JP2016098306A - コーティング組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒の使用や専用の装置を必要とするような加熱処理の必要性を無くして、簡便な方法で高い撥水・撥油性を発揮するコーティング組成物を提供する。【解決手段】一般式(1)又は(2)で表される少なくとも2つ以上の反応性官能基を有するフッ素化合物と、一般式(3)で表されるカルボキシル基を有するフッ素化合物と、を含有する。−Si(OR1)n(R2)3−n(n=2又はn=3) ………(1)−Si(OH)n(R2)3−n(n=2又はn=3) ………(2)−COOH ………(3)(一般式(1)(2)において、R1及びR2はアルキル基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング組成物、特に、ガラスなどの基材表面をフッ素系被膜でコーティング処理する際に採用されるコーティング組成物に関する。
ヒドロキシル基(水酸基)を有する基材表面を、撥水・撥油性のフッ素系被膜でコーティング処理する際の施工方法として、アルコキシ基を有するパーフルオロアルキルエーテル基と硫酸などの触媒とを併用する方法、加水分解性基を有するパーフルオロアルキル基を150℃で加熱施工する方法、アルコキシ基を有するパーフルオロアルキル基と硫酸などの触媒を併用する方法、などが公知である。
ところで、上記したアルコキシ基などの加水分解性基は、空気中の湿気によりシラノール基に変化し、そのシラノール基が基材表面のヒドロキシル基と脱水縮合反応を起こすことによって、基材表面に化学的な結合による強固な撥水・撥油性の被膜を形成する。そして、このような脱水縮合反応を促進させるために、酸触媒やアルカリ触媒、金属触媒を別途配合したり、150℃以上に加熱したりすることが必要であった。
一方、ガラスなどの表面に耐摩耗性や滑り性、防汚性などを付与する表面処理剤として、高分子量パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物からなる防汚性処理剤が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2003−64348号公報
しかしながら、上記した触媒を併用したり、加熱処理を併用したりするコーティング被膜の施工方法によると、基材表面に強固な撥水・撥油性のコーティング被膜を形成させることができるとしても、硫酸のような強酸性触媒や水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性触媒を用いることによる対象基材の腐食や皮膚刺激の高さが問題になったり、加熱処理のための専用の装置が必要になったりする。そのため、施工環境や施工者が限定されてしまうという問題があり、その改善策が待望されていた。
本発明は以上の状況に鑑みてなされたもので、基材や施工環境に悪影響を及ぼすような触媒の使用や専用の装置を必要とするような加熱処理の必要性を無くして、簡便な方法で高い撥水・撥油性を発揮するコーティング組成物を提供することを目的とする。
本発明に係るコーティング組成物は、下記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物と、下記一般式(3)で表されるカルボキシル基を有するフッ素化合物と、を含有することを特徴とするコーティング組成物である。
−Si(OR(R3−n (n=2又はn=3) ………(1)
−Si(OH)(R3−n (n=2又はn=3) ………(2)
−COOH ………(3)
(一般式(1)(2)において、R及びRはアルキル基である。)
本発明のコーティング組成物を用いてヒドロキシル基(水酸基)を有する基材表面にコーティング被膜を形成させる施工では、塩酸やパラトルエンスルホン酸などの酸触媒、水酸化ナトリウムやアンモニアなどのアルカリ触媒、チタンアルコキシドやアルミニウムアルコキシドなどの金属触媒を別途含有させることが一切必要ない。言い換えると、上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物とカルボキシル基を有するフッ素化合物を含有するコーティング組成物を、適当な方法でヒドロキシル基を有する基材表面に塗布し常温で乾燥するという処理を行うだけで、上記の触媒を一切使用せずに、基材表面に、高い撥水・撥油性を発揮する強固なコーティング被膜を形成させることが可能になる。
すなわち、本発明のコーティング組成物をヒドロキシル基を有する基材表面に塗布すると、コーティング組成物が上記の一般式(1)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物を含有する場合には、上記の一般式(1)で表される反応性官能基はアルコキシシリル基であり加水分解性基であるので、空気中の湿気等によりシラノール基を生成し、生成されたシラノール基が基材表面のヒドロキシル基と脱水縮合反応を起こす。併せて、コーティング組成物に含有されているカルボキシル基が空気中の湿気により活性化される。そして、活性化されたカルボキシル基が酸触媒のように作用して、上記したようなシラノール基への変化及び前記シラノール基と基材表面のヒドロキシル基との脱水縮合反応を促進させることに役立つ。また、コーティング組成物が上記の一般式(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物を含有する場合には、上記の一般式(2)で表される反応性官能基はシラノール基であるので、基材表面のヒドロキシル基と脱水縮合反応を起こす。併せて、コーティング組成物に含有されているカルボキシル基が空気中の湿気により活性化される。そして、活性化されたカルボキシル基が酸触媒のように作用して、前記シラノール基と基材表面のヒドロキシル基との脱水縮合反応を促進させることに役立つ。このように、カルボキシル基が酸触媒のように作用することで、別途触媒を使用しなくても、常温乾燥で脱水縮合反応が促進され、ヒドロキシル基を有する基材表面に強固なコーティング被膜、具体的にはフッ素被膜が形成される。
