JP2016091717A - 固体電解質の製造方法 - Google Patents

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明子 中田
淳平 丸山
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淳平 丸山
中川 將
Susumu Nakagawa
將 中川
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Abstract

【課題】充放電サイクル特性を向上できる固体電解質の製造方法を提供する。【解決手段】リチウム化合物と、P4S9を37.0mol%以上含む硫化リンと、を混合する固体電解質の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解質の製造方法に関する。
近年の移動通信、情報電子機器の発達に伴い、高容量かつ軽量なリチウム二次電池の需要が増加する傾向にある。室温で高いリチウムイオン伝導性を示す電解質のほとんどが液体であり、市販されているリチウムイオン二次電池の多くが有機系電解液を用いている。この有機系電解液を用いたリチウム二次電池では、漏洩、発火・爆発の危険性があり、より安全性の高い電池が望まれている。
有機系電解液の代わりに、リチウム化合物と硫化リンを混合することで得られることで得られる固体電解質を用いた全固体電池では、電解質の漏洩や発火が起こりにくいという特徴を有する。しかしながら得られる全固体電池のサイクル特性は十分ではなく、より高いサイクル性能が望まれていた。
本発明の目的は、充放電サイクル特性を向上できる固体電解質の製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の固体電解質の製造方法等が提供される。
1.リチウム化合物と、
を37.0mol%以上含む硫化リンと、を混合する
固体電解質の製造方法。
2.前記硫化リンがPを38.0mol%以上含む1に記載の固体電解質の製造方法。
3.前記硫化リンがPを含む1又は2に記載の固体電解質の製造方法。
4.前記硫化リンのPとPの合計含有量が38.0mol%以上である3に記載の固体電解質の製造方法。
5.リチウム化合物と、
及びPのうち少なくとも1つを含みその合計含有量が38.0mol%以上である硫化リンと、を混合する
固体電解質の製造方法。
6.前記硫化リンがαPを含む1〜5のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
7.前記硫化リンがP10を含む1〜6のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
8.前記P10の含有量が60.0mol%以下である7に記載の固体電解質の製造方法。
9.前記リチウム化合物がLiSである1〜8のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
10.前記リチウム化合物、及び前記硫化リンを、リチウム元素とリン元素のモル比が、リチウム元素:リン元素=50〜50:95〜5となるように混合する1〜9のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
11.前記混合をボール存在下で実施する1〜10のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
12.前記混合を0〜150℃で実施する1〜11のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
13.前記混合を1時間〜72時間実施する1〜12のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
14.1〜13のいずれかに記載の固体電解質の製造方法により得られる固体電解質を加熱する結晶化固体電解質の製造方法。
15.1〜13のいずれかに記載の固体電解質の製造方法により得られる固体電解質。
16.14に記載の結晶化固体電解質の製造方法により得られる結晶化固体電解質。
17.1〜13のいずれかに記載の固体電解質の製造方法により固体電解質を製造し、
前記固体電解質と負極活物質を混合する、
負極合材の製造方法。
18.14に記載の結晶化固体電解質の製造方法により結晶化固体電解質を製造し、
前記結晶化固体電解質と負極活物質を混合する、
負極合材の製造方法。
19.15に記載の固体電解質、又は16に記載の結晶化固体電解質と負極活物質を含む負極合材。
20.前記負極活物質が炭素材料である19に記載の負極合材。
21.前記負極活物質がグラファイトである19又は20に記載の負極合材。
22.1〜13のいずれかに記載の固体電解質の製造方法により固体電解質を製造し、
前記固体電解質と正極活物質を混合する、
正極合材の製造方法。
23.14に記載の結晶化固体電解質の製造方法により結晶化固体電解質を製造し、
前記結晶化固体電解質と正極活物質を混合する、
正極合材の製造方法。
24.15に記載の固体電解質、又は16に記載の結晶化固体電解質と正極活物質を含む正極合材。
25.15に記載の固体電解質、又は16に記載の結晶化固体電解質を含むリチウムイオン電池。
26.前記Pの含有量を、31PNMRスペクトルを用いて測定する、1〜13のいずれかの固体電解質の製造方法。
27.前記31PNMRスペクトルを、以下の条件とする、26の固体電解質の製造方法。
(条件)
溶液調製:硫化リン20mgに二硫化炭素7mlを加えて、完全溶解させたのち、さらにベンゼン−d6を1ml加え撹拌し、そのうちの0.7mlをNMR試料管へ充填する。
観測核:31P
観測周波数:200.43MHz
測定温度:室温
パルス系列:シングルパルス(30°パルス)
90°パルス幅:13.3μs
