JP2019029411A - 非水系リチウム型蓄電素子の製造方法 - Google Patents

非水系リチウム型蓄電素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】扁平角型の外装体を用いた非水系リチウム型蓄電素子の製造において、正極、セパレータ、負極の位置ずれを抑制し、ドープをムラなく均一に行うことのできる製造方法を提供すること。【解決手段】扁平型電極捲回体が扁平角型缶に収納されてなる密封型非水系リチウム蓄電素子を、加圧面を有する一対の冶具で挟んで、扁平角型缶の厚み方向に加圧した状態で、リチウム化合物を分解してリチウムイオンを生じさせ、リチウムイオンを負極活物質層にドープする工程を備え、ドープする工程において、扁平角型缶の前記主面内の最大加圧力をPmax、面内の最小加圧力Pminとしたとき、(Pmax−Pmin)/Pmax≦0.5となるように加圧を行う。【選択図】図4

Description

本発明は、非水系リチウム型蓄電素子の製造方法に関する。
太陽光発電又は風力発電等の負荷平準化装置、瞬時電圧低下対策装置、電気自動車又はハイブリッド自動車のエネルギー回生装置などのような蓄電システムにおいては、エネルギー容量が大きく、かつ急速充放電が可能な蓄電素子が必要とされている。
近年、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等の蓄電素子を用いた蓄電モジュールが開発されている。これらの蓄電モジュールは、複数の蓄電素子が直列又は並列接続された蓄電体を含み、かつ高電圧又は大容量の状態で充放電することができるため、電源装置として様々な用途に用いられている。
このような蓄電モジュールは、ハイブリッド自動車のような車載用途としても脚光を浴びており、その中に含まれる蓄電素子としての性能が良いだけでなく、蓄電モジュールとしてもより高い水準の性能及び耐振動性が求められている。
蓄電モジュールに用いられる蓄電素子には、例えば、正極前駆体と負極とを、セパレータを介して重ね、渦巻状に捲回した後、扁平になるように加圧した扁平型電極捲回体を、角型、扁平型の外装体に収納したものがある(例えば特許文献1)。この外装体は、アルミ合金やステンレス合金等の金属ケースであることが一般的であり、自動車等に搭載される際に、金属ケース構造では剛性の高いケース自体が保持部材となるため、振動によるひずみ又は変形が抑えられ、蓄電素子の集電箔の破れ、蓄電モジュールの接続部の破損等の影響を抑えることができる。
特開2015−103479号公報
しかしながら、正極前駆体と負極とを、セパレータを介して重ね、渦巻状に捲回した後、扁平になるように加圧して電極捲回体とした場合、電極捲回体の屈曲部においては、加圧した際に、正極、セパレータ、負極の位置ずれが生じる場合がある。また、電極捲回体が元に戻ろうと開き(巻き戻り)、位置ずれが生じる場合もある。正極、セパレータ、負極の位置ずれが生じると、正極と負極との間隔が狭い部分と広い部分とのムラができてしまい、その結果、ドープが均一に行われない(ドープのムラがある)おそれがある。すなわち、正極と負極との間隔が狭い部分では、ドープが効率よく行われる一方、正極と負極との間隔が広い部分ではドープの効率が落ちてしまう。その結果、ドープのムラがある状態で、充放電を繰り返すと、蓄電素子全体の劣化につながってしまう。
以上の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、扁平角型の外装体を用いた非水系リチウム型蓄電素子の製造において、正極、セパレータ、負極の位置ずれを抑制し、ドープをムラなく均一に行うことのできる製造方法を提供することである。
上記で説明された課題は、以下の技術的手段により解決される。
[1]
以下の工程:
(1)活性炭及びリチウム化合物を含む正極活物質層を正極集電体上に形成して、正極前駆体を得る工程;
(2)前記正極前駆体と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質層を負極集電体上に有する負極と、前記正極前駆体と前記負極の間に配置されたセパレータとを含む電極積層体を形成する工程;
(3)前記電極積層体を捲回して、電極捲回体を形成する工程;
(4)前記電極捲回体をプレスして、扁平型電極捲回体を形成する工程;
(5)前記扁平型電極捲回体を扁平角型缶に収納し、前記扁平角型缶の開口部から、前記リチウム化合物とは異なるリチウム塩を含む非水電解液を注入し、前記開口部を密封して、密封型非水系リチウム蓄電素子を形成する工程;並びに
(6)前記密封型非水系リチウム蓄電素子を、加圧面を有する一対の冶具で挟んで、前記扁平角型缶の厚み方向に加圧した状態で、リチウム化合物を分解して、リチウムイオンを生じさせ、該リチウムイオンを前記負極活物質層にドープする工程;を備え、
前記ドープする工程(6)において、前記扁平角型缶の前記主面内の最大加圧力をPmax、面内の最小加圧力Pminとしたとき、(Pmax−Pmin)/Pmax≦0.5となるように加圧を行うことを特徴とする、密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
[2]
前記ドープする工程(6)において、前記扁平角型缶の前記主面内の中央部よりも周辺部のほうに、加わる力がより大きくなるように加圧を行うことを特徴とする、[1]に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
[3]
前記冶具において、前記加圧面は、中央部が凹となるような傾斜を有する、[2]に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
[4]
前記扁平角型缶の前記主面と接触する前記加圧面の材質の硬度が、JIS K6253による測定においてショアA5以上ショアA70以下である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
[5]
前記冶具は、熱伝導率が、200W・m−1・K−1以上である材料から成る、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
[6]
前記電極捲回体を固定するために使用される絶縁テープが、前記電極捲回体の屈曲部に位置する、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
[7]
前記ドープする工程(6)において、前記扁平角型缶の前記主面にかける平均加圧力Pは0.5kgf/cm以上20kgf/cm以下である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の密閉型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
[8]
ドライ環境下で、前記ドープする工程(6)が行われる、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
本発明では、ドープ工程において、扁平角型缶の主面内の面圧分布を最適に制御された状態で加圧を行うことで、扁平型電極捲回体の屈曲部や巻き戻りによる位置ずれを抑え、ドープをムラなく均一に行うことのできる非水系リチウム型蓄電素子の製造方法を提供することができる。
本発明に係る非水系リチウム型蓄電素子の外観を示す斜視図である。 図1中、Y−Y線における縦断面図である。 図1中、X−X線における横断面図である。 扁平型電極捲回体が収納された扁平角型缶を一対の治具で挟んで加圧する状態を示す断面図である。 図4に示す治具の加圧面を示す平面図である。 面圧分布データの平均化について説明する図である。
以下、本発明の実施形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
一般に、非水系リチウム型蓄電素子は、正極、負極、セパレータ、電解液、及び外装体を主な構成要素として備える。電解液としては、リチウム塩を溶解させた有機溶媒(以下、非水系電解液という。)を用いる。
ここで図1〜図3は、本実施形態に係る非水系リチウム型蓄電素子の一構成例を示す図であり、図1は外観を示す斜視図であり、図2は、図1中、Y−Y線における縦断面図であり、図3は、図1中、X−X線における横断面図である。
この非水系リチウム型蓄電素子は、正極(正極前駆体)と負極とはセパレータを介して渦巻状に捲回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の電極捲回体6として、扁平角型の外装体4に非水電解液と共に収容されている。ただし、図では、煩雑化を避けるため、正極(正極前駆体)や負極の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や、セパレータの各層、非水電解液などは図示していない。
[正極]
正極は、正極集電体と、その片面又は両面に存在する正極活物質層とを有する。
また、正極は、蓄電素子組み立て前の正極前駆体として、リチウム化合物を含むことが好ましい。後述のように、本実施形態では蓄電素子組み立て工程内で、負極にリチウムイオンをプレドープすることが好ましい。そのプレドープ方法としては、前記リチウム化合物を含む正極前駆体、負極、セパレータ、外装体、及び非水系電解液を用いて蓄電素子を組み立てた後に、正極前駆体と負極との間に電圧を印加することが好ましい。前記リチウム化合物は前記正極前駆体の正極集電体上に形成された正極活物質層に含有されることが好ましい。
本明細書中、リチウムドープ工程前における正極状態のことを正極前駆体、リチウムドープ工程後における正極状態のことを正極と定義する。
[正極活物質層]
正極に含まれる正極活物質層は、活性炭を含む材料から成る。その材料は、活性炭を含む正極活物質を含有する。正極活物質層は、これ以外に、必要に応じて、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
また、正極前駆体の正極活物質層には、正極活物質以外のリチウム化合物が含有されることが好ましい。
[正極活物質]
正極活物質は、活性炭を含む。正極活物質としては、活性炭のみを使用してよく、又は活性炭に加えて、後述するような他の炭素材料を併用してよい。この炭素材料としては、カーボンナノチューブ、導電性高分子、又は多孔性の炭素材料を使用することがより好ましい。正極活物質には、活性炭を含む1種類以上の炭素材料を混合して使用してもよく、炭素材料以外の材料(例えば、リチウムと遷移金属との複合酸化物等)を含んでもよい。
