JP2016110777A - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[2] 前記プレドープ工程において、前記セルを加圧しながらリチウムプレドープを行う、上記[1]に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
[3] 前記セルを0.3kg/cm2以上6.6kg/cm2の圧力にて加圧する、上記[2]に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
[4] 前記充電工程において、前記セルを0.3kg/cm2以上6.6kg/cm2の圧力にて加圧する、上記[1]〜[3]の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
本実施形態においては、負極活物質層3の体積密度を、リチウムプレドープ前に、0.8g/cm3以上1.5g/cm3以下に調整する。体積密度を調整する方法は特に限定されず、例えば、負極活物質層3が形成された負極集電体2を有する負極4を2枚の平板状冶具の間に挟んで、負極活物質層3の全面を厚み方向に均一に加圧する方法が挙げられる。加圧処理を施した負極4を正極7にセパレータ8を介して積層して、電極積層体を得る。
電極を所定の大きさ(例えば、φ16mm)で打ち抜いた測定試料を複数枚準備する。各測定試料の質量を精密天秤にて秤量し、電極活物質層の質量を測定する。予め測定した集電体の質量を測定結果から差し引くことにより、測定試料中の電極活物質層の質量を算出することができる。また、断面出し加工した測定試料をSEMで観察する公知方法によって、電極活物質層の厚みを測定する。各測定値の平均値から下記式(1)に基づいて、電極活物質層の体積密度を算出することができる。
体積密度(g/cm3)=電極活物質層の質量(g)/[(電極活物質の厚み(cm)×打ち抜いた電極の面積(cm2)]・・・(1)
上記の加圧処理の後、負極4の最外面に位置する負極活物質層3aの表面に第三の有孔導電性板9を重ね置き、該有孔導電性板9を介して更にリチウム供給板10を重ね置いた電極積層体を得て、この電極積層体が電解液14に接した状態でリチウムプレドープを行う。
プレドープ工程の後、セル1の負極集電体2に接続された端子2z及び正極集電体5に接続された端子5zをそれぞれ外部電源に接続してセル1の充電を行う。セル1の充電を初めて行う初回充電時におけるセル1の膨れを抑制するために、セル1を加圧しながら初回充電を行う。加圧の方法は特に限定されず、例えば、プレドープ工程におけるセル1及び負極活物質層3の加圧方法と同じ方法が採用できる。
負極4を構成する第一の有孔導電性板2の材料、面積、及び厚みは特に制限されず、公知のリチウムイオン二次電池の負極集電体と同じ材料、面積、及び厚みが適用可能である。例えば、有孔金属板が好適である。具体的には、例えば、面積40×20cm、厚み5〜50μmのパンチング加工を施した圧延銅箔や電解銅箔等が挙げられる。金属板を構成する金属の種類は特に限定されず、例えば、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等の金属が挙げられる。
リチウムプレドープを行う際に、負極集電体2の片面又は両面に形成された負極活物質層3に対して均一にリチウム金属を拡散させる観点から、負極活物質層3を形成した集電体の領域の全面に亘って均一になるべく多数の貫通孔が配置されていることが好ましい。
正極7を構成する第二の有孔導電性板5の材料、面積、及び厚みは特に制限されず、公知のリチウムイオン二次電池の正極集電体と同じ材料、面積、及び厚みが適用可能である。例えば、有孔金属板が好適である。具体的には、例えば、面積40×20cm、厚み5〜50μmのパンチング加工を施した圧延アルミニウム箔等が挙げられる。金属板を構成する金属の種類は特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等の金属が挙げられる。正極7と負極4の面積が等しいことが好ましいため、第二の有孔導電性板5の面積は、第一の有孔導電性板2の面積と略同等であることが好ましい。
負極4と正極7を対面配置して両電極の短絡を防ぐ目的及び電解液を保持する目的で、両電極の間にセパレータ8を配置して、第一の負極4A(4)、セパレータ8、正極7、セパレータ8、第二の負極4B(4)の順で積層した電極積層体を得る。積層前又は積層後に負極4及び正極7をプレスして、各電極を構成する電極活物質層の体積密度を調整してもよい。
以下、第三の有孔導電性板9及びリチウム供給板10について説明するが、第四の有孔導電性板11及びリチウム供給板12の説明もこれと同じであるため省略する。
第三の有孔導電性板9の空孔率は、例えば、5〜50%が好ましく、10〜35%がより好ましく、10〜20%が更に好ましい。
前記空孔率は、有孔を形成した導電性板と有孔を形成する前の導電性板との質量比から算出する方法で求められる。例えば、前記質量比が1/2である場合の空孔率は50%である。
電極積層体を構成する負極4A,4Bにリチウム供給板10,12を配置した後、電極積層体を外装体13で仮封止する。外装体13の種類は特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に使用される金属製又は樹脂製の外装体が適用できる。電池の形態は特に限定されず、箱型、コイン型、巻回し型(筒型)、シート型等、公知の電池形態を採用できる。本実施形態においては、外装体13として樹脂フィルムを使用して、電極積層体をラミネートしたシート型のラミネートセルを得る。セルを仮封止する際、負極集電体2及び正極集電体5にそれぞれ電気的に接続された引出配線2z,5z(タブ配線)を外装体13の外部に突出させる。各引出配線は、外部回路へ接続するための電極端子として機能する。
