JP5017984B2 - サーボ制御装置とその速度追従制御方法 - Google Patents
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Description
図4は、第1の従来のサーボ制御装置の構成を示すブロック図である。図において、4は電動機の回転子および負荷機械を含む実際のプラントP(s)で、トルク指令T*から電動機の回転速度ωmまでの伝達関数が示されている。また、5は外乱オブザーバであり、ノミナルプラント(モデル)の逆システムPn―1(s)53と第1ローパスフィルタ52を含んでいる。また、2はPI制御部である。また、ω*は速度指令、ωmは電動機の回転速度、ωfはフィードバック速度、T*はトルク指令、T0 *はトルク指令の基本信号、Tfは外乱補償トルク、Jは実際のプラントのイナーシャ、Jnはノミナルプラントのイナーシャ、sはラプラス演算子である。
次に、第1の従来のサーボ制御装置の動作原理について説明する。簡単のため、第1ローパスフィルタ52を式(1)で表される1次ローパスフィルタとする。
図6は、第2の従来のサーボ制御装置の構成を示すブロック図である。図において、9は実際のローパスフィルタ3と実際のプラントP(s)4を含む実際の制御対象G(s)、6はノミナルプラントPn(s)61および第2ローパスフィルタ62を含む位相補償器である。また、図4と同一記号を付している構成は、作用等同じであるためその説明を省略する。
次に、第2の従来のサーボ制御装置動作原理について説明する。図6において、Jn=Jが満たされる場合に、トルク指令の基本信号T0 *からフィードバック速度ωfまでの伝達関数Gf(s)を求めると、式(4)で表される。
三重大学 山田,駒田,石田,堀著「外乱オブザーバの高次数化とロバスト安定性に関する考察」T.IEE Japan,Vol.117−C,No.12,1997,p.1776−1781
この場合、観測ノイズに対するフィルタリング特性を強く、すなわちノイズ除去特性を良くするため、負荷機械のイナーシャが小さい場合に合わせて第1ローパスフィルタ52の時定数T1を大きく設定する必要がある。しかしながら、負荷機械のイナーシャが小さい場合に合わせて第1ローパスフィルタ52の時定数T1を大きく設定すると、負荷機械のイナーシャが大きくなる場合に制御系の一巡伝達関数の位相遅れが大きくなるため、PI制御器のゲインを上げられなく制御特性を向上させることができない。
したがって、第1の従来のサーボ制御装置は、ロバスト特性とノイズ除去特性を両立させることができないという問題があった。
したがって、第2の従来のサーボ制御装置は、負荷機械のイナーシャが大きく変動する場合に、ノミナルプラントのイナーシャが実際のプラントから大きく外れることがあるため、その時のフィードバック速度が電動機の回転速度から大きく外れるので電動機の回転速度が速度指令に対する追従特性が悪くなるという問題があった。
本発明の一の観点によるサーボ制御装置は、速度指令に基づいてトルク指令基本信号を算出するPI制御部を備え、電動機および負荷機械を含む実プラントを駆動制御するサーボ制御装置において、ノミナルプラントの逆システムと第1ローパスフィルタとを有し、前記実プラントを駆動制御するためのトルク指令から、モータ速度を前記ノミナルプラントの逆システムに通した値を減算し、該減算した値を前記第1ローパスフィルタに通し、該通した値を前記トルク指令基本信号に加算して前記トルク指令を出力する外乱オブザーバと、ノミナルプラントと第2ローパスフィルタとを有し、前記トルク指令基本信号から、前記トルク指令基本信号を前記第2ローパスフィルタに通した値を減算し、該減算した値を前記ノミナルプラントに通し、該通した値を前記モータ速度に加算してフィードバック速度を出力する位相補償器と、を備え、前記ノミナルプラントのイナーシャを、前記実プラントのイナーシャ変動幅における最小値以下とすると共に、前記実プラントのイナーシャ変動幅における最大値を前記ノミナルプラントのイナーシャで除算した値に、前記第1ローパスフィルタの時定数を乗算した値を前記第2ローパスフィルタの時定数とするサーボ制御装置が適用される。
第1の従来のサーボ制御装置と同じように、簡単のために第1ローパスフィルタ52を式(1)で表される1次ローパスフィルタとし、また、トルク指令の基本信号T0 *から電動機の回転速度ωmまでの等価制御対象8の伝達関数Go(s)を求め(式(2))、また、式(2)における式(3)で表される項を等価ローパスフィルタLo(s)7とすると、図1の制御システムの等価ブロック図を図3のように書き直すことができる。(図3は、図1および図2の等価ブロック図である。)図3のように書き直すことことで、等価制御対象Go(s)8のイナーシャが、一定な値であるノミナルイナーシャJnで表すことができる。
