JP2016089155A - 耐久性に優れた塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有してなる塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

耐久性に優れた塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有してなる塩化ビニル系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐寒性及び耐揮発性に優れ、柔軟性、耐フォギング性、耐熱着色性及び耐候性の良好な塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを配合した塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 特定のトリメリット酸トリエステルと特定のフェノール系酸化防止剤を組み合わせることにより、耐寒性及び耐揮発性に優れ、柔軟性、耐フォギング性、耐熱着色性及び耐候性が良好となり、その結果厳しい条件下で使用される自動車部材等に適応可能な塩化ビニル系樹脂組成物並びのその成形体を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐久性に優れた塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有してなる塩化ビニル系樹脂組成物に関し、詳しくは、特定のトリメリット酸トリエステルと特定のフェノール系酸化防止剤を特定の比率で含んでなる柔軟性及び耐寒性に優れ、かつ耐揮発性、耐熱着色性、更には耐候性等の耐久性が改善された塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有してなる自動車部材等に好適な塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
塩化ビニル系樹脂は、柔軟性をはじめとする種々の性能を付与するとともに、押出やカレンダー加工等の成形加工時の加工温度を低下させ、成形加工を容易にする目的で、可塑剤が添加された塩化ビニル系樹脂組成物として用いられることが多い。
このような塩化ビニル系樹脂組成物に用いられる可塑剤に求められる性能としては、該組成物を原料として成形加工品とした場合の、柔軟性、耐寒性、耐熱性、電気特性等種々の性能を付加する又は発揮させるところにある。このような塩化ビニル系樹脂組成物に用いられる代表的な可塑剤としては、フタル酸エステルやアジピン酸エステル、トリメリット酸エステル等の多塩基酸の高級アルキルエステルが知られており、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使われている。これまで、価格、性能バランスの面より主にフタル酸エステルが使われるケースが多いが、フタル酸エステルでは対応できない耐熱性等の要求される用途では、より耐熱性に優れたトリメリット酸エステルが多く使われている。中でも、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(以下、「TOTM」という。)、トリメリット酸トリイソノニル(以下、「TINTM」という。)及びトリメリット酸トリイソデシルエステル(以下、「TIDTM」という。)は、耐熱性に優れたフタル酸エステル代替可塑剤として、耐熱電線や自動車部材等に多用されている。
また、本出願人は、先の出願において、耐寒性や耐揮発性への要求が益々厳しくなっており、上記TOTMやTINTM、TIDTMでは、耐揮発性や耐寒性が不足するか、または耐揮発性を改善すると柔軟性が低下する等、いずれも満足する性能が得られていないのが現状であり、その改善が望まれていることを述べ、その解決手段として、特定の飽和脂肪族アルコールとトリメリット酸またはその無水物をエステル化反応して得られるトリメリット酸トリエステルが、耐寒性及び耐揮発性に優れ、かつ柔軟性が良好な塩化ビニル系樹脂用可塑剤として有効であることを示した(特許文献1)。
しかしながら近時の要求性能の変遷を鑑みると、特に炎天下等の過酷な条件下で使用される内装材などの自動車部材等では、前記トリメリット酸トリエステルの性能以上に、耐候性や耐熱着色性等の耐久性に関して更なる改善が望まれることが予想される。
従来、屋外等での使用における耐候性等の改善方法としては、一般に酸化防止剤を配合する方法が知られており、実際に4,4‘−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノール(以下、ビスフェノールAと記載する)やジブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと記載する)等の酸化防止剤が使われているが、近年益々厳しくなっている耐熱着色性や耐候性の要求に対して必ずしも十分とは言えなかった。
特開2014−189688号公報
本発明の目的は、耐寒性及び耐揮発性に優れ、柔軟性、耐フォギング性、耐熱着色性及び耐候性が良好な塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびその可塑剤を含む塩化ビニル系樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、かかる現状に鑑み、鋭意検討して、特定の構造のトリメリット酸トリエステルが耐寒性及び耐熱性に優れ、かつ柔軟性が良好な塩化ビニル系樹脂用可塑剤として有用であることを明らかにした。そして、耐揮発性、耐熱着色性、耐候性等の更なる向上の検討を進めたところ、新たにフォギング性に課題があることが判った。
本発明者らは、さらに鋭意検討し、前記特定の構造のトリメリット酸トリエステルと特定量の特定の構造のフェノール系酸化防止剤とを含んでなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤を用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含む塩化ビニル系樹脂組成物、並びに塩化ビニル系樹脂成形体を提供するものである。
[項1] トリメリット酸トリエステル及びフェノール系酸化防止剤を含有してなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤であって、
トリメリット酸トリエステルが、トリメリット酸またはその無水物と炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールのエステル化物であり、更に
フェノール系酸化防止剤が、該トリメリット酸トリエステルに対して0.1〜0.6重量%の範囲で含有し、かつフェノール部位の水酸基に対して2位、4位又は6位に少なくとも2つの電子供与性の置換基を有し、かつ2位又は6位に少なくとも1つの立体障害性の置換基を有し、かつ
その分子量が300〜3000の範囲であり、更にFedorsの推算法によるSP値が8〜15の範囲であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項2] トリメリット酸またはその無水物及び炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールからなるトリメリット酸トリエステル並びにフェノール系酸化防止剤を含有してなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤であって、
フェノール系酸化防止剤が、該トリメリット酸トリエステルに対して0.1〜0.6重量%の範囲で含有し、かつフェノール部位の水酸基に対して2位、4位又は6位に少なくとも2つの電子供与性の置換基を有し、かつ2位又は6位に少なくとも1つの立体障害性の置換基を有し、かつ
その分子量が300〜3000の範囲であり、更にFedorsの推算法によるSP値が8〜15の範囲であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項3] トリメリット酸またはその無水物と、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを原料とするトリメリット酸トリエステル及びフェノール系酸化防止剤を含有してなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤であって、
フェノール系酸化防止剤が、該トリメリット酸トリエステルに対して0.1〜0.6重量%の範囲で含有し、かつフェノール部位の水酸基に対して2位、4位又は6位に少なくとも2つの電子供与性の置換基を有し、かつ2位又は6位に少なくとも1つの立体障害性の置換基を有し、かつ
