JPWO2007114237A1 - クッション体及び座席シート並びにこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の座席シートに用いられる繊維構造体は、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体からなるマトリックス繊維中に、熱接着性複合短繊維が接着成分として分散・混入されたウェブを、その長さ方向に沿って林立状態で順次折畳んだ状態に形成したものである。すなわち、この繊維構造体は、ウェブをアコーデオン状に折畳んで所定厚さに形成したものである。
これに対し、特許文献2の座席シートでは、荷重方向に繊維の長手方向が沿う構造ではないので、荷重を支持するためにはある程度クッション体を硬く成形しなければならない。
また、クッション体には、繊維構造体の厚さ方向に凹状であって、溝幅方向がウェブの積層方向と所定角度以上をなすように溝部が形成されている。このため、溝部が幅方向に開き難く、溝部の形状を良好に維持することができ、クッション体の外観を良好に保持することが可能である。
2 ウェブ
4 シート状繊維構造体
10 着座部
11,21 クッション体
11a 座面部
11b 土手部
12 溝部
13,23 表皮
15,25 シートフレーム
17 トリムコード
19 係合部
20 背もたれ部
40 成形型
40a キャビティ
40A 上型
40B 下型
41 蒸気孔
42 溝形成部
50 高圧スチーム成形機
61 駆動ローラ
62 熱風サクション式熱処理機
非弾性ポリエステル系捲縮短繊維は、通常のポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリピバロラクトンまたはこれらの共重合エステルからなる短繊維ないしそれら繊維の混綿体、または上記のポリマー成分のうちの2種以上からなる複合繊維等を用いることができる。これら短繊維のうち好ましいのはポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートの短繊維である。さらに、固有粘度において互いに異なる2種のポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、またはその組み合わせからなり、熱処理等により捲縮がミクロクリンプを有する潜在捲縮繊維を用いることもできる。
本例のウェブ2では、バインダ繊維としての熱接着性複合短繊維と、主体繊維としての非弾性捲縮短繊維が、60:40の重量比率で混綿されている。
この連続ウェブ2中の長さ方向(連続している方向)に向いている繊維Cと横方向(ウェブの幅方向)に向いている繊維Dの単位体積当りの総数を調べると、C:D=2:1であることを確認することができる。
また、シート状繊維構造体4を構成する繊維の向きについても、シート状繊維構造体4の厚さ方向および厚さ方向に垂直な方向に沿う方向とは、これらの方向に対して±45°の範囲にあるものを意味する。
なお、ウェブ2の厚みは5mm以上、好ましくは10mm以上、更に好ましくは20mm以上である。通常5〜150mm程度の厚みである。
シート状繊維構造体4の密度は、0.015〜0.20g/cm3の範囲が、クッション性、通気性、弾力性の発現のために適当である。
また、シート状繊維構造体4a〜4dが互いに当接する部分には、必要に応じホットメルトフィルム、ホットメルト不織布、ホットメルト接着剤等が配設される。
本例では、溝形成部42の突出方向(本例ではY方向)がシート状繊維構造体4aの厚さ方向(本例ではY方向)に沿うと共に、シート状繊維構造体4aを構成するウェブ2の積層方向(本例ではZ方向)と溝形成部42の幅方向(本例ではX方向)が所定角度以上をなすように、成形型40内にシート状繊維構造体4a〜4dが圧縮した状態で配置される。
後述するようにシート状繊維構造体4aを構成するウェブ2の積層方向と溝形成部42の幅方向がなす角度は、略90°であることが最も望ましいが、20°程度以上であればよい。好ましくは45°以上である。
ここで、成形温度とは、バインダ繊維としての熱接着性複合短繊維の融点以上、すなわち、熱可塑性エラストマーの融点以上であって、主体繊維としてのマトリックス繊維(非弾性捲縮短繊維)の融点よりも低い成形温度である。
蒸気を成形温度とするには、まず高圧スチーム成形機50内の温度を不図示のヒーターによって成形温度まで昇温すると共に、高圧スチーム成形機50内の気圧を周辺大気圧(約1atm)から少なくとも成形温度における蒸気の飽和蒸気圧以上に昇圧する。
その後、約1分で高圧スチーム成形機50内を成形温度以下に下げると共に、周辺大気圧まで減圧する。そして、成形型40を高圧スチーム成形機50内から取り出して、成形型40を冷却し(冷却工程)、成形型40から熱成形されたクッション体11を離型する(離型工程)。
本例では、高圧スチーム成形機50にてクッション体11を熱成形するタクトタイムは約3〜5分とすることができる。
