JP5650814B1 - フィードフォワード制御を備えたモータ制御装置 - Google Patents

フィードフォワード制御を備えたモータ制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】制御対象が有するイナーシャおよび摩擦が変動しても指令に対して高い応答性を有する設計容易なフィードフォワード制御を備えたモータ制御装置を実現する。【解決手段】制御対象200を駆動するモータを制御するモータ制御装置1は、入力された速度指令に制御対象200の実際速度が追従するよう制御するための補正前トルク指令を作成する速度フィードバック制御手段11と、速度指令と補正前トルク指令とを用いて、制御対象200が有する伝達関数の逆モデルを算出する逆モデル算出手段12と、速度指令と逆モデルとを用いて、トルク補正値を生成するトルク補正値生成手段13と、補正前トルク指令とトルク補正値とを用いて、制御対象200を駆動するモータに対するトルク指令を生成するトルク指令生成手段14と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ロボット、工作機械あるいは産業機械等の機械の駆動源として用いられるモータを制御するモータ制御装置に関する。
ロボット、工作機械あるいは産業機械等の機械の駆動源として用いられるモータを制御するモータ制御装置においては、回転駆動されるモータ単体、モータを駆動源にして連動して動作する機械(当該機械が作用するワーク等の付属物を含む場合もある)等の制御対象(以下、単に「制御対象」と称する。)を、指令通りに動作させるためにフィードバック制御が設けられる。フィードバック制御には、制御対象の速度を速度指令に追従させる速度フィードバック制御や、制御対象の位置を位置指令に追従させる位置フィードバック制御などがある。
また、指令に対するより高い応答性を実現するために、フィードフォワード制御をフィードバック制御に付加する形で設けられることが知られている。指令に対するフィードフォワード制御には、速度指令に対する応答性を高めるために速度フィードバック制御に付加される速度フィードフォワード制御や、位置指令に対する応答性を高めるために位置フィードバック制御に付加される位置フィードフォワード制御などがある。
図9は、フィードバック制御およびフィードフォワード制御を有する従来一般のモータ制御装置を示すブロック線図である。以降、異なる図面において同じ参照符号が付されたものは同じ機能を有する構成要素であることを意味するものとする。ここでは、モータ制御装置100で制御対象200の動作を制御する場合について説明する。
制御対象200の例としては、上述したように、モータ単体、モータおよび当該モータを駆動源にして連動して動作する機械(当該機械が作用するワーク等の付属物を含む場合もある)等がある。ここでは一例として、制御対象200のモータトルク定数をKt、モータイナーシャをJ、摩擦係数をCとする。また、微分演算子をsで表す。制御対象200の伝達関数を、「Kt/(Js+C)」で表す。
制御器101は、制御対象200の実際の速度(以下、「実際速度」とも称する。)を速度指令に追従させる速度フィードバック制御を実行する。制御器101には、制御対象200からフィードバックされる速度と速度指令との偏差が入力され、トルク指令を出力する。制御器101はPI制御やPID制御にて実現されるが、例えば図9に示すようにPI制御にて実現する場合、積分ゲインをK1、比例ゲインをK2とすると、制御器101の伝達関数は「K1/s+K2」で表される。
速度フィードフォワード(VFF)制御ブロック104の伝達関数は、速度指令に対する高い応答性の制御を実現するために、制御対象200の伝達関数である「Kt/(Js+C)」の逆関数である「(Js+C)/Kt」に設定される。ここで、制御器101、速度フィードフォワード制御ブロック104、および制御対象200を1つのシステム(以下、「速度制御系」と称する。)と捉えた場合、速度制御系の入力は「速度指令」であり、速度制御系の出力は制御対象200からフィードバックされる「制御対象200の実際の速度」であるとみなすことができる。速度フィードフォワード制御ブロック104の伝達関数を制御対象200の伝達関数の逆関数(非線形である場合は逆モデル)に設計すれば、速度制御系の伝達関数は「1」となるので、速度指令に対する高い応答性を実現することができる。
また、図9に示す例では、制御対象200の位置を位置指令に追従させる位置フィードバック制御のポジションゲインブロック102のポジションゲインをKpとしている。制御対象200の速度を積分ブロック103にて積分することにより得られた位置と位置指令との偏差に、ポジションゲインKpが掛けられ、上述の速度指令の一部として用いられる。なお、積分ブロック103の伝達関数は「1/s」で表される。
伝達関数が「1」である速度制御系、ポジションゲイン102、伝達関数が「1/s」である積分ゲインブロック103、および位置フィードフォワード(PFF)ブロック105を1つのシステム(以下、「位置制御系」と称する。)と捉えた場合、位置制御系の入力は「位置指令」であり、位置制御系の出力は制御対象200からフィードバックされる「制御対象200の実際の位置」であるとみなすことができる。上述したように制御器101、速度フィードフォワード制御ブロック104、および制御対象200からなる速度制御系の伝達関数は「1」であるので、位置フィードフォワード制御ブロック105の伝達関数を積分ゲインブロック103の伝達関数である「1/s」の逆関数「s」に設計すれば、位置制御系についても伝達関数は「1」となるので、位置制御系に対する高い応答性を実現することができる。