その分子量が300〜3000の範囲であり、更にFedorsの推算法によるSP値が8〜15の範囲であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項4] 炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールが、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とし、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコール中の含有量が60重量%以上の炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールと40重量%以下の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを含有し、かつ炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの直鎖率が60%以上である、[項1]〜[項3]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項5] フェノール系酸化防止剤中の少なくとも2つの電子供与性の置換基が、同一又は異なって、アシルオキシ基、アラルキル基、アリル基、アリール基、アルキニル基、アルキル基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヒドロキシ基、ヘテロアラルキル基、ヘテロアリール基又はヘテロシクロアルキル基である[項1]〜[項4]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項6] フェノール系酸化防止剤中の少なくとも1つの立体障害性の置換基が、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アラルキル基、アリル基、アリール基、アルキニル基、アルキル基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基、シクロアルキル基、ニトロ基、ハロゲノ基、ヒドロキシ基、ヘテロアラルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基又はホルミル基(なお、立体障害性の置換基が2つのときは、同一又異なってもよい。)である[項1]〜[項5]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項7] フェノール系酸化防止剤の分子量が、350〜2500の範囲である[項1]〜[項6]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項8] フェノール系酸化防止剤のSP値が、8.5〜14の範囲である[項1]〜[項7]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項9] フェノール系酸化防止剤が、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート及び1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレートからなる群より選ばれた1種または2種以上の混合物である[項1]〜[項8]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項10] フェノール系酸化防止剤の含有量が、0.2〜0.5重量%である[項1]〜[項9]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項11] フェノール系酸化防止剤の含有量が、0.3〜0.4重量%である[項10]に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項12] 炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールが、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とし、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコール中の含有量が70重量%以上の炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールと30重量%以下の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを含有し、かつ炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの直鎖率が70%以上であることを特徴とする[項1]〜[項11]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項13] 炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールが、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とし、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコール中の含有量が70〜90重量%の炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールと10〜30重量%の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを含有し、かつ炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの直鎖率が70〜90%である、[項12]に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項14] 炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールが、1−オクテン、一酸化炭素と水素とのヒドロホルミル化反応による炭素数9のアルデヒドに水素添加されてアルコールに還元した直鎖構造及び分岐鎖構造を有する飽和脂肪族アルコールを含むことを特徴とする[項1]〜[項11]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項15] 塩化ビニル系樹脂と[項1]〜[項14]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
[項16] 前記塩化ビニル系樹脂組成物が、自動車部材用である[項15]に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
[項17] [項15]又は[項16]に記載の塩化ビニル系樹脂組成物から得られる塩化ビニル系樹脂成形体。
[項18] 前記塩化ビニル系樹脂成形体が、自動車部材である[項17]に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤は、耐寒性及び耐揮発性に優れ、柔軟性、耐フォギング性、耐熱着色性及び耐候性の良好な塩化ビニル系樹脂用可塑剤として使用できる。また、その塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含むことにより、耐寒性及び耐揮発性に優れ、柔軟性、耐フォギング性、耐熱着色性及び耐候性が良好な、特に屋外での使用時の耐久性の要求される自動車部材等に好適な塩化ビニル系樹脂組成物を得ることができる。
<塩化ビニル系樹脂用可塑剤>
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤は、特定の飽和脂肪族アルコール(アルコール成分)とトリメリット酸またはその無水物(酸成分)をエステル化反応して得られるトリメリット酸トリエステルと特定のフェノール系酸化防止剤を特定の比率で含んでなることを最大の特徴としている。
前記トリメリット酸トリエステル(以下、「本エステル」という。)は、所定の酸成分とアルコール成分とを常法に従って、好ましくは窒素等の不活性化ガス雰囲気下において、無触媒又は触媒の存在下でエステル化することにより容易に得られる。
[飽和脂肪族アルコール]
本発明で用いるアルコール成分は、炭素数8〜11の直鎖状または分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールであり、その飽和脂肪族アルコールは混合物である。炭素数が8未満では、揮発性等の性能が不十分な傾向があり、炭素数が11を超えると柔軟性等が低下する傾向があり、好ましくない。
なかでも、本発明で用いる炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールは、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とする飽和脂肪族アルコールが好ましく、その主成分である炭素数9の飽和脂肪族アルコールの割合が、本発明で用いる炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコール中に、好ましくは60重量%以上(60〜100重量%)、より好ましくは70重量%以上(70〜100重量%)、特に好ましくは80重量%以上(80〜100重量%)が推奨される。
