JP2016108393A - 硬化性シリコーン樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明の他の目的は、耐熱衝撃性を維持しつつ、硫黄バリア性に優れる材料(硬化物)を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記硬化物により光半導体素子を封止することにより得られる、耐久性(例えば、熱衝撃や過酷な環境に対する耐性;硫黄化合物に対する耐性等)に優れた光半導体装置を提供することにある。
(A):分子内に2個以上のアルケニル基及び1個以上のアリール基を有するポリオルガノシロキシシルアルキレン
(B):分子内に1個以上のヒドロシリル基を有し、脂肪族不飽和基を有しないポリオルガノシロキサン
(C):白金族金属を含むヒドロシリル化触媒
(D):有機金属化合物
(E):分子内に1個以上のアルケニル基を有する分岐鎖状のポリオルガノシロキサン
(F):分子内に1個以上のアルケニル基を有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン
(G):分子内に下記式(Y)で表される基及び下記式(Z)で表される基のいずれか一方若しくは両方を有するイソシアヌレート化合物
(H):シランカップリング剤
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分を必須成分として含む硬化性組成物である。即ち、本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、ヒドロシリル化反応により硬化させることができる付加硬化型のシリコーン樹脂組成物である。なお、本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、これら必須成分以外の任意成分を含んでいてもよい。
(A):分子内に2個以上のアルケニル基及び1個以上のアリール基を有するポリオルガノシロキシシルアルキレン
(B):分子内に1個以上のヒドロシリル基を有し、脂肪族不飽和基を有しないポリオルガノシロキサン
(C):白金族金属を含むヒドロシリル化触媒
(D):有機金属化合物
(E):分子内に1個以上のアルケニル基を有する分岐鎖状のポリオルガノシロキサン
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物の必須成分である(A)成分は、上述のように、分子内に2個以上のアルケニル基及び1個以上のアリール基を有するポリオルガノシロキシシルアルキレンである。従って、本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物において(A)成分は、ヒドロシリル基を有する成分(例えば、(B)成分等)とヒドロシリル化反応を生じる成分である。
(R1 2SiO2/2)a1(R1 3SiO1/2)a2(R1SiO3/2)a3(SiO4/2)a4(RA)a5(X1O)a6
で表されるポリオルガノシロキシシルアルキレンが好ましい。上記平均単位式中、R1は、同一又は異なって、一価の置換又は無置換炭化水素基であり、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等)、及び上述のアルケニル基、アリール基が挙げられる。但し、R1の一部はアルケニル基(特にビニル基)であり、その割合は、分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R1の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。アルケニル基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、R1の一部はアリール基(特にフェニル基)であり、その割合は、分子内に1個以上となる範囲に制御される。例えば、R1の全量(100モル%)に対するアリール基の割合は、10〜60モル%が好ましい。アリール基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化物の硫黄バリア性がより向上する傾向がある。アルケニル基、アリール基以外のR1としては、アルキル基(特にメチル基)が好ましい。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物における(B)成分は、分子内に1個以上のヒドロシリル基(Si−H)を有し、脂肪族不飽和基を有しないポリオルガノシロキサンである。従って、本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物において(B)成分は、アルケニル基を有する成分(例えば、(A)成分等)とヒドロシリル化反応を生じる成分である。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物が(B)成分を含むことにより、ヒドロシリル化反応による硬化反応を効率的に進行させることができる。また、その硬化物が優れた硫黄バリア性を発揮する。
(R2SiO3/2)b1(R2 2SiO2/2)b2(R2 3SiO1/2)b3(SiO4/2)b4(X2O1/2)b5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R2は、同一又は異なって、水素原子、又は、一価の置換若しくは無置換炭化水素基(但し、脂肪族不飽和基は除かれる)であり、例えば、水素原子、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等)、及び上述のアリール基が挙げられる。但し、R2の一部は水素原子(ヒドロシリル基を構成する水素原子)であり、その割合は、ヒドロシリル基が分子内に1個以上(好ましくは2個以上)となる範囲に制御される。例えば、R2の全量(100モル%)に対する水素原子の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。水素原子の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、水素原子以外のR2としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物における(C)成分は、白金族金属を含むヒドロシリル化触媒である。