JP2008542230A - 可塑剤エステル - Google Patents

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Abstract

アルコールと酸あるいは無水物との触媒反応で生成されたエステルを、原エステルの酸度に関して理論量未満のアルカリ金属塩を提供する量での、アルカリ性のアルカリ金属塩水溶液との処理により中和し、処理中存在する水の量は、原エステルの重量を規準に0.8〜1.4重量%の水である。エステル化触媒としてチタンを使用するとき、この処理の結果得られるエステルは、0.01重量%未満のチタン残留物を含み、酸化防止剤が存在する状態で保存されたときに貯蔵中安定である。

Description

本発明は、可塑剤や潤滑剤のようなエステルの製造に関し、特にフタル酸エステルや安息香酸エステルの可塑剤(ポリ塩化ビニルPVCで有用)およびポリイソシアネート化合物(ポリウレタンの製造で有用)に関するが、限定はしない。
可塑剤エステルは、適切なアルコール、典型的にはC〜C13のアルコールと、酸無水物、よくあるのはフタル酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、マレイン酸無水物との、あるいは、酸との反応で製造される。よく用いられる酸は、アジピン酸、トリメリット酸、シクロヘキサン一塩基および二塩基酸、安息香酸、およびクエン酸などである。エステル化は、典型的には有機金属触媒、特にチタンあるいは錫ベース触媒を用いて行われるが、硫酸やパラトルエンスルホン酸のような他の多くのエステル化触媒も知られている。本書で用いる「原エステル」という用語は、エステル化の生成物を意味し、汚染物を含有し、精製が必要である。これらの汚染物は、酸の残留物、未反応のアルコールあるいは未反応の酸の群、触媒残留物、水分、およびアルコール原料に予め存在していた汚染物質に属し、これらのほとんどは、いわゆるモノマー成分であり、エステルのガスクロマトグラフすなわちGCスペクトルのいわゆる「ライトエンド(light end)」領域に現れる。エステルは、また、アルコール(ジアルキル)エーテル、二塩基酸からのモノエステル、アルコールオキソ酸エステル、ヘミアセタールおよびビニルエーテルなどの副生成物を含むことがある。これらは、いわゆる二量体成分であり、集合的に「エーテル」、あるいは、エステルのガスクロマトグラフすなわちGCスペクトルでのモノマーのライトエンドと「トリメリット」ジエステルの間の溶離から「中間体」と呼ばれることが多い。
ジカルボキシル酸あるいは無水物のエステルを、原エステルを水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液と接触させることにより、精製することは、米国特許第5324853号より知られている。水ならびにアルカリ加水分解および/または中和触媒残渣の追加は、存在するかも知れない有害なモノエステルを中和する。それから、モノマーエステルのアルカリ塩のような塩、水酸化チタンのような有機金属触媒の水酸化物、酸化チタンや酸化錫のような有機金属触媒の酸化物および(二)炭酸ナトリウムの除去のために、中和されたエステルをろ過するのが一般的である。中和に使用されるアルカリは、炭酸ナトリウムであることが好ましく、場合によっては水酸化ナトリウム、好ましくは水溶液での、であってもよい。加水分解および/または中和に続いて、二酸化炭素を導入し、残存する水酸化ナトリウムを水と(二)炭酸ナトリウムに変換してもよい。最後に、たとえば水蒸気の蒸気や窒素でフラッシングしあるいはストリッピングにより、またはそれらの組合せにより、過剰なアルコールと水を除去してもよい。
米国特許第5324853号の実施例5には、エステルの中和が、テトライソプロピルチタネートをエステル化触媒として用いて、無水フタル酸とイソデシルアルコールから得られたことが、記載されている。中和は、ソーダ灰の希薄溶液で行われ、希薄溶液は、炭酸ナトリウムの化学量論に等価量の1.5〜2倍だけの十分なソーダ灰を含有し、1回のバッチっを基準に1〜6重量%の水を供給するのに十分な水を含有する。処理を行う温度は、70℃〜120℃でよいが、許容される温度範囲は、90℃〜140℃といわれている。米国特許第5324853号では、加水分解を始める前に炭素を加え、中和と加水分解と同時に脱色を生ずることが提言されている。加水分解の後、ろ過の前に、粘土あるいはろ過助剤を追加することも記載されている。しかし、米国特許第5324853号では、水酸化チタンや中和反応により形成された塩が、塊になりあるいはゲル化し、ろ過により除去することを難しくするという問題に取り組んではいない、
米国特許第5324853号の実施例5に記載の精製プロセスには2つの不利な点があることが分かった。1つ目には、使用されるソーダ灰の過剰なレベルは、最終的な可塑剤エステル中のナトリウムを不適切に高レベルにしうるようなものである。このことは、次にポリウレタンの製造においてイソシアネート用の溶媒として用いられるときに、可塑剤がイソシアネートの好ましくない初期重合を引き起こすかもしれず、また、使用時の電気特性、たとえばワイヤやケーブルの絶縁を損なうかもしれない。2つ目には、数100トンの材料がろ過される産業規模において、米国特許第5324853号で用いられる水のレベルは、フィルターの通過により急激な圧力低下の増大をもたらし、ろ過効率の低下やフィルター寿命の低下につながる。
フィルターでの圧力低下は、フィルターでの入口圧力と出口圧力との差であり、主としてフィルターケーキでの圧力損失である。圧力低下が高くなりすぎると、フィルターケーキが圧縮され、ろ過が妨げられ、さらにフィルターケーキが取り除きにくくなる。米国特許第5324853号のプロセスでは、ろ過の前にできるだけ急速にフラッシングして水を除去する。産業規模のプロセスでは、典型的にはこのことは中和を100℃〜140℃で行うことを伴い、水がフラッシングですぐにでも除かれるような温度となっている。
可塑剤エステル(本書では、単に「可塑剤」とも称される)は、ポリウレタンの製造でイソシアネート用の溶媒としても用いることができる。可塑剤は、典型的にはポリウレタンの20〜40重量%の量で使用される。イソシアネートは可塑剤に溶解し、この溶液はポリオールと混合され、ポリウレタンを生成する。可塑剤は、イソシアネートのキャリアとして、またポリウレタンの可塑剤として、作用する。このようなポリウレタンの代表的な使用には、ガラス組立や建造物、航空宇宙および自動車産業などで用いられるようなマスチックやシール剤を含む。可塑剤がイソシアネートに悪影響を及ぼさないことは重要である。米国特許第5324853号の好適なエステル仕上げ技術を用いるときに存在しうる残留ナトリウムあるいは塩基のレベルは、イソシアネートがポリオールと反応する前に初期重合を生じ、有害なゲルや沈殿物を生じうることが分かった。
米国特許第6150552号は、テトラハロフタル酸化合物とアルカノールとのチタネート触媒存在下での反応後の、テトラハロフタル酸エステルの製造と精製のプロセスを開示している。反応前の反応物混合体は、その製造プロセスで積み残された、テトラハロフタル酸無水物中の残留硫酸を中和するのに必要な正確に計算された量のナトリウムで処理される。エステル化反応は、反応化合物の酸価が1meq/100gより小さくなったときに、完了する。真空蒸留後に、水と炭酸ナトリウムが、ストリッピングされた生成物に別々に加えられる。米国特許第6150552号のプロセスでは、過剰なアルコールを除去した後に加水分解を行うのが不可欠で、水および/または炭酸ナトリウムの正確な注入はそれほど重要ではない。米国特許第6150552号の実施例1では、バッチの精製プロセスが開示され、中和に7gの炭酸ナトリウムを用い、それは原エステルの酸度に関し理論量(化学量論的な量)の7倍に匹敵する。このレベルの過剰なソーダ灰では、また、最終的なエステルのナトリウムが有害な高レベルとなりうる。
