JP2014160629A - 負極材料 - Google Patents

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Hiroyuki Higuchi
弘幸 樋口
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博道 小鹿
Akiko Nakada
明子 中田
Takashi Umeki
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Abstract

【課題】サイクル性能を高くすることができる負極合材及びサイクル性能が高いリチウムイオン電池を提供する。
【解決手段】炭素材料及び固体電解質を含む負極合材であって、前記炭素材料に含まれる粒径3μm以下の炭素材料が9.0体積%以下であり、前記炭素材料に含まれる六方晶構造及び菱面体晶構造の合計に対する前記菱面体晶構造の比率が36.0重量%以下である負極合材。
【選択図】なし

Description

本発明は、負極合材、それから得られる電極、それを用いたリチウムイオン電池及び負極合材の製造方法に関する。
近年の移動通信、情報電子機器の発達に伴い、高容量かつ軽量なリチウム二次電池の需要が増加する傾向にある。室温で高いリチウムイオン伝導性を示す電解質のほとんどが液体であり、市販されているリチウムイオン二次電池の多くが有機系電解液を用いている。この有機系電解液を用いたリチウム二次電池では、漏洩、発火・爆発の危険性があり、より安全性の高い電池が望まれている。
固体電解質を用いた全固体電池では、電解質の漏洩や発火が起こりにくいという特徴を有するが、固体電解質のイオン伝導度は一般的に低く実用化が難しいのが現状である。
固体電解質を用いた全固体リチウム電池では、従来、室温で10−3Scm−1の高いイオン伝導性を示す固体電解質としてLiNをベースとするリチウムイオン伝導性セラミックが知られている。しかし、分解電圧が低いため3V以上で作動する電池を構成することができなかった。
硫化物系固体電解質としては、特許文献1にはイオン伝導度が10−4Scm−1台の固体電解質が開示されており、特許文献2にはLiSとPから合成された電解質が同様に10−4Scm−1台のイオン伝導性を示すことが開示されている。さらに、特許文献3ではLiSとPを68〜74モル%:26〜32モル%の比率で合成した硫化物系結晶化ガラスにより、10−3Scm−1台のイオン導電性を実現している。
また、全固体リチウム電池の負極としては、カーボンと固体電解質を含む負極合材が知られている。特許文献4は、ラマンスペクトルによって測定される黒鉛化度を規定しているが、不可逆容量やサイクル性については必ずしも十分ではなかった。
一方、液系リチウム電池の負極としてカーボンを用いることも知られており、特許文献5,6は黒鉛の菱面体晶の割合に着目している。しかし、これらが全固体リチウム電池においてどのような効果をもたらすのかについては、一切知られていない。
特開平4−202024号公報 特開2002−109955号公報 特開2005−228570号公報 特開2009−283344号公報 特開平8−287910号公報 特開2011−034909号公報
本発明の目的は、サイクル性能を高くすることができる負極合材及びサイクル性能が高いリチウムイオン電池を提供することである。
本発明の発明者らは、全固体リチウム電池の負極合材において、負極活物質として用いる炭素材料における菱面体晶構造の比率が一定量より多く、かつ炭素材料における特定の粒径以下の材料が占める割合が一定量を超えると、正極から供給されたリチウムが取り出しにくくなり、充放電効率及びサイクル性能が大幅に低下することを見出した。
本発明によれば、以下の負極合材等が提供される。
1.炭素材料及び固体電解質を含む負極合材であって、
前記炭素材料に含まれる粒径3μm以下の炭素材料が9.0体積%以下であり、前記炭素材料に含まれる六方晶構造及び菱面体晶構造の合計に対する前記菱面体晶構造の比率が36.0重量%以下である負極合材。
2.前記固体電解質が下記式(I)に示す組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質微粒子である1に記載の負極合材。
Li・・・(I)
(式(I)において、MはB、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される元素を示す。a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:dは1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。)
3.前記式(I)のbが0であり、a:c:d=1.5〜4:1:3.25〜4.5である2に記載の負極合材。
4.前記炭素材料及び前記固体電解質の重量比が30重量%:70重量%〜70重量%:30重量%である1〜3のいずれかに記載の負極合材。
5.1〜4のいずれかに記載の負極合材から得られる電極。
6.5に記載の電極を含むリチウムイオン電池。
7.下記の工程A及び工程Bを含む負極合材の製造方法。
[工程A]
炭素材料を分級することにより、前記炭素材料に含まれる粒径3μm以下の炭素材料の比率を9体積%以下とし、前記炭素材料に含まれる六方晶構造及び菱面体晶構造の合計に対する前記菱面体晶構造の比率を36.0重量%以下とする工程。
[工程B]
工程Aで得られた炭素材料と、固体電解質を混合する工程。
本発明によれば、サイクル性能を高くすることができる負極合材及びサイクル性能が高いリチウムイオン電池が提供できる。
