JP5088413B2 - 電動機の脈動抑制装置 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機のトルク制御装置において、電動機の構造に起因して発生するトルク脈動などを抑制する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機は、構造的な磁束の歪みやコギングトルクを持つため、回転に応じて振動・騒音の一因となるトルク脈動を発生する。また、電動機と負荷との間で多慣性系が構成される場合、その機械系共振点とトルク脈動周波数成分が一致することで過大な軸ねじれトルクが発生し、運転特性上の悪影響やシステム破損の危険がある。
【0003】
これらの対策として、フィードバック制御による軸ねじれ共振抑制手法や、共振の基となるトルク脈動自体をフィードバック制御で低減する手法がある。しかし、フィードバックによる共振抑制方法では、共振周波数とインバータの応答周波数が近い場合、または制御系のサンプリング時間を充分に短くできない場合に共振抑制が困難になる。
【0004】
これらの課題を解決するため、IPMモータ出力のトルクリップルを打ち消す補償信号をフィードフォワード制御でIPMモータのd、q軸電流指令またはトルク指令に加えるようにしたものがある。
【0005】
一方、電動機に発生するトルク脈動は、モータ構造の磁気的な不完全性や、それを駆動するインバータの応答・電流誤差、機械系の特性など、様々な要因が複雑に関連している。ただし、電動機の脈動周期に着目すると、主に回転子位置に依存して発生することが分かっており、これを周期的な外乱と見なして繰り返し補償信号を生成する方法が従来から考えられている。
【0006】
例えば、トルク脈動の検出値をフーリエ変換し、そのフーリエ係数をPI制御器によって制御する手法がある(例えば、特許文献1参照)。トルク脈動検出値をフーリエ変換すると、正弦・余弦の2つのフーリエ係数を導くことができるため、これらの係数が2つともゼロとなるようにPI制御すれば、その係数をもつ周波数成分のトルク脈動を抑制できる。
【0007】
この手法のブロック構成を図17に示し、テンション指令Tsと検出信号Tfの偏差に応じてPI制御部に電流指令Isを得、これを電流制御部ACRでモータMの電流を制御するテンション制御装置において、テンションセンサで検出するテンションに含まれる脈動の正弦項係数と余弦項係数を算出し、これらと指令値「0」との偏差をPI制御で求め、これらを正弦波信号と余弦波信号に変換して電流指令の正弦波および余弦波補正値として加算する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】
日本国の公告特許公報である特公平8−17585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1では、2つのフーリエ係数が2つともゼロとなるようにPI制御することでその周波数成分のトルク脈動を抑制できる。ただし、特許文献1には、PI制御パラメータの調整手法について提案されておらず、厳密なパラメータ調整を必要としない単純なシステムへの適用に限定されるものである。例えば、PI制御パラメータを無調整にしたトルク脈動抑制装置を多慣性系システムに適用すると、機械共振点で過補償となるか、逆に不安定振動を引き起こす原因となる。
【0010】
一方、電動機の中でも特に埋込磁石式同期電動機は、永久磁石によるトルクだけでなく、磁気的異方性を用いたリラクタンストルクも有効活用できる高効率な電動機である。その反面、トルク脈動の観点からは、マグネットトルク脈動とリラクタンストルク脈動の双方が複合的に発生する。この点、特許文献1では、単に電流指令値に脈動補償電流を重畳することのみが記述されており、埋込磁石同期電動機のリラクタンストルクとマグネットトルクの脈動が補償電流によって干渉する問題に触れられていない。また、回転座標変換したdq軸でベクトル制御することが明記されていない。したがって、埋込磁石同期電動機の場合は、必ずしも最適にトルク脈動を抑制できるとは限らず、他の周波数成分へ悪影響を与える可能性もある。
[0011]
本発明の目的は、トルク脈動成分などをフーリエ係数の形で検出し、このフーリエ係数の大きさを「0」とするPI制御器の制御により脈動補償信号を得る脈動抑制装置において、脈動補償信号による過補償や不安定振動、干渉を防いだ安定制御をしながら、脈動補償信号の学習を確実、容易にした電動機の脈動抑制装置を提供することにある。
[0012]
本発明は、前記の課題を解決するため、インバータで駆動する電動機のトルクなどをフーリエ変換し、任意周波数の脈動成分を2つのフーリエ係数の形で検出し、この2つのフーリエ係数の検出による脈動抑制の学習制御系を複素ベクトル平面で構成し、前記脈動補償電流を求めるようにしたもので、以下の構成を特徴とする。
[0013]
(1)インバータで駆動する電動機の脈動検出値をフーリエ変換し、任意周波数の脈動成分を2つのフーリエ係数の形で検出し、学習制御器により脈動を抑制するように学習制御して、ベクトル制御における回転座標系のd軸電流指令値あるいはq軸電流指令値あるいはd軸q軸電流指令値の双方に学習した脈動補償電流を重畳して、脈動を抑制する電動機の脈動抑制装置において、
前記2つのフーリエ係数の検出による脈動抑制の学習制御系を、複素ベクトル平面で構成し、前記脈動補償電流を求める手段を備え、
前記脈動補償電流を求める手段は、複素ベクトル平面で制御対象システムの周波数特性、あるいはシステム同定結果を用いて、それを複素ベクトルで表現し、脈動補償電流と電動機駆動システムから2つのフーリエ係数の干渉項を基に、複素ベクトルの実部と虚部を非干渉化する非干渉化制御要素を備えたことを特徴とする。
[0014]
【0015】
(3)前記手段は、学習制御器をPID制御器で構成し、このPID制御器の出力を前記非干渉化制御要素を通して補償電流を求め、PID制御器のゲインを所望の閉ループ応答となるように極配置する学習制御手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
(4)前記学習制御器の出力段に初期値0の低周波数域通過フィルタを挿入した上で、所望の閉ループ応答となるように極配置し、前記学習制御系の脈動抑制開始時に逆応答またはオーバーシュートが発生するのを防止する手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
(5)前記学習制御器へのフィードバック信号経路に、脈動抑制開始時のみ機能する初期値0の低周波数域通過フィルタを挿入し、脈動抑制開始後および低周波数域通過フィルタの時定数経過後は該フィルタを介さない経路に切り換える手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
(6)前記学習制御器のゲインは、電動機の回転数に適応して可変、自動調整する制御ゲイン自動調整手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
(7)前記学習制御器のフーリエ変換周期を電動機の回転数に合わせて変更することを特徴とする。
【0020】
(8)前記学習制御器の応答周波数を、フーリエ変換周期に適応して設定する手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