米国特許第6150552号の実施例7は、ろ過性能に関するものである。実施例は、炭酸ナトリウムがないと、より多くの水がろ過を完了する時間を短縮することを教示している。さらに、ストリッピングされた生成物の重量を基準として0.72重量%より少ないのに等しい、同量の水が存在すると、原エステルの酸度に関する理論量の少なくとも1.35倍の量が使われるときに、ろ過時間は減少する。0.1gの炭酸ナトリウムを用いる実験は、それは理論量の0.225倍に相当するが、ストリッピングされた生成物を基準として0.72重量%より少ない量の水を利用し、化学当量より高い炭酸ナトリウムを用いた実験と比較して、ろ過を完了するのに長い時間を要することが示される。
可塑剤の特性と品質の要求は、可塑剤が用いられる使用法に依存する。イソシアネートについての要求は上記した。可塑剤の別の重要な特性は、特にワイヤやケーブルの絶縁用の電気用途で用いられるときの、電気抵抗である。より具体的には、本発明は、出願人の共に係属中のPCT国際特許出願WO2005−021482のプロセスと組み合わせ可能なプロセスにも関し、ポリ塩化ビニルと使用するのに適した高品質可塑剤を製造し、ワイヤやケーブルの絶縁用におよび他の電気絶縁材料として有用な化合物を提供するものである。
可塑化ポリ塩化ビニルは電気および電子産業で絶縁用に広く用いられ、これらのユーザたちは高品質の可塑剤エステルを要求している。たとえば、高体積抵抗率を有する可塑剤が電機業界で要求されている。可塑化ポリ塩化ビニル化合物の抵抗率は、パッド(Pad)体積抵抗率(PVR)として測定することができる。業界では多くの人が可塑剤そのものの抵抗率も測定し、それは可塑剤の液体体積抵抗率(LVR)として知られている。自動車のボンネット下部あるいはダッシュボード下部の電気ワイヤやケーブルの電気絶縁のような多くの電気用途用に、可塑剤は高いLVRと少量のライトエンドを有することが好適であり、においや自動車内部およびフロントガラスの霧の問題に寄与する化合物では特にである。自動車の電気機械は、ますます複雑に高性能になってきている。最新式の自動車は、特別なセンサや電気駆動装置をますます備えるようになってきている。これらのセンサを接続し、これらの装置をコントロールして電力供給するのに必要なワイヤとケーブルとの総量は増加し続けている。これらの接続の多くは、自動車内装の下および外側ボディに比較的近い部分で視界の外に配置され、そこでは、換気がほとんど行われず、エンジンの熱あるいは自動車が太陽光に曝されるために温度は高い。
したがって、これまで述べたような低レベルのナトリウムに加え、可塑剤は、許容できるにおいを有し、自動車フロントガラスの内側に霧すなわち光を拡散する膜を生じないのが望ましく、それらは紫外線に対する抵抗でもある。可塑剤は、その処理中および最終用途双方でのにおいレベルを低くするため、最少の揮発性の物あるいはライトエンドだけを含むのがよい。
米国特許第5,880,310号は、可塑剤エステルを精製し、日本規格協会JIS K 6751で測定した高液体体積抵抗率を有する材料を製造することに関する。米国特許第5,880,310号では、水酸化ナトリウムで中和されている、原エステル中に二酸化炭素を吹き込み、残留アルカリを(ジ)カーボネートに変化させ;典型的にはスチームストリッピングにより、過剰なアルコールを回収し;その後に中和されストリッピングされたエステルにろ過助剤を添加し、続いて微細なフィルターと吸着処理とにより、高体積抵抗率の可塑剤エステルを得る。しかし、このプロセスでは、ナトリウムを使い過ぎる。さらに、このプロセスは、ろ過助剤が存在するところで中和をしておらず、チタン含有触媒の加水分解の生成物が塊になり、またろ過特性を害する傾向がある。
本発明は、可塑剤エステルの精製の改良を提供し、特に、ポリウレタンの製造でイソシアネート用の溶媒として使用でき、イソシアネートが初期重合する傾向を減じた可塑剤エステルを提供する改良を提供する。本発明はまた、エステルのろ過特性を向上することに関する。本発明はまた、高抵抗製品用PVC電気絶縁に用いられるのに特に適した、純度が向上した可塑剤エステルを提供することを目的とする。
本発明によれば、酸あるいは無水物とアルコールのエステル化触媒の存在下での反応により製造された原エステルを精製するためのプロセスが提供され、そのプロセスは、原エステルをアルカリ金属塩のアルカリ性水溶液で処理する工程を備え、原エステルの酸度との関係で、理論量より少ないアルカリ金属を用い、処理中に存在する水の量は、原エステルの重量を基準に0.8重量%から1.4重量%である。
処理中に存在する水の量は、精製プロセスの一部として添加された水とエステル化プロセス後に原エステルに既存する水とで構成される。典型的な商業プロセスでは、この後者(既存)の水の量は、30〜60重量ppmの範囲にある。したがって、既存量は、本発明により用いられる、アルカリ水溶液で使われる水、および/または、触媒加水分解用にこの水溶液に追加して加えられる水に比較して、通常無視できる。
好ましくは、ナトリウムあるいはカリウムが原エステルの処理用アルカリ金属として用いられる。アルカリ金属の好適な塩は、水酸化物またはカーボネート(炭酸塩)もしくはバイカーボネート(重炭酸塩)である。水酸化物は、残留未反応の水酸化物を(バイ)カーボネートに変換するために、二酸化炭素の添加と組み合わせて用いてもよく、ろ過による除去が容易となる。最も好ましいアルカリ金属塩は、炭酸ナトリウムあるいは炭酸カリウムであり、特に炭酸ナトリウムである。後述するように、炭酸ナトリウムは、その範囲内ではよいフィルターケーキが作られる、広い運転の枠(炭酸カリウムに比べて)を提供することが分かった。しかし、中和には苛性ソーダ水溶液、たとえば25重量%濃度の水溶液、を用いることも可能である。その後、余剰な水が、本発明に必要な水の量になるまで加えられ、この水は苛性アルカリが追加されたシステムを洗い流すのに用いることができる。この場合、中和は約70℃の温度で行われるのが好ましい。
原エステルを処理するのに炭酸ナトリウムが用いられるとき、後続するろ過工程でフィルターケーキのほとんどを構成するのは炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)であることが、以下に述べられる。このことは、炭酸ナトリウムは最終的に主としてこのフィルターケーキ中の炭酸水素ナトリウムになることを意味する。このことは、2つの有効な塩基性機能のうち1つだけが、原エステルの処理に利用されることを意味する。原エステルの酸度に関する理論量は、塩基性機能のうちの1つだけが利用されることを考慮して、決めなければならない。
原エステルの処理は、エステル化されなかった酸もしくは無水物あるいは一部エステル化されたポリカルボン酸もしくは無水物に起因する残留酸度を中和する。さらに、その処理は、触媒残留物を加水分解でき、チタン触媒を用いるときには特に有用であり、加水分解は触媒残留物をチタン水酸化物に変換し、チタン水酸化物はろ過により除去することができる。
本発明の好適な実施の形態では、エステル化触媒はチタン触媒である。本発明のより好適な実施の形態では、エステル化反応で用いられる酸あるいは無水物反応物の量に関して用いられるチタンの量は、最大0.07重量%で、好ましくは最大0.06重量%で、より好ましくは最大0.05重量%で、さらに好ましくは最大0.04重量%で、最も好ましくは最大0.039重量%である。
本発明のプロセスは、バッチ、半連続あるいは連続モードで行うことができる。プロセスの一部は少なくとも連続モードで行うことが好ましい。より好ましくは、エステル化反応をバッチモードで行い、精製工程を、中和と加水分解処理工程を含め、連続モードで行うことである。
本発明によれば、原エステルの処理は100℃〜140℃の範囲の温度で行うことが好ましい。しかし、120℃を超える温度は、注入点で逆反応を起こしやすいので、あまり好ましくはなく、注入点ではチタンが未だ完全に非活性化されておらず、もしくは、加水分解されておらず、あるいは、モノエステルが未だ完全に中和されていない。したがって、処理のための好適な温度は、100℃〜120℃の範囲であり、より好ましくは110℃程度である。