FID測定後、次のパルス印加までの待ち時間:20s
積算回数:2048回
本発明によれば、充放電サイクル特性を向上できる固体電解質の製造方法が提供できる。
本発明の固体電解質の製造方法は、リチウム化合物と、Pを37.0mol%以上含む硫化リンと、を混合する工程を含む。
以下、本発明の固体電解質の製造方法に使用する原料や条件等について説明する。
[硫化リン]
硫化リンは、硫黄元素及びリン元素を含む化合物(例えばP10、P及びPからなる硫化リン)、あるいは硫黄元素及びリン元素を含む化合物を2種以上含む組成物である。
本発明の固体電解質の製造方法ではPを37.0mol%以上含む硫化リンを原料として使用し、好ましくはPを38.0mol%以上含む硫化リンを使用する。
尚、硫化リンのPの含有量の上限は特に限定されないが、例えば99mol%、95mol%、90mol%である。
にはα−Pとβ−Pがあり、本発明の製造方法ではいずれでもよく、好ましくはα−Pを含む硫化リンを使用する。
α型Pとβ型Pは互いに分子構造が異なり、α型とはP10構造からP=S結合のSがひとつ欠損した構造で、β型とはP10構造からP−S−P結合のSがひとつ欠損した構造である。これらはXRDのピーク位置により判別できる。
は五硫化二リン(分子式:P10)の構造の一部が欠損した分子であり、一般に市販されている五硫化二リンのP含有量は少ない。
を37.0mol%以上含む硫化リンは、一般的な五硫化二リン、すなわちPを含む五硫化二リンについて以下の処理をして製造するとよい。具体的には、二硫化炭素を溶媒としたソックスレー抽出法により得られる。
ソックスレー抽出法とは、固体から目的成分を抽出するために、一般的に用いられている抽出方法である。即ち、最下部の溶媒を入れたフラスコを加熱して溶媒を蒸発させ、最上部の冷却器で凝結した液滴を、中間部の試料を入れた円筒濾紙に滴り落とし、目的成分を溶かしこんだ後にフラスコに流し込ませる。これを一定のサイクル(以下抽出サイクル)にて、一定の時間(以下抽出時間)抽出することにより、目的成分をフラスコ内の溶媒に濃縮するものである。
より具体的には、二硫化炭素を溶媒としたソックスレー抽出法にて、毎時2回以上10回以下、好ましくは毎時3回以上9回以下、例えば4回から5回の抽出サイクルにて、1時間以上48時間以下、好ましくは2時間以上48時間以下、例えば24時間抽出を行う。
得られた抽出物を蒸発乾固し、次に、抽出物に残存している揮発性物質を真空下(1トール未満又は約130Pa未満、常温)で除去する。これにより、Pを37.0mol%以上含む硫化リンが得られる。
溶媒である二硫化炭素の含有水分量は100ppm以下であることが好ましい。
例えば、五硫化二リン(サーモフォス製Special grade/FS)25gを、二硫化炭素(アルドリッチ社製特級脱水グレード)を溶媒としたソックスレー抽出法にて、毎時4回から5回の抽出サイクルにて24時間抽出を行う。
得られた抽出物を蒸発乾固し、次に、残存している揮発性物質を真空下(トール未満又は約130Pa未満、常温)で除去する。これにより、Pを37.0mol%以上含む硫化リンが得られる。
原料として使用する硫化リンは、好ましくはP10を含む。硫化リンが含むP10の含有量は好ましくは60.0mol%以下であり、より好ましくは58.0mol%以下であり、さらに好ましくは55.0mol%以下である。
原料として使用する硫化リンは、好ましくはPを含む。硫化リンがPを含む場合、硫化リンのPとPの合計含有量が38.0mol%以上であることが好ましく、39.0mol%以上であることがより好ましい。
硫化リンは、Pの含有量が37.0mol%以上であればよく、さらにP10及びPのうち少なくとも1つを含んでもよく、P、P10及びPからなってもよい。
また、硫化リンはP、P10及びPの他に不可避不純物(多リン硫化物など)を含んでもよい。
硫化リン中のP、P10及びPのそれぞれの含有量は、31PNMRスペクトルの結果から算出することができる。測定条件は例えば以下である。
溶液調製:サンプル20mgに対し二硫化炭素(アルドリッチ社製anhydrous)7mlを加えて、完全溶解させたのち、さらにベンゼン−d6(ISOTEC社製 99.6%)を1ml加え撹拌したのち、そのうちの0.7mlをNMR試料管へ充填する。
装置:(株)JEOL RESONANCE製 ECA−500NMR装置
観測核:31P
観測周波数:200.43MHz
測定温度:室温
パルス系列:シングルパルス(30°パルスを使用)
90°パルス幅:13.3μs
FID測定後、次のパルス印加までの待ち時間:20s
積算回数:2048回
尚、上記の31PNMRスペクトルの測定において、化学シフトは、外部基準として85%リン酸の重水素溶液(化学シフト0ppm)を用いることで得られる。
[リチウム化合物]
リチウム化合物はLiSを含むことが好ましい。
リチウム化合物はLiSであってもよく、LiSと他のリチウム化合物の混合物でもよい。他のリチウム化合物としては、LiX(Xはハロゲン元素)が挙げられる。即ち、リチウム化合物はLiSのみであってもよく、LiSとLiXを含んでもよく、LiSとLiXとからなってもよい。
上記LiXとしては、例えばLiI、LiBr、LiCl、LiFが挙げられ、LiXは、これらのうち1種としてもよく、2種以上としてもよい。
リチウム化合物がLiSである場合、原料として使用するLiSは特に制限はなく、例えば、工業的に入手可能なものが使用でき、また特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−084438号公報に開示の方法に製造できる硫化リチウムを使用できる。
尚、上記特開2010−163356号公報では、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成する。また、上記特開2011−084438号公報では、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成する。
