JP2016113726A - ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素繊維の製造方法において、プロセス性を損なうことなく、炭化収率を高めることが可能なリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を提供すること。【解決手段】沸点または昇華温度が200℃以上であるキノン骨格含有化合物を含有するポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維。【選択図】なし
Description
本発明は、炭化収率を低下させることなく、効率的に炭素繊維を製造する方法およびそれに用いるポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維に関する。
炭素繊維は、環境問題の高まりから複合材料用の強化繊維として、益々その用途が各種方面に拡がり、重要性が高まっている。その一方で、炭素繊維が産業用など汎用用途に適用されるようになると、その特性だけでなく、価格に対する要求も強くなってきている。
最も広く利用されているポリアクリロニトリル系炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維を空気等の酸化性雰囲気で加熱する耐炎化処理と、さらに高温で、窒素等の不活性ガス中で加熱する炭化処理を経て製造される。
ポリアクリロニトリル系炭素繊維は、これら熱処理工程、特に炭化工程で大きく質量が減少し、最終的に得られる炭素繊維の質量は、原料のポリアクリロニトリル系前駆体繊維のおよそ50%程度になる。このような炭化収率の低さから、炭素繊維の生産性は高いものとは言えず、炭素繊維の価格に影響している。
これに対し、炭化収率を向上させる技術が提案されている。特許文献1では、ポリアクリロニトリル前駆体繊維の原料であるアクリロニトリル重合体に硫黄を混合し紡糸、焼成する技術が開示されている。
また、特許文献2、3では、炭素繊維前駆体のアクリル繊維をヨウ素や有機化合物蒸気と接触させることで耐炎化反応を促進し、炭化収率を向上させる技術が開示されている。
さらに、特許文献4では、炭素繊維前駆体のアクリル繊維を酸化性の有機化合物の液体に浸漬させて熱処理することで、炭化収率を向上させる技術が開示されている。
しかし、特許文献1に記載の技術では、硫黄によって重合体の熱安定性を高め、熱分解の程度を抑制することで炭化収率を高めることができているものの、硫黄添加による紡糸原液の安定性低下、耐炎化工程でのH2S、SO2などの有害性硫黄化合物の発生などの問題があり、工業的な技術として適用するのは困難であった。また特許文献2、3に記載の技術では、空気以外のガスを耐炎化処理に用いる場合、炉外へのガスの漏れ出しを防ぐ必要があり、示されている種のガスは有害性のものも含んでいることから、工業的に実現することは困難であった。さらに特許文献4では、特定の熱処理を多量の有機化合物の存在下で行うため、引火の恐れなど安全面に課題があり、工業的な実施は困難であった。
そこで、本発明の目的は、炭素繊維の製造方法において、プロセス性を損なうことなく、炭化収率を高めることが可能なポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、特定の化学構造を有する化合物をあらかじめ含有するポリアクリロニトリル系前駆体繊維を炭素繊維原料として用いることで炭化収率を従来よりも向上させることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は次の構成からなる。
(1)沸点または昇華温度が200℃以上であるキノン骨格含有化合物を含有するポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維。
(2)キノン骨格含有化合物がハロゲンを含有する前記(1)に記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維。
(3)キノン骨格含有化合物がアクリロニトリルに共重合されてなる前記(1)または前記(2)に記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維。
(4)キノン骨格含有化合物の含有量が0.01〜5モル%である前記(1)〜前記(3)のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維。
(5)前記(1)〜前記(4)のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を、180〜300℃の酸化性雰囲気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、次いで1000〜3000℃の不活性雰囲気中において炭化処理する炭素繊維の製造方法。
本発明によれば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維が特定のキノン化合物を含有することにより、炭化工程での熱分解を抑制し、炭化収率を向上させることができる。
本発明のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維は、沸点または昇華温度が200℃以上であるキノン骨格含有化合物を含有することを特徴とする。本発明においては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維がキノン骨格を含有する化合物を含有していることにより、プロセス性を損なわずに炭化収率を高めることができるものである。あらかじめ、キノン骨格がポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維中に含まれていることによって、重合体を繊維化する紡糸工程のプロセス性を確保することができ、また、耐炎化処理工程においても均一かつ安全に耐炎化を完了することが可能となる。
また、キノン骨格含有化合物を含有する重合体を繊維化して、炭素繊維化のための熱処理を施すためには、キノン骨格含有化合物が揮発しにくい化合物であることが必要であるため、本発明で使用されるキノン骨格含有化合物は沸点または昇華温度が200℃以上であり、より好ましくは220℃以上である。沸点または昇華温度が200℃未満であると、炭素繊維製造過程の熱処理によって、成分が揮発してしまい、炭化収率が向上する効果を発現しない。
本発明におけるキノン骨格含有化合物の具体例として、アントラキノン、フェナントレンキノン、ジアントラキノニル、ピレンキノン、ピラントロン、プルプリンなどが例示される。