また、本発明に係る炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールは、その飽和脂肪族アルコールの直鎖率が、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは70〜90%の範囲が推奨される。
また、炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールの含有量は、本発明で用いる飽和脂肪族アルコール中に、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは70〜90重量%の範囲が推奨され、かつ、炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコール(例えば2−メチルオクタノール等)の含有量が、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10〜30重量%の範囲が推奨される。
前記炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの態様の詳細として、好ましい態様としては、該飽和脂肪族アルコールは、炭素数9の飽和脂肪族アルコールが主成分(好ましくは60重量%以上)であり、その炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコール中の含有量が60重量%以上の炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールと40重量%以下の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを含有し、かつ炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの直鎖率が60%以上である。より好ましい態様としては、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールが、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分(好ましくは70重量%以上)とし、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコール中の含有量が70重量%以上の炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールと30重量%以下の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを含有し、かつ炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの直鎖率が70%以上である態様が推奨され、特に好ましい態様としては、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールが、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分(好ましくは80重量%以上)とし、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコール中の含有量が70〜90重量%の炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールと10〜30重量%の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを含有し、かつ炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの直鎖率が70〜90%である態様が推奨される。
そして、直鎖率が60%以上であり、かつ炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールの含有量が60重量%以上であれば、柔軟性を低下することなく、十分に本発明の目的である耐熱性及び耐寒性が得られ易い。逆に、上記直鎖率が60%未満または上記炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールの含有量が60重量%未満では、本発明の目的である耐寒性及び耐熱性の向上が不十分である場合があり、更に柔軟性が低下する傾向にあり、好ましくない。
また、上記範囲でも本発明の目的である耐熱性及び耐寒性において十分な性能が得られるが、更に直鎖率を70〜90%の範囲に、かつ炭素数9の直鎖状飽和アルコールの含有量を70〜90重量%の範囲にすることにより、塩化ビニル系樹脂との混合がより容易となり、その結果引張伸び等の引張特性に関してもより向上させることが可能である。
本明細書及び特許請求の範囲において、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの直鎖率とは、該飽和脂肪族アルコール中に占める直鎖アルコールの割合(重量比)であり、具体的にはガスクロマトグラフィーで分析する方法により求めることができる。
本発明で用いる炭素数9の飽和脂肪族アルコールは、例えば、(1)1−オクテン、一酸化炭素と水素とのヒドロホルミル化反応による炭素数9のアルデヒドを製造する工程及び(2)炭素数9のアルデヒドを水素添加してアルコールに還元する工程を具備する製造方法により製造することができる。
前記工程(1)のヒドロホルミル化反応は、例えば、コバルト触媒又はロジウム触媒の存在下、1−オクテン、一酸化炭素及び水素を反応することにより炭素数9のアルデヒドを製造することができる。
前記工程(2)の水素添加は、例えば、ニッケル触媒又はパラジウム触媒等の貴金属触媒の存在下、炭素数9のアルデヒドを水素加圧下で、水素添加することによりアルコールに還元することができる。
上記の工程で得られる炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とする飽和脂肪族アルコールの具体例(市販品)としては、約70重量%以上の直鎖状のノナノールと約30重量%以下の分岐鎖状のノナノールの混合物であるリネボール9(商品名、シェルケミカルズ社製)等が挙げられる。
[エステル化反応]
上記アルコール成分とトリメリット酸またはその無水物とのエステル化反応を行うに際し、該アルコール成分は、例えば、トリメリット酸またはその無水物1モルに対して、好ましくは3.05〜4.00モル、より好ましくは3.10〜3.80モル、特に3.15〜3.60モルを使用することが推奨される。
エステル化反応に用いる触媒としては、鉱酸、有機酸、ルイス酸類等が例示される。より具体的には、鉱酸として、硫酸、塩酸、燐酸等が例示され、有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が例示され、ルイス酸としては、アルミニウム誘導体、スズ誘導体、チタン誘導体、鉛誘導体、亜鉛誘導体等が例示され、これらの1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することが可能である。
それらの中でも、p−トルエンスルホン酸、炭素数3〜8のテトラアルキルチタネート、酸化チタン、水酸化チタン、炭素数3〜12の脂肪酸スズ、酸化スズ、水酸化スズ、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化鉛、水酸化鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムが特に好ましい。その使用量は、例えば、エステル合成原料である酸成分およびアルコール成分の総重量に対して、好ましくは0.01〜5.0重量%、より好ましくは0.02〜4.0重量%、特に0.03〜3.0重量%を使用することが推奨される。
エステル化温度としては、100℃〜230℃が例示され、通常、3〜30時間でエステル化反応は完結する。
本エステルの原料の酸成分である、トリメリット酸またはその無水物は、特に制約はなく、通常使用されている市販のものを使用することができる。また、エステル化反応の観点から、上記トリメリット酸無水物を使用することが最も推奨される。
エステル化反応においては、該反応により生成する水の留出を促進するために、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなどの水同伴剤を使用することが可能である。
また、エステル化反応時に原料、生成エステル及び有機溶媒(水同伴剤)の酸化劣化により酸化物、過酸化物、カルボニル化合物などの含酸素有機化合物を生成すると耐熱性、耐候性等に悪影響を与えるため、系内を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下又は不活性ガス気流下で、常圧ないし減圧下にてエステル化反応を行うことが望ましい。エステル化反応終了後、過剰の原料を減圧下または常圧下にて留去することが推奨される。