(9)前記学習制御器を異なる周波数成分において適用し、それらを並列化して、同時に複数の周波数成分のトルク脈動を抑制する手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
(10)前記脈動成分は、電動機の軸トルク検出値とし、電動機の軸トルクの脈動を抑制することを特徴とする。
【0023】
(11)前記脈動成分は、電動機のフレームの脈動成分とし、電動機のフレームの脈動を抑制することを特徴とする。
【0024】
(12)前記脈動成分は、電動機の回転速度検出値、あるいは回転位置検出値の脈動成分とし、電動機の速度の脈動あるいは回転位置の脈動を抑制することを特徴とする。
【0025】
(13)前記脈動成分は、電動機の電流の脈動成分とし、電動機の電流の脈動を抑制することを特徴とする。
【0026】
(14)前記コントローラによってトルクリプル抑制制御を実行したときに指定した定常動作状態(定常トルク指令・定常回転数)で学習したトルクリプル補償電流iqc *の振幅Mおよび位相φを、トルク指令Tref *と回転数ωを変数とした2次元の振幅テーブルおよび位相テーブルを生成しておく振幅・位相補償テーブルと、
電動機の運転状態での前記トルク指令Tref *と回転数ωからそのときの振幅Mと位相φを前記振幅・位相補償テーブルから読み出し、これら振幅Mと位相φとそのときの電動機の回転位相θを用いて、テーブル補償電流iqct *=M・sin(nθ+φ)を生成する補償電流生成部と、
電動機の運転状態での脈動検出値Tdetをフーリエ変換し、前記テーブル補償電流iqct *と同じ周波数の脈動成分を2つのフーリエ係数の形で検出し、この脈動成分を0にするトルク脈動補償電流iqcc *を求めるトルクリプル抑制制御手段と、
前記トルク脈動補償電流iqcc *と前記テーブル補償電流iqct *を合成して前記d,q軸電流指令値に重畳する補償電流合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0027】
(15)前記コントローラによってトルクリプル抑制制御を実行したときに指定した定常動作状態(定常トルク指令・定常回転数)で学習したトルクリプル補償電流iqc *の振幅Mおよび位相φを、トルク指令Tref *と回転数ωを変数とした2次元の振幅テーブルおよび位相テーブルを生成しておく振幅・位相補償テーブルと、
電動機の運転状態での脈動検出値Tdetをフーリエ変換し、前記テーブル補償電流iqct *と同じ周波数の脈動成分を2つのフーリエ係数の形で検出し、この脈動成分を0にする補償電流振幅指令値M*および補償電流位相指令値φ*を求めるトルクリプル抑制制御手段と、
電動機の運転状態での前記トルク指令Tref *と回転数ωからそのときの前記振幅Mと位相φを前記振幅・位相補償テーブルから読み出し、これら振幅Mおよび位相φと、前記補償電流振幅指令値M*および補償電流位相指令値φ*をそれぞれ合成して合成補償電流振幅値M’および合成補償電流位相値φ’を生成する合成手段と、
前記合成補償電流振幅値M’と合成補償電流位相値φ’およびそのときの電動機の回転位相θを用いて、テーブル補償電流iqc *=M’・sin(nθ+φ’)を生成する補償電流生成部とを備えたことを特徴とする。
【0028】
(16)前記コントローラによってトルクリプル抑制制御を実行したときに指定した定常動作状態(定常トルク指令・定常回転数)で学習したトルクリプル周波数成分の補償電流余弦フーリエ係数テーブル値Aおよび補償電流正弦フーリエ係数テーブル値Bを、トルク指令Tref *と回転数ωを変数とした2次元のテーブル値として生成しておくフーリエ係数補償テーブルと、
電動機の運転状態での脈動検出値Tdetをフーリエ変換し、前記フーリエ係数補償テーブルのテーブル値A,Bと同じ周波数の脈動成分を0にする2つの補償電流余弦フーリエ係数A*と補償電流正弦フーリエ係数B*を求めるトルクリプル抑制制御手段と、
電動機の運転状態での前記トルク指令Tref *と回転数ωからそのときの前記フーリエ係数テーブル値AおよびBを前記フーリエ係数補償テーブルから読み出し、これらフーリエ係数テーブル値AおよびBと、前記補償電流余弦フーリエ係数A*と補償電流正弦フーリエ係数B*をそれぞれ合成して補償電流余弦フーリエ係数合成値A’と補償電流正弦フーリエ係数合成値B’を生成する合成手段と、
前記フーリエ係数合成値A’と補償電流正弦フーリエ係数合成値B’およびそのときの電動機の回転位相θを用いて、振幅M=√(A’2+B’2)、位相φ=tan-1(B’/A’)のテーブル補償電流iqc *=M・sin(nθ+φ)を生成する補償電流生成部とを備えたことを特徴とする。
【0029】
(17)前記補償テーブルと合成手段とトルクリプル抑制制御手段および補償電流生成部は、複数次数成分で個別に振幅M、位相φを生成またはフーリエ係数を生成し、これら次数別に合成して補償電流を生成する手段を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る電動機のトルク制御装置の構成図。
【0031】
【図2】本発明に係る学習制御系のブロック構成図。
【0032】
【図3】実施形態1におけるシステム同定装置の概略図。
【0033】
【図4】トルク脈動補償電流と同定システムの特性図。
【0034】
【図5】非干渉化制御の構成図。
【0035】
【図6】実施形態2における非干渉化制御の構成図。
【0036】
【図7】非干渉化実現後の制御系のブロック図。
【0037】
【図8】非干渉化後の制御構成図。
【0038】
【図9】実施形態4における非干渉化制御のブロック図。
【0039】
【図10】1次ローパスフィルタの構成図。
【0040】
【図11】実施形態3,4によるI−P制御波形図。
【0041】
【図12】実施形態6における非干渉化制御の構成図。
【0042】
【図13】実施形態7における非干渉化制御の構成図。
【0043】
【図14】実施形態8における非干渉化制御の構成図。
【0044】
【図15】実施形態9における非干渉化制御の構成図。
【0045】
【図16】実施形態10における非干渉化制御の構成図。
【0046】
【図17】トルク脈動抑制ブロック付きのテンション制御装置の構成図。
【0047】
【図18】実施形態11における電動機のトルク制御装置の構成図。
【0048】
【図19】実施形態12における電動機のトルク制御装置の構成図。
【0049】
【図20】実施形態13における電動機のトルク制御装置の構成図。
【0050】
【図21】実施形態14における電動機のトルク制御装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(基本構成)
本発明の実施形態を説明する前に、本発明による脈動抑制装置の基本構成を説明する。
【0052】
図1は、本発明に係る電動機のトルク制御装置の構成を示す。トルク脈動の発生源となる電動機1と、何らかの負荷装置2をシャフト3で結合し、その軸トルクをトルクメータ4で計測してコントローラ5に入力する。また、ロータリエンコーダ等の回転位置センサ6を用いて電動機の回転子位置情報を入力する。コントローラ5は、トルク脈動抑制手段を搭載し、トルク指令値(あるいは速度指令値)に基づいて生成された電流指令値に、トルク脈動補償電流を上乗せした指令値をインバータ7に与える。図1の例では、インバータ7で電流ベクトル制御することを考慮して、電動機の回転に同期した回転座標(直交dq軸)上のd軸、q軸電流指令値id *、iq *を与えている。