本発明の負極合材は、炭素材料及び固体電解質を含む。また、炭素材料に含まれる粒径3μm以下の炭素材料の割合が9.0体積%以下であり、炭素材料に含まれる六方晶構造及び菱面体晶構造の合計に対する菱面体晶構造の比率が36.0重量%以下である。
[炭素材料]
炭素(カーボン)材料としては、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等、及びこれらの混合物が挙げられる。
炭素材料は、好ましくは人造黒鉛又は天然黒鉛である。
六方晶構造とは、ABABスタッキングの結晶構造である。
菱面体晶構造とは、ABCスタッキングの結晶構造である。
炭素材料において、六方晶構造及び菱面体晶構造の合計に対する菱面体晶構造の比率は36.0重量%以下、好ましくは35.8重量%以下である。また、菱面体晶構造割合の最小値は特に制限ないが、通常、1重量%以上である。菱面体晶構造の比率を上記範囲内とすることで、電池のサイクル性能を向上することができる。
菱面体晶構造の比率は、X線回折(XRD)測定により求める。XRDによって、炭素材料中のアモルファス成分を除いた、六方晶と菱面体晶の結晶比率が測定できる。
XRD測定は、具体的には以下の通り行う。
黒鉛の六方晶構造のXRD(CuKα:λ=1.5418Å)は、2θ=26.23°(002)、42.21°(100)、44.36°(101)、50.38°(102)、53.97°(004)、59.40°(103)にピークがあり、黒鉛の菱面体晶構造のXRDは2θ=26.61°(111)、43.45°(010)、46.32°(110)、54.81°(222)、56.68°(112)、63.68°(221)にピークがある。これらの回折線のパターンフィッティングにより、六方晶と菱面体晶の結晶比率を算出する。XRD測定装置及び解析ソフトウエアは以下のものを用いて測定及び算出することができる。
XRD測定装置:リガクSmartlab
管電圧:45kV
管電流:200mA
スリット:soller slit 5.0°
スキャンスピード(2θ/θ):2°/min
ステップ幅(2θ/θ):0.02°
線源:CuKα:λ=1.5418Å
解析ソフトウエア:JADE ver6(Material Data Inc社)
結晶構造データ:六方晶構造はPDF#75−1621、菱面体晶構造はPDF#75−2078
パターンフィッティング方法:WPF法(全パターンフィッティング)
菱面体晶構造の比率は、炭素材料の加熱処理によって調節することができる。具体的には、炭素材料、例えば鱗片状の天然黒鉛粒子を、不活性ガス雰囲気中で1500℃以上の温度で、10〜200時間程度加熱する方法がある。加熱処理温度は2000℃以上であることが好ましく、2500℃以上であることがより好ましい。加熱温度の上限は特に制限されないが、3000℃以下であることが好ましい。
また、菱面体晶構造の比率は、炭素材料の粒子径による分級によっても調節することができる。具体的には、湿式又は乾式による沈降分級や遠心分級、ふるい分級等の分級装置を用いて粒子径を調整することができる。このような分級方法で菱面体晶比率が多い部分を除去することで、菱面体晶比率を低減することができる。
炭素材料、例えば鱗片状の天然黒鉛粒子は、表面処理により球状化することもできる。
炭素材料の粒径は、D50の平均粒径は0.1μm以上80μm以下が好ましく、1μm以上80μm以下がより好ましく、3μm以上60μm以下がさらに好ましい。
また、本発明の炭素材料は、通常、異なる粒径の炭素材料の混合物である。炭素材料の混合物において、粒径3μm以下の炭素材料は9体積%以下であり、8.7体積%以下であると好ましく、1体積%以下であるとより好ましい。
粒径3μm以下の炭素材料が9体積%以下であることにより、不可逆容量を低減することができ、サイクル性能の向上に寄与する。
D50や粒径3μm以下の炭素材料の粒子割合(体積%)は、LASER回析法によりMALVERN社Mastersizer2000を用いて測定し、体積基準平均粒径から算出する。当該測定は、スラリー状態で測定する。
また、炭素材料のBET比表面積は、0.1m/g以上500m/g以下がより好ましく、さらに好ましくは0.1m/g以上50m/g以下であり、さらに好ましくは1m/g以上20m/g以下である。
[固体電解質]
本発明の負極合材を構成する固体電解質は、例えば酸化物系固体電解質又は硫化物系固体電解質である。
(1)酸化物系固体電解質
酸化物系固体電解質には、LiN、LISICON類、Thio−LISICON類、La0.55Li0.35TiO等のペロブスカイト構造を有する結晶;NASICON型構造を有するLiTi12;これらを結晶化した電解質等が挙げられる。
(2)硫化物系固体電解質
硫化物系固体電解質は、好ましくは下記式(I)に示す組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質である。
Li・・・(I)
式(I)において、MはB、Zn、Si、Cu、Ga又はGeから選択される元素を示す。
a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:dは1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。
好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c及びdの比(a:c:d)がa:c:d=1〜9:1:3〜7、さらに好ましくは、a:c:d=1.5〜4:1:3.25〜4.5である。
