JP7034777B2 - リチウムイオン電池の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、正極板および負極板をセパレータを介して積層してなる扁平な発電要素を外装体の外側から0.49×10-2~24.5×10-2MPaの圧力で加圧した状態で初回充電を行う方法が開示されている。
また、特許文献2には、電池ケース内にアルゴン等の流体を加圧封入することによって、積層体に静水圧を加える機構を組み込む方法が開示されている。
この時、負極活物質層は負極活物質粒子の非結着体である。
ガス排出に伴う負極活物質層の構造変化は導電パスの消失や不均一化に繋がる場合があり、また負極活物質粒子表面に残存したガスによって負極活物質粒子の表面でのSEI膜の均一な形成を阻害されてサイクル特性が悪化することが推察される。
このSEI膜は、初回の充電操作によって形成された後は、放電操作を行っても完全に失われることなく、負極反応の反応場として機能する。従って、荷重を開放した後であってもサイクル特性が劣化することがない。
予備充電工程における積層単位に対する負荷が2.5kgf/cm2未満であると電極活物質粒子の位置を固定する効果が小さく、導電パスの不均一化を抑制することができない。一方、予備充電工程における積層単位に対する負荷が10kgf/cm2を超えると非結着体である負極活物質層を含んだ積層単位が大きく変形してしまう。
従って、本発明のリチウムイオン電池の製造方法では、結着剤を含まない電極活物質層を有する電極を用いた場合であっても、電池ケース内に圧力を加える機構を組み込むことなく優れたサイクル特性を発揮することができるリチウムイオン電池を提供することができる。
予備充電工程において積層単位に荷重を付加する方法は特に限定されないが、積層単位の積層方向の両面に集電体を配置した状態で、集電体ごと金属やゴム製の治具で挟んで荷重を付加する方法や、集電体の間に配置した積層単位を非水電解液中に浸漬させ、そのまま非水電解液を加圧することで、積層単位を静水圧により加圧する方法が挙げられる。
なお、積層単位に対して直接荷重を付加する必要はなく、例えば、積層単位を集電体で覆った状態や、積層単位を電池外装体内に収容した状態で、集電体や電池外装体を介して積層単位に荷重を付加してもよい。
1回目の充電操作を行った後、積層単位に対する荷重は必要ないので、1回目の充電操作が終わり次第、荷重を開放してもよい。
積層単位の周囲を減圧しながら予備充電工程を行うことで、初回充電により発生したガスを負極活物質粒子の表面から速やかに排出することができる。
上記減圧条件は特に限定されないが、例えば0.01~0.5atmが好ましい。
また予備充電工程における放電操作としては、正極の電位が0.01V(vs.Li/Li+)となるまで放電することが望ましい。
上記充電操作における電流量(Cレート)は特に限定されないが、0.01~1Cであることが好ましく、0.05~0.1Cであることがより好ましい。
非水電解液の電解質濃度は特に限定されないが、1.2~4.5mol/Lであることが好ましい。
電池外装体に積層単位を収容することなく予備充電工程を行う場合には、予備充電工程を行った積層単位を、電池外装体等に収容することにより、リチウムイオン電池を製造することができる。
また、積層単位を電池外装体に収容した状態で予備充電工程を行った場合には、電池外装体を封止することでリチウムイオン電池が得られる。なお、既に電池外装体が封止された状態で予備充電工程を行った場合には、予備充電工程の終了によってリチウムイオン電池が得られる。
積層単位は、正極活物質粒子を含む正極活物質層と、負極活物質粒子を含む負極活物質層とがセパレータを介して積層されてなる。
さらに、負極活物質層は、負極活物質粒子の非結着体である。
負極活物質層に含まれる負極活物質粒子の体積割合は、負極活物質層の外形から計算される体積に対する負極活物質層中に含まれる負極活物質粒子の重量と、負極活物質粒子の真密度から計算される体積の割合として計算することができる。
なお、負極活物質粒子が後述する被覆負極活物質粒子である場合、負極活物質層に含まれる負極活物質粒子の体積割合とは、負極活物質層に含まれる被覆負極活物質粒子の体積割合を意味する。
また、負極活物質層に含まれる負極活物質粒子の体積割合とは、予備充電工程において積層単位への荷重の付加を実施する前の負極活物質層に含まれる負極活物質粒子の体積割合である。
なお、電極活物質粒子からなる電極活物質層のうち、電極活物質層として正極活物質粒子を用いたものが正極活物質層であり、電極活物質層として負極活物質粒子を用いたものが負極活物質層である。以下、正極活物質層及び負極活物質層をまとめて電極活物質層として説明する。
電極活物質層作製用組成物は、電極活物質粒子及び分散媒を混合したスラリーであってもよく、上記スラリーよりも分散媒の量を減らすことで得られる流動性の低い状態(例えばファニキュラー状態やペンデュラー状態とも呼ばれるおからのような半固体状)であってもよい。電極活物質層作製用組成物には、電極活物質粒子及び分散媒のほかに、必要に応じて導電助剤を添加してもよい。