好ましくは該正極活物質の総量に対する該炭素材料の含有率が、50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。該炭素材料の含有率は、100質量%であることができるが、他の材料の併用による効果を良好に得る観点から、例えば、90質量%以下又は80質量%以下であることが好ましい。
正極活物質として用いる活性炭の種類及びその原料には特に制限はない。しかしながら、高い入出力特性と、高いエネルギー密度とを両立させるために、活性炭の細孔を最適に制御することが好ましい。具体的には、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とするとき、
(1)高い入出力特性のためには、0.3<V1≦0.8、及び0.5≦V2≦1.0を満たし、かつ、BET法により測定される比表面積が1,500m/g以上3,000m/g以下である活性炭(以下、活性炭1 ともいう。)が好ましく、また、
(2)高いエネルギー密度を得るためには、0.8<V1≦2.5、及び0.8<V2≦3.0を満たし、かつ、BET法により測定される比表面積が2,300m/g以上4,000m/g以下である活性炭(以下、活性炭2 ともいう。)が好ましい。
[活性炭の使用態様]
活性炭1及び2は、それぞれ、1種の活性炭であってもよいし、2種以上の活性炭の混合物であって上記した各々の特性値を混合物全体として示すものであってもよい。
上記の活性炭1及び2は、これらのうちのいずれか一方を選択して使用してもよいし、両者を混合して使用してもよい。
正極活物質は、活性炭1及び2以外の材料(例えば、前記特定のV1及び/若しくはV2を有さない活性炭、又は活性炭以外の材料(例えば、リチウムと遷移金属との複合酸化物等))を含んでもよい。例示の態様において、活性炭1の含有量、又は活性炭2の含有量、又は活性炭1及び2の合計含有量が、それぞれ、全正極活物質の50質量%より多いことが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
正極活物質層における正極活物質の含有割合は、正極前駆体における正極活物質層の全質量を基準として、35質量%以上95質量%以下であることが好ましい。正極活物質の含有割合の上限としては、45質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましい。一方、正極活物質の含有割合の下限としては、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。この範囲の含有割合とすることにより、好適な充放電特性を発揮する。
[リチウム化合物]
本実施形態の正極前駆体の正極活物質層には、正極活物質以外のリチウム化合物が含有されることが好ましい。また、本実施形態の正極の正極活物質層には、正極活物質以外のリチウム化合物が含有される。
前記リチウム化合物としては、後述のリチウムドープ工程において正極で分解し、リチウムイオンを放出することが可能であるという観点から、炭酸リチウム、酸化リチウム、硫化リチウム、水酸化リチウム、フッ化リチウム、塩化リチウム、シュウ化リチウム、ヨウ化リチウム、窒化リチウム、シュウ酸リチウム、及び酢酸リチウムから選択される1種以上が好適に用いられる。中でも、炭酸リチウム、酸化リチウム、硫化リチウム及び水酸化リチウムから成る群から選択される少なくとも1種がより好適であり、空気中での取り扱いが可能であり、かつ吸湿性が低いという観点から炭酸リチウムがさらに好適に用いられる。このようなリチウム化合物は、電圧の印加によって分解し、負極へのリチウムドープのドーパント源として機能するとともに、正極活物質層において空孔を形成するから、電解液の保持性に優れ、イオン伝導性に優れる正極を形成することができる。
[正極前駆体のリチウム化合物]
リチウム化合物は、粒子状であることが好ましい。正極前駆体に含有されるリチウム化合物の平均粒子径は0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。正極前駆体に含有されるリチウム化合物の平均粒子径の上限としては50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましく、10μm以下であることが最も好ましい。他方、正極前駆体に含有されるリチウム化合物の平均粒子径の下限としては0.3μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることが更に好ましい。リチウム化合物の平均粒子径が0.1μm以上であれば、正極におけるリチウム化合物の酸化反応後に残る空孔が電解液を保持するのに十分な容積を有することとなるため、高負荷充放電特性が向上する。リチウム化合物の平均粒子径が100μm以下であれば、リチウム化合物の表面積が過度に小さくはならないから、該リチウム化合物の酸化反応の速度を確保することができる。リチウム化合物の平均粒子径の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
リチウム化合物の微粒子化には、様々な方法を用いることができる。例えば、ボールミル、ビーズミル、リングミル、ジェットミル、ロッドミル等の粉砕機を使用することができる。
正極前駆体の正極活物質層におけるリチウム化合物の含有割合は、正極前駆体における正極活物質層の全質量を基準として、5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。この範囲の含有割合とすることにより、負極へのドーパント源として好適な機能を発揮するとともに、正極に適当な程度の多孔性を付与することができ、かつ両者相俟って高負荷充放電効率に優れる蓄電素子を与えることができる。この含有割合の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
正極が含有する、正極活物質以外のリチウム化合物は、正極における正極活物質層の全質量を基準として、2質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。リチウム化合物量が2質量%以上であると、正極活物質同士がより強固な結合を形成するため、正極の剛性が高くなり、2.5質量%以上でその効果が顕著になる。正極の剛性が高くなることで、非水系リチウム型蓄電素子の剛性も向上する。
[正極活物質層の任意成分]
本実施形態における正極活物質層は、必要に応じて、正極活物質及びリチウム化合物の他に、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
導電性フィラーとしては、特に制限されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、黒鉛、カーボンナノチューブ、これらの混合物等を用いることができる。導電性フィラーの使用量は、正極活物質100質量部に対して、好ましくは0質量部超30質量部以下である。より好ましくは0.01質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上15質量部以下である。導電性フィラーの使用量が30質量部よりも多くなると、正極活物質層における正極活物質の含有割合が少なくなるために、正極活物質層体積当たりのエネルギー密度が低下するので好ましくない。
分散安定剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVP(ポリビニルピロリドン)、PVA(ポリビニルアルコール)、セルロース誘導体等を用いることができる。分散安定剤の使用量は、正極活物質100質量部に対して、好ましくは、0質量部超又は0.1質量部以上、10質量部以下である。分散安定剤の使用量が10質量部以下であれば、正極活物質へのイオンの出入り及び拡散を阻害せず、高い入出力特性が発現される。
[正極集電体]
本実施形態における正極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、電解液への溶出及び電解質又はイオンとの反応等による劣化が起こらない材料で、金属箔が好ましい。本実施形態の非水系リチウム型蓄電素子における正極集電体としては、アルミニウム箔が特に好ましい。
また、正極集電体はプレーン箔であることが好ましい。一般に、プレーン箔は、無孔箔と呼ばれることもある。正極集電体が穿孔箔であると、穿孔の部分の剛性が活物質の剛性に依存してしまうことに対し、正極集電体がプレーン箔であれば、活物質の剛性が低くても集電箔により電極としての剛性を高く保つことができる。正極集電体の厚みは、正極の形状及び強度を十分に保持できれば特に制限はないが、例えば、1〜100μmでよい。
[負極]
負極は、負極集電体と、その片面又は両面に存在する負極活物質層とを有する。
[負極活物質層]
負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な層である。負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質を含む。負極活物質層は、これ以外に、必要に応じて、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
[負極活物質]
前記負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な物質を用いることができる。具体的には、炭素材料、チタン酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物、ケイ素合金、ケイ素化合物、錫及び錫化合物等が例示される。好ましくは該負極活物質の総量に対する該炭素材料の含有率が50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。該炭素材料の含有率が100質量%でよいが、他の材料の併用による効果を良好に得る観点から、例えば、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることが好ましい。