また、上述のように速度制御系の伝達関数を「1」にすることができれば、位置フィードフォワード制御ブロック105の伝達関数は、積分ゲインブロック103の伝達関数である「1/s」の逆関数「s」に設計すればよいので、位置フィードフォワード制御ブロック105の設計が容易となる。したがって、モータ制御装置100の速度フィードフォワード制御ブロック104および位置フィードフォワード制御ブロック105の設計には、制御対象200の各種定数についての詳しい情報が必要である。
一般に、ロボット、工作機械あるいは産業機械等の機械においては、制御対象のイナーシャや摩擦等の各種定数を詳しく把握することが困難な場合がある。例えば、ロボットや産業機械等では機械に取り付けられる付属物、工作機械では加工する対象物について、その大きさや重量等が変動すると、イナーシャや摩擦が変動する。また、機械の経年変化によっても摩擦等の定数が変化する。また、モータによって駆動される被駆動体の位置によっても、摩擦等の定数が変動する。さらに、被駆動体の位置により、イナーシャも変動することがある。
このように制御対象の各種定数が未知もしくは不確定であっても高い応答性を実現するために、フィードフォワード制御のパラメータを適応制御によって求める方法が従来より知られている。
例えば、ロボットアームを駆動する電動機において、アームの動きに応じてそのイナーシャが大きく変動することから、イナーシャが大きく変動しても高い指令応答性を実現するために、位置フィードフォワード制御のパラメータを位置偏差が小さくなるように最急降下法のアルゴリズムで適応的に求める方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
また例えば、制御対象に対するイナーシャおよび重力の影響によるトルクオフセット分を適応的に同定し、これを使ってトルク指令を補正してフィードフォワード制御を実行することにより、回転角に依存して変動する負荷を含む制御対象に対応して最適なトルク指令を出力する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
特開平3−242703号公報 特開2008−171165号公報
上述のようにモータ制御装置の速度フィードフォワード制御の伝達関数が制御対象の逆モデルとなるように設計すると、速度指令に対する高い応答性を実現することができる。速度フィードフォワード制御の伝達関数を最適に設計できれば、応答性の高い位置フィードフォワード制御の設計も比較的容易となる。したがって、制御対象の各種定数についての詳しい情報を的確に把握することは、速度フィードフォワード制御の設計の際に非常に重要である。
しかしながら、モータ制御装置のフィードフォワード制御を設計する際、何らかの原因で制御対象の各種定数を的確に把握できていなかった場合は、完成したフィードフォワード制御は必ずしも最適なものとはいえず、指令に対する高い応答性を実現できたとはいいきれない。
特に、モータ制御装置が駆動する制御対象がイナーシャおよび摩擦が変動するものである場合、制御対象の各種定数についての詳しい情報を得ることは非常に難しく、モータ制御装置の指令に対する応答性を高めることは難しい。
例えば特許文献1および特許文献2に記載された発明は、制御対象が有するイナーシャに関するパラメータを適応制御によって求めてフィードフォワード制御を行っているものの、制御対象が有する摩擦に関するパラメータについては考慮されていない。このため、特許文献1および特許文献2に記載された発明では、イナーシャが変動する制御対象に対しては対応できるが、摩擦が変動する制御対象に対しては最適なフィードフォワード制御ができないという問題がある。
したがって本発明の目的は、制御対象の各種定数を詳しく把握しなくとも容易に最適設計できる、指令に対して応答性の高いフィードフォワード制御を備えたモータ制御装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、制御対象が有するイナーシャおよび摩擦が変動しても指令に対して高い応答性を有するフィードフォワード制御を備えたモータ制御装置を提供することにある。
本発明によれば、制御対象を駆動するモータを制御するモータ制御装置は、入力された速度指令に制御対象の実際速度が追従するよう制御するための補正前トルク指令を作成する速度フィードバック制御手段と、速度指令と補正前トルク指令とを用いて、制御対象が有する伝達関数の逆モデルの係数を算出する逆モデル算出手段と、速度指令と逆モデルの係数とを用いて、トルク補正値を生成するトルク補正値生成手段と、補正前トルク指令とトルク補正値とを用いて、制御対象を駆動するモータに対するトルク指令を生成するトルク指令生成手段と、を備える。
