JP2016101017A - モータ制御装置及びモータ制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
位置指令とモータ位置の位置偏差に基づいて速度指令を生成するように構成された位置制御部と、前記速度指令とモータ速度の速度偏差に基づいて前記モータに入力するトルク指令を生成するように構成された速度制御部と、前記位置偏差に加算するための当該位置偏差の積分値を算出する手段と、前記速度制御部は、前記速度偏差に加算するための当該速度偏差の積分値を算出する手段と、前記位置指令の一階微分値に速度フィードフォワードゲインを乗算して速度フィードフォワード指令を生成し、これを前記速度指令に加算する手段と、を備えるモータ制御装置が適用される。
まず、図1を用いて、本実施形態に係るモータ制御装置の概略的な構成について説明する。図1に示すように、モータ制御装置100は、特に図示しない上位制御装置から入力される位置指令に基づいて、モータMの回転位置(回転角度;図中ではモータ位置と記載)を制御する。なお、ここでは各部位間の関係のみを概略的に説明するものとし、各部位の内部構成についてはそれぞれ後に詳述する。また、以下における図示及び説明は全て伝達関数形式での説明とする。図1において、本実施形態のモータ制御装置100は、位置制御部1と、速度制御部2と、速度フィードフォワード制御部4と、トルクフィードフォワード制御部5とを有している。
近年では、上述したような位置制御系ループを備えるモータ制御装置100の応答性能を向上させるために、位置指令とモータ位置の位置偏差を常時できるだけ0に抑える偏差レス制御の実現が要望されている。ここで位置偏差について詳細に説明すると、図2の最上方に示すタイムチャートのように、経時的に変化する位置指令速度(位置指令を一階時間微分した速度相当値)に対して実際に出力されるモータ差分位置(制御サンプリング周期毎のモータ位置変化量で検出される速度相当値)との差が位置偏差であり、そのうちモータ速度が一定速度である定常域における位置偏差を定常偏差といい、モータ速度が加減速している間の加減速域における位置偏差を加減速時偏差という。
ここで、上記構成例3のように位置P−速度PI制御の場合には、定常偏差(PosErr)は公知の最終値の定理より次式(1)で記述することができる。
この式(1)より、速度フィードフォワード係数Vff=100%とすれば、位置偏差は0に漸近する。しかし、あくまでも「漸近」であり、厳密に0とはならない。
入力する位置指令としてランプ指令を仮定し、最終値の定理を適用すると次のようになる。
この式(3)よりわかるように位置制御系ループに位置積分部11をPI制御の形で導入することで、定常偏差を厳密に0にすることができる。
また、さらなるオーバーシュートの低減手段も検討する。前述のとおり、オーバーシュートの原因は位置制御系ループにゼロ点を持つ積分器を追加したことが原因である。逆に言えば、ゼロ点の原因である積分器をなくせばオーバーシュートは発生しないといえる。具体的には、位置制御部1に積分制御を行わせた場合で、図6に示すように、位置指令の入力終了時、特にモータMの減速を終了して停止させる際に、モータ位置が指令停止位置よりオーバーシュートして振動しやすくなり、この振動中に位置偏差が発生してしまう。これは、積分部自体の応答が遅いためであり、その入力値が0となった後もしばらくは積分部に出力値が残存してしまうためである。
本実施形態におけるフィードフォワード制御としては、単純に位置指令の1階微分値に基づく速度フィードフォワード制御と2階微分値に基づくトルク(加速度)フィードフォワード制御を行う。まず、速度フィードフォワード制御については、上記図1に示すように、位置指令を1階微分した速度相当値にフィードフォワードゲインVffを乗じて速度指令に加算する構成のままとしている。
次に図1に示した本実施形態のモータ制御装置100におけるフィードバックゲインのゲインバランスについて検討し、検討したゲイン設定値に対する安定性を確認する。ゲインバランスの基本的な考え方は、速度ループゲインを基準とした2次系の減衰係数が1になるように定式化する。ただし、時定数Tiのみは、速度積分部12の導入経緯からできるだけ小さくなるように減衰係数が0.7程度になるようにする。
ただし、
とする。
ここで、本実施形態のモータ制御装置100による応答をシミュレーションにより確認する。また、比較のために上記構成例3の位置P−速度PI制御+速度フィードフォワード制御(Vff=100%)の場合のシミュレーション結果も示す。なお、このシミュレーションで使用した制御対象モデルの周波数特性を図12に示す。この図12に示す周波数特性の制御対象モデルに対して構成例3を適用した場合の応答を図13、図15、図17、図19に示し、本実施形態のモータ制御装置100を適用した場合の応答を図14、図16、図18、図20に示す。なお、図13及び図14は位置指令とモータ位置を示し、図15及び図16は速度指令値とモータ速度を示し、図17及び図18は位置偏差を示し、図19及び図20はトルク指令を示している。また、各構成に適用したパラメータを図21に示す。