また、キノン骨格含有化合物にハロゲンを含有したものを用いると、炭化収率が向上する効果がさらに向上する。ハロゲンを含有するキノン骨格含有化合物は、ジクロロベンゾキノン、クロラニル、ブロマニルや上記キノン化合物のハロゲン置換化合物が例示される。
また、本発明のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維におけるキノン骨格含有化合物の含有量は0.01〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.1〜3.5モル%である。0.01モル%未満では、炭化収率を向上させる効果が小さくなり、5モル%を超えると、キノン骨格含有化合物が熱分解する量が多くなるため好ましくない。
本発明において、炭素繊維前駆体繊維はポリアクリロニトリル系重合体からなる。このポリアクリロニトリル系重合体溶液を製造する方法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合など公知の重合方法を選択することができ、均一に重合するという観点からは、溶液重合を用いることが好ましい。溶液重合で行う場合の溶液としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのポリアクリロニトリルが可溶な有機溶媒を用いるのが一般的である。
本発明においては、キノン骨格を含有するモノマーをキノン骨格含有化合物としてアクリロニトリルに共重合させてキノン骨格含有化合物を含有するポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維とすることも好ましい。上記のポリアクリロニトリル系重合体を得る際、共重合成分としてキノン骨格含有モノマーをあらかじめ添加することで、キノン骨格含有化合物が共重合されたポリアクリロニトリル溶液を得ることができる。キノン骨格含有モノマーを共重合させる場合のキノン骨格含有化合物の含有量は、ポリアクリロニトリルのモノマー単位のモル数に対し、0.01〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.1〜3.5モル%である。0.01モル%未満では、炭化収率を向上させる効果が小さくなり、5モル%を超えると、キノン骨格含有化合物が熱分解する量が多くなるため好ましくない。
さらに上記のキノン骨格含有化合物が共重合されたポリアクリロニトリルを重合する際、耐炎化促進のために共重合成分としてアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等もあらかじめ添加することが好ましい。
次に、本発明のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維の製造方法について説明する。
本発明のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維は、前記したポリアクリロニトリル系重合体を用いる。通常、かかる重合体をジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのポリアクリロニトリル可溶な溶媒に溶解し、紡糸原液とする。溶液重合にてポリアクリロニトリル系重合体を得る場合、重合に用いる溶媒と紡糸原液に用いる溶媒を同じものにしておくと、再溶解する工程が不要となり好ましい。紡糸原液中の重合体の濃度は、原液安定性の観点から、10〜40質量%であることが好ましい。
本発明では、紡糸原液を、湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により口金から紡出し、凝固浴に導入して繊維を凝固せしめる。本発明において、前記凝固浴には、紡糸原液に溶媒として用いた、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの溶媒と、いわゆる凝固促進成分を含ませることが好ましい。凝固促進成分としては、前記重合体を溶解せず、かつ紡糸原液に用いる溶媒と相溶性があるものが使用できる。具体的には、水を使用するのが好ましい。
紡出された繊維は、通常、水洗工程で溶媒が除去された後、浴中延伸温度30〜98℃で約2〜6倍に浴中延伸されるが、本発明はこれに限定されない。水洗工程を省略して紡出後、すぐに浴中延伸を行ってから水洗処理しても良い。
浴中延伸工程の後、単繊維同士の接着を防止する意味から、油剤を付与することが好ましい。乾燥工程は、浴中延伸後の糸条をホットドラムなどで乾燥することによって行われるが、乾燥温度および時間等は適宜選択することができる。また、必要に応じて、乾燥緻密化後の糸条を加圧スチーム延伸することも行われる。
得られる炭素繊維前駆体繊維は、通常、連続のマルチフィラメント(束)の形状であり、フィラメント数は好ましくは1,000〜3,000,000本である。
共重合以外の方法でキノン骨格含有化合物をポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維に含有させる場合、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維中にキノン骨格含有化合物を均一に含有させることができればその方法は特に限定はされないが、例えば紡糸原液にキノン骨格含有化合物を混合させる方法、またはポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維をキノン骨格含有化合物を含有する溶液に含浸させて得てもよい。
次に、本発明の炭素繊維の製造方法について説明する。
前記した方法により製造された炭素繊維前駆体繊維を、180〜300℃の酸化性雰囲気中において延伸しながら耐炎化処理した後、300〜800℃の不活性雰囲気中において延伸しながら予備炭化処理し、1000〜3000℃の最高温度の不活性雰囲気中において延伸しながら炭化処理して炭素繊維を製造する。不活性雰囲気に用いられるガスとしては、窒素、アルゴンおよびキセノンなどを例示することができ、経済的な観点からは窒素が好ましく用いられる。
このようにして製造される炭素繊維は、新たな設備を必要とせずに耐炎化工程を高糸条密度化出来るため、スポーツ用途、航空・宇宙用途、ならびに自動車や土木・建築、圧力容器および風車ブレードなどの一般産業用途に好適な炭素繊維を生産性良く製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
(参考例1)
キノン骨格含有化合物を添加しないポリアクリロニトリル溶液は、耐炎化促進成分としてイタコン酸を共重合成分とし、ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法によりアクリロニトリルをラジカル重合させて得た。