逆モデル算出手段は、速度指令と、補正前トルク指令と、所定の適応係数とを用いて、係数修正値を算出する係数修正値算出手段と、係数修正値と、イナーシャ係数推定値とを用いて、新たなるイナーシャ係数推定値を算出するイナーシャ係数推定値算出手段と、係数修正値と、粘性摩擦係数推定値とを用いて、新たなる粘性摩擦係数推定値を算出する粘性摩擦係数推定値算出手段と、係数修正値と、クーロン摩擦係数推定値とを用いて、新たなるクーロン摩擦係数推定値を算出するクーロン摩擦係数推定値算出手段と、を備えてもよく、上記新たなるイナーシャ係数推定値、上記新たなる粘性摩擦係数推定値、および上記新たなるクーロン摩擦係数推定値を用いて、サンプリング期間ごとに逆モデルの係数を算出するようにしてもよい。
また、逆モデル算出手段は、速度指令の絶対値が所定の値より小さいとき、当該速度指令が入力されたサンプリング期間よりも前のサンプリング期間において算出された逆モデルの係数を維持してこれをトルク補正値生成手段へ出力するようにしてもよい。
また、トルク補正値生成手段は、速度指令から算出された加速度と制御対象が有するイナーシャの推定に用いられるイナーシャ係数推定値との積と、速度指令と当該制御対象が有する粘性摩擦係数の推定に用いられる粘性摩擦係数推定値との積と、速度指令の極性と当該制御対象が有するクーロン摩擦係数の推定に用いられるクーロン摩擦係数推定値との積と、を加算することで、トルク補正値を生成するようにしてもよい。
本発明によれば、制御対象の各種定数を詳しく把握しなくとも、指令に対して応答性の高いフィードフォワード制御を備えたモータ制御装置を容易に最適設計することができる。すなわち、本発明によれば、制御対象の伝達関数の逆モデルは所定の漸化式に従って算出されるので、制御対象の各種定数を詳しく把握しなくとも指令に対して応答性の高いフィードフォワード制御を容易に最適設計することができる。
また、本発明によれば、制御対象が有するイナーシャおよび摩擦が変動しても指令に対して高い応答性を有するフィードフォワード制御を備えたモータ制御装置を実現することができる。すなわち、本発明によれば、制御対象の伝達関数の逆モデルを逐次推定し、その推定結果に応じて速度フィードフォワード制御の伝達関数を逐次変更するので、制御対象が有するイナーシャおよび摩擦が変動しても指令に対して高い応答性を有することができる。逆モデル算出手段(同定器)で推定した係数はそのまま速度フィードフォワードの係数として利用できるため、制御対象のイナーシャおよび非線形摩擦が変動しても指令に対して高い応答性を有することができる。
またさらに、入力された速度指令に対して不感帯領域を設けたうえで本発明における処理を実行すれば、非線形摩擦が有するストライベック効果の影響を低減することができる。
本発明の第1の実施例によるモータ制御装置を示すブロック線図である。 本発明の第1の実施例によるモータ制御装置における逆モデル算出手段を示すブロック図である。 本発明の第1の実施例によるモータ制御装置の動作フローを示すフローチャートである。 本発明の第1の実施例によるモータ制御装置のシミュレーション結果(その1)を示す図である。 本発明の第1の実施例によるモータ制御装置のシミュレーション結果(その2)を示す図であって、(a)は逆モデルを用いた速度フィードフォワード制御を無効にした場合を示し、(b)は逆モデルを用いた速度フィードフォワード制御を機能させた場合を示す。 モータ制御装置の制御対象の非線形摩擦が引き起こすストライベック効果を例示する図である。 本発明の第1の実施例の変形例によるモータ制御装置のシミュレーション結果を示す図であって、(a)は不感帯領域を設けない場合を示し、(b)は不感帯領域を設けた場合を示す。 本発明の第2の実施例によるモータ制御装置を示すブロック線図である。 フィードバック制御およびフィードフォワード制御を有する従来一般のモータ制御装置を示すブロック線図である。
以下、図面を参照して、フィードフォワード制御を備えたモータ制御装置について説明する。本発明によるモータ制御装置が駆動する制御対象は、モータ、当該モータと当該モータを駆動源にして連動して動作する機械とを含めたもの、あるいは、当該機械と当該機械が作用するワーク等の付属物とを含めたもの、などがある。したがって、これらを以下の説明における「制御対象」に適宜置き換えて読めば、本発明が種々の用途に適用され得ることは理解できよう。なお、本発明によるモータ制御装置が駆動制御するモータに連動して動作する機械には、ロボット、工作機械あるいは産業機械などがある。なお、以下に説明する速度指令、トルク指令、位置指令、補正前トルク指令、補正前速度指令は、その大きさ(スカラー量)と極性(ベクトル)とで規定される。
図1は、本発明の第1の実施例によるモータ制御装置を示すブロック線図である。本発明の第1の実施例によれば、制御対象200を駆動するモータを制御するモータ制御装置1は、速度フィードバック制御手段11と、逆モデル算出手段12と、トルク補正値生成手段13と、トルク指令生成手段14と、を備える。図示の例では、制御対象200のモータトルク定数をKt、モータイナーシャをJ、摩擦係数をCとし、また、微分演算子をsとして、制御対象200の伝達関数を「Kt/(Js+C)」で表す。なお、制御対象200に影響を及ぼす重力も非線形特性を有するので、制御対象200の伝達関数は重力の影響を考慮したものとしてもよい。
速度フィードバック制御手段11は、入力された速度指令に制御対象200の実際の速度が追従するよう制御するための補正前トルク指令を作成する。より具体的には、速度フィードバック制御手段11に含まれる制御器101には、制御対象200からフィードバックされる実際速度と速度指令との偏差が入力され、補正前トルク指令を生成して出力することで、制御対象200の実際の速度を速度指令に追従させる速度フィードバック制御を行う。制御器101はPI制御やPID制御にて実現されるが、例えば図1に示すようにPI制御にて実現する場合、積分ゲインをK1、比例ゲインをK2とすると、制御器101の伝達関数は「K1/s+K2」で表される。
