JP2016096891A - クッション体および座席シートおよびクッション体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クッション体であって、主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体と、該繊維構造体よりも硬さが小さい発泡体とを含む。
【選択図】図3
Description
しかしながら、発泡−架橋型のウレタンでは、クッション体としての耐久性は良好である反面、透湿透水性に劣り蓄熱性があるため蒸れ易く、しかも素材が熱可塑性でないためリサイクルが困難であり、また焼却処分するにしても焼却炉の損傷が著しくかつ有毒ガスの除去に手数と経費を要するという問題があった。また、特許文献1などにより提案されているような、ポリエステル硬綿を用いたクッション体では、透湿性に優れるものの、熱接着繊維の接着成分として脆弱な非晶性ポリマ−を使用しているため接着部分が脆弱であり、使用中に接着部分が簡単に破壊されて短期間のうちに形態や弾力性が劣化するなどの問題があった。また、特許文献2などにより提案されているような、熱可塑性エラストマ−を接着部分に使用し、芯部成分がポリエステルからなる熱接着繊維を用いたクッション材では、前記硬綿を用いたクッション材より耐久性が良好であるが、耐久性を重視すると硬くなりすぎる傾向にあり、柔らかな触感と耐久性の両立が困難であった。
その際、前記バインダー繊維が、熱可塑性エラストマーとポリエステルとで形成されることが好ましい。また、前記繊維構造体において、繊維構造体を構成する繊維が、繊維構造体の厚さ方向に配列していることが好ましい。また、前記繊維構造体において、JIS K6400−2D法により測定した25%圧縮硬さが150〜400Nの範囲内であることが好ましい。また、前記発泡体がポリウレタン発泡体であることが好ましい。また、前記発泡体において、JIS K6400−2D法により測定した25%圧縮硬さが、前記繊維構造体よりも50N以上小さいことが好ましい。また、クッション体の厚さが30〜200mmの範囲内であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記のクッション体の製造方法であって、主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体に発泡体を積層した後、前記繊維構造体を1.5〜10倍の範囲で圧縮する、クッション体の製造方法が提供される。
本発明のクッション体は、主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体(以下、第1クッション部ということもある。)と、該繊維構造体よりも硬さが小さい発泡体(以下、第2クッション部ということもある。)とを含む。
ここで、前記繊維構造体は、捲縮短繊維の集合体からなる主体繊維中に、バインダー繊維が接着成分として分散・混合されたウエブからなるものであることが好ましい。
前記ウエブは、熱接着性複合短繊維同士間、および熱接着性複合短繊維とポリエステル系捲縮短繊維との間に立体的繊維交差点が形成されていることが好ましい。
なお、前記ポリエステル系捲縮短繊維として、異方冷却により立体捲縮を有する中空ポリエチレンテレフタレート繊維を用いてもよい。
ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコール、アミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。これらのポリマーのうち、特に好ましいものはポリオールとしてポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクトンあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合、有機ジイソシアネートとしてはp,p’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好適である。また、鎖伸長剤としては、p,p’ビジスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールが好適である。
このポリエステル系エラストマーの重合度は、固有粘度で0.8〜1.7dl/g、特に0.9〜1.5dl/gの範囲にあることが好ましい。この固有粘度が低すぎると、マトリックスを構成する主体繊維とで形成される熱固着点が破壊され易くなる。一方、この粘度が高すぎると、熱融着時に紡錘状の節部が形成されにくくなる。
この融点差が40℃より小さいと、融着加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、主体維の捲縮のへたりを惹起し、また捲縮短繊維の力学的特性を低下させてしまうおそれがある。なお、熱可塑性エラストマーについて、その融点が明確に観察されないときは、融点に替えて軟化点を用いる。
上述の熱接着性複合短繊維は、ウエブの重量を基準として、20〜100%、好ましくは30〜80%の範囲で分散・混入されることが好ましい。
前記ウエブで、熱接着性複合短繊維の分散・混入率が低すぎると、熱固着点の数が少なくなり、クッション体が変形し易くなったり、弾力性、反撥性および耐久性が低くなったりするおそれがある。また、配列した山間の割れも発生するおそれがある。
この密度が5kg/m3未満の場合、この成型用繊維構造体を金型に複数枚積層させ圧縮した際に均一に圧縮されず高圧スチーム成形機での成形後、仕上密度が不均一になり、そのことがクッション体の耐久性低下の要因につながるおそれがある。また繊維構造体の密度が40kg/m3を超える場合は、作製されたクッション体の密度も高くなりすぎ適度な弾性が得られないおそれがあることから、好ましくは成型用繊維構造体の密度は5〜20kg/m3である。