各元素の組成比は、下記するように、硫化物系固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
硫化物系固体電解質は、非晶質(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス)していてもよく、一部のみ結晶化していてもよい。
ここで、結晶化させると非晶質よりもイオン伝導度が高くなる場合があり、その場合には結晶化させることが好ましい。
硫化物系固体電解質の結晶構造として、例えば、特開2002−109955に開示されているLiPS構造、Li構造、LiPS構造、LiSiS構造、LiSiS構造、特開2005−228570及びWO2007/066539に開示されているLi11構造が好ましく、これら結晶構造であれば、非晶体よりイオン伝導度を高めることができる。
ここで、硫化物系固体電解質の結晶化された部分は、1つの結晶構造のみからなっていてもよく、複数の結晶構造を有していてもよい。
イオン伝導度が高いため、硫化物系固体電解質の結晶構造はLi11が最も好ましい。
Li11構造は、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有する。
硫化物系固体電解質の結晶化度(非晶体よりイオン伝導度が高い結晶構造の結晶化度)は、50%以上が好ましく、より好ましくは60%以上である。
硫化物系固体電解質の結晶化度が50%未満の場合は、結晶化によってイオン伝導度を高くするという効果が少なくなるためである。
上記結晶化度は、NMRスペクトル装置を用いることにより測定できる。具体的には、硫化物系固体電解質の固体31P−NMRスペクトルを測定し、得られたスペクトルについて、70−120ppmに観測される共鳴線を、非線形最少二乗法を用いたガウス曲線に分離し、各曲線の面積比を求めることにより測定できる。
硫化物系固体電解質は、以下の方法により製造することができる。
硫化物系固体電解質の原料は、LiS(硫化リチウム)、P(三硫化二リン)、P(五硫化二リン)、SiS(硫化珪素)、LiSiO(オルト珪酸リチウム)、Al(硫化アルミニウム)、単体リン(P)、単体の硫黄(S)、シリコン(Si)、GeS(硫化ゲルマニウム)、B(三硫化二砒素)、LiPO(燐酸リチウム)、LiGeO(ゲルマン酸リチウム)、LiBO(メタホウ酸リチウム)、LiAlO(リチウムアルミネート)等を用いることができる。
好ましい硫化物系固体電解質の原料は、LiS(硫化リチウム)、P(五硫化二リン)である。
以下、硫化物系固体電解質の原料として、LiS(硫化リチウム)、P(五硫化二リン)を用いた硫化物系固体電解質について説明する。
硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−084438号公報に記載の方法により製造することができる。
特開2010−163356号公報では、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成する。また、特開2011−084438号公報では、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成する。
硫化物系固体電解質の製造に用いる硫化リチウムは、特に制限ないが、高純度のものが好ましい。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。
硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる硫化物系固体電解質は、ガラス状の硫化物系固体電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがあり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。さらに、この結晶化物について熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度の硫化物系固体電解質を得ることができないおそれがある。また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。
このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高いイオン伝導度を有する硫化物系固体電解質が得られる。
特開平7−330312号及び特開平9−283156号に記載の硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
硫化リチウムを精製する場合、好ましい精製法としては、例えば国際公開第2005/40039号パンフレットに記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄することで精製する。
尚、特開第2010−163356号公報に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに硫化物系固体電解質の製造に用いることができる。
硫化物系固体電解質の製造に用いる五硫化二リン(P)は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
硫化リチウムと五硫化二リンを用いて硫化物系固体電解質を製造する場合、硫化リチウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、通常、LiS:P=50:50〜80:20であり、好ましくは60:40〜75:25であり、さらに好ましくは65:35〜78:22であり、最も好ましくは68:32〜76:24である。