【0053】
コントローラ5は、軸トルクメータ4によるトルク検出値からトルク脈動を検出しているが、この形態はあくまで一例であり、フレームに設置した加速度センサによるフレーム振動検出、エンコーダ等による回転速度/位置変動検出、あるいは電流センサによる電流脈動検出に置き換え、電動機の軸の脈動抑制や電動機のフレームの脈動抑制、電動機の速度の脈動抑制あるいは回転位置の脈動抑制、電動機の電流の脈動抑制をすることが可能である。
【0054】
図1の装置構成において、トルク脈動は電動機の構造上、回転子位置に応じて周期的に発生することが知られている。また、3相モータのトルク脈動は、主として電気的な回転基本周波数の6×n倍(nは正の整数:以後、6倍成分を6f、12倍成分を12fといったように表現する)の周波数成分が大きくなることも知られている。そのほか、インバータの不完全性などにより、1f、2fトルク脈動が現れることもある。また、図1のように軸ねじれ共振が起こり得るシステムにおいては、機械共振点に近い脈動成分が増幅されて現れる。
【0055】
本発明では、これらの様々な周波数成分が入り交じったトルク脈動をフーリエ変換に基づいて抽出する。すなわち、図1における軸トルクメータ4の検出値Tdetを、電動機回転子位相θを用いて任意次数毎のフーリエ変換を行う。ここで、フーリエ級数は以下の式で定義される。ωは電気角周波数、Trは任意に定義される脈動成分の1周期を意味する。
【0056】
【数1】
Figure 0005088413
ただし、
【0057】
【数2】
Figure 0005088413
【0058】
上記の数式2で示されるフーリエ係数TAn、TBnは、電動機回転数および周期的外乱である脈動成分が任意期間で一定であれば直流値を出力することに着目する。仮に何らかの制御を与えてこれらの係数がどちらも0で定常となれば、その周波数成分のトルク脈動は抑制されたことを意味する。
【0059】
そこで、本発明では、目標値を0としたPI制御系を考え、トルク脈動成分のフーリエ係数が両方とも0となるように学習制御する手法を提案する。この手法は前記の特許文献1における図17と類似するが、本発明では、図2に示すように、特許文献1の手法をベクトル制御系に拡張するとともに、多慣性系システムの発散防止処理などの改善を図り、また、実際のインバータ駆動装置および軸トルクフィードバック信号に基づいて学習的にトルク脈動を補償することで、トルク脈動を高い精度で抑制する。
【0060】
図2について説明する。正弦・余弦波生成器11では、電動機の回転子位相角θと、抑制したい脈動成分の次数nを設定し、基準となる周波数の正弦・余弦波を生成する。フーリエ変換部12では、この正弦・余弦波および任意のフーリエ変換周期Trを設定して、トルク検出値Tdetを数式2に基づきフーリエ変換し、n次のフーリエ係数TAn、TBnを演算する。ここで、前記の数式2のフーリエ変換の積分処理を適度な時定数を持つ低周波数域通過フィルタ(ローパスフィルタ)に置き換えることも可能である。
【0061】
次に、これらの脈動成分のフーリエ係数が目標値0(すなわち脈動を抑制)となるように2つのPI制御器13A,13Bで各々制御する。PI制御器の構成方法は任意であり、トルク脈動のフーリエ係数を0に制御するための出力IAn、IBnをそのまま補償電流信号のフーリエ係数として、フーリエ変換部と同じ正弦・余弦波を乗算器14A,14Bでそれぞれ乗算して逆変換する。つまり、時間波形の補償電流信号として復元する。復元したトルク脈動補償電流はベクトル制御インバータ16のd軸あるいはq軸電流指令値に重畳する。図2では、q軸電流指令値にのみ重畳した例である。ここでは、重畳する前のd軸、q軸電流指令値をそれぞれIdo、Iqoと定義し、これらは指令値変換部15でトルク指令値から任意の配分で各軸電流指令値に変換したものを用いる。例えば、指令値変換部15は最大トルク制御を実現する指令値変換テーブル等で構成される。なお、インバータ16は3相から回転座標変換したd軸、q軸において電流ベクトル制御を実現する一般的な電動機駆動装置であり、電動機負荷17を駆動する。
【0062】
ここで、図1のような装置構成の機械系を、電動機1と負荷装置2による2慣性系システムとして捉えた場合、軸トルク検出値はその機械特性に依存して共振点を持ち、任意動作点でゲインや位相特性が急変する。したがって、機械特性が不明のままフィードバック学習制御を行うと単純に安定とはならず、逆に発散方向に脈動補償してしまうケースもあり得る。
【0063】
そこで、軸トルク検出値をフィードバックして最適なトルク脈動の補償信号を学習生成するため、PI制御出力(補償電流のフーリエ係数)の応答が定常値に落ち着くまでの時間を学習時間として、脈動補償電流のフーリエ係数IAn、IBnを低周波数域通過フィルタ(LPF)18を介してメモリ19に記録する。一旦、学習した後は、メモリ19からの読み出し値にセレクタ20A,20Bを切り換えて、フィードフォワード制御でトルク脈動を抑制する。RMS評価&ゲイン調整器21は、トルク脈動検出値フーリエ係数の2乗平均平方根:RMS(数式3)を用いて脈動成分の振幅値を評価し、発散・収束条件を判別し、学習時間を決定している。
【0064】
【数3】
Figure 0005088413
【0065】
また、RMS評価&ゲイン調整器21は、上記RMS評価値が仮に発散方向となり、トルク脈動学習制御系が不安定となった場合は、PI制御器13A,13Bの2つの比例ゲインの極性の組み合わせから、収束方向となる組み合わせを探索して調整し、これにより多慣性系システムのゲイン・位相特性の変動に対応する。
【0066】
このPI制御器のゲイン調整に関しては、逐次、トルク脈動評価値の収束性を見てから調整量を少しずつ増減していく簡易的な調整手法であるが、調整時間・学習時間が長くなる場合がある。特に、初期値を小さく設定している場合に学習遅れが顕著となり、収束性の判別も難しい。逆に初期値が大きすぎると発散・振動的になり、最悪の場合は収束条件の探索自体も困難となる可能性がある。
【0067】
本発明では、トルク脈動補償信号の学習に、PI制御器のゲインの初期ノミナル値に適切な値を得、トルク制御系の応答に適応した学習速度と安定性を得るものである。以下、実施形態を説明する。
【0068】
(実施形態1)
本実施形態は、基本的な制御ブロック構成は図2と同様であり、フーリエ係数学習制御系を用いる。
【0069】
本実施形態では、電動機駆動装置の周波数特性を予め把握することから始める。周波数特性の把握やシステム同定を行う手法は多種多様であるが、これらは既知の一般的技術であるため、本実施形態では特定の手法に限定しない。例えば、図3のように、トルク指令値変換部15で発生する電流指令でインバータ16と電動機負荷17の運転を行うシステムの任意の定常動作状態において、システム同定装置22は、白色雑音信号をトルク脈動補償電流iqcとしてトルク電流指令値に重畳する(図3はq軸電流に重畳しているが、d軸、あるいはその両方でも良い)。そのときの軸トルク検出値Tdetをシステム出力信号として、システムの入出力データを得る。その入出力の時系列データから周波数応答をスペクトル解析し、トルク脈動補償電流指令値から軸トルク検出値までの周波数伝達関数を取得する。