さらに好ましい実施の形態では、処理は、水の蒸発を防ぐのに十分な高い圧力、たとえば4〜10barg、好ましくは5〜6bargで行われる。
本発明のさらに好ましい実施の形態では、処理に続き、エステルを、好ましくは真空で、フラッシングして水分を除去する。これは、自由水を除去し、および/または、含有水分を500重量ppm以下に減少することが好ましい。さらに好ましくは、このフラッシングは、結晶成長とろ過の観点で有利なように、2工程で行われる。その2番目の工程は、たとえば絶対圧で10mmHg(絶対圧1.33kPa)の高い真空で行われるのがよい。
このような2工程のフラッシングにより、生成物中の水分を低いレベルにでき、ナトリウムおよびチタン固体の結晶の成長と大きさによい影響を及ぼし、ろ過の難しい粘液状の物の形成を防ぐ。この2番目のフラッシング工程の温度は、65℃程度であるとよい。
本発明のさらに好適な実施の形態では、中和された原エステルをろ過する。ろ過は、水を除去するフラッシング後に行うのが好ましい。ろ過前の水の除去には、いくつかのメリットがある。チタン水酸化物を二酸化チタンに変換することを促進し、二酸化チタンはろ過がより容易である。それはまた、残留モノエステルのナトリウム塩を低粘着性とし、よってろ過除去しやすくする。また、重炭酸ナトリウムは、ろ過工程でフィルターケーキのほとんどを構成するが、脱水するとよりよい結晶を形成し、より円滑なろ過を提供する。さらに好適な実施の形態では、ろ過助剤を、アルカリ水溶液、たとえば炭酸ナトリウム水溶液で原エステルを処理する前、処理する間あるいは処理した後に、原エステルに添加する。このろ過助剤は、結晶が、典型的には重炭酸ナトリウムの結晶がろ過布上に密で多孔性の層を形成し、フィルターをすぐに閉塞してしまうのを防止するという重要な機能を有する。さらに別の実施の形態では、活性炭のような吸着剤を、アルカリ水溶液、たとえば炭酸ナトリウム水溶液で原エステルを処理する前、処理する間あるいは処理した後に、原エステルに添加、好ましくはろ過助剤と共に添加する。吸着剤は、色の少ないおよび/または金属含有分の少ない生成物を提供する。特にエステル生成物の金属含有量が少ないことが要求されるときには、多量の吸着剤が使用される。
一実施の形態では、ろ過助剤および/または吸着剤は、アルカリ水溶液による処理と一緒に、あるいは、直後に加えるとよい。酸性活性炭を用いるとき、このことは中和塩基の要求を増加する。したがって、中性のあるいは僅かに塩基性の活性炭が好ましい。そのような酸性でない活性炭の粒径分布は典型的にはかなり均一であり、ろ過性能を向上することが分かった。また、活性炭、特に酸性のものは、水を、たとえば約20重量%、含有できることも分かった。このような水がろ過助剤および/または吸着剤に導入された場合、この水は、後続するろ過工程の前に、沸騰し、フラッシングされ、あるいはストリッピングされるのが好ましい。
使用されるろ過助剤の例としては、広く市販される珪藻土から作ったろ過助剤、[たとえば、ラジオライト(Radiolite)(昭和化学工業株式会社が製造)およびセライト(Celite)(ジョーンズマンビルセイルスコープ(Johns Manville Sales Corp.)が製造)];パーライトから作ったろ過助剤[たとえば、トプコ・パーライト(Topco Perlite)(昭和化学工業株式会社が製造)やジカライト・パーライト(Dicalite Perlite)(ジカライトオリエント株式会社が製造)や同等品が挙げられる。少なくとも20%のろ過助剤は、5ミクロン(μm)以下の粒径を有することが好ましい。
本発明の精製工程で、ろ過助剤および/または吸着剤の量は、低く抑えられてもよいことが分かった。このことにより、コストを低減し、フィルターケーキ廃棄の問題を最小化し、フィルターの運転時間を延長する。第1のろ過工程で、原エステルに対し最大0.08重量%の、好ましくは最大0.03重量%の、より好ましくは最大0.02重量%の、最も好ましくは最大0.01重量%のろ過助剤の量を用いるのが好適である。その同じろ過工程において、原エステルに対し最大0.05重量%の、好ましくは最大0.04重量%の、より好ましくは最大0.03重量%の、最も好ましくは最大0.02重量%の吸着剤の量を用いるのが好適である。
ろ過助剤および/または吸着剤が、1つ以上の上流の反応容器からの反応器流出物を収集するミキシングドラムあるいはダンプドラム中であるいはそれらの前に原エステルに加えられるならば、そのドラムは固体を浮遊させておくためにポンプアラウンドあるいは内部ジェットミキサーを備えるのがよい。
好適な乾燥ろ過の代案としては、水の存在下でのろ過があり、チタンのほとんどは水酸化チタンのままで存在し、水酸化チタンとして除去される。フィルターの下流側で、その後、自由水は物理相分離により分離され、この自由水は溶液中の残留塩のほとんどを含有するであろう。
[触媒]
本発明で適用するエステルは、典型的には、酸と、通常ポリカルボキシル酸あるいは無水物と、アルコールとの触媒反応で生成された可塑剤エステルである。エステル化プロセスは、触媒の存在下で行われる。商業上重要な代表的エステル化触媒は、硫酸、メタンスルホン酸(MSA)、パラトルエンスルホン酸(pTSA)、アルコラート第1錫、アルコキシド、カルボキシレート、キレートあるいは酸化物、およびアルコラートチタンである。米国特許3,056,818号は、ここに参照して組み込み、チタンエステル化触媒を開示し、より一般的に用いられる触媒は、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、および/またはテトラオクチルチタネートで、好ましくはテトライソオクチルチタネートであることを開示している。エステル化プロセスがどのように行われるかの詳細は、米国特許第5、324,853号、第5,880,310号および第6,355,817号あるいは、共に継続中のPCT特許出願WO2005/021482号に記載され、これらはここに参照して組み込む。
触媒として使用できる代表的なアルコラートチタンは、仮想的酸化オルトチタンTi(OH)で、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート(ノルマルとイソブチルの両方)、テトラペンチルチタネート、テトラヘキシルチタネート、テトラヘプチルチタネート、テトラオクチルチタネート、テトラノニルチタネート、テトラデシルチタネート、テトラ−(2−プロピルヘプチル)チタネート、テトラドデシルチタネート、テトラヘキサデシルチタネート、テトラオクタデシルチタネートおよびテトラフェニルチタネートを含む。これらのチタネートの多くで、低い粘性と流動点を提供するので、イソ等価物(iso equivalents)が直鎖の代替物との組合せでより好適であり、用いられることが多い。チタネートの選択は、エステル化されるアルコールにより変化するかもしれない。C〜C10のアルコールでは、またC、Cおよび/またはC10のチタネートを用いるのが好適である。これらは、より長い鎖の等価物より低い粘性を提供する。チタン原子上のアルコキシ基は、全て同じであることも、異なっていることもでき;アルコキシ基のアルキル鎖は、分岐しなくても、分岐してもあるいはそれらの混合でもよい。上記のアルコラートのジルコニウムの対応物を、触媒の全体のあるいは部分的代替品として用いることもできる。カルボン酸チタンおよびキレート、ならびにそれらのジルコニウム対応物は、エステル化触媒としても役立つ。
[酸]
