JP6839028B2 - リチウムイオン電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池の製造方法に関する。
リチウムイオン(二次)電池は、高容量で小型軽量な二次電池として、近年様々な用途に多用されている。このようなリチウムイオン電池の製造方法の一例として、シート状の正極及び負極集電体の表面にそれぞれ正極活物質層及び負極活物質層を形成して、これら正極活物質層及び負極活物質層の間にセパレータ層を介在させ、正極及び負極集電体の周縁部を絶縁材料を介して接合する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−260739号公報
しかしながら、上述した従来のリチウムイオン電池の製造方法では、シート状の集電体の表面に、活物質がバインダにより固定された活物質層を形成する工程が必要であり、かかる工程は、集電体の表面に活物質とバインダを非水溶媒中に分散させたスラリーを塗布した後、乾燥、焼結等することにより行われているので、活物質層を形成する工程に手間を要していた。また、スラリー中の非水溶媒を回収する必要があることから、製造工程、製造装置の簡略化が困難であった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、製造性に優れたリチウムイオン電池の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、少なくとも一部に正極収容部を有する正極外装体と、少なくとも一部に負極収容部を有する負極外装体との間に、正極活物質及び電解液を含む非結着体である正極電極組成物と負極活物質及び電解液を含む非結着体である負極電極組成物とがセパレータを介して相対向するように積層された蓄電部を配置し、上記正極電極組成物及び上記負極電極組成物を圧縮しながら、上記正極外装体と上記負極外装体とを封止する圧縮封止工程を備えたリチウムイオン電池の製造方法であって、上記正極収容部及び上記負極収容部に何も収容せずに封止した場合の電池外装体の体積(V)、上記圧縮封止工程後の上記電池外装体の体積(V)、及び、何も収容しない状態での上記正極収容部の容積と上記負極収容部の容積との合計値(V)が、0<(V−V)/(V)×100<70を満たすことを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法に関する。
本発明のリチウムイオン電池の製造方法は製造性に優れたリチウムイオン電池を提供することができる。
図1は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法を構成する圧縮封止工程において用いられる蓄電部の一例を模式的に示した説明図である。 図2(a)〜図2(b)は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法を構成する圧縮封止工程の一例を模式的に示した説明図である。 図3(a)は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法により製造されたリチウムイオン電池の一例を模式的に示す断面図であり、図3(b)は、正極収容部及び負極収容部に何も収容せずに封止した場合の電池外装体の一例を模式的に示す断面図であり、図3(c)は、何も収容しない状態での正極収容部の容積及び負極収容部の容積の一例を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法により製造されるリチウムイオン電池の一例を模式的に示す断面図である。 図5は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法により製造されるリチウムイオン電池の別の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、少なくとも一部に正極収容部を有する正極外装体と、少なくとも一部に負極収容部を有する負極外装体との間に、正極活物質及び電解液を含む非結着体である正極電極組成物と負極活物質及び電解液を含む非結着体である負極電極組成物とがセパレータを介して相対向するように積層された蓄電部を配置し、上記正極電極組成物及び上記負極電極組成物を圧縮しながら、上記正極外装体と上記負極外装体とを封止する圧縮封止工程を備えたリチウムイオン電池の製造方法であって、上記正極収容部及び上記負極収容部に何も収容せずに封止した場合の電池外装体の体積(V)、上記圧縮封止工程後の上記電池外装体の体積(V)、及び、何も収容しない状態での上記正極収容部の容積と上記負極収容部の容積との合計値(V)が、0<(V−V)/(V)×100<70を満たすことを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法である。
本発明のリチウムイオン電池の製造方法では、少なくとも一部に正極収容部を有する正極外装体と、少なくとも一部に負極収容部を有する負極外装体との間に、正極活物質及び電解液を含む非結着体である正極電極組成物と負極活物質及び電解液を含む非結着体である負極電極組成物とがセパレータを介して相対向するように積層された蓄電部を配置し、正極電極組成物及び負極電極組成物を圧縮しながら、正極外装体と負極外装体とを封止する圧縮封止工程を備える。
このとき、正極収容部及び負極収容部に何も収容せずに封止した場合の電池外装体の体積(V)、圧縮封止工程後の電池外装体の体積(V)、及び、何も収容しない状態での正極収容部の容積と負極収容部の容積との合計値(V)が、0<(V−V)/(V)×100<70を満たす。(V−V)は圧縮封止工程前後の電池外装体の体積変動であり、圧縮封止工程において本来の収容部(正極収容部の容積及び負極収容部の容積の合計値)に収容しきれなかった電極組成物が収容されている体積に相当する。本発明のリチウムイオン電池の製造方法において、(V−V)は0より大きい数値となるから、圧縮封止工程によって電池外装体の体積が増加しているといえる。
この原因は、正極収容部及び負極収容部に収容できない体積の正極電極組成物及び負極電極組成物を電池外装体内に封止しようとして、正極電極組成物及び負極電極組成物を圧縮しているからであると考えられる。圧縮された正極電極組成物及び負極電極組成物には膨張方向の力が作用するため、電池外装体が外側に向かって押されて体積が膨張する。この時、正極電極組成物及び負極電極組成物は圧縮された状態で電池外装体内に存在するため、活物質と集電体との接触性及び活物質同士の接触性が良好となり、内部抵抗を低くする効果も得ることができる。
電極組成物が収容されるべき空間の体積は、何も収容しない状態での正極収容部の容積と負極収容部の容積との合計値(V)で表されるから、(V−V)を(V)で除した値は、圧縮封止工程による電極組成物の体積膨張を本来電極組成物が収容されるべき空間の容積で除したものに相当する。この値が0を超えて0.7未満である[すなわち、0<(V−V)/(V)×100<70を満たす]場合に、リチウムイオン電池の特性を損なうことなくリチウムイオン電池を製造することができることを見出したものである。