即ち、(C)成分は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金からなる群より選択される少なくとも1種の金属(白金族金属)を含むヒドロシリル化触媒である。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物が(C)成分を含むことにより、加熱により硬化性シリコーン樹脂組成物中のアルケニル基とヒドロシリル基の間のヒドロシリル化反応を効率的に進行させることができる。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物における(D)成分は、有機金属化合物である。但し、(D)成分には、上述の(C)成分は含まれない。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物が(D)成分を含むことにより、硬化物の被着体に対する密着性が向上し、硬化物と被着体との界面からのガスの侵入を抑制することによるものと推測されるが、硫黄バリア性が向上する。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物における(E)成分は、上述のように、分子内に1個以上のアルケニル基を有する分岐鎖状のポリオルガノシロキサン(「(E)成分」と称する場合がある)である。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物において(E)成分は、(A)成分とともに、ヒドロシリル基を有する成分(例えば、(B)成分等)とヒドロシリル化反応を生じる成分である。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物が(E)成分を含むことにより、硬化物の耐熱性、耐熱衝撃性、硫黄バリア性がさらに向上する場合がある。
(R3SiO3/2)c1(R3 2SiO2/2)c2(R3 3SiO1/2)c3(SiO4/2)c4(X3O1/2)c5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R3は、同一又は異なって、一価の置換又は無置換炭化水素基であり、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)、上述のアルケニル基、及び上述のアリール基が挙げられる。但し、R3の一部はアルケニル基(特にビニル基)であり、その割合は、分子内に1個以上(好ましくは2個以上)となる範囲に制御される。例えば、R3の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。アルケニル基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、アルケニル基以外のR3としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
(R3a 2R3bSiO1/2)c6(R3a 3SiO1/2)c7(SiO4/2)c8(HO1/2)c9
で表されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。上記平均単位式中、R3aは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、中でもメチル基が好ましい。また、R3bは、同一又は異なって、アルケニル基を示し、中でもビニル基が好ましい。さらに、c6、c7、c8及びc9はいずれも、c6+c7+c8=1、c6/(c6+c7)=0.15〜0.35、c8/(c6+c7+c8)=0.53〜0.62、c9/(c6+c7+c8)=0.005〜0.03を満たす正数である。なお、c7は0であってもよい。硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化性の観点で、c6/(c6+c7)は0.2〜0.3であることが好ましい。また、硬化物の硬度や機械強度の観点で、c8/(c6+c7+c8)は0.55〜0.60であることが好ましい。さらに、硬化物の密着性や機械強度の観点で、c9/(c6+c7+c8)は0.01〜0.025であることが好ましい。このようなポリオルガノシロキサンとしては、例えば、SiO4/2単位と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位とで構成されるポリオルガノシロキサン、SiO4/2単位と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位と(CH3)3SiO1/2単位とで構成されるポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、分子内に1個以上のアルケニル基を有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(「(F)成分」と称する場合がある)を含んでいてもよい。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物が(F)成分を含むことにより、硬化物の硫黄バリア性(特に、SOXバリア性)が著しく向上する傾向がある。(F)成分としては、分子内に1個以上(好ましくは2個以上)のアルケニル基を有し、ラダー構造の−Si−O−Si−骨格を有するポリオルガノシルセスキオキサンを使用することができ、特に限定されない。(F)成分の特に好ましい態様として、例えば、下記のラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(a)、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(b)が挙げられる。但し、(F)成分は、以下のラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンには限定されない。
・ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(a):分子内に2個以上のアルケニル基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量が500〜1500、分子量分散度(Mw/Mn)が1.00〜1.40であるラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン。
・ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(b):ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンの分子鎖末端の一部又は全部に、式(III−3−1)で表される構成単位(T単位)及び式(III−3−2)で表される構成単位(M単位)を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基(「ポリオルガノシルセスキオキサン残基(R)」と称する場合がある)を有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン。
測定装置:商品名「FT−720」((株)堀場製作所製)
測定方法:透過法
分解能:4cm-1
測定波数域:400〜4000cm-1
積算回数:16回
但し、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(a)は、ラダー構造に加えて、さらにカゴ構造やランダム構造等のその他のシルセスキオキサン構造を有するものであってもよい。
測定装置:商品名「LC−20AD」((株)島津製作所製)
カラム:Shodex KF−801×2本、KF−802、及びKF−803(昭和電工(株)製)
測定温度:40℃
溶離液:THF、試料濃度0.1〜0.2重量%
流量:1mL/分
検出器:UV−VIS検出器(商品名「SPD−20A」、(株)島津製作所製)
分子量:標準ポリスチレン換算
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、分子内に下記式(Y)で表される基及び/又は下記式(Z)で表される基(式(Y)で表される基及び式(Z)で表される基のいずれか一方又は両方)を少なくとも有するイソシアヌレート化合物(「(G)成分」と称する場合がある)を含んでいてもよい。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物が(G)成分を含むことにより、硬化物の硫黄バリア性が著しく向上し、さらに、硬化物の被着体に対する密着性が向上する傾向がある。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、シランカップリング剤(「(H)成分」と称する場合がある)を含んでいてもよい。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物が(H)成分を含むことにより、被着体に対する硬化物の密着性が向上する傾向がある。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、上述の(A)成分、(E)成分、及び(F)成分以外にも、分子内にアルケニル基を有するその他のポリオルガノシロキサン(「その他のポリオルガノシロキサン」と称する場合がある)を含んでいてもよい。その他のポリオルガノシロキサンを含むことにより、硬化性シリコーン樹脂組成物の粘度を調整したり、硬化物の物性(例えば、機械物性)のバランスを調整することができる場合がある。
(R4 2SiO2/2)d1(R4 3SiO1/2)d2(X4O1/2)d3
で表されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。上記平均単位式中、R4は、同一又は異なって、一価の置換又は無置換炭化水素基であり、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)、上述のアルケニル基、及び上述のアリール基が挙げられる。但し、R4の一部はアルケニル基(特にビニル基)であり、その割合は、分子内に1個以上(好ましくは2個以上)となる範囲に制御される。例えば、R4の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。アルケニル基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、アルケニル基以外のR4としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、硬化反応(ヒドロシリル化反応)の速度を調整するために、ヒドロシリル化反応抑制剤を含んでいてもよい。上記ヒドロシリル化反応抑制剤としては、公知乃至慣用のヒドロシリル化反応抑制剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;チアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。上記ヒドロシリル化反応抑制剤は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。上記ヒドロシリル化反応抑制剤の含有量(配合量)は、硬化性シリコーン樹脂組成物の架橋条件等により異なるが、実用上、硬化性シリコーン樹脂組成物(100重量%)に対する含有量として、0.00001〜5重量%の範囲内が好ましい。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、上述のポリオルガノシロキサン((A)成分、(B)成分、(E)成分、(F)成分、その他のポリオルガノシロキサン)以外のシロキサン化合物として、例えば、分子内に2個以上の脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)を有する環状シロキサンを含んでいてもよい。また、本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、上記シロキサン化合物として、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有する環状シロキサンを含んでいてもよい。