JP2004334772A - 電動機による位置決め制御方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機1と負荷4を結合する駆動軸3の剛性が不十分な場合、位置制御系に位相遅れが発生し、位置制御系の応答を上げると制御系が不安定になる。この位相遅れの原因を排除し、位置制御系の安定性を向上する。
【解決手段】電動機1の軸位置検出値θMをローパスフィルタ15を通して高周波域信号を得るとともに、負荷4の位置検出値θLをハイパスフィルタ16を通して低周波域信号を得る。これらを加え合わせた合成信号を位置制御器6のフィードバック信号θL_fbとする。また、位置指令値θL **と負荷4の位置検出値θLを減算器24で比較して軸ねじり相当値を求め、位置指令値θL **から減算することによって、補正された位置指令値θL *を得る。
【効果】位置制御系の高周波域での安定性を向上し、位置決め時のオーバーシュート及びそれに続く軸振動を低減する。
【選択図】 図4
【解決手段】電動機1の軸位置検出値θMをローパスフィルタ15を通して高周波域信号を得るとともに、負荷4の位置検出値θLをハイパスフィルタ16を通して低周波域信号を得る。これらを加え合わせた合成信号を位置制御器6のフィードバック信号θL_fbとする。また、位置指令値θL **と負荷4の位置検出値θLを減算器24で比較して軸ねじり相当値を求め、位置指令値θL **から減算することによって、補正された位置指令値θL *を得る。
【効果】位置制御系の高周波域での安定性を向上し、位置決め時のオーバーシュート及びそれに続く軸振動を低減する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーボ制御装置に関わり、特にフルクローズド制御系で構成された位置制御系の安定性を改善する電動機による位置制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被位置決め負荷の位置検出信号をフィードバックするフルクローズド制御による位置決め制御装置においては、速度制御系への速度フィードバック信号には前記負荷の位置検出値から算出した負荷の速度を用いるのが一般的である。通常、位置決めしたい負荷と、この負荷を駆動する電動機とを結合する駆動軸の軸剛性が不十分な場合、軸ねじりが発生し、これにより負荷の位置が電動機の位置に対して位相的に遅れる現象が発生する。電動機を用いてある質量を有する負荷を有限剛性の駆動軸で駆動する際の、電動機の軸位置に対する負荷の位置の伝達特性は共振特性を持つ。また、共振点以上の高い周波数域においては位相遅れが顕著となる。特に、軸振動が発生し易い共振点での位相遅れは90°近い。このため、一般的なフルクローズド制御による位置決め制御装置では、位置制御系及び速度制御系において、駆動軸と負荷に起因する位相遅れが発生し、制御系が不安定となる。
【0003】
特許文献1には、位置制御系への位置フィードバック信号には負荷の位置検出値を用いるが、速度制御系への速度フィードバック信号には電動機の位置検出値から算出する電動機の速度信号を用いている。この結果、速度制御系において、駆動軸と負荷に起因する位相遅れは発生せず、速度制御系の安定性が向上する。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−225615号公報(要約ほか、全体)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術では、位置制御系の位相遅れが解決されていないため、位置制御系の応答を上げると制御系が不安定になるという問題を有している。
【0006】
本発明の目的は、位置制御系の安定性を向上できる電動機による位置決め制御方法及び装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はその一面において、位置指令値と負荷の位置検出値との偏差に応じて速度指令値を得て、この速度指令値と電動機の速度検出値の偏差に応じて電力変換器を制御する位置決め制御装置において、電動機の軸位置検出値の高周波域信号と、負荷の位置検出値の低周波域信号とを合成し、位置制御器へのフィードバック信号とする。
【0008】
これにより、フィードバック信号のうち、機械系の共振周波数以上の周波数帯域については、位相遅れの大きい負荷の位置検出信号に代えて位相遅れのない電動機の軸位置検出信号を用いることにより、制御系の安定を図ることができる。
【0009】
望ましい実施態様においては、負荷の位置検出値に含まれる低周波域信号を取り出すローパス(低域通過)フィルタの折れ点周波数と、電動機の軸位置検出値に含まれる高周波域信号を取り出すハイパス(高域通過)フィルタの折れ点周波数を等しく、少なくともこれらの折れ点周波数の差を±10%以内に設定する。
【0010】
これにより、位置制御器へのフィードバック信号は、両フィルタの折れ点周波数以下の周波数帯域の信号については負荷の位置検出器から得るとともに、両フィルタの折れ点周波数以上の周波数帯域の信号については電動機の軸位置検出器から得ることになる。
【0011】
ここで、前記折れ点周波数fdを、駆動軸と負荷に起因する共振点の周波数fr未満、望ましくは半分未満(fd<0.5fr)に設定する。これにより、電動機の位置に対する負荷の位置の位相遅れが顕著な高い周波数帯域の信号については、位相遅れの無い電動機の軸位置検出器から得ることとなる。
【0012】
このようにして、位置制御系の高周波域での安定性を確保する一方、位相遅れの少ない低い周波数帯域の信号については、負荷の位置検出器から得ることにより、フルクローズド制御に要求される負荷の精密な位置決めを可能とする。
【0013】