正極電極組成物は、正極活物質と電解液とを含んでなる非結着体であり、負極電極組成物は、負極活物質と電解液とを含んでなる非結着体である。
正極電極組成物及び負極電極組成物をまとめて電極組成物ともいい、正極活物質及び負極活物質をまとめて電極活物質(又は活物質)ともいう。また、正極外装体及び負極外装体をまとめて電池外装体ともいい、正極収容部及び負極収容部をまとめて収容部ともいう。
結着剤を用いて活物質を互いに結着させている従来のリチウムイオン電池では、充放電に伴う活物質の膨張、収縮や、使用時の振動によって結着剤による結着(固定)が破壊された場合、結着が破壊された部位における導電性が低下し、これを回復させる手段は存在しなかった。
一方、本発明のリチウムイオン電池の製造方法においては、電極組成物として活物質及び電解液を含む非結着体を用いるから、電極組成物は結着剤により互いに結着されていない。従って、本発明のリチウムイオン電池の製造方法により得られるリチウムイオン電池は、活物質の膨張、収縮や振動によって活物質同士に隙間が生じたとしても、結着剤により活物質同士が結着されていないため、活物質が流動的に移動して、再び導電性を確保することができ、内部抵抗の増加(すなわちサイクル特性の劣化)を抑制することができる。
さらに、本発明のリチウムイオン電池の製造方法では、従来のリチウムイオン電池の製造方法のように、活物質をスラリー化して集電体の表面に塗布し、乾燥、焼結させる必要がないため、製造工程の簡略化、所要時間の短縮を図ることができ、製造性に優れる。
蓄電部について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法を構成する圧縮封止工程において用いられる蓄電部の一例を模式的に示した説明図である。
図1に示すように、蓄電部50は、正極電極組成物11と負極電極組成物21とがセパレータ30を介して相対向するように積層されている。
正極電極組成物について説明する。
正極電極組成物は、正極活物質及び電解液を含む非結着体であり、その形状は限定されないが、正極活物質及び電解液を含む非結着体の成形体であることが好ましい。
正極電極組成物を準備する方法は、特に限定されないが、正極活物質と電解液との混合物を準備する方法、上記混合物を所定形状の型に投入して圧縮して非結着体の成形体を準備する方法や、所定形状の型に正極活物質を投入し、タップして形状を整えた後に、該型内に電解液を注液して正極活物質に電解液を含浸させた後に非結着体の成形体とする方法等が挙げられる。
この時、正極電極組成物の密度を0.5〜3.5g/cmとすることが好ましい。
また、本明細書において、正極電極組成物が、正極活物質と電解液との非結着体であるとは、正極電極組成物を構成する正極活物質同士が結着剤(バインダともいう)により互いの位置を固定されていないこと、及び、正極電極組成物中の正極活物質は全て、互いに結着していないことを意味する。
従来のリチウムイオン電池における活物質層(本発明のリチウムイオン電池の製造方法における正極電極組成物又は負極電極組成物に相当する)は、活物質及び結着剤を溶媒中に分散させたスラリーを集電体等の表面に塗布し、加熱・乾燥させることにより製造されるため、活物質層は結着剤により固められた状態となっている。このとき、活物質は結着剤により互いに結着されており、活物質同士の位置が固定されている。
一方、正極電極組成物を構成する活物質が互いに結着されていない場合、正極電極組成物中の正極活物質は互いに結着されておらず、正極活物質同士の位置も固定されていない。そのため、互いに結着されていない正極活物質を含む正極電極組成物を取り出した場合、正極電極組成物に含まれる正極活物質は容易に手でほぐすことができ、その状態を確認することができる。
なお、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)及びスチレン−ブタジエンゴム(SBR)等が挙げられ、これらの化合物は結着剤として電極組成物に添加しないことが望ましく、後述する正極被覆層及び負極被覆層を構成する化合物としてもこれらの化合物を用いないことが好ましい。
なお、負極電極組成物が、負極活物質と電解液との非結着体であることについても、正極電極組成物の場合と同様である。
正極収容部に収容される正極電極組成物における正極活物質と電解液との混合比率は特に限定されないが、例えば重量比で正極活物質:電解液=99:1〜85:15であることが好ましい。また正極活物質と電解液との混合物は、流動性のある固液混合物(スラリー状ともいう)、流動性の低い固液混合物(ペンデュラー状又はファニキュラー状ともいう)、ゲル状、及び湿潤粉末状であってもよい。
なお、スラリー状とは、電極組成物において、少なくとも活物質同士の空隙の全てが電解液で満たされている状態又はそれを超える体積の電解液を有する性状であり、ペンデュラー状又はファニキュラー状は活物質同士の空隙の一部が電解液で満たされた状態であり、ファニキュラー状とは活物質同士の空隙の合計体積に満たない体積の電解液と活物質とを混合することで得られる性状である。最密充填された粒子群に液体が加わると、液体量が少ないと液体は粒子の接触点を中心として環状に付着して不連続に存在する[ペンデュラー状態(ペンデュラー状)]。そして、液体の量が増すと環状に付着した液体は大きさを増してゆき、ついには環相互の連繋ができて、空隙はあるものの液相が連続構造を持つようになる[ファニキュラー状態(ファニキュラー状)]。さらに液体の量が増すと空隙がなくなり、固液2相のみが連続構造をとるようになり、スラリー状態(スラリー状)に移行する。
これらの中でも、ペンデュラー状、ファニキュラー状、ゲル状及び湿潤粉末状であることが望ましい。電極活物質の性状が上記のものであると、より簡便な条件で成形することができる。
正極電極組成物は、正極活物質と電解液を含んでなる非結着体であるが、必要に応じて、導電助剤を含んでいてもよい。
正極電極組成物を構成する正極活物質としては、従来公知のものを好適に使用することができ、ある電位を与えることでリチウムイオンの挿入と脱離が可能な化合物であって、対極に用いる負極活物質よりも高い電位でリチウムイオンの挿入と脱離が可能な化合物を用いることができる。
正極活物質としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属元素が1種である複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiAlMnO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO、LiNi1−xCo、LiMn1−yCo、LiNi1/3Co1/3Al1/3及びLiNi0.8Co0.15Al0.05)及び遷移金属元素が3種類以上である複合酸化物[例えばLiMM’M’’(M、M’及びM’’はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/3)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO、LiCoPO、LiMnPO及びLiNiPO)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ−p−フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