上記各環状シロキサンは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物における上記環状シロキサンの含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性シリコーン樹脂組成物(100重量%)に対して、0.01〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、公知乃至慣用の有機溶媒や水等が挙げられ、特に限定されないが、例えば、トルエン、ヘキサン、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。なお、溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、その含有量は特に限定されず、適宜選択できる。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は蛍光体を含んでいてもよい。蛍光体としては、公知乃至慣用の蛍光体(例えば、光半導体装置分野で周知の蛍光体等)を使用することができ、特に限定されないが、例えば、青色光の白色光への変換機能を封止材に対して付与したい場合には、一般式A3B5O12:M[式中、Aは、Y、Gd、Tb、La、Lu、Se、及びSmからなる群より選択された1種以上の元素を示し、Bは、Al、Ga、及びInからなる群より選択された1種以上の元素を示し、Mは、Ce、Pr、Eu、Cr、Nd、及びErからなる群より選択された1種以上の元素を示す]で表されるYAG系の蛍光体微粒子(例えば、Y3Al5O12:Ce蛍光体微粒子、(Y,Gd,Tb)3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体微粒子等);シリケート系蛍光体微粒子(例えば、(Sr,Ca,Ba)2SiO4:Eu等)等が挙げられる。なお、蛍光体は、周知慣用の表面処理がされたものであってもよい。また、蛍光体は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、上述の成分以外の成分(「その他の成分」と称する場合がある)を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、シリカフィラー、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤等)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤等)、難燃助剤、補強材(他の充填剤等)、核剤、シランカップリング剤以外のカップリング剤、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃性改良剤、色相改良剤、流動性改良剤、着色剤(染料、顔料等)、表面調整剤(例えば、各種ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の化合物)、分散剤、消泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、その他の機能性添加剤(例えば、カルボン酸の亜鉛塩等の亜鉛化合物等)等の周知慣用の添加剤等が挙げられる。これらその他の成分は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、その他の成分の含有量(配合量)は、特に限定されず、適宜選択することが可能である。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化(特に、ヒドロシリル化反応により硬化)させることによって、硬化物(「本発明の硬化物」と称する場合がある)が得られる。硬化の際の条件は、特に限定されず、従来公知の条件より適宜選択することができるが、例えば、反応速度の点から、温度(硬化温度)は25〜180℃(より好ましくは60〜150℃)が好ましく、時間(硬化時間)は5〜720分が好ましい。本発明の硬化物は、ポリシロキサン系材料特有の高い耐熱性及び透明性を有することに加え、耐熱衝撃性、被着体に対する密着性、及び硫黄バリア性に優れ、さらに、(G)成分を含む場合には、特に優れた耐熱衝撃性を有する硬化物が得られる。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、特に、光半導体装置における光半導体素子(LED素子)の封止用樹脂組成物(光半導体封止用樹脂組成物)(「本発明の封止剤」と称する場合がある)として好ましく使用できる。本発明の封止剤を硬化させることにより得られる封止材(硬化物)は、ポリシロキサン系材料特有の高い耐熱性及び透明性を有することに加え、耐熱衝撃性、被着体に対する密着性、及び硫黄バリア性にも優れる。このため、本発明の封止剤は、特に、高輝度、短波長の光半導体素子の封止剤等として好ましく使用できる。本発明の封止剤を使用して光半導体素子を封止することにより、光半導体装置(「本発明の光半導体装置」と称する場合がある)を得ることができる。即ち、本発明の光半導体装置は、光半導体素子と、該光半導体素子を封止する封止材とを少なくとも含み、上記封止材が本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物(本発明の封止剤)の硬化物(本発明の硬化物)である光半導体装置である。なお、光半導体素子の封止は、公知乃至慣用の方法により実施でき、特に限定されないが、例えば、本発明の封止剤を所定の成形型内に注入し、所定の条件で加熱硬化することで実施できる。硬化温度と硬化時間は、特に限定されず、硬化物の調製時と同様の範囲で適宜設定することができる。本発明の光半導体装置の一例を図1に示す。図1において、100はリフレクター(光反射用樹脂組成物)、101は金属配線(電極)、102は光半導体素子、103はボンディングワイヤ、104は硬化物(封止材)を示す。