負極活物質には、リチウムイオンをドープすることが好ましい。本明細書において、負極活物質にドープされたリチウムイオンとしては、主に3つの形態が包含される。
第一の形態としては、非水系リチウム型蓄電素子を作製する前に、負極活物質に設計値として予め吸蔵させるリチウムイオンである。
第二の形態としては、非水系リチウム型蓄電素子を作製し、出荷する際の負極活物質に吸蔵されているリチウムイオンである。
第三の形態としては、非水系リチウム型蓄電素子をデバイスとして使用した後の負極活物質に吸蔵されているリチウムイオンである。
負極活物質にリチウムイオンをドープしておくことにより、得られる非水系リチウム型蓄電素子の容量及び作動電圧を良好に制御することが可能となる。
前記炭素材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素材料;易黒鉛化性炭素材料;カーボンブラック;カーボンナノ粒子;活性炭;人造黒鉛;天然黒鉛;黒鉛化メソフェーズカーボン小球体;黒鉛ウイスカ;ポリアセン系物質等のアモルファス炭素質材料;石油系のピッチ、石炭系のピッチ、メソカーボンマイクロビーズ、コークス、合成樹脂(例えばフェノール樹脂等)等の炭素質材料前駆体を熱処理して得られる炭素質材料;フルフリルアルコール樹脂又はノボラック樹脂の熱分解物;フラーレン;カーボンナノフォーン;及びこれらの複合炭素材料を挙げることができる。
炭素材料は、リチウムイオンの吸脱着の観点から、黒鉛を主成分とする材料であることが好ましい。黒鉛を主成分とすることは、黒鉛の含有量が、炭素材料の質量を基準として、50質量%以上であることを意味する。
[任意成分]
本発明における負極活物質層は、必要に応じて、負極活物質の他に、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
導電性フィラーの種類は特に制限されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維等が例示される。導電性フィラーの使用量は、負極活物質100質量部に対して、好ましくは0質量部以上30質量部以下である。より好ましくは0質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは0質量部以上15質量部以下である。
結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、アクリル共重合体等を用いることができる。結着剤の使用量は、負極活物質100質量部に対して、好ましくは1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは2質量部以上27質量部以下、さらに好ましくは3質量部以上25質量部以下である。結着剤の量が1質量部以上であれば、十分な電極強度が発現される。一方で結着剤の量が30質量部以下であれば、負極活物質へのリチウムイオンの出入りを阻害せず、高い入出力特性が発現される。
分散安定剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVP(ポリビニルピロリドン)、PVA(ポリビニルアルコール)、セルロース誘導体等を用いることができる。分散安定剤の使用量は、負極活物質100質量部に対して、好ましくは0質量部超10質量部以下である。分散安定剤の量が10質量部以下であれば、負極活物質へのリチウムイオンの出入りを阻害せず、高い入出力特性が発現される。
[負極集電体]
本発明における負極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、非水系電解液への溶出及び電解質又はイオンとの反応等による劣化が起こらない金属箔であることが好ましい。また、負極集電体はプレーン箔であることがより好ましい。負極集電体が穿孔箔の場合、穿孔の部分の剛性が活物質の剛性に依存するが、プレーン箔の場合は、活物質の剛性が低くても集電箔により電極としての剛性を高く保つことができる。このような金属箔としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔等が挙げられる。本実施の形態の非水系リチウム型蓄電素子における負極集電体としては、銅箔が好ましい。
[電解液]
本実施形態の電解液は、非水系電解液である。すなわち、この電解液は、後述する非水溶媒を含む。非水系電解液は、該非水系電解液の総量を基準として、0.5mol/L以上のリチウム塩を含有することが好ましい。すなわち、非水系電解液は、リチウムイオンを電解質として含む。
[リチウム塩]
本実施形態の非水系電解液は、リチウム塩として、例えば、(LiN(SOF))、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiN(SOCF)(SOH)、LiC(SOF)、LiC(SOCF、LiC(SO、LiCFSO、LiCSO、LiPF、LiBF等を単独で用いることができ、2種以上を混合して用いてもよい。高い伝導度を発現できることから、LiPF及び/又はLiN(SOF)を含むことが好ましい。
非水系電解液中のリチウム塩濃度は、該非水系電解液の総量を基準として、0.5mol/L以上であることが好ましく、0.5mol/L以上2.0mol/L以下の範囲がより好ましい。リチウム塩濃度が0.5mol/L以上であれば、陰イオンが十分に存在するので蓄電素子の容量を十分高くできる。また、リチウム塩濃度が2.0mol/L以下である場合、未溶解のリチウム塩が非水系電解液中に析出すること、及び電解液の粘度が高くなり過ぎることを防止でき、伝導度が低下せず、出力特性も低下しないため好ましい。
本実施形態の非水系電解液は、該非水系電解液の総量を基準として、0.1mol/L以上1.5mol/L以下の濃度のLiN(SOF)を含むことが好ましく、LiN(SOF)の濃度は、より好ましくは0.3mol/L以上1.2mol/L以下である。LiN(SOF)濃度が0.1mol/L以上であれば、電解液のイオン伝導度を高めるとともに、負極界面に電解質被膜が適量堆積し、これにより電解液が分解することによるガスを低減することができる。他方、この濃度が1.5mol/L以下であれば、充放電の時に電解質塩の析出が起きず、かつ長期間経過後であっても電解液の粘度が増加を引き起こすことがない。
[非水溶媒]
本実施形態の非水系電解液は、非水溶媒として、好ましくは、環状カーボネートを含有する。非水系電解液が環状カーボネートを含有することは、所望の濃度のリチウム塩を溶解させる点、及び正極活物質層にリチウム化合物を適量堆積させる点で有利である。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。
環状カーボネートの合計含有量は、非水系電解液の総量基準で、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。上記合計含有量が15質量%以上であれば、所望の濃度のリチウム塩を溶解させることが可能となり、高いリチウムイオン伝導度を発現することができる。さらに正極活物質層にリチウム化合物を適量堆積させることが可能となり、電解液の酸化分解を抑制することができる。
本実施形態の非水系電解液は、非水溶媒として、好ましくは、鎖状カーボネートを含有する。非水系電解液が鎖状カーボネートを含有することは、高いリチウムイオン伝導度を発現する点で有利である。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネート化合物が挙げられる。ジアルキルカーボネート化合物は典型的には非置換である。
鎖状カーボネートの合計含有量は、非水系電解液の総量基準で、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。上記鎖状カーボネートの含有量が30質量%以上であれば、電解液の低粘度化が可能であり、高いリチウムイオン伝導度を発現することができる。上記合計濃度が95質量%以下であれば、電解液が、後述する添加剤をさらに含有することができる。
[セパレータ]
正極前駆体及び負極は、セパレータを介して積層および捲回され、正極前駆体、負極及びセパレータを有する電極捲回体が形成される。
前記セパレータとしては、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜若しくはポリプロピレン製の微多孔膜、又は電気二重層キャパシタで用いられるセルロース製の不織紙等を用いることができる。これらのセパレータの片面または両面に、有機または無機の微粒子からなる膜が積層されていてもよい。また、セパレータの内部に有機または無機の微粒子が含まれていてもよい。
セパレータの厚みは5μm以上35μm以下が好ましい。5μm以上の厚みとすることにより、内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。他方、35μm以下の厚みとすることにより、非水系リチウム型蓄電素子の入出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
また、有機または無機の微粒子からなる膜は、1μm以上10μm以下が好ましい。1μm以上の厚みとすることにより、内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。他方、10μm以下の厚みとすることにより、非水系リチウム型蓄電素子の入出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
[非水系リチウム型蓄電素子]
本実施形態の非水系リチウム型蓄電素子は、図1〜図3に示したように、正極前駆体と負極とがセパレータを介して積層およびプレスされてなる扁平型電極捲回体6が、前記非水系電解液とともに外装体(扁平角型缶4)内に収納および密封されて構成される。また、剛性の観点から、電極捲回体に含まれる正負極の集電体は、ともにプレーン箔であることが好ましい。
つぎに、上述してきたような非水系リチウム型蓄電素子の製造方法について説明する。
すなわち、本実施形態の非水系リチウム蓄電素子の製造方法は、
以下の工程:
(1)活性炭及びリチウム化合物を含む正極活物質層を正極集電体上に形成して、正極前駆体を得る工程;
(2)正極前駆体と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質層を負極集電体上に有する負極と、正極前駆体と負極の間に配置されたセパレータとを含む電極積層体を形成する工程;