正極活物質の体積平均粒子径は、リチウムイオン電池の電気特性の観点から、0.01〜100μmであることが好ましく、0.1〜35μmであることがより好ましく、2〜30μmであることがさらに好ましい。
本明細書において、正極活物質の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
正極電極組成物を構成していてもよい導電助剤について説明する。
導電助剤は、導電性を有する材料から選択される。
具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電助剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電助剤の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電助剤の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、リチウムイオン電池の電気特性の観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜5μmであることがより好ましく、0.03〜1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電助剤の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性材料として実用化されている形態であってもよい。
導電助剤は、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電助剤が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1〜20μmであることが好ましい。
正極電極組成物を構成する正極活物質は、その表面の一部又は全部が高分子化合物を含んでなる正極被覆層で覆われた被覆正極活物質であってもよい。
正極被覆層は、高分子化合物を含んでなり、必要に応じてさらに導電材料を含んでいてもよい。
なお、被覆正極活物質は、正極活物質の表面の一部又は全部が、高分子化合物を含んでなる正極被覆層によって被覆されたものであるが、正極電極組成物中において、例え被覆正極活物質同士が接触したとしても、接触面において正極被覆層同士が不可逆的に接着されることはなく、接着は一時的なもので、容易に手でほぐすことができるものであるから、被覆正極活物質同士が正極被覆層によって固定されることはない。従って、被覆正極活物質を含んでなる正極電極組成物は、正極活物質が互いに結着されているものではない。
正極被覆層を構成する高分子化合物としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられ、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、ポリサッカロイド(アルギン酸ナトリウム等)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中ではアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリアミド樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
これらの中では、電解液に浸漬した際の吸液率が10%以上であり、飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上である高分子化合物がより好ましい。
電解液に浸漬した際の吸液率は、電解液に浸漬する前、浸漬した後の高分子化合物の重量を測定して、以下の式で求められる。
吸液率(%)=[(電解液浸漬後の高分子化合物の重量−電解液浸漬前の高分子化合物の重量)/電解液浸漬前の高分子化合物の重量]×100
吸液率を求めるための電解液としては、好ましくはエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)を体積割合でEC:PC=1:1で混合した混合溶媒に、電解質としてLiPFを1mol/Lの濃度になるように溶解した電解液を用いる。
吸液率を求める際の電解液への浸漬は、50℃、3日間行う。50℃、3日間の浸漬を行うことにより高分子化合物が飽和吸液状態となる。なお、飽和吸液状態とは、それ以上電解液に浸漬しても高分子化合物の重量が増えない状態をいう。
なお、リチウムイオン電池を製造する際に使用する電解液は、上記電解液に限定されるものではなく、他の電解液を使用してもよい。
吸液率が10%以上であると、リチウムイオンが高分子化合物を容易に透過することができるため、正極電極組成物内でのイオン抵抗を低く保つことができる。吸液率が10%未満であると、リチウムイオンの伝導性が低くなり、リチウムイオン電池としての性能が充分に発揮されないことがある。
吸液率は20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
また、吸液率の好ましい上限値としては、400%であり、より好ましい上限値としては300%である。
飽和吸液状態での引張破断伸び率は、高分子化合物をダンベル状に打ち抜き、上記吸液率の測定と同様に電解液への浸漬を50℃、3日間行って高分子化合物を飽和吸液状態として、ASTM D683(試験片形状TypeII)に準拠して測定することができる。引張破断伸び率は、引張試験において試験片が破断するまでの伸び率を下記式によって算出した値である。
引張破断伸び率(%)=[(破断時試験片長さ−試験前試験片長さ)/試験前試験片長さ]×100
高分子化合物の飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上であると、高分子化合物が適度な柔軟性を有するため、充放電時の正極活物質の体積変化によって正極被覆層が剥離することを抑制しやすくなる。
引張破断伸び率は20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
また、引張破断伸び率の好ましい上限値としては、400%であり、より好ましい上限値としては300%である。
上述した高分子化合物のなかでも、国際公開第2015/005117号公報に被覆用樹脂として記載されているものは、本発明のリチウムイオン電池の製造方法において、正極被覆層を構成する高分子化合物として特に好適に用いることができる。
導電材料としては、正極電極組成物を構成していてもよい導電助剤として挙げられたものを好適に用いることができる。
正極活物質の重量に対する高分子化合物と導電材料との合計重量の割合は、特に限定されるものではないが、2〜25重量%であることが好ましい。