上記エステル化反応により得られた本エステルは、引き続き、必要に応じて塩基処理(中和処理)→水洗処理、液液抽出、蒸留(減圧、脱水処理)、吸着処理等により精製してもよい。
塩基処理に用いる塩基としては、塩基性の化合物であれば特に制約はなく、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが例示される。
吸着処理に用いる吸着剤としては、活性炭、活性白土、活性アルミナ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、シリカアルミナ、ゼオライト、マグネシア、カルシア、珪藻土などが例示される。それらを1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
上記エステル化後の精製処理は、常温で行なっても良いが、40〜90℃程度に加温して行なうこともできる。
[フェノール系酸化防止剤]
前記フェノール系酸化防止剤としては、酸化防止性能の観点より、フェノール部位の水酸基に対して2位、4位又は6位に少なくとも2つの電子供与性の置換基を有し、かつ2位又は6位に少なくとも一つの立体障害性の置換基を有するフェノール系酸化防止剤が、また、耐揮発性の観点より、分子量が300以上、好ましくは350以上、より好ましくは400以上のフェノール系酸化防止剤が、更に、可塑剤並びに塩化ビニル系樹脂との相溶性の観点より、該酸化防止剤のSP値が8〜15の範囲、好ましくは8.5〜14の範囲、より好ましくは9〜13.5の範囲であり、かつ分子量が3000以下、好ましくは2500以下、より好ましくは2000以下であるフェノール系酸化防止剤が推奨される。上記条件を満たすフェノール系酸化防止剤であれば、通常使われているプラスチック用のフェノール系酸化防止剤を1種でまたは2種以上併用して使用することができる。
分子量が300未満の場合、揮発性が大きくなり、その結果耐フォッギング性等の低下の原因の一つとなり好ましくない。また、SP値が8未満、または15を超えた場合は、塩化ビニル系樹脂中での分散不良を起こし、十分に耐候性や耐熱着色性を改善することが困難となるだけではなく、ブリードやブルーム等による表面汚れの原因ともなり易く、いずれも好ましくない。
ここで本発明におけるSP値は、ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論により定義された値であり、溶媒(あるいは溶質)の凝集エネルギー密度の平方根で示される。2成分系溶液の溶解度の目安となる。SP値を求めるには、蒸発熱から計算する方法、化学組成から計算する方法、SP値が既知の物質との相溶性から実測する方法などが挙げられるが、本発明におけるSP値は、コーティングの基礎と工学(53ページ、原崎勇次著、加工技術研究会)記載のFedorsによる原子および原子団の蒸発エネルギーとモル体積から計算で求めた値である。
フェノール系酸化防止剤としては、具体的には、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3−ビス−(3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチリックアシッド]エチレングリコールエステル、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス[2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、α‐トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、没食子酸ドデシル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸ステアリル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)−フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ノルジヒドログアイアレチン酸、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−4−メチルフェノール]、2,2’−[(2−ヒドロキシ−5−メチルベンゼン−1,3−ジイル)ジメタンジイル]ビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N’−(1,6−ヘキサンジイル)ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、クルクミン等のフェノール系酸化防止剤が例示される。より好ましくは、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3−ビス−(3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチリックアシッド]エチレングリコールエステル、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス[2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、α−トコフェロール、α‐トコトリエノール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチル、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−4−メチルフェノール]、2,2’−[(2−ヒドロキシ−5−メチルベンゼン−1,3−ジイル)ジメタンジイル]ビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N’−(1,6−ヘキサンジイル)ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート等のフェノール系の酸化防止剤が、最も好ましくは、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤が推奨される。
上記フェノール系酸化防止剤の含有量は、本発明に係るトリメリット酸トリエステルに対して、0.1〜0.6重量%であり、好ましくは0.2〜0.5重量%、より好ましくは0.3〜0.4重量%の範囲が推奨される。フェノール系酸化防止剤の含有量が0.1重量%未満では本発明の効果である耐候性や耐熱着色性等の耐久性に関する改善効果が不十分であり、0.6重量%を超えても、前記効果は平衡状態となり、逆にブリードやブルーム等の原因になる可能性が生じ、いずれも好ましくない。
本発明のフェノール系酸化防止剤を含有するとは、フェノール系酸化防止剤を可塑化成分(トリメリット酸トリエステル)中に配合し、混合溶解して透明な溶液とすることである。通常、可塑剤へ酸化防止剤を添加、組成物の加熱、攪拌、混合或いは可塑剤の加熱、酸化防止剤の添加、攪拌、混合することによって溶解することが出来る。その具体例としては、塩化ビニル系樹脂用可塑剤が極端に劣化、着色しない程度の温度と時間を適宜選択するのが好ましい。例えば、常温(25℃)〜120℃×1秒〜1時間の加熱攪拌により、溶解せしめることが出来る。このように予め可塑化成分に酸化防止剤を混合溶解させておくことにより、可塑化成分とフェノール系酸化防止剤との併用効果は発揮されやすくなる。
<塩化ビニル系樹脂組成物>
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、上述の本発明の可塑剤を、塩化ビニル系樹脂に配合することにより得られる。
[塩化ビニル系樹脂]
本発明で用いられる塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルあるいは塩化ビニリデンの単独重合体及び塩化ビニルあるいは塩化ビニリデンの共重合体であり、その製造方法は、従来公知の重合方法で行われ、汎用塩化ビニル樹脂の場合、油溶性重合触媒の存在下に懸濁重合する方法が挙げられ、また、塩化ビニルペースト樹脂では水性媒体中で水溶性重合触媒の存在下に乳化重合する方法が挙げられる。これらの塩化ビニル系樹脂の重合度は、通常300〜5000であり、好ましくは400〜3500、さらに好ましくは700〜3000である。この重合度が低すぎると耐熱性等が低下し、高すぎると成形加工性が低下する傾向がある。