本発明は他の一面において、位置制御指令を、負荷の位置検出信号に基いて補正する。望ましくは、位置制御指令値θL **と負荷の位置検出値θLとの偏差に応じた補正信号を、前記位置制御指令値θL **から差引くことによって、補正された位置制御指令値θL *を得る。
【0014】
これにより、軸ねじり量に応じて、軸ねじりの発生を抑制する補正された位置指令値θL *を得ることによって、更なる安定性を確保できる。
【0015】
本発明のその他の目的及び特徴は、以下の実施形態において明らかにする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における実施の形態を図面により詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施形態を示す電動機による位置決め制御装置である。図において、電動機1は、電力変換器2から給電され、駆動軸3を介して負荷4を駆動する。この負荷4の位置を制御するため、位置指令値θL **と位置フィードバック値θL_fbを位置偏差演算器5で比較し、その偏差を位置制御器6に入力する。位置制御器6の出力は電動機の速度指令値ωM *となり、速度偏差演算器7にて速度フィードバック値ωMと比較され、その偏差は速度制御器8に入力される。速度制御器8の出力は電流指令Iq*となり、電流偏差演算器9にて電流フィードバック値Iqと比較され、電流偏差を電流制御器10に入力する。電流フィードバック値Iqは、電流検出器11によって得ている。電流制御器10の出力である出力電圧指令値V*により電力変換器2を制御し、電力変換器の制御手段を構成する。電動機1の軸位置(角度)θMは、ロータリーエンコーダ等の位置検出器12で検出され、速度演算器13で電動機の速度すなわち前記速度フィードバック値ωMを演算する。
【0018】
本実施形態では、従来技術による構成とは位置フィードバック信号の処理の仕方が異なる。位置制御系の前記位置フィードバック値θL_fbの求め方を説明する。負荷4の位置θLは、位置検出器14で検出され、ローパス(低域通過)フィルタ15に入力される。また、前記軸位置(角度)検出値θMは、ハイパス(高域通過)フィルタ16に入力されている。これらローパスフィルタ15の出力とハイパスフィルタ16の出力を、加算器17で加算し位置フィードバック信号θL_fbを算出する。ハイパスフィルタ16の特性を(1)式で、ローパスフィルタ15の特性を(2)式で表現される伝達関数により与える。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】
ただし、(1)式、(2)式において、sはラプラス演算子、Tdは両フィルタの折れ点周波数をfd[Hz]とするとき、Td=1/(2πfd)[sec]により算出される時定数である。
【0022】
図2は、電動機1を用いてある質量を有する負荷4を有限剛性の駆動軸3で駆動する際の電動機1の軸位置θMに対する負荷4の位置θLの伝達特性を表すボード線図である。図2において、18は振幅特性を、19は位相特性を表している。振幅特性18から共振特性を持つことが分かる。また、位相特性19から共振周波数fr以上の高い周波数域においては位相遅れが顕著となることが分かる。特に、図示するように、軸振動が発生し易い共振周波数frでの位相遅れは90°に近い。このため、従来のフルクローズド制御による位置決め制御装置では、位置制御系及び速度制御系において、電動機1から駆動軸3を介して負荷4に至る機械系のねじれに起因する位相遅れが発生し、制御系の不安定要因となる。
【0023】
本発明の一実施形態においては、両フィルタ15,16の折れ点周波数fdを、図2で説明した駆動軸3と負荷4に起因する共振周波数fr未満に設定する。これにより、電動機1の軸位置θMに対する負荷4の位置θLの位相遅れが顕著な高い周波数帯域については、位相遅れの無い電動機1の位置検出器12の出力軸位置θMから、位置フィードバック信号を得ることが可能となる。
【0024】
このとき、両フィルタの折れ点周波数fdは、機械系の共振周波数をfr[Hz]とするとき、fd<frの関係を満たすように設定する。望ましくは、fd<0.5frとなるように設定する。また、機械系の共振周波数fr[Hz]は駆動軸のバネ定数をKF[N・m/rad]、回転系に換算した負荷のイナーシャをJL[kg・m2]とするとき、(3)式で算出される値とする。
【0025】
【数3】
【0026】
このように、高周波数帯域の信号については、位相遅れが発生する前の電動機1の位置検出器12から位置フィードバック信号を得ることができ、位置制御系の高周波域での安定性を確保できる。一方、位相遅れの少ない低い周波数帯域の信号については、負荷4の位置検出器14から得ることにより、フルクローズド制御に要求される負荷4の精密な位置決めを可能としている。
【0027】
図3は、本発明の実施形態による位置決め制御時における位置偏差の収束の様子を示すグラフである。同図(a)は従来技術によるグラフで、同図(b)は本実施形態によるグラフである。波形20と22が位置偏差を、波形21と23が位置指令値を示している。
【0028】
このとき、機械系の条件は、バネ定数がKF=81.98[N・m/rad]、回転系に換算した負荷イナーシャがJL=0.285×10−4[kg・m2]、共振周波数がfr=270[Hz]である。また、本実施形態における両フィルタの折れ点周波数fdは、fd=63.67[Hz]に設定している。位置偏差波形20と22の比較から、本実施形態によれば、従来技術に比較して、位置決め時の振動を低減し、より早く収束できることが分かる。
【0029】
次に本発明の第2の実施形態を説明する。
【0030】