正極活物質の重量に対する高分子化合物の重量の割合は、特に限定されるものではないが、0.1〜10重量%であることが好ましい。正極活物質の重量に対する導電材料の重量の割合は、特に限定されるものではないが、2〜15重量%であることが好ましい。
続いて、負極電極組成物について説明する。
負極電極組成物は、負極活物質と電解液とを含む非結着体である。
負極電極組成物を準備する方法は、正極電極組成物を準備する方法は、先に説明した正極電極組成物を準備する方法における「正極活物質」を「負極活物質」に置き換えることにより行うことができる。
蓄電部を構成する負極電極組成物は、密度を0.3〜1.3g/cmとすることが好ましい。負極電極組成物の密度を調整する方法は特に限定されないが、例えば、予め負極活物質と電解液との混合物を所定形状の型に投入して圧縮することにより密度を上記範囲に調整する方法や、所定形状の型に負極活物質を投入し、タップして形状を整えた後に、該型内に電解液を注液して負極活物質に電解液を含浸させる方法等が挙げられる。
負極収容部に収容される負極電極組成物における負極活物質と電解液との混合比率は特に限定されないが、例えば重量比で負極活物質:電解液=99:1〜85:15であることが好ましい。また負極活物質と電解液との混合物は、流動性のある固液混合物(スラリー状ともいう)、流動性の低い固液混合物(ペンデュラー状又はファニキュラー状ともいう)、ゲル状、及び湿潤粉末状であってもよい。
続いて、本発明のリチウムイオン電池を構成する負極電極組成物について説明する。
負極電極組成物は、互いに結着されていない負極活物質と電解液を含んでなる。
負極活物質としては、炭素系材料[例えば黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭化ケイ素及び炭素繊維等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、シリコン、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物、リチウム・チタン酸化物及びケイ素酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。
上記負極活物質のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め活物質の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
負極活物質の体積平均粒子径は、リチウムイオン電池の電気特性の観点から、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、2〜10μmであることがさらに好ましい。
本明細書において、負極活物質の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
負極電極組成物を構成する負極活物質は、その表面の一部又は全部が高分子化合物を含んでなる負極被覆層により覆われた被覆負極活物質であってもよい。
負極被覆層は、高分子化合物を含んでなり、必要に応じて、さらに導電材料を含んでいてもよい。
なお、被覆負極活物質は、負極活物質の表面の一部又は全部が、高分子化合物を含んでなる負極被覆層によって被覆されたものであるが、負極電極組成物中において、例え被覆負極活物質同士が接触したとしても、接触面において負極被覆層同士が不可逆的に接着されることはなく、接着は一時的なもので、容易に手でほぐすことができるものであるから、被覆負極活物質同士が負極被覆層によって固定されることはない。従って、被覆負極活物質を含んでなる負極電極組成物は、負極活物質が互いに結着されているものではない。
なお、負極被覆層を構成する高分子化合物及び導電材料は、正極被覆層を構成する高分子化合物及び導電材料と同様のものを好適に用いることができる。
負極被覆層が含有する高分子化合物と導電材料との合計重量の割合は、特に限定されるものではないが、負極活物質の重量に対して25重量%以下であることが好ましい。
負極活物質の重量に対する高分子化合物の重量の割合は、特に限定されないが、0.1〜20重量%であることが好ましい。
負極活物質の重量に対する導電材料の重量の割合は、特に限定されないが、10重量%以下であることが好ましい。
負極電極組成物を構成する電解液としては、正極電極組成物を構成する電解液と同じものを好適に用いることができる。
正極電極組成物及び負極電極組成物の量は特に限定されないが、圧縮封止工程前における正極電極組成物及び負極電極組成物のタップ体積換算値(以下、タップ体積ともいう)がそれぞれ、正極収容部及び負極収容部の容積の150〜350体積%であることが好ましい。
なお、本明細書においてタップ体積とは、電極組成物を、落下高さ5mm、タンプ(タップ又はタッピングともいう)回数を2000回としてJIS K 5101−12−2(2004)に準じてタンプした場合のタンプ後の体積である。
セパレータは、正極電極組成物と負極電極組成物とが接触しないよう、正極電極組成物と負極電極組成物との間に配置されていればよく、その数は1枚に限定されず、2枚以上が配置されていてもよい。
例えば、セパレータは、正極電極組成物のうち、負極電極組成物と対向する面と隣接する面の少なくとも一部と、負極電極組成物に対向する面の全部とを連続的に覆うように配置されていてもよい。また、セパレータは、負極電極組成物のうち、正極電極組成物と対向する面に隣接する面の少なくとも一部と、正極電極組成物に対向する面の全部とを連続的に覆うように配置されていてもよい。
セパレータを構成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン製フィルムの微多孔膜、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等が挙げられる。
続いて、電解液について説明する。
電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有するものを使用することができる。
電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等の無機酸のリチウム塩系電解質、LiN(CFSO及びLiN(CSO等のイミド系電解質、LiC(CFSO等のアルキルリチウム系電解質等が挙げられる。これらの内、高濃度時のイオン伝導性及び熱分解温度の観点から好ましいのはLiPFである。LiPFは、他の電解質と併用してもよいが、単独で使用することがより好ましい。
電解液の電解質濃度としては、特に限定されないが、0.5〜5mol/Lであることが好ましく、0.8〜4mol/Lであることがより好ましく、1〜2mol/Lであることがさらに好ましい。
非水溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン等及びこれらの混合物を用いることができる。