硫化リチウム(LiS)と五硫化二リン(P)を用いたガラス状の硫化物系固体電解質の製造方法としては、溶融急冷法、メカニカルミリング法(MM法)、有機溶媒中で原料を反応させるスラリー法等がある。
(a)溶融急冷法
溶融急冷法は、例えば、特開平6−279049号公報、国際公開第2005/119706号パンフレットに記載されている。具体的には、PとLiSを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、ガラス状の硫化物系固体電解質が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
(b)メカニカルミリング法
メカニカルミリング法は、例えば、特開平11−134937号公報、特開2004−348972号公報、及び特開2004−348973号公報に記載されている。
例えば、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、ガラス状の硫化物系固体電解質が得られる。
上記原料を用いたメカニカルミリング法は、室温で反応を行うことができる。メカニカルミリング法によれば、室温でガラス状の硫化物系固体電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状の硫化物系固体電解質を得ることができるという利点がある。また、メカニカルミリング法では、ガラス状の硫化物系固体電解質の製造と同時に、ガラス状の硫化物系固体電解質を微粉末化できるという利点もある。
メカニカルミリング法は回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。尚、特開2010−90003号公報に記載されているように、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
メカニカルミリング法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。この際、原料が60℃以上160℃以下になるようにすることが好ましい。
特開2009−110920号公報及び特開2009−211950号公報に記載されているように、原料に有機溶媒を添加してスラリー状にし、このスラリーをメカニカルミリング処理してもよい。また、特開2010−30889号公報に記載のようにメカニカルミリング処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
(c)スラリー法
スラリー法は、例えば国際公開第2004/093099号パンフレット及び国際公開第2009/047977号パンフレットに記載されている。
具体的には、所定量の五硫化二燐(P)粒子と硫化リチウム(LiS)粒子を有機溶媒中で所定時間反応させることにより、ガラス状の硫化物系固体電解質が得られる。
ここで、特開2010−140893号公報に記載されているように、反応を進行させるため、原料を含むスラリーをビーズミルと反応容器との間で循環させながら反応させてもよい。また、国際公開第2009/047977号パンフレットに記載されているように、原料の硫化リチウムを予め粉砕しておくと効率的に反応を進行させることができる。この他、特開2011−136899号公報に記載されているように、原料の硫化リチウムの比表面積を大きくするために溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒(例えば、メタノール、ジエチルカーネート、アセトニトリル)に所定時間浸漬してもよい。
スラリー法に用いる有機溶媒としては特に制限はないが、非プロトン性有機溶媒が特に好ましい。
非プロトン性有機溶媒は、非プロトン性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性極性有機化合物(例えばアミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機イオウ化合物,環式有機リン化合物等)を含み、単独溶媒として、又は混合溶媒として、好適に使用することができる。
非プロトン性有機溶媒である炭化水素系有機溶媒としては、飽和炭化水素溶媒、不飽和炭化水素溶媒又は芳香族炭化水素溶媒が使用でき、飽和炭化水素溶媒としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられ;不飽和炭化水素溶媒しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられ;芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。これらのうち炭化水素系溶媒のうち、特にトルエン、キシレンが好ましい。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶媒を添加してもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類等、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
原料の有機溶媒への添加量は、原料である硫化リチウムと五硫化二燐が、溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、有機溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は、0.001kg以上1kg以下程度であり、好ましくは0.005kg以上0.5kg以下であり、より好ましくは0.01kg以上〜0.3kgである。
