JP2011036061A - モータ制御装置及びモータ制御システム - Google Patents

モータ制御装置及びモータ制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】負荷の慣性モーメントに寄らずにモータの制御における安定性を向上させつつ、モータの騒音・振動を低減することができるモータ制御装置及びモータ制御システム提供すること。
【解決手段】モータ制御装置は、制御入力Urefに応じてモータに電圧指令又は電流指令Irefを印加する電流制御部10と、モータ位置Pfbからモータ速度Vfbを算出する速度演算部6と、位置偏差に基づいて速度指令Vrefを算出する位置制御部4と、モータ速度vfbとトルク指令Trefとに基づいてモータ補正速度vh1及び速度推定値vobsとを算出する速度補償部8と、モータ補正速度と速度指令の速度偏差に基づいてトルク指令Trefを算出する速度制御部5と、モータ補正速度vh1とトルク指令Trefとに基づいて制御入力Urefを算出する外乱補償部7と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば工作機械や半導体製造装置等を駆動するモータ制御装置及びモータ制御システムに関する。
モータ制御装置は、モータに結合された機械の負荷慣性モーメントが未知である場合に外乱オブザーバを用いた外乱抑圧制御することで安定した制御系を構成することが可能である。しかし、負荷慣性モーメントが非常に大きい場合、外乱オブザーバの補償値に時間遅れが生じて安定した制御系を構成できないという技術課題がある。この技術課題を解決するために、従来のモータ制御装置では、位置制御部で生成する速度指令を位相補償制御して、負荷慣性モーメントが非常に大きい場合であっても、安定したモータ制御装置を構成することを可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
図11に、例えば特許文献1に示されるようなモータ制御装置を示す。
図11に示すように、従来のモータ制御装置は、電動機118と、駆動部119と、駆動部119に結合された負荷11Aと、電動機118の位置を検出する位置検出器11Bと、電動機118を、入力されたトルク指令どおりに駆動するための電圧指令を与えるトルク制御部117と、電動機118の速度を算出する速度演算部11Cと、位置指令と位置検出器11Bの出力である電動機118の位置との偏差を入力して速度指令を算出する位置制御部115と、速度指令の特定の周波数帯域の位相を進める位相補償部114と、位相補償部114から出力される速度指令の位相を進めた信号と速度演算部11Cから出力される電動機118の速度との偏差を入力してトルク指令を算出する速度制御部116と、外乱オブザーバを用いて電動機に加わる外乱の影響を低減して電動機118を駆動する時の負荷11Aの影響を除去する慣性変動抑制部113とを有する。そして、この慣性変動抑制部113は、外乱オブザーバ110と、低域通過フィルタ111と、ゲイン112と、を有して、トルク指令に推定外乱トルクを加えて補償して新たなトルク指令を算出してトルク制御部117に与える。
負荷11Aの慣性モーメントが非常に大きい場合に安定した制御系を構成するためには、低域通過フィルタ111のカットオフ周波数を高く設定する必要がある。
しかしながら、一般的なモータ制御装置では、通信遅れや制御入力演算時の遅れなどによる時間遅れ要素があるため、低域通過フィルタ111のカットオフ周波数を高く設定すると、制御系が不安定となり、安定な制御系を構成することができない。そこで、位相補償部114が速度指令の特定の周波数帯域の位相を進めて、この時間遅れを補償することで低域通過フィルタ111のカットオフ周波数を高く設定することができるので、負荷11Aの慣性モーメントが非常に大きい場合であっても、推定外乱トルクが負荷11Aの影響を除去して安定な制御系を構成することができる。
このように、従来のモータ制御装置は、慣性変動抑制部113により負荷11Aの影響を除去して、さらに位相補償部114により速度指令の位相を進めることで負荷11Aの慣性モーメントが非常に大きい場合でも安定した制御系を構成することを実現している。
また、図12に示すように、位相進み補償オブザーバを用いることで、フィードバック制御系の時間遅れを補償するものもある。図12に示す第2の従来のモータ制御装置は、制御対象204の速度ωを制御するために、PI制御部202と、外乱オブザーバ205と、位相進み補償オブザーバ206と、を有する。外乱オブザーバ205は、第1の従来のモータ制御装置で説明したように制御対象204に加わる外乱の影響を低減することができる。即ち、制御対象204がモータに大きな負荷が結合されたような場合であっても安定な制御系を構成することができる。
しかしながら、第1の従来のモータ制御装置と同様、制御対象204の慣性モーメントが非常に大きい場合であっても安定な制御系を構成するためには、第1ローパスフィルタ252のカットオフ周波数を高く設定する必要があるが、時間遅れの影響により、制御系が不安定となり、安定な制御系を構成することができない。 そこで、位相進み補償オブザーバ206を用いて制御対象204のモータ速度ωの位相を進めることで時間遅れによる影響を補償することで、外乱オブザーバ205の第1ローパスフィルタ252のカットオフ周波数を高く設定できる。従って、この第2の従来のモータ制御装置は、制御対象204の慣性モーメントが非常に大きい場合であっても、安定な制御系を構成することができる。
このように、第2の従来のモータ制御装置は、第1の従来のモータ制御装置と同様、外乱オブザーバ205により制御対象204の負荷慣性モーメントの影響を除去して、さらに位相進み補償オブザーバによりモータ速度ωの位相を進めることで制御対象204の負荷慣性モーメントが非常に大きい場合でも安定した制御系を構成することが可能となるのである。
国際公開第2005/093939号(第12−14頁、図1等) 国際公開第2007/138758号(第5−7頁、図1等)
しかしながら、第1の従来のモータ制御装置は、外乱オブザーバ110に入力する速度として、速度演算部11Cで算出したモータの速度を用いている。従って、例えば位置検出器11Bの分解能が低い場合などでは、慣性変動抑制部113で補償する推定外乱トルクのリップル大きくなるため、新たなトルク指令のリップルが大きくなり、モータの騒音・振動が大きくなってしまう。
このような位置検出器11Bの分解能が低い場合に対して、外乱オブザーバ110の出力信号のノイズ成分を除去する低域通過フィルタ111の時定数を大きく設定することで外乱推定値のリップル小さくすることもできる。しかし、このように低域通過フィルタ111のフィルタ定数を大きくすると、前述したように、モータに結合された機械の慣性モーメントが大きい場合に、安定した制御系を構成することが難しい。
また、第2の従来のモータ制御装置も、第1の従来のモータ制御装置と同様に、例えば外乱オブザーバ205に入力するモータ速度ωを算出する際に検出器の量子化誤差が大きい場合などでは、モータの騒音・振動が大きくなってしまう。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、負荷の慣性モーメントに寄らずにモータの制御における安定性を向上させつつ、モータの騒音・振動を低減することが可能な、モータ制御装置及びモータ制御システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、外部から入力する位置指令と位置検出部が検出するモータ位置とに基づいて、負荷を駆動するモータを制御するモータ制御装置であって、
少なくとも上記位置指令に応じて生成される制御入力に基づいて、該制御入力が表すトルクで上記モータが上記負荷を駆動するように上記モータに電圧指令又は電流指令を印加する電流制御部と、
上記位置検出部が検出したモータ位置から、上記モータのモータ速度を算出する速度演算部と、
上記位置検出部が検出したモータ位置と上記位置指令との差である位置偏差に基づいて、該位置偏差が零となるように速度指令を算出する位置制御部と、
上記速度演算部が算出したモータ速度と、上記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、モータ補正速度を算出する速度補償部と、