電極活物質が負極活物質の場合、すなわち負極活物質層を作製する際の分散液に電池用バインダを添加してしまうと、負極活物質層が負極活物質粒子の非結着体とならない。
負極活物質層が結着体であると、初回充電時に発生するガスが充分に排出されないことに起因して、負極活物質粒子の表面に均一なSEI膜が形成されなくなる。他方、正極活物質粒子の表面にはSEI膜は形成されないため、正極活物質層が結着体であったとしても、上述したSEI膜の問題は発生しない。
ただし、負極活物質層だけでなく正極活物質層も非結着体であると、電池が変形した場合にいずれの電極活物質層にも欠陥が生じないため、可撓性が求められる電池に適用することができ好ましい。
分散液を用いる場合、例えば、電極活物質粒子と導電助剤の合計濃度が30~60重量%となるように、水又は分散媒(好ましくは非水電解液や非水電解液に用いる非水溶媒等)と電極活物質粒子及び導電助剤を混合した分散液を、集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布した後、必要に応じて乾燥して水又は溶媒を除去する方法が挙げられる。上記乾燥の後、電極活物質層を必要によりプレス機でプレスしてもよい。
また、上記の必要により行う乾燥は、順風式乾燥機等の公知の乾燥機を用いて行うことができ、その乾燥温度は分散液に含まれる分散媒(水又は溶媒)の種類に応じて調整することができる。
なかでも、負極活物質層を作製する場合には、負極活物質層に含まれる負極活物質粒子の体積割合が30~70体積%となるような圧力でプレスすることが好ましい。
負極活物質層に含まれる負極活物質粒子の体積割合は、負極活物質層の外形から計算される体積に対する負極活物質層中に含まれる負極活物質粒子の重量と真密度から計算される体積の割合として計算することができる。
ただし、電極活物質が負極活物質である場合、電池用バインダを使用しない。電極活物質が負極活物質である場合に電池用バインダを使用すると、負極活物質同士が電池用バインダにより互いに結着されてしまい、負極活物質粒子の非結着体を得ることができないためである。
型の形状は、底面及び側面を有していればよく、その他の形状は特に限定されない。また、側面を構成する型と底面を構成する型とが分離可能に構成されていてもよい。
また、型と成形体との間で発生する摩擦を低減するため、型の表面にはフッ素コート等が施されていてもよい。
型内に形成された空間(以下、単に空間ともいう)の形状は、得たい電極活物質層の形状に応じて調整すればよく、圧縮方向における形状変化がないものであることが望ましく、例えば、円柱形、角柱形等であることが望ましい。
空間の形状が円柱形の型を用いた場合には平面視略円形の、空間の形状が角柱状の型を用いた場合には平面視矩形の成形体が得られる。
押出成形機としては、例えば、原料(上記電極活物質層作製用組成物)が供給される原料筒と、原料筒の原料吐出側に取り付けられたダイス(モールドともいう)と、原料筒内に配置された原料をダイスの方へ押し出すための回転軸状のスクリュとを有するものが挙げられる。
原料筒に原料を投入し、スクリュの回転により原料筒を移動した原料をダイスから押し出すことにより、筒状の成形体を得る事ができる。成形体の形状は、ダイスの形状、及び、スクリュの回転速度を調整することによって適宜調整することができる。
ニーダー等の連続混合機から上記電極活物質層作製用組成物を投入し、ドクターブレード等によってフィルム等の平滑な面上に一定の厚みに広げた電極活物質層作製用組成物をロールプレス処理することでシート状の成形体を得る事ができる。シート状の成形体を所定の長さで切断することにより、電極活物質層が得られる。
正極活物質としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属が1種である複合酸化物(LiCoO2、LiNiO2、LiAlMnO4、LiMnO2及びLiMn2O4等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO4、LiNi1-xCoxO2、LiMn1-yCoyO2、LiNi1/3Co1/3Al1/3O2及びLiNi0.8Co0.15Al0.05O2)及び遷移金属元素が3種類以上である複合酸化物[例えばLiMaM’bM’’cO2(M、M’及びM’’はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO4、LiCoPO4、LiMnPO4及びLiNiPO4)、遷移金属酸化物(例えばMnO2及びV2O5)、遷移金属硫化物(例えばMoS2及びTiS2)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ-p-フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
