JP2016097816A - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハーフロックの発生を抑制することができるステアリング装置を提供する。
【解決手段】ロック動作時に、ツース部材70の本体部71が押圧されると、一対の第2歯列形成部72が、締付側板の外側面に沿ってチルト用長溝23の短手方向Sに対して斜めに遠ざかるように拡開する。ロック動作の初期に、一方の第2歯列62と対応する第1歯列61とが歯頂部どうしで当接する状態が生じたとしても、ロック動作の進行に伴って、他方の第2歯列62が、対応する第1歯列61と噛み合う。その他方の第2歯列62と対応する第1歯列61との噛み合いに伴って、ツース部材70全体が長手方向Lに動き、一方の第2歯列62も対応する第1歯列61と噛み合う。
【選択図】図6

Description

本発明はステアリング装置に関する。
チルト調節可能なステアリング装置において、チルト調節時にステアリングコラムと一体移動する可動側ツースを、車体に固定される固定側ツースに噛み合わせることにより、強固なロックを達成する技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
米国特許出願公開第US2009/0013817A1号明細書
しかしながら、固定側ツースと可動側ツースとの歯頂部どうしが当接した状態でロックされる、いわゆるハーフロックが発生するおそれがある。
本発明の目的は、ハーフロックの発生を抑制することができるステアリング装置を提供することである。
前記目的を達成するめ、請求項1の発明は、ステアリングシャフト(3)を挿通させて支持するステアリングコラム(8)と、前記ステアリングコラムに固定された第1ブラケット(17)に設けられるかまたは前記ステアリングコラムに設けられた一対の被締付側板(24)を締め付ける一対の締付側板(22)を含み、車体(13)に取り付けられる第2ブラケット(18)と、前記一対の締付側板に設けられて位置調整方向である長手方向(L)に延びる長溝(23)を挿通する締付軸(21)と、前記締付軸によって支持された一対の締付部材(33,36)と、を含み、前記締付軸を介して前記一対の締付部材を前記一対の締付側板に締め付けて前記ステアリングコラムの位置をロックするロック機構(19)と、を備え、前記ロック機構は、少なくとも一方の締付側板の外側面(22a)において前記長溝の一対の長手方向縁部(23a)の両側に設けられ前記長溝の短手方向(S)に起伏する一対の第1歯部(61)と、対応する締付部材と対応する締付側板との間に介在し前記一対の第1歯部にそれぞれ噛み合う一対の第2歯部(62)を含むツース部材(70;70P)と、を含み、前記ツース部材は、前記対応する締付部材によって締付軸方向(J)に押圧される本体部(71;71P)と、前記対応する締付側板の外側面に沿いそれぞれ対応する第2歯部を形成した一対の第2歯部形成部(72)と、前記対応する締付部材の押圧による前記本体部の前記締付軸方向への移動を、前記対応する締付側板の外側面に沿って前記一対の第2歯部形成部どうしを前記短手方向に対して斜めに遠ざける拡開移動に変換する運動変換機構(73)と、を含むステアリング装置(1)を提供する。
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2のように、各前記第1歯部は、前記長溝の前記長手方向に複数の歯を並べた第1歯列(61)として構成され、各前記第2歯部は、対応する第1歯列とそれぞれ噛み合う第2歯列(62)として構成されていてもよい。
請求項3のように、前記運動変換機構は、前記一対の第2歯部形成部の拡開解除時において前記一対の第2歯部の位相を相互にずらし、前記一対の第2歯部形成部の拡開時において前記一対の第2歯部の位相を一致させるように機能してもよい。