キノン骨格含有化合物を添加しないポリアクリロニトリル溶液は、耐炎化促進成分としてイタコン酸を共重合成分とし、ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法によりアクリロニトリルをラジカル重合させて得た。
前記ポリアクリロニトリル溶液を、孔数3,000の紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約5mmの空間を通過させた後、ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸条とした。この凝固糸条を、常法により水洗した後、温水槽を用い3倍の延伸を行い、水浴延伸糸を得た。さらにアミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与した後、水浴延伸糸に、150℃の加熱ローラーを用いて、乾燥緻密化処理を行った。該乾燥緻密化糸を加圧スチーム中で4倍延伸することにより、単繊維繊度1.1dtex、単繊維本数3,000本のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維として得た。
該ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を凍結粉砕して粉末試料を得た。該粉末試料を空気中、240℃で130分間加熱することで耐炎化処理し、粉末状の耐炎化物(粉末耐炎化物)を得た。該粉末耐炎化物について、炭化収率を測定したところ、55.2%となった。ここで、炭化収率は、該粉末耐炎化物を50℃/分で1000℃まで昇温速度を一定にして加熱したときの加熱前の該粉末耐炎化物の質量に対する加熱後の該粉末耐炎化物の残存質量の割合により求めた。
(実施例1)
参考例で得たポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維に対して、該繊維に含まれる全モノマー単位のモル数(参考例1より算出)の0.3モル%のアントラキノン(キノン骨格含有化合物)をジメチルスルホキシドに溶解させた溶液を含浸させた後、120℃、10分間加熱してジメチルスルホキシドのみ蒸発させることで、キノン骨格含有化合物としてアントラキノン0.3モル%を含有するポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を得た。参考例と同様にして炭化収率を求めたところ、61.0%であった。
参考例で得たポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維に対して、該繊維に含まれる全モノマー単位のモル数(参考例1より算出)の0.3モル%のアントラキノン(キノン骨格含有化合物)をジメチルスルホキシドに溶解させた溶液を含浸させた後、120℃、10分間加熱してジメチルスルホキシドのみ蒸発させることで、キノン骨格含有化合物としてアントラキノン0.3モル%を含有するポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を得た。参考例と同様にして炭化収率を求めたところ、61.0%であった。
(実施例2)
キノン骨格含有化合物としてプルプリンを用いた以外は、実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、61.5%であった。
キノン骨格含有化合物としてプルプリンを用いた以外は、実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、61.5%であった。
(実施例3)
キノン骨格含有化合物としてハロゲンを含有するクロラニルを1.1モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、57.6%であった。
キノン骨格含有化合物としてハロゲンを含有するクロラニルを1.1モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、57.6%であった。
(実施例4)
クロラニルの添加量を2.4モル%とした以外は実施例3と同様にして炭化収率を求めたところ、63.3%であった。
クロラニルの添加量を2.4モル%とした以外は実施例3と同様にして炭化収率を求めたところ、63.3%であった。
(実施例5)
キノン骨格含有化合物としてブロマニルを0.7モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、63.5%であった。
キノン骨格含有化合物としてブロマニルを0.7モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、63.5%であった。
(実施例6)
キノン骨格含有化合物としてジクロロベンゾキノンを3.3モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、62.8%であった。
キノン骨格含有化合物としてジクロロベンゾキノンを3.3モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、62.8%であった。
(実施例7)
キノン骨格含有化合物としてジクロロジシアノベンゾキノンを2.6モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、64.8%であった。
キノン骨格含有化合物としてジクロロジシアノベンゾキノンを2.6モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、64.8%であった。
(実施例8)
ジメチルホルムアミド中にアクリロニトリル80質量%とクロラニル20質量%を加え、t−ブチルペルオキシド1.3モル%を添加したのちに110℃で48時間重合を行い、アクリロニトリルおよびクロラニルからなる重合体の溶液を得た。得られた重合体を水で凝固、乾燥させたのち塩素を指標にしてJIS 7229(塩素含有樹脂中の塩素の定量方法)に従い定量化したところ、重合体中のクロラニルの共重合量は、2.5モル%であった。
ジメチルホルムアミド中にアクリロニトリル80質量%とクロラニル20質量%を加え、t−ブチルペルオキシド1.3モル%を添加したのちに110℃で48時間重合を行い、アクリロニトリルおよびクロラニルからなる重合体の溶液を得た。得られた重合体を水で凝固、乾燥させたのち塩素を指標にしてJIS 7229(塩素含有樹脂中の塩素の定量方法)に従い定量化したところ、重合体中のクロラニルの共重合量は、2.5モル%であった。