本実施形態においては、リチウム供給体にリチウム金属が含まれるので、電解質14としては、水分が実質的に含まれない(例えば、100ppm未満)非水系電解液が好ましい。非水系電解液としては、例えば、非水系溶媒にリチウム塩が溶解された公知の非水系電解液が挙げられる。具体的には、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4等のリチウム塩が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、酢酸メチル、蟻酸メチル等の有機溶媒に溶解された電解液が挙げられる。電解液のリチウム塩濃度は特に限定されず、例えば、0.5〜2mol/L程度が挙げられる。
封止したラミネートセルを所定温度において放置することによって、リチウムプレドープを自然に進行させることができる。この際、ラミネートセルを加圧することにより、リチウムプレドープを更に促進することができる。リチウム供給体10,12から電解液14に溶出したリチウム金属又はリチウムイオンは、有孔導電性板9,11の貫通孔および電極集電体2,5の貫通孔を通過して、各負極活物質層3に拡散及び浸透する。負極活物質層3においては、リチウムシリケート等の副生成物が生成して、不可逆容量の原因物質が不活化されてもよい。
本実施例で使用した原料を以下に示す。
・導電助剤
アセチレンブラック(電気化学工業社製「HS−100」、平均粒子径(48nm))
カーボンナノチューブ(保土谷化学社製「NT−7」、平均繊維径(65nm)、平均繊維長(6um以上))
・バインダー
スチレン−ブタジエン樹脂(以下、「SBR」と略記する)(JSR社製)
・(C)有機溶媒
エチレンカーボネート(以下、「EC」と略記する)(キシダ化学社製)
プロピレンカーボネート(以下、「PC」と略記する)(キシダ化学社製)
(負極材の製造)
一酸化ケイ素(SiO、平均粒子径1μm、69質量部)、アセチレンブラック(10質量部)、カーボンナノチューブ(6質量部)、ポリアクリル酸リチウム(全酸基の30モル%がリチウム塩とされたもの、以下、「PAALi」と略記することがある、12質量部)、及びSBR(3質量部)を試薬瓶に入れ、さらにここに蒸留水を添加して濃度調整した後、ディスパーを用いて、この濃度調整したものを3000rpmで90分間混合した。次いで、超音波ホモジナイザーを用いてこの混合物を10分間分散処理した後、再度、自公転ミキサーを用いてこの分散物を2000rpmで3分間混合することにより、負極材を得た。ここまでの操作は、すべて25℃で行った。
ダイヘッドが装着された塗工機を用いて、厚さ10μmのパンチング銅箔(穴径0.3mm、空孔率16.7%、福田金属箔粉工業社製)の両面に、上記で得られた負極材を塗布した。この際の条件は、塗工速度2m/min、乾燥温度100℃であった。その後、ロールプレス機を用いて、表1の「プレドープ工程前の負極活物質層の体積密度」となるような加圧条件でプレスすることによって、集電体である銅箔上の両面に厚さ、それぞれ25μmの負極活物質層を形成して、負極を得た。得られた負極は、負極活物質層部分(104×62mm)と、未塗工部分(タブ部分、2×2cm)の寸法であった。
前述した方法によって求めた負極活物質層の体積密度は1.0g/cm3であった。
ニッケル・コバルト・マンガン酸リチウム(Ni:Co:Mn=1:1:1、LiNMC)(93質量部)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(4質量部)と、導電助剤であるカーボンブラック(3質量部)とを混合して正極混合材を調製し、これをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させて、正極材(スラリー)を得た。
負極の製造工程と同様に、ダイヘッドが装着された塗工機を用いて、厚さ15μmのパンチングAl箔(穴径0.3mm、空孔率16.7%、福田金属箔粉工業社製)の両面に、上記で得られた正極材を塗布した。この際の条件は、塗工速度2m/min、乾燥温度140℃であった。その後、ロールプレス機を用いて、表1の「プレドープ工程前の負極活物質層の体積密度」となるような加圧条件でプレスすることによって、集電体である銅箔上の両面に厚さ、それぞれ60μmの正極活物質層を形成して、正極を得た。得られた正極は、正極活物質層部分(102×60mm)と、未塗工部分(タブ部分、2×2cm)の寸法であった。
有機溶媒として、EC及びPCの混合溶媒(EC:PC=30:70(体積比))をポリ容器に量り取り、ここにシュウ酸リチウム−三フッ化ホウ素錯体を加えて、シュウ酸リチウム−三フッ化ホウ素錯体中のリチウム原子の濃度が1.0モル/kgとなるようにし、23℃で混合することにより、電解液を得た。
上記で得られた負極及び正極の間にセルロース製セパレータフィルム(日本高度紙工業社製、TBL‐4620)を、第一の負極―セパレータ―正極―セパレータ―第二の負極の順に重ね合せて配置し、各電極の端子用タブを超音波溶接により接合して、各タブを負極及び正極の外方に突出させて、電極積層体を得た(図1参照)。