上記速度補償部が算出したモータ補正速度と、上記位置制御部が算出した速度指令との偏差である速度偏差に基づいて、該速度偏差が零となるように上記トルク指令を算出する速度制御部と、
上記速度演算部が算出した上記モータ速度に応じて上記速度補償部が算出する速度信号と、上記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、上記モータに加わる外力を補償するように上記制御入力を算出して、該制御入力を上記電流制御部に出力する外乱補償部と、
を有し、
上記速度補償部は、
上記速度演算部が算出したモータ速度と、上記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、上記モータ速度の推定値である速度推定値を算出する速度オブザーバと、
上記速度オブザーバが算出した速度推定値に基づいて、上記モータの加速度を補償した上記モータ補正速度を算出する速度補償演算部と、
を有することを特徴とする、モータ制御装置が提供される。
また、上記速度補償部が算出して上記外乱補償部に入力する速度信号は、上記速度補償部の上記速度補償演算部で算出されるモータ補正速度であってもよい。
また、上記速度補償部の上記速度補償演算部は、上記速度オブザーバが算出した速度推定値に基づいて、相異なるゲインで2の上記モータ補正速度を算出し、
上記速度制御部は、一の上記モータ補正速度と、上記位置制御部が算出した速度指令との偏差である速度偏差に基づいて上記トルク指令を算出し、
上記外乱補償部は、他の上記モータ補正速度と、上記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて上記制御入力を算出してもよい。
また、上記速度補償演算部は、上記一のモータ補正速度を、上記他のモータ補正速度よりも大きなゲインで算出してもよい。
また、上記速度補償部が算出して上記外乱補償部に入力する速度信号は、上記速度補償部の上記速度オブザーバで算出される速度推定値であってもよい。
また、上記速度補償演算部は、上記速度推定値と、上記速度推定値を微分した後ゲインを乗じた信号とを加算して、上記モータ補正速度を算出してもよい。
また、上記速度補償演算部は、上記速度推定値と、上記速度推定値をハイパスフィルタでフィルタ処理した後ゲインを乗じた信号とを加算して、上記モータ補正速度を算出してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記モータのモータ位置を検出する位置検出部と、
外部から入力する位置指令と上記位置検出部が検出するモータ位置とに基づいて、上記モータを制御するモータ制御装置と、
を有し、
上記モータ制御装置は、
少なくとも上記位置指令に応じて生成される制御入力に基づいて、該制御入力が表すトルクで上記モータが上記負荷を駆動するように上記モータに電圧指令又は電流指令を印加する電流制御部と、
上記位置検出部が検出したモータ位置から、上記モータのモータ速度を算出する速度演算部と、
上記位置検出部が検出したモータ位置と上記位置指令との差である位置偏差に基づいて、該位置偏差が零となるように速度指令を算出する位置制御部と、
上記速度演算部が算出したモータ速度と、上記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、モータ補正速度を算出する速度補償部と、
上記速度補償部が算出したモータ補正速度と、上記位置制御部が算出した速度指令との偏差である速度偏差に基づいて、該速度偏差が零となるように上記トルク指令を算出する速度制御部と、
上記速度演算部が算出した上記モータ速度に応じて上記速度補償部が算出する速度信号と、上記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、上記モータに加わる外力を補償するように上記制御入力を算出して、該制御入力を上記電流制御部に出力する外乱補償部と、
を有し、
上記速度補償部は、
上記速度演算部が算出したモータ速度と、上記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、上記モータ速度の推定値である速度推定値を算出する速度オブザーバと、
上記速度オブザーバが算出した速度推定値に基づいて、上記モータの加速度を補償した上記モータ補正速度を算出する速度補償演算部と、
を有することを特徴とする、モータ制御システムが提供される。
以上説明したように本発明によれば、負荷の慣性モーメントに寄らずにモータの制御における安定性を向上させつつ、モータの騒音・振動を低減することができる。
本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置及びモータ制御システムを示すブロック図である。 同実施形態における速度補償演算部の一例を示すブロック図である。 同実施形態における速度補償演算部の他の例を示すブロック図である。 同実施形態において、速度補償演算部のゲインKaを適切な値よりも小さな値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 、同実施形態において、速度補償演算部のゲインKaが適切な値よりも小さな値に設定して位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 同実施形態において、速度補償演算部のゲインKaが適切な値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 同実施形態において、速度補償演算部のゲインKaが適切な値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 同実施形態において、速度補償演算部のゲインKaが適切な値よりも大きな値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 同実施形態において、速度補償演算部のゲインKaが適切な値よりも大きな値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 同実施形態に係るモータ制御装置及びモータ制御システムの変更例を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ制御装置及びモータ制御システムを示すブロック図である。 同実施形態における速度補償演算部の一例を示すブロック図である。 同実施形態における速度補償演算部の他の例を示すブロック図である。 本発明の一実施例において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 同実施例において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 比較例1において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 比較例1において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 比較例2において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 比較例2において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 本発明の一実施例において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 同実施例において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 比較例1において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 比較例1において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 比較例2において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 比較例2において、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 本発明の一実施例において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 同実施例において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 