エステル化を受けるカルボン酸は、脂肪族、脂環式、あるいは芳香族でよい。それらは、置換されても置換されていなくても、飽和でも不飽和でもよく、また、酸の化合物でもよい。代表的な酸には、酢酸、ヒドロキシ酢酸、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、シアノ酢酸、5−フェニル酢酸、トリフェニル酢酸、プロピオン酸、ハロプロピオン酸、乳酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−バレリアン酸、2−メチルブタン酸、3−メチルブタン酸、5−フェニル−n−バレリアン酸、n−ヘプタン酸、カプロン酸、ペラルゴン酸、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、リグノセリン酸、α―ヒドリキシリグノセリン酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン−1,10−ジカルボン酸、ペンタデカン−1,15−ジカルボン酸、ペンタコサン(pentacosane)−1,25−ジカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、クエン酸、アクリル酸、α−クロロアクリル酸、β−クロロアクリル酸、β−ブロモアクリル酸、β−フェニルアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、ムコン酸、アコニット酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、分岐型C、C、C、C、C、C10、C11、C12またはC13オキソ酸(たとえば、3,5,5−トリメチルヘキサン酸)、および分岐型C16、C18、C20、C24、C26、C28、C32、C36、C40、C44またはC48酸を含み、それらはゲルベ(Guerbet)反応と酸化を用いて得ることができる。
脂環式酸の中には、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,2−または1,3−または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸、シクロペンタン−2−カルボン酸、1−シクロヘキサン−1−カルボン酸、シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボン酸、および1,3−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸がある。
芳香族酸には、安息香酸、o−、m−およびp−クロロおよびブロモ安息香酸、o−、m−およびp−ヒドロキシ安息香酸、o−、m−およびp−ニトロ安息香酸、o−、m−およびp−メトキシ安息香酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、o−、m−およびp−メチル安息香酸、o−、m−およびp−エチル安息香酸、o−、m−およびp−フェニル安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロキシフタル酸、2,3−ジメチル安息香酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ナフタレンの二酸およびトリメリット酸を含む。
ポリオールが、本発明にしたがって処理されたエステルを形成するのに用いられるときは、以下の酸が好ましい。イソペンタン酸、ネオペンタン酸、ネオヘプタン酸、ネオオクタン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸、2−エチルヘキサン酸、オキソーヘプタン酸(すなわち、ヘキサンのオキソネーション(oxination)/酸化に由来する異性体の混合)、2−プロピルヘプタン酸、オキソデカン酸(すなわち、混合ノネンのオキソネーション/酸化に由来する異性体の混合)、オキソオクタン酸(すなわち、混合ヘプテンのオキソネーション/酸化に由来する異性体の混合)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、直鎖C〜C18アルカン酸、特に、nーペンタン酸、n−ヘプタン酸およびn−ノナン酸ならびにこれらの化合物。
[無水物]
一塩基および二塩基酸の無水物を酸の代わりに使用することができ、特に可塑剤エステルが形成されるときに使用することができる。これらには、無水酢酸、プロピオン酸無水物、n−ブチル酸無水物、琥珀酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、ピメリン酸無水物、マレイン酸無水物、メサコン酸無水物、シトラコン酸無水物、グルタコン酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、安息香酸無水物、ナド酸無水物、メチルナド酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメリット酸無水物および一塩基酸の混合無水物が含まれる。使用できる他の無水物は、ピロメリット酸二無水物である。また、テトラブロモフタル酸無水物もエステル生成に使用することができる。
[アルコール]
本発明にしたがって処理される原エステルを形成するために酸や無水物と反応させられるアルコールは、一例として、ほとんどの第1および第2C〜C30一価アルコール、置換されたあるいは置換されていないアルカノールおよびアルケノールで、たとえば、メタノール、エタノール、クロロエタノール、シアノエタノール、エトキシエタノール、フェニルエタノール、n−プロパノール、2−クロロプロパノール−1、3−ブロモプロパノール−1、2,2−ジクロロプロパノール−1、イソプロパノール、2−ニトロブタノール−1、2−ニトロブタノール−4、2−メチルペンタノール−1、2−メチルペンタノール−3、第1および第2オクタノール、n−ドデカノール、6−ドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルステアリルアルコール、ミリスチルイソステアリルアルコール、2−プロペノール−1、2−ブテノール−1、3−ペンテノール−1、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセロール、1,4−ブタネジオール、モノおよび工業銘柄の(すなわち、88%のモノ、10%のジ、1〜2%のトリ)ペンタエリトリトール、デカン−1,10−ジオール、ペンタデカン−1,15−ジオール、ペンタコサン−1,25−ジオール、2,4−ヘキサジエン−1,6−ジオール、2,4−オクタジエン−1,8−ジオール、ならびにベンジルアルコール、o−、m−およびp−メトキシアルコール、o−、m−およびp−ニトロベンジルアルコール、o−、m−およびp−メチルベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、トリフェニルエチルアルコール、o−、m−およびp−ベンジルベンジルアルコール、α−ナフチル−エチルアルコール、β−ナフチル−エチルアルコール、ナフチレン−1,2−ジエチルアルコール、フェニレン−1,3,5−トリエチルアルコール、およびフェニレン−1,4−ジオクチルアルコールのような芳香族アルコールである。これには、高級ゲルベアルコールを含み、高級ゲルベアルコールは10〜48炭素原子を持つβ炭素分岐の二量体アルコールである。特に重要なのは、単一の炭素数あるは炭素数の混じったもので、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13炭素原子をもつオキソアルコールで、分岐のないもしくは分岐したアルキル鎖あるいはそれらの混合を有し、2−メチルペンタノール、2−エチルヘキサノール、2,4−ジメチルヘプタノール、2−プロピルヘプタノールおよび同等物のようなアルドール化を経て作られる物を含む。