図4は、本発明の第2の実施形態を示す電動機による位置決め制御装置のブロック図である。図4において、図1と異なる点は、位置偏差演算器5の入力となる位置指令値θL *の作り方である。まず、減算器24において、位置指令値θL **から、負荷4の位置検出値θLを減算する。この減算器24の出力を、軸ねじり量フィードバックゲイン(k1)倍する増幅器25で増幅し、減算器26にて位置指令値θL **から減算する。この他の構成は図1と同じである。
【0031】
このように、負荷4の位置指令値θL **と位置検出値θLとから、駆動軸3の軸ねじり量を算出している。そして、この軸ねじり量を減少させるように補正して新たな位置指令値θL *とすることにより、軸ねじりに起因する軸振動を積極的に抑制している。負荷4の位置指令値θL **と負荷4の位置検出値θLとから、補正された位置指令値θL *を求める過程を(4)式に示す。
【0032】
θL *=θL **−k1(θL **−θL)−−−−−−−−−−−−−−(4)
(4)式における軸ねじり量フィードバックゲインk1の値は、0<k1<1の範囲内で設定することにより、軸ねじりを抑制することが可能である。構成上、ゲインk1が大きい程、軸ねじり抑制効果は大きい。しかし、位置指令値の立ち上がりを抑えることで軸ねじり抑制を実現している関係上、位置決め時間が長くなる傾向がある。従って、ゲインk1は、オーバーシュート及び軸振動が許容レベルに収まる範囲内で可能な限り小さく設定している。後述するボールネジユニットの一例においては、ゲインk1=0.4で安定した位置決めを実現できた。
【0033】
次に、本実施形態の原理的な説明を行う。図4において、位置制御器6への入力偏差を演算する減算器5への位置フィードバック信号θL_fbは、第1の実施形態と同じである。すなわち、本実施形態でも、両フィルタ15,16の折れ点周波数fd以上の周波数帯域の信号に関しては、電動機1の位置決め制御装置として機能する。一方、周波数fd以下の周波数帯域の信号に関しては、負荷4の位置決め制御装置として機能していると見なすことができる。従って、負荷4の位置指令値θL **及び補正後の位置指令値θL *についても、周波数fd以上の周波数帯域では負荷4ではなく、電動機1の軸位置に対する位置指令値として作用している。このため、減算器24において、負荷4の位置指令値θL **から負荷4の位置検出値θLを減じた値は、負荷4の位置指令値θL **を与えた場合に発生する軸ねじり量を意味する。従って、この軸ねじり量に前述の軸ねじり量フィードバックゲインk1を乗じた値を位置指令値θL **から減ずることにより、軸ねじり量に応じて、その発生を抑制する補正された位置指令値θL *を得ることができる。
【0034】
図3(c)は、本発明の第2の実施形態による位置決め制御時における位置偏差の収束の様子を示すグラフである。波形27は位置偏差を、波形28は位置指令値を示している。機械系及び制御系の設定条件は、図3(a)、(b)の場合と同一である。本実施形態によれば、同図(b)の第1の実施形態に比較して、更なる軸ねじり抑制によるオーバーシュートの低減効果が得られている。
【0035】
以上に述べた本発明の実施形態を要約すると次の通りである。まず、駆動軸3を介して負荷4と結合した電動機1に給電する電力変換器2を備え、位置制御のために、負荷4の位置検出器14と、電動機1の軸位置検出器12を備えている。制御系として、位置指令値θL **と負荷位置検出値θLとの偏差に応じ速度指令値ωM *を出力する位置制御器6と、この速度指令値ωM *と電動機速度検出値ωMの偏差に応じたトルク電流指令値Iq *を出力する速度制御器8を備える。そして、このトルク電流指令値Iq *に応じて電力変換器2の出力電流Iqを制御する電流制御器10を備えた位置決め制御装置を対象としている。ここで、負荷4の位置検出値θLの低周波域信号を取出すローパスフィルタ15と、電動機1の軸位置検出値θMの高周波域信号を取出すハイパスフィルタ16と、これら両フィルタの出力信号を加算する加算器17を設ける。そして、この加算器17の出力を位置制御器6へフィードバックするフィードバックループを備える。さらに、位置指令値をθL **、負荷の位置検出値をθL、補正ゲインをk1(0<k1<1)とするとき、補正後の位置指令値θL *を前記(4)式に基づいて算出する位置指令値補正手段を備えている。
【0036】
この構成により、電動機1による位置決め制御において、高周波数帯域については、位相遅れを発生する前の電動機1の軸位置検出値θMから位置フィードバック信号を得ることで、位置制御系の安定性を確保できる。一方、低周波数帯域については、位相遅れの少ない負荷4の位置検出値θLから位置フィードバック信号を得て、負荷4の精密な位置決めを実現している。
【0037】
図5は、本発明の第1及び第2の実施形態に共通するハードウェアシステムの構成図である。図5において、29はサーボアンプ、30はサーボアンプ29に位置指令値を発行する上位コントローラである。31はボールネジユニット、32は電動機、33は電動機の位置検出器、34は負荷、35は負荷34を固定するスライダー、36は負荷34の位置検出器である。37は電動機32の位置検出信号θMをサーボアンプ29に伝送するケーブル、38はサーボアンプ29が出力する電動機駆動電力を伝送するケーブル、39は負荷34の位置検出信号θLをサーボアンプ29に伝送するケーブルである。40は上位コントローラ30の発生する位置指令信号θL **をサーボアンプ29に伝送するケーブル、41はサーボアンプ29の電源ケーブル、42は負荷の位置検出器36が読み取る位置情報を記録したリニアスケールである。
【0038】