逆モデル算出手段12は、速度指令と補正前トルク指令とを用いて、制御対象200が有する伝達関数の逆モデルの係数を算出する。逆モデルの詳細については後述する。
トルク補正値生成手段13は、速度指令と逆モデル算出手段12により算出された逆モデルの係数とを用いて、トルク補正値を生成する。トルク補正値の詳細については後述する。
トルク指令生成手段14は、補正前トルク指令とトルク補正値とを用いて、制御対象200を駆動するモータに対するトルク指令を生成する。生成されたトルク指令は、モータの駆動電力を出力する電力変換器(図示せず)を制御するのに用いられる。例えば、電力変換器が、内部に設けられた半導体スイッチング素子のスイッチング動作により直流電力を交流電力に変換するPWMインバータで構成される場合、生成されたトルク指令に基づき、PWMインバータ内の半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御するためのPWMスイッチング信号が生成される。PWMインバータは、受信したPWMスイッチング信号に基づき、内部の半導体スイッチング素子をスイッチング動作させ、直流電力を交流電力に変換してモータに出力する。モータは、電力変換器から出力された交流電力を駆動電力として動作するので、電力変換器から出力される交流電力が制御されれば、所望の速度、トルク、もしくはモータ内の回転子の位置で動作するよう、モータを動作させることができ、結果として当該モータを駆動源として含むロボット、工作機械あるいは産業機械などの機械を動作させることができる。
続いて、逆モデルを生成する逆モデル算出手段1、トルク補正値を生成するトルク補正値生成手段13、およびトルク指令を生成するトルク指令生成手段14の各動作について説明する。
逆モデル算出手段1は、イナーシャおよび摩擦を含む制御対象200の伝達関数の逆モデルの係数を推定する。本実施例では、摩擦をクーロン摩擦に代表される非線形特性を有する摩擦を例に取り挙げる。したがって、図1に示された制御対象200の伝達関数「Kt/(Js+C)」の摩擦Cは、式1のように表される。式1において、ω(t)をモータの速度、C1を粘性摩擦係数、C2をクーロン摩擦係数とする。また、「sign()」は「()」内の関数についての符号関数であり、すなわち「sign(ω(t))」はモータの速度ω(t)の極性を表す。
Figure 0005650814
非線形摩擦を含む1慣性系の制御対象200の逆モデルを式2のように定義する。なお、速度フィードバック制御および速度フィードフォワード制御は実際の装置において所定のサンプリング周期でディジタル制御することを想定し、式2では離散系で表している。式2において、i(n)を逆モデル、ω(n)をモータの速度、Jを制御対象200のイナーシャ、Ktを制御対象200のモータトルク定数、Tをサンプリング周期、nを1サンプリング周期におけるサンプリングデータの数とする。
Figure 0005650814
本発明では、式2で定義される逆モデルを速度フィードフォワード制御に利用する。すなわち、式2で定義される逆モデルに従って、トルク補正値生成手段13はトルク補正値を生成する。具体的には、逆モデル算出手段12(同定器)は、速度フィードバック制御手段11に含まれる制御器101の出力である補正前トルク指令と速度指令とを用いて、式2で定義される逆モデルの係数を逐次推定する。トルク指令補正値生成手段13は、速度指令および逆モデル算出手段12で推定された逆モデルの係数を用いてトルク補正値を生成する。そして、トルク指令生成手段14は、制御器101から出力された補正前トルク指令をトルク指令補正値生成手段13により生成されたトルク補正値を用いて補正し、制御対象200を駆動するモータに対するトルク指令を生成する。このように、本発明によれば、逆モデル算出手段12により逐次推定される逆モデルの係数に対応して、トルク補正値生成手段13によりトルク補正値を逐次生成し、このトルク補正値を用いて制御器101の出力である補正前トルク指令を逐次補正するので、制御対象200のイナーシャおよび摩擦の変動に対応できる速度フィードフォワード制御が実現される。
逆モデルの定義式である式2を、トルク補正値生成手段13によるトルク補正値の生成処理に用いるため式3のように簡単化する。式3において、iff(n)をトルク補正値、ω(n)を速度指令、Jを制御対象200のイナーシャ、Ktを制御対象200のモータトルク定数、Tをサンプリング周期、nを1サンプリング周期におけるサンプリングデータの数、C1を制御対象200の粘性摩擦係数、C2を制御対象200のクーロン摩擦係数とする。また、「sign()」は「()」内の関数についての符号関数であり、すなわち「sign(ω(n))」は速度指令ω(n)の極性を表す。
Figure 0005650814
式3から分かるように、トルク補正値生成手段13は、速度指令ω(n)から算出された加速度v0(=ω(n)−ω(n−1))と制御対象200が有するイナーシャJの推定に用いられるイナーシャ係数推定値h0との積v0・h0と、速度指令v1(=ω(n))と制御対象200が有する粘性摩擦係数C1の推定に用いられる粘性摩擦係数推定値h1との積v1・h1と、速度指令の極性v2(=sign(ω(n)))と制御対象200が有するクーロン摩擦係数C2の推定に用いられるクーロン摩擦係数推定値h2との積v2・h2と、を加算することでトルク補正値iff(n)を生成する。