そのため、ノミナルプラントのイナーシャJnを式(6)とする。
また、JM>>Jnが満たされる場合、第2ローパスフィルタL2(s)62を近似的に式(9)で表される1次ローパスフィルタとすることができる。ただし、T2=(JM/Jn)T1である。
また、第2の従来のサーボ制御装置における位相補償器6を用いて、等価ローパスフィルタの位相遅れを補償することにより、実際のプラントのイナーシャが大きく変わっても、ロバストかつ高性能な速度制御を実現することができる。
・ノミナルプラントのイナーシャJnを、実際のプラントのイナーシャJの最小値Jm以下とすること。(式(6))
・第1ローパスフィルタの時定数T1を、ノイズ除去特性が満たされるように、小さな値に設定すること。
・第2ローパスフィルタの時定数T2を、実際のプラントのイナーシャJの最大値とノミナルプラントのイナーシャJnとの比と、第1ローパスフィルタの時定数T1とを乗算した値とすること。(T2=(JM/Jn)T1)
第1ローパスフィルタ52を移し替えたことにより、トルク指令の基本信号T0 *から電動機の回転速度ωmまでの等価制御対象8の伝達関数Go(s)は、式(10)で表される。また、等価ローパスフィルタ7を式(11)で表されるものとする。
また、第2ローパスフィルタL2(s)62を、式(12)で表される1次ローパスフィルタとする。ただし、T2=(JM/Jn)T1である。
よって、位相補償器がない場合における等価ローパスフィルタLo(s)の位相遅れによる振動や制御系の不安定な問題が解消される。
図7は負荷イナーシャが20倍変動(1倍から20倍)する実際のプラントに対して、通常のPI制御を用いたサーボ制御装置のシミュレーション結果、図8は負荷イナーシャが20倍変動(1倍から20倍)する実際のプラントに対して、第1の従来のサーボ制御装置のシミュレーション結果、図9は負荷イナーシャが20倍変動(1倍から20倍)する実際のプラントに対して、本発明のサーボ制御装置のシミュレーション結果である。
本発明のサーボ制御装置は、通常のPI制御または第1の従来のサーボ制御装置と比べて、イナーシャが大きく変動してもオーバーショットが少なく、更に、整定時間が短いという指令に対する高性能な追従特性が殆ど変わらないことが分かる。
2 PI制御部
3 実際のローパスフィルタ
4 実際のプラント
5 外乱オブザーバ
52 第1ローパスフィルタ
53 ノミナルプラントの逆システム
54、64 加算器
6 位相補償器
61 ノミナルプラント
62 第2ローパスフィルタ
7 等価ローパスフィルタ
8 等価制御対象
9 実際の制御対象
Claims (2)
- 速度指令に基づいてトルク指令基本信号を算出するPI制御部を備え、電動機および負荷機械を含む実プラントを駆動制御するサーボ制御装置において、
ノミナルプラントの逆システムと第1ローパスフィルタとを有し、前記実プラントを駆動制御するためのトルク指令から、モータ速度を前記ノミナルプラントの逆システムに通した値を減算し、該減算した値を前記第1ローパスフィルタに通し、該通した値を前記トルク指令基本信号に加算して前記トルク指令を出力する外乱オブザーバと、
ノミナルプラントと第2ローパスフィルタとを有し、前記トルク指令基本信号から、前記トルク指令基本信号を前記第2ローパスフィルタに通した値を減算し、該減算した値を前記ノミナルプラントに通し、該通した値を前記モータ速度に加算してフィードバック速度を出力する位相補償器と、を備え、
前記ノミナルプラントのイナーシャを、前記実プラントのイナーシャ変動幅における最小値以下とすると共に、
前記実プラントのイナーシャ変動幅における最大値を前記ノミナルプラントのイナーシャで除算した値に、前記第1ローパスフィルタの時定数を乗算した値を前記第2ローパスフィルタの時定数とすることを特徴とするサーボ制御装置。 - 前記外乱オブザーバに代わり、前記ノミナルプラントの逆システムと前記第1ローパスフィルタとを有し、前記実プラントを駆動制御するための前記トルク指令から、前記モータ速度を前記ノミナルプラントの逆システムに通した値を減算し、該減算した値を前記トルク指令基本信号に加算し、該加算した値を前記第1ローパスフィルタに通して前記トルク指令を出力する他の外乱オブザーバを備えることを特徴とする請求項1に記載のサーボ制御装置。
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