特開平7−330312号及び特開平9−283156号に記載の硫化リチウムの製造方法では、得られる硫化リチウムは硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。一方、特開2010−163356号に記載の硫化リチウムの製造方法では、得られる硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずにそのまま用いることができる。
硫化リチウムを精製する場合、好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号に開示の精製法等が挙げられ、得られた硫化リチウムを有機溶媒を用いて100℃以上の温度で洗浄することにより精製する。
[混合]
リチウム化合物と硫化リンの混合は、MM(メカニカルミリング)法、溶融急冷法、炭化水素系溶媒中で原料を接触させる方法(WO2009/047977)、炭化水素系溶媒中で原料を接触させる手段と粉砕合成手段とを交互に行う方法(特開2010−140893)、溶媒中で原料を接触させる工程の後に粉砕合成工程を行う方法(PCT/JP2012/005992)のいずれでもよい。
上記混合は、ボールを用いずに混合してもよく、ボール存在下で混合してもよく、好ましくはボール存在下で混合する。
また混合は、溶媒を用いずに混合してもよく、溶媒中で混合してもよい。溶媒を用いる場合には、ボールを用いる反応容器とボールを用いない反応容器を循環させる方法が好ましい。
上記溶媒は、極性溶媒であっても非極性溶媒であってもよい。非極性溶媒としては、炭化水素溶媒が挙げられる。当該炭化水素溶媒としては、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒が挙げられ、芳香族炭化水素溶媒中で混合することが好ましい。芳香族炭化水素溶媒としては、アルキルベンゼンが好ましい。アルキルベンゼンとしては、トルエンが好ましい。
混合時の温度は特に限定は無いが、例えば0℃以上150℃以下、5℃以上140℃以下である。溶媒を用いる場合には、溶媒の沸点以下が好ましい。
混合時間は特に限定は無いが、例えば1時間以上72時間以下、2時間以上48時間以下である。
混合する際のリチウム化合物と硫化リンの混合比は、リチウム化合物及び硫化リンの合計におけるリチウム元素とリン元素のモル比が、50:50〜95:5となるように混合することが好ましく、より好ましくは65:35〜88:12であり、例えば、68:32〜85:15、70:30〜82:18、72:28〜80:20、74:26〜80:20である。
リチウム化合物がLiSである場合には、LiSと硫化リンを、リチウム元素とリン元素のモル比として、50:50〜95:5となるように混合することが好ましく、より好ましくは65:35〜85:15であり、例えば、68:32〜82:18、72:28〜78:22である。
[固体電解質]
本発明の製造方法で得られる固体電解質は、Li、P及びSを含む硫化物固体電解質である。当該硫化物系固体電解質は、さらにハロゲン元素を含んでもよい。
ハロゲン元素を含む固体電解質は、原料であるリチウム化合物がLiI、LiBr、LiCl等を含む場合である。ハロゲン元素を含む固体電解質として、具体的には、Li、P、S及びIを含む硫化物固体電解質、Li、P、S及びBrを含む硫化物固体電解質、Li、P、S及びClを含む硫化物固体電解質が挙げられる。
本発明の製造方法で得られる固体電解質は、リチウム元素とリン元素のモル比が、50:50〜95:5であることが好ましく、より好ましくは65:35〜88:12であり、例えば、68:32〜85:15、70:30〜82:18、72:28〜80:20、74:26〜80:20である。
本発明の製造方法で製造した固体電解質は、非結晶硫化物固体電解質(硫化物固体電解質ガラス)として得られる。
本発明の固体電解質は、非結晶硫化物固体電解質でも結晶硫化物固体電解質(硫化物固体電解質ガラスセラミックス)でもよい。結晶硫化物固体電解質は、非結晶硫化物固体電解質を例えばガラス転移点以上の温度で加熱して少なくとも一部を結晶化したものである。
ガラス転移点とは、原子やイオンが動くことができる温度であり、ガラス転移点以上になったガラスは構造単位の拡散や移動が顕著になる。一方、結晶化とは、乱れた原子配列構造を有するガラス中の構造単位の拡散や移動により原子間の再配列が起こり、核形成及び結晶成長という二段階のプロセスを経て結晶相に変わる、すなわち規則性を有する原子配列構造になることである。(NEW GLASS,20(3)2005参照)。
上記から、結晶化は、「構造単位の拡散や移動」が可能となる温度、すなわち少なくともガラス転移点以上でなければ生じない。ガラス転移点未満では、理論上、結晶は生じない。そしてガラス転移点以上の温度領域には結晶化温度が存在し、結晶化温度以上で加熱すれば、少なくとも一部が結晶化する。
非結晶硫化物固体電解質は示差走査熱量測定を行った際に、150℃〜350℃の範囲に発熱ピークを有することが好ましい。発熱ピークは、非結晶硫化物固体電解質の原料種や配合比によって1本もしくは2本みられる場合がある。
2本の発熱ピークがみられる場合には、低温側のピーク(Tc1)が高イオン伝導を発現する準安定相に対応する温度であり、高温側のピーク(Tc2)が安定相に対応する温度である。結晶硫化物固体電解質では、イオン伝導度を高めるために、準安定相を生じさせるような熱処理をすること有効である。