比較例1において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 比較例1において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 比較例2において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 比較例2において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントとほぼ同じ値に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 本発明の一実施例において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 同実施例において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 比較例1において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 比較例1において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 比較例2において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Urefの時間変化を表すグラフである。 比較例2において、システムの遅れ時間を比較的長い値に設定し、かつ、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントの30倍に設定して、位置決めシミュレーションを実施した場合の位置偏差の時間変化を表すグラフである。 第1の従来のモータ制御装置を示すブロック図である。 第2の従来のモータ制御装置を示すブロック図である。
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素は、原則として同一の符号で表し、これらの構成要素についての重複説明は、適宜省略するものとする。
<1.第1実施形態>
(1−1.第1実施形態に係るモータ制御装置の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置及びモータ制御システムを示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係るモータ制御システムは、モータ制御装置と、モータ1と、位置検出部(位置検出器の一例)3とを有する。そして、モータ制御装置は、外部の制御装置(例えば位置指令出力装置など)から出力された位置指令Prefを取得して、その位置指令Prefにモータ位置が追従するようにモータ1を駆動する。その結果、モータ1のモータ軸に結合された負荷の一例である機械部2が駆動される。一方、位置検出部3は、モータ1の位置Pfbを検出して、モータ制御部にフィードバックし、モータ制御部は、この位置Pfbと位置指令Prefとの偏差が小さくなるようにモータ1を制御することになる。なお、本発明の各実施形態等では、モータ1として回転型モータを例に挙げて説明するが、モータ1は、例えばリニアモータであっても良い。
図1に示すように、モータ制御部は、モータ1を上述のように制御するために、位置制御部4と、速度制御部5と、速度演算部6と、電流制御部10と、外乱補償部7と、速度補償部8とを有する。
位置制御部4は、位置指令Prefとモータ位置Pfbとの位置偏差を取得し、その位置偏差が零となるように速度指令Vrefを算出する。
速度制御部5は、位置制御部4が算出した速度指令Vrefと、速度補償部8が出力するモータ補正速度vh1との速度偏差を取得し、その速度偏差が零となるようにトルク指令Trefを算出する。
外乱補償部7は、速度オブザーバ80が算出する速度推定値vobsと速度演算部5が算出するトルク指令Trefとを取得して、モータ1に加わる外力を補償するように制御入力Urefを算出する。なお、この制御入力Urefは、位置指令Prefが、位置制御部4、速度制御部5及び外乱補償部7で順次処理された信号となり、換言すれば、この制御入力Urefは、位置指令Prefに応じて生成されることとなる。
電流制御部10は、外乱補償部7により算出された制御入力Urefを取得する。そして、電流制御部10は、その制御入力Urefが表すトルクでモータ1が機械部2を駆動するように、つまり、モータ1の出力トルクがその制御入力Urefに一致するように、電圧又は電流指令Irefを算出してモータ1に与える。
速度演算部6は、位置検出部3が検出したモータ位置Pfbからモータ速度Vfbを算出する。
速度補償部8は、速度演算部6が算出したモータ速度Vfbと、速度制御部5が算出するトルク指令Trefとに基づいて、少なくとも速度制御部5で使用されるモータ補正速度vh1を算出する。そのために、速度補償部8は、速度オブザーバ80と速度補償演算部90とを有する。
速度オブザーバ80は、トルク指令Trefとモータ速度Vfbとから、モータ1の速度の推定値である速度推定値vobsを算出する。そして、速度補償演算部90は、速度推定値vobsに基づいて、微分制御又はフィルタリング処理を加えることで、加速度補償した信号であるモータ補正速度vh1を算出する。結果、この速度補償部8は、速度オブザーバ80で算出した速度推定値vobsと、速度推定値vobsに対して速度補償演算部90にて加速度補償された信号であるモータ補正速度vh1とを出力する。なお、この速度オブザーバ80が求める速度推定値vobsは、モータ速度Vfbと比較して位置検出部3の分解能の影響で発生する量子化誤差によるリップルが小さいモータ1の速度を算出することができる。一方、速度補償演算部90が求めるモータ補正速度vh1は、速度推定値vobsに対して位相進み補償した速度となる。
従って、速度補償部8は、速度制御部5が算出するトルク指令Trefと、速度演算部6が算出するモータ速度Vfbとを取得して、位置検出部3の分解能の影響で発生する量子化誤差によるモータ速度Vfbのリップル成分を除去した速度推定値vobsと、速度推定値vobsの速度を補正した信号であるモータ補正速度vh1を算出する。上述の通り、速度推定値vobsは外乱補償部7に入力され、モータ補正速度vh1と速度指令Vrefとの偏差が、速度制御部5に入力される。
外乱補償部7は、外乱オブザーバ70を有する。
外乱オブザーバ70は、速度推定値vobsと電流制御部10に入力する制御入力Urefとから、外乱推定値Drefを算出する。そして、外乱補償部7は、トルク指令Trefから外乱推定値Drefを減じた信号を新たな制御入力Urefとして、電流制御部10に出力する。その結果、外乱補償部7は、外力、即ち機械部2を駆動するためのトルクを補償することができる。
このように本実施形態に係るモータ制御装置では、速度補償部8が速度オブザーバ80と速度補償演算部90とを有して、速度オブザーバ80で算出した速度推定値vobsに対して加速度補償した信号であるモータ補正速度vh1を、速度制御部5に入力する速度偏差を算出するための速度入力として使用し、速度推定値vobsを、外乱オブザーバ70の速度入力として使用する。
(1−2.第1実施形態に係るモータ制御装置の動作)
次に、本発明の第1実施形態の動作について説明する。
位置制御部4は、位置指令Prefと位置検出部3から出力されるモータ位置Pfbとの位置偏差が零となるように、速度指令Vrefを算出する。具体的には、位置制御部4は、例えば比例制御(P制御)又は比例積分制御(PI制御)などで構成される。
速度制御部5は、位置制御部4で算出された速度指令Vrefと速度補償部8で算出されたモータ補正速度vh1との速度偏差が零となるように、トルク指令Trefを算出する。具体的には、速度制御部5も、例えば比例制御(P制御)又は比例積分制御(PI制御)などで構成される。
外乱補償部7は、速度制御部5で算出されたトルク指令Trefと速度補償部8で算出された速度推定値vobsとを取得する。そして、外乱補償部7は、外乱オブザーバ70にて制御入力Urefと速度推定値vobsとから算出される外乱推定値Drefを、トルク指令Trefから減じて、新たな制御入力Urefを算出する。なお、外乱オブザーバ70としては、トルク指令Trefと速度推定値vobsとから外乱推定値Drefを算出可能な様々な外乱オブザーバ70を使用することが可能である。従って、外乱を推定する一般的なオブザーバでよいが、例えば式(1)を用いて外乱推定値Drefを算出することができる。