第1,2の実施形態における電動機1は、図5の電動機32に対応し、以下同様に、軸位置検出器12は位置検出器33に、負荷4は負荷34に、位置検出器14は位置検出器36に、駆動軸3はボールネジユニット31に対応する。負荷34の位置指令値θL **は上位コントローラ30で作成され、図1,4のその他の構成要素は、すべてサーボアンプ29内に含まれる。
【0039】
以上の構成において、スライダー35には、ボールネジユニット31のケース内においてボールネジが貫通しており、スライダー35は、ボールネジの回転方向で回転量に比例して軸方向に移動する構造となっている。ボールネジユニット31内のボールネジは、電動機32の回転軸と直接的もしくは、ギアを介して間接的に結合されており、電動機32の回転子の回転量に比例して回転する。また、電動機32の位置検出器33は、電動機32の回転子に取り付けられており、回転量に比例したパルス数を出力する。一方、負荷34の位置検出器36は、負荷34を運搬するスライダー35に固定されており、負荷34と同一方向に同一の移動量で移動する。このため、ボールネジユニット31の側面に固定したリニアスケール42上の目盛りを位置検出器36で読み取ることにより、負荷34の移動量に比例したパルス数の出力が可能である。このように、第1の実施形態及び第2の実施形態は図5のハードウェア構成で実現可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、位置制御系の高周波域での安定性を向上し、位置決め時のオーバーシュート及びそれに続く軸振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す電動機による位置決め制御装置のブロック図。
【図2】電動機を用いてある質量を有する負荷を有限剛性の駆動軸で駆動する際の電動機の軸位置に対する負荷の位置の伝達特性を表すボード線図。
【図3】本発明の第1の実施形態による位置決め制御特性を説明するグラフ。
【図4】本発明の第2の実施形態による電動機による位置決め制御装置のブロック図。
【図5】本発明の一実施形態によるハードウェアシステムの構成図。
【符号の説明】
1…電動機、2…電力変換器、3…駆動軸、4…負荷、5…位置偏差演算器、6…位置制御器、7…速度偏差演算器、8…速度制御器、9…電流偏差演算器、10…電流制御器、11…電流検出器、12…電動機の軸位置検出器、13…速度演算器、14…負荷の位置検出器、15…ローパス(低域通過)フィルタ、16…ハイパス(高域通過)フィルタ、18…電動機の位置に対する負荷の位置の振幅特性、19…電動機の位置に対する負荷の位置の位相特性、22…第1の実施形態による位置偏差、25…軸ねじり量フィードバック増幅器、27…第2の実施形態による位置偏差、21,23,28…位置指令値、θL **…負荷の位置指令値、θL *…軸ねじり補償後の負荷の位置指令値、θM…電動機の軸位置検出値、θL…負荷の位置検出値、ωM *…電動機の速度指令値、ωM…電動機の速度検出値、θL_fb…位置制御系へのフィードバック信号。
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーボ制御装置に関わり、特にフルクローズド制御系で構成された位置制御系の安定性を改善する電動機による位置制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被位置決め負荷の位置検出信号をフィードバックするフルクローズド制御による位置決め制御装置においては、速度制御系への速度フィードバック信号には前記負荷の位置検出値から算出した負荷の速度を用いるのが一般的である。通常、位置決めしたい負荷と、この負荷を駆動する電動機とを結合する駆動軸の軸剛性が不十分な場合、軸ねじりが発生し、これにより負荷の位置が電動機の位置に対して位相的に遅れる現象が発生する。電動機を用いてある質量を有する負荷を有限剛性の駆動軸で駆動する際の、電動機の軸位置に対する負荷の位置の伝達特性は共振特性を持つ。また、共振点以上の高い周波数域においては位相遅れが顕著となる。特に、軸振動が発生し易い共振点での位相遅れは90°近い。このため、一般的なフルクローズド制御による位置決め制御装置では、位置制御系及び速度制御系において、駆動軸と負荷に起因する位相遅れが発生し、制御系が不安定となる。
【0003】
特許文献1には、位置制御系への位置フィードバック信号には負荷の位置検出値を用いるが、速度制御系への速度フィードバック信号には電動機の位置検出値から算出する電動機の速度信号を用いている。この結果、速度制御系において、駆動軸と負荷に起因する位相遅れは発生せず、速度制御系の安定性が向上する。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−225615号公報(要約ほか、全体)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術では、位置制御系の位相遅れが解決されていないため、位置制御系の応答を上げると制御系が不安定になるという問題を有している。
【0006】
本発明の目的は、位置制御系の安定性を向上できる電動機による位置決め制御方法及び装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はその一面において、位置指令値と負荷の位置検出値との偏差に応じて速度指令値を得て、この速度指令値と電動機の速度検出値の偏差に応じて電力変換器を制御する位置決め制御装置において、電動機の軸位置検出値の高周波域信号と、負荷の位置検出値の低周波域信号とを合成し、位置制御器へのフィードバック信号とする。
【0008】
これにより、フィードバック信号のうち、機械系の共振周波数以上の周波数帯域については、位相遅れの大きい負荷の位置検出信号に代えて位相遅れのない電動機の軸位置検出信号を用いることにより、制御系の安定を図ることができる。