請求項4のように、前記対応する締付部材は、前記締付軸を挿通させ、前記締付側板の前記長溝に挿通され、位置調整時に前記長溝によって前記長手方向に案内されるボス(52)を含み、前記ツース部材(70P)の本体部(71P)は、前記ボスが前記長手方向に遊びを設けて挿通されたボス挿通孔(71Pa)を含んでいてもよい。
請求項5のように、前記運動変換機構は、前記本体部と対応する第2歯部形成部とをそれぞれ接続する一対の脚部(73)であり、各脚部は、直線状の第1折曲線(81)を介して前記本体部と接続され、且つ、前記第1折曲線に対して逆向きに折り曲げられた直線状の第2折曲線(82)を介して、対応する第2歯部形成部と接続され、前記第1折曲線および前記第2折曲線は、前記対応する締付側板の外側面に対して平行であり、前記長手方向に対して傾斜していてもよい。
請求項1の発明によれば、ロック動作時に、締付部材がツース部材の本体部を押圧すると、ツース部材の一対の第2歯部形成部が、締付側板の外側面に沿って長溝の短手方向に対して斜めに遠ざかるように拡開する。したがって、ロック動作の初期に、一方の第2歯部と対応する第1歯部とが、歯頂部どうしで当接する状態が生じたとしても、ロック動作の進行に伴って、他方の第2歯部が、対応する第1歯部と噛み合う。その他方の第2歯部と対応する第1歯部との噛み合いに伴って、ツース部材全体が長手方向に動き、前記一方の第2歯部も対応する第1歯部と噛み合う。したがって、いわゆるハーフロックの発生が抑制される。
請求項2の発明によれば、対応する歯列どうしの噛み合わせにより、ロック保持力が向上する。
請求項3の発明によれば、ロック動作時に、ツース部材の一対の第2歯部形成部が、位相がずれた状態から位相が一致する状態へと拡開動作する途中で、ハーフロックの発生が抑制される。
請求項4の発明によれば、締付軸によって支持された締付部材のボスに対して、ツース部材が長溝の長手方向に遊び分だけ移動できる。したがって、無段階の位置調整が可能となる。
請求項5の発明によれば、押圧された本体部が締付軸方向に移動するに伴って、長手方向に対して傾斜した第2折曲線が、締付側板の外側面に沿って第1折曲線に対して平行移動する。これにより、各第2歯部形成部が、短手方向に対して斜めに移動する。
本発明の第1実施形態のステアリング装置の模式的側面図である。 ステアリング装置の概略断面図である。図1のII−II線に沿う断面図に相当する。 ツースロック機構の分解斜視図である。 ツースロック機構の概略断面図である。 ツースロック機構のツース部材の正面図であり、(a)は拡開解除時(ロック解除時)の状態を示し、(b)は拡開時(ロック時)の状態を示している。 ツースロック機構の概略図であり、(a)〜(c)はロック時の動作を順次に示している。 本発明の第2実施形態においてツースロック機構の概略図である。
図1は本発明の第1実施形態のステアリング装置の概略構成を示す一部破断模式的側面図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と、操舵部材2が軸方向Xの一端に連結されたステアリングシャフト3と、インターミディエイトシャフト4等を介してステアリングシャフト3と連結された転舵機構5と備えている。
転舵機構5は、操舵部材2の操舵に連動して転舵輪(図示せず)を転舵する例えばラックアンドピニオン機構である。操舵部材2の回転は、ステアリングシャフト3およびインターミディエイトシャフト4等を介して転舵機構5に伝達される。また、転舵機構5に伝達された回転は、図示しないラック軸の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪が転舵される。
ステアリングシャフト3は、例えばスプライン嵌合やセレーション嵌合によって相対摺動可能に嵌合された筒状のアッパーシャフト6とロアーシャフト7とを有している。操舵部材2は、アッパーシャフト6の一端に連結されている。また、ステアリングシャフト3は、軸方向Xに伸縮可能である。
ステアリング装置1は、ステアリングシャフト3を回転可能に支持する中空のステアリングコラム8を備えている。ステアリングシャフト3は、ステアリングコラム8内に挿通されており、複数の軸受9,10を介してステアリングコラム8によって回転可能に支持されている。