ここでウエブの長さ方向に向いている繊維とは、図2に示すように、ウエブの長さ方向に対する繊維の長さ方向の角度θが、0°≦θ≦45°の条件を満足する繊維であり、横方向(ウエブの幅方向)に向いている繊維とは、θが45°<θ≦90°を満足する繊維である。図中、符号aはウエブを構成する繊維、符号bはウエブの長さ方向(延出方向)、符号cはウエブを構成する繊維方向を表している。
発泡体の材質としては、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂等公知の発泡樹脂を採用できる。特にその形状、製法は限定されないが、例えばポリオール、イソシアネート、触媒、発泡剤及び整泡剤を含むポリウレタンフォーム原料を発泡させた軟質ポリウレタンフォームで、25%圧縮硬さ(JIS K 6400−2 D法)が100〜250Nのものであるのが好ましい。この圧縮硬さが100N未満の場合繰り返し荷重を加えた際の耐久性の効果が小さくなり、また250Nを超えると上層に配設する繊維構造体の硬さが硬くなりすぎ柔らかな触感が失われるおそれがある。また、例えば使用用途によっては難燃性の高いメラミン樹脂発泡体等も使用することができる。
また、予め成型金型の底面積よりも大きな寸法で裁断されていた成型用繊維構造体は、引張り配置することは好ましいことである。成型用繊維構造体を張力が掛かった状態で四方側面まで配置することで、成型加工後、皺がない平滑な形状のクッション体が得られるだけでなく、長期耐久性の面でもその効果を大きく発揮するためである。
成型用繊維構造体と発泡体との複合においては、その一体性を高めるために繊維構造体と接触する発泡体の表面に接着剤を塗布し加熱工程で接着剤を硬化させ一体化させる方法やホットメルトフィルム、ホットメルト不織布、ホットメルト接着剤等を使用し加熱工程で接着してもよい。
図5は、成型用繊維構造体および発泡体を内部に配置し、成形金型を型締めした状態の断面図である。すなわち、熱成型前の金型圧締時は成型用繊維構造体より発泡体の密度を高く硬くし、熱成型後の離型時は繊維構造体より発泡体の密度を低く柔らかくすることが、繰返し耐久性を良くする点で好ましいことである。
ここで、成型温度とは、バインダー繊維としての熱接着性複合短繊維の融点以上、すなわち、熱可塑性エラストマーの融点以上であって、主体繊維の融点よりも低い温度であることが好ましい。
このように、加熱により成型用繊維構造体内の繊維同士が熱融着されることによって、所定形状のクッション体が形成される。なお、必要に応じ表面に布帛を入れてもよいし、成型用繊維構造体間にスチール等のワイヤを入れてもよい。
図7に離型したクッション体の断面図を示す。図7に示すように、本発明のクッション体は、成型用繊維構造体を必要に応じて複数積層して形成された第1クッション部と、該第1クッション部よりも硬さが小さい発泡体からなる第2クッション部が含まれ、前記第2クッション部は、前記第1クッション部の下方に位置する。両クッション部は、含まれている熱接着性繊維または接着材により接着されている。
また、発泡体からなる第2クッション部を、繊維構造体からなる第1クッション部と分離させる様な構成にすることで、廃棄する際に分別の手間を省くことが可能となり、またリサイクルすることも可能になる。具体的には前述の金型の第2型(裏面内壁)を第2クッション部の形状を除去した凹部形状に改良した金型で第1クッション部を熱成型した後、該凹部に第2クッション部をはめ込みことで、分離可能なクッション体を得ることができる。
例えば、着座面の柔らかさをさらに向上させたい場合は、成型用繊維構造体の積層枚数を少なくするまたは密度を小さくする。また、クッション体の耐久性をさらに向上させたい場合は、第2クッション部の密度を低くする方法などがある。このように、成型用繊維構造体の積層枚数や密度の増減、第2クッション部の密度を増減することで、所望の触感や耐久性を有するクッション体を得ることができる。
また、上記実施形態では、水蒸気を成形型に吹き付けていたが、これに限らず、熱風成型機で成型加工を行っても良い。特に厚さが小さいクッション体の場合は、熱風乾燥機や各種熱成型加工機で加工を行うことも可能である。
以下に、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等をあげるが、本発明はこれら実施例に何ら限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。
Du Pont社製 熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とした。
(2)厚さ
JIS L1913により測定した。
(3)目付け
JIS L1913により測定した。
(4)25%圧縮硬さ
JIS K6400−2D法に記載の方法により測定した。本形状のクッション体の場合、150〜250Nが良好である。
なお、第1クッション部、第2クッション部の硬さについてはクッション体を成型した後、その界面を切断して計測した。
(5)長期耐久性(繰り返し圧縮残留ひずみ試験)
JIS K6400−4A法に記載の方法により、8万回繰り返し試験後の厚さ低下率、応力(硬さ)低下率を測定した。