負極活物質粒子として珪素系負極活物質粒子を含む場合、本発明のリチウムイオン電池の製造方法における予備充電工程の効果が顕著に得られるため好ましい。
珪素化合物粒子を構成する材料としては、酸化珪素(SiOx)、珪素-炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素-アルミニウム合金、珪素-リチウム合金、珪素-ニッケル合金、珪素-鉄合金、珪素-チタン合金、珪素-マンガン合金、珪素-銅合金及び珪素-スズ合金等)等が挙げられる。
これらの中では酸化珪素が望ましい。
上記負極活物質のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電助剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性の材料(上記した導電助剤のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電助剤の体積平均粒子径は、マイクロトラック法により測定することができる。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電助剤が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1~20μmであることが好ましい。
電極活物質粒子として正極活物質粒子を用いた被覆電極活物質粒子を被覆正極活物質粒子ともいい、電極活物質粒子として負極活物質粒子を用いた被覆電極活物質粒子を被覆負極活物質粒子ともいう。
電極活物質粒子の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂組成物により被覆されていると、電極活物質粒子の体積膨張によって電極が膨脹することを抑制することができる。
被覆電極活物質粒子を用いると、非水電解液を含んだ被覆用樹脂組成物が膨潤して粘着性を示すため、成形がより簡便な条件で行える。
従って、最初から非水電解液を含んだ電極活物質層を作製しやすくなる。
なお、電極活物質が正極活物質である場合の被覆電極活物質を被覆正極活物質ともいい、電極活物質が負極活物質である場合の被覆電極活物質を被覆負極活物質ともいう。
上記方法により、被覆用樹脂からなる被覆用樹脂組成物によって電極活物質粒子の表面の少なくとも一部が被覆される。
被覆用樹脂組成物を構成する被覆用樹脂としては、国際公開第2015/5117号及び特開2017-054703号公報等に記載の被覆用樹脂を好ましく用いることができる。
なお、電極活物質層に導電助剤と導電材とが含まれる場合、被覆用樹脂が溶解しない溶媒に電極活物質層を分散させると導電助剤のみが溶媒に抽出されるので、被覆用樹脂組成物に残る導電材と導電助剤とを分離することができる。
粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性を有する樹脂を意味し、上記電池用バインダとは異なる材料であり、区別される。
また、被覆電極活物質を構成する被覆層が電極活物質の表面に固定されているのに対して、粘着性樹脂は電極活物質の表面同士を可逆的に固定するものである。電極活物質の表面から粘着性樹脂は容易に分離できるが、被覆層は容易に分離できない。従って、上記被覆層と上記粘着性樹脂は異なる材料である。
粘着性樹脂を用いる場合、電極活物質の合計重量に対して0.01~10重量%の粘着性樹脂を用いることが好ましい。
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
積層単位を構成する前の正極活物質層、セパレータ及び負極活物質層のそれぞれに非水電解液を含浸させてから積層単位を構成する方法、及び、非水電解液を含まない正極活物質層、セパレータ及び負極活物質層を積層して積層単位を準備し、この積層単位に対して非水電解液を含浸させる方法があげられる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル-n-プロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート及びジ-n-プロピルカーボネート等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン及び1,4-ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。
アミド化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記載する)等が挙げられる。
スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等の鎖状スルホン及びスルホラン等の環状スルホン等が挙げられる。