また、本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、光半導体装置に備えられるレンズ(光半導体用レンズ)を形成するための組成物(光半導体用レンズの形成用組成物)(「本発明のレンズ形成用組成物」と称する場合がある)としても好ましく使用できる。本発明のレンズ形成用組成物を硬化させることにより得られるレンズは、高い耐熱性及び透明性を有することに加えて、被着体に対する密着性及び硫黄バリア性にも優れる。本発明のレンズ形成用組成物を使用することにより、光半導体装置(これも「本発明の光半導体装置」と称する場合がある)を得ることができる。即ち、本発明の光半導体装置は、光半導体素子とレンズとを少なくとも含み、上記レンズが本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物(本発明のレンズ形成用組成物)の硬化物(本発明の硬化物)である光半導体装置である。なお、本発明のレンズ形成用組成物を用いた光半導体用レンズの製造は、公知乃至慣用の方法により実施でき、特に限定されないが、例えば、本発明のレンズ形成用組成物を所定の成形型内に注入して所定の条件で加熱硬化する方法や、ディスペンサー等によって塗布して所定の条件で加熱硬化する方法等によって実施できる。硬化温度と硬化時間は、特に限定されず、硬化物の調製時と同様の範囲で適宜設定することができる。本発明の光半導体装置が上記レンズを備える態様は特に限定されず、例えば、本発明の光半導体装置が封止材を有する場合には、該封止材の表面上の一部又は全部に配置された態様、上記光半導体装置の光半導体素子を封止する態様(即ち、本発明の硬化物が封止材とレンズとを兼ねる態様)等であってもよい。より具体的には、例えば、国際公開第2012/147342号、特開2012−188627号公報、特開2011−233605号公報等に開示された態様等が挙げられる。
[ビニル基を有するポリオルガノシルセスキオキサンの製造]
温度計、撹拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた100mlのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下でビニルトリメトキシシラン65ミリモル(9.64g)、フェニルトリメトキシシラン195ミリモル(38.67g)、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)8.31gを仕込み、この混合物を10℃以下に冷却した。上記混合物に、水360ミリモル(6.48g)及び5Nの塩酸0.24g(塩化水素として1.2ミリモル)を滴下した。その後、MIBKを40g添加して、反応溶液を希釈した。
次に、反応容器の温度を70℃まで昇温した。ここに水520ミリモル(9.36g)を添加し、窒素気流下で重縮合反応を行った。続いて、重縮合反応後の反応溶液にヘキサメチルジシロキサン130ミリモル(21.11g)を添加し、70℃で撹拌してシリル化反応を行った。その後、冷却し、下層液が中性になるまで水洗を行い、上層液を分取した後、1mmHg、40℃の条件で上層液から溶媒を留去し、無色透明の液状の生成物(38.6g;ビニル基を有するポリオルガノシルセスキオキサン)を得た。
上記生成物(シリル化反応後の生成物)の数平均分子量は1280であり、分子量分散度は1.13であった。また、図2には、上記生成物の1H−NMRスペクトルのチャート(溶媒:重クロロホルム)を示す。さらに、上記生成物のFT−IRスペクトルを上述の条件で測定したところ、1000〜1200cm-1に2本の吸収ピークを有することが確認された。図3には、上記生成物のFT−IRスペクトルのチャートを示す。
上記生成物(シリル化反応後の生成物)は、上述の(F)成分(詳しくは、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(a))に該当する。
(A剤)
ETERLED GS5145A:商品名「ETERLED GS5145A」[(A)成分を含むシリコーン樹脂]、長興材料工業製、アリール基(フェニル基)の割合約24モル%、ヒドロシリル化触媒[(C)成分]を含む。
MA−DGIC:商品名「MA−DGIC」[モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、(G)成分]、四国化成工業(株)製
OE−6630A:商品名「OE−6630A」[(A)成分を含まないシリコーン樹脂]、東レ・ダウコーニング(株)製、ヒドロシリル化触媒[(C)成分]を含む。
OFS−6040:商品名「XIAMETER OFS−6040」[3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(H)成分]、ダウコーニング社製
(B剤)
ETERLED GS5145B:商品名「ETERLED GS5145B」[シリコーン樹脂、(B)成分及び(E)成分を含む]、長興材料工業製
OE−6630B:商品名「OE−6630B」[シリコーン樹脂]、東レ・ダウコーニング(株)製
[硬化性シリコーン樹脂組成物の製造]
まず、表1に示すように、商品名「ETERLED GS5145A」20重量部及びトリブチルボレート1重量部を混合し、40℃で2時間撹拌して、A剤を調製した。
次に、上記で得たA剤21重量部に対して、B剤として商品名「ETERLED GS5145B」80重量部を混合し、自公転式撹拌装置(商品名「あわとり練太郎」、(株)シンキー製、型番:ARE−310)を用いて撹拌5分、脱泡2分で混練し、硬化性シリコーン樹脂組成物を製造した。
図1に示す態様のLEDパッケージ(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に、上記で得られた硬化性シリコーン樹脂組成物を注入し、60℃で1時間、続いて80℃で1時間、さらに150℃で4時間加熱することで、上記硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置を製造した。
硬化性シリコーン樹脂組成物の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体装置を製造した。
上記で得られた硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体装置について、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
上記で製造した光半導体装置を試料として用いた。
まず、上記試料について、全光束測定機(オプトロニックラボラトリーズ社製、マルチ分光放射測定システム「OL771」)を用いて、20mAの電流を流した際の全光束(単位:lm)を測定し、これを「腐食性試験前の全光束」とした。