このように、蒸気によってシート状繊維構造体4a〜4d内の繊維同士が熱融着されると共に、ホットメルトフィルム、ホットメルト不織布、ホットメルト接着剤等がシート状繊維構造体4a〜4d同士を固着することによって、所定形状のクッション体11が形成される。なお、必要に応じ表面に布帛を入れても良いし、シート状繊維構造体4a〜4d間にスチール等のワイヤを入れても良い。
溝部12の幅方向とウェブ2の積層方向が平行または平行に近くなると、溝部12が幅方向Wdに開いて溝部12の形状がダレてしまい易い。
なお、本例では、溝部12の幅方向Wdとウェブ2の積層方向Lのなす角度αが略90°となるように設定されているが、これに限らず、所定角度以上をなすように構成することができる。すなわち、角度αは、略90°であることが最も望ましいが、20°程度以上であればよい。好ましくは45°以上である。
そして、このように形成されたクッション体11,21をシートフレーム15,25に配設し、表皮13,23で覆うことによって、座席シート1が形成される(組み付け工程)。
図10(a)に示すように、着座部10は、クッション体11と、表皮13と、シートフレーム15を備えている。クッション体11の表面は表皮13で覆われており、図10(b)に示すように、表皮13の端末には樹脂製のトリムコード17が縫着されている。トリムコード17は、断面略J字状をしており、先端側に形成された屈曲部に紐などの部材を掛着できるようになっている。
一方、シートフレーム15の内側には、係合部19が突設されている。係合部19の先端側にはワイヤが設けられている。トリムコード17の屈曲部を係合部19のワイヤに掛着することで、表皮13がシートフレーム15に固定される。
まず、高圧スチーム成形前のクッション体11の表面にホットメルトフィルムを貼着し、その表面を表皮13で覆う。次に、表皮13で表面を覆ったクッション体11を高圧スチーム成形機内に入れて高圧スチーム成形を行い、クッション体11と表皮13を一体に形成する。
以上は座席シート1のうち着座部10についての説明であるが、背もたれ部20も同様の工程で製造することができる。
Claims (7)
- 主体繊維とバインダ繊維が混合された繊維構造体を所定形状のキャビティを有する成形型によって成形したクッション体であって、
前記繊維構造体は、前記主体繊維と前記バインダ繊維が混合されたウェブの延出方向が前記繊維構造体の厚さ方向に沿うように、前記ウェブが積層されて形成されてなると共に、前記繊維構造体の厚さ方向が前記クッション体の厚さ方向に沿うように配設され、
前記クッション体には、前記繊維構造体の厚さ方向に凹状となる所定幅を有する溝部が形成され、
該溝部は、その幅方向が前記繊維構造体を構成するウェブの積層方向と所定角度以上をなすように形成されたことを特徴とするクッション体。 - 前記溝部は、その幅方向が前記繊維構造体を構成するウェブの積層方向と略直交するように設定されたことを特徴とする請求項1に記載のクッション体。
- クッション体と、該クッション体を支持するシートフレームとを備えた座席シートであって、前記クッション体は、請求項1又は2に記載のクッション体を用いたことを特徴とする座席シート。
- 繊維構造体からなるクッション体の製造方法であって、
主体繊維とバインダ繊維が混合されたウェブを所定長さで順次折畳んで積層状態として、前記ウェブの延出方向が厚さ方向に沿う所定厚さの繊維構造体を形成する繊維構造体形成工程と、
クッション体に所定幅を有する溝部を形成するための溝形成部が型面に形成された成形型内に、前記繊維構造体の厚さ方向をクッション体の厚さ方向に沿わせて、かつ、前記溝形成部の突出方向が前記繊維構造体の厚さ方向に沿うと共に、前記繊維構造体を構成するウェブの積層方向と前記溝形成部の幅方向が所定角度以上をなすように、前記繊維構造体を圧縮した状態で配置する繊維構造体配置工程と、
前記成形型内の繊維構造体を熱成形してクッション体を形成する成形工程と、を少なくとも備えたことを特徴とするクッション体の製造方法。 - 前記繊維構造体配置工程では、前記繊維構造体を構成するウェブの積層方向と前記溝形成部の幅方向とが略直交するように前記繊維構造体を配置することを特徴とする請求項4に記載のクッション体の製造方法。
- 前記成形工程では、大気圧よりも高い気圧下において、前記成形型の型面に形成された蒸気孔を通して、前記繊維構造体に蒸気を吹き付けることを特徴とする請求項4に記載のクッション体の製造方法。
- クッション体と、該クッション体を支持するシートフレームとを備えた座席シートの製造方法であって、
請求項4〜6のいずれかに記載のクッション体の製造方法によって前記クッション体を形成する工程と、前記シートフレームに前記クッション体を取り付ける工程と、を少なくとも行うことを特徴とする座席シートの製造方法。
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2007
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