【0070】
システム同定理論に基づいて定式化することもできるが、本実施形態では以下の数式4のように、伝達関数を複素ベクトルの集合で表現する。集合の要素は各周波数におけるゲイン・位相特性を示す複素ベクトルに対応する。
【0071】
【数4】
Figure 0005088413
ただし、PSYS^:同定システム、m:周波数成分の分割要素番号、PAm:m番要素の同定システム実数部、PBm:m番要素の同定システム虚数部
【0072】
ここで、mについて説明する。例えば、同定に必要な周波数成分を直流〜5kHz、分解能を1Hzとすると、要素数は5001個となる。したがって、m={0、1、2、3、・・・、4999、5000}として、各要素(周波数成分)には、スペクトル解析結果あるいはシステム同定結果を当てはめる。周波数成分毎のシステムのゲイン・位相特性は、複素平面の複素ベクトルで表現できるため、数式4のように表現できる。
【0073】
ところで、フーリエ変換を用いると任意周波数成分のトルク脈動を抽出することができる。数式2に示したように、2つのフーリエ係数は直交性を有するので、任意の周波数成分のシステム状態に着目して上述の数式4の複素ベクトルを用いれば、フーリエ係数を用いたトルク脈動抑制学習制御系を複素ベクトル空間で構築することが可能となる。
【0074】
以下の数式5および図4は、トルク脈動補償電流と同定システムの特性を複素ベクトル空間で示したものである。ここで、数式4の同定システムとフーリエ係数の位相基準、遅れ・進み方向の定義を統一しておく。
【0075】
【数5】
Figure 0005088413
【0076】
このように、フーリエ変換後のフーリエ係数学習制御系でシステム特性を表すと、図4に示すとおり、システムは2つのフーリエ係数制御系(実部の系と虚部の系)が干渉する項を持っていることが分かる。そこで、本実施形態では、複素ベクトルの実部と虚部の非干渉化制御を実現する。図5は、その構成例であり、実システム23の前段で非干渉化制御要素24を介挿する。
【0077】
フーリエ変換によって周波数成分を抽出する際の応答を伝達関数GFTで表現すると、任意周波数成分のトルク脈動のフーリエ係数TAn(実部:cos成分)、TBn(虚部:sin成分)は、数式6で示される。
【0078】
【数6】
Figure 0005088413
【0079】
上記の数式6に示すとおり、脈動補償電流の実部と虚部が干渉しているため、干渉項の影響を打ち消すように図5に示す非干渉化制御要素24を追加する。この非干渉化制御要素24によって、数式6は以下の数式7ように置き換えられ、トルク脈動の実部TAnは脈動補償電流の実部IAn、虚部TBnは脈動補償電流の実部IBnの関係式で分離することが可能となる。
【0080】
【数7】
Figure 0005088413
【0081】
上記の数式7により、実部の制御系と虚部の制御系は独立となり、かつ、全く同じ制御構成となる。
【0082】
したがって、本実施形態を適用すれば、2つのフーリエ係数学習制御系の補償電流の干渉による悪影響を除去し、振動的な応答を低減できるだけでなく、制御系を構築する上で簡素化することが可能となる。
【0083】
(実施形態2)
実施形態1によって、フーリエ変換後のトルク脈動フーリエ係数と補償電流を、複素ベクトル空間で非干渉化できたので、これを用いて制御器を構築する。制御器は従来方式の図2と同様に、一般的なPID制御を用いる。PID制御にも種々の方式があるが、本実施形態では一例として比例先行型I−P制御を用いて説明する。PID制御器の構成方法は任意であり、そのほかの場合でも同様に構成可能である。
【0084】
本実施形態の全体構成を図6に示す。なお、図中「s」はラプラス演算子である。図6ではトルク脈動成分のみに着目した制御構成図で示し、I−P制御器26に対し、非干渉化制御要素24を介挿し、フーリエ変換部25A,25Bによって周波数成分を抽出する伝達関数GFTを通した非干渉化した出力をフィードバック信号とする。
【0085】
図6において、2つのフーリエ係数の目標値TAn *およびTBn *は、通常は0であり、その周波数成分の脈動を抑制するように設定する。フーリエ係数の検出値TAnおよびTBnは、数式7のように実システムとフーリエ変換応答を介して検出される。目標値と検出値を、図6に示すような比例先行型I−P制御器に入力する。このときの比例ゲインをKp、積分ゲインをKiとする。I−P制御器の出力は脈動補償電流のフーリエ係数として出力するが、実施形態1の非干渉化制御要素を用いて干渉項の影響を除去する。トルク脈動補償電流を複素ベクトルに復元したiqcを時間軸の波形でq軸電流指令値に重畳し、ベクトル制御インバータを介して電動機負荷を駆動する。このとき、周期的外乱としてトルク脈動成分を検出することになるので、軸トルクTsnに含まれる脈動成分をフーリエ変換によって抽出し、複素ベクトル空間における実部TAnと虚部TBnに分離してI−P制御系にフィードバックする。以上の制御により、フーリエ係数学習制御系を複素ベクトル空間で構築することができる。
【0086】
ここで、前記の数式7により、非干渉化実現後の制御系を簡単化して示すと、図7のように2つのフーリエ係数I−P学習制御系を独立して表現できる。この制御系に基づき、指令値TAn *およびTBn *から検出値TAnおよびTBnまでの閉ループ系伝達関数をそれぞれ計算すると、以下の数式8のようになる。ただし、本実施形態では一例として、フーリエ変換応答伝達関数GFTを以下の数式9に示す簡素な一次遅れ系で近似する。
【0087】
【数8】
Figure 0005088413
【0088】
【数9】
Figure 0005088413
fは、フーリエ変換応答周波数[rad/s]
【0089】
上記の数式8の閉ループ系応答を考慮して比例ゲインと積分ゲインを決定すれば、学習制御系を任意の極配置で設計できる。以下、数式8を二項係数標準系モデルにマッチングした極配置とする例を挙げる。極配置の方法は他にもバターワース標準系などがあり、同様に計算できる。
【0090】
数式8は2次系であるので、以下の数式10に示す2次系の二項係数標準系にモデルマッチングする。
【0091】
【数10】
Figure 0005088413
cは、学習制御応答周波数[rad/s]であり、フーリエ変換応答周波数wfを超えない条件下で所望の値を任意に設定する。
【0092】
数式8と10を係数比較し、比例ゲインKpと積分ゲインKiを求めると以下のようになる。
【0093】
【数11】
Figure 0005088413
【0094】
このように、予めシステム同定により求めておいたPAm、PBmおよびフーリエ変換応答周波数wf、所望の学習制御応答周波数wcを数式11に代入すれば、一意に制御ゲインを決定することができるので、これを学習制御系のノミナル初期値としてトルク脈動抑制制御を開始する。
【0095】
学習制御の手法は、数式3のトルク脈動評価値の収束性を判別しながら微調整すればよいが、システム同定結果がある程度正確に得られていれば、ほとんど調整することなく初期値のままで十分に抑制が可能である。
【0096】