共重合体の場合、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等の炭素数2〜30のα−オレフィン類、アクリル酸およびそのエステル類、メタクリル酸およびそのエステル類、マレイン酸およびそのエステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル等のビニル化合物、ジアリルフタレート等の多官能性モノマー及びこれらの混合物と塩化ビニルモノマーとの共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩素化ポリエチレン、ブチルゴム、架橋アクリルゴム、ポリウレタン、ブタジエンースチレンーメチルメタクリレート共重合体(MBS)、ブタジエンーアクリロニトリルー(α−メチル)スチレン共重合体(ABS)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート及びこれらの混合物へ塩化ビニルモノマーをグラフトしたグラフト共重合体等が例示される。
[塩化ビニル系樹脂組成物]
塩化ビニル系樹脂組成物における本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤の含有量としては、その用途に応じて適宜選択されるが、通常、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、1〜100重量部であり、好ましくは5〜50重量部である(なお、その含有量の範囲はトリメリット酸トリエステルを基準とした含有量で示している。)。1重量部未満では所定の可塑化効果が得られにくく、100重量部を超えて配合した場合には、成形品表面へのブリードが激しく、いずれの場合も好ましくない。但し、上記の塩化ビニル系樹脂組成物に対して充填剤などを添加する場合は、充填剤自身が吸油するために上記の範囲を超えて当該可塑剤を配合することができる。例えば、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、充填剤として炭酸カルシウムを100重量部配合した場合には、当該可塑剤を1〜500重量部程度配合することができる。
また、塩化ビニル系樹脂用可塑剤の各成分の含有量の好ましい態様として、可塑化成分(トリメリット酸トリエステル)は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、好ましくは1〜100重量部であり、より好ましくは5〜50重量部であり、酸化防止剤は、フェノール系以外の酸化防止剤も含めて、好ましくは0.3重量部以下、より好ましくは0.001〜0.2重量部が推奨される。
塩化ビニル系樹脂組成物は、本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤と共に他の公知の可塑剤を本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。又、必要に応じてプラスチック用として通常使われている公知の難燃剤、安定剤、安定化助剤、着色剤、加工助剤、充填剤、本発明に係るフェノール系酸化防止剤以外の他の酸化防止剤(老化防止剤)、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン等の光安定剤、滑剤或いは帯電防止剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
上記本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤の可塑化成分以外の他の可塑剤や添加剤は、1種でまたは2種以上適宜組み合わせて本発明の可塑剤と共に配合されていてもよい。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤の可塑化成分と併用することができる公知の可塑剤としては、例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート等の安息香酸エステル類、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOTP)、イソフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOIP)等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOS)、セバシン酸ジイソノニル(DINS)等の脂肪族二塩基酸エステル類、ピロメリット酸テトラ−2−エチルヘキシル(TOPM)等のピロメリット酸エステル類、リン酸トリ−2−エチルヘキシル(TOP)、リン酸トリクレジル(TCP)等のリン酸エステル類、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのアルキルエステル、アジピン酸等の二塩基酸とグリコールとのポリエステル化によって合成された分子量800〜4000のポリエステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化エステル類、ヘキサヒドロフタル酸ジイソノニルエステル(DINCH)等の脂環式二塩基酸エステル類、ジカプリン酸1,4−ブタンジオール等の脂肪酸グリコールエステル類、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)類、イソソルビドジエステル類、パラフィンワックスやn−パラフィンを塩素化した塩素化パラフィン類、塩素化ステアリン酸エステル等の塩素化脂肪酸エステル類、オレイン酸ブチル等の高級脂肪酸エステル類等が例示される。上記併用できる可塑剤を配合する場合、その配合量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、1〜100重量部程度が推奨される。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛等の無機系化合物、クレジルジフェニルホスフェート、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート、トリスジクロロプロピルフォスフェート等のリン系化合物、塩素化パラフィン等のハロゲン系化合物等が例示される。又、難燃剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する難燃剤の配合量は0.1〜20重量部程度が推奨される。
安定剤としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸バリウム、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸化合物、ジメチルスズビス−2−エチルヘキシルチオグリコレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズビスブチルマレエート、ジブチルスズジラウレート等の有機錫系化合物、アンチモンメルカプタイド化合物等が例示される。又、安定剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する安定剤の配合量は0.1〜20重量部程度が推奨される。
安定化助剤としては、トリフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリデシルフォスファイト等のホスファイト系化合物、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等のベータジケトン化合物、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等のポリオール化合物、過塩素酸バリウム塩、過塩素酸ナトリウム塩等の過塩素酸塩化合物、ハイドロタルサイト化合物、ゼオライトなどが例示される。又、安定化助剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する安定化助剤の配合量は0.1〜20重量部程度が推奨される。
着色剤としては、カーボンブラック、硫化鉛、ホワイトカーボン、チタン白、リトポン、べにがら、硫化アンチモン、クロム黄、クロム緑、コバルト青、モリブデン橙などが例示される。又、着色剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する着色剤の配合量は1〜100重量部程度が推奨される。
加工助剤としては、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、ブチルステアレート、ステアリン酸カルシウムなどが例示される。又、加工助剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する加工助剤の配合量は0.1〜20重量部程度が推奨される。
充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、珪藻土、フェライトなどの金属酸化物、ガラス、炭素、金属などの繊維及び粉末、ガラス球、グラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウムなどが例示される。又、充填剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する充填剤の配合量は1〜100重量部程度が推奨される。