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコに、DMF14.3部とメタノール2.9部とを仕込み68℃に昇温した。次いで、メタクリル酸41.7部、メチルメタクリレート16.6部、2-エチルヘキシルメタクリレート41.7部、DMF9.0部およびメタノール1.8部を配合したモノマー配合液と、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.045部をDMF5.9部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで4時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.100部をDMF4.5部に溶解した開始剤溶液を滴下ロートを用いて2時間かけて連続的に追加した。さらに、沸点で重合を4時間継続した。溶媒を除去し、樹脂99.8部を得た後、イソプロパノールを232.9部加えて樹脂濃度30重量%の重合体(被覆用樹脂)(B1)溶液を得た。得られた被覆用樹脂(B1)の分子量を下記条件のGPCにて測定したところ、Mwは210,000であった。
<GPCの測定条件>
装置:AllianceGPCV2000(Waters社製)
溶媒:オルトジクロロベンゼン
標準物質:ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel10μm、MIXED-B2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)
カラム温度:135℃
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコに、DMF14.3部とメタノール2.9部とを仕込み68℃に昇温した。次いで、アクリル酸90.0部、メタクリル酸メチル10.0部、DMF9.0部およびメタノール1.8部を配合したモノマー配合液と、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.045部をDMF5.9部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで4時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.100部をDMF4.5部に溶解した開始剤溶液を滴下ロートを用いて2時間かけて連続的に追加した。さらに、沸点で重合を4時間継続した。溶媒を除去し、樹脂99.8部を得た後、イソプロパノールを232.9部加えて樹脂濃度30重量%の重合体(被覆用樹脂)(B2)溶液を得た。得られた被覆用樹脂(B2)の分子量を製造例1と同様の条件のGPCにて測定したところ、Mwは180,000であった。
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート)の混合溶媒(体積比率でEC:PC=1:1)にLiN(FSO2)2を1.2mol/Lの割合で溶解させ、リチウムイオン電池用電解液(E-1)を調製した。
LiN(FSO2)2の濃度を4.5mol/Lに変更したほかは、製造例3と同様の手順で、リチウムイオン電池用電解液(E-2)を調製した。
LiN(FSO2)2の濃度を0.8mol/Lに変更したほかは、製造例3と同様の手順で、リチウムイオン電池用電解液(E-3)を調製した。
酸化珪素粒子[信越化学工業(株)製、一次粒子の体積平均粒子径:5μm]を横型加熱炉中に入れ、横型加熱炉内にメタンガスを通気しながら1100℃/1000Pa、平均滞留時間約2時間の化学蒸着操作を行い、炭素含有量が2重量%で、表面が炭素で被覆された炭素被覆酸化珪素粒子(体積平均粒子径6μm)を得た。
被覆用樹脂(B1)溶液を用いたリチウムイオン電池用被覆負極活物質を以下の方法で作製した。
難黒鉛化性炭素粉末[(株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製 カーボトロン(登録商標)PS(F)、体積平均粒子径18μm]99.0部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、上記被覆用樹脂(B1)溶液(固形分濃度30重量%)3.0部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去し、炭素系被覆負極活物質粒子(X-1)99.9部を得た。炭素系被覆負極活粒子(X-1)の真密度は1.5g/cm3であった。
被覆用樹脂(B2)溶液を用いたリチウムイオン電池用被覆負極活物質を以下の方法で作製した。
製造例6で得た炭素被覆酸化珪素粒子60部を万能混合機に入れ、室温、150rpmで撹拌した状態で、上記被覆用樹脂(B2)溶液(樹脂固形分濃度30重量%)67部を60分かけて滴下混合し、さらに30分撹拌した。
次いで、撹拌した状態でアセチレンブラック[デンカ(株)製]20部を3回に分けて混合し、30分撹拌したままで70℃に昇温し、0.01MPaまで減圧し30分保持した。上記操作により被覆負極活物質粒子(X-2)100部を得た。被覆負極活物質粒子(X-2)の真密度は1.9g/cm3であった。