非結晶硫化物固体電解質を加熱して結晶硫化物固体電解質(一部結晶化を含む)とする場合の熱処理温度は、高温側の発熱ピーク(Tc2)を超えない範囲において、好ましくは、低温側の発熱ピークのピーク温度(Tc1−10)℃以上(Tc1+30)℃以下の温度が好ましく、特に、(Tc1−5)℃以上(Tc1+25)℃以下の温度が好ましい(Journal of Solid State Electrochemistry March 2013, Volume 17,Issue 3,pp675−680(Fig.2)、特開2014−009326段落0051参照)。
熱処理前後の各ピークの強度は、低温側の発熱ピークについては、熱処理後の強度は熱処理前のピーク強度に対してほぼゼロになっていることが望ましく、高温側の発熱ピークは熱処理前に比べて7割以上の強度を残していることが望ましい。これにより、十分な量の準安定相が形成できる。
加熱時間は、0.005分以上、10時間以下が好ましい。さらに好ましくは、0.005分以上、5時間以下であり、特に好ましくは、0.01分以上、3時間以下である。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。加熱時の気圧は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。雰囲気は、空気中であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
固体電解質が、Li、P及びSからなる硫化物固体電解質である場合、熱処理時間は、好ましくは180℃〜330℃、より好ましくは、200℃〜320℃、特に好ましくは、210℃〜310℃である。熱処理時間は、180℃以上210℃以下の温度の場合は、3〜240時間が好ましく、特に4〜230時間が好ましい。また、210℃より高く330℃以下の温度の場合は、0.1〜240時間が好ましく、特に0.2〜235時間が好ましく、さらに、0.3〜230時間が好ましい。
本発明の固体電解質が、結晶硫化物固体電解質である場合、例えば下記の1以上の結晶構造を含む:
・ LiPS結晶構造
・ Li結晶構造
・ LiPS結晶構造
・ Li11結晶構造
・ Li4−xGe1−x系チオリシコンリージョンII型及びIII型の結晶構造(Kannoら、Journal of The Electrochemical Society,148(7)A742−746(2001)参照)
・ 上記Li4−xGe1−x系チオリシコンリージョンII型及びIII型とは元素が一部異なる、チオリシコンリージョンII型及びIII型に類似の結晶構造(Solid StateIonics 177(2006)2721−2725参照)
結晶硫化物固体電解質は、1つの結晶構造を有していればよく、複数の結晶構造を有していてもよい。結晶構造はX線回折により確認できる。結晶構造としては、より高いイオン伝導度が要求される場合にはLi11が好ましく、より高い化学安定性が要求される場合にはチオリシコンリージョンII型及びIII型に相当する結晶構造(チオリシコンリージョンII型及びIII型の結晶構造、上述したチオリシコンリージョンII型及びIII型に類似の結晶構造を含む)、LiPS結晶構造が好ましい。
[負極合材]
本発明の製造方法で得られる固体電解質(非結晶固体電解質)、及びさらに加熱して得られる結晶化固体電解質に負極活物質を配合することにより負極合材が得られる。
上記負極活物質としては、炭素材料、金属材料等、公知のものが使用できる。これらのうち2種以上からなる複合体も使用できる。
炭素材料としては、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。
金属材料としては、金属単体、合金、金属化合物が挙げられる。当該金属単体としては、金属ケイ素、金属スズ、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミが挙げられる。当該合金としては、ケイ素、スズ、リチウム、インジウム、及びアルミニウムのうち少なくとも1つを含む合金が挙げられる。当該金属化合物としては、金属酸化物が挙げられる。金属酸化物は、例えば酸化ケイ素、酸化スズ、酸化アルミニウムである。
負極活物質と固体電解質(非結晶固体電解質及び/又は結晶化固体電解質)の配合割合は、負極活物質:固体電解質=95重量%:5重量%〜5重量%:95重量%が好ましく、90重量%:10重量%〜10重量%:90重量%がより好ましく、85重量%:15重量%〜15重量%:85重量%がさらに好ましい
負極合材における負極活物質の含有量が少なすぎる(固体電解質が多すぎる)と、所望の電池容量が得られにくい。一方、負極合材における負極活物質の含有量が多すぎる(固体電解質が少なすぎる)と、負極合材内でのリチウムイオン伝導パスが十分に形成されないため、内部抵抗が上昇し、結果として容量低下の原因となるおそれがある。
負極合材は導電助剤をさらに含有することができる。
導電助剤は、負極合材の高容量化やハイレート化を達成するために添加される成分である。導電助剤の具体例としては、アセチレンブラックやケッチェンブラック等の高導電性カーボンブラックや、Ni粉末、Cu粉末、Ag粉末等の金属粉末等が挙げられる。なかでも、極少量の添加で優れた導電性を発揮する高導電性カーボンブラック、Ni粉末、Cu粉末のいずれかを用いることが好ましい。
負極合材が導電助剤を含む場合の導電助剤の合材中の含有量は、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは2〜20質量%である。導電助剤の含有量が少なすぎると、負極活物質を包括するだけの電子伝導網が形成できず、容量が低下し、ハイレート特性も著しく低下する。一方、導電助剤の含有量が多すぎると、負極合材の嵩密度が低下し、結果的に、負極合材の単位体積当たりの充放電容量が低下する傾向がある。また、負極合材の強度も低下しやすくなる。
負極活物質と硫化物系固体電解質を互いに密に結着させるため、さらに結着剤を含んでもよい。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、あるいはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