本発明に係るフェノール系酸化防止剤以外の他の酸化防止剤としては、アルキルジスルフィド、チオジプロピオン酸エステル、ベンゾチアゾールなどの硫黄系化合物、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどのリン酸系化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛などの有機金属系化合物などが例示される。
紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレートなどのサリシレート系化合物、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−ジオクチルアミノメチルベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物の他、シアノアクリレート系化合物などが例示される。又、紫外線吸収剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する紫外線吸収剤の配合量は0.1〜10重量部程度が推奨される。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(混合物)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル及び1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールと高級脂肪酸のエステル混合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物、ポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}}、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N' −ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、N,N' ,N'' ,N''' −テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が例示される。又、光安定剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する光安定剤の配合量は0.1〜10重量部程度が推奨される。
滑剤としては、シリコーン、流動パラフィン、バラフィンワックス、ステアリン酸金属やラウリン酸金属塩などの脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド類、脂肪酸ワックス、高級脂肪酸ワックス等が例示される。又、滑剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する滑剤の配合量は0.1〜10重量部程度が推奨される。
帯電防止剤としては、アルキルスルホネート型、アルキルエーテルカルボン酸型又はジアルキルスルホサクシネート型のアニオン性帯電防止剤、ポリエチレングリコール誘導体、ソルビタン誘導体、ジエタノールアミン誘導体などのノニオン性帯電防止剤、アルキルアミドアミン型、アルキルジメチルベンジル型などの第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム型の有機酸塩又は塩酸塩などのカチオン性帯電防止剤、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型などの両性帯電防止剤などが例示される。又、帯電防止剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する帯電防止剤の配合量は0.1〜10重量部程度が推奨される。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤、塩化ビニル系樹脂及び必要に応じて他の可塑剤や各種添加剤を、例えばポニーミキサ、バタフライミキサ、プラネタリミキサ、ディゾルバ、二軸ミキサ−、三本ロールミル、モルタルミキサー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンブレンダー等の攪拌・混合機やコニカル二軸押出機、パラレル二軸押出機、単軸押出機、コニーダー型混練機、ロール混練機等の混練機により攪拌混合・溶融混合を行い、粉状、ペレット状またはペースト状の塩化ビニル系樹脂組成物とすることができる。
[塩化ビニル系樹脂成形体]
本発明に係る塩化ビニル系樹脂組成物は、真空成形、圧縮成形、押出成形、射出成形、カレンダー成形、プレス成形、ブロー成形、粉体成形、スプレッドコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、紙キャスティング、押出コーティング、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スラッシュ成形、回転成形、注型、ディップ成形等の従来公知の方法を用いて成形加工することにより、所望の形状に成形することができる。
成形体の形状としては、特に限定されないが、例えば、ロッド状、シート状、フィルム状、板状、円筒状、円形、楕円形等あるいは玩具、装飾品等特殊な形状のもの、例えば星形、多角形形状が例示される。
かくして得られた成形体は、ドアトリム、ダッシュボード、インストルメントパネル、コンソール、ドアシート、ATシフト、アームレスト、アンダーカーペット、トランクシート、ワイヤーハーネス、各種モール、サッシュ、シーリング材、ウェザーストリップ、ガスケット、アンダーコート材などの自動車部材に非常に有用であり、それ以外でも、水道管などのパイプ類、パイプ用の継手類、雨樋などの樋類、窓枠サイディング、平板、波板、各種レザー類、装飾シート、農業用フィルム、食品包装用フィルム、電線被覆、各種発泡製品、ホース、医療用チューブ、食品用チューブ、冷蔵庫用ガスケット、パッキン類、壁紙、床材、ブーツ、カーテン、靴底、手袋、止水板、玩具、化粧板、血液バック、輸液バック、ターポリン、マット類、遮水シート、土木シート、ルーフィング、防水シート、絶縁シート、工業用テープ、ガラスフィルム等の用途でも耐熱性、耐久性の要求の強い場合に有用である。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、実施例や比較例中の化合物の略号、及び各特性の測定は以下の通りである。
(1)原料のアルコール成分の直鎖率
本発明の実施例及び比較例で用いる原料のアルコール成分の直鎖率はガスクロマトグラフィー(以下GCと略記)によって測定した。GCによる原料のアルコール成分の測定方法は次のとおりである。
《GCの測定条件》
機種:ガスクロマトグラフ GC−17A(島津製作所製)
検出器:FID
カラム:キャピラリーカラム DB−1 30m
カラム温度:60℃から290℃まで昇温。昇温速度=13℃/分
キャリアガス:ヘリウム
試料:50%アセトン溶液
注入量:1μL
定量:1−ヘキサノールを内部標準物質として用い定量した。
なお内部標準物質の選定に当たっては、原料のアルコール成分に1−ヘキサノールがGCで検出限界以下であったことを予め確認した。
(2)トリメリット酸トリエステルの物性評価
下記の製造例で得られた本エステル又は本発明外のエステルは次の方法で分析を行った。
エステル価:JIS K−0070(1992)に準拠して測定した。
酸価:JIS K−0070(1992)に準拠して測定した。
色相:JIS K−4101(Hazen)(1993)に準拠して測定してハーゼン単位色数を求めた。該色数を以て色相の評価とした。
(3)塩化ビニル系樹脂組成物の調製並びにロールシート及びプレスシートの作製
塩化ビニル系樹脂(ストレート、重合度1050、商品名「Zest1000Z」、新第一塩ビ(株)製)100重量部に、安定剤としてカルシウムステアレート(ナカライテスク(株)製)及びジンクステアレート(ナカライテスク(株)製)を各々0.3重量部及び0.2重量部を配合し、モルタルミキサーで攪拌混合した後、塩化ビニル系樹脂用可塑剤50重量部を加え、均一になるまでハンドリング混合し塩化ビニル系樹脂組成物とした。この樹脂組成物を5×12インチの二本ロールを用いて160〜166℃で4分間溶融混練しロールシートを作製した。引き続いて162〜168℃×10分間プレス成形を行い、厚さ約1mmのプレスシートを作製した。
[樹脂の物性評価]
(4)引張特性:JIS K−6723(1995)に準拠し、プレスシートの100%モジュラス、破断強度、破断伸びを測定した。100%モジュラスの値が小さいほど柔軟性が良好であることを示し、破断強度、破断伸びはその材料の実用的な強度の目安であり、一般的にはその値が大きいほど実用的な強度に優れると言うことができる。