したがって、本実施形態によれば、非干渉化した閉ループ系の応答をシステム同定結果に基づき所望の極配置に近似することができるので、学習制御系の制御ゲイン調整時間を不要、あるいは大幅に低減することができる。
【0097】
(実施形態3)
実施形態2による比例先行I−P形学習制御において、トルク脈動抑制開始のタイミングで一時的に逆応答が発生し、過大な軸トルクとなる場合がある。過渡的な挙動であるため時間が経過すれば問題ないが、瞬時的な過大トルクは、例えば故障判断や動作停止処理等に誤動作を与える可能性がある。
【0098】
すなわち、図6、図7の構成では、I−P制御の比例先行経路が直接的に制御出力に繋がって補償電流を形成するので、抑制開始直前のトルク脈動検出値のフーリエ係数(直流値)が比例ゲインを介して何らかの値を持つ。そのため、抑制制御を開始した瞬間に、補償電流値はステップ的に変化する。後段の非干渉化制御も関連するが、そのときのコントローラ特性によっては、上述の逆応答問題がステップ的に発生し、一時的な過大トルクを生じる原因となる。
【0099】
そこで、本実施形態ではI−P学習制御系の出力段に低周波数域通過フィルタ(ローパスフィルタ)を挿入する。ローパスフィルタに用いられる積分器の初期値は0としておき、抑制開始前は常時リセットして初期値を維持しておく。これにより、比例先行経路に初期値0のローパスフィルタが入り、抑制開始のタイミングで過大トルクの原因となるステップ的な逆応答が抑制される。
【0100】
本実施形態の非干渉化後の制御構成図を図8に示す。図7と図8を比較して分かるように、I−P制御出力段に、以下の数式12で示す、GLPF1の伝達関数になる1次ローパスフィルタを追加している。
【0101】
【数12】
Figure 0005088413
Lは、ローパスフィルタのカットオフ周波数[rad/s]
【0102】
このときの閉ループ系伝達関数は、以下の数式13となる。
【0103】
【数13】
Figure 0005088413
【0104】
この伝達関数を、以下の数式14で示される3次の二項係数標準系に極配置を近似すると、比例ゲイン、積分ゲイン、およびローパスフィルタのカットオフ周波数は数式15となる。
【0105】
【数14】
Figure 0005088413
【0106】
【数15】
Figure 0005088413
cは、学習制御応答周波数[rad/s]であり、フーリエ変換応答周波数wfを超えない条件下で所望の値を任意に設定する。ただし、wLは正の周波数でなければならないので、wc>wf/3でなければならない。
【0107】
以上から、本実施形態においても適応的に比例ゲイン、積分ゲイン、ならびにローパスフィルタカットオフ周波数を可変することができる。しかも、本実施形態によれば、数式15に基づき適応的に学習制御パラメータを決定できるとともに、トルク脈動抑制開始時の応答を改善することができる。
【0108】
(実施形態4)
実施形態3ではI−P制御器の出力にローパスフィルタを挿入した上で、3次系の閉ループ特性を再設計した。本実施形態では次数を高くすることなく、数式8、数式10の2次系閉ループ特性を維持した上で、抑制開始時の逆応答を改善する手法を提供する。
【0109】
図9は本実施形態の制御構成図である。図9のGLPF2は、トルク脈動抑制開始時のみ機能するローパスフィルタで、トルク脈動抑制制御を開始した後はローパスフィルタを介さない経路に切り換える。
【0110】
図10は1次ローパスフィルタを用いた場合の構成例である。抑制開始信号に同期した切り換え機構を持つ。抑制開始前は、ローパスフィルタ部にトルク脈動検出値のフーリエ係数(直流値)が入力されているので、定常状態ではローパスフィルタ出力とトルク脈動検出値はほぼ一致しており、それらを加減算した偏差は0である。この偏差0は、抑制開始時の出力の初期値となる。
【0111】
次に、トルク脈動抑制が開始されると、スイッチが切り替わり、ローパスフィルタの入力は0となる。ローパスフィルタの積分器は、抑制開始直前のトルク脈動値を初期値としているので、その値から応答周波数wLの特性に従って徐々に0へと近づく。その結果、後段の偏差出力は初期値0から徐々にトルク脈動検出値の値へと近づく。最終的には、ローパスフィルタ出力が0となり、トルク脈動検出値がそのまま出力に繋がる経路となる。
【0112】
図9、図10の構成を用いれば、制御系の次数を高くすることなく、トルク脈動抑制開始時のみローパスフィルタ特性を与えて逆応答による過大トルクを抑制できる。
【0113】
上記の実施形態3,4を適用したことによる改善効果を図11に示す。同図の(a)は通常のI−P制御による各部波形、(b)は実施形態3,4の手法になるフィルタ付きI−P制御の各部波形を示す。波形は上から、軸トルク検出値、トルク脈動のフーリエ係数抽出値(例として12次脈動成分)、補償電流指令値(12次補償成分)、トルク脈動の振幅評価値(数式3)である。
【0114】
通常のI−P制御による手法では、抑制開始時に軸トルク脈動成分が瞬時的に大きくなっていることが分かる。また、補償電流も逆応答とオーバーシュートを発生している。一方、フィルタ付きI−P制御による手法では、軸トルク脈動がスムーズに抑制され、補償電流も逆応答やオーバーシュートを発生しない。
【0115】
(実施形態5)
実施形態2〜4では、電動機駆動システムが定常動作条件であることを仮定し、数式11に基づいて比例ゲインKpと積分ゲインKiのノミナル初期値を与えたが、本実施形態ではフィードバック学習制御中も常に数式11または数式15に基づいて可変とする。すなわち、電動機の回転速度の変動に適応した制御ゲイン自動調整を行う。
【0116】
本実施形態を具体的に説明する。前記の数式11のパラメータの内、システム同定により求めたPAm、PBmは周波数に依存する成分である。つまり、回転速度と補償次数に応じて、システム応答を表す複素ベクトルの集合として記録しておいたシステムPsys(数式4)から、対応する周波数成分の1要素(1次元複素ベクトル)を読み出す必要がある。回転数が変動すると、例えば機械共振点付近ではシステムのゲイン・位相特性が大きく変動するため、これに適応して数式11を構成することが望ましい。
【0117】
そこで、本実施形態では、数式11のPAm、PBmを回転速度に応じて変更する。同様に、数式15のPAm、PBmを回転速度に応じて変更する構成とすることもできる。
【0118】
本実施形態によれば、速度変動に適応してシステム同定結果を読み出すので、共振点付近などでシステム特性が大きく変動しても、閉ループ系の極配置や非干渉化制御の誤差を低減し、トルク脈動抑制制御を維持することができる。
【0119】
(実施形態6)
フーリエ変換は、固定の周期で計算することも可能であるが、電動機の場合は回転に同期した周期的なトルク脈動を発生するため、フーリエ変換の周期も回転速度に合わせて変更することが望ましい。
【0120】
そこで、本実施形態では実施形態5に加えて、フーリエ変換周期も回転速度に適応させる。これに伴い、数式9で近似したフーリエ変換応答周波数wfも回転速度に合わせて変更する。また、学習制御応答周波数wcは、原理的にフーリエ変換以上の応答性能を出すことができないため、wcも同様に回転速度に適応させる。
【0121】
本実施形態のブロック構成を図12に示し、ゲイン自動調整部27により回転速度に応じて比例ゲインKpと積分ゲインKiを自動調整し、速度自動調整部28によって回転速度に応じてPAm、PBmを自動調整する。