負極合材は固体電解質又は結晶化固体電解質と負極活物質、並びに任意の導電助剤及び/又は結着剤を混合することで製造できる。
混合方法は特に限定されないが、例えば、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、カッターミルを用いて混合する乾式混合;及び有機溶媒中に原料を分散させた後に、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、フィルミックスを用いて混合し、その後溶媒を除去する湿式混合を適用することができる。これらのうち、負極活物質粒子を破壊しないために湿式混合が好ましい。
[正極合材]
本発明の製造方法で得られる固体電解質(非結晶固体電解質)、及びさらに加熱して得られる結晶化固体電解質に正極活物質を配合することにより正極合材が得られる。
正極活物質は、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質であり、電池分野において正極活部質として公知のものが使用できる。
正極活物質としては、公知のものが使用できる。例えば、金属酸化物、硫化物等が挙げられる。硫化物には、金属硫化物、非金属硫化物が含まれる。
金属酸化物は、例えば遷移金属酸化物である。具体的には、V、V13、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(ここで、0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCo(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、LiFePO、CuO、Li(NiCoAl)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)等が挙げられる。
金属硫化物としては、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が挙げられる。
その他、金属酸化物としては、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)等が挙げられる。
非金属硫化物としては、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物等が挙げられる。
上記の他、セレン化ニオブ(NbSe)、金属インジウム、硫黄も正極活物質として使用できる。
正極合材は、さらに導電助剤を含んでいてもよい。
導電助剤は、導電性を有していればよく、その電子伝導度は、好ましくは1×10S/cm以上であり、より好ましくは1×10S/cm以上である。導電助剤としては、炭素材料、金属粉末及び金属化合物から選択される物質、及びこれらの混合物が挙げられる。
導電助剤の具体例としては、好ましくは炭素材料、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む物質であり、より好ましくは導電性が高い炭素単体、炭素単体以外の炭素材料;ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。
尚、炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;黒鉛、炭素繊維、活性炭等が挙げられ、これらは単独でも2種以上でも併用可能である。なかでも、電子伝導性が高いアセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラックが好適である。
正極合材の固体電解質及び正極活物質の配合割合、導電助剤の含有量、並びに正極合材の製造方法は、上述した負極合材と同様である。
[リチウムイオン電池]
本発明の負極合材は、リチウムイオン電池の負極層の材料として好適に用いることができる。本発明のリチウムイオン電池は、正極層、電解質層及び負極層をこの順に備える全固体電池であり、正極層、電解質層及び負極層から選択される1以上が本発明の製造方法により得られる固体電解質を含む。
以下、本発明のリチウムイオン電池の各層について説明する。
(1)負極層
負極層は、好ましくは本発明の負極合材からなる層である。
負極層の厚さは、100nm以上5mm以下が好ましく、1μm以上3mm以下がより好ましく、5μm以上1mm以下がさらに好ましい。
負極層は公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
(2)電解質層
電解質層は、固体電解質を含む層である。当該固体電解質は特に限定されないが、好ましくは本発明の固体電解質である。
電解質層は、固体電解質のみからなってもよく、さらにバインダーを含んでもよい。当該バインダーとしては、本発明の負極合材の結着剤と同じものが使用できる。
電解質層の厚さは、0.001mm以上1mm以下であることが好ましい。
電解質層の固体電解質は、融着していてもよい。融着とは、固体電解質粒子の一部が溶解し、溶解した部分が他の固体電解質粒子と一体化することを意味する。また、電解質層は、固体電解質の板状体であってもよく、当該板状体は、固体電解質粒子の一部又は全部が溶解し、板状体になっている場合も含む。
電解質層は、公知の方法により製造することができ例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
(3)正極層
正極層は、正極活物質を含む層であり、好ましくは本発明の正極合材からなる層である。
正極層の厚さは、0.01mm以上10mm以下であることが好ましい。
正極層は、公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
(4)集電体