次に、上記試料と硫黄粉末(キシダ化学(株)製)0.3gとを450mlのガラス瓶に入れ、さらに上記ガラス瓶をアルミ製の箱の中に入れた。続いて、上記アルミ製の箱を80℃のオーブン(ヤマト科学(株)製、型番:DN−64)に入れ、24時間後に取り出した。加熱後の試料について上記と同様に全光束を測定し、これを「腐食性試験後の全光束」とした。そして、腐食性試験前後における全光束の維持率(%)[=100×(腐食性試験後の全光束(lm))/(腐食性試験前の全光束(lm))]を算出した。
光度維持率が高いほど、硬化物(封止材)が腐食性ガスに対するバリア性に優れることを示す。なお、硬化性シリコーン樹脂組成物ごとに(各実施例・比較例ごとに)10個の光半導体装置について光度維持率を測定・算出し、表1にはこれらの光度維持率の平均値(N=10)を示した。
上記で製造した光半導体装置を試料として用いた。試料は、硬化性シリコーン樹脂組成物ごとに10個ずつ用いた。なお、試料は、試験前に20mAの電流を通電した時に点灯するものであることを確認した上で用いた。
上記試料について、熱衝撃試験機(エスペック(株)製、型番:TSB−21)を用いて、温度−40℃で5分間、続いて温度100℃で5分間曝露することを1サイクルとした熱衝撃付与を、1000サイクル実施した。その後、1000サイクルの熱衝撃を付与した後の試料について、20mAの電流を通電し、点灯しなかった試料の数を計測した。そして、点灯しなかった試料の数が0個である場合を○(耐熱衝撃性が良好である)、点灯しなかった試料の数が1個以上である場合を×(耐熱衝撃性が不良である)と評価した。結果を表1に示す。
上記で製造した光半導体装置を試料として用いた。試料は、硬化性シリコーン樹脂組成物ごとに10個ずつ用いた。なお、試料は、試験前に20mAの電流を通電した時に点灯するものであることを確認した上で用いた。
上記試料を30℃、60%RHに調整した恒温恒湿槽(エスペック(株)製、型番「SH−641」)に入れ、192時間後に取り出した。続いて、上記各試料について、リフロー炉(ANTOM(株)製、型番「UNI−5016F」)を用いて、260℃で10秒間の加熱処理を2回施した。その後、リフロー炉による2回の加熱処理を施した後の試料について、20mAの電流を通電し、点灯しなかった試料の数を計測した。そして、点灯しなかった試料の数が0個である場合を○(吸湿リフロー性が良好である)、点灯しなかった試料の数が1個以上である場合を×(吸湿リフロー性が不良である)と評価した。結果を表1に示す。
所定の基材上に、実施例及び比較例で得られた各硬化性シリコーン樹脂組成物を、60℃で1時間、続いて80℃で1時間、さらに150℃で4時間加熱し硬化させて、硬化物を得た。得られた硬化物のそれぞれについて、以下の評価を行った。なお、上記所定の基材として、PA−9T((株)クラレ製、ポリアミド系樹脂)、及び、銀メッキした銅基板の2種類を用いた。
評価:上記所定の基材上の硬化物について、ダイシェアテスター((株)アークテック製、型番:SERIES4000)を用いて、測定速度300μmの条件で、上記所定の基材に対する密着強度をそれぞれ測定した。結果を、表1に示す。
実施例及び比較例で得られた硬化性シリコーン樹脂組成物について、硫黄腐食性試験、熱衝撃性試験、吸湿リフロー試験、及び密着強度試験の4項目の評価結果に基づき、以下の基準で総合判定を行った。
○(良好である):硫黄腐食性試験の評価結果が80%以上であり、熱衝撃性試験の評価結果が○であり、吸湿リフロー試験の評価結果が○であり、PA−9T、及び、銀メッキした銅基板への密着強度試験の評価結果がともに30N以上である。
×(不良である):硫黄腐食性試験の評価結果が80%以上であること、熱衝撃性試験の評価結果が○であること、及び吸湿リフロー試験の評価結果が○であること、PA−9T、及び、銀メッキした銅基板への密着強度試験の評価結果がともに30N以上であることのうちの1つでも満たさないもの
101:金属配線(電極)
102:光半導体素子
103:ボンディングワイヤ
104:硬化物(封止材)
Claims (11)
- 下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分を含むことを特徴とする硬化性シリコーン樹脂組成物。
(A):分子内に2個以上のアルケニル基及び1個以上のアリール基を有するポリオルガノシロキシシルアルキレン
(B):分子内に1個以上のヒドロシリル基を有し、脂肪族不飽和基を有しないポリオルガノシロキサン
(C):白金族金属を含むヒドロシリル化触媒
(D):有機金属化合物
(E):分子内に1個以上のアルケニル基を有する分岐鎖状のポリオルガノシロキサン - 前記(D)成分が、ホウ素化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
- 下記の(F)成分を含む請求項1又は2に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
(F):分子内に1個以上のアルケニル基を有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン - 下記の(H)成分を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
(H):シランカップリング剤 - さらに蛍光体を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物。
- 光半導体封止用樹脂組成物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
- 光半導体用レンズの形成用樹脂組成物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
- 光半導体素子と、該光半導体素子を封止する封止材とを含み、前記封止材が請求項8に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする光半導体装置。
- 光半導体素子とレンズとを含み、前記レンズが請求項9に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする光半導体装置。
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