ラクトン化合物としては、5員環(γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等)及び6員環のラクトン化合物(δ−バレロラクトン等)等を挙げることができる。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2−エトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン、2−トリフルオロエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン及び2−メトキシエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)等が挙げられる。スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等の鎖状スルホン及びスルホラン等の環状スルホン等が挙げられる。
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶媒の内、リチウムイオン電池の出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルである。更に好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、特に好ましいのは環状炭酸エステル、又は、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。最も好ましいのはエチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合物、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液である。
続いて、正極外装体と負極外装体との間に蓄電部を配置する工程の一例を、図2(a)を用いて説明する。
図2(a)〜図2(b)は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法を構成する圧縮封止工程の一例を模式的に示した説明図である。
図2(a)に示すように、正極電極組成物11と負極電極組成物21とがセパレータ30を介して積層された蓄電部50を、正極外装体10と負極外装体20との間に配置する。正極収容部12及び負極収容部22の容積は、二点鎖線により囲まれた空間でそれぞれ示されている。
このとき、正極電極組成物11の体積と負極電極組成物21の体積の合計(図2(a)中、両矢印e及び両矢印gで示される長さの合計に対応する体積)が、正極収容部12の容積と負極収容部22の容積の合計値(図2(a)中、両矢印d及び両矢印fで示される長さの合計に対応する容積)を超えているため、正極外装体10と負極外装体20との間は両矢印cで示す距離だけ離れており、直接接触することがない。
なお、図2(a)において、正極外装体10と負極外装体20とが対向する方向における正極収容部12、正極電極組成物11、負極収容部22及び負極電極組成物21の断面の形状は変化せず一定であるから、両矢印d、e、f、gの長さはそれぞれ、対応する領域の体積又は容積に対応している。
なお、圧縮封止工程において、正極外装体と負極外装体との間に蓄電部を配置する方法は特に限定されず、図1及び図2(a)に示した方法のように、まず蓄電部を準備し、該蓄電部を正極外装体及び負極外装体の間に配置する方法であってもよいが、正極収容部に正極電極組成物を収容した正極外装体と、負極収容部に負極電極組成物を収容した負極外装体とを、正極電極組成物と負極電極組成物とがセパレータを介して相対向するように配置する方法であってもよい。
正極収容部に正極電極組成物を収容した正極外装体を正極半電池ともいい、負極収容部に負極電極組成物を収容した負極外装体を負極半電池ともいう。
さらに、本発明のリチウムイオン電池の製造方法では、圧縮封止工程において、正極電極組成物及び負極電極組成物を圧縮しながら正極外装体と負極外装体とを封止する。
圧縮封止工程によって、正極電極組成物及び負極電極組成物が圧縮されるとともに、正極収容部及び負極収容部を構成する外装体の一部が変形して、電池外装体(正極外装体及び負極外装体)の体積が増加する。
このとき、正極収容部に収容された正極電極組成物及び負極収容部に収容された負極電極組成物には膨張しようとする力が働く。膨張しようとする力により正極電極組成物及び負極電極組成物はそれぞれ正極収容部及び負極収容部に押さえつけられている状態となるから、正極収容部及び負極収容部と活物質との接触性、及び、電極組成物に含まれる活物質同士の接触性が良好に保たれる。
また、正極収容部内部に正極外装体とは別に正極集電体が設けられている場合や負極収容部内部に負極外装体とは別に負極集電体が設けられている場合であっても、正極集電体及び負極集電体はそれぞれ、正極電極組成物及び負極電極組成物により正極収容部及び負極収容部に向かって押さえつけられるため、活物質と集電体との接触性が良好に保たれる。
正極外装体と負極外装体を封止する方法について図2(b)を用いて説明する。
図2(b)は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法を構成する圧縮封止工程において、正極電極組成物及び負極電極組成物を圧縮しながら正極外装体と負極外装体とを封止する工程の一例を模式的に示す図である。
図2(b)に示すように、正極電極組成物11及び負極電極組成物21を圧縮し、正極外装体10と負極外装体20を貼り合わせる。また、正極外装体10と負極外装体20をセパレータ30を囲うように環状に、封止部40により封止する。
なお、図2(a)及び図2(b)に示す正極外装体10は負極外装体20と接触する面に接着性を有する絶縁性樹脂層(図示しない)を有しており、負極外装体20は正極外装体10と接触する面に接着性を有する絶縁性樹脂層(図示しない)を有しているから、正極外装体10と負極外装体20とが接触することはない。
正極外装体及び負極外装体の表面に上述した絶縁性樹脂層が形成されていない場合には、正極外装体と負極外装体とが接触する面の全てを、熱可塑性樹脂などの絶縁性材料により接着することにより正極外装体と負極外装体とを封止してもよい。
正極電極組成物及び負極電極組成物を圧縮する方法は特に限定されず、例えば、プレス機、かしめ機等に正極外装体及び負極外装体を貼りあわせて設置し、上下からプレスすることで行うことができる。
正極電極組成物及び負極電極組成物を圧縮する圧力は、封止部分に空隙等を生じることなく密閉できるだけの圧力であればよい。
また、正極電極組成物及び/又は負極電極組成物を正極収容部又は負極収容部に収容する際にペレット状に成形する際のプレス圧力についても、特に限定されないが、ペレット状に成形された電極組成物の体積が、収容部の体積の100体積%を超え135体積%以下となるような条件でプレスすることが好ましい。
正極外装体と負極外装体とを封止する方法は、特に限定されず、例えば正極外装体と負極外装体にアルミニウム製ラミネートフィルムを用いて、ラミネートフィルムを熱圧着することによってヒートシールする方法が挙げられる。
また、正極外装体及び負極外装体として金属製の容器を用いて、正極外装体の正極収容部以外の部分と、負極外装体の負極収容部以外の部分を樹脂製のガスケット等を介してかしめる方法が挙げられる。