式3に示されるトルク補正値iff(n)を、制御器101が出力する補正前トルク指令を補正するために用いる。すなわち、トルク指令生成手段14は、制御器101から出力された補正前トルク指令とトルク指令補正値生成手段13により生成されたトルク補正値とを加算して制御対象200を駆動するモータに対するトルク指令を生成する。ここで、トルク補正値が最適な値になった場合、速度指令と実際の速度との偏差はゼロ(0)となるので、制御器101から出力される補正前トルク指令はゼロ(0)となる。したがってこのときはトルク補正値はトルク指令そのものとなる。
続いて、逆モデル算出手段12による逆モデルの係数の推定アルゴリズムについて説明する。本発明の第1の実施例では、逆モデルの係数の推定アルゴリズムとして、安定性や推定速度に優れた逐次最小二乗法を用いる。この代替例として、最急降下法を推定アルゴリズムに用いてもよい。
n個のサンプリングデータから最小二乗法を使って式3のイナーシャ係数推定値h0、粘性摩擦係数推定値h1およびクーロン摩擦係数推定値h3を推定する際に用いられる推定式は式4の通りである。なお、式4において、本実施例ではh0、h1およびh3であるので、m=3である。
Figure 0005650814
式4における誤差ベクトルは、制御器101からの出力である補正前トルク指令を意味する。この誤差ベクトルの評価関数を式5のようにおく。式5において「T」が付された行列は転置行列であることを意味する。
Figure 0005650814
誤差ベクトルをゼロベクトルにすることを目標としているので、評価関数を最小とする必要条件は式6となる。
Figure 0005650814
式6を整理すると最小二乗法の推定式は式7のようになる。
Figure 0005650814
逐次最小二乗法に変換するために観測値が時点Nにあると定義すると、式7は式8のように変換できる。
Figure 0005650814
逐次最小二乗法に変換するために、下記式9を定義する。
Figure 0005650814
式9を式8に代入すると、式10に示される漸化式が得られる。
Figure 0005650814
式10における逆行列の計算を避けるために、逆行列の補助定理(matrix inversion lemma)を式10に適用すると式11が得られる。
Figure 0005650814
式11の初期値は、単位行列と適応係数αを用いて式12で表す。式12において、適応係数αはモータ制御装置1の適用状態に応じて適宜設定されるものである。
Figure 0005650814
逆モデル算出手段12は、式11および式12を用いて式10の漸化式を計算することで、式3に示される逆モデルの係数を算出する。
図2は、本発明の第1の実施例によるモータ制御装置における逆モデル算出手段を示すブロック図である。
式3に示される逆モデルの係数を算出する逆モデル算出手段12は、係数修正値算出手段31と、イナーシャ係数推定値算出手段32と、粘性摩擦係数推定値算出手段33と、クーロン摩擦係数推定値算出手段34と、を備える。
係数修正値算出手段31は、サンプリング期間ごとに入力される速度指令と、当該速度指令が入力されたサンプリング期間よりも前のサンプリング期間において生成された補正前トルク指令と、所定の適応係数αとを用いて、係数修正値を算出する。
イナーシャ係数推定値算出手段32は、係数修正値算出手段31により算出された係数修正値と、当該係数修正値が算出されたサンプリング期間よりも前のサンプリング期間において算出され、一時記憶手段35に記憶されていたイナーシャ係数推定値とを用いて、新たなるイナーシャ係数推定値を算出する。イナーシャ係数推定値算出手段32により算出された新たなるイナーシャ係数推定値は、加算器38へ出力されるとともに、次回のサンプリング期間においてイナーシャ係数推定値算出手段32による算出処理に用いるために一時記憶手段35に記憶される。
粘性摩擦係数推定値算出手段33は、係数修正値算出手段31により算出された係数修正値と、当該係数修正値が算出されたサンプリング期間よりも前のサンプリング期間において算出され、一時記憶手段36に記憶されていた粘性摩擦係数推定値とを用いて、新たなる粘性摩擦係数推定値を算出する。粘性摩擦係数推定値算出手段33により算出された新たなる粘性摩擦係数推定値は、加算器38へ出力されるとともに、次回のサンプリング期間において粘性摩擦係数推定値算出手段33による算出処理に用いるために一時記憶手段36に記憶される。
クーロン摩擦係数推定値算出手段34は、係数修正値算出手段31により算出された係数修正値と、当該係数修正値が算出されたサンプリング期間よりも前のサンプリング期間において算出され、一時記憶手段37に記憶されていたクーロン摩擦係数推定値とを用いて、新たなるクーロン摩擦係数推定値を算出する。クーロン摩擦係数推定値算出手段34により算出された新たなるクーロン摩擦係数推定値は、加算器38へ出力されるとともに、次回のサンプリング期間においてクーロン摩擦係数推定値算出手段34による算出処理に用いるために一時記憶手段37に記憶される。