Dref=LPF(Jm・s・vobs−Uref) ・・・(1)
ただし、sは、ラプラス演算子、Jmは、モータ1の慣性モーメントである。LPFは、ローパスフィルタであり、信号のノイズ成分を除去するために設定されているものである。LPFのカットオフ周波数を大きくすればするほど慣性モーメントが未知である機械部2の慣性モーメントが大きい場合であっても制御系を安定に動作させることができる。なお、LPFのカットオフ周波数が大きすぎる場合、外乱推定値Drefの時間遅れが生じて制御系が不安定になるが、本実施形態に係るモータ制御装置では、速度補償部8が速度オブザーバ80等を有することにより、この時間遅れの影響を補償して制御系を安定化することが可能である。
電流制御部10は、モータ1の出力トルクが制御入力Urefと一致するように、電圧指令又は電流指令Irefを算出してモータ1に与える。その結果、モータ1およびモータ1に結合された機械部2が動作する。
位置検出部3は、モータ1の位置Pfbを検出して位置制御部4および速度演算部6に与える。
速度演算部6は、モータ位置Pfbを微分演算してモータ速度Vfbを算出する。具体的には式(2)を用いてモータ速度Vfbを算出する。
Vfb=s・Pfb ・・・(2)
ただし、式(2)中で、sは、ラプラス演算子である。
(1−2−1.第1実施形態に係る速度補償部の動作)
次に速度補償部8の詳細な動作について説明する。
速度補償部8は、速度オブザーバ80と速度補償演算部90とを有する。
速度オブザーバ80は、速度制御部5が算出するトルク指令Trefと速度演算部6が算出するモータ速度Vfbとから、速度推定値vobsを算出する。速度オブザーバ80は、状態量として速度推定値vobsを持つ一般的なオブザーバでよい。従って、例えば式(3)を用いて算出することができる。
vobs=s・Tref/Jm(s+w)2
+(2・s・w+w2)・Vfb/(s+w)2 ・・・(3)
ただし、式(3)中で、Jmは、モータ1の慣性モーメント、wは、オブザーバゲイン、sは、ラプラス演算子である。
オブザーバゲインwは、小さいほど速度推定値vobsが滑らかになるが応答性が落ち、システム全体の遅れが大きくなるので不安定になりやすくなる。具体的には、速度制御部5の応答周波数をKvとした場合、オブザーバゲインwをKvの約1〜2倍程度に設定することで、位置検出部3の検出分解能が低い場合であっても、速度演算部6で算出したモータ速度Vfbよりも、速度推定値vobsを滑らかな信号とすることができる。また、オブザーバゲインwは、大きすぎると速度推定値vobsのリップル成分が大きくなり、モータ1の騒音・振動の原因となる。また、位置検出部3の検出分解能が十分高い場合は、モータ速度Vfbが滑らかであるので、オブザーバゲインwをできるだけ高い値に設定するか、又は、速度演算部6で算出されるモータ速度vfbをそのまま速度推定値vobsとして使用することが望ましい。
速度補償演算部90は、速度推定値vobsを取得して、速度推定値vobsと、速度推定値vobsを微分演算してさらにゲインを乗じた信号とを加算して、加速度補償したモータ補正速度vh1を算出する。
ここで、図2A及び図2Bを参照しつつ、速度補償演算部90の具体的な構成例について説明する。図2Aは、本実施形態における速度補償演算部90の一例を示すブロック図である。図2Bは、本実施形態における速度補償演算部90の他の例を示すブロック図である。
図2Aに示すように、速度補償演算部90の一例は、速度推定値vobsを微分する微分器91と、その微分した値をKa倍する増幅器93と、増幅器93の出力と速度推定値vobsとを加算してモータ補正速度vh1を出力する加算器とを有する。即ち、この例に係る速度補償演算部90は、式(4)を用いてモータ補正速度vh1を算出することができる。
vh1=(1+Ka・s)・vobs ・・・(4)
ただし、sは、ラプラス演算子、Kaは、ゲインである。
ゲインKaは、システムの状態(システムの遅れ時間や位置制御部4及び速度制御部5における制御パラメータなど)によって最適な値に調整されることが望ましい。これは、ゲインKaを大きくすると、機械部2の慣性モーメントが大きい場合でも安定した応答が得られるモータ制御装置を構成することができるが、オーバシュートが大きくなる一方、ゲインKaを小さくすると、機械部2の慣性モーメントの影響により必要な補償量が小さくなるためにシステムが不安定になるためである。
ここで、ゲインKaを変化させた場合におけるモータ制御装置の動作について、図3A〜図3Gに示すシミュレーション結果を参照しつつ説明する。図3A及び図3Bは、速度補償演算部のゲインKaが適切な値よりも小さい場合のモータ制御装置の動作、図3C及び図3Dは、速度補償演算部のゲインKaが適切な値に設定された場合のモータ制御装置の動作、図3E及び図3Fは、速度補償演算部のゲインKaが適切な値よりも大きい場合のモータ制御装置の動作を示している。また、図3A,図3C及び図3Eは、それぞれ各ゲインKaにおいて位置決めシミュレーションを実施した場合の制御入力Uref[Nm]の時間変化([s])を表すグラフである。一方、図3B,図3D及び図3Fは、それぞれ各ゲインKaにおいて位置決めシミュレーションを実施した場合の、位置指令Prefとモータ位置Pfbとの差である位置偏差(Pref−Pfb[mrad])の時間変化([s])を表すグラフである。
図3A及び図3Bに示すように、Kaが適切な値よりも小さすぎる場合には、制御入力Uref及び位置偏差(Pref−Pfb)が発振して、システムが不安定になっていることが確認できる。また、図3E及び図3Fに示すように、Kaが適切な値よりも大きい場合には、位置偏差(Pref−Pfb)がオーバシュートしていることが確認できる。これらに対して、図3C及び図3Dに示すように、Kaが適切な値に設定されている場合には、このような不安定な動作やオーバシュートが発生することを防ぐことが可能であることが確認できる。そこで、速度補償演算部90のゲインKaは、図3C及び図3Dに示すような不安定な動作やオーバシュートが発生しない範囲内で予め設定することが望ましい。
また、速度補償演算部90は、別の構成でもモータ補正速度vh1を算出することが可能である。この例について、上記図2Bを参照しつつ説明する。
図2Bに示すように、この例に係る速度補償演算部90は、図2Aにおける速度推定値vobsを微分する微分器91の代わりに、速度推定値vobsを入力とするハイパスフィルタ92を有する。即ち、この例に係る速度補償演算部90は、式(4)で示した微分演算をハイパスフィルタ処理に変更した構成により、式(5)を用いてモータ補正速度vh1を算出することができる。
vh1=(1+Ka・HPF)・vobs ・・・(5)
ただし、Kaは、ゲインであり、式(4)で示したものと同様に設定される。
つまり、ゲインKaを大きくすると、機械部2の慣性モーメントが大きい場合でも安定した応答が得られるモータ制御装置を構成することができるが、オーバシュートが大きくなる。また、ゲインKaを小さくすると、機械部2の慣性モーメントの影響により必要な補償量が小さくなるためにシステムが不安定になる。従って、ゲインKaは、このような不安定な動作やオーバシュートが生じない範囲内で、予めシミュレーション等により決定されて設定されることが望ましい。また、HPFは、ハイパスフィルタである。そして、ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、速度推定値vobsの低周波数帯域の信号を除去するためのものであり、例えばKvの4倍〜10倍程度で設定することが望ましい。
(1−3.第1実施形態に係るモータ制御装置の効果の例)
このように、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、外乱オブザーバ70で使用する速度入力として、速度補償部8が算出して外乱補償部7に入力する速度信号の一例である速度推定値vobsを使用している。その結果、このモータ制御装置は、例えば位置検出部3の分解能が所望の分解能よりも低い場合等であっても、外乱オブザーバ70が算出する外乱推定値Drefのリップルを抑えることができる。従って、このモータ制御装置は、モータ1の騒音・振動を低減でき、かつ、モータ1を安定的に制御することが可能である。
