JP7118639B2 - 変性セルロース繊維、分散液、多孔質膜、蓄電素子、及び多孔質膜の製造方法 - Google Patents
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Description
変性セルロース繊維は、未変性セルロース繊維が有する水酸基の一部における、水酸基中の水素原子が、水酸基に由来する酸素原子とO-C結合により結合する炭素原子数3以上の有機基、及び/又はオルガノシリル基で置換された繊維である、
変性セルロース繊維である。
変性セルロース繊維0.1gを純水10mLに混合し、次いで30秒間振とうし、さらに30秒静置した場合に、変性セルロース繊維が前記純水に対して浮上する、変性セルロース繊維である。
分散液が、第1の態様、又は第2の態様にかかる変性セルロース繊維と、有機溶剤とを含む、分散液である。
基材上に第3の態様にかかる分散液を塗布して塗布膜を形成する工程と、
塗布膜を乾燥させて多孔質膜を形成する工程と、を備える、多孔質膜の製造方法である。
変性セルロース繊維は、多孔質膜の形成に用いられる変性セルロース繊維である。多孔質膜の形成については、後述の分散液についての説明において詳細に記す。
前述の通り、第1の変性セルロース繊維は、未変性セルロース繊維が有する水酸基の一部における、水酸基中の水素原子が、水酸基に由来する酸素原子とO-C結合により結合する炭素原子数3以上の有機基、及び/又はオルガノシリル基で置換された繊維である、
変性セルロース繊維である。
以下、未変性セルロース繊維が有する水酸基中の水素原子を置換する置換基を、「O-置換基」とも記す。
O-置換基としての有機基の炭素原子数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。O-置換基としての有機基の炭素原子数は、例えば、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下が特に好ましい。
O-置換基同士の立体的な障害が少なく、変性セルロース繊維へのO-置換基の導入が容易であることから、O-置換基としては、環式構造を含まない、直鎖状又は分岐鎖状の有機基が好ましい。
これらの中では、アルコキシアルキル基、シクロアルキルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、アルコキシアリール基、アリールオキシアリール基、アラルキルオキシアリール基、アシル基、及びハロゲン化アルキル基が好ましい。
ハロゲン化アルキル基において、アルキル基が有する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されていればよく、アルキル基が有する水素原子の全ての水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。
炭化水素基の好適な例については、後述する。
-SiRa1Ra2-(-O-SiRa1Ra2-)p-Ra3・・・(A1)
で表される基が挙げられる。
Ra1、Ra2、及びRa3は、それぞれ独立に炭素原子数1以上6以下の炭化水素基であり、pは0以上の整数である。
式(A1)中、pの上限は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。pは、0以上35以下の整数であるのが好ましく、0以上10以下の整数であるのがより好ましい。
また、上記式(A1)で表され、Ra1、Ra2、及びRa3が全てメチル基であり、pが1以上35以下の整数である基も、オルガノシリル基として好ましい。
-(CO)n-R1・・・(1)
(式(1)中、nは0又は1であり、nが0である場合に、R1は、炭素原子数3以上の炭化水素基であり、nが1である場合に、R1は、炭素原子数2以上の炭化水素基である。)
で表される基が好ましい。式(1)で表される基は、nが0である場合に炭化水素基であり、nが1である場合にアシル基である。
つまり、O-置換基としての有機基は、炭化水素基、又はアシル基であるのが好ましい。
R1がシクロアルキル基である場合、シクロアルキル基の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、及びシクロデシル基が挙げられる。
R1がアリール基である場合、アリール基の好適な例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基、及びビフェニリル基が挙げられる。