上記新たなるイナーシャ係数推定値と上記新たなる粘性摩擦係数推定値と上記新たなるクーロン摩擦係数推定値とを加算器38により加算することで、逆モデルを生成する。生成された逆モデルの係数は、トルク補正値生成手段13へ出力される。一方、一時記憶手段35に記憶されたイナーシャ係数推定値、一時記憶手段36に記憶された粘性摩擦係数推定値、および一時記憶手段37に記憶されたクーロン摩擦係数推定値は、次回のサンプリング期間における逆モデルの算出に用いられる。
上記各手段31〜38による処理はサンプリング期間ごとに実行される。
図3は、本発明の第1の実施例によるモータ制御装置の動作フローを示すフローチャートである。ステップS101〜S107の処理は、サンプリング周期ごとに実行される。なお、下記ステップS101〜S107の処理の実行順は一例であり、各処理は矛盾のない範囲で適宜入れ替えて実行されてもよい。
まず、ステップS101において、モータ制御装置1は、今回のサンプリング期間における速度指令と制御対象200からフィードバックされる実際の速度を取得する。
次に、ステップS102において、逆モデル算出手段12は、前回のサンプリング期間における補正前トルク指令と逆モデルの係数を取得する。より詳しくは、逆モデル算出手段12内の係数修正値算出手段31は、前回のサンプリング期間における補正前トルク指令を取得する。また、逆モデル算出手段12内のイナーシャ係数推定値算出手段32、粘性摩擦係数推定値算出手段33およびクーロン摩擦係数推定値算出手段34は、前回のサンプリング期間における逆モデルの係数(すなわち一時記憶手段35〜37にそれぞれ記憶された各係数)をそれぞれ取得する。
次に、ステップS103において、逆モデル算出手段12は、今回のサンプリング期間における速度指令と、前回のサンプリング期間における補正前トルクおよび逆モデルの係数とから、新たなる逆モデルの係数を算出する。より詳しくは、係数修正値算出手段31は、今回のサンプリング期間における速度指令と、前回のサンプリング期間における補正前トルク指令と、所定の適応係数αとを用いて、係数修正値を算出する。また、イナーシャ係数推定値算出手段32は、係数修正値算出手段31により算出された係数修正値と、前回のサンプリング期間におけるイナーシャ係数推定値とを用いて、新たなるイナーシャ係数推定値を算出する。また、粘性摩擦係数推定値算出手段33は、係数修正値算出手段31により算出された係数修正値と、前回のサンプリング期間における粘性摩擦係数推定値とを用いて、新たなる粘性摩擦係数推定値を算出する。また、クーロン摩擦係数推定値算出手段34は、係数修正値算出手段31により算出された係数修正値と、前回のサンプリング期間におけるクーロン摩擦係数推定値とを用いて、新たなるクーロン摩擦係数推定値を算出する。
次いで、ステップS104において、トルク補正値生成手段13は、今回のサンプリング期間における速度指令および逆モデル算出手段12により算出された逆モデルの係数から、トルク補正値を算出する。
一方、ステップS105では、速度フィードバック制御手段11内の制御器101は、ステップS101において取得した今回のサンプリング期間における速度指令と速度指令と制御対象200からフィードバックされる実際の速度との偏差に対してPI制御を実行し、補正前トルク指令を出力する。なお、本発明の第1の実施例では一例として速度フィードバック制御にPI制御を用いたが、例えばPID制御を用いてもよい。
ステップS106において、今回のサンプリング期間における補正前トルク指令と逆モデルの係数は、次回のサンプリング周期における逆モデルの算出に用いるため、各記憶手段に記憶される。より具体的には、今回のサンプリング期間において算出されたイナーシャ係数推定値は一時記憶手段35に記憶され、今回のサンプリング期間において算出された粘性摩擦係数推定値は一時記憶手段36に記憶され、今回のサンプリング期間において算出されたクーロン摩擦係数推定値は一時記憶手段37に記憶される。同様に、今回のサンプリング期間において算出された補正前トルク指令もモータ制御装置1内の所定の一時記憶手段に記憶される。これら各記憶手段に記憶された各データは、次回のサンプリング周期のステップS102における処理にて再び読み出されてステップS103以降の処理に利用される。
ステップS107では、トルク指令生成手段14は、今回のサンプリング期間において制御器101から出力された補正前トルク指令とトルク指令補正値生成手段13により生成されたトルク補正値とを加算して制御対象200を駆動するモータに対する新たなるトルク指令を生成する。
以上説明したように、本発明の第1の実施例によれば、逆モデル算出手段12(同定器)は、速度フィードバック制御手段11に含まれる制御器101の出力である補正前トルク指令と速度指令とを用いて、上記漸化式に基づいてイナーシャ、粘性摩擦およびクーロン摩擦を考慮した逆モデルの係数を逐次推定し、トルク指令補正値生成手段13は、速度指令および逆モデル算出手段12で推定された逆モデルの係数を用いてトルク補正値を生成する。推定される逆モデルが最終的に制御対象200の伝達関数の逆モデルに最適化されると、制御器101、速度フィードフォワード制御ブロック104、および制御対象200からなる速度制御系の伝達関数は「1」となるので、速度指令に対する高い応答性を実現することができる。また、逆モデル算出手段12(同定器)で推定した係数はそのまま速度フィードフォワードの係数として利用され、逐次推定される逆モデルに応じて速度フィードフォワード制御の伝達関数が逐次変更されるので、制御対象200が有するイナーシャおよび摩擦が変動しても指令に対して高い応答性を有することができる。また、逆モデルは適応係数αに初期値を設定して上記漸化式に従って算出されるので、制御対象200の各種定数を詳しく把握しなくとも指令に対して応答性の高いフィードフォワード制御を容易に最適設計することができる。