さらに速度制御部5で使用する速度入力として、速度補償演算部90がモータ1の加速度を補償するように算出したモータ補正速度vh1を使用することにより、遅れ補償することができる。従って、外乱オブザーバ70におけるローパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することが可能となり、例えば、機械部2の慣性モーメントが予想よりも大きい場合などであっても、負荷の慣性モーメントに寄らずに、安定した制御系を構成することができる。
さらにまた、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、外乱オブザーバ70の速度入力(速度補償部8が算出して外乱補償部7に入力する速度信号の一例)として、速度推定値vobsを使用して、速度制御部5で速度指令Vrefとの偏差をとる速度入力として、モータ補正速度vh1を使用する。よって、位置検出器3の分解能に寄らずに、モータ1の騒音・振動低減等の上記効果を発揮することが可能である。従って、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、上述の通り、機械部2の慣性モーメントが非常に大きい場合であって、モータ1の騒音・振動低減等の上記効果を発揮することができるため、例えば機械部2の慣性モーメントが未知の場合であったとしても、その慣性モーメントに寄らずに安定した制御系を構成することができる。
(1−4.第1実施形態に係るモータ制御装置の変更例)
なお、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、図4に示すように、外乱オブザーバ70の速度入力として速度推定値vobsの代わりに、モータ補正速度vh1(速度補償部8が算出して外乱補償部7に入力する速度信号の他の例)を使用することも可能である。即ち、速度オブザーバ80で算出する速度推定値vobsと、その速度推定値vobsを微分演算した加速度信号にKaを乗じた信号とを加算した信号(モータ補正速度vh1)を外乱オブザーバ70の速度入力として使用することで遅れ補償をすることができる。従って、この変更例の場合も、上記第1実施形態と同様に、外乱オブザーバ70におけるローパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することができるので、機械部2の慣性モーメントが非常に大きい場合であっても安定した制御系を構成することができるのである。なお、この変更例でも、上記第1実施形態が奏することが可能な他の作用効果を奏することができることは言うまでもない。
<2.第2実施形態>
(2−1.第2実施形態に係るモータ制御装置の構成)
次に、図5等を参照して、本発明の第2実施形態に係るモータ制御装置について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係るモータ制御装置及びモータ制御システムを示すブロック図である。
図5に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置は、第1実施形態に係るモータ制御装置の速度補償部8が有する速度補償演算部90の代わりに、速度補償演算部90’を有する。そして、この速度補償演算部90’を有することにより、速度補償部8は、トルク指令Trefとモータ速度Vfbとを取得して、第1実施形態におけるモータ補正速度vh1の代わりに、モータ速度Vfbの速度を補正した信号である第1モータ補正速度vh1および第2モータ補正速度vh2とを算出する(一のモータ補正速度及び他のモータ補正速度の一例)。その他の構成、入出力関係及び動作等については、第1実施形態と同様であるため、ここでの詳しい説明は適宜省略し、以下では、速度補償演算部90’を中心に説明する。
より具体的に説明すると、本実施形態に係る速度補償演算部90’は、図5に示すように、第1実施形態に係る速度補償演算部90と同様に、速度オブザーバ80から速度推定値vobsを取得する。そして、速度補償演算部90’は、この速度推定値vobsから、第1モータ補正速度vh1と第2モータ補正速度vh2とを算出して、第1モータ補正速度vh1を速度制御部5に与え、第2モータ補正速度vh2を外乱補償部7に与える。
従って、速度制御部5は、速度指令Vrefと第1モータ補正速度vh1との速度偏差を取得して、前記速度偏差が零となるようにトルク指令Trefを算出する一方、外乱補償部7は、第2モータ補正速度vh2と電流制御部10に与える制御入力Urefから外乱推定値Drefを算出して、新たな制御入力Urefを算出する。
一方、速度補償部8は、速度オブザーバ80と上記速度補償演算部90’とを有する。
速度オブザーバ80は、第1実施形態と同様に、トルク指令Trefとモータ速度Vfbとから、モータ1の速度の推定値である速度推定値vobsを算出する。そして、速度補償演算部90’は、第1実施形態と異なり、速度推定値vobsに基づいて、微分制御を加えることで加速度補償した信号である第1モータ補正速度vh1と第2モータ補正速度vh2とを算出する。結果、この速度補償部8は、速度推定値vobsに対して速度補償演算部90’にて加速度補償された信号である第1モータ補正速度vh1と第2モータ補正速度vh2とを出力する。なお、第1実施形態と同様に、この速度オブザーバ80が求める速度推定値vobsは、モータ速度Vfbと比較して位置検出部3の分解能の影響で発生する量子化誤差によるリップルが小さいモータ1の速度を表す。一方、速度補償演算部90’が求める第1モータ補正速度vh1と第2モータ補正速度vh2も、速度推定値vobsに対して位相進み補償した速度となる。
従って、速度補償部8は、速度制御部5が算出するトルク指令Trefと、速度演算部6が算出するモータ速度Vfbとを取得して、速度推定値vobsの速度を補正した信号である第1モータ補正速度vh1及び第2モータ補正速度vh2とを算出する。上述の通り、第2モータ補正速度vh2は外乱補償部7に入力され、第1モータ補正速度vh1と速度指令Vrefとの偏差が、速度制御部5に入力される。
(2−2.第2実施形態に係るモータ制御装置の動作)
本発明の第2実施形態に係るモータ制御装置は、速度補償演算部90’の構成及び動作と、外乱補償部7の速度入力の信号と、が第1実施形態に掛かるモータ制御装置と異なるのみであるので、外乱補償部7の動作及び、速度補償演算部90’について詳細に記載する。
外乱補償部7は、速度制御部5で算出されたトルク指令Trefと速度補償部8で算出されたモータ補正速度vh2とを取得して、外乱オブザーバ70にて制御入力Urefとモータ補正速度vh2とから算出される外乱推定値Drefをトルク指令Trefから減じて、新たな制御入力Urefを算出する。なお、外乱オブザーバ70としては、トルク指令Trefとモータ補正速度vh2とから外乱推定値Drefを算出可能な様々な外乱オブザーバ70を使用することが可能である。従って、外乱を推定する一般的なオブザーバでよいが、例えば式(6)を用いて外乱推定値Drefを算出することができる。
Dref=LPF(Jm・s・vh2−Uref) ・・・(6)
ただし、sは、ラプラス演算子、Jmは、モータ1の慣性モーメントである。LPFは、ローパスフィルタであり、信号のノイズ成分を除去するために設定されているものである。LPFのカットオフ周波数を大きくすればするほど慣性モーメントが未知である機械部2の慣性モーメントが大きい場合であっても制御系を安定に動作させることができる。なお、LPFのカットオフ周波数が大きすぎる場合、大きすぎると外乱推定値Drefの時間遅れが生じるが、本実施形態に係るモータ制御装置では、速度補償部8が速度オブザーバ80等を有することにより、この時間遅れの影響を低減して制御系を安定化することが可能である。
(2−2−1.第2実施形態に係る速度補償部の動作)
次に本実施形態に係る速度補償部8が有する速度補償演算部90’の詳細な動作について説明する。
速度補償演算部90’は、速度推定値vobsを取得して、速度推定値vobsと、その速度推定値vobsを微分演算してさらにゲインを乗じた信号とを加算して、加速度補償した第1モータ補正速度vh1及び第2モータ補正速度vh2とを算出する。
ここで、この速度補償演算部90’動作とあわせて具体的な構成例について、図6A及び図6Bを参照しつつ説明する。図6Aは、本実施形態における速度補償演算部の一例を示すブロック図である。図6Bは、本実施形態における速度補償演算部の他の例を示すブロック図である。