上記で得られた電極積層体の両方の外面を構成する負極の各々に、106×64mmにカットしたパンチング銅箔を、負極活物質層部分を覆うように重ね置き、さらにその上に、負極の不可逆容量を補償するのに必要な量のリチウム金属箔(104×62mm)を設置した。
次いで、この電極積層体の負極及び正極から突出させた前記端子用タブが外部へ突出するように、アルミニウムラミネートフィルムを配置し、電極積層体に電解液を注液後、このフィルムの外周をラミネート加工して電極積層体を真空封止した。その後、得られたセルを加圧治具にセットし、セルを3.3kg/cm2の力で加圧状態とし、25℃の恒温槽中にて、48h静置することによりリチウムプレドープ処理を行い、ラミネートセルを製造した。作製した電池の定格容量は1000mAhである。
この後、製造したラミネートセルの初回充電を行う際にも、セルを3.3kg/cm2の力で加圧状態とした。
実施例1と同様に組み立てたラミネートセルを、表1に示す加圧状態にして、プレドープ工程と、その後の充電工程を行い、実施例2〜17のラミネートセルを製造した。ただし、リチウムプレドープ前の負極活物質層の体積密度を実施例1と変えて調整する場合には、負極作製時の加圧状態を適宜変更した。また、実施例11〜13は、セルを加圧しない状態でリチウムプレドープを行った。
実施例1と同様に組み立てたラミネートセルを、表1に示す加圧状態にして、プレドープ工程と、その後の充電工程を行い、比較例1〜6のラミネートセルを製造した。ただし、リチウムプレドープ前の負極活物質層の体積密度を実施例1と変えて調整する場合には、負極作製時の加圧状態を適宜変更した。また、比較例1は、セルを加圧しない状態でリチウムプレドープを行った。また、比較例1〜2,4は、セルを加圧しない状態で初回の充電を行った。
作製した各ラミネートセルの厚みについて、リチウムプレドープ前と、初回充電後において測定した。リチウムプレドープ前の厚みを1としたときの初回充電後の厚みの増加率を算出した。この結果を表2に示す。
作製した各リチウムイオン二次電池について、25℃において0.1Cの定電流定電圧充電を、上限電圧4.2Vとして電流値が0.05Cに収束するまで行った後、0.1Cの定電流放電を2.5Vまで行った。次いで、充放電電流を0.5Cとして同様の方法で、充放電サイクルを3回繰り返し行い、リチウムイオン二次電池の状態を安定させた。次いで、充放電電流を0.2Cとして同様の方法で、充放電を行い、容量発現率({[1サイクル目の放電容量(mAh)]/[定格容量(mAh)]}×100)(%)、充放電電流を1Cとして同様の方法で、充放電サイクルを繰り返しおこない100サイクルでの容量維持率({[100サイクル目の放電容量(mAh)]/[1サイクル目の放電容量(mAh)]}×100)(%)を算出した。この結果を表2に示す。
実施例14〜17においても、実施例1〜9と同様に良好な結果が得られている。実施例14〜17の結果から、リチウムプレドープ前の負極活物質層の密度が高くなるにつれて、セル厚みの増加率が上昇し、容量維持率が低下することが分かる。これは、負極活物質層の密度がリチウムプレドープの程度又は効果に影響を与えていることを示している。
一方、比較例1,2,4においては、初回充電時にセルを加圧していないため、充電後のセルの膨らみが大きいことが分かる。また、比較例3(参考例)においては、初回充電時のセルの加圧の程度が少ないため、充電後のセルの膨らみが大きいことが分かる。また、比較例5,6においては、リチウムプレドープ前の負極活物質層の体積密度が過度に高いため、容量維持率が低下し、セルの膨らみの増加率が高いことが分かる。
パンチング箔を使用せずに、電極積層体の両方の外面を構成する負極活物質層の上にセルロース製セパレータフィルム(日本高度紙工業社製、TBL‐4620)を重ね合せて、さらにその上にリチウム金属箔を設置したこと以外は比較例1と同様の方法にてラミネートセルを作製した。なお、本実験においては、48時間のリチウムドープ後にセルを開放すると、リチウム金属箔が残っていることが確認された。また、容量発現率が比較例1よりも劣る結果であった。この結果から、非導電性のセパレータよりも導電性の有孔導電性板を介してリチウム金属箔を負極活物質層の上に配置する方がリチウムプレドープの効率が向上することが分かる。
Claims (4)
- 負極活物質層を有する負極と、正極とを有するセルを備えたリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
前記負極活物質層の体積密度を0.8g/cm3以上1.5g/cm3以下に調整した後、リチウムプレドープを行うプレドープ工程と、前記セルを加圧しながら初回充電を行う充電工程と、を有する、リチウムイオン二次電池の製造方法。 - 前記プレドープ工程において、前記セルを加圧しながらリチウムプレドープを行う、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 前記セルを0.3kg/cm2以上6.6kg/cm2の圧力にて加圧する、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 前記充電工程において、前記セルを0.3kg/cm2以上6.6kg/cm2の圧力にて加圧する、請求項1〜3の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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