングプラントから掘削孔22内に供給され、固化材と掘削土との混練・攪拌を行い、掘削孔22に地盤改良体である基礎杭を、掘削作業と併せて構築する。
また、小孔21からも掘削土や固化材の上方又は下方への通過を促し、切り欠き部20A,20B,20Cと同様に、せん断力による混練・攪拌を促進することが可能である。なお、小孔21は切り欠き部20A,20B,20Cに代替して単一又は複数の小孔21のみを攪拌翼18に設ける場合、単一又は複数の小孔21を切り欠き部20A,20B,20Cとともに設ける場合、単一又は複数の小孔21のみを設ける場合の3通りが考えられる。小孔21のみを設けた場合は、攪拌翼18の剛性を確保することができる。
次いで、上記のように構成した本実施形態の地盤改良体の構築装置を使用した地盤改良体の構築方法について説明する。
図4は地盤改良体の構築装置10によりコラム状の杭基礎を構築する場合の施工手順を示す説明図、図5は掘削孔22における攪拌翼18等の作用の概略を示す説明図、図6は攪拌翼18による掘削土の攪拌・混練状況を示す説明図である。
本実施形態の地盤改良体の構築装置10による地盤改良体の構築方法は、基本的に、排土工程、スラリー吐出・掘進・上下反復攪拌工程(以下、「掘進攪拌工程」と略す。)、仕上工程、引上げ工程、改良体頭部処理工程の5段階から構成される。
図4並びに図5の説明図は横軸を時間、縦軸を掘削時の深度を表示している。図4に示されるように、排土工程(先行堀り)では構築しようとする地盤に対し、その表土を取り除き、地盤改良体の計画高さまでビット16並びに攪拌翼18によって掘削し、攪拌翼18によって土砂を取り除く。そして、芯出しを行ってロッド14の角度を調整した後、掘進攪拌工程に移行する。
なお、掘進攪拌工程の前に、地盤改良体が支持される所定の深度まで試験堀を行い、地層の状態を確認する試験堀工程を付加することもある。この場合は、例えば途中の地盤に泥炭層などの有機物、粘性土などを含む不良地盤が発見された際は、構築装置10のスパイラル(螺旋)状の攪拌翼18に土砂を引っ掛けるようにして持ち上げ、不良土砂を取り除いた後に、次工程である掘進攪拌工程に移行する。セメントミルクとの水和反応を阻害する不良土砂などを取り除くことによって、一様且つ均一な材質の地盤改良体を構築することが可能となる。
掘進攪拌工程では、掘削孔22の頭部より、別途設置されているスラリーミキシングプラントから、固化材であるセメントミルクを投入しながら行う。セメントミルクは、掘進攪拌工程の進捗状況に併せて規定量を随時補給しながら投入していく。
掘進攪拌工程中、掘削孔22内はセメントミルクで満たされた状態が維持され、従来のビット先端から吐出する場合と比較し、掘削孔22内を粘性の低いセメントミルクが常時満たされた状態に保持することが可能となる。これにより、攪拌翼18による土砂とセメントミルクとの攪拌効率の向上を図ることができる。
掘進攪拌工程では、図4に示されるように、ロッド14を正転(時計回り)させながら、1m毎の上下攪拌・掘進を標準とし、上下動を数回繰り返しながら、掘削孔22内にて、掘削土と固化材とを混合・攪拌する。本工程では3回の上下攪拌を繰り返し、回転力とせん断力の双方の相乗効果によって結果的に掘削土を細かく磨りつぶしながら掘進する。
具体的には、図6(a)に示されるように、ロッド14を下降させる掘削時には、掘削土を攪拌翼18により上方へ移動させるとともに、その切り欠き部20A,20B,20Cによって掘削土にせん断力を付加することによって細かくする。
そして、図6(b)に示されるように、混練作業時のロッド14を上昇させた際はセメントミルク(固化材)と掘削土とを混合せん断しながら下端部まで落下させるとともに、図6(c)に示されるようにロッド14を下降させる際は、セメントミルクと掘削土とを混合せん断しながら掘削孔22内にて上昇させる。要するに、掘削孔22内において、上下反復を3回ずつ繰り返しながら攪拌混合を繰り返すことによって、掘削土と固化材との混練を十分に行い、砂や粘土を十分に混ぜ込んだ均一且つ一様な地盤改良体を構築するようにしている。
なお、上下反復回数は3回に限られず、地盤の状況などに応じて適宜変更可能である。また、固化材であるセメントミルクの水セメント比(W/C)は原則として、60%〜100%の範囲としている。