ポリオール(すなわち、ポリヒドリキシ化合物)は、一般式:R(OH)によって表され、ここで、Rはアルキル、アルケニルあるいはアラルキルヒドロカルビル基で、nは少なくとも2であり、ポリオールエステルが本発明に従い処理される所望のエステルのときにはモノアルコールの代わりに用いることができる。ヒドロカルビル基は約2から約20あるいはそれ以上の炭素原子を含み、ヒドロカルビル基はまた、塩素、窒素および/または酸素原子の置換を含んでもよい。ポリヒドロキシ化合物は、通常約2から約10のヒドロキシ基を、より好ましくは約2から約6のヒドロキシ基を含む。
ポリヒドロキシ化合物は1つ以上のオキシアルキレン基を有し、よって、ポリヒドロキシ化合物はポリエーテルポリオールのような化合物を含む。カルボン酸エステルを形成するのに使用されるポリヒドリキシ化合物に含まれる炭素原子の数およびヒドロキシ基の数は、広い範囲に変化できる。また、ヒドロキシ基の全てが必ずしもエステル化される必要はない。自由ヒドロキシ基を含むエステルを、出発原料として用いられるポリヒドロキシ化合物のヒドロキシ基を部分的にエステル化するだけで、生成することができる。
ポリオールとしては、次のアルコールが特に有用である。ネオペンチルグリコール、2,2−ジメチオールブタン、トリメチオールエタン、トリメチオールプロパン、トリメチオールブタン、モノペンタエリトリトール、工業銘柄のペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびポリアルキレングリコール(たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、等およびエチレングリコールとプロピレングリコールの重合混合のようなそれらの化合物)。
本発明は、ポリオールと余剰な脂肪酸から形成されるネオポリオールエステルのような、ポリオールエステルを精製するのにも有用である。ポルオールあるいはポリオール混合は、工業銘柄のペンタエリトリトール(PE)、トリメチロールプロパン(TMP)やネオペンチルグリコールを含むのが好適であり、それぞれはモノペンタエリトリトールおよび/またはトリメチロールプロパンあるいは他のネオポリオールと混ぜることができる。本発明にしたがって処理されるポリオールエステルを生成するのにポリオールと共に用いられるのに好適な酸成分は、5〜10の炭素原子を持つ直鎖酸および/または5〜18の炭素原子、好ましくは5〜9の炭素原子を持つ分岐鎖酸の化合物であり、2−メチルブタン酸、3−メチルブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、2,4−ジメチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、2−プロピルヘプタン酸あるいはこれらの混合を含む。一般的に、酸は、モノカルボン酸である。適切な直鎖酸には、バレリアン酸(C5)、エナント酸(C7)、カプリル酸(C8)、ペラルゴン酸(C9)、およびカプリン酸(C10)を含むが、これらには限定されない。
分岐鎖酸は、たとえばiso−C5、iso−C7、iso−C8あるいはiso−C9である。好ましくは、使用される分岐鎖酸は、iso−C7の酸である。他の好ましい分岐鎖酸は、ジイソブチレンのオキソネーション/酸化に由来する3,5,5−トリメチルヘキサン酸である。さらに別の好ましい分岐鎖酸は、混合へプテンのオキソネーション/酸化に由来するオキソオクタン酸である。
エステルを形成するのに用いる反応において、反応物の1つは、典型的には過剰に使用され、他の反応物を限定反応物にする。このことにより、酸もしくは無水物またはそれらの混合物、あるいはアルコールもしくはポリオールまたはそれらの混合物が過剰に存在することになり、たとえば使用される限定反応物の量の約10〜50モル%以上過剰となる。過剰反応物は、反応を完了させるのに使用される。原料反応物の化合物は製品エステルが所望の化合物となるように調整することができる。反応が完了した後で、過剰反応物はストリッピングや追加の仕上げなどの適切な方法で除去される。中和および/または加水分解の前に、特に過剰に用いられるのがアルコールのときには、ほとんどの過剰反応物を除去するのが好適であることが分かった。このことは、過剰反応物の原エステルへの還流を中断している間に、典型的にはボイルオフおよび/またはスチームストリッピングにより行われる。この段階で、過剰反応物の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも70%そして最も好ましくは少なくとも90%で95%までを除去するのが好ましい。このことにより反応がさらに完了し、原エステルの酸度が更に減じることが分かった。
エステルの製造法の好適なプロセスは米国特許第5324853号に開示されており、酸あるいは無水物とモノアルコールあるいはポリハイドロキシ化合物との触媒エステル化のプロセスが開示されている。このプロセスは、反応混合物を形成するのに酸もしくは無水物またはモノアルコールもしくはポリハイドロキシ化合物のいずれかを反応容器に加える工程と、その反応混合物を約150〜280℃、好ましくは約180〜260℃に加熱する工程とを備える。圧力は、その混合物が充分に沸騰するレベルに維持され、よって、反応容器の回転率が少なくとも約2.5〜20となるように反応容器の反応混合物を連続的に混合しながら、エステル化を生じさせまた水分を蒸気として除去する。前述では、反応容器の回転率は、1分当たりに内部再循環する反応混合物の体積を反応混合物の体積で除したものと定義される。この方法では、変換率が高められ、可塑剤エステルに対し、99%超の限定反応物の変換が達成され、ポリオールエステルに対し、98%超の限定反応物の変換が達成される。触媒を含めて、反応物が安定である限り、反応物をたとえば350℃までのより高い温度で加熱することも、さらに可能である。
米国特許第5324853号のプロセスでは任意選択として、反応物を加熱する工程で、反応容器の頂部から出る蒸気から還流する水の量を減ずるのに、還流乾燥あるいは非還流乾燥法を用いることができる。還流乾燥法が好ましい。
米国特許第5324853号の非還流乾燥法は、次の工程を含む。反応容器から蒸気をコンデンサ(凝縮器)に通す工程と凝縮物をオーバーヘッド収集ドラムに通す工程であって、過剰反応物と水を2つの液相に分離する工程と;水から過剰反応物を分離する工程と;ヒーターを通ってフラッシュドラムに過剰反応物を再循環する工程であって、フラッシュドラムで水分の多い蒸気を生成し、その蒸気を、頂部から抜いて、反応容器からの蒸気および反応容器に再循環される過剰反応物の多い液体と混合する、工程と;任意選択で、水を加水分解工程に再循環する工程と;また任意選択で、オーバーヘッド収集ドラムからの蒸気を水の凝縮のために受け入れる工程と;所望により蒸気からの凝縮物を加水分解工程に再循環する工程。
還流乾燥法はさらに、反応容器からの蒸気を充填塔もしくはトレイ付塔、好ましくは充填塔すなわち充填タワーに通す工程であって、蒸気に含まれる過剰反応物の一部を凝縮し反応容器に再循環し、残りの蒸気を頂部から抜く工程と;その残りの蒸気をコンデンサを通ってオーバーヘッド収集ドラムへ通す工程であって、過剰反応物と水を2つの液相に分離する工程と;過剰反応物を水から分離する工程と;過剰反応物を充填塔に再循環し、過剰反応物を、好ましくは対向流で、反応容器からの蒸気と接触させる工程と;また任意選択で、オーバーヘッド収集ドラムからの蒸気を、含まれる水分の凝縮用に取り込む工程と;所望により、蒸気からの凝縮物を加水分解工程に再循環する工程とを含む。オーバーヘッド収集ドラムからの水分を加水分解工程に再循環することは、それらが、蟻酸および/またはフタル酸のような、エステルを妨げる酸を含む場合には、好ましくはない。
本発明は、このようにして生成されるエステルの中和と精製の改良技術を提供する。