(3)電極積層体を捲回して、電極捲回体を形成する工程;
(4)電極捲回体をプレスして、扁平型電極捲回体を形成する工程;
(5)扁平型電極捲回体を扁平角型缶に収納し、扁平角型缶の開口部から、リチウム化合物とは異なるリチウム塩を含む非水電解液を注入し、開口部を密封して、密封型非水系リチウム蓄電素子を形成する工程;並びに
(6)密封型非水系リチウム蓄電素子を、加圧面を有する一対の冶具で挟んで、前記扁平角型缶の厚み方向に加圧した状態で、炭酸リチウムを分解して、リチウムイオンを生じさせ、該リチウムイオンを前記負極活物質層にドープする工程;を備える。
そして本実施形態の非水系リチウム蓄電素子の製造方法は、ドープする工程(6)において、扁平角型缶の主面内の最大圧力をPmax、面内の最小圧力Pminとしたとき、(Pmax−Pmin)/Pmax≦0.5となるように加圧を行うことを特徴とする。
以下、各工程について詳しく説明する。
(1)活性炭及びリチウム化合物を含む正極活物質層を正極集電体上に形成して、正極前駆体を得る。
[正極前駆体の製造]
本実施形態において、非水系リチウム型蓄電素子の正極となる正極前駆体は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等における電極の製造技術によって製造することが可能である。例えば、正極活物質及びリチウム化合物、並びに必要に応じて使用されるその他の任意成分を水又は有機溶剤中に分散又は溶解してスラリー状の塗工液を調製し、この塗工液を正極集電体上の片面又は両面に塗工して塗膜を形成し、これを乾燥することにより正極前駆体を得ることが出来る。さらに、得られた正極前駆体にプレスを施して、正極活物質層の膜厚 又は嵩密度を調整してもよい。代替的には、溶剤を使用せずに、正極活物質及びリチウム化合物、並びに必要に応じて使用されるその他の任意成分を乾式で混合し、得られた混合物をプレス成型した後、導電性接着剤を用いて正極集電体に貼り付ける方法も可能である。
前記正極前駆体の塗工液は、正極活物質を含む各種材料粉末の一部若しくは全部をドライブレンドし、次いで水若しくは有機溶媒、及び/又はそれらに結着剤若しくは分散安定剤が溶解又は分散した液状又はスラリー状の物質を追加して調製してもよい。また、水又は有機溶媒に結着剤又は分散安定剤が溶解又は分散した液状又はスラリー状の物質の中に、正極活物質を含む各種材料粉末を追加して、塗工液を調製してもよい。前記ドライブレンドする方法として、例えばボールミル等を使用して正極活物質及びリチウム化合物、並びに必要に応じて導電性フィラーを予備混合して、導電性の低いリチウム化合物に導電性フィラーをコーティングさせる予備混合をしてもよい。これにより、後述のリチウムドープ工程において正極前駆体でリチウム化合物が分解し易くなる。前記塗工液の溶媒に水を使用する場合には、リチウム化合物を加えることで塗工液がアルカリ性になることもあるため、必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。
前記正極前駆体の塗工液の調製には、特に制限されるものではないが、好適にはホモディスパー又は多軸分散機、プラネタリーミキサー、薄膜旋回型高速ミキサー等の分散機等を用いることが出来る。良好な分散状態の塗工液を得るためには、周速1m/s以上50m/s以下で分散を行うことが好ましい。周速が1m/s以上であれば、各種材料が良好に溶解又は分散するため好ましい。また、周速が50m/s以下であれば、分散による熱又はせん断力により各種材料が破壊されることなく、再凝集が生じることがないため好ましい。
前記塗工液の分散度は、粒ゲージで測定した粒度が0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。分散度の上限としては、より好ましくは粒度が80μm以下、さらに好ましくは粒度が50μm以下である。粒度が0.1μm未満では、正極活物質を含む各種材料粉末の粒子径以下のサイズとなり、塗工液作製時に材料を破砕していることになり好ましくない。また、粒度が100μm以下であれば、塗工液吐出時の詰まり、塗膜のスジ発生等がなく、安定に塗工ができる。
前記正極前駆体の塗工液の粘度(ηb)は、1,000mPa・s以上20,000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは1,500mPa・s以上10,000mPa・s以下、さらに好ましくは1,700mPa・s以上5,000mPa・s以下である。粘度(ηb)が1,000mPa・s以上であれば、塗膜形成時の液ダレが抑制され、塗膜幅及び膜厚が良好に制御できる。また、粘度(ηb)が20,000mPa・s以下であれば、塗工機を用いた際の塗工液の流路における圧力損失が少なく安定に塗工でき、また所望の塗膜厚み以下に制御できる。
また、該塗工液のTI値(チクソトロピーインデックス値)は、1.1以上が好ましく、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.5以上である。TI値が1.1以上であれば、塗膜幅及び膜厚が良好に制御できる。
前記正極前駆体の塗膜の形成は特に制限されるものではないが、好適にはダイコーターやコンマコーター、ナイフコーター、グラビア塗工機等の塗工機を用いることが出来る。塗膜は単層塗工で形成してもよいし、多層塗工で形成してもよい。多層塗工の場合には、塗膜各層内のリチウム化合物の含有量が異なるように塗工液組成を調製してもよい。また、塗工速度は0.1m/分以上100m/分以下であることが好ましく、より好ましくは0.5m/分以上70m/分以下、さらに好ましくは1m/分以上50m/分以下である。塗工速度が0.1m/分以上であれば、安定に塗工出来る。他方、塗工速度が100m/分以下であれば、塗工精度を十分に確保できる。
前記正極前駆体の塗膜の乾燥については、特に制限されるものではないが、好適には熱風乾燥や赤外線(IR)乾燥等の乾燥方法を用いることが出来る。塗膜の乾燥は、単一の温度で乾燥させてもよいし、多段的に温度を変えて乾燥させてもよい。また、複数の乾燥方法を組み合わせて塗膜を乾燥させてもよい。乾燥温度は、25℃以上200℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上180℃以下、さらに好ましくは50℃以上160℃以下である。乾燥温度が25℃以上であれば、塗膜中の溶媒を十分に揮発させることが出来る。他方、乾燥温度が200℃以下であれば、急激な溶媒の揮発による塗膜のヒビ割れやマイグレーションによる結着剤の偏在、及び正極集電体や正極活物質層の酸化を抑制できる。
前記正極前駆体のプレスには、特に制限されるものではないが、好適には油圧プレス機、真空プレス機等のプレス機を用いることが出来る。正極活物質層の膜厚、嵩密度及び電極強度は、後述するプレス圧力、隙間、及びプレス部の表面温度により調整できる。
プレス圧力は0.5kN/cm以上20kN/cm以下が好ましく、より好ましくは1kN/cm以上10kN/cm以下、さらに好ましくは2kN/cm以上7kN/cm以下である。プレス圧力が0.5kN/cm以上であれば、電極強度を十分に高くできる。他方、プレス圧力が20kN/cm以下であれば、正極前駆体に撓み又はシワが生じることがなく、所望の正極活物質層膜厚又は嵩密度に調整できる。
また、プレスロール同士の隙間は、所望の正極活物質層の膜厚又は嵩密度となるように乾燥後の正極前駆体膜厚に応じて任意の値を設定できる。さらに、プレス速度は正極前駆体に撓み又はシワが生じない任意の速度に設定できる。
また、プレス部の表面温度は室温でもよいし、必要によりプレス部を加熱してもよい。加熱する場合のプレス部の表面温度の下限は、使用する結着剤の融点マイナス60℃以上が好ましく、より好ましくは融点マイナス45℃以上、さらに好ましくは融点マイナス30℃以上である。他方、加熱する場合のプレス部の表面温度の上限は、使用する結着剤の融点プラス50℃以下が好ましく、より好ましくは融点プラス30℃以下、さらに好ましくは融点プラス20℃以下である。例えば、結着剤にPVdF(ポリフッ化ビニリデン:融点150℃)を用いた場合、プレス部の表面を90℃以上200℃以下に加温することが好ましく、より好ましく105℃以上180℃以下、さらに好ましくは120℃以上170℃以下に加熱することである。また、結着剤にスチレン−ブタジエン共重合体(融点100℃)を用いた場合、プレス部の表面を40℃以上150℃以下に加温することが好ましく、より好ましくは55℃以上130℃以下、さらに好ましくは70℃以上120℃以下に加温することである。
結着剤の融点は、DSC(Differential Scanning Calorimetry、示差走査熱量分析)の吸熱ピーク位置で求めることができる。例えば、パーキンエルマー社製の示差走査熱量計「DSC7」を用いて、試料樹脂10mgを測定セルにセットし、窒素ガス雰囲気中で、温度30℃から10℃/分の昇温速度で250℃まで昇温し、昇温過程における吸熱ピーク温度が融点となる。
また、プレス圧力、隙間、速度、及びプレス部の表面温度の条件を変えながら複数回プレスを実施してもよい。
前記正極活物質層の膜厚は、正極集電体の片面当たり20μm以上200μm以下であることが好ましい。前記正極活物質層の膜厚は、より好ましくは片面当たり25μm以上100μm以下であり、更に好ましくは30μm以上80μm以下である。この膜厚が20μm以上であれば、十分な充放電容量を発現することができる。他方、この膜厚が200μm以下であれば、電極内のイオン拡散抵抗を低く維持することができる。そのため、十分な出力特性が得られるとともに、セル体積を縮小することができ、従ってエネルギー密度を高めることができる。上記正極活物質層の膜厚の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。なお、集電体が凹凸を有する場合における正極活物質層の膜厚とは、集電体の凹凸を有していない部分の片面当たりの膜厚の平均値をいう。
(1−1)リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質層を負極集電体上に形成して、負極を得る。
[負極の製造]
負極は、負極集電体の片面上又は両面上に負極活物質層を有して成る。典型的な態様において負極活物質層は負極集電体に固着している。