塗布方法についての限定は特になく、スポンジや不織布、刷毛等を用いた塗布、スプレー、ロールコート、スピンコート、ディップコートなどの方法を適宜採用することが可能である。塗布後は常温で乾燥すればよく、必要に応じて余分に塗布した量を布地などで拭き取れば良い。
上記の一般式(1)におけるアルコキシ基(OR)を構成するアルキル基(R)は、通常は炭素数3以下のメチル基、エチル基、プロピル基を指すけれども、アルキル基の炭素数は3以下に限定されるものではない。
また、上記の一般式(1)(2)におけるアルキル基(R)も、通常は炭素数3以下のメチル基、エチル基、プロピル基を指すけれども、アルキル基(R)の炭素数は3以下に限定されるものではない。尚、本発明における上記一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物には、上記一般式(1)で表される反応性官能基と上記一般式(2)で表される反応性官能基の両方を有するフッ素化合物も含まれる。
本発明では、上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物の含有量が0.2wt%以上、上記カルボキシル基を有するフッ素化合物の含有量が0.02wt%以上であり、上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物の含有量が0.2wt%以上、上記カルボキシル基を有するフッ素化合物の含有量が0.02wt%以上であり、配合比率が重量比で上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物1に対して上記カルボキシル基を有するフッ素化合物が0.1〜10の範囲内に定められていることが望ましい。上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物を有するフッ素化合物やカルボキシル基を有するフッ素化合物は、上記の含有量及び配合比率で、塗布方法に合わせて、適当な溶媒に希釈して使用される。
適当な溶媒には、フッ素系溶媒、アルコール系溶媒、フッ素系とアルコール系とを組み合わせた混合溶媒を挙げることができる。フッ素系溶媒は、特に限定されるものではなく、たとえば、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロオレフィンなどから1種類以上の溶媒を任意に選択することができる。市販品ではハイドロフルオロカーボンとして旭硝子株式会社製のアサヒクリンAC6000やハイドロフルオロエーテルとしてスリーエムジャパン株式会社製のNovec7200などが挙げられる。また、アルコール系溶媒も、特に限定されるものではなく、希釈性や乾燥性に合わせて選択すればよいが、常温での乾燥性が良い炭素数1〜3の1価のアルコールが好ましく、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールから1種類以上の溶媒を任意に選択することができる。フッ素系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒にあっては、両者の含有量及び混合割合は、特に限定されない。
その他、フルオロアルキル変性シリコーンオイル、フルオロポリエーテルオイルなどのフッ素系溶媒に希釈可能なオイル類を使用することができるほか、アルコール系溶剤に希釈可能なオイル類、シリコーンパウダー、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)パウダー、シリカやアルミナなどの粉体類を配合することができる。
本発明では、フッ素化合物が下記の化学式(化1)中の一般式(4)で表されるパーフルオロアルキル基(パーフルオロアルキルグループ)及び下記の化学式(化1)中の一般式(5)(6)(7)で表されるパーフルオロポリエーテル基(パーフルオロポリエーテルグループ)の中から選ばれる少なくとも1種類以上を有することが望ましい。
Figure 2016098306
(一般式(4)〜(7)において、mは1以上の整数である。)
上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物のうち、上記の化学式(化1)中の一般式(4)で表されるパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物には、DynaSylanF8261(ダイナシランF8261:エトキシ基、エボニックジャパン株式会社)、TSL8257(トリメトキシ基、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)などが挙げられる。また、上記の化学式(化1)中の一般式(5)(6)(7)で表されるパーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物には、Fluorolink(フルオロリンクS−10:トリアルコキシ基、ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン株式会社)などが挙げられる。
