JP2008079478A - サーボ制御装置とその速度追従制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 速度指令ω*に基づいてトルク指令基本信号T0 *を算出するPI制御部2を備え、電動機および負荷機械を駆動制御するサーボ制御装置において、前記負荷機械のイナーシャが大きい場合と前記負荷機械のイナーシャが小さい場合とを比較して、前記モータ速度の応答をほぼ一致させる手段5,6を備えた。
【選択図】図1
Description
図4は、第1の従来のサーボ制御装置の構成を示すブロック図である。図において、4は電動機の回転子および負荷機械を含む実際のプラントP(s)で、トルク指令T*から電動機の回転速度ωmまでの伝達関数が示されている。また、5は外乱オブザーバであり、ノミナルプラント(モデル)の逆システムPn―1(s)53と第1ローパスフィルタ52を含んでいる。また、2はPI制御部である。また、ω*は速度指令、ωmは電動機の回転速度、ωfはフィードバック速度、T*はトルク指令、T0 *はトルク指令の基本信号、Tfは外乱補償トルク、Jは実際のプラントのイナーシャ、Jnはノミナルプラントのイナーシャ、sはラプラス演算子である。
次に、第1の従来のサーボ制御装置の動作原理について説明する。簡単のため、第1ローパスフィルタ52を式(1)で表される1次ローパスフィルタとする。
図6は、第2の従来のサーボ制御装置の構成を示すブロック図である。図において、9は実際のローパスフィルタ3と実際のプラントP(s)4を含む実際の制御対象G(s)、6はノミナルプラントPn(s)61および第2ローパスフィルタ62を含む位相補償器である。また、図4と同一記号を付している構成は、作用等同じであるためその説明を省略する。
次に、第2の従来のサーボ制御装置動作原理について説明する。図6において、Jn=Jが満たされる場合に、トルク指令の基本信号T0 *からフィードバック速度ωfまでの伝達関数Gf(s)を求めると、式(4)で表される。
三重大学 山田,駒田,石田,堀著「外乱オブザーバの高次数化とロバスト安定性に関する考察」T.IEE Japan,Vol.117−C,No.12,1997,p.1776−1781
この場合、観測ノイズに対するフィルタリング特性を強く、すなわちノイズ除去特性を良くするため、負荷機械のイナーシャが小さい場合に合わせて第1ローパスフィルタ52の時定数T1を大きく設定する必要がある。しかしながら、負荷機械のイナーシャが小さい場合に合わせて第1ローパスフィルタ52の時定数T1を大きく設定すると、負荷機械のイナーシャが大きくなる場合に制御系の一巡伝達関数の位相遅れが大きくなるため、PI制御器のゲインを上げられなく制御特性を向上させることができない。
したがって、第1の従来のサーボ制御装置は、ロバスト特性とノイズ除去特性を両立させることができないという問題があった。
したがって、第2の従来のサーボ制御装置は、負荷機械のイナーシャが大きく変動する場合に、ノミナルプラントのイナーシャが実際のプラントから大きく外れることがあるため、その時のフィードバック速度が電動機の回転速度から大きく外れるので電動機の回転速度が速度指令に対する追従特性が悪くなるという問題があった。
請求項1に記載の発明は、速度指令に基づいてトルク指令基本信号を算出するPI制御部を備え、電動機および負荷機械を駆動制御するサーボ制御装置において、前記負荷機械のイナーシャが大きい場合と前記負荷機械のイナーシャが小さい場合とを比較して、前記モータ速度の応答をほぼ一致させる手段を備えたものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明における前記モータ速度の応答をほぼ一致させる手段が、モータ速度に基づいて外乱補償トルクを出力する外乱オブザーバと、前記トルク指令基本信号に基づいてフィードバック速度を出力する位相補償器であるものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2記載の発明における前記外乱オブザーバが、ノミナルプラントの逆システムと第1ローパスフィルタとを有し、前記ノミナルプラントのイナーシャを、前記電動機の回転子および前記負荷機械を含む実プラントのイナーシャの最小値以下とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項2記載の発明における前記外乱オブザーバが、前記実プラントのイナーシャが最小になった場合、前記第1ローパスフィルタの時定数を、小さな値に設定し、ノイズ除去特性が満たされるようにしたものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項2記載の発明における前記位相補償器が、ノミナルプラントと第2ローパスフィルタとを有し、前記第2ローパスフィルタの時定数T2を、前記実プラントのイナーシャの最大値と前記ノミナルプラントのイナーシャとの比と、前記第1ローパスフィルタの時定数とを乗算した値とするものである。
請求項6に記載の発明は、速度指令に基づいてトルク指令基本信号を算出するPI制御部を備え、電動機および負荷機械を駆動制御するサーボ制御装置の速度追従制御方法において、前記トルク指令基本信号に基づいて外乱補償処理し、前記トルク指令基本信号に基づいて位相補償処理し、前記負荷機械のイナーシャが大きい場合と前記負荷機械のイナーシャが小さい場合とを比較して、前記モータ速度の応答をほぼ一致させるようにするのである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6記載の発明における前記外乱補償処理は、ノミナルプラントのイナーシャを、前記電動機の回転子および前記負荷機械を含む実プラントのイナーシャの最小値以下にすることを条件とするのである。
また、請求項8に記載の発明は、請求項6記載の発明における前記外乱補償処理は、実プラントのイナーシャが最小になった場合、第1ローパスフィルタの時定数を、小さな値に設定し、ノイズ除去特性が満たされるようにするのである。
また、請求項9に記載の発明は、請求項6記載の発明における前記位相補償処理は、第2ローパスフィルタの時定数T2を、実プラントのイナーシャの最大値とノミナルプラントのイナーシャとの比と、第1ローパスフィルタの時定数とを乗算した値にすることを条件とするのである。
第1の従来のサーボ制御装置と同じように、簡単のために第1ローパスフィルタ52を式(1)で表される1次ローパスフィルタとし、また、トルク指令の基本信号T0 *から電動機の回転速度ωmまでの等価制御対象8の伝達関数Go(s)を求め(式(2))、また、式(2)における式(3)で表される項を等価ローパスフィルタLo(s)7とすると、図1の制御システムの等価ブロック図を図3のように書き直すことができる。(図3は、図1および図2の等価ブロック図である。)図3のように書き直すことことで、等価制御対象Go(s)8のイナーシャが、一定な値であるノミナルイナーシャJnで表すことができる。
そのため、ノミナルプラントのイナーシャJnを式(6)とする。
また、JM>>Jnが満たされる場合、第2ローパスフィルタL2(s)62を近似的に式(9)で表される1次ローパスフィルタとすることができる。ただし、T2=(JM/Jn)T1である。
また、第2の従来のサーボ制御装置における位相補償器6を用いて、等価ローパスフィルタの位相遅れを補償することにより、実際のプラントのイナーシャが大きく変わっても、ロバストかつ高性能な速度制御を実現することができる。
・ノミナルプラントのイナーシャJnを、実際のプラントのイナーシャJの最小値Jm以下とすること。(式(6))
・第1ローパスフィルタの時定数T1を、ノイズ除去特性が満たされるように、小さな値に設定すること。
・第2ローパスフィルタの時定数T2を、実際のプラントのイナーシャJの最大値とノミナルプラントのイナーシャJnとの比と、第1ローパスフィルタの時定数T1とを乗算した値とすること。(T2=(JM/Jn)T1)
第1ローパスフィルタ52を移し替えたことにより、トルク指令の基本信号T0 *から電動機の回転速度ωmまでの等価制御対象8の伝達関数Go(s)は、式(10)で表される。また、等価ローパスフィルタ7を式(11)で表されるものとする。