スラリー法において、反応温度は、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは、20℃以上60℃以下である。また、反応時間は、好ましくは1時間以上16時間以下、より好ましくは2時間以上14時間以下である。
上記溶融急冷法、メカニカルミリング法及びスラリー法の温度条件、処理時間、仕込み料等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
結晶性の硫化物系固体電解質の製造方法は、特開2005−228570号公報、国際公開第2007/066539号パンフレット、特開2002−109955号公報に開示されている。
具体的には、上述の方法で得られたガラス状硫化物系固体電解質を所定の温度で熱処理することで、結晶性硫化物系固体電解質が得られる。
ガラス状硫化物系固体電解質の加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。
加熱時の圧力は、常圧であっても減圧下であってもよく、加熱時の雰囲気は、空気であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。さらに特開2010−186744号公報に記載されているように溶媒中で加熱してもよい。
Li11結晶構造を有する硫化物系固体電解質を製造する場合の加熱条件としては、以下が挙げられる。
熱処理温度は、好ましくは180℃以上330℃以下、より好ましくは200℃以上320℃以下、特に好ましくは210℃以上310℃以下である。180℃より低いと結晶化度の高い硫化物系固体電解質が得られにくい場合があり、330℃より高いとイオン伝導度の低い結晶構造を有する硫化物系固体電解質が生じるおそれがある。
熱処理時間は、熱処理温度が180℃以上210℃以下の場合は、3時間以上240時間以下が好ましく、特に4時間以上230時間以下が好ましい。また、熱処理温度が210℃より高く330℃以下の場合は、0.1時間以上240時間以下が好ましく、0.2時間以上235時間以下がより好ましく、0.3時間以上230時間以下がさらに好ましい。
熱処理時間が0.1時間より短いと、結晶化度の高い硫化物系固体電解質が得られにくい場合があり、240時間より長いと、結晶化度の低い硫化物系固体電解質が生じるおそれがある。
LiPS結晶構造、Li結晶構造、LiPS結晶構造、LiSiS結晶構造、又はLiSiS結晶構造を有する硫化物系固体電解質を製造する場合、これら結晶構造を有する硫化物系固体電解質は公知の方法で製造することができ、例えば特開2002−109955号公報に開示されている方法が挙げられる。
固体電解質の形状やサイズ等は特に限定されないが、一次粒子径が0.1μm以上100μm以下であるものが好ましく、0.1μm以上20μm以下のものがより好ましい。
[負極合材]
本発明の負極合材において、炭素材料と固体電解質の割合は10重量%:90重量%〜90重量%:10重量%が好ましく、70重量%:30重量%〜30重量%:70重量%がより好ましく、60重量%:40重量%〜40重量%:60重量%がさらに好ましい。
また、本発明の負極合材は、後述するように、炭素材料と固体電解質以外に他の導電材等を含んでもよいし、実質的に炭素材料と固体電解質のみからなっていてもよい。
本発明において「実質的」とは、負極合材の90重量%以上100重量%以下(好ましくは95重量%以上100重量%以下)が炭素材料と固体電解質であることを意味する。
上記のように、負極合材は、実質的に炭素材料と固体電解質からなり、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでいてもよい。
本発明の負極合材は、上記の炭素材料と固体電解質を混合することで得られ、他の導電材を添加してもよい。
このとき、上述した特定の条件を満たす炭素材料とするために、炭素材料を分級する工程を含むと好ましい。即ち、本発明の負極合材は、好ましくは下記の工程A及び工程Bを含む製造方法により得られる。
[工程A]
炭素材料を分級することにより、炭素材料に含まれる粒径3μm以下の炭素材料の比率を9体積%以下とし、炭素材料に含まれる六方晶構造及び菱面体晶構造の合計に対する菱面体晶構造の比率を36.0重量%以下とする工程。
[工程B]
工程Aで得られた炭素材料と、固体電解質を混合する工程。
分級操作は上記の通りである。
混合方法は特に限定されないが、例えば、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、カッターミルを用いて混合する乾式混合;及び有機溶媒中に原料を分散させた後に、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、フィルミックスを用いて混合し、その後溶媒を除去する湿式混合を適用することができる。炭素材料粒子を破壊しないために湿式混合が好ましい。
[他の導電材]
他の導電材は電子伝導性のある材料であればよいが、炭素材料が好ましい。
導電剤は複数の細孔を有することが好ましい。導電剤のBET比表面積は、0.1m/g以上5000m/g以下がより好ましく、さらに好ましくは1m/g以上4000m/g以下であり、さらに好ましくは1m/g以上3000m/g以下であり、最も好ましくは、10m/g以上3000m/g以下である。
5000m/gを超えると嵩高くて取り扱いが難しくなる恐れがある。
BET比表面積及び細孔の平均直径は、複合材料を液体窒素下において、複合材料に窒素ガスを吸着させて得られる窒素吸着等温線を用いて測定することができる。具体的には、BET法によりBET比表面積、BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法により細孔の平均直径を求めることができる。
