JP5317811B2 - ステアリングコラムのロック構造 - Google Patents
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Description
ロック構造には、車両衝突時のステアリングホイールの跳ね上がりを防止するための、いわゆるポジティブロックタイプがある。このタイプのロック構造は、車体に固定された固定部材に形成されたロック歯と、ステアリングホイールと連動して位置調整される可動部材に形成されたロック歯とを有している。両ロック歯が噛み合うことにより、ステアリングホイールの位置がロックされるようになっている。
そこで、この発明の目的は、ステアリングホイールの位置を無断階でロック可能なステアリングコラムのロック構造を提供することである。
請求項3記載の発明によれば、締め付け機構による締め付け時には、支持溝の内面と支軸の外周面との摩擦力により、ピニオンの回転を規制できる。また、支持溝はV字形なので、その楔作用により、締め付け時の支持溝の内面と支軸の外周面との摩擦力が大きくなる。その結果、支軸の回転を、ひいてはピニオンの回転をより一層確実に規制できる。
図1は、本発明の第1の実施形態のステアリングコラムのロック構造が適用されたステアリング装置1の概略構成の模式図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングホイール2に連結しているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン8に噛み合うラック9を有して自動車の左右方向(図1の紙面垂直方向に相当)に延びる転舵軸としてのラック軸10とを有している。
ステアリングシャフト3は、例えばスプライン結合を用いて、同行回転可能に且つ当該ステアリングシャフト3の軸方向A1(以下、単に軸方向A1ともいう。)に相対移動可能に互いに連結されたアッパーシャフト15およびロアーシャフト16を有している。
ステアリングコラム19は、軸方向A1に相対移動可能に互いに嵌め合わされた筒状のアッパージャケット20および筒状のロアージャケット21を有している。軸方向A1に関するアッパージャケット20の下端部の内周に、軸方向A1に関するロアージャケット21の上端部の外周が嵌合している。また、アッパージャケット20およびロアージャケット21は、軸方向A1に相対摺動可能とされている。これにより、ステアリングコラム19を伸縮させて、ステアリングホイール2をテレスコピック調整することができる。
ロアージャケット21は、ロアーシャフト16の一部を収容するとともに、軸方向A1に関するロアーシャフト16とロアージャケット21との相対移動を規制した状態で、ロアーシャフト16を回転可能に支持している。
下部支持部27は、車体側部材18に固定状態で支持された下部固定ブラケット30と、下部固定ブラケット30に支持されたチルト中心軸32と、チルト中心軸32を介して下部固定ブラケット30に支持された下部可動ブラケット31とを有している。下部可動ブラケット31は、ロアージャケット21を支持している。チルト中心軸32は、当該チルト中心軸32の軸線の回りに下部固定ブラケット30と下部可動ブラケット31とを相対回転可能に連結する。また、下部支持部27は、軸方向A1に関するロアージャケット21の軸方向移動を規制した状態でロアージャケット21を支持している。
図3は、図2のロック構造33の分解斜視図である。図2および図3を参照して、上部固定ブラケット35は、支軸41の軸方向A2に相対向する一対の側板351,352と、一対の側板351,352の端部同士をつなぐ板状の接続板353と、車体に固定するために側板351,352の上端部から車体の幅方向に延びる板状の一対の取付部354とを有している。
上部固定ブラケット35と上部可動ブラケット36とは、締め付け機構38を介して互いに位置調整可能に連結されている。すなわち、上部固定ブラケット35と可動ブラケット36とは、ロック状態では、互いに相対移動不能に連結されており、一方で、ロック解除状態では、チルト方向Y1およびテレスコピック方向Z1について互いに相対移動できるようになっている。ロック状態は、ロック構造33により達成される。
支軸41は、六角ボルトと略同様の形状に形成されている。支軸41は、軸方向A2の一方の端部に設けられた太径部としての頭部411と、中間部に設けられた細径部としての軸部412とを有している。軸部412の端部に雄ねじが形成されている。この雄ねじに、操作レバー37に設けられた雌ねじ部材371がねじ嵌合されている。支軸41と操作レバー37とは、支軸41の中心軸線の周りに互いに同行回転できるとともに、支軸41の軸方向A2に同行移動できるように、互いに連結されている。