圧縮封止工程では、正極外装体と負極外装体の間に蓄電部を配置し、正極電極組成物及び負極電極組成物を圧縮しながら、正極外装体と負極外装体とを封止する。このとき、正極収容部及び負極収容部に何も収容せずに封止した場合の電池外装体の体積(V)、圧縮封止工程後の電池外装体の体積(V)及び何も収容しない状態での正極収容部の容積と負極収容部の容積との合計値(V)が0<(V−V)/(V)×100<70を満たすように、圧縮封止工程を行う。このことを図3(a)〜図3(c)を用いて説明する。
図3(a)は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法により製造されたリチウムイオン電池の一例を模式的に示す断面図であり、図3(b)は、正極収容部及び負極収容部に何も収容せずに封止した場合の電池外装体の一例を模式的に示す断面図であり、図3(c)は、何も収容しない状態での正極収容部の容積及び負極収容部の容積の一例を模式的に示す断面図である。
本発明のリチウムイオン電池の製造方法において、圧縮封止工程後の電池外装体の体積とは、図3(a)に示すように、リチウムイオン電池1のうち、正極外装体10、負極外装体20及び封止部40により囲まれる、正極電極組成物11、負極電極組成物21及びセパレータ30を含む空間の体積[図3(a)中、破線で囲まれた領域Vで示す体積]である。一方、正極収容部及び負極収容部に何も収容せずに封止した場合の電池外装体の体積とは、図3(b)に示すように、正極外装体10及び負極外装体20並びに封止部40によって囲まれる空間の体積[図3(b)において破線で囲まれた領域Vで示す体積]である。なお、封止する際に正極収容部12及び負極収容部22に収容されていないセパレータ30を無視した場合、図3(b)に示す電池外装体において、正極外装体10の正極収容部12及び負極外装体20の負極収容部22には何も収容されていない。図3(c)に示すように、何も収容しない状態での正極収容部の容積と負極収容部の容積との合計値(V)は、正極外装体10の正極収容部12の容積(V3p)と負極外装体20の負極収容部22の容積(V3n)との合計値で表される。
なお、何も収容しない状態での正極収容部の容積及び負極収容部の容積はそれぞれ、正極収容部及び負極収容部内にそれぞれ、密度が判明している液体(例えば水)を充填し、充填前後の重量変化から正極収容部及び負極収容部に充填された液体の体積を求めることによって求めることができる。
正極外装体について説明する。
正極外装体は、少なくとも一部に正極収容部を有する。
正極収容部は、正極外装体の一部に凸部や凹部を成形することにより形成される空間であり、その大きさは特に限定されないが、収容される正極電極組成物のタップ体積換算時の体積が、正極収容部の容積に対して150〜350体積%となるような大きさであることが好ましい。
また、正極収容部の形状は特に限定されないが、平面視略円形、かつ、断面図において略矩形であることが好ましい。
正極外装体は、正極電極組成物の一部又は全部を収容する正極収容部を備えていればよく、正極外装体を構成する材料としては、金属集電体や導電材料と樹脂からなる樹脂集電体と同様の材料を好適に用いることができる。金属集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの一種以上を含む合金、ならびにステンレス合金からなる群から選択される一種以上の金属材料を薄板や金属箔等の形態で用いてもよく、基材表面にスパッタリング、電着、塗布等の手法により上記金属材料を形成したものであってもよい。
また、正極外装体は正極集電体を兼ねたものであってもよく、また、正極外装体と正極電極組成物との間に正極集電体が別途配置されていてもよい。また、正極外装体には、電流取り出し用の端子が備えられていてもよい。
樹脂集電体を構成する導電材料としては、具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電材料は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電材料としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電材料の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電材料の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、リチウムイオン電池の電気特性の観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜5μmであることがより好ましく、0.03〜1μmであることがさらに好ましい。
なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電材料の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電材料の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性材料として実用化されている形態であってもよい。
導電材料は、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電材料が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1〜20μmであることが好ましい。
樹脂集電体を構成する樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
正極収容部の形状は特に限定されないが、正極電極組成物の膨張によって正極電極組成物と集電体との接触性を改善することを考慮すると、平面視略円形、かつ、断面図において略矩形形状であることが好ましい。正極収容部の形状が平面視略矩形等の角部を有する形状であると、該角部では正極電極組成物の膨張による応力を正極外装体が受けやすくなるため、正極外装体が破損し易くなることがある。正極収容部の形状が平面視略矩形形状等の角部を有する形状の場合、該角部に丸みを持たせることが好ましい。
正極外装体が導電性を有さない場合には、正極外装体の内側(正極電極組成物と接触する側)に正極集電体を配置してもよい。
正極集電体としては、従来公知のものを好適に用いることができ、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの一種以上を含む合金、ならびにステンレス合金からなる群から選択される一種以上等が挙げられる。
負極外装体は、負極電極組成物の一部又は全部を収容する負極収容部を備えていればよく、その材質は特に限定されないが、形状、材質等は正極外装体と同様のものを好適に用いることができる。負極収容部の容積と収容される負極電極組成物のタップ体積との関係も正極外装体の場合と同様である。
また、負極外装体は負極集電体を兼ねたものであってもよく、負極外装体と負極電極組成物との間に負極集電体が別途配置されていてもよい。また、負極外装体には、電流取り出し用の端子が備えられていてもよい。