上記のようなBET比表面積と細孔を満足する炭素材料としては、特に限定させないが、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、メソポーラス炭素、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、無定形炭素、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、活性炭等が挙げられる。また、これらの複合材を用いることもできる。
メソポーラス炭素とは、以下の文献に記載の製法で得られる、二次元又は三次元的に細孔を有する炭素材料である(文献としては、例えば、S.J.Sang,S.H.Joo,R.Ryoo,et.,J.Am.Chem.Soc.,122(2000)10712−10713、及びT.Yokoi,Y.Sakamoto,O.Terasaki,et.,J.Am.Chem.Soc.,128(2006)13664−13665)。
[その他の成分]
本発明の負極合材は、上記成分の他に、その他の成分を含んでもよく、当該その他の成分としてバインダーが挙げられる。
バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
[電極]
本発明の負極合材を電極(負極)に用いる場合、電極は、負極合材を通常の方法でプレス成形してシート状の電極とする方法等により製造することができる。
また、複合材料及び複合材料を含む電極材料を集電体上に膜状に形成して電極とする方法が挙げられる。製膜方法としては、エアロゾルデポジション法、スクリーン印刷法、コールドスプレー法等が挙げられる。さらに、溶媒に分散又は一部を溶解させてスラリー状にして塗布する方法が挙げられる。必要に応じてバインダーを混合してもよい。
上記の集電体としては、ステンレス鋼、金、白金、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、アルミニウム又はこれらの合金等からなる板状体、箔状体、網目状体等が使用できる。
電極の厚みは、電池設計に応じて適宜変更すればよい。
[リチウムイオン電池]
本発明の負極合材又は電極は、リチウムイオン電池の負極層の材料として好適に用いることができる。本発明のリチウムイオン電池は、正極層、電解質層及び負極層をこの順に備える全固体電池であり、負極層が本発明の負極合材を含む。
以下、本発明のリチウムイオン電池の各層について説明する。
(1)負極層
負極層は、本発明の負極合材を含む層である。
負極層は、本発明の負極合材を含めばよく、本発明の負極合材のみからなってもよい。
負極層の厚さは、100nm以上5mm以下が好ましく、1μm以上3mm以下がより好ましく、5μm以上1mm以下がさらに好ましい。
負極層は公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法、エアロゾルデポジション法、スクリーン印刷法、コールドスプレー法等により製造することができる。
(2)電解質層
電解質層は、固体電解質を含む層である。電解質層を構成する固体電解質としては、上述した酸化物系固体電解質及び硫化物系固体電解質の他に、ポリマー系固体電解質が挙げられる。
ポリマー系固体電解質としては、例えば特開2010−262860号公報に開示されているように、フッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、及びこれらの誘導体並びに共重合体等の、ポリマー電解質として用いられる材料が挙げられる。
ポリマー系固体電解質であるフッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)や、これらの誘導体等を構成単位として含むポリマーが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のホモポリマー;、VdFとHFPの共重合体(以下、この共重合体を「P(VdF−HFP)」と示す場合がある。)等の2元共重合体や3元共重合体が挙げられる。
電解質層は、固体電解質のみからなってもよく、さらにバインダーを含んでもよい。当該バインダーとしては、上記のバインダーと同じものが使用できる。
電解質層の厚さは、0.001mm以上1mm以下であることが好ましい。
電解質層の固体電解質は、融着していていることが好ましい。融着とは、固体電解質粒子の一部が溶解し、溶解した部分が他の固体電解質粒子と一体化することを意味する。また、電解質層は、固体電解質の板状体であってもよく、当該板状体は、固体電解質粒子の一部又は全部が溶解し、板状体になっている場合も含む。
電解質層は、公知の方法により製造することができ例えば、塗布法、静電法エアロゾルデポジション法、スクリーン印刷法、コールドスプレー法等により製造することができる。
(3)正極層
正極層は、正極活物質を含む層である。
正極活物質は、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質であり、電池分野において正極活部質として公知のものが使用できる。
正極活物質としては、例えばV、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(ここで、0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCoZO(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、LiFePOが挙げられる。