図4は、本発明の第1の実施例によるモータ制御装置のシミュレーション結果(その1)を示す図である。上述した本発明の第1の実施例によるモータ制御装置をコンピュータ上でモデル化し、時刻0秒で5Hzの正弦波状の速度指令の入力を開始し、その後の速度指令と実際の速度との偏差をシミュレーションした。図示の通り、時刻0秒にて速度指令入力後、速度指令と実際の速度との偏差が時間の経過とともに次第に低減され、1秒を経過するこには速度偏差は収束した本シミュレーション結果から、本発明の第1の実施例における逆モデルを用いた速度フィードフォワード制御が有効であることがわかる。
図5は、本発明の第1の実施例によるモータ制御装置のシミュレーション結果(その2)を示す図であって、(a)は逆モデルを用いた速度フィードフォワード制御を無効にした場合を示し、(b)は逆モデルを用いた速度フィードフォワード制御を機能させた場合を示す。上述した本発明の第1の実施例によるモータ制御装置をコンピュータ上でモデル化し、本発明の第1の実施例における逆モデルを用いた速度フィードフォワード制御が無効である場合(図5(a))と有効である場合(図5(b))について、速度指令として5Hzの正弦波状のものを与えて速度指令と実際の速度との偏差をシミュレーションした。本発明の第1の実施例における逆モデルを用いた速度フィードフォワード制御を無効にした場合は図5(a)に示すように速度偏差は発散したままであるが、本発明の第1の実施例における逆モデルを用いた速度フィードフォワード制御を有効にした場合は図5(b)に示すように速度偏差は収束した。本シミュレーション結果からも、本発明の第1の実施例における逆モデルを用いた速度フィードフォワード制御が有効であることがわかる。
続いて、本発明の第1の実施例の変形例について説明する。
上述のように制御対象200が有するクーロン摩擦は非線形特性を有する。一般に、非線形摩擦ではスティックスリップ現象を引き起こすストライベック効果を有する。図6は、モータ制御装置の制御対象の非線形摩擦が引き起こすストライベック効果を例示する図である。図6に示すように、モータの速度のゼロクロス近傍では、モータの摩擦力は非線形になる。したがって、当該モータを含む制御対象について推定された逆モデルは、特にゼロクロス近傍において大きな誤差を持つ場合がある。そこで、本発明の第1の実施例の変形例では、速度指令v1(=ω(n))のゼロクロス近傍に所定の範囲の不感帯領域を設け、ストライベック効果による影響を低減する。すなわち、逆モデル算出手段12は、速度指令の絶対値が所定の値σより小さいとき、当該速度指令が入力されたサンプリング期間よりも前のサンプリング期間において算出された逆モデルを維持してこれをトルク補正値生成手段13へ出力する。この場合、上述の式10について、不感帯幅をσとしたとき、式13のように表される。
Figure 0005650814
式13に示すように、速度指令v1の絶対値が不感帯幅σより小さいときは、逆モデル算出手段12は、逆モデルの係数は更新せずにこれを維持してトルク補正値生成手段13へ出力する。一方、速度指令v1の絶対値が不感帯幅σ以上のときは、逆モデル算出手段12は、式10の式に従って新たなる逆モデルを算出し、これをトルク補正値生成手段13へ出力する。図6に示す例では、例えば不感帯幅σを5[rad/s]に設定すればよい。
図7は、本発明の第1の実施例の変形例によるモータ制御装置のシミュレーション結果を示す図であって、(a)は不感帯領域を設けない場合を示し、(b)は不感帯領域を設けた場合を示す。上述した本発明の第1の実施例の変形例によるモータ制御装置をコンピュータ上でモデル化し、時刻0秒でM系列速度指令の入力を開始し、その後の逆モデルの係数であるイナーシャ係数推定値h0、粘性摩擦係数推定値h1、クーロン摩擦係数推定値h2をシミュレーションした。図7において、縦軸は真値を1として正規化したときの各係数の大きさを示す。不感帯領域を設けた場合(図7(b))は、不感帯領域を設けない場合(図7(a))に比べて、逆モデルの各係数が真値に収束するまでの時間が短い。また、不感帯領域を設けない場合は、一定の誤差を持ったままで、真値に収束しない。本シミュレーション結果からも、本発明の第1の実施例の変形例における不感帯領域を設けた逆モデルを用いた速度フィードフォワード制御がより有効であることがわかる。
続いて、本発明の第2の実施例について説明する。本発明の第2の実施例は、第1の実施例における速度制御に位置制御を追加したものである。
は、本発明の第2の実施例によるモータ制御装置を示すブロック線図である。本発明の第2の実施例によるモータ制御装置2は、図1を参照した第1の実施例によるモータ制御装置1に、ポジションゲインブロック102を含む位置フィードバック制御手段21、積分ブロック22、および位置フィードフォワード制御ブロック23を追加したものである。なお、これ以外の回路構成要素については図1に示す回路構成要素と同様であるので、同一の回路構成要素には同一符号を付して当該回路構成要素についての詳細な説明は省略する。