R1がアラルキル基である場合、アラルキル基の好適な例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフタレン-1-イルメチル基、及びナフタレン-2-イルメチル基等が挙げられる。
O-置換基と、酸素原子との結合がエステル結合である場合、有機酸の酸ハライド(好ましくは酸塩化物)や、有機酸の酸無水物等を用いる周知のアシル化方法により、O-置換基が未変性セルロース繊維に導入される。
O-置換基がオルガノシリル基である場合、例えば、ハロシランやアルコシキシシラン等を用いる周知のシリル化反応により、未変性のセルロース繊維にオルガノシリル基が導入される。
これらのなかでは、針葉樹系パルプと、広葉樹系パルプと、コットンリンター、コットンリント、麦わらパルプ、及びバガスパルプ等の非木材系パルプとが好ましい。
また、天然物からの単離、精製の後に、乾燥されずに湿潤状態で保存されていた天然セルロース繊維を用いるのも好ましい。使用すると、ミクロフィブリルの集束体が膨潤しやすい状態であるため、変性における反応効率が良好であり、分散液の調製時に微細化されやすい。
さらに、天然セルロース繊維は、周知の方法により、リグニン、ヘミセルロース等を低減させる精製を施された溶解パルプであってもよい。また、JIS規格(JIS P 3801:1995、ろ紙(化学分析用))に適合するろ紙の製造に使用される程度に、高度に精製されたセルロースを、変性に供される未変性のセルロース繊維として用いるのも好ましい。
置換度=(N1-N2)/N1
で算出される置換度が0.4以下であるのが好ましい。置換度は、0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましい。
置換度の下限は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換度の下限は例えば、0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.05以上が特に好ましい。
また、O-置換基がアシル基でない場合であっても、1H-NMRスペクトルを測定することで、置換基の含まれる量を算出することができる。
また、未変性セルロース繊維の微細化や解砕の程度によっても、置換度を調整することができる。未変性セルロース繊維が高度に微細化されるほど、未変性セルロース繊維の表面に露出する水酸基量が増加するためである。
前述の通り、第2の変性セルロース繊維は、多孔質膜の形成に用いられる変性セルロース繊維であって、
変性セルロース繊維0.1gを純水10mLに混合し、次いで30秒間振とうし、さらに30秒静置した場合に、変性セルロース繊維が純水に対して浮上する、変性セルロース繊維である。
この場合、未変性セルロース繊維の表面が通常親水性であるため、両親媒性物質の親水性部位がセルロース繊維の表面側に向いた状態で、セルロース繊維の表面に両親媒性物質が付着する。その結果、処理後の変性セルロース繊維の表面には、両親媒性物質の疎水性部位が露出する。
このような、両親媒性物質としては、例えば、国際公開公報第2007/088974号パンフレットに記載される、高圧噴射流の衝突により解砕されたセルロースナノ繊維が挙げられる。
本実施形態の多孔質膜の形成に用いられる分散液は、前述の変性セルロース繊維を含む多孔質膜を形成するために用いられる。
上記の分散液を用いる多孔質膜の形成は、典型的には、基材上に分散液を塗布して塗布膜を形成する工程と、塗布膜を乾燥させる工程と、を含む。
以下、本願明細書において、特段説明がない限り、「分散液」は、「多孔質膜の形成に用いられる分散液」である。
分散液の粘度は、E型粘度計を用いて測定することができる。
分散液の粘度が上記の範囲内である場合、分散液の塗布性が良好であり、また、変性セルロース繊維が分散液中で良好に分散されており、且つ、変性セルロース繊維の分散安定性が良好である。
分散液の粘度は、分散液の固形分濃度を調整したり、有機溶剤の種類を変更したり、分散液中での変性セルロース繊維の分散径を調整したりすることにより調整できる。また、分散液を用いて形成される多孔質膜の特性に著しい悪影響が出ない限りにおいて、分散液に周知の粘度調整剤を加えて分散液の粘度を調整してもよい。
前述の通り、典型的には、上記の分散液を用いる多孔質膜の形成は、基材上に分散液を塗布して塗布膜を形成する工程と、塗布膜を乾燥させて多孔質膜を形成する工程と、を含む。