本発明のリチウムイオン電池は好ましくは集電体をさらに備える。例えば負極集電体は負極の電解質側とは反対側に、正極集電体は正極の電解質側とは反対側に設ける。
集電体として、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、又はこれらの合金等からなる板状体や箔状体等が使用できる。
本発明のリチウムイオン電池は、上述した各部材を貼り合せ、接合することで製造できる。接合する方法としては、各部材を積層し、加圧・圧着する方法や、2つのロール間を通して加圧する方法(roll to roll)等がある。
また、接合面にイオン伝導性を有する活物質や、イオン伝導性を阻害しない接着物質を介して接合してもよい。
接合においては、固体電解質の結晶構造が変化しない範囲で加熱融着してもよい。
また、本発明のリチウムイオン電池は、上述した各部材を順次形成することでも製造できる。公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
本発明の他の実施形態に係る固体電解質の製造方法は、リチウム化合物と、P及びPのうち少なくとも1つを含みその合計含有量が38.0mol%以上である硫化リンと、を混合する。硫化リンを除き、上述の固体電解質の製造方法と同様である。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
製造例1
[硫化リチウム(LiS)の製造]
硫化リチウムの製造及び精製は、下記のように行った。
非水溶性媒体としてトルエン(住友商事株式会社製)を脱水処理し、カールフィッシャー水分計にて測定し水分量が100ppmとなったものを窒素気流下で303.8kgを500Lステンレス製反応釜に加え、続いて無水水酸化リチウム33.8kg(本荘ケミカル株式会社製)を投入し、ツインスター撹拌翼131rpmで撹拌しながら、95℃に保持した。
スラリー中に硫化水素(住友精化株式会社製)を100L/分の供給速度で吹き込みながら104℃まで昇温した。反応釜からは、水とトルエンの共沸ガスが連続的に排出された。この共沸ガスを、系外のコンデンサで凝縮させることにより脱水した。この間、留出するトルエンと同量のトルエンを連続的に供給し、反応液レベルを一定に保持した。
凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素導入後24時間で水の留出は認められなくなった。尚、反応の間は、トルエン中に固体が分散して撹拌された状態であり、トルエンから分層した水分は無かった。
この後、硫化水素を窒素に切り替え100L/分で1時間流通した。
得られた固形分をろ過・乾燥して得た白色粉末である硫化リチウムを滴定分析(塩酸滴定)したところ、硫化リチウムの純度は97.9%であった。また、X線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。
得られた硫化リチウムの比表面積を窒素ガスによるBET法で、AUTOSORB6を用いて測定した結果、16.8m/gであった。
得られた硫化リチウムについて、滴定分析(塩酸滴定)及びイオンクロマト分析を実施し、また、反応後のトルエンについてガスクロ分析等を行った結果、硫化リチウムは不純物として、水酸化リチウム0.4質量%、炭酸リチウム0.9質量%、亜硫酸リチウム等の各硫黄酸化物の総含有量0.5質量%、トルエン0.2質量%を含んでいた。
製造例2
[Pの含有量が多い硫化リン(抽出物)の製造]
市販品である五硫化二リン(サーモフォス製Special grade/FS)25gを、二硫化炭素(アルドリッチ社製特級脱水グレード)を溶媒としたソックスレー抽出法にて、毎時4から5回の抽出サイクルにて24時間抽出を行った。抽出工程完了によって得られた抽出物を蒸発乾固し、次に、抽出物に残存している揮発性物質を真空下(1トール未満又は約130Pa未満、常温)で除去した。
得られた抽出物である硫化リンについて、XRD測定した結果、α−Pのメインピークが大きい硫化リンであることを確認した。
得られた硫化リンについて、以下の条件で31PNMRスペクトルの測定を実施し、リン比率を評価した。ピークの帰属については表1に示し、評価結果を表2に示す。また、市販品である硫化リン(サーモフォス製五硫化二リンSpecial grade/FS)についても同様のリン比率の評価をした。結果を表2に示す。
結果から以下のことがいえる。すなわち、一般に、市販品の五硫化二リンには、分子式がP10の五硫化二リンだけでなく、Pなど他の硫化リンが含まれる。また、それらの総和として、リン元素と硫黄元素の比が2:5となるものを五硫化二リンと命名している。
溶液調製:サンプル20mgに対し二硫化炭素(アルドリッチ社製特級脱水グレード)7mlを加えて、完全溶解させたのち、さらにベンゼン−d6(ISOTEC社製 99.6Atom%)1mlを加え撹拌したのち、そのうちの0.7mlをNMR試料管へ充填した。
装置:ECA−500NMR装置(株式会社JEOL RESONANCE製)
観測核:31
観測周波数:200.43MHz
測定温度:室温
パルス系列:シングルパルス(30°パルスを使用)
90°パルス幅:13.3μs
FID測定後、次のパルス印加までの待ち時間:20s
積算回数:2048回
尚、上記の31PNMRスペクトルの測定において、化学シフトは、外部基準として85%リン酸の重水素溶液(化学シフト0ppm)を用いることで得た。
製造例3
[Pの含有量が少ない硫化リン(残留物)の製造]
五硫化二リン(サーモフォス製Special grade/FS)25gを、二硫化炭素(アルドリッチ社製特級脱水グレード)を溶媒としたソックスレー抽出法にて、毎時4から5回の抽出サイクルにて24時間抽出を行った。円筒濾紙内の残留物を蒸発乾固し、次に、残留物に残存している揮発性物質を真空下(1トール未満又は約130Pa未満、常温)で除去した。