本発明の第2の実施例によれば、位置フィードバック制御手段21は、入力した位置指令に制御対象200の実の位置が追従するように制御するための補正前速度指令を作成して出力する。図8では位置フィードバック制御手段21のポジションゲインブロック102のポジションゲインをKpとしている。制御対象200の速度を積分ブロック103にて積分することにより得られた位置と位置指令との偏差にポジションゲインKpが掛けられ、補正前速度指令が作成される。なお、積分ブロック103の伝達関数は「1/s」で表される。
位置フィードフォワード制御ブロック23の伝達関数は、積分ブロック103の伝達関数「1/s」の逆関数である「s」に設定する。すなわち、位置フィードフォワード制御ブロック23は、入力された位置指令を微分する。第1の実施例において説明したように、速度フィードフォワード制御では逆モデル算出手段12により逆モデルを算出してトルク補正値生成手段13によりトルク補正値を生成する。推定される逆モデルが最終的に制御対象200の伝達関数の逆モデルに最適化されると、第1の実施例において説明した速度制御系の伝達関数は「1」となるので、速度指令に対する高い応答性を実現することができる。速度制御系の伝達関数が「1」であるならば、位置フィードフォワード制御ブロック105の伝達関数を積分ゲインブロック103の伝達関数である「1/s」の逆関数「s」に設計すれば、位置制御系についても伝達関数は「1」となるので、位置制御系に対する高い応答性を容易に実現することができる。
なお、上述の第2の実施例においても、第1の実施例の変形と同様、速度指令のゼロクロス近傍に所定の範囲の不感帯範囲を設け、ストライベック効果による影響を低減するようにしてもよい。
本発明は、ロボット、工作機械あるいは産業機械等の機械の駆動源として用いられるモータを指令通りに動作させるためのフィードバック制御と指令に対する応答性を高めるためのフィードフォワード制御とを備えるモータ制御装置に適用することができる。
1 モータ制御装置
11 速度フィードバック制御手段
12 逆モデル算出手段
13 トルク補正値生成手段
14 トルク指令生成手段
21 位置フィードバック制御手段
22 積分ブロック
23 位置フィードフォワード制御ブロック
31 係数修正値算出手段
32 イナーシャ係数推定値算出手段
33 粘性摩擦係数推定値算出手段
34 クーロン摩擦係数推定値算出手段
101 制御器
102 ポジションゲインブロック
200 制御対象

Claims (4)

  1. 制御対象を駆動するモータを制御するモータ制御装置であって、
    入力された速度指令に制御対象の実際速度が追従するよう制御するための補正前トルク指令を作成する速度フィードバック制御手段と、
    前記速度指令と前記補正前トルク指令とを用いて、制御対象が有する伝達関数の逆モデルの係数を算出する逆モデル算出手段と、
    前記速度指令と前記逆モデルの係数とを用いて、トルク補正値を生成するトルク補正値生成手段と、
    前記補正前トルク指令と前記トルク補正値とを用いて、制御対象を駆動するモータに対するトルク指令を生成するトルク指令生成手段と、
    を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記逆モデル算出手段は、
    前記速度指令と、前記補正前トルク指令と、所定の適応係数とを用いて、係数修正値を算出する係数修正値算出手段と、
    前記係数修正値と、イナーシャ係数推定値とを用いて、新たなるイナーシャ係数推定値を算出するイナーシャ係数推定値算出手段と、
    前記係数修正値と、粘性摩擦係数推定値とを用いて、新たなる粘性摩擦係数推定値を算出する粘性摩擦係数推定値算出手段と、
    前記係数修正値と、クーロン摩擦係数推定値とを用いて、新たなるクーロン摩擦係数推定値を算出するクーロン摩擦係数推定値算出手段と、
    を備え、
    前記新たなるイナーシャ係数推定値、前記新たなる粘性摩擦係数推定値および前記新たなるクーロン摩擦係数推定値を用いて、サンプリング期間ごとに前記逆モデルの係数を算出する請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記逆モデル算出手段は、前記速度指令の絶対値が所定の値より小さいとき、当該速度指令が入力されたサンプリング期間よりも前のサンプリング期間において算出された前記逆モデルの係数を維持してこれを前記トルク補正値生成手段へ出力する請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記トルク補正値生成手段は、
    前記速度指令から算出された加速度と、制御対象が有するイナーシャの推定に用いられるイナーシャ係数推定値と、の積と、
    前記速度指令と、当該制御対象が有する粘性摩擦係数の推定に用いられる粘性摩擦係数推定値と、の積と、
    前記速度指令の極性と、当該制御対象が有するクーロン摩擦係数の推定に用いられるクーロン摩擦係数推定値と、の積と、
    を加算することで前記トルク補正値を生成する請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
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