被覆用樹脂(B1)の溶液を用いたリチウムイオン電池用被覆正極活物質を以下の方法で作製した。
LiNi0.8Co0.15Al0.05O2粉末96部を万能混合機に入れ、室温、150rpmで撹拌した状態で、樹脂溶液(樹脂固形分濃度30重量%)3.3部を60分かけて滴下混合し、さらに30分撹拌した。
次いで、撹拌した状態でアセチレンブラック[デンカ(株)製]3部を3回に分けて混合し、30分撹拌したままで70℃に昇温し、0.01MPaまで減圧し30分保持した。上記操作により被覆正極活物質粒子97部を得た。被覆正極活物質粒子の真密度は4.8g/cm3であった。
製造例9で得られた被覆正極活物質粒子98部、導電助剤であるカーボンナノファイバー(表1ではCNFと記載)[昭和電工(株)製VGCF(登録商標)、真密度2.1g/cm3](アスペクト比:60、電気抵抗率:40μΩm)2部、及び、電解液(E-1)120部を混合して得られた正極活物質スラリーをアラミドセパレータ上に目付量60.2mg/cm2で塗布し、アラミドセパレータの反対側から吸液することによって、アラミドセパレータ上に正極活物質層(P-1)を作製した。
得られた正極活物質層(P-1)の厚さは235μmであった。使用した被覆正極活物質粒子の真密度から計算される正極活物質層(P-1)に含まれる被覆正極活物質粒子の体積割合は52体積%であった。
電解液(E-1)を電解液(E-2)120部に変更し、目付量を147.3mg/cm2に変更したこと以外は製造例10と同様にし、正極活物質層(P-2)を作製した。
得られた正極活物質層(P-2)の厚さは575μmであった。使用した被覆正極活物質粒子の真密度から計算される正極活物質層(P-2)に含まれる被覆正極活物質粒子の体積割合は52体積%であった。
電解液(E-1)を電解液(E-3)120部に変更したこと以外は製造例10と同様にし、正極活物質層(P-3)を作製した。
得られた正極活物質層(P-3)の厚さは235μmであった。使用した被覆正極活物質粒子の真密度から計算される正極活物質層(P-3)に含まれる被覆正極活物質粒子の体積割合は52体積%であった。
製造例10で用いた正極活物質スラリーを製造例10と同様にアラミドセパレータに塗布し、アラミドセパレータの反対側から徐々に厚さが410μmになるまで吸引して厚さが410μmの正極活物質層(P-4)を作製した。使用した被覆正極活物質粒子の真密度から計算される正極活物質層(P-4)に含まれる被覆正極活物質粒子の体積割合は30体積%であった。
製造例7で得られた被覆負極活物質粒子(X-1)98部、カーボンナノファイバー2部及び、電解液(E-1)120部を混合して得られた負極活物質スラリーをアラミドセパレータ上に目付量28.5mg/cm2で塗布し、アラミドセパレータの反対側から吸液することによって、アラミドセパレータ上に負極活物質層(N-1)を作製した。
得られた負極活物質層(N-1)の厚さは300μmであった。使用した被覆負極活物質粒子の真密度から計算される負極活物質層(N-1)に含まれる被覆負極活物質粒子(X-1)の体積割合は62体積%であった。
電解液(E-1)を電解液(E-2)120部に変更し、目付量を70.0mg/cm2に変更したこと以外は製造例14と同様にし、負極活物質層(N-2)を作製した。
得られた負極活物質層(N-2)の厚さは735μmであった。使用した被覆負極活物質粒子の真密度から計算される負極活物質層(N-2)に含まれる被覆負極活物質粒子(X-1)の体積割合は62体積%であった。
被覆負極活物質粒子(X-1)75部、被覆負極活物質粒子(X-2)10部、アセチレンブラック10部(デンカ(株)製、デンカブラック、真密度1.8g/cm3)、カーボンナノファイバー5部及び電解液(E-1)120部を混合して得られた負極活物質スラリーをアラミドセパレータ上に目付量24.2mg/cm2で塗布し、アラミドセパレータの反対側から吸液することによって、アラミドセパレータ上に負極活物質層(N-3)を作製した。得られた負極活物質層(N-3)の厚さは250μmであった。使用した被覆負極活物質粒子(X-1)及び(X-2)の真密度から計算される負極活物質層(N-3)に含まれる被覆負極活物質粒子(X-1)及び(X-2)の体積割合の合計値は、53体積%であった。
目付量を25.0mg/cm2に変更し、アラミドセパレータの反対側からの吸液を負極活物質層の厚さが430μmとなるまで行ったこと以外は製造例16と同様にしてアラミドセパレータ上に負極活物質層(N-4)を作製した。得られた負極活物質層(N-4)の厚さは430μmであった。使用した被覆負極活物質粒子(X-1)及び(X-2)の真密度から計算される負極活物質層(N-4)に含まれる被覆負極活物質粒子(X-1)及び(X-2)の体積割合の合計値は32体積%であった。