上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物は、当該フッ素化合物が、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物であっても、パーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物であっても、撥水・撥油性及び滑り性が得られる。その中でも、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物を用いると、特に撥水・撥油性に優れたコーティング被膜が得られる。これに対し、当該フッ素化合物として、パーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物を用いると、特に滑り性に優れたコーティング被膜が得られる。
カルボキシル基を有するフッ素化合物のうち、上記の化学式(化1)中の一般式(4)で表されるパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物には、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロヘキサン酸などが挙げられる。また、上記の化学式(化1)中の一般式(5)(6)(7)で表されるパーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物には、FomblinZDIAC4000(分子鎖の両末端にカルボキシル基を有する。ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン株式会社)、Krytox157FS−L(クライトックス157FS−L、分子鎖の片末端にカルボキシル基を有する。デュポン株式会社)などが挙げられる。
本発明では、上記一般式(3)で表されるカルボキシル基を有するフッ素化合物が、分子鎖の両末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルであることが望ましい。この発明のように、フッ素化合物として、分子鎖の両末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルを選択することによって成膜性が向上し、撥水・撥油性を発揮する緻密なコーティング被膜を形成することが可能になる。
本発明に係るコーティング組成物は、希釈剤としてのアルコールを含んでいることが望ましい。上記したように、本発明のコーティング組成物において、溶媒には、フッ素系溶媒、アルコール系溶媒、フッ素系とアルコール系とを組み合わせた混合溶媒を用いることが可能である。そして、フッ素系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒にあっては、両者の含有量及び混合割合が特に限定されるということはないけれども、アルコール系溶媒は、コーティング組成物の保存安定性を向上させる上で、0.5wt%以上配合されていることが望ましい。
すなわち、フッ素化合物はフッ素系溶媒によく溶解する反面で、上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基やカルボキシル基はフッ素系溶媒には溶解しにくいと考えられる。このため、フッ素系溶媒だけを使用すると、上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基とカルボキシル基が系の中で偏在して局所的に高濃度になると考えられ、各反応性官能基が失活して経時的な性能低下を引き起こすおそれがある。そこで、アルコール系溶媒を併用すると、上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基とカルボキシル基が系の中によく分散するようになり、上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基とカルボキシル基の局所的な高濃度状態が緩和され、経時的な性能低下が抑えられ、保存安定性が向上すると考えられる。
本発明に係るコーティング組成物の適用対象は、ヒドロキシル基を有する基材表面であることが望ましい。基材表面がヒドロキシル基を有していると、コーティング組成物が上記の一般式(1)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物を含有する場合には、上記の一般式(1)で表される反応性官能基が加水分解性基であるアルコキシシリル基であるので、空気中の湿気により変化してなるシラノール基が、またはコーティング組成物が上記の一般式(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物を含有する場合には、そのコーティング組成物に含有されているシラノール基が、基材表面のヒドロキシル基と脱水縮合反応を起こし、併せて、コーティング組成物に含有されているカルボキシル基が空気中の湿気により活性化される。そして、活性化されたカルボキシル基が酸触媒のように作用して、加水分解性基の変化によるシラノール基への変化及び前記シラノール基と基材表面のヒドロキシル基との脱水縮合反応が促進される。このように、カルボキシル基が酸触媒のように作用することで、別途触媒を使用しなくても、常温乾燥で脱水縮合反応が促進され、基材表面に強固なコーティング被膜、具体的にはフッ素被膜が形成される。また、基材表面にヒドロキシル基を有していないプラスチックや金属であっても本発明に係るコーティング組成物は適用可能であり、その場合には基材表面にヒドロキシル基を有していないプラスチックや金属に対して前処理として、酸性かアルカリ性の溶剤による洗浄やシランカップリング剤の塗布や表面改質成分による火炎表面処理を行うことにより、基材表面にヒドロキシル基を設ければよい。
本発明に係るコーティング組成物について、実施例1〜6及び比較例1,2を調整し、それらの作用ないし効果を、実施例1〜6と比較例1,2とで比較した。