【0009】
望ましい実施態様においては、負荷の位置検出値に含まれる低周波域信号を取り出すローパス(低域通過)フィルタの折れ点周波数と、電動機の軸位置検出値に含まれる高周波域信号を取り出すハイパス(高域通過)フィルタの折れ点周波数を等しく、少なくともこれらの折れ点周波数の差を±10%以内に設定する。
【0010】
これにより、位置制御器へのフィードバック信号は、両フィルタの折れ点周波数以下の周波数帯域の信号については負荷の位置検出器から得るとともに、両フィルタの折れ点周波数以上の周波数帯域の信号については電動機の軸位置検出器から得ることになる。
【0011】
ここで、前記折れ点周波数fdを、駆動軸と負荷に起因する共振点の周波数fr未満、望ましくは半分未満(fd<0.5fr)に設定する。これにより、電動機の位置に対する負荷の位置の位相遅れが顕著な高い周波数帯域の信号については、位相遅れの無い電動機の軸位置検出器から得ることとなる。
【0012】
このようにして、位置制御系の高周波域での安定性を確保する一方、位相遅れの少ない低い周波数帯域の信号については、負荷の位置検出器から得ることにより、フルクローズド制御に要求される負荷の精密な位置決めを可能とする。
【0013】
本発明は他の一面において、位置制御指令を、負荷の位置検出信号に基いて補正する。望ましくは、位置制御指令値θL **と負荷の位置検出値θLとの偏差に応じた補正信号を、前記位置制御指令値θL **から差引くことによって、補正された位置制御指令値θL *を得る。
【0014】
これにより、軸ねじり量に応じて、軸ねじりの発生を抑制する補正された位置指令値θL *を得ることによって、更なる安定性を確保できる。
【0015】
本発明のその他の目的及び特徴は、以下の実施形態において明らかにする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における実施の形態を図面により詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施形態を示す電動機による位置決め制御装置である。図において、電動機1は、電力変換器2から給電され、駆動軸3を介して負荷4を駆動する。この負荷4の位置を制御するため、位置指令値θL **と位置フィードバック値θL_fbを位置偏差演算器5で比較し、その偏差を位置制御器6に入力する。位置制御器6の出力は電動機の速度指令値ωM *となり、速度偏差演算器7にて速度フィードバック値ωMと比較され、その偏差は速度制御器8に入力される。速度制御器8の出力は電流指令Iq*となり、電流偏差演算器9にて電流フィードバック値Iqと比較され、電流偏差を電流制御器10に入力する。電流フィードバック値Iqは、電流検出器11によって得ている。電流制御器10の出力である出力電圧指令値V*により電力変換器2を制御し、電力変換器の制御手段を構成する。電動機1の軸位置(角度)θMは、ロータリーエンコーダ等の位置検出器12で検出され、速度演算器13で電動機の速度すなわち前記速度フィードバック値ωMを演算する。
【0018】
本実施形態では、従来技術による構成とは位置フィードバック信号の処理の仕方が異なる。位置制御系の前記位置フィードバック値θL_fbの求め方を説明する。負荷4の位置θLは、位置検出器14で検出され、ローパス(低域通過)フィルタ15に入力される。また、前記軸位置(角度)検出値θMは、ハイパス(高域通過)フィルタ16に入力されている。これらローパスフィルタ15の出力とハイパスフィルタ16の出力を、加算器17で加算し位置フィードバック信号θL_fbを算出する。ハイパスフィルタ16の特性を(1)式で、ローパスフィルタ15の特性を(2)式で表現される伝達関数により与える。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】
ただし、(1)式、(2)式において、sはラプラス演算子、Tdは両フィルタの折れ点周波数をfd[Hz]とするとき、Td=1/(2πfd)[sec]により算出される時定数である。
【0022】
図2は、電動機1を用いてある質量を有する負荷4を有限剛性の駆動軸3で駆動する際の電動機1の軸位置θMに対する負荷4の位置θLの伝達特性を表すボード線図である。図2において、18は振幅特性を、19は位相特性を表している。振幅特性18から共振特性を持つことが分かる。また、位相特性19から共振周波数fr以上の高い周波数域においては位相遅れが顕著となることが分かる。特に、図示するように、軸振動が発生し易い共振周波数frでの位相遅れは90°に近い。このため、従来のフルクローズド制御による位置決め制御装置では、位置制御系及び速度制御系において、電動機1から駆動軸3を介して負荷4に至る機械系のねじれに起因する位相遅れが発生し、制御系の不安定要因となる。
【0023】
本発明の一実施形態においては、両フィルタ15,16の折れ点周波数fdを、図2で説明した駆動軸3と負荷4に起因する共振周波数fr未満に設定する。これにより、電動機1の軸位置θMに対する負荷4の位置θLの位相遅れが顕著な高い周波数帯域については、位相遅れの無い電動機1の位置検出器12の出力軸位置θMから、位置フィードバック信号を得ることが可能となる。
【0024】
このとき、両フィルタの折れ点周波数fdは、機械系の共振周波数をfr[Hz]とするとき、fd<frの関係を満たすように設定する。望ましくは、fd<0.5frとなるように設定する。また、機械系の共振周波数fr[Hz]は駆動軸のバネ定数をKF[N・m/rad]、回転系に換算した負荷のイナーシャをJL[kg・m2]とするとき、(3)式で算出される値とする。
【0025】
【数3】
【0026】