(5)耐寒性:クラッシュベルグ試験機を用いて、JIS K−6773(1999)に準拠して柔軟温度(℃)を測定した。柔軟温度が低いほど耐寒性に優れる。ここで言う柔軟温度とは、前記測定において所定のねじり剛性率(3.17×103kg/cm2)を示す低温限界の温度を指す。
(6)耐熱性:揮発減量及びシート着色の評価による。
a)揮発減量:ギヤーオーブン中、ロールシートを170℃で60分及び120分加熱した後のロールシートの重量変化を測定し、下記の式に従って揮発減量(重量%)を算出した。揮発減量の数値が小さいほど、耐熱性が高い。
揮発減量(重量%)=((試験前の重量―試験後の重量)/試験前の重量)×100
b)シート着色 :ギヤーオーブン中、ロールシートを170℃で30分及び60分間加熱した後の着色度の強弱を目視により5段階で評価した。
◎:着色なし、○:僅かに着色する、○△:少し着色する、△:着色する、×:着色が強い。
(7)耐熱老化性:JIS K−6723(1995)に準拠し、120℃×120時間の加熱条件で加熱後引張試験を行った。結果は、常態に対する試験後のプレスシートの100%モジュラス残率(%)、破断伸び残率(%)で示した。数値が大きいほど、耐熱老化性が高い。
100%モジュラス残率(%)=(1−(加熱後の100%モジュラス―加熱前の100%モジュラス)/加熱前の100%モジュラス))×100
伸び残率(%)=(加熱後の破断伸び/加熱前の破断伸び)×100
(6)耐フォギング性:プレスシート4gをガラス製サンプル瓶に入れ、120℃に温度調節したフォギング試験機にセットした。さらに、上記サンプル瓶にガラス板の蓋をした後、その上に20℃に温度調節した冷却水を通水した冷却板を載せ、120℃で3時間熱処理を実施した。熱処理後、上記ガラス板表面の曇り具合を目視にて観察し、以下の通り、4段階で評価した。
◎:全く曇りがなく、ガラス板の向こうの視界にも全く影響はなかった
○:ガラス板の向こうの視界に影響があるほどではないが、僅かに曇りが生じた。
△:明らかに曇りが生じ、ガラス板の向こうの視界に影響があった。
×:ガラス板表面の曇り具合がきつく、ガラス板の向こうの視界が大きく低下した。
[製造例1]
温度計、デカンター、攪拌羽、還流冷却管を備えた2L四ツ口フラスコに、トリメリット酸無水物(工業用市販品)96.0g(0.5モル)、原料アルコールとして炭素数9の直鎖状の脂肪族飽和アルコール重量85.1%と炭素数9の分岐鎖状の脂肪族飽和アルコール重量11.7%を含む飽和脂肪族アルコール(シェルケミカルズ社製:リネボール9)259g(1.8モル)、及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.13gを加え、反応温度を185℃としてエステル化反応を実施した。減圧下原料アルコールを還流させて生成水を系外へ除去しながら、反応溶液の酸価が0.5mgKOH/gになるまで反応を行った。反応終了後、未反応アルコールを減圧下で系外へ留去した後、常法に従って中和、水洗、脱水して目的とするトリメリット酸トリエステル(以下、エステル1という。)245gを得た。
得られたエステル1は、エステル価:285mgKOH/g、酸価:0.01mgKOH/g、色相:15であった。
[製造例2]
脂肪族飽和アルコール(シェルケミカルズ社製:リネボール9)259gの代わりにイソノニルアルコール259gを用いた以外は製造例1と同様にして、トリメリット酸トリエステル(以下、エステル2という。)236gを得た。
得られたエステル2は、エステル価:285mgKOH/g、酸価:0.03mgKOH/g、色相:10であった。
[製造例3]
脂肪族飽和アルコール(シェルケミカルズ社製:リネボール9)259gの代わりにn−ノニルアルコール181g(1.3モル)とイソノニルアルコール78g(0.5モル)を用いた以外は製造例1と同様にして、トリメリット酸トリエステル(以下、エステル3という。)240gを得た。
得られたエステル3は、エステル価:282mgKOH/g、酸価:0.04mgKOH/g、色相:20であった。
[製造例4]
脂肪族飽和アルコール(シェルケミカルズ社製:リネボール9)259gの代わりにn−ノニルアルコール259gを用いた以外は製造例1と同様にして、トリメリット酸トリエステル(以下、エステル4という。)242gを得た。
得られたエステル4は、エステル価:284mgKOH/g、酸価:0.03mgKOH/g、色相:10であった。
[実施例1]
製造例1で得られたトリメリット酸トリエステル(エステル1)100重量部にテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(以下、酸化防止剤Aという。)を0.3重量部の割合で配合し、70℃で20分攪拌して透明な塩化ビニル系樹脂用可塑剤を得た。続いて、得られた可塑剤を用いて、上述の作製方法に従いロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。なお、得られた塩化ビニル系樹脂用可塑剤は透明であった。
[実施例2]
酸化防止剤Aの代わりに1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン(酸化防止剤B)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、ロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。なお、得られた塩化ビニル系樹脂用可塑剤は透明であった。
[実施例3]
酸化防止剤Aの代わりに1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート(酸化防止剤C)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、ロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。なお、得られた塩化ビニル系樹脂用可塑剤は透明であった。
[実施例4]
エステル1の代わりに製造例2で得られたエステル2を用いた以外は実施例1と同様に実施して、ロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。なお、得られた塩化ビニル系樹脂用可塑剤は透明であった。
[実施例5]
エステル1の代わりに製造例3で得られたエステル3を用いた以外は実施例1と同様に実施して、ロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。なお、得られた塩化ビニル系樹脂用可塑剤は透明であった。
[実施例6]
エステル1の代わりに製造例4で得られたエステル4を用いた以外は実施例1と同様に実施して、ロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。なお、得られた塩化ビニル系樹脂用可塑剤は透明であった。
[比較例1]
酸化防止剤を配合しないで製造例1で得られたエステル1をそのまま用いた以外は実施例1と同様に実施して、ロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。
[比較例2]
酸化防止剤Aの代わりにビスフェノールA(酸化防止剤D)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、ロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。
[比較例3]
酸化防止剤Aの代わりにBHT(酸化防止剤E)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、ロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。
[比較例4]
酸化防止剤Aの代わりに没食子酸プロピル(酸化防止剤F)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、ロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。
[比較例5]
酸化防止剤Aの代わりにヒドロキノン(酸化防止剤G)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、ロールシート及びプレスシートを作製し、引張特性、耐寒性、耐熱性、耐熱老化性、耐フォギング性を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。
表1の結果より、明らかに本発明範囲の酸化防止剤を配合したトリメリット酸トリエステル(実施例1〜6)は酸化防止剤を配合していないもの(比較例1)に比べて耐熱着色性や耐熱老化性が大きく向上していることがわかる。更に従来の酸化防止剤配合系(比較例2〜5)と比べても、耐熱着色性または耐熱老化性に優れることがわかる。なお、表中の耐熱老化性の値が10%以上低下することは実用上大きな問題になる懸念があることを示している。また、実施例1〜4において良好な耐フォギング性も得られた。