図6Aに示すように、この例に係る速度補償演算部90’は、速度推定値vobsを微分する微分器91と、その微分した値をKa1倍する増幅器94と、増幅器94の出力と速度推定値vobsとを加算して第1モータ補正速度vh1を出力する加算器と、上記微分器91で微分した値をKa2倍する増幅器95と、増幅器95の出力と速度推定値vobsとを加算して第2モータ補正速度vh2を出力する加算器と、を有する。即ち、この例に係る速度補償演算部90は、式(7)及び式(8)を用いて第1モータ補正速度vh1及び第2モータ補正速度vh2を算出することができる。
vh1=(1+Ka1・s)・vobs ・・・(7)
vh2=(1+Ka2・s)・vobs ・・・(8)
ただし、sは、ラプラス演算子、Ka1、Ka2は、ゲインである。
ゲインKa1は、第1実施形態のゲインKaと同様に、システムの状態(システムの遅れ時間や位置制御部4及び速度制御部5における制御パラメータなど)によって最適に調整されることが望ましい。これは、ゲインKa1を大きくすると、機械部2の慣性モーメントが大きい場合でも安定した応答が得られるモータ制御装置を構成することができるが、オーバシュートが大きくなり、ゲインKa1を小さくすると、機械部2の慣性モーメントの影響により必要な補償量が小さくなるためにシステムが不安定になるためである。また、システムの遅れ時間が長い場合にはKa1を設定するだけでは安定した応答が得られるモータ制御装置を構成することができない場合がある。この場合、ゲインKa2を適切な値に設定することで、安定した応答が得られるモータ制御装置を構成することができる。従って、ゲインKa2は、ゲインKa1よりも小さい値を設定することが望ましい。更に、システムの遅れ時間が極めて短い場合は、Ka2=0としてもよい。この場合、第1の実施形態と同じ構成となる。
従って、ゲインKa1及びゲインKa2の最適な調整方法としては様々な調整方法を使用することが可能である。その一例として、まず、ゲインKa1,Ka2を適切な初期値に設定しておいて、システムの遅れ時間に応じてKa2を設定する。つまり、システムの遅れ時間が長いほどKa2の値を大きくする。また、システムの遅れ時間が極めて短い場合は、Ka2=0を設定しても良い。次に必要な応答性に応じてKa1を設定する。ゲインKa1を大きくすると、機械部2の慣性モーメントが大きい場合でも安定した応答が得られるモータ制御装置を構成することができるが、オーバシュートが大きくなる。また、ゲインKa1を小さくすると、機械部2の慣性モーメントの影響により必要な補償量が小さくなるためにシステムが不安定になる。なお、ゲインKa1が大きすぎる場合と小さすぎる場合とにおける制御入力Uref[Nm]の時間変化([s])及び位置指令Prefとモータ位置Pfbとの差である位置偏差(Pref−Pfb[mrad])の時間変化([s])については、基本的に第1実施形態で図3A〜図3Fに示したシミュレーション結果と同様になる。従って、ゲインKa1は、システムが不安定となったり、オーバシュートが発生しない範囲内で適切に設定されることが望ましい。
また、速度補償演算部90’は、別の構成でも第1モータ補正速度vh1及び第2モータ補正速度vh2を算出することが可能である。この例について、上記図6Bを参照しつつ説明する。
図6Bに示すように、この例に係る速度補償演算部90’は、図6Aにおける速度推定値vobsを微分する微分器91の代わりに、速度推定値vobsを入力とするハイパスフィルタ92を有する。即ち、この例に係る速度補償演算部90は、式(9)及び式(10)を用いて第1モータ補正速度vh1及び第2モータ補正速度vh2を算出することができる。
vh1=(1+Ka1・HPF)・vobs ・・・(9)
vh2=(1+Ka2・HPF)・vobs ・・・(10)
ただし、Ka1、Ka2は、ゲインであり、式(7)又は式(8)で示したものと同様である。つまり、ゲインKa1を大きくすると、機械部2の慣性モーメントが大きい場合でも安定した応答が得られるモータ制御装置を構成することができるが、オーバシュートが大きくなる。ゲインKa1を小さくすると、機械部2の慣性モーメントの影響により必要な補償量が小さくなるためにシステムが不安定になる。従って、ゲインKa1は、このような不安定な動作やオーバシュートが生じない範囲内で、予めシミュレーション等により決定されて設定されることが望ましい。
また、ゲインKa2を大きくするとゲインKa1の場合と同様、安定した応答が得られるモータ制御装置を構成することができるが、外乱オブザーバ70に入力する速度入力信号のリップルが大きくなるので、制御入力Urefのリップルが大きくなり、モータ1の騒音・振動が大きくなる。ゲインKa2を小さくするとモータ1の騒音・振動を小さくすることができるが、システムの遅れ時間が大きい場合に外乱オブザーバ70におけるローパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定できなくなるので、システムが不安定になる場合がある。ただし、システムの遅れ時間が極めて短い場合、Ka2=0としてもよい。この場合、第1の実施形態と同じ構成となる。また、HPFは、ハイパスフィルタであり、ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、速度推定値vobsの低周波数帯域の信号を除去するためのものであり、例えばKvの4倍〜10倍程度で設定すればよい。
(2−3.第2実施形態に係るモータ制御装置の効果の例)
このように、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、外乱オブザーバ70で使用する速度入力として、速度オブザーバ80で算出する速度推定値vobsと、その速度推定値vobsを微分演算した加速度信号にゲインKa2を乗じた信号とを加算した信号(第2モータ補正速度vh2)を使用している。従って、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、外乱オブザーバ70が算出する外乱推定値Drefのリップルを抑えることができ、さらにシステムの遅れ時間の影響を補償することができるので、モータ1の騒音・振動を低減できる。
さらに速度制御部5で使用する速度入力としても、速度オブザーバ80で算出する速度推定値vobsと、その速度推定値vobsを微分演算した加速度信号にゲインKa1を乗じた信号とを加算した信号(第1モータ補正速度vh1)を使用している。従って、外乱オブザーバ70におけるローパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定できるので、機械部2の慣性モーメントが非常に大きい場合であっても安定した制御系を構成することができるのである。
さらにまた、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、外乱オブザーバ70の速度入力や速度制御部5で速度指令Vrefとの偏差をとる速度入力として、第2モータ補正速度vh2や第1モータ補正速度vh1を使用するので、位置検出器3の分解能に寄らずに、モータ1の騒音・振動低減等の上記効果を発揮することが可能である。従って、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、上述の通り、機械部2の慣性モーメントが非常に大きい場合であっても、モータ1の騒音・振動低減等の上記効果を発揮することができるため、例えば機械部2の慣性モーメントが未知の場合であったとしても、その慣性モーメントに寄らずに安定した制御系を構成することができる。
この際、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、速度制御部5に入力する信号としては第1モータ補正速度vh1を使用する一方、外乱オブザーバ70に入力する信号としては、その第1モータ補正速度vh1を算出するために設定するゲインKa1とは異なるゲインKa2を設定して算出する第2モータ補正速度vh2を使用することができる。その結果、第1モータ補正速度vh1だけではシステムの遅れ時間の影響を補償することができないような時間遅れの大きいモータ制御システムのように、機械2の慣性モーメントが大きい場合であっても、制御入力Urefのリップルが小さくかつ安定した応答を得ることができる。