本実施形態の改良装置10では、掘削孔22内部の状態を作業者が目視確認し、固化材と掘削土との混合・攪拌状況を把握しながら施工することができるため、混合・攪拌が不十分となることを未然に防止することが可能となる。具体的な基準としては、改良体スラリーに、ほぼ5cm以上の塊がないことを目視確認する。これによって構築された改良体の状況につき、検査治具等による確認が不要となり、作業手間の削減を図ることができる。
地盤改良体の施工に際しての管理項目は、掘削深度並びに固化材の積算流量(総吐出量)、羽根切り回数である。これらのうち、羽根切り回数(R)は以下の計算式により算出される。
R=N×n÷L 〜(1)
N:ロッドの総回転数(回転数×攪拌時間)
n:羽根枚数
L:改良長さ
前述したように、本実施形態では攪拌翼18は翼の羽根枚数(n)は合計5枚、当社施工基準である1mあたりの羽根切り回数(R)を350回とした場合の上記計算式(1)による攪拌時間、回転数の一例を以下に示す。
攪拌時間=羽根切り回数(R)350÷5枚=70(回転/分)
回転数=30(回転/分)
仕上げ工程では、図5及び図6に示されるように、Gレベルから改良体先端部までの上下反復を繰り返した後、引上げ工程に移行する。
引上げ工程では、ロッド14の引き上げ速度2(m/分)、正転又は逆転させながら、掘削孔22から引き抜く。そして、改良体頭部処理工程によって改良体の頭部高さを概ねプラスマイナス20mm程度となるように調整し、一連の構築作業が終了する。
以上説明したように、本実施形態の地盤改良体の構築装置10によれば、従来の改良装置で必要であった共回り防止翼が不要となり、装置全体の構造の簡素化を図ることが可能となった。また、掘進時に生じる掘削土と、固化材とを十分に混練・攪拌することが可能となり、一定以上の強度を有し、且つ均一・一様な地盤改良体を構築することができる。
以上説明したように、本発明によれば、掘削孔内にて、螺旋状の攪拌翼によって掘削土を攪拌しながら固化材と混練し、且つ攪拌翼の切り欠き部から土砂を移動させて上下方向のせん断力を土砂に加えるようにしている。このため、掘削土と固化材とを十二分に攪拌・混練することが可能となり、地盤改良体を構築するに際し、均一で一定強度の改良体の構築が可能である。
10 地盤改良体の構築装置
12 バックホー
14 ロッド
16 ビット
18 18A 18B 18C 18D 18E 攪拌翼
20A 20B 20C 切り欠き部
21 小孔
22 掘削孔

Claims (2)

  1. 回転可能に配設されたロッドを備え、掘削用のビットを該ロッドの下部に設けるとともに、該ビットの上方位置に該ビットから連続して形成された螺旋状の攪拌翼を取り付け、該攪拌翼の一部に掘削時の土砂を上下に移動可能とする切り欠き部を設け、或いは該切欠き部に加えて又は代替して単一又は複数の小孔を穿設し、前記ロッドを回転させることによって先端のビットにより地盤を掘削するとともに固化材を掘削孔に投入し、前記螺旋状の攪拌翼の回転に伴って掘削土を攪拌しながら固化材と混練し、且つ該攪拌翼の切り欠き部及び小孔のうち、双方又はいずか一方から土砂を移動させて上下方向のせん断力を土砂に加えるようにしてなる構築装置を使用して地盤の改良を行う地盤改良体の構築方法であって、
    地盤改良を行う対象地盤を掘進して掘削孔を形成するとともに、該掘削孔の頭部より固化材を投入しながら前記ビット及び攪拌翼を正転させつつ上下動を反復することによって、掘削土を攪拌して固化材と混練し、且つ該攪拌翼の切り欠き部から土砂を移動させて上下方向のせん断力を土砂に加える掘進・攪拌を行う掘進攪拌工程と、
    前記掘削孔内において掘削深度まで掘進した後、地盤改良体の先端部まで前記ビット及び攪拌翼の上下動を繰り返す仕上工程とを具備したことを特徴とする地盤改良体の構築方法。
  2. 前記仕上工程の終了後、前記ビット及び攪拌翼を正転又は逆転させながら、前記掘削孔から該ビット及び攪拌翼を引き抜く引き抜き工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の地盤改良体の構築方法。
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