[試料の調整]
実施例1〜5では、フッ素系溶媒、アルコール系溶媒の順に混合した溶媒に、カルボキシル基を有するフッ素化合物を撹拌しながら添加し、さらに上記一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物を撹拌しながら添加し試料を得た。実施例6では、フッ素系溶媒に、カルボキシル基を有するフッ素化合物を撹拌しながら添加し、さらに上記一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物を撹拌しながら添加し試料を得た。比較例1ではフッ素系溶媒、アルコール系溶媒の順に混合した溶媒に、上記一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物を撹拌しながら添加し試料を得た。比較例2ではフッ素系溶媒、アルコール系溶媒の順に混合した溶媒に、カルボキシル基を有するフッ素化合物を撹拌しながら添加し試料を得た。表1において、各成分についての数値は配合量(wt%)を示している。
[成分配合量]
実施例1〜6及び比較例1,2の各コーティング組成物の試料に含有されている成分および配合量は表1の通りである。
Figure 2016098306
[評価方法]
70×150mmのフロートガラスの表面を十分に脱脂して親水状態にした後、乾燥したものを試験板とした。
試験板に各実施例及び各比較例の試料を0.2g滴下し、スポンジで塗り拡げた後、すぐにティッシュペーパー(吸水性薄葉紙)で拭き取り、常温で2時間乾燥し、次の各項目について評価した。
・撥油性
油に対する撥油性について、代表としてノルマルヘキサデカンを選択し、そのノルマルヘキサデカンを、水平に置いた試験版に、その垂直上方から0.4g滴下し、液滴の形、拡がり方を次の4水準で目視観察し、試料の施工部分と未施工部分と比較した。
◎:液滴の形が半球状になっている。
○:液滴の形がやや扁平な半球状になっている。
△:液滴の形が扁平な半球状になっている。
×:液滴が濡れ広がる。
・マジック除去性(油溶性インキの除去性)
試験板を水平に置き、マジックインキ(マジックインキ/ゴクホソ、寺西化学工業(株)製)で直線を描いた後、すぐにティッシュペーパで拭き取り、マジックインキの除去性を次の4水準で目視観察し、試料の施工部分と未施工部分と比較した。
◎:軽い力で完全に拭き取ることができる。
○:少し力を入れて擦るようすると、完全に拭き取ることができる。
△:部分的に拭き残しがある。
×:除去出来ない。
・滑り性
試験板を水平に置き、ティッシュペーパを巻いた指を表面で擦るように動かし、そのときの擦った感触を次の4水準で官能評価し、試料の施工部分と未施工部分と比較した。
◎:滑らかで、滑りが良い。
○:滑らかだが、きしみを感じる。
△:滑らかだが、滑りが悪い。
×:滑らかではなく、滑りが悪い。
・保存安定性
実施例及び比較例の各試料を50℃の温度環境で2週間放置して劣化を促進させた。劣化後の試料で作成した試験板を水平に置き、その垂直上方からオレイン酸を0.4g滴下し、液滴の形、拡がり方を次の4水準で目視観察し、試料の施工部分と未施工部分と比較した。なお初期の撥油性が△又は×と評価された試料については、保存安定性の評価は行っていない。
◎:液滴の形が半球状になっている。
○:液滴の形がやや扁平な半球状になっている。
△:液滴の形が扁平な半球状になっている。
×:液滴が濡れ広がる。
実施例1〜6及び比較例1,2の各コーティング組成物についての評価結果を表2に示した。
Figure 2016098306
<評価結果の考察>
実施例1は、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物であるDynaSylanF8261(ダイナシランF8261)及びパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物であるパーフルオロヘキサン酸を、エタノールを含む溶媒とフッ素系溶媒で希釈していることにより、比較例に比べ、撥油性や保存安定性に特に優れ、マジック除去性や滑り性についても満足のいく評価が得られた。このことにより、実施例1のコーティング組成物は、指で擦って操作されるモバイル電子端末などのモニターガラスなどの基材に好ましく適用できることが判明した。
実施例2は、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物であるDynaSylanF8261(ダイナシランF8261)及びパーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物であって分子鎖の両末端にカルボキシル基を有するFomblinZDIAC4000を、エタノールやイソプロピルアルコールを含む溶媒とフッ素系溶媒で希釈していることにより、比較例に比べ、撥油性や保存安定性に特に優れるだけでなく、マジック除去性や滑り性についても特に優れているという評価が得られた。このことにより、実施例2のコーティング組成物は、指で擦って操作されるモバイル電子端末などのモニターガラスなどの基材に好ましく適用できることが判明した。
実施例3は、パーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物であるFluorolinkS−10(フルオロリンクS−10)及びパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物であるパーフルオロヘキサン酸を、イソプロピルアルコールを含む溶媒とフッ素系溶媒で希釈していることにより、滑り性に特に優れ、マジック除去性や保存安定性についても満足のいく評価が得られた。このことにより、比較例に比べ、実施例3のコーティング組成物は、指で擦って操作されるモバイル電子端末などのモニターガラスなどの基材に好ましく適用できることが判明した。