更に、表1の結果より、本発明の範囲内の酸化防止剤を配合した系(実施例1〜6)は、配合していない系(比較例1)や従来の酸化防止剤を配合した系(比較例2〜5)と比較して耐フォギング性に関しても優れていることがわかる。このことは、上記の本発明範囲内の酸化防止剤を配合することによる耐熱性の改善が、特に自動車部材等で問題になる耐フォギング性に関しても非常に有効であることを示している。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤は、耐寒性及び耐揮発性に優れ、柔軟性、耐フォギング性、耐熱着色性及び耐候性の良好な塩化ビニル系樹脂用可塑剤として使用でき、その塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含む塩化ビニル樹脂組成物より得られた成型加工品は、耐寒性及び耐揮発性に優れ、柔軟性、耐フォギング性、耐熱着色性及び耐候性が良好であり、耐候性、耐着色性等の耐久性の要求されるドアトリム、ダッシュボード、インストルメントパネル、コンソール、ドアシート、ATシフト、アームレスト、アンダーカーペット、トランクシート、ワイヤーハーネス、各種モール、サッシュ、シーリング材、ウェザーストリップ、ガスケット、アンダーコート材などの自動車部材用途等において非常に有用である。

Claims (16)

  1. トリメリット酸トリエステル及びフェノール系酸化防止剤を含有してなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤であって、
    トリメリット酸トリエステルが、トリメリット酸またはその無水物と炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールのエステル化物であり、更に
    フェノール系酸化防止剤が、該トリメリット酸トリエステルに対して0.1〜0.6重量%の範囲で含有し、かつフェノール部位の水酸基に対して2位、4位又は6位に少なくとも2つの電子供与性の置換基を有し、かつ2位又は6位に少なくとも1つの立体障害性の置換基を有し、かつ
    その分子量が300〜3000の範囲であり、更にFedorsの推算法によるSP値が8〜15の範囲であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  2. 炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールが、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とし、炭素数9の飽和脂肪族アルコール中の含有量が60重量%以上の炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールと40重量%以下の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを含有し、かつ炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの直鎖率が60%以上である、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  3. フェノール系酸化防止剤中の少なくとも2つの電子供与性の置換基が、同一又は異なって、アシルオキシ基、アラルキル基、アリル基、アリール基、アルキニル基、アルキル基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヒドロキシ基、ヘテロアラルキル基、ヘテロアリール基又はヘテロシクロアルキル基である、請求項1又は請求項2に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  4. フェノール系酸化防止剤中の少なくとも1つの立体障害性の置換基が、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アラルキル基、アリル基、アリール基、アルキニル基、アルキル基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基、シクロアルキル基、ニトロ基、ハロゲノ基、ヒドロキシ基、ヘテロアラルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基又はホルミル基(なお、立体障害性の置換基が2つのときは、同一又異なってもよい。)である、請求項1〜3のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  5. フェノール系酸化防止剤の分子量が、350〜2500の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  6. フェノール系酸化防止剤のSP値が、8.5〜14の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  7. フェノール系酸化防止剤が、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレートからなる群より選ばれた1種または2種以上の混合物である、請求項1〜6のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  8. フェノール系酸化防止剤の含有量が、0.2〜0.5重量%である請求項1〜7のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  9. フェノール系酸化防止剤の含有量が、0.3〜0.4重量%である請求項8に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  10. 炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールが、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とし、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコール中の含有量が70重量%以上の炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールと30重量%以下の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを含有し、かつ炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの直鎖率が70%以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  11. 炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールが、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とし、炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコール中の含有量が70〜90重量%の炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールと10〜30重量%の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを含有し、かつ炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールの直鎖率が70〜90%である、請求項10に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  12. 炭素数8〜11の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールが、1−オクテン、一酸化炭素と水素とのヒドロホルミル化反応による炭素数9のアルデヒドに水素添加されてアルコールに還元した直鎖構造及び分岐鎖構造を有する飽和脂肪族アルコールを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  13. 塩化ビニル系樹脂と請求項1〜12のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
  14. 前記塩化ビニル系樹脂組成物が、自動車部材用である請求項13に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  15. 請求項13又は請求項14に記載の塩化ビニル系樹脂組成物から得られる塩化ビニル系樹脂成形体。
  16. 前記塩化ビニル系樹脂成形体が、自動車部材である請求項15に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
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