硫化物系正極活物質では、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が使用でき、好ましくは、TiSである。
酸化物系正極活物質では、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等が使用できる。尚、これらを混合して用いることも可能である。好ましくは、コバルト酸リチウムが使用できる。
また、LiCoO,LiNiO,LiMn,LiFePO,LiCoPO,LiMn1/3Ni1/3Co1/3,LiMn1.5Ni0.5等も使用できる(Xは0.1〜0.9である。)
上記の他、セレン化ニオブ(NbSe)、以下に示す有機ジスルフィド化合物、以下に示すカーボンスルフィド化合物、硫黄、硫化リチウム、金属インジウム等を正極活物質として使用できる。
Figure 2014160629
Figure 2014160629
(式(A)〜(C)において、Xはそれぞれ置換基であり、n及びmはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、p及びqはそれぞれ独立に1〜4の整数である。
式(D)において、Zはそれぞれ−S−又は−NH−であり、nは繰返数2〜300の整数である。)
Figure 2014160629
(式中、n、mは、それぞれ1以上の整数である。)
正極層は、さらに固体電解質及び/又は導電助剤を含んでいてもよい。
正極層が含む固体電解質は、負極層及び電解質層の固体電解質と同様のものが挙げられる。
導電助剤は、導電性を有していればよく、その電子伝導度は、好ましくは1×10S/cm以上であり、より好ましくは1×10S/cm以上である。導電助剤としては、炭素材料、金属粉末及び金属化合物から選択される物質、及びこれらの混合物が挙げられる。
導電助剤の具体例としては、好ましくは炭素材料、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む物質であり、より好ましくは導電性が高い炭素単体、炭素単体以外の炭素材料;ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。
尚、炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;黒鉛、炭素繊維、活性炭等が挙げられ、これらは単独でも2種以上でも併用可能である。なかでも、電子伝導性が高いアセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラックが好適である。
正極の厚さは、0.01mm以上10mm以下であることが好ましい。
正極層は、公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法、エアロゾルデポジション法、スクリーン印刷法、コールドスプレー法等により製造することができる。
(4)集電体
本発明のリチウムイオン電池は集電体をさらに備えてもよく、当該集電体は、公知の集電体を用いることができる。
集電体は、例えばAu、Pt、Al、Cu等のように硫化物系固体電解質と反応する金属からなる層を、さらにAu,導電性カーボン等で被覆した層である。
製造例1(固体電解質の製造)
[硫化リチウムの製造]
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報における第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した水硫化リチウムを脱硫化水素化し硫化リチウムを得た。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。水硫化リチウムの脱硫化水素反応が終了後(約80分)に反応を終了し、硫化リチウムを得た。
[硫化リチウムの精製]
上記で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。
得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)、チオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。このようにして精製したLiSを、以下の実施例・比較例で使用した。
[固体電解質の製造]
上記で製造した平均粒径30μm程度の精製LiS 2.54gと平均粒径50μm程度のP(アルドリッチ社製)67.46gを10mmφアルミナボール175個が入った500mlアルミナ製容器に入れ密閉した。上記計量、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去して使用した。
この密閉したアルミナ容器を、遊星ボールミル(レッチェ社製PM400)にて室温下、36時間メカニカルミリング処理することで白黄色の固体電解質ガラス粒子を得た。回収率は78%であった。
得られた固体電解質ガラス粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料LiSのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
得られた固体電解質ガラス粒子をグローブボックス内Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、300℃2時間の加熱処理を施し、電解質ガラスセラミック粒子(平均粒径14.52μm)を得た。