該重合体溶液から参考例と同様にポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を得て、炭化収率を求めたところ、62.5%であった。
(比較例1)
ジメチルスルホキシドに0.3モル%のアントラキノンを溶解させる代わりにキノン骨格含有化合物ではないフタロニトリルを4.6モル%溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、55.0%であり、炭化収率は向上しなかった。
ジメチルスルホキシドに0.3モル%のアントラキノンを溶解させる代わりにキノン骨格含有化合物ではないフタロニトリルを4.6モル%溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、55.0%であり、炭化収率は向上しなかった。
(比較例2)
キノン骨格含有化合物として沸点が180℃のp−ベンゾキノンを0.5モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、55.0%であり、炭化収率は向上しなかった。
キノン骨格含有化合物として沸点が180℃のp−ベンゾキノンを0.5モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、55.0%であり、炭化収率は向上しなかった。
(比較例3)
p−ベンゾキノンを5.6モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は比較例2と同様にして炭化収率を求めたところ、49.1%であり、炭化収率は低下した。
p−ベンゾキノンを5.6モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は比較例2と同様にして炭化収率を求めたところ、49.1%であり、炭化収率は低下した。
(比較例4)
キノン骨格含有化合物として昇華温度が100℃のナフトキノンを3.7モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、55.0%であり、炭化収率は向上しなかった。
キノン骨格含有化合物として昇華温度が100℃のナフトキノンを3.7モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例1と同様にして炭化収率を求めたところ、55.0%であり、炭化収率は向上しなかった。
(比較例5)
クロラニルを5.7モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例3と同様にして炭化収率を求めたところ、49.0%であり、炭化収率が低下した。
クロラニルを5.7モル%ジメチルスルホキシドに溶解させた以外は実施例3と同様にして炭化収率を求めたところ、49.0%であり、炭化収率が低下した。
(参考例2)
参考例1で得られたポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を4本合糸し、単繊維本数12,000本とし、温度250〜280℃の空気中において延伸しながらで耐炎化処理し、耐炎化繊維を得た。得られた耐炎化繊維を、温度300〜800℃の窒素雰囲気中において延伸しながら予備炭素化処理を行い、予備炭素化繊維を得た。得られた予備炭素化繊維を、窒素雰囲気中において最高温度1400℃で延伸しながら炭素化処理を行い、炭素繊維を得た。
参考例1で得られたポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を4本合糸し、単繊維本数12,000本とし、温度250〜280℃の空気中において延伸しながらで耐炎化処理し、耐炎化繊維を得た。得られた耐炎化繊維を、温度300〜800℃の窒素雰囲気中において延伸しながら予備炭素化処理を行い、予備炭素化繊維を得た。得られた予備炭素化繊維を、窒素雰囲気中において最高温度1400℃で延伸しながら炭素化処理を行い、炭素繊維を得た。
得られた炭素繊維の質量は、耐炎化処理前のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維の質量の49.8%であった。
(実施例9)
実施例6で得たジクロロベンゾキノンを添加したポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維について、参考例2と同様に耐炎化処理、予備炭素化処理、炭素化処理し、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の質量は耐炎化処理前のジクロロベンゾキノンを添加したポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維の質量と比較して59.8%であった。
実施例6で得たジクロロベンゾキノンを添加したポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維について、参考例2と同様に耐炎化処理、予備炭素化処理、炭素化処理し、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の質量は耐炎化処理前のジクロロベンゾキノンを添加したポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維の質量と比較して59.8%であった。
Claims (5)
- 沸点または昇華温度が200℃以上であるキノン骨格含有化合物を含有するポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維。
- キノン骨格含有化合物がハロゲンを含有する請求項1に記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維。
- キノン骨格含有化合物がアクリロニトリルに共重合されてなる請求項1または2に記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維。
- キノン骨格含有化合物の含有量が0.01〜5モル%である請求項1〜3のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を、180〜300℃の酸化性雰囲気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、次いで1000〜3000℃の不活性雰囲気中において炭化処理する炭素繊維の製造方法。
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