なお、正極外装体を構成する正極収容部の大きさと、負極外装体を構成する負極収容部の大きさは異なっていてもよく、同じであってもよい。
以上の工程を経ることによって、リチウムイオン電池を製造することができる。
なお、本発明のリチウムイオン電池の製造方法によって製造されるリチウムイオン電池はさらに、ラミネートパックや電池缶等に収納されていてもよい。該リチウムイオン電池がラミネートパックや電池缶等に収容されている場合、正極外装体及び負極外装体に電流取り出し用の端子を設置してもよい。
本発明のリチウムイオン電池の製造方法により製造されるリチウムイオン電池の例について、図4を用いて説明する。
図4は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法により製造されるリチウムイオン電池の一例を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、リチウムイオン電池1は、正極電極組成物11を収容する正極外装体10と、負極電極組成物21を収容する負極外装体20とが、セパレータ30を介して配置されており、封止部40により封止されている。封止部40は、正極外装体10の側面10a及び10b、並びに負極外装体20の側面20a、20bから所定の距離(図4中、両矢印aで示される長さ)だけ離れた位置に設けられている。なお、正極電極組成物11は、互いに結着していない正極活物質及び電解液を含んでなり、負極電極組成物21は、互いに結着していない負極活物質及び電解液を含んでなる。そして、正極電極組成物11及び負極電極組成物21は正極外装体10及び負極外装体20によりそれぞれ圧縮されているため、正極電極組成物11及び負極電極組成物21にはそれぞれ、膨張しようとする力が働いている。
なお、図4では、正極外装体10中に収容されている正極電極組成物11の体積と、負極外装体20中に収容されている負極電極組成物21の体積とが同じになっているが、これらは同一である必要はなく、必要に応じてそれぞれの体積を変更してもよい。
セパレータの別の配置方法について、図5を用いて説明する。
図5は、本発明のリチウムイオン電池の製造方法により製造されるリチウムイオン電池の別の一例を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、リチウムイオン電池2は、正極電極組成物11を収容する正極外装体10と、負極電極組成物21を収容する負極外装体20とが、セパレータ30a及び30bを介して配置されている。セパレータ30aは正極電極組成物11と直接接触しており、正極電極組成物11のうち負極電極組成物21と対向する面(図5中、負極電極組成物21側の面)と、正極電極組成物11のうち正極外装体10の側面(すなわち、負極電極組成物21と対向する面に隣接する面であり、図5中、正極外装体の側面10a、10bと対向する面)の一部を連続的に覆っている。
負極電極組成物21を覆うセパレータ30bについても、セパレータ30aと同様に、負極電極組成物21と直接接触しており、負極電極組成物21のうち正極電極組成物11と対向する面(図5中、正極電極組成物11側の面)と、負極電極組成物21のうち負極外装体20の側面(すなわち、正極電極組成物11と対向する面に隣接する面であり、図5中、負極外装体20の側面20a、20bと対向する面)の一部を連続的に覆っている。
図5に示すように、リチウムイオン電池2では、セパレータ30bは負極電極組成物と直接接触しており、負極電極組成物のうち正極電極組成物と対向する面(図5中、正極電極組成物11側の面)と、負極電極組成物のうち負極外装体の側面(すなわち、正極電極組成物と対向する面に隣接する面)の一部を連続的に覆っている。
リチウムイオン電池2では、正極電極組成物11と負極電極組成物21とが対向する面に配置されたセパレータ30a及び30bのうち、正極電極組成物11と負極電極組成物21との間に挟まれていない部分が、それぞれ、正極電極組成物11の側面及び負極電極組成物21の側面に配置されており、セパレータ30aが正極電極組成物11側に折り込まれ、セパレータ30bが負極電極組成物21側に折り込まれたようになっている。そのため、セパレータ30a又は30bのみを介して正極外装体10及び負極外装体20が対向する領域がない。従って、リチウムイオン電池2では、正極外装体の側面10a、10bから封止部40までの距離(図5中、両矢印bで示される長さ)を、リチウムイオン電池1の場合と比較して短くすることができる。なお、図5ではセパレータ30a、30bの2つのセパレータが配置されているが、セパレータ30aのみ、又は、セパレータ30bのみが配置されていてもよい。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
<製造例1:被覆用高分子化合物とその溶液の作製>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコにDMF70.0部を仕込み75℃に昇温した。次いで、メタクリル酸ブチル20.0部、アクリル酸55.0部、メタクリル酸メチル22.0部、アリルスルホン酸ナトリウム3部及びDMF20部を配合したモノマー配合液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.8部をDMF10.0部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、80℃に昇温し反応を5時間継続し樹脂濃度50%の共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液はテフロン(登録商標)製のバットに移して120℃、0.01MPaで3時間の減圧乾燥を行ってDMFを留去し、被覆用高分子化合物を得た。
<実施例1>
[被覆正極活物質の製造]
正極活物質粉末(LiNi0.8Co0.15Al0.05粉末、平均粒子径4μm)100部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、製造例1で得られた被覆用高分子化合物をイソプロパノールに1.9重量%の濃度で溶解して得られた被覆用高分子化合物溶液11.3部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電材料であるアセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)]6.1部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、実施例1に係る被覆正極活物質(P−1)を得た。
[被覆負極活物質の製造]
難黒鉛化性炭素粉末1(平均粒子径20μm)100部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、製造例1で得られた被覆用高分子化合物をイソプロパノールに19.8重量%の濃度で溶解して得られた被覆用高分子化合物溶液9.2部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電材料であるアセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)]11.3部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、実施例1に係る被覆負極活物質(N−1)を得た。