後述するように、分散液を用いて形成される多孔質膜は、蓄電素子におけるセパレータとして好ましく使用される。この場合、基材は、電極、より詳細には蓄電素子用の電極である。このように電極表面に分散液を塗布して多孔質膜を形成する場合、多孔質膜として電極表面に密着したセパレータが形成され、電極とセパレータとからなる電極複合体が得られる。
電極は、正極であっても負極であってもよい。
電極等の基材の表面に凹凸が存在する場合であっても本実施形態の分散液を適用することができる。このように基材表面に凹凸が存在している場合は、膜厚の均一な塗布膜を形成しやすいことから、塗布方法としてはスプレー、例えば回転霧化方式の塗布装置を用いる方法が好ましい。回転霧化方式の塗布装置としては、例えば、特開2013-115181号公報に記載される装置を使用することができる。
分散液は、繊維材料として、前述の変性セルロース繊維を含む。前述の変性セルロース繊維は、分散液中において有機溶剤に良好に分散され、分散液の分散安定性が良好である。このため、分散液を用いて、好ましい小さな孔径の開口を有する多孔質膜を形成することができる。
分散液中の変性セルロース繊維の最大繊維径は、1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。変性セルロース繊維の最大繊維径が上記の範囲内である場合、分散液中で変性セルロース繊維が沈降しにくく、分散液中で変性セルロース繊維が安定して分散される。
なお、分散液が繊維径の大きい繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。
そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍、又は50000倍の倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。電子顕微鏡による観察で得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料及び観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取る。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径のデータにより、最大繊維径及び数平均繊維径を算出する。
分散液は有機溶剤を含む。有機溶剤の種類は、所望する状態に分散された変性セルロース繊維を含む分散液を調製可能である限り、特に限定されない。分散液は、有機溶剤として、2種以上の有機溶剤を組み合わせて含んでいてもよい。
かかる範囲内の沸点を示す有機溶剤を用いる場合、有機溶剤の揮発による分散液の過度の組成変化が起こりにくく、それにより分散液中での変性セルロース繊維の分散状態も安定し、また、多孔質膜を形成する際の塗布膜からの有機溶剤の除去が容易である。
なお、有機溶剤の沸点は、大気圧下での沸点である。
変性セルロース繊維は、分極しやすいO-H結合や、C-O結合を含む。このため、変性セルロース繊維を良好に分散させるためには、双極子相互作用が重要である。
このため、有機溶剤の双極子相互作用によるエネルギーの項δpが上記の所定の範囲内である場合に、変性セルロース繊維の分散が容易であると考えられる。
典型的には、有機溶剤の使用量は、分散液の固形分濃度が0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは0.5質量%以上5質量%以下となるように用いられる。
分散液は、本発明の目的を阻害しない範囲で水を含んでいてもよい。しかし、前述の変性セルロース繊維の分散性の観点から分散液中の有機溶剤の量は、少ないほど好ましい。分散液中の水の量は、典型的には、分散液全量に対して5質量%以下が好ましい。分散液中の水分量が5質量%以下であることにより、分散液を用いて形成される多孔質膜における、所望する空孔率と、所望する平均孔径とを両立しやすい。
分散液中の水分量は、分散液全量に対して3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらにより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましく、0.1質量%以下が最も好ましい。
分散液中の水分量を調整することにより、所望する空孔率と、所望する平均孔径とを有する多孔質膜を形成するに際して、温度条件の管理が緩やかなものとなる。
この水分量は、例えばカールフィッシャー法等公知の方法により測定することができる。
分散液は、本発明の目的を阻害しない範囲において、以上説明した、変性セルロース繊維、及び有機溶剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤等が挙げられる。