負極は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等における電極の製造技術によって製造することが可能である。例えば、負極活物質を含む各種材料を水又は有機溶剤中に分散又は溶解してスラリー状の塗工液を調製し、この塗工液を負極集電体上の片面又は両面に塗工して塗膜を形成し、これを乾燥することにより負極を得ることが出来る。さらに得られた負極にプレスを施して、負極活物質層の膜厚又は嵩密度を調整してもよい。代替的には、溶剤を使用せずに、負極活物質を含む各種材料を乾式で混合し、得られた混合物をプレス成型した後、導電性接着剤を用いて負極集電体に貼り付ける方法も可能である。
塗工液の調製は、負極活物質を含む各種材料粉末の一部若しくは全部をドライブレンドし、次いで水又は有機溶媒、及び/又はそれらに結着剤若しくは分散安定剤が溶解又は分散した液状又はスラリー状の物質を追加して調製してもよい。また、水又は有機溶媒に結着剤や分散安定剤が溶解又は分散した液状又はスラリー状の物質の中に、負極活物質を含む各種材料粉末を追加して調製してもよい。前記塗工液の調製に特に制限されるものではないが、好適にはホモディスパー又は多軸分散機、プラネタリーミキサー、薄膜旋回型高速ミキサー等の分散機等を用いることが出来る。良好な分散状態の塗工液を得るためには、周速1m/s以上50m/s以下で分散することが好ましい。周速1m/s以上であれば、各種材料が良好に溶解又は分散するため好ましい。また、周速50m/s以下であれば、分散による熱又はせん断力により各種材料が破壊されることなく、再凝集が生じることがないため好ましい。
前記塗工液の粘度(ηb)は、1,000mPa・s以上20,000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは1,500mPa・s以上10,000mPa・s以下、さらに好ましくは1,700mPa・s以上5,000mPa・s以下である。粘度(ηb)が1,000mPa・s以上であれば、塗膜形成時の液ダレが抑制され、塗膜幅及び膜厚が良好に制御できる。また、20,000mPa・s以下であれば、塗工機を用いた際の塗工液の流路における圧力損失が少なく安定に塗工でき、また所望の塗膜厚み以下に制御できる。
また、該塗工液のTI値(チクソトロピーインデックス値)は、1.1以上が好ましく、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.5以上である。TI値が1.1以上であれば、塗膜幅及び膜厚が良好に制御できる。
前記塗膜の形成は特に制限されるものではないが、好適にはダイコーター又はコンマコーター、ナイフコーター、グラビア塗工機等の塗工機を用いることが出来る。塗膜は単層塗工で形成してもよいし、多層塗工して形成してもよい。また、塗工速度は0.1m/分以上100m/分以下であることが好ましく、より好ましくは0.5m/分以上70m/分以下、さらに好ましくは1m/分以上50m/分以下である。塗工速度が0.1m/分以上であれば、安定に塗工出来る。他方、塗工速度が100m/分以下であれば、塗工精度を十分に確保できる。
前記塗膜の乾燥は特に制限されるものではないが、好適には熱風乾燥、赤外線(IR)乾燥等の乾燥方法を用いることが出来る。塗膜の乾燥は、単一の温度で乾燥させてもよいし、多段的に温度を変えて乾燥させてもよい。また、複数の乾燥方法を組み合わせて乾燥させてもよい。乾燥温度は、25℃以上200℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上180℃以下、さらに好ましくは50℃以上160℃以下である。乾燥温度が25℃以上であれば、塗膜中の溶媒を十分に揮発させることが出来る。他方、乾燥温度が200℃以下であれば、急激な溶媒の揮発による塗膜のヒビ割れ又はマイグレーションによる結着剤の偏在、及び負極集電体又は負極活物質層の酸化を抑制できる。
前記負極のプレスは特に制限されるものではないが、好適には油圧プレス機、真空プレス機等のプレス機を用いることが出来る。負極活物質層の膜厚、嵩密度及び電極強度は後述するプレス圧力、隙間、プレス部の表面温度等により調整できる。プレス圧力は0.5kN/cm以上20kN/cm以下が好ましく、より好ましくは1kN/cm以上10kN/cm以下、さらに好ましくは2kN/cm以上7kN/cm以下である。プレス圧力が0.5kN/cm以上であれば、電極強度を十分に高くできる。他方、プレス圧力が20kN/cm以下であれば、負極に撓み又はシワが生じることがなく、所望の負極活物質層膜厚又は嵩密度に調整できる。また、プレスロール同士の隙間は所望の負極活物質層の膜厚又は嵩密度となるように乾燥後の負極膜厚に応じて任意の値を設定できる。さらに、プレス速度は負極に撓み又はシワが生じない任意の速度に設定できる。また、プレス部の表面温度は室温でもよいし、必要により加熱してもよい。加熱する場合のプレス部の表面温度の下限は、使用する結着剤の融点マイナス60℃以上が好ましく、より好ましくは45℃以上、さらに好ましくは30℃以上である。他方、加熱する場合のプレス部の表面温度の上限は、使用する結着剤の融点プラス50℃以下が好ましく、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。例えば、結着剤にPVdF(ポリフッ化ビニリデン:融点150℃)を用いた場合、90℃以上200℃以下に加温することが好ましい。より好ましく105℃以上180℃以下、さらに好ましくは120℃以上170℃以下に加熱することである。また、結着剤にスチレン−ブタジエン共重合体(融点100℃)を用いた場合、40℃以上150℃以下に加温することが好ましい。より好ましくは55℃以上130℃以下、さらに好ましくは70℃以上120℃以下に加温することである。
結着剤の融点は、DSC(Differential Scanning Calorimetry、示差走査熱量分析)の吸熱ピーク位置で求めることができる。例えば、パーキンエルマー社製の示差走査熱量計「DSC7」を用いて、試料樹脂10mgを測定セルにセットし、窒素ガス雰囲気中で、温度30℃から10℃/分の昇温速度で250℃まで昇温し、昇温過程における吸熱ピーク温度が融点となる。
また、プレス圧力、隙間、速度、及びプレス部の表面温度の条件を変えながら複数回プレスを実施してもよい。
負極活物質層の膜厚は、片面当たり、5μm以上100μm以下が好ましい。該負極活物質層の膜厚の下限は、さらに好ましくは7μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。該負極活物質層の膜厚の上限は、さらに好ましくは80μm以下であり、より好ましくは60μm以下である。この膜厚が5μm以上であれば、負極活物質層を塗工した際にスジ等が発生せず塗工性に優れる。他方、この膜厚が100μm以下であれば、セル体積を縮小することによって高いエネルギー密度を発現できる。なお、集電体が凹凸を有する場合における負極活物質層の膜厚とは、集電体の凹凸を有していない部分の片面当たりの膜厚の平均値をいう。
負極活物質層の嵩密度は、好ましくは0.30g/cm以上1.8g/cm以下であり、より好ましくは0.40g/cm以上1.5g/cm以下、さらに好ましくは0.45g/cm以上1.3g/cm以下である。嵩密度が0.30g/cm以上であれば、十分な強度を保つことができるとともに、負極活物質間の十分な導電性を発現することができる。また、1.8g/cm以下であれば、負極活物質層内でイオンが十分に拡散できる空孔が確保できる。
(2)正極前駆体と、負極と、正極前駆体と負極の間に配置されたセパレータとを含む電極積層体を形成する。
(3)電極積層体を捲回して、電極捲回体を形成する。
(4)電極捲回体をプレスして、扁平型電極捲回体を形成する。
[組立]
セル組み立て工程で得られる電極捲回体は、正極前駆体と負極とを、セパレータを介して重ねて電極積層体を形成し、渦巻状に捲回した後、扁平になるように加圧して扁平型電極捲回体6とし、正極端子7及び負極端子8を接続したものである。電極捲回体の捲き終わりを絶縁テープで固定してもよい。このとき、電極捲回体を固定するために使用される絶縁テープが、電極捲回体の屈曲部に位置することが好ましい。正極端子と負極端子の接続の方法は特に限定はしないが、抵抗溶接、超音波溶接などの方法で行う。
(5)扁平型電極捲回体を扁平角型缶に収納し、扁平角型缶の開口部から、リチウム化合物とは異なるリチウム塩を含む非水電解液を注入し、開口部を密封して、密封型非水系リチウム蓄電素子を形成する。
[外装体]
外装体は扁平角型缶4および蓋板9を備える。そして、正極前駆体、負極およびセパレータからなる扁平状電極捲回体6からは、正極前駆体および負極のそれぞれ一端に接続された正極端子7と負極端子8が引き出されている。
また、扁平角型缶4の開口部を封口密閉する蓋板9には絶縁パッキング10を介して正極端子7と負極端子8が取り付けられている。
扁平角型缶4および蓋板9は例えばアルミニウム合金製である。
そして、この蓋板9は扁平角型缶4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、扁平角型缶4の開口部が封口され、蓄電素子内部が密閉される。また、図1に示す例では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、蓄電素子の密閉性が確保されている。更に、蓋板9には、蓄電素子の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
[外装体への収納]
扁平型電極捲回体6は、正極端子7および負極端子8の溶接を行い、扁平角型缶4に挿入し、蓋板9を扁平角型缶4の開口端部に溶接する。
[乾燥]
外装体へ収納した電極捲回体は、乾燥することで残存溶媒を除去することが好ましい。乾燥方法に限定はないが、真空乾燥などにより乾燥する。残存溶媒は、正極活物質層又は負極活物質層の質量あたり、1.5質量%以下が好ましい。残存溶媒が1.5質量%より多いと、系内に溶媒が残存し、自己放電特性又はサイクル特性を悪化させるため、好ましくない。
[注液、含浸、封止工程]