ステアリングコラム8は、相対摺動可能に嵌合された例えばアウターチューブであるアッパーチューブ11と例えばインナーチューブであるロアーチューブ12とを有している。ステアリングコラム8は、軸方向Xに伸縮可能である。アッパーチューブ11は、軸受9を介してアッパーシャフト6を回転可能に支持している。また、アッパーチューブ11は、軸受9を介して、ステアリングシャフト3の軸方向Xに同行移動可能にアッパーシャフト6に連結されている。
ステアリング装置1は、車体13に固定される固定ブラケット14と、固定ブラケット14によって支持されたチルト中心軸15と、ロアーチューブ12に固定され、チルト中心軸15によって回転可能に支持されたコラムブラケット16とを備えている。ステアリングコラム8およびステアリングシャフト3は、チルト中心軸15の中心軸線であるチルト中心CCを支点にしてチルト方向Yに回動可能(チルト可能)となっている。
チルト中心CC回りにステアリングシャフト3およびステアリングコラム8を回動(チルト)させることで、操舵部材2の位置を調整できるようになっている(いわゆるチルト調整)。また、ステアリングシャフト3およびステアリングコラム8を軸方向Xに伸縮させることで、操舵部材2の位置を調整できるようになっている(いわゆるテレスコ調整)。
ステアリング装置1は、ステアリングコラム8のアッパーチューブ11に固定された第1ブラケット17と、車体13に固定される第2ブラケット18と、ロック機構19とを備えている。ロック機構19によって、両ブラケット17,18が締め付けられてロックされることにより、ステアリングコラム8の位置が車体13に対して固定されて、操舵部材2の位置が固定される。
ロック機構19は、運転者が回転操作する操作レバー20と、操作レバー20と一体回転可能であって両ブラケット17,18を挿通する締付軸21とを備えている。締付軸21の中心軸線C1が、操作レバー20の回転中心に相当する。操作レバー20は、ロック方向Z1と、その反対方向であるロック解除方向Z2とに操作される。
締付軸21は、第2ブラケット18の一対の締付側板22(図1では一方の締付側板22のみを示してある)にそれぞれ設けられチルト方向Yに長手に延びるチルト用長溝23と、第1ブラケット17の一対の被締付側板24(図1では一方の被締付側板24のみを示してある)にそれぞれ設けられテレスコ方向(軸方向Xに相当)に長手に延びるテレスコ用長溝25とを挿通している。
チルト用長溝23は、チルト方向Yに長手に延びる一対の長手方向縁部23aを備えている。チルト用長溝23は、チルト方向Yに相当する長手方向Lと、一対の長手方向縁部23aの対向方向である短手方向Sとを有している。
また、ロック機構19は、ロック保持力を高めるためのツースロック機構60を備えている。ツースロック機構60は、締付側板22の外側面22aに設けられた一対の歯部としての一対の第1歯列61と、各第1歯列61と噛み合う第2歯部としての第2歯列(第2歯列は、図1では一方の締付部材33の裏側に隠れており、図示されていない)とを含む。
一対の第1歯列61は、締付側板22の外側面22aにおいて、チルト用長溝23の一対の長手方向縁部23aの両側に設けられ、互いに短手方向Sに対向している。各第1歯列61は、チルト用長溝23の短手方向Sに起伏する複数の歯を長手方向Lに並べた平行歯からなる。
一対の第1歯列61は、締付側板22を裏面(内側面)側から押し出すことにより、外側面22aに突出形成されている(図4を参照)。このように、第1歯列61を締付側板22と単一の材料で一体に形成することにより、第1歯列61の各歯の剪断強度が高くされている。
図2に示すように、第2ブラケット18は、図示しないカプセル機構を介して車体13に離脱可能に支持された取付板26と、取付板26に沿って固定された天板27と、天板27の両端からチルト方向Yの下方に延びる一対の締付側板22とを備えている。