分散液は、変性セルロース繊維と、有機溶剤と、必要に応じて水や、その他の成分とを混合して調製される。
変性セルロース繊維は、固体状で用いられてもよく、分散媒に分散された状態で用いられてもよい。得られる分散液中で、変性セルロース繊維を良好に分散させやすいことから、変性セルロース繊維は分散媒に分散された状態で用いられるのが好ましい。
変性セルロース繊維が、水を含む媒体に分散されている場合、分散液中の水分量が5質量%以下となるまで、水を含む媒体を有機溶剤に置換してもよい。
水を含む媒体を有機溶剤に置換する方法としては、水を含む媒体の一部、又は全部を留去した後に、有機溶剤を加える方法や、遠心分離装置により変性セルロース繊維を容器内に沈降させた後、水を含む上澄みを廃棄し、次いで、有機溶剤中に沈降した変性セルロース繊維を分散させる方法、変性セルロース繊維についてフィルタでろ過し、有機溶剤で洗浄し、再度分散させる方法等が挙げられる。
分散処理に用いられる分散装置の好適な例としては、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、二本ロール、三本ロール、ロールミル、コロイドミル、ジェットミル、ニーダー、及びホモジナイザー等が挙げられる。
なお、分散条件を調整することにより、分散液中での変性セルロース繊維の粒子径(分散径、体積平均粒子径)や、粒子径分布を調整することができる。
多孔質膜は、前述の分散液からなる塗布膜を乾燥させてなる膜である。多孔質膜を形成するための材料である分散液については前述の通りであり、多孔質膜の形成方法については、分散液について説明した通りである。
空孔率は、分散液中の変性セルロース繊維の分散径、分散液の固形分濃度、多孔質膜を形成する際の塗布膜の乾燥条件等を調整することにより調整出来る。
なお、多孔質膜の空孔率は、水銀ポロシメーターにより測定できる。
多孔質膜の平均孔径は、分散液中の変性セルロース繊維の分散径、分散液の固形分濃度、多孔質膜を形成する際の塗布膜の乾燥条件等を調整することにより調整出来る。
多孔質膜の平均孔径は、水銀ポロシメーターにより測定できる。
多孔質膜の製造方法は、典型的には、
基材上に分散液を塗布して塗布膜を形成する工程と、
塗布膜を乾燥させて多孔質膜を形成する工程と、を備える。
上記の各工程の詳細については、それぞれ前述した通りである。また、分散液、及び変性セルロース繊維の詳細な構成については前述の通りである。
分散液が塗布される基材としては、前述の通り、電極、特に蓄電素子用の電極が好適に用いられる。
蓄電素子は、前述の多孔質膜からなるセパレータを備えることの他は、蓄電素子に関する従来知られる周知の構成を備えていてよい。
前述の多孔質膜からなるセパレータは、例えば、電極と複合化された電極複合体として、蓄電素子の一要素を構成する。
多孔質膜からなるセパレータは、二次電池に使用されるのが好ましく、リチウムイオン二次電池に使用されるがより好ましい。
以上説明した蓄電素子としては、リチウム電池又はリチウムイオン電池が好ましい。
例えば、蓄電素子としてのリチウムイオン二次電池は、電極複合体中の多孔質膜(セパレータ)に電解液が含浸された単位電池層を備えることができる。
アドバンテック社製のろ紙(5C)1.00g(6.17mmol)を、繊維を解しつつピリジン15mLに分散させた。ピリジン中に、ヘキサン酸無水物5.29g(24.68mmol)を加えた後、120℃2時間還流を行い、セルロース繊維を変性した。反応液中の変性セルロース繊維を、水、0.5M塩酸、水酸化ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した後、変性セルロース繊維に付着する水を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)で置換した。
得られた多孔質膜について、水銀ポロシメーターにて、空孔率(体積%)と、平均孔径(μm)とを測定した。多孔質膜の空孔率と平均孔径とを表2に記す。
有機溶剤を表2に記載の種類の有機溶剤に変えることとの他は、実施例1と同様にして分散液を得た。
実施例2~4で得た分散液中の変性セルロース繊維の体積平均粒子径を表2に記す。
得られた分散液を用いて、スプレーを用いて塗布を行い、実施例1と同様にして多孔質膜を得た。
得られた多孔質膜について、水銀ポロシメーターにて、空孔率(体積%)と、平均孔径(μm)とを測定した。多孔質膜の空孔率と平均孔径とを表2に記す。