組立工程の終了後に、外装体の蓋板9に設けられた電解液注入口14から、扁平角型缶4中に収納された電極捲回体6に、非水系電解液を注液する。注液工程の終了後に、更に、含浸を行い、正極、負極、及びセパレータを非水系電解液で十分に浸すことが望ましい。正極、負極、及びセパレータのうちの少なくとも一部に非水系電解液が浸っていない状態では、後述するリチウムドープ工程において、ドープが不均一に進むため、得られる非水系リチウム型蓄電素子の抵抗が上昇したり、耐久性が低下したりする。上記含浸の方法としては、特に制限されないが、例えば、注液後の電極捲回体を、外装体が開口した状態で、減圧チャンバーに設置し、真空ポンプを用いてチャンバー内を減圧状態にし、再度大気圧に戻す方法等を用いることができる。その後、電解液注入口14を封止する。
(6)密封型非水系リチウム蓄電素子を、加圧面を有する一対の冶具で挟んで、前記扁平角型缶の厚み方向に加圧した状態で、リチウム化合物を分解して、リチウムイオンを生じさせ、リチウムイオンを負極活物質層にドープする。
[リチウムドープ工程]
リチウムドープ工程において、好ましくは、前記正極前駆体と負極との間に電圧を印加して前記リチウム化合物を分解することにより、正極前駆体中のリチウム化合物(例えば、炭酸リチウム)を分解してリチウムイオンを放出し、負極でリチウムイオンを還元することにより負極活物質層にリチウムイオンがプレドープされる。
このリチウムドープ工程において、正極前駆体中のリチウム化合物の酸化分解に伴い、CO等のガスが発生する。そのため、電圧を印加する際には、発生したガスを外装体の外部に放出する手段を講ずることが好ましい。この手段としては、例えば、外装体の一部を開口させた状態で電圧を印加する方法;前記外装体の一部に予めガス抜き弁、ガス透過フィルム等の適宜のガス放出手段を設置した状態で電圧を印加する方法;等を挙げることができる。
また、このリチウムドープ工程は、ドライ環境下(例:湿度30%以下)で行われることが好ましい。
[治具による加圧]
本実施形態では、図4に示すように、リチウムドープ工程を、密封型非水系リチウム蓄電素子を、加圧面20aを有する一対の冶具20で挟んで、扁平角型缶4の厚み方向に加圧した状態で行う。
扁平型電極捲回体を厚み方向に加圧する際、その加圧面内に圧力の斑があると、正極と負極との間の距離に斑が生じるため、正負極の面内で電位差斑が生じてしまい、ドープに斑が生じてしまう恐れがある。
また上述したように、扁平型電極捲回体6の屈曲部あるいは巻き戻りによる、正極、セパレータ、負極の位置ずれにより、正極と負極との間隔にムラができてしまい、その結果、ドープが均一に行われない(ドープのムラがある)おそれもある。
そこで本実施形態では、非水系リチウム蓄電素子を、加圧面を有する一対の冶具で挟んで、前記扁平角型缶の厚み方向に加圧した状態で、リチウム化合物を分解して、リチウムイオンを生じさせ、該リチウムイオンを前記負極活物質層にドープする工程において、扁平角型缶の主面を加圧する際、その主面内にかかる最大圧力をPmax、最小圧力Pminとしたとき、(Pmax−Pmin)/Pmax≦0.5となるように加圧を行う。好ましくは、(Pmax−Pmin)/Pmax≦0.4であり、さらに好ましくは(Pmax−Pmin)/Pmax≦0.3である。(Pmax−Pmin)/Pmaxが0.5以下であれば、非水系リチウム蓄電素子をドープする際、加圧による面内の圧力斑を小さくできることで、電極体の中の正負極間の距離のばらつきを抑制でき、ドープ工程におけるLiドープ反応が面内全域にわたり均一にできる。
<非水系リチウム蓄電素子の面圧分布の測定方法>
本実施形態の非水系リチウム蓄電素子の加圧における、面圧分布の測定方法には、面圧分布測定システムI−SCAN(ニッタ株式会社製)を用いる。面圧分布測定のためのセンサーシートは、非水系リチウム蓄電素子の加圧面全体を覆う面積であることが好ましい。例えば、加圧面が縦60mm×横100mmであれば、I−SCAN100センサー(測定面の寸法:112mm×112mm)を用いることができる。
センサーシートは、非水系リチウム蓄電素子の外装体の主面と、加圧面を有する一対の冶具との間に配置する。
センサーシートの最大測定圧力は、非水系リチウム蓄電素子にかける最大加圧力以上であり、最大加圧力の3倍以下であることが好ましい。例えば、非水系リチウム蓄電素子にかける最大加圧力が5kgf/cmであれば、センサーシートの最大測定圧力は
5kgf/cm以上、15kgf/cm以下が好ましいため、例えばセンサーシートとしてはI−SCAN100(R)(最大測定圧力:13kgf/cm)を用いることが好ましい。センサーシートの最大測定圧力が、実際に非水系リチウム蓄電素子にかける最大加圧力以上、最大加圧力の3倍以下であれば、非水系リチウム蓄電素子にかける面内の加圧力を精度よく測定することができるため、好ましい。
センサーシートのセンサー点数は、400ポイント(縦20×横20ポイント)以上であることが好ましく、900ポイント以上(縦30×横30ポイント)であることが更に好ましい。例えば、加圧面積Sが縦60mm×横100mm(60cm)の場合、I−SCAN100センサー(測定面積S:112mm×112mm=125.44cm、センサー点数1936ポイント)を適応することで、加圧面全体に用いられるセンサー点数がS/S×1936ポイント=926ポイントとなるため、好ましい。
本明細書では、圧力の単位としてkgf/cmを例として用いるが、単位は圧力を示すものであればどのようでもよく、例えばPa、mmHg、Bar、atmなどであってもよい。
上記で得られたI−SCANにより取得したデータは、冶具の端の辺や隅においては、冶具のバリなどの影響で、実体の加圧力とは関係のない過剰な圧力を検出しやすいため、面内の圧力斑を評価するためのデータとして活用しない。具体的には、測定した加圧面内の全圧力データについて、4辺のデータの3ポイント分については、データとして活用しない。例えば、加圧面内のデータが縦44ポイント×横30ポイントであった場合、縦44ポイントのうち、最初の3ポイント分の行および最後の3ポイント分の行を削除し、横30ポイントのうち、最初の3ポイント分の列と最後の3ポイント分の列を削除したデータを用いて、面内の圧力斑を評価する。
上記で得られたI−SCANにより取得した面圧分布データは、測定誤差などのノイズが含まれるため、平均化することによりノイズを消す。平均化は図6に示す通り、ある1点の圧力データP(m,n)と、その点を取り囲む8点の圧力データP(m+a,P+b)(aおよびbはそれぞれ独立に−1,0,1であり、a=b=0以外である)を用いた計9点の圧力の平均値をPavg(m,n)とすることで処理される(式(1))。
avg(m,n)=ΣP(m+a,n+b)/9 … 式(1)
(aとbはそれぞれ独立に−1、0、1)
上記により測定された面圧分布のデータを用いることで、(Pmax−Pmin)/Pmaxを算出することができる。
本実施形態では、扁平角型缶4の主面内の中央部よりも周辺部のほうに、加わる力がより大きくなるように加圧を行うことが好ましい。
本実施形態では、扁平角型缶4の主面内の中央部よりも周辺部のほうに、加わる力がより大きくなるように加圧を行うことで、扁平角型缶4に収容された、扁平型電極捲回体6の屈曲部および捲端面(周辺部)が、それ以外の部分(中央部)よりも強く加圧される。すなわち、ドープ時に、扁平角型缶4の周辺部をより強く加圧することで、扁平型電極捲回体6の屈曲部および捲端面が固定され、屈曲部および巻き戻りによる正極、セパレータ、負極の位置ずれを抑制することができる。これにより、ドープをムラなく均一に行うことができる。
なお、本実施形態において、扁平角型缶4の主面における「周辺部」および「中央部」とは、少なくとも上記の目的を達成することができれば、特に限定されるものではないが、例えば、図5に示すように、扁平角型缶4の主面において、中心Cと外周(頂点および4辺)とを結ぶ線分において外周から3分の1の点で囲まれる領域を「中央部」とし、それ以外の部分を「周辺部」とする。
扁平角型缶4の主面内の中央部よりも周辺部のほうに、加わる力がより大きくなるように加圧を行う方法としては特に限定されるものではないが、例えば、図4および図5に示すように、加圧面20aが、中央部が凹となるような傾斜20bを有する冶具20を用いて加圧することが好ましい。傾斜を有する加圧面は、曲面であってもよいし、平面の組み合わせであってもよいし、平面と曲面の組み合わせであってもよい。
また、冶具20は、熱伝導率が、200W/m・K以上である材料から成ることが好ましい。これにより、面内での温度を均一にすることができる。また、リチウムドープ工程において素子が発熱したような場合に、速やかに放熱することができる。
本実施形態による非水系リチウム蓄電素子のドープ工程前の加圧方法として、非水系リチウム蓄電素子の外装体の平坦面と接触する冶具の加圧面の材質としては、JIS K6253で測定される硬度が、ショアA5以上、ショアA70以下であることが好ましい。さらに好ましくはショアA20以上、ショアA65以下、さらに好ましくはショアA6530以上、ショアA60以下である。加圧冶具の加圧面の材料の硬度が上記範囲内であれば、非水系リチウム蓄電素子の外装体の平坦面に好適な加圧力がかけられるとともに、面内の圧力分布を緩和し、圧力斑の少ない加圧をすることができる。
加圧面の材料を変更する方法については特に制限はない。例えば、治具本体の加圧面に、シート状の材料を貼り付けることで変更してもよいし、治具本体そのもの材料を変更してもよい。
本実施形態による非水系リチウム蓄電素子において、電極体を固定する絶縁テープの位置は、電極体の平坦部でないことが好ましい。例えば絶縁シールの位置は、扁平捲回体の場合は、扁平捲回体の屈曲したR部であることが好ましい。絶縁テープが電極体の平坦部にあると、非水系リチウム蓄電素子の外装体の平坦面を加圧する際、外装体内部にある固定テープの厚み分が、電極体に局所的な圧力を発生させ、ドープ工程にてLiドープ斑を生じさせてしまうため、好ましくない。
本実施形態による非水系リチウム蓄電素子の平均加圧力は、0.5kgf/cm以上20kgf/cm以下が好ましい。より好ましくは1kgf/cm以上15kgf/cm以下であり、更に好ましくは1.5kgf/cm以上10kgf/cm以下である。平均加圧力Pは、非水系リチウム蓄電素子の平坦部にかける荷重W(kgf)を加圧冶具の加圧面積S(cm)とした時、P=W/Sで算出される。平均加圧力Pが上記範囲内であれば、微短絡を発生させることなく電極体の平坦面全体に十分な圧力をかけることができ、Liドープ反応を促進させることが可能になる。