本発明の中和と好適な第1のろ過工程に加えて、次の工程を用いることができる。原エステル生成化合物に、アルミナ、シリカゲル、活性炭、粘土および/またはろ過助剤のような吸着剤を加える工程と;エステル化プロセスで用いられた過剰反応物(すなわち、酸またはアルコール)の大部分を含むエステル化合物から固体をろ過する工程と;たとえば真空でのスチームストリッピングによりエステル化合物から過剰反応物を除去する工程で、過剰反応物を反応容器に再循環する工程と;第2ろ過の方法によりストリッピングされたエステルから残留している固体を除去する工程。
本発明にしたがって中和されたエステルをろ過した後に、ストリッピングにより、および/または同一出願人の継続中のPCT国際特許出願WO2005−021482号に記載されているような、ろ過助剤および吸着剤を用いるさらなるろ過により、さらに精製工程に付されてもよい。この第2のろ過の目的は、ライトエンドとにおい形成物の含有を少なくしたままで電気的性質を改良することである。これらの技術を用いるとき、ろ過助剤および吸着剤の両方として用いられる材料には、アタパルジャイトもしくはフラー土、モンモリロナイト、カオリナイトおよび白雲母(muskovite)鉱物を含有する、漂白土、ベントナイトあるいは活性粘土が含まれる。使用できる吸着剤の例としては、活性アルミナ、活性カオリン、活性炭、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、および酸化ケイ素がある。これらは、単独であるいは組み合わせて使用してもよい。私用される吸着剤の量は、原エステルの重量を基準として、0.01重量%と1重量%の間が好ましい。いくつかの重要は粘土の性質には、鉱物学的なもの、粒径分布、表面酸度および熱活性化度が含まれる。熱活性化は、表面積、細孔容積、水分含有率、および陽イオン交換容量を決定する。使用される製品の例には、エンゲルハードアッタソルブ(Engelhard Attasorb:登録商標)アタパルジャイト、米国オイルドライ社(Oil−Dry Corporation)のピュアフロー(Pure−Flo:登録商標)B80ナチュラル(Natural)およびピュアフローM85/20、ベンサン(Bensan)PER300、ならびにフリートン(frieTON)、フリービーイー(FrieBE)およびフリーフード(FrieFOOD)がある。特に、ドイツのフリードレンデルトン工業会社(Friedlander Ton−Industriegessellshaft mbH)によりフリードランド(Friedland)粘土から製造されるフリービーイーが好ましい。べつの好適な製品は、テラナ(TERRANA:登録商標)510という名称のシュドケミエ社(Sud−Chemie AG)から入手可能で、カルシウムベントナイトを活性化して製造された天然漂白土である。
この追加の精製プロセスが用いられる場合、精製される可塑剤エステルの重量を基準に0.01〜5重量%の吸着剤あるいは吸着剤とろ過助剤の混合物を用いるのが好ましい。より好ましくは、0.02から2重量%、最も好ましくは0.03から1重量%、特に0.04から0.3重量%用いる。ろ過助剤あるいは活性炭を単独で用いることもできるが、70から30重量部のろ過助剤と30から70重量部の吸着剤を含む混合物を用いることが好ましい。より好ましくは、混合物は、60〜40重量部のろ過助剤と40〜60重量部の吸着剤を含む。最も好ましい混合物は、40から50部の吸着剤を含み、残りは粘土である。コストの理由から、吸着剤の含有率は低いことが望ましいが、吸着剤のレベルが減少すると、その硬化も減少する。したがって少なくとも混合物の30重量部を用いることが望ましい。しかし、ろ過助剤自身が特に効果的であるときには、活性炭は混合物の10重量%の低さまでに減ずることができる。混合物を用いることには、可塑剤の紫外線光に対する安定性が向上するという付加的利点もあることが分かり、光線特に太陽光線に大いに曝される予定の塩化ポリビニル品で用いられる可塑剤には特に重要である。ライトエンドとにおい形成物の含有率が低いことも、宇宙カプセル、航空機の客室やトラックの運転席、自動車の内装あるいは温室などの閉鎖された空間で製品が用いられるときには、重要である。混合物が用いられるときには、ろ過助剤と吸着剤は可塑剤エステルに別々に加えてもよいが、混合物として加えると精製容器で1つの入口位置を使用することが可能なので、混合物として加えることが好ましい。
吸着剤および/またはろ過助剤は、バッチ式に加えてもよいが、かくはん槽を流れるエステルへ連続的に加えることが好ましく、かくはん槽はオプションとして混合を増進するバッフルを備える。一実施の形態では、この槽は、中和ドラムであることが好ましい。
本発明の技術を用いることで、産業規模でのプロセスで高純度のエステルが得られることが分かり、そのプロセスでは、原エステルはまず中和ドラムへ送られそこを通り、そこで原エステルの酸度の理論値より少ない量の炭酸ナトリウム水溶液と接触する。この水溶液は、少なくとも7重量%、最高で13重量%、より好ましくは少なくとも9重量%、最高で11重量%、最も好ましくは少なくとも9.3重量%、最高で10.7重量%の炭酸ナトリウムを、加えられた加水分解用水と共に含むことが好ましく、その水は別に加えられるのが好ましく、原エステルの重量を基準として0.8から1.4重量%の水分を提供する。好ましくは、その加水分解用水は、原エステルの流れとの流量比を制御して加えられる。炭酸ナトリウム水溶液の流れは、たとえばプランジャポンプのストローク調整により、別に制御されるのが好ましいが、加水分解用水が原エステルに接触する前に加水分解用水の流れに加えられるのが好ましい。80%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%、最も好ましくは99%のエステルが、少なくとも20分の中和ドラムの滞留時間を有することが好ましい。中和に続き、好ましくはフラッシングにより水分が除去され、材料は、好ましくはポリフッ化ビニリデンのような非金属ろ過材でろ過される。適した非金属ろ過材は一般的に重合物であり、たとえば、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン、PET、PTT、PBTあるいはPENなどのポリエステル、テフロン(登録商標)PTFE、テフロン(登録商標)FEP、PCTFE、EFTEあるいはPFAなどのフルオロカーボンポリマー、PA4、PA6、PA66あるいはPA11などのナイロン、デルリン(Delrin:登録商標)POMなどのポリアセタール、PPO、PPS、PES、PSOなどのポリマー、あるいはポリカーボネートなどである。PVCやポリスチレンはあまり適せず、ポリエチレンやポリプロピレンもあまり好ましくはない。
この組み合わせ条件を使用することで、エステルの大規模な連続あるいは半連続精製を可能とし、たとえばナトリウムのようなアルカリ金属のレベルが充分に低く、ポリイソシアネート用の可塑剤として有効なエステルの製造を可能とすることが分かった。イソシアネート可塑剤の大規模製造装置は典型的には少なくとも1トンの反応物のバッチサイズを用い、可塑剤エステル用では典型的には15トン以上の反応物のバッチサイズである。連続大規模運転では、時間当たり1トン以上の処理量であり、典型的には時間当たり4トン以上である。
本発明の好適な実施の形態では、プロセスにはフラッシュ工程が含まれ、中和ドラムとフィルターの間で自由水相をフラッシングする。自由水の除去は、フィルターでの圧力低下の増加率の減少に重要である。水レベルは500重量ppm以下まで減じられることが好ましい。フラッシュ工程は、未反応アルコールの残りあるいは一部をも除去することができ、未反応アルコールはエステル化反応に再循環することができる。フラッシュ工程は、フラッシュドラムで、任意選択で真空にて行われる。このフラッシュ工程を行うのに適した真空圧は、5から100kPaで、たとえば5〜60kPaで、5〜50あるいは6〜30、好ましくは6から10kPaのような圧力である。任意選択で、フラッシュ工程は、蒸気や窒素のようなストリッピング蒸気を用いるストリッピングで置き換えられ、あるいは補足される。このストリッピングは、たとえばストリッピング塔にて、上記と同様な真空条件にて行うことができ、エステルはストリッピング塔にオプションで注入される。あるいは、フラッシュは、ストリッピング塔の上流で行われてもよく、この場合にはフラッシュとストリッピングからの蒸気相は一緒にされ、一緒に凝縮されることもできる。このようなストリッピング塔は、トレイおよび/または構造充填物のようなインターナルを備えてもよい。フラッシングおよび/またはストリッピングの代替は、水除去用にふき取り膜式蒸発器(wiped−film evaporator)の使用である。