実施例5では、ヘキサン酸無水物を、安息香酸無水物7.25g(30.08mmol)に変えることの他は、実施例1と同様にして分散液を得た。
実施例5で得た分散液中の変性セルロース繊維の体積平均粒子径を表2に記す。
得られた分散液を用いて、スプレーを用いて塗布を行い、実施例1と同様にして多孔質膜を得た。
得られた多孔質膜について、水銀ポロシメーターにて、空孔率(体積%)と、平均孔径(μm)とを測定した。多孔質膜の空孔率と平均孔径とを表2に記す。
実施例5において、分散液を得る際に、実施例1と同様に、変性セルロース繊維の水スラリーを分取し、実施例1と同様にして、変性セルロース繊維を純水中で振とうする試験を行った。実施例5で得た変性セルロース繊維は、振とう、及び静置後、水面付近に浮いていた。
実施例6では、ヘキサン酸無水物を、酪酸無水物3.90g(24.68mmol)に変え、分散液の固形分濃度を1.5質量%とすることの他は、実施例1と同様にして分散液を得た。
実施例7では、ヘキサン酸無水物を、イソ酪酸無水物3.90g(24.68mmol)に変え、分散液の固形分濃度を1.5質量%とすることの他は、実施例1と同様にして分散液を得た。
ここで、実施例6で得た分散液中の変性セルロース繊維の体積平均粒子径は、33.5μm、実施例7で得た分散液中の変性セルロース繊維の体積平均粒子径は、32.1μmであった。
実施例6~7において、分散液を得る際に、実施例1と同様に、変性セルロース繊維の水スラリーを分取し、実施例1と同様にして、変性セルロース繊維を純水中で振とうする試験を行った。実施例6~7で得た変性セルロース繊維は、いずれも、振とう、及び静置後、水面付近に浮いていた。
また、実施例6~7で得られた分散液を用いて、実施例1と同様に膜を形成した。これらの膜においても、適度な空孔率を有することが確認できた。
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PMA-P:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MA:3-メトキシブチルアセテート
BA:酢酸ブチル
Claims (13)
- 多孔質膜の形成に用いられる変性セルロース繊維であって、
前記変性セルロース繊維は、未変性セルロース繊維が有する水酸基の一部における、前記水酸基中の水素原子が、前記水酸基に由来する酸素原子とO-C結合により結合する炭素原子数6以上の有機基で置換された繊維であり、
前記有機基が、下記式(1):
-(CO)n-R1・・・(1)
(式(1)中、nは0又は1であり、nが0である場合に、R1は、炭素原子数6以上の炭化水素基であり、nが1である場合に、R1は、炭素原子数5以上の炭化水素基である。)で表される基である、変性セルロース繊維。 - 前記未変性セルロース繊維中の水酸基の数をN1とし、前記変性セルロース繊維中の水酸基の数をN2とする場合に、下記式:
置換度=(N1-N2)/N1
で算出される置換度が0.4以下である、請求項1に記載の変性セルロース繊維。 - 多孔質膜の形成に用いられる分散液であって、
前記分散液が、請求項1又は2に記載の前記変性セルロース繊維と、有機溶剤とを含む、分散液。 - 前記有機溶剤の沸点が、70℃以上250℃以下である、請求項3に記載の分散液。
- 前記分散液が電極に対して塗布され、形成される前記多孔質膜がセパレータとして用いられる、請求項3又は4に記載の分散液。
- 室温(20℃)における粘度が、5cp以上1500cp以下である、請求項3~5のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記分散液中の、前記変性セルロース繊維の体積平均粒子径が5μm以上100μm以下である、請求項3~6のいずれか1項に記載の分散液。
- 請求項3~7のいずれか1項に記載の分散液からなる塗布膜を乾燥させてなる多孔質膜。
- 空孔率が20体積%以上80体積%以下である、請求項8に記載の多孔質膜。
- 平均孔径が0.02μm以上0.5μm以下である、請求項8又は9に記載の多孔質膜。
- 請求項8~10のいずれか1項に記載の多孔質膜を備える蓄電素子。
- 基材上に請求項3~7のいずれか1項に記載の前記分散液を塗布して塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜を乾燥させて多孔質膜を形成する工程と、を備える、多孔質膜の製造方法。 - 前記基材が電極である、請求項12に記載の多孔質膜の製造方法。
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