また、第2ローパスフィルタL2(s)62を、式(12)で表される1次ローパスフィルタとする。ただし、T2=(JM/Jn)T1である。
よって、位相補償器がない場合における等価ローパスフィルタLo(s)の位相遅れによる振動や制御系の不安定な問題が解消される。
図7は負荷イナーシャが20倍変動(1倍から20倍)する実際のプラントに対して、通常のPI制御を用いたサーボ制御装置のシミュレーション結果、図8は負荷イナーシャが20倍変動(1倍から20倍)する実際のプラントに対して、第1の従来のサーボ制御装置のシミュレーション結果、図9は負荷イナーシャが20倍変動(1倍から20倍)する実際のプラントに対して、本発明のサーボ制御装置のシミュレーション結果である。
本発明のサーボ制御装置は、通常のPI制御または第1の従来のサーボ制御装置と比べて、イナーシャが大きく変動してもオーバーショットが少なく、更に、整定時間が短いという指令に対する高性能な追従特性が殆ど変わらないことが分かる。
2 PI制御部
3 実際のローパスフィルタ
4 実際のプラント
5 外乱オブザーバ
52 第1ローパスフィルタ
53 ノミナルプラントの逆システム
54、64 加算器
6 位相補償器
61 ノミナルプラント
62 第2ローパスフィルタ
7 等価ローパスフィルタ
8 等価制御対象
9 実際の制御対象
Claims (9)
- 速度指令に基づいてトルク指令基本信号を算出するPI制御部を備え、電動機および負荷機械を駆動制御するサーボ制御装置において、
前記負荷機械のイナーシャが大きい場合と前記負荷機械のイナーシャが小さい場合とを比較して、前記モータ速度の応答をほぼ一致させる手段を備えたことを特徴とするサーボ制御装置。 - 前記モータ速度の応答をほぼ一致させる手段が、モータ速度に基づいて外乱補償トルクを出力する外乱オブザーバと、
前記トルク指令基本信号に基づいてフィードバック速度を出力する位相補償器であることを特徴とする請求項1記載のサーボ制御装置。 - 前記外乱オブザーバが、ノミナルプラントの逆システムと第1ローパスフィルタとを有し、
前記ノミナルプラントのイナーシャを、前記電動機の回転子および前記負荷機械を含む実プラントのイナーシャの最小値以下とすることを特徴とする請求項2記載のサーボ制御装置。 - 前記外乱オブザーバが、前記実プラントのイナーシャが最小になった場合、前記第1ローパスフィルタの時定数を、小さな値に設定し、ノイズ除去特性が満たされるようにしたことを特徴とする請求項2記載のサーボ制御装置。
- 前記位相補償器が、ノミナルプラントと第2ローパスフィルタとを有し、
前記第2ローパスフィルタの時定数T2を、前記実プラントのイナーシャの最大値と前記ノミナルプラントのイナーシャとの比と、前記第1ローパスフィルタの時定数とを乗算した値とすることを特徴とする請求項2記載のサーボ制御装置。 - 速度指令に基づいてトルク指令基本信号を算出するPI制御部を備え、電動機および負荷機械を駆動制御するサーボ制御装置の速度追従制御方法において、
前記トルク指令基本信号に基づいて外乱補償処理し、
前記トルク指令基本信号に基づいて位相補償処理し、
前記負荷機械のイナーシャが大きい場合と前記負荷機械のイナーシャが小さい場合とを比較して、前記モータ速度の応答をほぼ一致させるようにすることを特徴とするサーボ制御装置の速度追従制御方法。 - 前記外乱補償処理は、ノミナルプラントのイナーシャを、前記電動機の回転子および前記負荷機械を含む実プラントのイナーシャの最小値以下にすることを条件とすることを特徴とする請求項6記載のサーボ制御装置の速度追従制御方法。
- 前記外乱補償処理は、実プラントのイナーシャが最小になった場合、第1ローパスフィルタの時定数を、小さな値に設定し、ノイズ除去特性が満たされるようにすることを特徴とする請求項6記載のサーボ制御装置の速度追従制御方法。
- 前記位相補償処理は、第2ローパスフィルタの時定数T2を、実プラントのイナーシャの最大値とノミナルプラントのイナーシャとの比と、第1ローパスフィルタの時定数とを乗算した値にすることを条件とすることを特徴とする請求項6記載のサーボ制御装置の速度追従制御方法。
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