第1ブラケット17は、第2ブラケット18の一対の締付側板22にそれぞれ対向する一対の被締付側板24と、一対の被締付側板24のチルト方向Yの下端間を連結する連結板28とを備えた溝形をなしている。
締付軸21は、第2ブラケット18の両締付側板22のチルト用長溝23および第1ブラケット17の両被締付側板24のテレスコ用長溝25を貫通するボルトからなる。締付軸21の一端の頭部29は、操作レバー20と一体回転可能に固定されている。締付軸21の他端のねじ部には、ナット30が嵌合されている。
ロック機構19は、操作レバー20と、締付軸21と、操作レバー20の回転操作に伴って、チルトロックおよびテレスコロックを達成する締付機構31と、ロック保持力を高めるツースロック機構60とを備えている。
締付機構31は、操作レバー20と一体回転する回転カム32と、回転カム32に対してカム係合する非回転カムを構成し一方の締付側板22を締め付ける一方の締付部材33と、他方の締付側板22を締め付ける他方の締付部材36と、ナット30と、他方の締付部材36とナット30との間に介在した介在部材37とを含む。
締付軸21の頭部29と一方の締付側板22との間に、操作レバー20と、回転カム32と、非回転カムである一方の締付部材33とが介在している。ナット30と第2ブラケット18の他方の締付側板22との間に、他方の締付部材36と、介在部材37とが介在している。
回転カム32、一方の締付部材33(非回転カム)、他方の締付部材36および介在部材37は、締付軸21の外周によって支持されている。各締付部材33,36は、締付軸21の軸方向である締付軸方向Jに移動可能に支持されている。
回転カム32は、操作レバー20と一体回転可能に連結され、締付軸21に対する締付軸方向Jの移動が規制されている。すなわち、操作レバー20は締付軸21の頭部29に対する回転が規制されている。回転カム32は、孔空きの押圧板34と、押圧板34の孔の周囲に設けられて操作レバー20の挿通孔に一体回転可能に挿通されたボス35とを備えている。
一方の締付部材33(非回転カム)は、孔空きの押圧板51と、押圧板51の孔の周囲に設けられたボス52とを備えている。他方の締付部材36は、孔空きの押圧板510と、押圧板510の孔の周囲に設けられたボス52とを備えている。
一方の締付部材33の押圧板51と他方の締付部材36の押圧板510とでは、一方の締付部材33の押圧板51に、図示しないカム突起ないしカム面が設けられている点のみが異なる。
回転カム32の押圧板34と非回転カム(一方の締付部材33)の押圧板51との軸方向対向面の少なくとも一方に、カム突起(図示せず)が形成され、他方に、前記カム突起に係合するカム面(図示せず)が形成されている。回転カム32の回転に伴うカム突起とカム面との相対運動により、回転カム32の回転が、一方の締付部材33(非回転カム)の締付軸方向Jへの移動に変換される。
各締付部材33,36のボス52の外周52a(図3参照)は、断面矩形をなしている。ボス52の内周は、締付軸21の外周に沿う円形である。図2に示すように、各締付部材33,36のボス52は、対応する締付側板22のチルト用長溝23および対応する被締付側板24のテレスコ用長溝25に挿通されている。
図3に示すように、各ボス52の外周52aの対向する一方の対の辺部が、対応する締付側板22のチルト用長溝23の一対の長手方向縁部23aと係合することにより、ボス52がチルト方向Yに案内される。
各ボス52の外周52aの対向する他方の対の辺部が、対応する被締付側板24のテレスコ用長溝25の一対の長手方向縁部(図示せず)と係合することにより、各ボス52がテレスコ方向(軸方向X)に案内される。
介在部材37は、他方の締付部材36の押圧板510とナット30との間に介在するスラストワッシャ38と、スラストワッシャ38と他方の締付部材36の押圧板510との間に介在するスラスト用の針状ころ軸受39とを備えている。