蒸気として水分を除去する代わりに、別の液相として分離し、この場合には、水分は多量の塩を、たとえばジエステルが生成される場合にはモノエステルを、あるいはpHによってはたとえばモノエステルのような等価酸を、含むこともある。モノエステルあるいはその塩を含むこの廃棄水を、熱加水分解処理工程に送ることが好ましく、オプションとしてその後、モノエステル(の塩)の加水分解から遊離したアルコールの回収を行う。モノエステルあるいはその塩の加水分解とアルコールの回収は、この廃棄水の下流のそして廃棄前の生物的酸化装置への要求量も減ずる。
本発明のさらなる好適化では、中和容器は1つ以上のバッフルおよび/または機械式かくはん機を備えた縦型ドラムで、混合を増進する。バッフルは水平で、容器を区切るのが好ましく、さらに好ましくは、各区切られた空間は、かくはん機あるいは機械式混合装置を備える。原エステルを容器の頂部に注入するのが好ましく、アルカリ金属塩、好ましくはソーダ灰、と水とを原エステルの流れに、原エステルの流れが容器に入る少し前に注入するのが好ましい。容器は、100℃から140℃、より好ましくは110〜130℃、最も好ましくは120〜125℃の範囲の温度であるのが好ましく、容器の圧力は、水が蒸発するのを防ぐのに充分な圧力であるのがよい。典型的な圧力は、4から10barg、好ましくは5〜6ないし7barg、より好ましくは5.5〜5.8bargの間である。使用されるアルカリ金属塩、たとえば炭酸ナトリウムの量は、原エステルの酸度に関して理論量より少ないのがよい。好ましい量は、エステルのタイプ、原エステルの流速、中和ドラムの温度およびエステルのドラムでの滞留時間により変わる。しかし、アルカリ金属塩(ソーダ灰)を中和に必要とされる以上に使わないことは、このことがエステル中の残留アルカリ金属(ナトリウム)や塩基につながり、精製されたエステルのかすみ(ヘイズ)につながるので、重要である。
処理の間に存在した方がよい水分量は、実用上加えられた量であるが、原エステルの重量を基準として0.7から1.4重量%である。好適な水分量は、エステルの性質および使用される触媒の濃度とタイプにより変わる。加水分解ドラムへの原エステルの全供給量に関連して、また重量%で表して、加水分解用水の好ましいまたより好ましい量は、表1に示した通りである。それらはまた、使用される触媒濃度によっても変わる。各グレードについて、数値は使用されるテトライソオクチルチタネートの2レベルに対して与えられ、そのレベルはエステル化反応で使用された無水フタル酸の量に関してチタンの重量%で表す。処理量が減少したときには、加水分解用水のパーセントも、僅かに下方に修正する。触媒はフタル酸エステルの製造で重要なコスト要素であるので、処理量が減少したときに触媒濃度を減じ、触媒寿命を長くすることには関心がある。触媒濃度が低いと、触媒の加水分解に必要な水の量も少なくなる。これらの調整は全てフィルターでの圧力低下の構築をなだらかに、遅くするのに寄与する。
Figure 2008542230
表1の触媒濃度の全ては、反応器に入れられる無水フタル酸のチタンの重量%で示される。水分は、原エステルの重量%で示される。たとえばコリオリ流量計のような適切に精確な計測器を用いて、0.01%以下の精度になるまで厳密に制御することが好ましい。表1に示された範囲内での変動が、原エステルの酸度の測定結果、ソーダ灰の濃度の測定結果、特定のバッチでの実際の触媒の注入量、フィルターの履歴や運転時間、要求処理量および経験に基づき、適用される。
少数の異なった製品グレードだけが、あるいは単一の製品グレードだけが同じ装置で大量に製造されるときには、完全連続プロセスがより適している。全工程をバッチ式に実行するプロセスは、たとえば1日あたり最大400トンのエステルのような、比較的小容量により適している。たとえば1日あたり少なくとも500トンのエステルであるが、多くの異なる製品品質が製造される、より大きな容量に対しては、連続モードで1つあるいは2つの処理および精製装置と組み合わされた、並列の複数のバッチ反応器が、より適しているであろう。
このような半連続プロセスでの、好ましいグレード変更処理を以下に説明する。あるグレードから別のグレードに切り替える前に、中間ストーレッジドラムおよびタンクの液面を最少運転レベルに下げる。グレード変更の最初の工程は、アルコール供給システムでのアルコール供給グレードの変更である。反応器(単数、複数)では、新しいグレードのバッチが準備される。完了したら、このバッチは、ほとんど空のダンプドラムへと液抜きされ、通常の流速で次の加水分解段階へと送られる。この方法で、グレードの二次汚染を最少化する栓流挙動が得られる。これの次に、新しいグレードと新しい運転条件での処理工程に切り替える。最後に、新グレードの材料の既知量が設備の連続処理部分を通過した後に、製品ランダウンタンクを切り替える。この量は、既知の機器の維持量に基づき、GC分析と併用されるサンプリングを加味し、製品ランダウンタンクの切り替えの最適な瞬間を、たとえばオンライン密度計測により監視することができる。前のグレードから次のグレードへの密度の移行により、2つの継続するグレード間の明確な区別が可能となる。
不必要なろ過抵抗を回避するために、ろ過媒体が非金属で、たとえばポリマーの織布あるいは不織布であることが望ましいことも分かった。好ましい運転では、ろ過媒体は、ポリフッ化ビニリデンの袋あるいは筒で覆われたステンレス鋼のチューブあるいはろうそく形の芯を用いたDrM(登録商標)フィルターのような、ポリフッ化ビニリデンである。DrMに類似の多くのフィルターが知られ、市場で入手可能である。そのようなフィルターが本発明の条件と一緒に使用されると、容易に取り扱うことができるフィルターケーキが生成して、許容できる速さで優れたろ過を行うことができる。フィルターから取り除く前に、フィルターケーキを小さくすることが好ましく、窒素のような不活性ガスでフィルターケーキを圧縮し乾燥する。このことは、フィルターケーキの取り扱いをさらに改善し、燃焼や、たとえばポリ塩化ビニル化合物や製品で充填材として再利用することなどにより廃棄を容易にすることが分かった。このフィルターケーキを小さくし乾燥することにより、エステルのロスを低減し、また、廃棄され空気に曝された後にフィルターケーキが過熱し、煙を出し始めるリスクを低減する。フィルターケーキを小さくすることは、空気のような酸素を含有するガスで行わないことが好ましく、なぜならば、そうするとフィルターケーキを廃棄した後にフィルター内および/またはケーキボックス内で、自然発火により、火災を発生するリスクを生じうる。本発明の技術を使用することの別の利点は、エステルの性質により、いつフィルターを使用停止するあるいは切り替える必要があるかを精確に予測できることで、フィルター交換を自動的にすることができる。理想的には、フィルターは、フィルター装置で収集された固体の等価量を表す、ある累積処理量後に、使用停止される。フィルター装置の圧力低下を連続的に監視し、経験から定めた所定値を圧力低下が上回ったときにフィルターを使用中止とすることは好ましい。第3の規準として、各フィルター運転でのある流れの時間を超過しないことが理想的である。これらの規準は、フィルター装置に過剰な固体が、および/または、粘度が高すぎてろ過布あるいは装置に強く固着しすぎる高密度のフィルターケーキが蓄積するのを防ぐために、適用される。