電解液(E-1)を電解液(E-3)120部に変更し、目付量を7.0mg/cm2に変更し、アラミドセパレータの反対側からの吸液を負極活物質層の厚さが180μmとなるまで行ったこと以外は製造例14と同様にしてアラミドセパレータ上に負極活物質層(N-5)を作製した。得られた負極活物質層(N-5)の厚さは180μmであった。使用した被覆負極活物質粒子(X-1)の真密度から計算される負極活物質層(N-5)に含まれる被覆負極活物質粒子(X-1)の体積割合は25体積%であった。
[積層単位の作製]
アラミドセパレータを剥がした正極活物質層(P-1)、アラミドセパレータを剥がした負極活物質層(N-1)及びセパレータ[セルガード社製 セルガード(登録商標)3501 PP製]を組み合わせて貼り合わせることにより積層単位を作製した。
この積層単位の正極活物質層(P-1)側に電流取り出し用端子を付けたアルミ箔、負極活物質層(N-1)側に電流取り出し用端子を付けた銅箔をそれぞれ接触させた状態で、電池外装体であるアルミラミネートフィルム内に収容し、評価用電池を作製した。
評価用電池をステンレス板で挟み、上から2.5kgf/cm2の荷重を付加するように重りを乗せ、電流取り出し用端子を充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]に接続した。
続いて、上記充放電測定装置を用いて、積層単位に対して、0.05Cの電流で正極の電位が0.01V(vs.Li+/Li)となるまで放電して10分休止した後、正極の電位が4.2V(vs.Li+/Li)となるまで充電して予備充電を行うことにより、実施例1に係る評価用リチウムイオン電池を得た。
予備充電工程後の評価用リチウムイオン電池に対して、さらに、0.05Cの電流で正極の電位が0.01V(vs.Li+/Li)となるまで放電、10分休止、0.05Cの電流で正極の電位が4.2V(vs.Li+/Li)となるまで充電、10分休止、のサイクルを99回繰り返して行い、1回目充電容量に対する100回目充電容量の割合(100サイクル目容量維持率)を求め、以下の基準によりサイクル特性(耐久性)を評価した。結果を表1に示す。
○:100サイクル目容量維持率が80%以上であり、サイクル特性が良好
×:100サイクル目容量維持率が80%未満であり、サイクル特性が不良
予備充電工程後の評価用リチウムイオン電池に対して、2回目の充電操作を行って2回目の充電容量を測定した後、続いてエスペック(株)製垂直/水平加振複合環境装置を用いて振動を加えた。振動は、積層単位の積層方向に平行な方向に沿って、周期1000Hz、振幅10mmで30分間行った。
その後、3回目の充電試験を行って3回目充電容量を測定し、2回目充電容量からの充電容量の減少率(加振時容量維持率)を算出し、以下の基準により耐振動性を評価した。結果を表1に示す。
◎:加振時容量維持率が95%以上であり、耐振動性に優れる
○:加振時容量維持率が90%以上、95%未満であり、耐振動性が良好
×:加振時容量維持率が90%未満であり、耐振動性が不良
積層単位を構成する正極活物質層と積層単位を構成する負極活物質層との組み合わせを表1に記載の組み合わせに変更し、予備充電工程における荷重を表1に記載の加重に変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用リチウムイオン電池を作製し、実施例1と同様に耐久性評価と耐振動性評価を行った。結果を表1に示す。
なお、比較例2については荷重によって予備充電工程中に積層単位が変形してしまいリチウムイオン電池を作製することができなかった。そのため、耐久性試験及び耐振動性試験は実施できなかったので、表1には実施できずと記載した。
Claims (4)
- 正極活物質粒子を含む正極活物質層と負極活物質粒子を含む負極活物質層とがセパレータを介して積層された積層単位に対して少なくとも1回以上の充電操作を行う予備充電工程を含むリチウムイオン電池の製造方法であって、
前記負極活物質層は、前記負極活物質粒子の非結着体であり、
前記予備充電工程を、前記積層単位に対して、積層方向に2.5~10kgf/cm2の荷重を付加した状態で行うことを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。 - 前記負極活物質粒子は、珪素及び/又は珪素化合物粒子を含む請求項1に記載のリチウムイオン電池の製造方法。
- 前記正極活物質層、前記セパレータ及び前記負極活物質層に非水電解液を含浸させる含浸工程をさらに有し、前記非水電解液の電解質濃度が1.2~4.5mol/Lである請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池の製造方法。
- 前記積層単位に対して荷重を付加する前の前記負極活物質層の厚さが200~750μmである請求項1~3のいずれかに記載のリチウムイオン電池の製造方法。
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