得られた固体電解質ガラスセラミック粒子について、X線回折測定を実施したところ、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。このことから、得られた固体電解質ガラスセラミック粒子は、Li11結晶ができていることが分かる。
また、この固体電解質ガラスセラミック粒子の伝導度を評価したところ、伝導度は1.3×10−3S/cmであった。
製造例2(黒鉛粒子の分級処理)
脱水トルエン(広島和光株式会社製(209−13445))500mlに、X線回折(XRD)測定による菱面体晶構造比率(3R比率)が37.7wt%(六方晶構造(2H)比率:62.3wt%)であり、粒径3μm以下の炭素材料が9.8体積%である黒鉛粒子(日本黒鉛株式会社製)10.0gを加え、スターラーで3分間撹拌し、回転を止めて静止した。1分間静止後の上澄み400mlを除去し、黒鉛粒子中の微粒子を除去した。この除去操作を30回繰り返し、上澄み400mlを除去した後、室温で真空乾燥を行ってトルエンを除去し、さらに200℃で5時間真空乾燥を行った。
この分級操作後の黒鉛粒子は、XRDによる3R比率が35.5wt%(2H比率:64.5wt%)であり、粒径3μm以下の炭素材料が8.5体積%であった。
実施例1
製造例1で作製した固体電解質1.80g、製造例2で分級した黒鉛粒子(XRDによる3R比率が35.5wt%(2H比率:64.5wt%)、粒径3μm以下の炭素材料が8.5体積%)2.20g、及び脱水トルエン(広島和光株式会社製(209−13445))6.0gを、プライミクス株式会社製フィルミックスを用いて10000rpmで30秒混合した。得られたスラリーを100℃のホットプレートで30分間加熱乾燥した。次いで、250℃で減圧乾燥し溶媒を除去して黒鉛固体電解質合材を得た。
負極層に得られた合材、電解質層に製造例1で製造した固体電解質、正極にIn/Li合金を用いてリチウム電池を作製した。
作製したリチウム電池について0.08Cの充放電を行い、充放電容量等を測定した。初期充電容量は348.1mAh/g(黒鉛)、初期放電容量は305.7mAh/g(黒鉛)であり、初期充放電効率は87.8%であった。また、5サイクル後の放電容量は302.4mAh/g(黒鉛)であり、放電容量維持率は98.9%であった。結果を表1に示す。
比較例1
製造例1で作製した固体電解質1.80g、XRDによる3R比率が37.7wt%(六方晶構造(2H)比率:62.3wt%)であり、粒径3μm以下の炭素材料が9.8体積%である黒鉛粒子(日本黒鉛株式会社製)2.20g、及び脱水トルエン(広島和光株式会社製(209−13445))6.0gを、プライミクス株式会社製フィルミックスを用いて10000rpmで30秒混合した。得られたスラリーを100℃のホットプレートで30分間加熱乾燥した。次いで250℃で減圧乾燥し溶媒を除去して黒鉛固体電解質合材を得た。
負極層にこの負極合材、電解質層に製造例1で製造した固体電解質、正極にIn/Li合金を用いてリチウム電池を作製した。
作製したリチウム電池について、実施例1と同様に評価した。
初期充電容量は328.3mAh/g(黒鉛)、初期放電容量は275.5mAh/g(黒鉛)であり、初期充放電効率は83.9%であった。また、5サイクル後の放電容量は258.7mAh/g(黒鉛)であり、放電容量維持率は93.9%であった。結果を表1に示す。
Figure 2014160629
本発明の負極合材は、リチウムイオン二次電池に使用できる。

Claims (7)

  1. 炭素材料及び固体電解質を含む負極合材であって、
    前記炭素材料に含まれる粒径3μm以下の炭素材料が9.0体積%以下であり、前記炭素材料に含まれる六方晶構造及び菱面体晶構造の合計に対する前記菱面体晶構造の比率が36.0重量%以下である負極合材。
  2. 前記固体電解質が下記式(I)に示す組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質微粒子である請求項1に記載の負極合材。
    Li・・・(I)
    (式(I)において、MはB、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される元素を示す。a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:dは1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。)
  3. 前記式(I)のbが0であり、a:c:d=1.5〜4:1:3.25〜4.5である請求項2に記載の負極合材。
  4. 前記炭素材料及び前記固体電解質の重量比が30重量%:70重量%〜70重量%:30重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の負極合材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の負極合材から得られる電極。
  6. 請求項5に記載の電極を含むリチウムイオン電池。
  7. 下記の工程A及び工程Bを含む負極合材の製造方法。
    [工程A]
    炭素材料を分級することにより、前記炭素材料に含まれる粒径3μm以下の炭素材料の比率を9体積%以下とし、前記炭素材料に含まれる六方晶構造及び菱面体晶構造の合計に対する前記菱面体晶構造の比率を36.0重量%以下とする工程。
    [工程B]
    工程Aで得られた炭素材料と、固体電解質を混合する工程。
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