カム機構42は、支軸41の軸方向A2に位置規制されつつ操作レバー37と同行回転するカム43と、このカム43と係合するカムフォロワ44とを有する。カム43は上部固定ブラケット35の側板352に対して支軸41の軸線回りに相対回転可能とされている。カムフォロワ44は上部固定ブラケット35の側板352に対して支軸41の軸線回りに相対回転を規制されている。カムフォロワ44は、カム43に接触しながら、支軸41の軸線回りにカム43に対して回転することにより、支軸41の軸方向A2に変位するようになっている。
固定部材としての第1の部材45は、上部固定ブラケット35とは別体で形成され、上部固定ブラケット35に固定されており、上部固定ブラケット35を介して車体側部材17に固定されている。なお、第1の部材45と上部固定ブラケット35とを、単一の材料により一体に形成してもよい。
第2の部材46は、ピニオン47を回転可能に支持する支持部としての上述の第2ラック51と、上述の支持部としての上述の軌道形成部53とを有している。第2ラック51と、軌道形成部53とは、単一の材料により一体に形成されているが、互いに別体で形成し、互いに固定されてもよい。
第1の部材45と第2の部材46とは、締め付け方向F1に互いに対向している。また、第1ラック48と第2ラック51とは、締め付け方向F1(支軸41の軸方向A2でもよい。)に互いに対向して配置されている。第1および第2ラック48,51の間に、一対のピニオン47が配置されている。一対のピニオン47は、第1および第2ラック48,51にともに噛み合っている。第2ラック51は、第1ラック48との間に、一対のピニオン47を回転可能に支持している。
第1ラック48は、支軸41が挿通する挿通孔482を有している。この挿通孔482は、上部固定ブラケット35の側板352の挿通孔356と平行に延びている。第1ラック48の複数のラック歯54は、チルト方向Y1に平行な歯整列方向に等間隔で並んでいる。第1ラック48は、挿通孔482を挟み、且つ歯整列方向に直交する方向としての軸方向A1の両側に配置された一対の部分を有している。これら一対の部分は、互いに同じに構成されており、それぞれ、複数のラック歯54を有している。
ピニオン47および回転体49のそれぞれは、一対で設けられているが、それぞれについて少なくともひとつがあればよい。本実施形態では、一対の場合に則して説明する。また、ピニオン47と回転体49とは、同行回転するように、互いに固定されている。ピニオン47と回転体49とは、、例えば単一の材料により一体に形成されていてもよいし、ピニオン47と回転体49とを、互いに別体に形成し、互いに固定してもよい。
図2および図5を参照して、軌道52は、締め付け機構38による締め付け時にピニオン47の回転を規制可能な締付時回転規制部として機能する。すなわち、締め付け機構38による締め付け時に、回転体49の外周面55が、軌道52に当接し、軌道52に回転体49の径方向に押し付けられる。その結果、外周面55と軌道52との摩擦力によって、回転体49およびピニオン47の回転が規制されるようにしてある。このとき、第1ラック48とピニオン47とは、互いのバックラッシュがない状態で、互いに噛み合っている。第2ラック51とピニオン47とは、互いのバックラッシュがない状態かまたはわずかな状態で、互いに噛み合っている。
図2および図4を参照して、締め付け機構38による締め付けが解除されたときには、軌道52への回転体49の押圧が解除される。これにより、回転体49が軌道52を転動できるようになるとともに、ピニオン47の回転が許容される。このとき、第1ラック48とピニオン47とが、互いの間のバックラッシュが大きな状態で、互いに噛み合っている。これとともに、第2ラック51とピニオン47とが、互いの間のバックラッシュが大きな状態で、互いに噛み合っている。従って、チルト調整に伴う第1および第2ラック48,51の相対移動に伴って、ピニオン47は、第1および第2ラック48,51と噛み合った状態で、スムーズに回転することができる。
図6および図7を参照して、第1ラック48に対して、第2ラック51がチルト方向Y1に沿って相対移動するときに、第1および第2ラック48,51の相対移動量の半分の移動量で、ピニオン47と第1ラック48とが相対移動する。上側のピニオン47は、第1および第2ラック48,51の中央部と上端部との間で噛み合い、下側のピニオン47は、第1および第2ラック48,51の中央部と下端部との間で噛み合っている。
テレスコピック調整用の部分332について、第2の部材46は、上述の固定部材と同様に機能し、テレスコピック調整のときにステアリングホイール2に対する変位を規制され、上部固定ブラケット35に接している。また、第1の部材45は、テレスコピック調整のときに、ステアリングホイール2とともに変位する可動部材として機能し、上部可動ブラケット36に固定されている。なお、第2の部材46が可動部材として機能し、且つ第1の部材45が固定部材と同様に機能するように、第1の部材45と第2の部材46との配置を互いに入れ換えてもよい。