このように、高周波数帯域の信号については、位相遅れが発生する前の電動機1の位置検出器12から位置フィードバック信号を得ることができ、位置制御系の高周波域での安定性を確保できる。一方、位相遅れの少ない低い周波数帯域の信号については、負荷4の位置検出器14から得ることにより、フルクローズド制御に要求される負荷4の精密な位置決めを可能としている。
【0027】
図3は、本発明の実施形態による位置決め制御時における位置偏差の収束の様子を示すグラフである。同図(a)は従来技術によるグラフで、同図(b)は本実施形態によるグラフである。波形20と22が位置偏差を、波形21と23が位置指令値を示している。
【0028】
このとき、機械系の条件は、バネ定数がKF=81.98[N・m/rad]、回転系に換算した負荷イナーシャがJL=0.285×10−4[kg・m2]、共振周波数がfr=270[Hz]である。また、本実施形態における両フィルタの折れ点周波数fdは、fd=63.67[Hz]に設定している。位置偏差波形20と22の比較から、本実施形態によれば、従来技術に比較して、位置決め時の振動を低減し、より早く収束できることが分かる。
【0029】
次に本発明の第2の実施形態を説明する。
【0030】
図4は、本発明の第2の実施形態を示す電動機による位置決め制御装置のブロック図である。図4において、図1と異なる点は、位置偏差演算器5の入力となる位置指令値θL *の作り方である。まず、減算器24において、位置指令値θL **から、負荷4の位置検出値θLを減算する。この減算器24の出力を、軸ねじり量フィードバックゲイン(k1)倍する増幅器25で増幅し、減算器26にて位置指令値θL **から減算する。この他の構成は図1と同じである。
【0031】
このように、負荷4の位置指令値θL **と位置検出値θLとから、駆動軸3の軸ねじり量を算出している。そして、この軸ねじり量を減少させるように補正して新たな位置指令値θL *とすることにより、軸ねじりに起因する軸振動を積極的に抑制している。負荷4の位置指令値θL **と負荷4の位置検出値θLとから、補正された位置指令値θL *を求める過程を(4)式に示す。
【0032】
θL *=θL **−k1(θL **−θL)−−−−−−−−−−−−−−(4)
(4)式における軸ねじり量フィードバックゲインk1の値は、0<k1<1の範囲内で設定することにより、軸ねじりを抑制することが可能である。構成上、ゲインk1が大きい程、軸ねじり抑制効果は大きい。しかし、位置指令値の立ち上がりを抑えることで軸ねじり抑制を実現している関係上、位置決め時間が長くなる傾向がある。従って、ゲインk1は、オーバーシュート及び軸振動が許容レベルに収まる範囲内で可能な限り小さく設定している。後述するボールネジユニットの一例においては、ゲインk1=0.4で安定した位置決めを実現できた。
【0033】
次に、本実施形態の原理的な説明を行う。図4において、位置制御器6への入力偏差を演算する減算器5への位置フィードバック信号θL_fbは、第1の実施形態と同じである。すなわち、本実施形態でも、両フィルタ15,16の折れ点周波数fd以上の周波数帯域の信号に関しては、電動機1の位置決め制御装置として機能する。一方、周波数fd以下の周波数帯域の信号に関しては、負荷4の位置決め制御装置として機能していると見なすことができる。従って、負荷4の位置指令値θL **及び補正後の位置指令値θL *についても、周波数fd以上の周波数帯域では負荷4ではなく、電動機1の軸位置に対する位置指令値として作用している。このため、減算器24において、負荷4の位置指令値θL **から負荷4の位置検出値θLを減じた値は、負荷4の位置指令値θL **を与えた場合に発生する軸ねじり量を意味する。従って、この軸ねじり量に前述の軸ねじり量フィードバックゲインk1を乗じた値を位置指令値θL **から減ずることにより、軸ねじり量に応じて、その発生を抑制する補正された位置指令値θL *を得ることができる。
【0034】
図3(c)は、本発明の第2の実施形態による位置決め制御時における位置偏差の収束の様子を示すグラフである。波形27は位置偏差を、波形28は位置指令値を示している。機械系及び制御系の設定条件は、図3(a)、(b)の場合と同一である。本実施形態によれば、同図(b)の第1の実施形態に比較して、更なる軸ねじり抑制によるオーバーシュートの低減効果が得られている。
【0035】
以上に述べた本発明の実施形態を要約すると次の通りである。まず、駆動軸3を介して負荷4と結合した電動機1に給電する電力変換器2を備え、位置制御のために、負荷4の位置検出器14と、電動機1の軸位置検出器12を備えている。制御系として、位置指令値θL **と負荷位置検出値θLとの偏差に応じ速度指令値ωM *を出力する位置制御器6と、この速度指令値ωM *と電動機速度検出値ωMの偏差に応じたトルク電流指令値Iq *を出力する速度制御器8を備える。そして、このトルク電流指令値Iq *に応じて電力変換器2の出力電流Iqを制御する電流制御器10を備えた位置決め制御装置を対象としている。ここで、負荷4の位置検出値θLの低周波域信号を取出すローパスフィルタ15と、電動機1の軸位置検出値θMの高周波域信号を取出すハイパスフィルタ16と、これら両フィルタの出力信号を加算する加算器17を設ける。そして、この加算器17の出力を位置制御器6へフィードバックするフィードバックループを備える。さらに、位置指令値をθL **、負荷の位置検出値をθL、補正ゲインをk1(0<k1<1)とするとき、補正後の位置指令値θL *を前記(4)式に基づいて算出する位置指令値補正手段を備えている。
【0036】