[エージング工程]
リチウムドープ工程の終了後に、電極捲回体にエージングを行うことが好ましい。エージング工程において非水系電解液中の溶媒が負極で分解し、負極表面にリチウムイオン透過性の固体高分子被膜が形成される。
上記エージングの方法としては、特に制限されないが、例えば、高温環境下で非水系電解液中の溶媒を反応させる方法等を用いることができる。
[ガス抜き工程]
エージング工程の終了後に、更にガス抜きを行い、非水系電解液、正極、及び負極中に残存しているガスを確実に除去することが好ましい。非水系電解液、正極、及び負極の少なくとも一部にガスが残存している状態では、イオン伝導が阻害されるため、得られる非水系リチウム型蓄電素子の抵抗が上昇してしまう。
<非水系リチウム蓄電素子の特性評価>
[静電容量]
本明細書では、静電容量Fa(F)とは、以下の方法によって得られる値である。
先ず、非水系リチウム蓄電素子と対応するセルを25℃に設定した恒温槽内で、2Cの電流値で3.8Vに到達するまで定電流充電を行い、続いて3.8Vの定電圧を印加する定電圧充電を合計で30分行う。その後、2.2Vまで2Cの電流値で定電流放電を施した際の容量をQ(C)とする。ここで得られたQ及び電圧変化ΔV(V)を用いて、静電容量Fa=Q/ΔV=Q/(3.8−2.2)により算出される値を、静電容量Fa(F)という。
ここで電流の放電レート(「Cレート」とも呼ばれる)とは、放電容量に対する放電時の電流の相対的な比率であり、一般に、上限電圧から下限電圧まで定電流放電を行う際、1時間で放電が完了する電流値のことを1Cという。本明細書では、上限電圧3.8Vから下限電圧2.2Vまで定電流放電を行う際に1時間で放電が完了する電流値のことを1Cとする。
[内部抵抗]
本明細書では、内部抵抗Ra(Ω)とは、以下の方法によって得られる値である:
先ず、非水系リチウム蓄電素子を25℃に設定した恒温槽内で、20Cの電流値で3.8Vに到達するまで定電流充電し、続いて3.8Vの定電圧を印加する定電圧充電を合計で30分間行う。続いて、サンプリング間隔を0.1秒とし、20Cの電流値で2.2Vまで定電流放電を行って、放電カーブ(時間−電圧)を得る。この放電カーブにおいて、放電時間2秒及び4秒の時点における電圧値から、直線近似にて外挿して得られる放電時間=0秒における電圧をEoとしたときに、降下電圧ΔE=3.8−EoからRa=ΔE/(20Cの電流値)として算出される値である。
[高負荷充放電サイクル試験]
本明細書では、高負荷充放電サイクル試験後の抵抗変化率及びガス発生量は、以下の方法によって測定する。
(高負荷充放電サイクル後の抵抗変化率)
先ず、非水系リチウム蓄電素子と対応するセルを25℃に設定した恒温槽内で、200Cの電流値で3.8Vに到達するまで定電流充電し、続いて200Cの電流値で2.2Vに到達するまで定電流放電を行う。この高負荷充放電サイクルを60000回繰り返し、上記内部抵抗の測定方法に従い高負荷充放電サイクル後の内部抵抗Rbを測定する。Rb/Raを高負荷充放電サイクル後の抵抗変化率とする。
[蓄電モジュール]
一般に、蓄電モジュールは、バッテリーモジュール、キャパシタモジュール、コンデンサモジュール、組蓄電池又は組電池とも呼ばれ、かつ蓄電素子は、キャパシタ、セル、蓄電セル又は蓄電池とも呼ばれる。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
[炭酸リチウムの粉砕]
平均粒子径53μmの炭酸リチウム200gを、アイメックス社製の粉砕機(液体窒素ビーズミルLNM)を用い、液体窒素で−196℃に冷却化した後、ドライアイスビーズを用い、周速10.0m/sにて9分間粉砕した。−196℃で熱変性を防止し、脆性破壊することにより得られた炭酸リチウムについて平均粒子径を測定することで仕込みの炭酸リチウム粒子径を求めたところ、2.0μmであった。
[正極活物質の調製]
[活性炭の調製]
破砕されたヤシ殻炭化物を、小型炭化炉において窒素中、500℃において3時間炭化処理して炭化物を得た。得られた炭化物を賦活炉内へ入れ、1kg/hの水蒸気を予熱炉で加温した状態で前記賦活炉内へ導入し、900℃まで8時間かけて昇温して賦活した。賦活後の炭化物を取り出し、窒素雰囲気下で冷却して、賦活された活性炭を得た。得られた活性炭を10時間通水洗浄した後に水切りした。その後、115℃に保持された電気乾燥機内で10時間乾燥した後に、ボールミルで1時間粉砕を行うことにより、活性炭を得た。
[正極塗工液の調製]
正極活物質として上記で得た活性炭を用い、仕込みのリチウム化合物として上記で得た炭酸リチウムを用いて、下記方法で正極塗工液(組成a)を製造した。
活性炭を46.5質量部、炭酸リチウム又は酸化、硫化若しくは水酸化リチウムを38.0質量部、ケッチェンブラックを4.0質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を1.5質量部、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10.0質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合し、それをPRIMIX社製の薄膜旋回型高速ミキサーフィルミックスを用いて、周速17.0m/sの条件で分散して塗工液を得た。
[正極前駆体の調製]
上記塗工液を東レエンジニアリング社製のダイコーターを用いて厚み15μmのアルミニウム箔の片面又は両面に塗工速度1m/sの条件で塗工し、乾燥温度100℃で乾燥して正極前駆体を得た。得られた正極前駆体についてロールプレス機を用いて圧力4kN/cm、プレス部の表面温度25℃の条件でプレスを実施した。
[負極の製造]
[負極の調製例]
平均粒子径が4.9μm、かつBET比表面積が6.1m/gの人造黒鉛の使用量150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ(軟化点:65℃)15gを入れたステンレス製バットの上に置き、両者を電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置した。これを窒素雰囲気下、1000℃まで8時間で昇温し、同温度で4時間保持することにより熱反応させ、複合炭素材料1を得た。得られた複合炭素材料を自然冷却により60℃まで冷却した後、電気炉から取り出した。
複合炭素材料を負極活物質として用いて負極1を製造した。
複合炭素材料を80質量部、アセチレンブラックを8質量部、及びPVdF(ポリフッ化ビニリデン)を12質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合し、それをPRIMIX社製の薄膜旋回型高速ミキサーフィルミックスを用いて、周速15m/sの条件で分散して塗工液を得た。得られた塗工液の粘度(ηb)及びTI値を東機産業社のE型粘度計TVE−35Hを用いて測定した結果、粘度(ηb)は2,791mPa・s、TI値は2.7であった。上記塗工液を東レエンジニアリング社製のダイコーターを用いて、厚さ10μmの貫通孔を持たない電解銅箔(プレーン箔)の両面に塗工速度1m/sの条件で塗工し、乾燥温度85℃で乾燥して負極を得た。得られた負極を、ロールプレス機を用いてプレスした。
[電解液の調製]
有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(MEC)=33:67(体積比)の混合溶媒を用い、全電解液に対してLiN(SOF)及びLiPFの濃度比が25:75(モル比)であり、かつLiN(SOF)及びLiPFの濃度の和が1.2mol/Lとなるようにそれぞれの電解質塩を溶解して得た溶液を非水系電解液として使用した。
ここで調製した電解液におけるLiN(SOF)及びLiPFの濃度は、それぞれ、0.3mol/L及び0.9mol/Lであった。
正極活物質、正極塗工液、リチウム化合物、集電体及び負極活物質を用いて、以下のとおりに非水系リチウム型蓄電素子を調製した。
[非水系リチウム型蓄電素子の調製]
[組立工程]
得られた両面負極1と両面正極前駆体を12.0cm×210.0cm(2520cm)の帯状にカットした。負極と正極前駆体との間に、厚み15μmの微多孔膜セパレータを挟んで積層し、渦巻状に捲回した後、扁平になるように加圧して扁平型電極捲回体とした。このとき、扁平型電極捲回体を固定する絶縁テープを、電極捲回体に形成されたR部に取り付けた。その後、負極と正極前駆体とに、それぞれ、負極端子と正極端子を超音波溶接にて接続した。
この電極捲回体を、温度80℃、圧力50Paで、乾燥時間60hrの条件で真空乾燥した。乾燥した電極捲回体を露点−45℃のドライ環境下にて、外寸が厚さ5mm、幅150mm、高さ70mmのアルミニウム合金製の扁平角型缶からなる外装体内に収納した。そして扁平角型缶の開口部に蓋板を挿入し、両者の接合部を溶接することによって、扁平角型缶の開口部を封口した。
[注液、含浸、封止工程]
外装体の蓋板に設けられた電解液注入口から、外装体の中に収納された電極捲回体に、露点−40℃以下のドライエアー環境下にて、上記非水系電解液約80gを温度25℃の大気圧下で注入した。続いて、減圧チャンバーの中に前記非水系リチウム型蓄電素子を入れ、常圧から−87kPaまで減圧した後、大気圧に戻し、5分間静置した。その後、常圧から−87kPaまで減圧した後、大気圧に戻す工程を4回繰り返した後、15分間静置した。さらに、常圧から−91kPaまで減圧した後、大気圧に戻した。同様に減圧し、大気圧に戻す工程を合計7回繰り返した(それぞれ、−95,96,97,81,97,97,97kPaまで減圧した)。以上の工程により、非水系電解液を電極捲回体に含浸させた。その後、電解液注入口を封止した。
[リチウムドープ工程]
得られた非水系リチウム型蓄電素子に対して、東洋システム社製の充放電装置(TOSCAT−3100U)を用いて、25℃環境下、電流値50mAで電圧4.5Vに到達するまで定電流充電を行った後、続けて4.5V定電圧充電を72時間継続する手法により初期充電を行い、負極にリチウムドープを行った。