【0122】
本実施形態によれば、フーリエ変換周期を回転速度に応じて変更できるので、各速度でトルク脈動の抽出性能を向上させることができると共に、数式11で示す学習制御パラメータも所望の閉ループ応答となるように自動調整することができる。
【0123】
(実施形態7)
以上までの実施形態は、任意のひとつの脈動周波数成分についての抑制制御手段であったが、上記構成を並列化すれば複数のトルク脈動周波数成分を抑制することが可能となる。この場合、システム同定結果の複素ベクトルテーブルについては併用できるが、フーリエ変換処理や適応ゲイン自動調整処理については、各々の周波数成分で別途用意する。
【0124】
本実施形態の構成図を図13に示す。291〜29nはフーリエ級数の1次〜n次の次数別に脈動成分を抑制する制御要素になり、これらによる補償電流信号iqc1〜iqcnを加算器30で互いに重畳させ、トルク脈動補償信号iqcとする。
本実施形態によれば、複数のトルク脈動周波数成分を同時に抑制することができる。
【0125】
(実施形態8)
上述までの実施形態では、軸トルクをフィードバックする構成を基にトルク脈動補償方式を提案したが、フィードバックする対象を変更することも可能である。
【0126】
本実施形態では、図14のように、加速度センサ8による振動を検出してフィードバックする構成とする。制御方法については上述までの実施形態と同様である。
【0127】
本実施形態によれば、モータフレームの振動やトルク脈動を抑制することができる。
【0128】
(実施形態9)
本実施形態では、回転位置センサから提供される位相・速度情報の変動を検出して、その変動を抑制するように制御する。制御内容は基本的に上述までの実施形態と同様である。
【0129】
装置構成としては、図15に示すようになる。
【0130】
本実施形態によれば、速度変動や回転位相変動を抑制することができる。
【0131】
(実施形態10)
本実施形態では、インバータ7からトルク脈動補償対象の電動機1に電源供給する3相ラインの電流を電流センサで検出して、トルク脈動に起因した電流脈動を抑制する。
【0132】
装置構成は図16に示すようになり、電流センサ9を新たに追加し、コントローラ5ではこの電流検出値を使った補償電流処理を行う。
【0133】
本実施形態によれば、インバータ電流検出値を用いてインバータ電流脈動を抑制することができる。さらには、インバータ電流から換算したトルク推定値を用いてトルク脈動を抑制することもできる。
【0134】
(実施形態11)
前記までの実施形態によるトルクリプル抑制制御では、トルクリプル周波数に同期した周波数成分のシステム伝達関数を1次元複素ベクトルで表現し、任意周波数成分のトルクリプルの実部・虚部をフーリエ変換等で抽出し、その余弦・正弦フーリエ係数を複素ベクトルの実部・虚部に当てはめて、フィードバック抑制制御系を構築する。
【0135】
さらに、比例先行I−P制御系の閉ループ特性が部分的モデルマッチング法により、任意の標準系規範モデルの極配置と一致するように比例・積分ゲインを決定している。また、それらはシステム同定結果と回転速度情報を用いて自動的にパラメータを適応させ、多慣性共振系システムヘの実装を容易にしている。
【0136】
また、任意の定常動作点(定常トルク・定常回転数)において抑制完了したときの補償電流信号の振幅・位相を保存し、それを複数の動作点で実施して、トルク・回転数の2次元テーブルとして実装することも可能である。この場合、トルク・回転数情報をテーブルに入力し、読み出した補償電流振幅・位相データから補償電流を再現してフィードフォワードで制御する。
【0137】
上記の補償電流テーブルでフィードフォワード的にトルクリプルを抑制するテーブル補償方式では、予め学習した結果を補償テーブルから読み出して補償するため回転速度やトルクの変化に対する即応性が良い、学習済みの補償テーブルを用いるので電動機に接続する負荷を取り替えても問題ない、軸トルク検出器も不要、基本的にテーブルを実装するのみであるため演算負荷を軽減できる、という利点がある。
【0138】
しかし、電動機やインバータ等の特性が経時変化した場合、学習したときの条件と異なってしまい、補償精度が低下する可能性がある。
【0139】
本実施形態11および後に示す実施形態12〜14は、上記のテーブル補償方式によるトルクリプル抑制に、電動機やインバータ等の特性が経時変化した場合にも補償精度を確保できる制御装置を提案するものである。
【0140】
図18は、本実施形態による電動機のトルク制御装置のブロック構成を示し、電流ベクトル制御方式のインバータ制御に、テーブル補償にオンライン補償を併用してトルクリプルを抑制する。
【0141】
図18において、インバータ7の電流ベクトル制御部31は、電流センサ32で検出するモータ駆動電流iu,iv,iwとモータ1のロータ回転角度θから座標変換部33によりモータ回転座標に同期したdq軸直交回転座標系の電流に変換したd,q軸電流検出値との比較によりモータ電流の制御を行う。ロータ回転角度θは回転位置センサ6によるエンコーダ波形abzから速度・位相検出部34により速度ωと共に求められる。
【0142】
トルク/id,iq変換部35(図2の指令値変換部15)は、コントローラ5からのトルク指令値Trefとモータ回転速度ωから、ベクトル制御における回転dq座標系のd軸およびq軸電流指令値id *(Ido)、iq0 *(Iqo)に変換し、これら電流指令値のうちq軸電流指令値iq0 *にトルク脈動補償電流iqcm *を重畳して電流ベクトル制御指令値とする。
【0143】
ここで、補償テーブル36と補償電流生成部37は、図2に示すローパスフィルタ18とメモリ19に相当するもので、任意の定常動作点(定常トルク・定常回転数)においてトルク脈動のフーリエ係数を0に制御するための出力IAn、IBnを記憶するメモリ19の補償電流信号に代えて、振幅Mと位相φのテーブルデータとして保存し、これらデータから補償電流を生成する。
【0144】
振幅・位相補償テーブル36は、図2のメモリ19と同様に、コントローラ5によって学習したトルクリプル補償電流出力IAn、IBnに相当する振幅Mおよび位相φを記録する。この作業を複数の定常動作点で同様に記録して、トルク指令Tref *と回転数ωを変数とした2次元の振幅テーブルおよび位相テーブルを生成する。データ間の情報は線形補間等で補間する。
【0145】
補償電流生成部37は、運転状態(トルク指令・回転数)からそのときの振幅Mと位相φを振幅/位相補償テーブル36から読み出し、これら読み出した振幅Mと位相φは、そのときの回転位相θを用いて、テーブル補償電流iqct *=M・sin(nθ+φ)を生成する(nは補償次数)。この生成したテーブル補償電流iqct *は、コントローラ5からのオンライン補償電流iqc *と合成してq軸電流指令値iqcm *とする。
【0146】