この構成により、電動機1による位置決め制御において、高周波数帯域については、位相遅れを発生する前の電動機1の軸位置検出値θMから位置フィードバック信号を得ることで、位置制御系の安定性を確保できる。一方、低周波数帯域については、位相遅れの少ない負荷4の位置検出値θLから位置フィードバック信号を得て、負荷4の精密な位置決めを実現している。
【0037】
図5は、本発明の第1及び第2の実施形態に共通するハードウェアシステムの構成図である。図5において、29はサーボアンプ、30はサーボアンプ29に位置指令値を発行する上位コントローラである。31はボールネジユニット、32は電動機、33は電動機の位置検出器、34は負荷、35は負荷34を固定するスライダー、36は負荷34の位置検出器である。37は電動機32の位置検出信号θMをサーボアンプ29に伝送するケーブル、38はサーボアンプ29が出力する電動機駆動電力を伝送するケーブル、39は負荷34の位置検出信号θLをサーボアンプ29に伝送するケーブルである。40は上位コントローラ30の発生する位置指令信号θL **をサーボアンプ29に伝送するケーブル、41はサーボアンプ29の電源ケーブル、42は負荷の位置検出器36が読み取る位置情報を記録したリニアスケールである。
【0038】
第1,2の実施形態における電動機1は、図5の電動機32に対応し、以下同様に、軸位置検出器12は位置検出器33に、負荷4は負荷34に、位置検出器14は位置検出器36に、駆動軸3はボールネジユニット31に対応する。負荷34の位置指令値θL **は上位コントローラ30で作成され、図1,4のその他の構成要素は、すべてサーボアンプ29内に含まれる。
【0039】
以上の構成において、スライダー35には、ボールネジユニット31のケース内においてボールネジが貫通しており、スライダー35は、ボールネジの回転方向で回転量に比例して軸方向に移動する構造となっている。ボールネジユニット31内のボールネジは、電動機32の回転軸と直接的もしくは、ギアを介して間接的に結合されており、電動機32の回転子の回転量に比例して回転する。また、電動機32の位置検出器33は、電動機32の回転子に取り付けられており、回転量に比例したパルス数を出力する。一方、負荷34の位置検出器36は、負荷34を運搬するスライダー35に固定されており、負荷34と同一方向に同一の移動量で移動する。このため、ボールネジユニット31の側面に固定したリニアスケール42上の目盛りを位置検出器36で読み取ることにより、負荷34の移動量に比例したパルス数の出力が可能である。このように、第1の実施形態及び第2の実施形態は図5のハードウェア構成で実現可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、位置制御系の高周波域での安定性を向上し、位置決め時のオーバーシュート及びそれに続く軸振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す電動機による位置決め制御装置のブロック図。
【図2】電動機を用いてある質量を有する負荷を有限剛性の駆動軸で駆動する際の電動機の軸位置に対する負荷の位置の伝達特性を表すボード線図。
【図3】本発明の第1の実施形態による位置決め制御特性を説明するグラフ。
【図4】本発明の第2の実施形態による電動機による位置決め制御装置のブロック図。
【図5】本発明の一実施形態によるハードウェアシステムの構成図。
【符号の説明】
1…電動機、2…電力変換器、3…駆動軸、4…負荷、5…位置偏差演算器、6…位置制御器、7…速度偏差演算器、8…速度制御器、9…電流偏差演算器、10…電流制御器、11…電流検出器、12…電動機の軸位置検出器、13…速度演算器、14…負荷の位置検出器、15…ローパス(低域通過)フィルタ、16…ハイパス(高域通過)フィルタ、18…電動機の位置に対する負荷の位置の振幅特性、19…電動機の位置に対する負荷の位置の位相特性、22…第1の実施形態による位置偏差、25…軸ねじり量フィードバック増幅器、27…第2の実施形態による位置偏差、21,23,28…位置指令値、θL **…負荷の位置指令値、θL *…軸ねじり補償後の負荷の位置指令値、θM…電動機の軸位置検出値、θL…負荷の位置検出値、ωM *…電動機の速度指令値、ωM…電動機の速度検出値、θL_fb…位置制御系へのフィードバック信号。
Claims (19)
- 駆動軸を介して負荷を駆動する電動機と、この電動機に給電する電力変換器と、位置指令値と前記負荷の位置検出値との偏差に応じて速度指令値を出力する位置制御器と、この速度指令値と前記電動機の速度検出値の偏差に応じて前記電力変換器を制御する制御手段を備えた位置決め制御装置において、前記負荷の位置検出値の低周波域信号を取出す手段と、前記電動機の軸位置を検出する軸位置検出器と、この軸位置検出値の高周波域信号を取出す手段と、前記負荷の位置検出値の低周波域信号と前記電動機の高周波域信号とを、前記位置制御器へのフィードバック信号とするフィードバックループを備えたことを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
- 請求項1において、前記電力変換器を制御する制御手段は、前記速度指令値と電動機の速度検出値の偏差に応じてトルク電流指令値を得る速度制御器と、このトルク電流指令値に従い前記電力変換器の出力電流を制御する電流制御器を備えたことを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
- 請求項1において、前記負荷の位置検出値の低周波域信号を取出す手段はローパスフィルタであり、前記電動機の軸位置検出値の高周波域信号を取出す手段はハイパスフィルタであることを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