[正極外装体及び負極外装体の作製]
平面視寸法が20mm×20mmのアルミニウム製ラミネートフィルム(厚さ100μmで、一方の表面に厚さ30μmのヒートシール用接着層を有する)に、所定の型を用いて、深さ0.9mm、上面視10mm×10mmの正方形となる凹部(容積:0.09cm)を形成し正極収容部とすることで、正極外装体を得た。この時、凹部が形成された側の表面にヒートシール用接着層が形成されるように、アルミニウム製ラミネートフィルムを配置した。
同様の手順で、正極外装体と同一形状の負極外装体を得た。
[正極半電池の作製]
被覆正極活物質(P−1)と電解液[エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiPFを1mol/Lの割合で溶解させたもの]を9:1の重量比で混合して得られた正極電極組成物0.3gを、厚さ1.2mm、上面視寸法が9.9mm×9.9mmのペレット状(体積:0.118cm、正極収容部の容積に対する割合:131体積%)に成形し、正極外装体の正極収容部に収容して正極半電池を得た。用いた正極電極組成物0.3gのタップ体積は0.300cmであり、正極収容部の容積に対する、収容した正極電極組成物のタップ体積の割合は333体積%であった。
[負極半電池の作製]
被覆負極活物質(N−1)と上記電解液を9:1の重量比で混合して得られた負極電極組成物0.15gを、厚さ1.2mm、上面視寸法が9.9mm×9.9mmのペレット状(体積:0.118cm、負極収容部の容積に対する割合:131体積%)に成形し、負極外装体の負極収容部に収容して負極半電池を得た。用いた負極電極組成物0.15gのタップ体積は0.280cmであり、負極収容部の容積に対する負極電極組成物のタップ体積の割合は311体積%であった。
正極外装体と負極外装体とを、正極電極組成物と負極電極組成物が相対向するように配置し、さらに正極電極組成物と負極電極組成物との間にPP製セパレータ(12mm×12mm)を2枚配置した。
[圧縮及び封止]
相対向するように配置した正極外装体と負極外装体を、所定形状の型を用いて圧縮し、正極電極組成及び負極電極組成物を圧縮しながら、セパレータの外側、セパレータの端部から1mmの箇所(13mm×13mmの正方形の領域)でヒートシールを行い、正極外装体と負極外装体とを封止することにより、実施例1に係るリチウムイオン電池を作製した。
<実施例2〜3、比較例1>
正極電極組成物及び負極電極組成物の量を表1に示す値となるように変更したほかは、実施例1と同様の方法で、実施例2〜3及び比較例1に係るリチウムイオン電池を製造した。なお、正極電極組成物及び負極電極組成物を成形したペレットの高さは、それぞれ、0.11cm、0.10cm、0.092cmとした。
<製造例2:正極収容部及び負極収容部に何も収容せずに封止した電池外装体の作製>
正極収容部及び負極収容部にそれぞれ正極電極組成物及び負極電極組成物を収容しない以外は、実施例1と同様の手順で正極外装体及び負極外装体を封止することにより、正極収容部及び負極収容部に何も収容せずに封止した電池外装体を準備した。
[電池外装体の体積の測定]
実施例1〜3及び比較例1のリチウムイオン電池及び製造例2で製造した電池外装体の体積を3次元形状測定システム[(株)キーエンス製VR−3200]で測定し、各リチウムイオン電池における、正極収容部及び負極収容部に何も収容せずに封止した場合の電池外装体の体積(V)及び圧縮封止工程後の電池外装体の体積(V)を求め、別途測定した何も収容しない状態での正極収容部の容積と負極収容部の容積の合計値(V)を用いて、Vに対するVとVとの差の割合{(V−V)/(V)×100}を求めた。結果を表1に示す。
[内部抵抗の測定]
上記のレート特性の測定と同様にして1.0Cにおける放電0秒後の電圧及び電流並びに1.0Cにおける放電10秒後の電圧及び電流を測定し、以下の式で内部抵抗を算出した。内部抵抗が小さいほど優れた電池特性を有することを意味する。
なお、放電0秒後の電圧とは、放電したと同時に計測される電圧(放電時電圧ともいう)である。
[内部抵抗(Ω)]=[(1.0Cにおける放電0秒後の電圧)−(1.0Cにおける放電10秒後の電圧)]/[(1.0Cにおける放電0秒後の電流)−(1.0Cにおける放電10秒後の電流)]
Figure 0006839028
表1の結果から、本発明のリチウムイオン電池の製造方法は製造性に優れ、得られたリチウムイオン電池は内部抵抗が低いことがわかった。
本発明のリチウムイオン電池の製造方法により得られるリチウムイオン電池は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター、ハイブリッド自動車及び電気自動車用として有用である。
1、2 リチウムイオン電池
10 正極外装体
10a、10b 正極外装体の側面
11 正極電極組成物
12 正極収容部
20 負極外装体
20a、20b 負極外装体の側面
21 負極電極組成物
22 負極収容部
30、30a、30b セパレータ
40 封止部
50 蓄電部

Claims (3)

  1. 少なくとも一部に正極収容部を有する正極外装体と、少なくとも一部に負極収容部を有する負極外装体との間に、正極活物質及び電解液を含む非結着体である正極電極組成物と負極活物質及び電解液を含む非結着体である負極電極組成物とがセパレータを介して相対向するように積層された蓄電部を配置し、前記正極電極組成物及び前記負極電極組成物を圧縮しながら、前記正極外装体と前記負極外装体とを封止する圧縮封止工程を備えたリチウムイオン電池の製造方法であって、
    前記正極収容部及び前記負極収容部に何も収容せずに封止した場合の電池外装体の体積(V)、前記圧縮封止工程後の前記電池外装体の体積(V)、及び、何も収容しない状態での前記正極収容部の容積と前記負極収容部の容積との合計値(V)が、0<(V−V)/(V)×100<70を満たすことを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。
  2. 前記圧縮封止工程において、前記正極電極組成物のうち前記負極電極組成物と対向する面に隣接する面の少なくとも一部と、前記負極電極組成物に対向する面の全部とを、前記セパレータにより連続的に覆う請求項1に記載のリチウムイオン電池の製造方法。
  3. 前記圧縮封止工程において、前記負極電極組成物のうち前記正極電極組成物と対向する面に隣接する面の少なくとも一部と、前記正極電極組成物に対向する面の全部とを、前記セパレータにより連続的に覆う請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池の製造方法。
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