このとき、外装体(扁平角型缶)を、図4に示すような、加圧面を有する一対の冶具で挟んで、扁平角型缶の厚み方向に500kgfの力で加圧した状態で行った。この冶具は、加圧面において、中央部が凹となるような傾斜を有しており、扁平角型缶の前記主面内の中央部よりも周辺部のほうに、加わる力がより大きくなるように加圧を行った。面圧分布測定システムI−SCAN、センサーシートとしてI−SCAN100(R)を用いて測定し、前述のデータ処理を行ったところ、面内の最大圧力Pmaxは9.1kgf/cm/cmであり、周辺部における加圧力は5.5kgf/cmであった。なお、治具本体はアルミニウム製(熱伝導率:236W・m−1・K−1であった。
[エージング工程]
リチウムドープ後の非水系リチウム型蓄電素子を25℃環境下、1.0Aで電圧3.0Vに到達するまで定電流放電を行った後、3.0V定電流放電を1時間行うことにより電圧を3.0Vに調整した。その後、非水系リチウム型蓄電素子を60℃の恒温槽に60時間保管した。
[ガス抜き工程]
エージング後の扁平捲回電極体を、温度25℃、露点−40℃のドライエアー環境下で注液孔を開封した。続いて、減圧チャンバーの中に扁平捲回電極体を入れ、ダイヤフラムポンプ(KNF社製、N816.3KT.45.18)を用いて大気圧から−80kPaまで3分間かけて減圧した後、3分間かけて大気圧に戻す工程を合計3回繰り返した。その後、減圧装置内に扁平捲回電極体を入れ、−90kPaに減圧した後、再び注液孔にアルミ製の蓋をレーザー溶接することにより封止し、非水系リチウム蓄電素子を作製した。以上の工程により、非水系リチウム蓄電素子を作製した。
<非水系リチウム蓄電素子の評価>
[静電容量Faの測定]
得られた非水系リチウム蓄電素子の内の1個について、25℃に設定した恒温槽内で、富士通テレコムネットワークス福島株式会社製の充放電装置(5V,360A)を用いて、2Cの電流値(1.6A)で3.8Vに到達するまで定電流充電を行い、続いて3.8Vの定電圧を印加する定電圧充電を合計で30分行った。その後、2.2Vまで2Cの電流値(1.6A)で定電流放電を施した際の容量をQ[C]とし、F=Q/(3.8−2.2)により算出した静電容量Faは、1722Fであった。
[内部抵抗Raの測定]
上記非水系リチウム蓄電素子について、25℃に設定した恒温槽内で、富士通テレコムネットワークス福島株式会社製の充放電装置(5V,360A)を用いて、20Cの電流値(16A)で3.8Vに到達するまで定電流充電し、続いて3.8Vの定電圧を印加する定電圧充電を合計で30分間行った。その後サンプリング時間を0.1秒とし、20Cの電流値(16A)で2.2Vまで定電流放電を行い、放電カーブ(時間−電圧)を得た。この放電カーブにおいて、放電時間2秒及び4秒の時点における電圧値から、直線近似にて外挿して得られる放電時間=0秒における電圧をEoとし、降下電圧ΔE=3.8−Eo、及びR=ΔE/(電流値20C)により内部抵抗Raを算出したところ、1.46mΩであった。
[高負荷充放電サイクル試験]
前記上記非水系リチウム蓄電素子について、25℃に設定した恒温槽内で、富士通テレコムネットワークス福島株式会社製の充放電装置(5V,360A)を用いて、200Cの電流値(160A)で3.8Vに到達するまで定電流充電し、続いて200Cの電流値で2.2Vに到達するまで定電流放電を行う充放電工程を休止なしの条件で60000回繰り返した。サイクル終了後に内部抵抗Rbを測定したところ1.57mΩであり、Rb/Ra=1.08であった。
(実施例2〜8、比較例1〜2)
リチウムドープ工程での加圧治具について、加圧面を平坦にして、加圧面に表1に記載の材料を取り付けたこと以外は、実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。内部抵抗Ra、および高負荷充放電サイクル試験により得られるRb/Raについて測定した結果についても、表1に記載した。
(実施例9〜12)
リチウムドープ工程での加圧治具について、加圧面を平坦にし、加圧面にクロロプレンゴム(ショアA70)を貼り付け、さらに加圧力を表1に示した通り変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。内部抵抗Ra、および高負荷充放電サイクル試験により得られるRb/Raについて測定した結果についても、表1に記載した。
(実施例13)
組立工程において、加圧面を平坦にし、加圧面にクロロプレンゴム(ショアA70)を取り付け、扁平型電極捲回体を固定する絶縁テープの位置を、電極捲回体の平坦部(主面部)に取り付けたこと以外は、実施例1と同様の方法で、非水系リチウム蓄電素子を作製した。内部抵抗Ra、および高負荷充放電サイクル試験により得られるRb/Raについて測定した結果を、表1に記載した。
(実施例14)
リチウムドープ工程での加圧治具について、加圧面を平坦にし、加圧面にクロロプレンゴム(ショアA70)を取り付け、加圧治具本体の材質を銅(熱伝導率:403W・m−1・K−1)にしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、非水系リチウム蓄電素子を作製した。内部抵抗Ra、および高負荷充放電サイクル試験により得られるRb/Raについて測定した結果を、表1に記載した。
(実施例15)
リチウムドープ工程での加圧治具について、加圧面を平坦にし、加圧面にクロロプレンゴム(ショアA70)を取り付け、加圧治具本体の材質を炭素材料(熱伝導率:173W・m−1・K−1)にしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、非水系リチウム蓄電素子を作製した。内部抵抗Ra、および高負荷充放電サイクル試験により得られるRb/Raについて測定した結果を、表1に記載した。
(比較例3)
リチウムドープ工程での加圧治具について、加圧面を平坦にしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、非水系リチウム蓄電素子を作製した。内部抵抗Ra、および高負荷充放電サイクル試験により得られるRb/Raについて測定した結果を、表1に記載した。
Figure 2019029411
表から明らかなように、実施例の非水系リチウム蓄電素子では、比較例に比べて、内部抵抗が小さく、充放電サイクル特性も良好であることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明の製造方法により得られる非水系リチウム型蓄電素子は、初期入出力特性に優れ、高いエネルギー密度を有し、高負荷充放電サイクル特性、高温保存耐久性に優れるため、例えば、自動車において、内燃機関又は燃料電池、モーター、及び蓄電素子を組み合わせたハイブリット駆動システムの分野、緊急時のバッテリーバックアップ用途、更には瞬間電力ピークのアシスト用途等で好適に利用できる。
4 扁平角型缶
6 扁平型電極捲回体
7 正極端子
8 負極端子
9 蓋板
10 絶縁パッキング
14 非水電解液注入口
15 開裂ベント
20 治具
20a 加圧面
20b 傾斜

Claims (8)

  1. 以下の工程:
    (1)活性炭及びリチウム化合物を含む正極活物質層を正極集電体上に形成して、正極前駆体を得る工程;
    (2)前記正極前駆体と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質層を負極集電体上に有する負極と、前記正極前駆体と前記負極の間に配置されたセパレータとを含む電極積層体を形成する工程;
    (3)前記電極積層体を捲回して、電極捲回体を形成する工程;
    (4)前記電極捲回体をプレスして、扁平型電極捲回体を形成する工程;
    (5)前記扁平型電極捲回体を扁平角型缶に収納し、前記扁平角型缶の開口部から、前記リチウム化合物とは異なるリチウム塩を含む非水電解液を注入し、前記開口部を密封して、密封型非水系リチウム蓄電素子を形成する工程;並びに
    (6)前記密封型非水系リチウム蓄電素子を、加圧面を有する一対の冶具で挟んで、前記扁平角型缶の厚み方向に加圧した状態で、リチウム化合物を分解して、リチウムイオンを生じさせ、該リチウムイオンを前記負極活物質層にドープする工程;を備え、
    前記ドープする工程(6)において、前記扁平角型缶の前記主面内の最大加圧力をPmax、面内の最小加圧力Pminとしたとき、(Pmax−Pmin)/Pmax≦0.5となるように加圧を行うことを特徴とする、密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
  2. 前記ドープする工程(6)において、前記扁平角型缶の前記主面内の中央部よりも周辺部のほうに、加わる力がより大きくなるように加圧を行うことを特徴とする、請求項1に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
  3. 前記冶具において、前記加圧面は、中央部が凹となるような傾斜を有する、請求項2に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
  4. 前記扁平角型缶の前記主面と接触する前記加圧面の材質の硬度が、JIS K6253による測定においてショアA5以上ショアA70以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
  5. 前記冶具は、熱伝導率が、200W・m−1・K−1以上である材料から成る、請求項1〜4のいずれか一項に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
  6. 前記電極捲回体を固定するために使用される絶縁テープが、前記電極捲回体の屈曲部に位置する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
  7. 前記ドープする工程(6)において、前記扁平角型缶の前記主面にかける平均加圧力Pは0.5kgf/cm以上20kgf/cm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の密閉型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
  8. ドライ環境下で、前記ドープする工程(6)が行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の密封型非水系リチウム蓄電素子の製造方法。
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