実施例4は、パーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物であるFluorolinkS−10(フルオロリンクS−10)及び分子鎖の両末端にカルボキシル基を有するFomblinZDIAC4000を、エタノールを含む溶媒とフッ素系溶媒で希釈していることにより、実施例2と同様に、撥油性や保存安定性に特に優れるだけでなく、マジック除去性や滑り性についても特に優れているという評価が得られた。このことにより、比較例に比べ、実施例4のコーティング組成物は、実施例2と同等の撥油性や保存安定性、マジック除去性、滑り性を発揮し、指で擦って操作されるモバイル電子端末などのモニターガラスなどの基材に好ましく適用できることが判明した。
実施例5は、パーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物であるFluorolinkS−10(フルオロリンクS−10)及びパーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物であるKrytox157FS−Lが、イソプロピルアルコールを含む溶媒とフッ素系溶媒で希釈していることにより、比較例に比べ、撥油性や滑り性や保存安定性に特に優れ、マジック除去性についても満足のいく評価が得られた。このことにより、実施例5のコーティング組成物は、指で擦って操作されるモバイル電子端末などのモニターガラスなどの基材に好ましく適用できることが判明した。
実施例6は、パーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物であるFluorolinkS−10(フルオロリンクS−10)及び分子鎖の両末端にカルボキシル基を有するFomblinZDIAC4000が、フッ素系溶媒のみでで希釈されていることにより、保存安定性が他の実施例1〜4に比べて劣るけれども、パーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物であるFluorolinkS−10(フルオロリンクS−10)及び分子鎖の両末端にカルボキシル基を有するFomblinZDIAC4000が成分中に含有されていることにより、撥油性やマジック除去性、滑り性については特に優れている。
これに対し、比較例1,2は、パーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物であるFluorolinkS−10(フルオロリンクS−10)又は分子鎖の両末端にカルボキシル基を有するFomblinZDIAC4000を成分中に含有し、エタノール又はイソプロピルアルコールを含む溶媒とフッ素系溶媒で希釈されているけれども、比較例1についてはFluorolinkS−10(フルオロリンクS−10)単体では常温で基材表面に対して脱水縮合反応が起きず、撥油性で△、マジック除去性で△、滑り性で×であった。また、比較例2についてはFomblinZDIAC4000単体では基材表面に対する撥油性で×、マジック除去性で×、滑り性で△であった。このように各項目で性能が発現しないので、保存安定性の評価は行っていない。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物と、下記一般式(3)で表されるカルボキシル基を有するフッ素化合物と、を含有することを特徴とするコーティング組成物。
    −Si(OR(R3−n (n=2又はn=3) ………(1)
    −Si(OH)(R3−n (n=2又はn=3) ………(2)
    −COOH ………(3)
    (一般式(1)(2)において、R及びRはアルキル基である。)
  2. 上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物の含有量が0.2wt%以上、上記カルボキシル基を有するフッ素化合物の含有量が0.02wt%以上であり、配合比率が重量比で上記の一般式(1)又は(2)で表される反応性官能基を有するフッ素化合物1に対して上記カルボキシル基を有するフッ素化合物が0.1〜10の範囲内に定められている請求項1に記載したコーティング組成物。
  3. フッ素化合物が下記の化学式(化1)中の一般式(4)で表されるパーフルオロアルキル基及び下記の化学式(化1)中の一般式(5)(6)(7)で表されるパーフルオロポリエーテル基の中から選ばれる少なくとも1種類以上を有する請求項1又は請求項2に記載したコーティング組成物。
    Figure 2016098306
    (一般式(4)〜(7)において、mは1以上の整数である。)
  4. 上記一般式(3)で表されるカルボキシル基を有するフッ素化合物が、分子鎖の両末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルである請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載したコーティング組成物。
  5. 希釈剤としてのアルコールを含む請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載したコーティング組成物。
  6. 適用対象が、ヒドロキシル基を有する基材表面である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載したコーティング組成物。
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