コントローラ5は、図1と同様に、トルクリプル抑制制御手段を搭載し、このトルクリプル抑制制御手段としては例えば図2に示すように、基準となる周波数(次数n)と位相θをもつ正弦・余弦波を生成する正弦・余弦波生成器11と、これら正弦・余弦波の設定と任意のフーリエ変換周期Trを設定して、軸トルク検出値Tdetを数式2に基づきフーリエ変換し、n次のフーリエ係数TAn、TBnを演算するフーリエ変換部12と、これらの脈動成分のフーリエ係数が目標値0(すなわち脈動を抑制)となるように各々制御する2つのPI制御器13A,13Bと、これらの出力IAn、IBnをそのまま補償電流信号のフーリエ係数として、トルク脈動補償電流iqcc *として求める乗算器14A,14Bとを備える。そして、求めたトルク脈動補償電流iqcc *は補償電流生成部37からのテーブル補償電流iqct *と合成して、ベクトル制御インバータ7のq軸電流指令値iq0 *への補償信号にする。
【0147】
したがって、補償テーブル36および補償電流生成部37で学習しておいたトルクリプルの補償電流iqct *が周辺温度の変化や経時的な物性変化などによりずれてしまった場合にも、コントローラ5によるオンライン補償のフィードバックループが働いて、テーブル補償電流の精度が低下するのを防止できる。
【0148】
なお、テーブル補償電流iqct *は、学習済みの補償電流テーブル36から瞬時に振幅・位相を得て補償電流を生成するので、速度変化やトルク変化が起きた場合にも好適な補償電流を迅速に出力することができる。
【0149】
(実施形態12)
図19は、本実施形態による電動機のトルク制御装置のブロック構成を示し、基本的な構成および作用は図18と変わらないが、補償テーブル36で発生する補償電流の振幅M・位相φの誤差を補正するように、コントローラ5からオンライン補償フィードバックループを構成する。
【0150】
図19において、M*は補償電流振幅指令値(オンライン補償分)、φ*は補償電流位相指令値(オンライン補償分)であり、合成器38,39ではこれらを補償電流の振幅M・位相φにそれぞれ合成して補償電流生成部37への補償電流振幅値(合成値)M’、補償電流位相値(合成値)φ’とする。
【0151】
実施形態11では、補償電流生成後にテーブル補償電流iqct *とオンライン補償電流iqc *を合成していたが、本実施形態では振幅・位相の状態で合成する。すなわち、補償テーブル振幅値M、および補償テーブル位相値φを、それぞれオンライン補償振幅値M*とオンライン補償位相値φ*と合成して、合成補償電流振幅値M’、合成補償電流位相値φ’を生成する。補償電流生成部37では、iqc *=M’・sin(nθ+φ’)にて、最終的な補償電流iqc *を生成する。(nは補償次数)
【0152】
本実施形態によれば、振幅・位相という直感的にわかりやすい状態量でテーブル誤差を把握・補正できるとともに、補償電流生成部37を一カ所に纏めることができる。
【0153】
(実施形態13)
図20は本実施形態による電動機のトルク制御装置のブロック構成を示し、実施形態12(図19)の補償テーブル36の振幅M・位相φに代えて、図2のメモリ19と合成器14A,14Bと同様に、余弦フーリエ係数および正弦フーリエ係数として補償電流を求める構成である。
【0154】
補償テーブル40は、トルク指令Tref *と回転速度ωに応じて補償電流余弦フーリエ係数テーブル値Aと補償電流正弦フーリエ係数テーブル値Bを発生し、コントローラ5はオンライン補償電流余弦フーリエ係数A*とオンライン補償電流正弦フーリエ係数B*を発生し、合成器38,39ではこれらを合成して補償電流余弦フーリエ係数合成値A’と補償電流正弦フーリエ係数合成値B’を得る。
【0155】
トルクリプル抑制制御手段を搭載したコントローラ5では、基本的にフーリエ変換(あるいはそれに類する手法)によってトルクリプル周波数成分を抽出して抑制する手法を用いている。図2では、2つのフーリエ係数(正弦フーリエ係数と余弦フーリエ係数)があり、これらを用いて補償電流の振幅値、位相値を計算している。
【0156】
図2の構成では、トルクリプル周波数成分検出値の正弦/余弦フーリエ係数がともにゼロとなるようにPID制御器13A、13Bで制御され、その結果生成されるPID制御器の出力値を補償電流余弦フーリエ係数A、補償電流正弦フーリエ係数Bとしている。これらから、振幅Mおよび位相φは以下のように求められる。
【0157】
M=√(A2+B2)、φ=tan-1(B/A)
【0158】
実施形態11、12は、上記の振幅M、および位相φを求めてから補償テーブル生成あるいはオンライン補償を行っており、補償電流の特性が直感的に分かりやすい反面、上述の演算変換が必要となっていた。
【0159】
そこで、本実施形態では、図20に示すとおり、振幅・位相に変換する前の2つのフーリエ係数A、Bの状態で補償テーブルを生成するとともに、オンライン補償についてもフーリエ係数の状態で合成して、最終段で補償電流iqc *を生成する。これにより、振幅・位相に変換する上記の演算の手間が省け、補償処理を簡略化できる。
【0160】
(実施形態14)
本実施形態では、実施形態11〜13のいずれかの構成を並列化して同時に複数次数成分のトルクリプルを抑制する手法を提供する。
【0161】
例えば、実施形態11の構成を並列化した場合について図21に示す。(他の実施形態についても同様であるので、図面での説明は省略する。)図21は、2つの補償テーブル36A、36Bでは2つの次数成分で個別に振幅M、位相φを生成し、これらから2つの補償電流生成部37A,37Bで2つの次数について補償電流を生成し、これら2つの次数について同時にトルクリプルを抑制する。なお、当然ではあるが3つ以上の次数を同時に抑制する場合についても拡張可能である。
【0162】
以上のとおり、本発明によれば、インバータで駆動する電動機のトルクなどをフーリエ変換し、任意周波数の脈動成分を2つのフーリエ係数の形で検出し、この2つのフーリエ係数の検出による脈動抑制の学習制御系を複素ベクトル平面で構成し、前記脈動補償電流を求めるようにしたため、トルク脈動補償信号などによる過補償や不安定振動、干渉を防いだ安定制御をしながら、トルク脈動補償信号などの学習が確実、容易になる。
【0163】
さらに、「テーブル補償方式」を基本として、オンライン補償を併用して、フィードフォワード的に抑制する補償電流を生成するため、電動機やインバータ等の特性が経時変化した場合にも補償精度を確保できる。

Claims (16)

  1. インバータで駆動する電動機の脈動検出値をフーリエ変換し、任意周波数の脈動成分を2つのフーリエ係数の形で検出し、学習制御器により脈動を抑制するように学習制御して、ベクトル制御における回転座標系のd軸電流指令値あるいはq軸電流指令値あるいはd軸q軸電流指令値の双方に学習した脈動補償電流を重畳して、脈動を抑制する電動機の脈動抑制装置において、
    前記2つのフーリエ係数の検出による脈動抑制の学習制御系を、複素ベクトル平面で構成し、前記脈動補償電流を求める手段を備え、
    前記脈動補償電流を求める手段は、複素ベクトル平面で制御対象システムの周波数特性、あるいはシステム同定結果を用いて、それを複素ベクトルで表現し、脈動補償電流と電動機駆動システムから2つのフーリエ係数の干渉項を基に、複素ベクトルの実部と虚部を非干渉化する非干渉化制御要素を備えたことを特徴とする電動機の脈動抑制装置。
  2. 前記手段は、学習制御器をPID制御器で構成し、このPID制御器の出力を前記非干渉化制御要素を通して補償電流を求め、PID制御器のゲインを所望の閉ループ応答となるように極配置する学習制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動機の脈動抑制装置。