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を得る。すなわち、本実施形態のモータ制御装置100では、位置制御部1に積分器としての位置積分部11を備え、速度制御部2に積分器としての速度積分部12を備え、つまり位置制御部1と速度制御部2の両方にそれぞれ積分部を備えている。このように2重フィードバックループの位置制御部1と速度制御部2の両方で2重の積分制御を行わせることで、外乱トルク等の影響があっても速度偏差とともに位置偏差を高い精度で0に近づけることができる。この結果、位置偏差の低減が可能なモータ制御装置100を実現できる。特に本実施形態では、フィードバック系に重きをおいた制御系の構成となっているため、機械の経年変化や個体差の影響を受けにくいという利点がある。
Kp≒Kv/2π
Tpi≒4/Kp
Ti≒2/Kv
の関係を満たすようそれぞれ設定されている(上記式(4)、式(5)、式(6)参照)。これにより、位置制御部1と速度制御部2の2重積分制御による高精度な偏差レス制御が具体的に可能となる。
2 速度制御部
4 速度フィードフォワード制御部
5 トルクフィードフォワード制御部
11 位置積分部(第1積分部)
21 速度積分部(第2積分部)
100 モータ制御装置
M モータ
D モータの粘性摩擦係数
Dcomp 粘性摩擦補償係数
Dp 不完全積分ゲイン
Kp 位置制御ゲイン
Kv 速度制御ゲイン
Tpi 位置積分部の時定数(第1時定数)
Ti 速度積分部の時定数(第2時定数)
Vff 速度フィードフォワードゲイン
Tff トルクフィードフォワードゲイン
Claims (6)
- モータを制御するためのモータ制御装置であって、
位置指令とモータ位置の位置偏差に基づいて速度指令を生成するように構成された位置制御部と、
前記速度指令とモータ速度の速度偏差に基づいて前記モータに入力するトルク指令を生成するように構成された速度制御部と、
前記位置偏差に加算するための当該位置偏差の積分値を算出するように構成された第1積分部と、
前記速度偏差に加算するための当該速度偏差の積分値を算出するように構成された第2積分部と、
を備えていることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記第1積分部は、
前記位置偏差の積分値に不完全積分ゲインを乗算して当該第1積分部の入力に負帰還するように構成された不完全積分部であることを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。 - 前記位置制御部は、前記第1積分部の出力を前記位置偏差に加算した後に位置制御ゲインを乗算して前記速度指令を生成するように構成され、
前記速度制御部は、前記第2積分部の出力を前記速度偏差に加算した後に速度制御ゲインを乗算して前記トルク指令を生成するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のモータ制御装置。 - 前記位置制御ゲインと前記速度制御ゲインは略比例関係となり、
前記第1積分部の第1時定数は前記位置制御ゲインと略反比例関係となり、
前記第2積分部の第2時定数は前記速度制御ゲインと略反比例関係となるよう設定されていることを特徴とする請求項3記載のモータ制御装置。 - 前記位置指令の二階微分値に前記モータの制御対象の総慣性モーメントを乗算した値に対し、前記位置指令の一階微分値に前記制御対象の粘性摩擦補償係数を乗算した値を加算してトルクフィードフォワード指令を生成し、これを前記トルク指令に加算するよう構成されたトルクフィードフォワード制御部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
- モータを制御するためのモータ制御方法であって、
位置指令とモータ位置の位置偏差に基づいて速度指令を生成することと、
前記速度指令とモータ速度の速度偏差に基づいて前記モータに入力するトルク指令を生成することと、
前記位置偏差に加算するための当該位置偏差の積分値を算出することと、
前記速度偏差に加算するための当該速度偏差の積分値を算出することと、
を実行することを特徴とするモータ制御方法。
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