- 請求項3において、前記ローパスフィルタの折れ点周波数と前記ハイパスフィルタの折れ点周波数をほぼ等しく設定したことを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
- 請求項3において、前記ローパスフィルタの折れ点周波数と前記ハイパスフィルタの折れ点周波数を±10%以内の差に設定したことを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
- 請求項3において、前記ローパスフィルタの折れ点周波数と前記ハイパスフィルタの折れ点周波数は、前記電動機から前記駆動軸を介して前記負荷に至る機械系の共振周波数よりも低く設定したことを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
- 請求項3において、前記ローパスフィルタの折れ点周波数と前記ハイパスフィルタの折れ点周波数は、前記電動機から前記駆動軸を介して前記負荷に至る機械系の共振周波数の50%未満に設定したことを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
- 請求項1において、前記位置指令値と前記負荷の位置検出値との関係に基いて前記位置指令値を補正する手段を備えたことを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
- 請求項8において、前記位置指令値の補正は、補正前の位置指令値をθL **、前記負荷の位置検出値をθL、補正ゲインをk1(0<k1<1)とするとき、補正後の位置指令値θL *を次式に基づいて算出する手段を備えたことを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
θL *=θL **−k1(θL **−θL) - 電力変換器から電動機に給電し、この電動機から駆動軸を介して負荷を駆動し、位置制御器に、位置指令値を入力するとともに前記負荷の位置検出値をフィードバックして速度指令値を作り、この速度指令値と前記電動機の速度検出値の偏差に応じて前記電力変換器を制御する位置決め制御方法において、前記位置制御器へのフィードバック信号として、前記負荷の位置検出値の低い周波数帯域の信号と、前記電動機の軸位置検出値の高い周波数帯域の信号を用いることを特徴とする電動機による位置決め制御方法。
- 請求項10において、前記速度指令値と電動機の速度検出値の偏差に応じたトルク電流指令値に従い前記電力変換器の出力電流を制御することを特徴とする電動機による位置決め制御方法。
- 請求項10において、前記負荷の位置検出値の低周波域信号をローパスフィルタを用いて取出し、前記電動機の軸位置検出値の高周波域信号をハイパスフィルタを用いて取出すことを特徴とする電動機による位置決め制御方法。
- 請求項10において、前記負荷の位置検出値の低周波域信号をローパスフィルタを用いて取出し、前記電動機の軸位置検出値の高周波域信号を、折れ点周波数が前記ローパスフィルタの折れ点周波数と±10%以内の差のハイパスフィルタを用いて取出すことを特徴とする電動機による位置決め制御方法。
- 請求項10において、前記負荷の位置検出値のうち、前記電動機から前記駆動軸を介して前記負荷に至る機械系の共振周波数よりも低い周波数帯域の信号を取出し、前記電動機の軸位置検出値のうち、前記共振周波数を含む高い周波数帯域の信号を取出すことを特徴とする電動機による位置決め制御方法。
- 請求項10において、前記負荷の位置検出値の低周波域信号を、前記電動機から前記駆動軸を介して前記負荷に至る機械系の共振周波数の50%未満の低い周波数領帯域で取出し、前記電動機の軸位置検出値の高周波域信号を、前記共振周波数の50%以上の周波数帯域で取出すことを特徴とする電動機による位置決め制御方法。
- 請求項10において、前記位置指令値と前記負荷の位置検出値との関係に基いて前記位置指令値を補正することを特徴とする電動機による位置決め制御方法。
- 請求項16において、前記位置指令値の補正は、補正前の位置指令値をθL **、前記負荷の位置検出値をθL、補正ゲインをk1(0<k1<1)とするとき、補正後の位置指令値θL *を次式に基づいて算出することを特徴とする電動機による位置決め制御方法。
θL *=θL **−k1(θL **−θL) - 駆動軸を介して負荷と結合した電動機と、この電動機に給電する電力変換器と、前記負荷の位置を検出する位置検出器と、前記電動機の軸位置を検出する軸位置検出器と、位置指令値と前記負荷の位置検出値との偏差に応じた速度指令値を出力する位置制御器と、この速度指令値と前記電動機の速度検出値の偏差に応じてトルク電流指令値を出力する速度制御器と、このトルク電流指令値に応じて前記電力変換器の出力電流を制御する電流制御器を備えた位置決め制御装置において、前記負荷の位置検出値の低周波域信号を取出すローパスフィルタと、前記電動機の軸位置検出値の高周波域信号を取出すハイパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力信号と前記ハイパスフィルタの出力信号を加算する加算器と、この加算器の出力を前記位置制御器へフィードバックするフィードバックループを備えたことを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
- 請求項18において、前記位置指令値をθL **、前記負荷の位置検出値をθL、補正ゲインをk1(0<k1<1)とするとき、補正後の位置指令値θL *を次式に基づいて算出する位置指令値補正手段を備えたことを特徴とする電動機による位置決め制御装置。
θL *=θL **−k1(θL **−θL)
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