更に、この際、第2モータ補正速度vh2のゲインKa2を、第1モータ補正速度vh1のゲインKa1よりも小さく設定することにより、機械2の慣性モーメントが大きい場合における制御入力Urefのリップル低減及び安定した応答性能を更に向上させることが可能である。
<3.各実施形態に係るモータ制御装置によるシミュレーション結果>
ここで、本発明の各実施形態に係るモータ制御装置及びモータ制御システムの作用効果をより明確にするために、負荷の一例である機械部2の慣性モーメント(負荷慣性モーメント)を変化させた場合のシミュレーション結果について説明する。なお、本発明の各実施形態に係るモータ制御装置の実施例として、ここでは図1で説明した上記第1実施形態に係るモータ制御装置等を使用した。ただし、上述の通り、この実施例で説明する作用効果については、上記第1実施形態の変更例、第2実施形態及びその変更例に係るモータ制御装置等のいずれもが奏することが可能であることは言うまでもない。また、この本実施例の作用効果が明確になるように、比較例として、特許文献1で説明した上記の第1の従来技術に係るモータ制御装置(比較例1)と、特許文献2で説明した上記の第2の従来技術に係るモータ制御装置(比較例2)とを使用した。なお、シミュレーションの結果としては、上記ゲインKaの設定例のところで示した図3A〜図3Fと同様に、各負荷慣性モーメントにおける実施例、比較例1及び比較例2それぞれについて、制御入力Uref[Nm](その相当値を含む。)の時間変化([s])と、位置指令Prefとモータ位置Pfbとの差である位置偏差(Pref−Pfb[mrad])(その相当値を含む。)の時間変化([s])とを、算出した。
ただし、このシミュレーションを行うにあたり、制御ゲインは、ナイキスト周波数に対して十分に小さい値(1/400程度)に設定した。そして、入力位置指令Prefとして、一般的なサーボモータで要求される程度の加減速時間(100ms)及び最高速度(1000rpm)となるような速度指令パターンの位置指令Prefを入力した。
(3−1.第1のシミュレーション結果)
図7A〜図7Fに、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントJmとほぼ同程度の値に設定した場合のシミュレーション結果を示す。なお、図7A及び図7Bは、本実施例に係るシミュレーション結果、図7C及び図7Dは、比較例1に係るシミュレーション結果、図7E及び図7Fは、比較例2に係るシミュレーション結果をそれぞれ示す。そして、図7A,図7C及び図7Eは、各例における制御入力Urefの時間変化を示し、図7B,図7D及び図7Fは、各例における位置偏差の時間変化を示す。
図7B,図7D及び図7Fに示すように、位置偏差のシミュレーション波形を比較すると、比較例1に係るモータ制御装置を用いた場合、比較例2に係るモータ制御装置を用いた場合、及び、本実施例に係るモータ制御装置を用いた場合、全ての条件で安定に動作していることが判る。
しかしながら、図7A,図7C及び図7Eに示すように、制御入力Urefのシミュレーション波形を比較すると、本実施例に係るモータ制御装置を用いた場合は、比較例1に係るモータ制御装置を用いた場合及び比較例2に係るモータ制御装置を用いた場合に比べて、リップルが小さいことが判る。すなわち、本発明の各実施形態に係るモータ制御装置は、負荷慣性モーメントがモータ慣性モーメントと同程度である場合、モータ1の騒音・振動を低減することが可能であることが見て取れる。
(3−2.第2のシミュレーション結果)
図8A〜図8Fに、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントJmの30倍の値に設定した場合のシミュレーション結果を示す。なお、図8A及び図8Bは、本実施例に係るシミュレーション結果、図8C及び図8Dは、比較例1に係るシミュレーション結果、図8E及び図8Fは、比較例2に係るシミュレーション結果をそれぞれ示す。そして、図8A,図8C及び図8Eは、各例における制御入力Urefの時間変化を示し、図8B,図8D及び図8Fは、各例における位置偏差の時間変化を示す。この第2のシミュレーション結果からは、第1のシミュレーション結果とほぼ同様なことが言える。より詳しく説明すれば以下の通りである。
つまり、図8B,図8D及び図8Fに示すように、位置偏差のシミュレーション波形を比較すると、比較例1に係るモータ制御装置を用いた場合、比較例2に係るモータ制御装置を用いた場合、及び、本実施例に係るモータ制御装置を用いた場合、全ての条件で安定に動作していることが判る。
しかしながら、図8A,図8C及び図8Eに示すように、制御入力Urefのシミュレーション波形を比較すると、本実施例に係るモータ制御装置を用いた場合は、比較例1に係るモータ制御装置を用いた場合及び比較例2に係るモータ制御装置を用いた場合に比べて、リップルが小さいことが判る。すなわち、本発明の各実施形態に係るモータ制御装置は、負荷慣性モーメントがモータ慣性モーメントに比べて大きな値(30倍)になった場合であっても、モータ1の騒音・振動を低減することが可能であることが見て取れる。
次に、図7A〜図8Fに示した第1及び第2のシミュレーション条件と比較して、制御器の遅れ時間(例えば制御演算遅れや検出器の通信遅れなどに対応)を大きな値に設定した場合における同様のシミュレーション結果について、第3及び第4のシミュレーション結果として説明する。なお、この第3及び第4のシミュレーション結果では、制御器の遅れ時間を大きな値に設定されること、つまり、検出器の通信遅れ時間が第1及び第2のシミュレーション条件よりも長く設定されること以外、上記第1及び第2のシミュレーションと同様の条件を使用した。
(3−3.第3のシミュレーション結果)
図9A〜図9Fに、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントJmとほぼ同程度の値に設定した場合のシミュレーション結果を示す。なお、図9A及び図9Bは、本実施例に係るシミュレーション結果、図9C及び図9Dは、比較例1に係るシミュレーション結果、図9E及び図9Fは、比較例2に係るシミュレーション結果をそれぞれ示す。そして、図9A,図9C及び図9Eは、各例における制御入力Urefの時間変化を示し、図9B,図9D及び図9Fは、各例における位置偏差の時間変化を示す。
図9B,図9D及び図9Fに示すように、位置偏差のシミュレーション波形を比較すると、比較例1に係るモータ制御装置を用いた場合には、位置偏差が発振してしまい動作が不安定である一方、本実施例に係るモータ制御装置では、このような場合であっても、安定した動作が可能であることが判る。
そして、図9A,図9C及び図9Eに示すように、制御入力Urefのシミュレーション波形を比較すると、本実施例に係るモータ制御装置を用いた場合は、比較例1及び比較例2に係るモータ制御装置を用いた場合に比べて、リップルを大幅に低減できることが判る。すなわち、制御器の遅れ時間が大きな値に設定されたとしても、本発明の各実施形態に係るモータ制御装置は、負荷慣性モーメントがモータ慣性モーメントと同程度である場合に、安定した動作が可能なだけでなく、モータ1の騒音・振動を低減することが可能であることが見て取れる。
(3−4.第4のシミュレーション結果)
図10A〜図10Fに、負荷慣性モーメントをモータ慣性モーメントJm30倍の値に設定した場合のシミュレーション結果を示す。なお、図10A及び図10Bは、本実施例に係るシミュレーション結果、図10C及び図10Dは、比較例1に係るシミュレーション結果、図10E及び図10Fは、比較例2に係るシミュレーション結果をそれぞれ示す。そして、図10A,図10C及び図10Eは、各例における制御入力Urefの時間変化を示し、図10B,図10D及び図10Fは、各例における位置偏差の時間変化を示す。この第4のシミュレーション結果からは、第3のシミュレーション結果とほぼ同様なことが言える。より詳しく説明すれば以下の通りである。
図10B,図10D及び図10Fに示すように、位置偏差のシミュレーション波形を比較すると、比較例1に係るモータ制御装置を用いた場合には、位置偏差が発振してしまい動作が不安定である一方、本実施例に係るモータ制御装置では、このような場合であっても、安定した動作が可能であることが判る。