操作レバー20の回転に伴って、回転カム32が一方の締付部材33(非回転カム)に対して回転することにより、一方の締付部材33が、締付軸21の締付軸方向Jに移動される。移動した一方の締付部材33と他方の締付部材36との間で、第2ブラケット18の一対の締付側板22が挟持されて締め付けられるので、第2ブラケット18の一対の締付側板22が、第1ブラケット17の対応する被締付側板24を締め付けて、チルトロックおよびテレスコロックが達成される。
また、ロック機構19は、テレスコロックされた両チューブ11,12間のガタつきを抑制する機能を有している。具体的には、ロック機構19は、締付軸21の締付軸方向Jの中間部の外周に一体回転可能に嵌合し、操作レバー20の回転操作に伴って回転するスリーブ40と、スリーブ40の外周に一体回転可能に設けられた、カム状突起からなる押圧部41とを備えている。
操作レバー20の操作によってスリーブ40が回転することで、押圧部41が、アッパーチューブ11(アウターチューブ)の開口11aを通して、ロアーチューブ12(インナーチューブ)を押し上げる。これにより、ロアーチューブ12がアッパーチューブ11に径方向に押し付けられて、アッパーチューブ11に対するロアーチューブ12の径方向のガタつきが抑制される。
また、ロック機構19は、ロック保持力(ロック時にロック状態を保持する力)を高めるツースロック機構60を備えている。ツースロック機構60は、一方の締付部材33に関連するものと、他方の締付部材36に関連するものとで、一対が設けられているが、同じ構成であるので、一方の締付部材33に関連する一方のツースロック機構60に則して説明する。
分解斜視図である図3に示すように、ツースロック機構60は、締付部材33と締付側板22との間に介在するツース部材70を備えている。ツース部材70は、例えば板材の板金加工により形成されていてもよい。ツース部材70は、一対の第1歯列61にそれぞれ噛み合う一対の歯部としての一対の第2歯列62を備えている。一対の第1歯列61の位相は一致している。
すなわち、図3および図4に示すように、ツース部材70は、締付部材33によって締付軸方向Jに押圧される板状の本体部71と、締付側板22の外側面22aに沿いそれぞれ対応する第2歯列62を形成した板状の一対の第2歯列形成部72(第2歯部形成部)と、本体部71の運動を一対の第2歯列形成部72の運動に変換する運動変換機構としての一対の脚部73とを備えている。
具体的には、運動変換機構としての脚部73は、締付部材33の押圧による本体部71の締付軸方向Jへの移動を、締付側板22の外側面22aに沿って一対の第2歯列形成部72を互いに短手方向Sに対して斜めに遠ざける拡開移動[図4、図5(a),(b)において、白抜き矢符で示す]に変換する機能を果たす。
運動変換機構としての一対の脚部73は、本体部71と対応する第2歯列形成部72とをそれぞれ接続している。
各脚部73は、直線状の第1折曲線81を介して本体部71と接続されている。また、各脚部73は、第1折曲線81に対して逆向きに折り曲げられた直線状の第2折曲線82を介して、対応する第2歯列形成部72と接続されている。各脚部73は、本体部71と対応する第2歯列形成部72とを締付軸方向Jに遠ざける弾性を有している。
図3に示すように、第1折曲線81および第2折曲線82は、締付側板22の外側面22aに対して平行であり、長手方向Lに対して傾斜している。
このため、運動変換機構としての一対の脚部73は、図5(a)に示すように、一対の第2歯列形成部72の拡開解除時(ロック解除時)において、一対の第2歯列62の位相を相互にずらすように機能する。位相のずれ量は、例えば歯ピッチの半分であってもよいし、歯ピッチの半分未満であってもよい。
また、運動変換機構としての一対の脚部73は、図5(b)に示すように、一対の第2歯列形成部72の拡開時(ロック時)において、一対の第2歯列62の位相を一致させるように機能する。
ツース部材70の本体部71は、締付部材33のボス52を挿通させたボス挿通孔71aを形成している。