図1と図3を参照して、以上説明したように、本実施形態では、ロック構造33の締め付け機構38が、可動部材としての第2の部材46を固定部材としての第1の部材45にピニオン47を介して押圧するようにされる。これとともに、第2の部材46の支持部としての軌道形成部53が、締め付け機構38による締め付け時にピニオン47の回転を規制可能な締付時回転規制部としての軌道52を含んでいる。
また、支持部は、第1ラック48とピニオン47を挟んで対向しこのピニオン47に噛み合う第2ラック51と、回転体49の外周面55が転動する締付時回転規制部としての軌道52を形成した軌道形成部53と、を含んでいる。締め付け機構38による締め付け時に、回転体49の外周面55が、軌道52に押し付けられ、その結果、外周面55と軌道52との摩擦力によって、ピニオン47の回転が規制されるようにしてある。締め付け機構38による締め付け時に、軌道52と、この軌道52に押し付けられた回転体49の外周面55との間に、摩擦力が発生する。従って、締め付け力に応じた高い摩擦力を発生させることができる。
例えば、図8は、本発明の第2の実施形態のロック構造33の要部の後面図であり、ロック解除状態を示す。図9は、図8に示すロック構造33のロック状態の後面図である。図10は、図8のロック構造33の要部の下面図である。
第2の部材60は、断面溝形をなしており、溝内にピニオン47を配置している。第2の部材60は、底板としてのウェブ601と、ウェブ601の両端から互いに同側に延設された一対の側板602とを有している。各側板602は、ピニオン47に設けられた支軸61を受ける支持部としての支持溝603を有している。支持溝603は、一対のピニオン47の両側の支軸61に対応して、4箇所に配置されている。
以上説明したように、本実施形態では、ロック構造33の締め付け機構38が、可動部材としての第2の部材60を固定部材としての第1の部材45にピニオン47を介して押圧するようにされる。これとともに、第2の部材60の支持部としての支持溝603が、締め付け機構38による締め付け時にピニオン47の回転を規制可能な締付時回転規制部としての当接部604を含んでいる。
これにより、締め付け機構38による締め付け時には、支持溝603の当接部604と支軸61の外周面62との摩擦力により、ピニオン47の回転を規制できる。また、支持溝603はV字形なので、その楔作用により、締め付け時の支持溝603の当接部604と支軸61の外周面62との摩擦力が大きくなる。その結果、支軸61の回転を、ひいてはピニオン47の回転をより一層確実に規制できる。
また、第2の実施形態において、第1の部材45が可動部材として機能し、且つ第2の部材60が固定部材として機能するように、第1の部材45と第2の部材60との配置が、支軸41の軸方向A2に関して逆にされてもよい。
Claims (3)
- 車体側部材に固定された固定部材と、
チルト調整またはテレスコピック調整のときに、ステアリングホイールとともに変位する可動部材と、
操作レバーの回転操作に応じて締め付け方向に沿って、上記可動部材を上記固定部材に押圧するための締め付け機構と、
上記固定部材および上記可動部材の何れか一方に設けられた支持部と、
上記支持部によって回転可能に支持されたピニオンと、
上記固定部材および上記可動部材の他方に設けられ上記ピニオンに噛み合うラックとを備え、
上記ラックは、上記締め付け方向とは直交する方向に並ぶラック歯を含み、
上記支持部は、上記締め付け機構による締め付け時に上記ピニオンの回転を規制可能な締付時回転規制部を含むことを特徴とするステアリングコラムのロック構造。 - 請求項1において、
上記ピニオンと同軸に同行回転可能に設けられた回転体を備え、上記回転体は、円筒面からなる外周面を含み、
上記支持部は、上記ラックとしての第1ラックと上記ピニオンを挟んで対向し上記ピニオンに噛み合う第2ラックと、上記回転体の上記外周面が転動する上記締付時回転規制部としての軌道を形成した軌道形成部と、を含み、
上記締め付け機構による締め付け時に、上記回転体の上記外周面が、上記軌道に押し付けられ、その結果、上記外周面と上記軌道との摩擦力によって、上記ピニオンの回転が規制されるようにしてあることを特徴とするステアリングコラムのロック構造。 - 請求項1において、
上記支持部は、上記ピニオンの支軸を回転可能に支持し、上記ラック側に向かって拡がるV字形をなす支持溝を含み、
上記締め付け機構による締め付け時に、上記支軸の外周面が、上記支持溝の上記締付時回転規制部としての内面に押し付けられ、その結果、上記支軸の上記外周面と上記支持溝の上記内面との摩擦力によって、上記ピニオンの回転が規制されるようにしてあることを特徴とするステアリングコラムのロック構造。
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