そして、図10A,図10C及び図10Eに示すように、制御入力Urefのシミュレーション波形を比較すると、本実施例に係るモータ制御装置を用いた場合は、比較例1及び比較例2に係るモータ制御装置を用いた場合に比べて、リップルを大幅に低減できることが判る。すなわち、制御器の遅れ時間が大きな値に設定されたとしても、本発明の各実施形態に係るモータ制御装置は、負荷慣性モーメントがモータ慣性モーメントと同程度である場合に、安定した動作が可能なだけでなく、モータ1の騒音・振動を低減することが可能であることが見て取れる。
(3−3.シミュレーションにおけるまとめ)
以上、第1〜第4のシミュレーション結果で示したとおり、本発明の各実施形態に係るモータ制御装置は、モータに取り付けられた機械部2の負荷慣性モーメントが非常に大きい場合であっても安定して動作し、かつ、その負荷慣性モーメントの大小に依存せずに制御入力Urefのリップルを抑えることが可能である。従って、本発明の各実施形態に係るモータ制御装置は、モータ1の騒音・振動を低減することが可能である。また、同様に負荷慣性モーメントの大小に依存せずに、外乱オブザーバ70におけるローパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することが可能であり、安定した制御系を構成することができる。さらに、制御器の遅れ時間が大きい場合であっても、安定した制御系を構成することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明した。しかしながら、本発明はこれらの実施形態の例に限定されないことは言うまでもない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、様々な変更や修正を行うことに想到できることは明らかである。従って、これらの変更後や修正後の技術も、当然に本発明の技術的範囲に属するものである。
1 モータ
2 機械部(負荷)
3 位置検出部
4 位置制御部
5 速度制御部
6 速度演算部
7 外乱補償部
8 速度補償部
10 電流制御部
70 外乱オブザーバ
80 速度オブザーバ
90 速度補償演算部
90’ 速度補償演算部
91 微分器
92 ハイパスフィルタ
93 増幅器
94 増幅器
95 増幅器

Claims (8)

  1. 外部から入力する位置指令と位置検出部が検出するモータ位置とに基づいて、負荷を駆動するモータを制御するモータ制御装置であって、
    少なくとも前記位置指令に応じて生成される制御入力に基づいて、該制御入力が表すトルクで前記モータが前記負荷を駆動するように前記モータに電圧指令又は電流指令を印加する電流制御部と、
    前記位置検出部が検出したモータ位置から、前記モータのモータ速度を算出する速度演算部と、
    前記位置検出部が検出したモータ位置と前記位置指令との差である位置偏差に基づいて、該位置偏差が零となるように速度指令を算出する位置制御部と、
    前記速度演算部が算出したモータ速度と、前記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、モータ補正速度を算出する速度補償部と、
    前記速度補償部が算出したモータ補正速度と、前記位置制御部が算出した速度指令との偏差である速度偏差に基づいて、該速度偏差が零となるように前記トルク指令を算出する速度制御部と、
    前記速度演算部が算出した前記モータ速度に応じて前記速度補償部が算出する速度信号と、前記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、前記モータに加わる外力を補償するように前記制御入力を算出して、該制御入力を前記電流制御部に出力する外乱補償部と、
    を有し、
    前記速度補償部は、
    前記速度演算部が算出したモータ速度と、前記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、前記モータ速度の推定値である速度推定値を算出する速度オブザーバと、
    前記速度オブザーバが算出した速度推定値に基づいて、前記モータの加速度を補償した前記モータ補正速度を算出する速度補償演算部と、
    を有することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記速度補償部が算出して前記外乱補償部に入力する速度信号は、前記速度補償部の前記速度補償演算部で算出されるモータ補正速度であることを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記速度補償部の前記速度補償演算部は、前記速度オブザーバが算出した速度推定値に基づいて、相異なるゲインで2の前記モータ補正速度を算出し、
    前記速度制御部は、一の前記モータ補正速度と、前記位置制御部が算出した速度指令との偏差である速度偏差に基づいて前記トルク指令を算出し、
    前記外乱補償部は、他の前記モータ補正速度と、前記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて前記制御入力を算出することを特徴とする、請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記速度補償演算部は、前記一のモータ補正速度を、前記他のモータ補正速度よりも大きなゲインで算出することを特徴とする、請求項3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記速度補償部が算出して前記外乱補償部に入力する速度信号は、前記速度補償部の前記速度オブザーバで算出される速度推定値であることを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  6. 前記速度補償演算部は、前記速度推定値と、前記速度推定値を微分した後ゲインを乗じた信号とを加算して、前記モータ補正速度を算出することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記速度補償演算部は、前記速度推定値と、前記速度推定値をハイパスフィルタでフィルタ処理した後ゲインを乗じた信号とを加算して、前記モータ補正速度を算出することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  8. モータのモータ位置を検出する位置検出部と、
    外部から入力する位置指令と前記位置検出部が検出するモータ位置とに基づいて、前記モータを制御するモータ制御装置と、
    を有し、
    前記モータ制御装置は、
    少なくとも前記位置指令に応じて生成される制御入力に基づいて、該制御入力が表すトルクで前記モータが前記負荷を駆動するように前記モータに電圧指令又は電流指令を印加する電流制御部と、
    前記位置検出部が検出したモータ位置から、前記モータのモータ速度を算出する速度演算部と、
    前記位置検出部が検出したモータ位置と前記位置指令との差である位置偏差に基づいて、該位置偏差が零となるように速度指令を算出する位置制御部と、
    前記速度演算部が算出したモータ速度と、前記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、モータ補正速度を算出する速度補償部と、
    前記速度補償部が算出したモータ補正速度と、前記位置制御部が算出した速度指令との偏差である速度偏差に基づいて、該速度偏差が零となるように前記トルク指令を算出する速度制御部と、
    前記速度演算部が算出した前記モータ速度に応じて前記速度補償部が算出する速度信号と、前記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、前記モータに加わる外力を補償するように前記制御入力を算出して、該制御入力を前記電流制御部に出力する外乱補償部と、
    を有し、
    前記速度補償部は、
    前記速度演算部が算出したモータ速度と、前記速度制御部が算出するトルク指令とに基づいて、前記モータ速度の推定値である速度推定値を算出する速度オブザーバと、
    前記速度オブザーバが算出した速度推定値に基づいて、前記モータの加速度を補償した前記モータ補正速度を算出する速度補償演算部と、
    を有することを特徴とするモータ制御システム。
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