  3. 前記学習制御器の出力段に初期値0の低周波数域通過フィルタを挿入した上で、所望の閉ループ応答となるように極配置し、前記学習制御系の脈動抑制開始時に逆応答またはオーバーシュートが発生するのを防止する手段を備えたことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の電動機の脈動抑制装置。
  4. 前記学習制御器へのフィードバック信号経路に、脈動抑制開始時のみ機能する初期値0の低周波数域通過フィルタを挿入し、脈動抑制開始後および低周波数域通過フィルタの時定数経過後は該フィルタを介さない経路に切り換える手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動機の脈動抑制装置。
  5. 前記学習制御器のゲインは、電動機の回転数に適応して可変、自動調整する制御ゲイン自動調整手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動機の脈動抑制装置。
  6. 前記学習制御器のフーリエ変換周期を電動機の回転数に合わせて変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動機の脈動抑制装置。
  7. 前記学習制御器の応答周波数を、フーリエ変換周期に適応して設定する手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電動機の脈動抑制装置。
  8. 前記学習制御器を異なる周波数成分において適用し、それらを並列化して、同時に複数の周波数成分のトルク脈動を抑制する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動機の脈動抑制装置。
  9. 前記脈動成分は、電動機の軸トルク検出値とし、電動機の軸トルクの脈動を抑制することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動機の脈動抑制装置。
  10. 前記脈動成分は、電動機のフレームの脈動成分とし、電動機のフレームの脈動を抑制することを特徴とする請求項9に記載の電動機の脈動抑制装置。
  11. 前記脈動成分は、電動機の回転速度検出値、あるいは回転位置検出値の脈動成分とし、電動機の速度の脈動あるいは回転位置の脈動を抑制することを特徴とする請求項9に記載の電動機の脈動抑制装置
  12. 前記脈動成分は、電動機の電流の脈動成分とし、電動機の電流の脈動を抑制することを特徴とする請求項9に記載の電動機の脈動抑制装置
  13. 前記コントローラによってトルクリプル抑制制御を実行したときに指定した定常動作状態(定常トルク指令・定常回転数)で学習したトルクリプル補償電流iqc *の振幅Mおよび位相φを、トルク指令Tref *と回転数ωを変数とした2次元の振幅テーブルおよび位相テーブルを生成しておく振幅・位相補償テーブルと、
    電動機の運転状態での前記トルク指令Tref *と回転数ωからそのときの振幅Mと位相φを前記振幅・位相補償テーブルから読み出し、これら振幅Mと位相φとそのときの電動機の回転位相θを用いて、テーブル補償電流iqct *=M・sin(nθ+φ)を生成する補償電流生成部と、
    電動機の運転状態での脈動検出値Tdetをフーリエ変換し、前記テーブル補償電流iqct *と同じ周波数の脈動成分を2つのフーリエ係数の形で検出し、この脈動成分を0にするトルク脈動補償電流iqcc *を求めるトルクリプル抑制制御手段と、
    前記トルク脈動補償電流iqcc *と前記テーブル補償電流iqct *を合成して前記d,q軸電流指令値に重畳する補償電流合成手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の電動機の脈動抑制装置
  14. 前記コントローラによってトルクリプル抑制制御を実行したときに指定した定常動作状態(定常トルク指令・定常回転数)で学習したトルクリプル補償電流iqc *の振幅Mおよび位相φを、トルク指令Tref *と回転数ωを変数とした2次元の振幅テーブルおよび位相テーブルを生成しておく振幅・位相補償テーブルと、
    電動機の運転状態での脈動検出値Tdetをフーリエ変換し、前記テーブル補償電流iqct *と同じ周波数の脈動成分を2つのフーリエ係数の形で検出し、この脈動成分を0にする補償電流振幅指令値指令値M*および補償電流位相指令値φ*を求めるトルクリプル抑制制御手段と、
    電動機の運転状態での前記トルク指令Tref *と回転数ωからそのときの前記振幅Mと位相φを前記振幅・位相補償テーブルから読み出し、これら振幅Mおよび位相φと、前記補償電流振幅指令値指令値M*および補償電流位相指令値φ*をそれぞれ合成して合成補償電流振幅値M’および合成補償電流位相値φ’を生成する合成手段と、
    前記合成補償電流振幅値M’と合成補償電流位相値φ’およびそのときの電動機の回転位相θを用いて、テーブル補償電流iqc *=M’・sin(nθ+φ’)を生成する補償電流生成部とを備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の電動機の脈動抑制装置
  15. 前記コントローラによってトルクリプル抑制制御を実行したときに指定した定常動作状態(定常トルク指令・定常回転数)で学習したトルクリプル周波数成分の補償電流余弦フーリエ係数テーブル値Aおよび補償電流正弦フーリエ係数テーブル値Bを、トルク指令Tref *と回転数ωを変数とした2次元のテーブル値として生成しておくフーリエ係数補償テーブルと、
    電動機の運転状態での脈動検出値Tdetをフーリエ変換し、前記フーリエ係数補償テーブルのテーブル値A,Bと同じ周波数の脈動成分を0にする2つの補償電流余弦フーリエ係数A*と補償電流正弦フーリエ係数B*を求めるトルクリプル抑制制御手段と、
    電動機の運転状態での前記トルク指令Tref *と回転数ωからそのときの前記フーリエ係数テーブル値AおよびBを前記フーリエ係数補償テーブルから読み出し、これらフーリエ係数テーブル値AおよびBと、前記補償電流余弦フーリエ係数A*と補償電流正弦フーリエ係数B*をそれぞれ合成して補償電流余弦フーリエ係数合成値A’と補償電流正弦フーリエ係数合成値B’を生成する合成手段と、
    前記フーリエ係数合成値A’と補償電流正弦フーリエ係数合成値B’およびそのときの電動機の回転位相θを用いて、振幅M=√(A’2+B’2)、位相φ=tan-1(B’/A’)のテーブル補償電流iqc *=M・sin(nθ+φ)を生成する補償電流生成部とを備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の電動機の脈動抑制装置
  16. 前記補償テーブルと合成手段とトルクリプル抑制制御手段および補償電流生成部は、複数次数成分で個別に振幅M、位相φを生成またはフーリエ係数を生成し、これら次数別に合成して補償電流を生成する手段を備えたことを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の電動機の脈動抑制装置
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