融点154℃の熱可塑性ポリエーテルエステル形エラストマーを鞘成分に用い、融点230℃ポリブチレンテレフタレートを芯成分に用いた単繊維繊度6.6dtex、繊維長51mmの芯/鞘型熱融着性複合繊維(芯/鞘比=60/40:重量比)と異方冷却により立体捲縮を有する単繊維繊度13.2dtex、繊維長64mmの中空ポリエチレンテレフタレート繊維(融点256℃)を30:70の重量比率で混綿し、ローラーカードを通して、クロスラッパーで積層した後、熱風熱処理機にて190℃×1分間処理し、厚さ16.5mm、密度12kg/m3の成型用繊維構造体を得た。
また、発泡体として厚さ40mm、25%圧縮硬さ110Nのエステル系ポリウレタン発泡体と、前記成型用繊維構造体8枚とを、本文記載の方法、すなわち図4に示すように成形金型内に配設し圧締した後、190℃で15分加熱しクッション体を得た。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
なお、得られたクッション体において界面を切断し、第1クッション部と第2クッション部の厚さを確認したところ、第1クッション部は金型投入時に比べて3.3倍の圧縮変形(低厚化)していること、また、第2クッション部は厚さ変化がないことを確認した。
融点154℃の熱可塑性ポリエーテルエステル形エラストマーを鞘成分に用い、融点230℃ポリブチレンテレフタレートを芯成分に用いた単繊維繊度6.6dtex、繊維長51mmの芯/鞘型熱融着性複合繊維(芯/鞘比=60/40:重量比)と異方冷却により立体捲縮を有する単繊維繊度13.2dtex、繊維長64mmの中空ポリエチレンテレフタレート繊維(融点256℃)を30:70の重量比率で混綿し、ローラーカードを通して目付け20g/m2のウエブを得た。この連続ウエブ中の長さ方向(連続している方向)に向いている繊維Aと横方向(ウエブの幅方向)に向いている繊維Bの総数を調べるとA:B=2:1であった。
この連続ウエブを図2に示すようにローラ表面速度2.5m/分の駆動ローラにより、熱風サクション式熱処理機内へ押し込むことでアコーデオン状に折り畳み、190℃×1分間処理し熱融着された厚さ16.5mm、密度12kg/m3、折り畳みピッチ50山/mの成型用繊維構造体を得た以外は実施例1と同条件で熱成型しクッション体を得た。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
実施例1で用いた低融点ポリエーテルエステル系エラストマーを鞘成分とする芯/鞘型熱融着性複合繊維のかわりに低融点非弾性ポリエステルを鞘成分とする芯/鞘型熱融着性複合繊維を成型用繊維構造体に用いた以外は全て実例例1と同条件で熱成型した。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
実施例1で用いた第2クッション体を成型用繊維構造体の上に配設した状態で実施例1と同条件で熱成型した。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
実施例1で用いた成型用繊維構造体を3枚とした以外は、実施例1と同様の方法と条件で熱成型した。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
実施例1で用いた成型用繊維構造体のみで作製した以外は(全て成型用繊維構造体で構成)、実施例1と同様の方法と条件で熱成型した。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
実施例3で用いた成型用繊維構造体のみで作製した以外は(全て成型用繊維構造体で構成)、実施例3と同様の方法と条件で熱成型した。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
Claims (10)
- クッション体であって、
主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体と、該繊維構造体よりも硬さが小さい発泡体とを含むことを特徴とするクッション体。 - 前記バインダー繊維が、熱可塑性エラストマーとポリエステルとで形成される、請求項1に記載のクッション体。
- 前記繊維構造体において、繊維構造体を構成する繊維が、繊維構造体の厚さ方向に配列している、請求項1または請求項2に記載のクッション体。
- 前記繊維構造体において、JIS K6400−2D法により測定した25%圧縮硬さが150〜400Nの範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載のクッション体。
- 前記発泡体がポリウレタン発泡体である、請求項1〜4のいずれかに記載のクッション体。
- 前記発泡体において、JIS K6400−2D法により測定した25%圧縮硬さが、前記繊維構造体よりも50N以上小さい、請求項1〜5のいずれかに記載のクッション体。
- クッション体の厚さが30〜200mmの範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載のクッション体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のクッション体を用いてなり、かつ前記繊維構造体が人体側に配されてなる座席シート。
- 座席シートが、航空機、鉄道車両、電車、二輪車、および自動車から群より選択されるいずれかの用途に用いられる、請求項8に記載の座席シート。
- 請求項1に記載のクッション体の製造方法であって、
主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体に発泡体を積層した後、前記繊維構造体を1.5〜10倍の範囲で圧縮する、クッション体の製造方法。
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