ここで得られた残留物は、XRD測定の結果、P10のメインピークが大きい材料であることが確認された。
得られた硫化リンについて、製造例2と同様にして31PNMRスペクトルの測定を実施した。結果を表2に示す。
Figure 2016091717
Figure 2016091717
製造例4
[LiS:P(モル比)=70:30のガラスセラミックスの製造]
製造例1で製造したLiSと市販品であるP(サーモフォス製Special grade/FS)を出発原料に用いた。これらをモル比70:30に調整した混合物約1gと、直径10mmのジルコニア製ボール10ケとを45mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)にて、アルゴン中、室温(25℃)にて、回転速度を370rpmとし、40時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末であるリチウム・リン系硫化物ガラス固体電解質を得た。このもののガラス転移温度をDSC(示差走査熱量測定)により測定したところ、220℃であった。
この固体電解質ガラス粒子をグローブボックス内Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、300℃、2時間の加熱処理を施し電解質ガラスセラミックス(結晶化硫化物系固体電解質:平均粒径14.52μm)を得た。このガラスセラミックス粒子のX線回折測定では、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。
このガラスセラミックス粒子のイオン伝導度は、1.3×10−3S/cmであった。イオン伝導度は後述する交流インピーダンス法により測定した結果から、算出した。
実施例1
[原料比:LiS/硫化リン(抽出物)=75/25):MM法]
(1)固体電解質ガラスの合成
製造例1で製造したLiSと製造例2で製造した硫化リンを出発原料に用いた。これらをモル比でLiS:硫化リン=75:25に調整した混合物約1gと、直径10mmのジルコニア製ボール10ケとを遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポット(45mL)に入れ、完全密閉した。ポット内はアルゴン雰囲気とした。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで40時間メカニカルミリングを行い、固体電解質ガラスを合成した。
得られた固体電解質ガラスについてイオン伝導度(σ)を評価した。結果を表3に示す。
イオン伝導度の測定方法は以下の通りである。
固体電解質を錠剤成形機に充填し、22MPaの圧力を加え成形体を得た。さらに、電極としてカーボンを成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、伝導度測定用の成形体(直径約10mm、厚み約1mm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度測定を実施した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
(2)リチウムイオン電池の製造
製造例4で調製した結晶化硫化物系固体電解質50mgを直径10mmのステンレス製の金型に投入し、平らに均した後(電解質層の層厚が均等になるようにした後)、油圧プレス機(P−6、RIKEN製)で電解質層の上面から10MPa(表示値)の圧力を加えて加圧成型する。
正極活物質としてLiTi12コートLiNi0.8Co0.15Al0.05、固体電解質として製造例4で製造した結晶化固体電解質粉末を重量で70:30の比率で混合し正極材料とし、正極材料15mgを電解質層の上面に投入し平らに均した後(正極層の層厚が均等になるようにした後)、油圧プレス機(P−6、RIKEN製)で正極層の上面から22MPa(表示値)の圧力を加えて加圧成型した。
負極活物質である黒鉛粉末、及び(1)で製造した固体電解質ガラス粉末を重量で60:40の比率で混合して負極材料とした。電解質層の正極層とは反対側の面に負極材料12mgを投入して平らに均した後(負極層の層厚が均等になるようにした後)、油圧プレス機(P−6、RIKEN製)で負極層の上面から30MPa(表示値)の圧力を加えて加圧成型し、正極、固体電解質層及び負極の三層構造のリチウムイオン電池を作製した。
得られたリチウムイオン電池のサイクル特性を評価した。結果を表4に示す。
具体的には、電池を50℃〜60℃に設定した恒温槽内に12時間静置した後、評価した。1サイクル目に0.1C(0.189mA)で4.2Vまで充電、0.1C(0.189mA)3.1Vまで放電し、2サイクル目〜10サイクル目に1C(1.89mA)で4.2Vまで充電、1C(1.89mA)3.1Vまで放電し、11サイクル目に0.1C(0.189mA)で4.2Vまで充電、0.1C(0.189mA)3.1Vまで放電し、12サイクル目〜16サイクル目に、0.2C(0.378mA)で4.2Vまで充電、各サイクルごとに0.2C(0.378mA)、0.5C(0.945mA)、1C(1.89mA)、2C(3.78mA)、5C(9.45mA)で3.1Vまで放電し、17〜19サイクル目に1C(1.89mA)で4.2Vまで充電、1C(1.89mA)3.1Vまで放電した。
20サイクル目に0.1C(0.189mA)で4.2Vまで充電、0.1C(0.189mA)3.1Vまで放電し、以後19サイクルを1C(1.89mA)で4.2Vまで充電、1C(1.89mA)3.1Vまで放電、1サイクルを0.1C(0.189mA)で4.2Vまで充電、0.1C(0.189mA)3.1Vまで放電するという20回1セットを4回繰り返し、トータル100サイクルとした。初期放電容量及び100回目の放電容量について確認した。容量維持率は、サイクル中の最大放電容量に対する100回目の放電容量の割合を示した。