本実施形態によれば、ロック動作時に、締付部材33がツース部材70の本体部71を押圧すると、ツース部材70の一対の第2歯列形成部72が、締付側板22の外側面22aに沿ってチルト用長溝23の短手方向Sに対して斜めに遠ざかるように拡開する[図5(a),(b)を参照]。
したがって、ロック動作の初期に、図6(a)に示すように、例えば右側の第2歯列62と右側の第1歯列61とが歯頂部どうしで当接する状態が生じたとしても、右側の第2歯列62に対して位相がずれた状態にある左側の第2歯列62が、ロック動作の進行に伴って、図6(b) 示すように対応する第1歯列61と噛み合う。
その左側の歯列61,62どうしの噛み合いに伴って、ツース部材70全体が長手方向Lに動き、最終的に、図6(c)に示すように、右側の第2歯列62も右側の第1歯列61と噛み合う。したがって、いわゆるハーフロックの発生が抑制される。
このように、ロック動作時に、ツース部材70の一対の第2歯列形成部72が、位相がずれた状態から位相が一致する状態へと拡開動作する途中で、ハーフロックの発生が抑制される。
また、運動変換機構としての一対の脚部73において、第1折曲線81および第2折曲線82が締付側板22の外側面22aに対して平行であり、長手方向Lに対して傾斜している。したがって、締付部材33によって押圧された本体部71が締付軸方向Jに移動するに伴って、長手方向Lに対して傾斜した第2折曲線82が、締付側板22の外側面22aに沿って第1折曲線81に対して平行移動する。これにより、各第2歯列形成部72が、図5(a),(b)に示すように、短手方向Sに対して斜めに移動する機能を得ることができる。
図7は本発明の第2実施形態におけるツースロック機構60Pの概略図である。図7の第2実施形態のツースロック機構60Pが図6の第1実施形態のツースロック機構60と異なるのは、ツース部材70Pの本体部71Pのボス挿通孔71Paが、締付部材33のボス52を長手方向Lに遊びを設けて挿通させている点である。ボス挿通孔71Paは、例えば長手方向Lに延びる長孔である。
第2実施形態によれば、締付軸21によって支持された締付部材33のボス52に対して、ツース部材70Pが、チルト用長溝23の長手方向L(第1歯列61の歯の並ぶ方向)に遊び分だけ移動できる。したがって、無段階の位置調整が可能となる。
なお、前記実施形態では、第1ブラケット17の一対の被締付側板24が、ステアリングコラム8(のアウターチューブであるアッパーチューブ11)に固定されているが、これに限定されない。例えば、図示していないが、ステアリングコラムにおいて弾性的に縮径可能なスリット付きの例えばロアー側のアウターチューブに、スリット両側に配置された一対の被締付側板を単一の材料で一体に形成してもよい。この場合、一対の締付側板が、ステアリングコラムと一体に設けられた一対の被締付側板を締め付けることにより、チルトロックが達成される。また、アウターチューブが縮径されることにより、インナーチューブが伸縮方向にロックされてテレスコロックが達成される。
また、前記実施形態では、一対のツースロック機構60を設けているが、これに限らず、締付部材33,36の何れか一方に関連するツースロック機構60のみを設けるようにしてもよい。
また、一対の第1歯列の位相がずらされていてもよい。その場合、拡開解除時(ロック解除時)の一対の第2歯列の位相が互いに一致し、拡開時(ロック時)の一対の第2歯列の各位相が、対応する第1歯列の位相と一致するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、第1歯部が第1歯列として構成され、第2歯部が第2歯列として構成されているが、これに限らず、第1歯部および第2歯部の何れか一方が、単一の歯で構成されていてもよい。
また、第1歯列(第1歯部)は、締付側板22とは別体の部材により形成されて、締付側板22に一体に固定されてもよい。
その他、本発明は特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