比較例1
[原料比:LiS/硫化リン(残留物)=75/25):MM法]
原料に使用する硫化リンを製造例3で製造した硫化リンとした以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及びリチウムイオン電池を製造し、評価した。結果を表3及び4に示す。
比較例2
[原料比:LiS/P(市販品)=75/25):MM法]
原料に使用する硫化リンを市販の五硫化二リン(サーモフォス製Special grade/FS)とした以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及びリチウムイオン電池を製造し、評価した。結果を表3及び4に示す。
実施例2
[原料比:LiS/硫化リン(抽出物)=75/25):MM法を正極合材に使用]
リチウムイオン電池の製造の際、正極活物質と混合する固体電解質を実施例1にて合成した固体電解質とした以外は、実施例1と同様にリチウムイオン電池を製造し評価した。結果を表3及び4に示す。
比較例3
[原料比:LiS/硫化リン(残留物)=75/25):MM法を正極合材に使用]
リチウムイオン電池の製造の際、正極活物質と混合する固体電解質を比較例1にて合成したの固体電解質とした以外は、比較例1と同様にリチウムイオン電池を製造し評価した。結果を表3及び4に示す。
比較例4
[原料比:LiS/P(市販品)=75/25):MM法を正極合材に使用]
リチウムイオン電池の製造の際、正極活物質と混合する固体電解質を比較例2にて合成したの固体電解質とした以外は、比較例2と同様にリチウムイオン電池を製造し評価した。結果を表3及び4に示す。
Figure 2016091717
Figure 2016091717
本発明の製造方法は、固体電解質の製造方法として好適である。

Claims (25)

  1. リチウム化合物と、
    を37.0mol%以上含む硫化リンと、を混合する
    固体電解質の製造方法。
  2. 前記硫化リンがPを38.0mol%以上含む請求項1に記載の固体電解質の製造方法。
  3. 前記硫化リンがPを含む請求項1又は2に記載の固体電解質の製造方法。
  4. 前記硫化リンのPとPの合計含有量が38.0mol%以上である請求項3に記載の固体電解質の製造方法。
  5. リチウム化合物と、
    及びPのうち少なくとも1つを含みその合計含有量が38.0mol%以上である硫化リンと、を混合する
    固体電解質の製造方法。
  6. 前記硫化リンがαPを含む請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  7. 前記硫化リンがP10を含む請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  8. 前記P10の含有量が60.0mol%以下である請求項7に記載の固体電解質の製造方法。
  9. 前記リチウム化合物がLiSである請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  10. 前記リチウム化合物、及び前記硫化リンを、リチウム元素とリン元素のモル比が、リチウム元素:リン元素=50〜50:95〜5となるように混合する請求項1〜9のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  11. 前記混合をボール存在下で実施する請求項1〜10のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  12. 前記混合を0〜150℃で実施する請求項1〜11のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  13. 前記混合を1時間〜72時間実施する請求項1〜12のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の固体電解質の製造方法により得られる固体電解質を加熱する結晶化固体電解質の製造方法。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載の固体電解質の製造方法により得られる固体電解質。
  16. 請求項14に記載の結晶化固体電解質の製造方法により得られる結晶化固体電解質。
  17. 請求項1〜13のいずれかに記載の固体電解質の製造方法により固体電解質を製造し、
    前記固体電解質と負極活物質を混合する、
    負極合材の製造方法。
  18. 請求項14に記載の結晶化固体電解質の製造方法により結晶化固体電解質を製造し、
    前記結晶化固体電解質と負極活物質を混合する、
    負極合材の製造方法。
  19. 請求項15に記載の固体電解質、又は請求項16に記載の結晶化固体電解質と負極活物質を含む負極合材。
  20. 前記負極活物質が炭素材料である請求項19に記載の負極合材。
  21. 前記負極活物質がグラファイトである請求項19又は20に記載の負極合材。
  22. 請求項1〜13のいずれかに記載の固体電解質の製造方法により固体電解質を製造し、
    前記固体電解質と正極活物質を混合する、
    正極合材の製造方法。
  23. 請求項14に記載の結晶化固体電解質の製造方法により結晶化固体電解質を製造し、
    前記結晶化固体電解質と正極活物質を混合する、
    正極合材の製造方法。
  24. 請求項15に記載の固体電解質、又は請求項16に記載の結晶化固体電解質と正極活物質を含む正極合材。
  25. 請求項15に記載の固体電解質、又は請求項16に記載の結晶化固体電解質を含むリチウムイオン電池。
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