1…ステアリング装置、3…ステアリングシャフト、5…転舵機構、8…ステアリングコラム、11…アッパーチューブ、12…ロアーチューブ、15…チルト中心軸、17…第1ブラケット、18…第2ブラケット、19…ロック機構、20…操作レバー、21…締付軸、22…締付側板、22a…外側面、23…チルト用長溝、24…被締付側板、25…テレスコ用長溝、30…ナット、31…締付機構、32…回転カム、33…一方の締付部材(非回転カム)、36…他方の締付部材、37…介在部材、51;510…押圧板、52…ボス、60;60P…ツースロック機構、61…第1歯列(第1歯部)、62…第2歯列(第2歯部)、70;70P…ツース部材、71;71P…本体部、71a;71Pa…ボス挿通孔、72…第2歯列形成部(第2歯部形成部)、73…脚部(運動変換機構、81…第1折曲線、82…第2折曲線、J…締付軸方向、L…長手方向、S…短手方向、X…軸方向(テレスコ方向)、Y…チルト方向

Claims (5)

  1. ステアリングシャフトを挿通させて支持するステアリングコラムと、
    前記ステアリングコラムに固定された第1ブラケットに設けられるかまたは前記ステアリングコラムに設けられた一対の被締付側板を締め付ける一対の締付側板を含み、車体に取り付けられる第2ブラケットと、
    前記一対の締付側板に設けられて位置調整方向である長手方向に延びる長溝を挿通する締付軸と、前記締付軸によって支持された一対の締付部材と、を含み、前記締付軸を介して前記一対の締付部材を前記一対の締付側板に締め付けて前記ステアリングコラムの位置をロックするロック機構と、を備え、
    前記ロック機構は、少なくとも一方の締付側板の外側面において前記長溝の一対の長手方向縁部の両側に設けられ前記長溝の短手方向に起伏する一対の第1歯部と、対応する締付部材と対応する締付側板との間に介在し前記一対の第1歯部にそれぞれ噛み合う一対の第2歯部を含むツース部材と、を含み、
    前記ツース部材は、前記対応する締付部材によって締付軸方向に押圧される本体部と、前記対応する締付側板の外側面に沿いそれぞれ対応する第2歯部を形成した一対の第2歯部形成部と、前記対応する締付部材の押圧による前記本体部の前記締付軸方向への移動を、前記対応する締付側板の外側面に沿って前記一対の第2歯部形成部どうしを前記短手方向に対して斜めに遠ざける拡開移動に変換する運動変換機構と、を含むステアリング装置。
  2. 請求項1において、各前記第1歯部は、前記長溝の前記長手方向に複数の歯を並べた第1歯列として構成され、各前記第2歯部は、対応する第1歯列とそれぞれ噛み合う第2歯列として構成されているステアリング装置。
  3. 請求項1又は2において、前記運動変換機構は、前記一対の第2歯部形成部の拡開解除時において前記一対の第2歯部の位相を相互にずらし、前記一対の第2歯部形成部の拡開時において前記一対の第2歯部の位相を一致させるように機能するステアリング装置。
  4. 請求項1から3の何れか一項において、前記対応する締付部材は、前記締付軸を挿通させ、前記締付側板の前記長溝に挿通され、位置調整時に前記長溝によって前記長手方向に案内されるボスを含み、
    前記ツース部材の前記本体部は、前記ボスが前記長手方向に遊びを設けて挿通されたボス挿通孔を含むステアリング装置。
  5. 請求項1から4の何れか一項において、前記運動変換機構は、前記本体部と対応する第2歯部形成部とをそれぞれ接続する一対の脚部であり、
    各脚部は、直線状の第1折曲線を介して前記本体部と接続され、且つ、前記第1折曲線に対して逆向きに折り曲げられた直線状の第2折曲線を介して、対応する第2歯部形成部と接続され、
    前記第1折曲線および前記第2折曲線は、前記対応する締付側板の外側面に対して平行であり、前記長手方向に対して傾斜しているステアリング装置。
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