通常のフィルター使用停止手順は、次の順序からなる。フィルターを通る製品流れの送り込みを停止し、液体を容器から抜き、窒素で置換する。次に、フィルターを通して窒素を汚れた側からきれいな側に押し込む。このことにより、フィルターケーキを圧縮し、液体をさらに押出し、フィルターケーキを乾燥する。残留する液体は、その後、容器から液抜きされる。その後、フィルター容器を開ける。次に、フィルター装置のきれいな側から窒素圧が掛けられる。このことにより、フィルター布を膨らませ、フィルターケーキを拡張し、フィルターケーキを小片へとバラバラにして、開かれたフィルター装置の下方に備えられた収集ビンに、理想的には塵として、収集する。
フィルター装置にあまりに沢山の固体材料が収集されると、板やろうそく形のもののような、個々のフィルター要素間にフィルターケーキが拡張してバラバラになるための充分な蒸気用空間が残されない。この場合には、フィルター装置を、高温の凝縮液のような適切な液体で洗浄する必要があり、化学廃棄物として処理されるスラリとするか、あるいは、フィルター装置を開放し分解して、フィルターケーキを機械的に、必要ならハンマーでたたいて取り除く必要がある。分解するには、ヘッダーおよび他のインターナルを除去することが含まれ、フィルター部あるいはろうそく形のものから、必要なら一つずつ、持ち出す。通常のフィルターの運転に対する大きな余分な負担は、本発明による運転に対する顕著な動機となる。
多くのタイプのフィルター装置では、本格的運転に入る前に、ろ過助剤および/または吸着剤のプレコートが設けられるのが好ましい。このために、典型的にはある量のろ過された製品がプレコート容器に持ち込まれ、適当な量のプレコート材と混合される。その後、大半のプレコート材が堆積してプレコート層がフィルター上に作られるまで、この化合物を、新規のあるいは新たに洗浄されたフィルター装置に循環する。このプレコートの残りの液は、少量の苛性アルカリおよび/または活性炭をなおも含有している。このプレコートの残りの液を反応器流出液に、好ましくは、その特定の製品グレードの製造工程での先行反応器バッチの一つの反応器流出液に、また好ましくは、過剰反応物のほとんどを蒸発させた後の、しかしスチームストリッピングを行って残留過剰反応物や最後の微量な水分を除去する前の反応器流出液に、再循環することは好都合であることが分かった。また、含有されたアルカリ度が、更なる処理の間の酸触媒エステル加水分解を防ぐが、それでもそれ自身でエステル加水分解を生ずるほどには強くないことが分かった。この実施の形態では、最終製品における酸度の仕様は、比較的容易に維持される。
貯蔵中に、特に寒冷気候で、あるいは、C11や特にC13フタル酸などの分子量の大きな可塑剤に要求されるように、貯蔵中に加熱が必要な場合には、可塑剤のチタン残留物が可塑剤に色付けをすることが分かった。米国特許第5324853号の実施例5で製造されたフタル酸エステルは、1ppmより低いチタンレベルを含む。精製プロセスのパラメータについては、本書で前述した。また、フランス特許出願公開第2370026号は、触媒としてテトラアルキルチタネートを用いる可塑剤エステルの製造プロセスを開示している。実施例1に例示されたプロセスでは、原エステルに対して1重量%の量の水で触媒を加水分解する。中和のためにアルカリ金属を用いることは含まれていない。ろ過に関して、フランス特許出願公開第2370026号の実施例1は、回転ドラムフィルターを使用し、接触時間が非常に短いことを特徴としている。ろ過されたエステルはもう触媒を含まないと記載されているが、記載のプロセスではフランス特許出願公開第2370026号の製品エステルは0.01重量ppmよりかなり高い量の残留チタンを含むことが予想される。また、米国特許第5324853号の製品でも、そのような高いレベルの残留チタンを含むことが予期される。
典型的には、フェノール系酸化防止剤のような酸化防止剤が、貯蔵されて、特にワイヤおよびケーブル製品のような最終用途で用いられる可塑剤エステルに含まれる。可塑剤がチタン残留物を含有する場合には、酸化防止剤があっても色づけが生ずることが分かった。これは、チタンと酸化防止剤との相互作用によるものと考えられる。
可塑剤の熱安定性は大きく影響されないが、加熱された可塑剤の変色はPVCの化合およびケーブル産業に問題を生じ、特に白色のあるいは透明の化合物を作る場合に問題を生ずる。
本発明の技術は、可塑剤中のチタンレベルが、上記の色づけを生ずるレベル未満にまで減少する方法を提供することが見出された。エステル製品中のチタンが0.01重量ppm未満のチタンレベルを提供することにより、酸化防止剤が存在するときでも色づけは顕著に低減しあるいは生じなくなることが分かった。
よって、更なる実施の形態で、本発明は、貯蔵中安定な可塑剤組成を提供し、貯蔵中安定な可塑剤組成は、C〜C13フタル酸エステルを含み、チタン触媒エステル化により調整され、0.01重量ppm未満のチタンを含有し0.1〜2.0重量%の酸化防止剤を含む。チタン含有率は、典型的にはICP−AES(誘導結合プラズマ原子発光分析)により決定される。酸化防止剤含有率は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により決定するのが都合がよい。ノバパック(Nova−Pak)C18 60 オングストローム 4 マイクロメータ(3.9×150mm)カラムを備えたウォーター(Waters)2695分離モジュールと光ダイオードアレイ検出器(Photodiode Array Detector)を用いるのが好ましい。測定波長として278nmを用いるのが好ましく、ほとんどの代表的酸化防止剤が都合のよい測定値を提示する。移動相および操作手順を、分析される酸化防止剤の特性に合わせる。手順として、均一濃度測定あるいは勾配濃度測定のいずれをも用いることができる。多くの代表的酸化防止剤について、1ml/分の流速の勾配濃度測定を用い、移動相としては、測定中間部分の12.5分間は100%メタノールで分けられたところの測定開始の最初の2.5分間と測定終了の最後の3分間は80/20あるいは90/10体積%のメタノール/水化合物を用いるのが好ましい。均一濃度測定を行うときには、全測定にわたり2ml/分の流速で、移動相として100%メタノールで測定するのが好ましい。定量化は、別に準備され分析された外部標準を参照して行うのが、都合がよい。
チタン触媒エステル化により調整された可塑剤は、典型的には、可塑剤ジエステルの出発原料アルコールからの分子とエステル化した一方の側と、使用されたチタンアルコラート触媒からの分子とエステル化した他方の側とに少量の二酸の混合エステルを含有する。多くの場合、触媒からのアルコールは炭素数で2以上異なっており、普通は炭素原子が少ないが多いときもあり、よって、可塑剤の出発原料アルコールより顕著に小さい(大きい)分子量を有する。したがって、混合エステルも典型的には、主可塑剤エステルより顕著に小さい(大きい)分子量である。この混合エステルは、標準可塑剤沸点GCスペクトルで別のピーク(単数)あるいはピーク(複数)の組として明確に現れ、通常は、メインの可塑剤のピーク(単数)あるいはピーク(複数)の組の肩部の前あるいは肩部に、そのライトエンド側に、あるいはそのヘビーエンド側にあるいはメインのエステルのピーク(単数)あるいはピーク(複数)のヘビーエンド側の肩部に、現れるであろう。代表的混合エステルは、イソプロパノール、ノーマルあるいはイソブタノール、ノーマルおよび/またはイソオクタノールあるいは2−エチル−ヘキサノールとの混合エステルである。これらの混合エステルの代表的な濃度は、50〜2500重量ppmで、好ましくは100〜2000重量ppmで、より好ましくは200〜1500重量ppmで、最も好ましくは300〜1200重量ppmである。1000ppmを超える混合エステルレベルは、たとえばC10フタル酸のC10/C混合エステルのように、可塑剤の光散乱膜(LSF)あるいは曇り挙動およびそのための製品の曇り挙動を生ずるので、あまり好ましくない。
0.1〜1.5重量%の、より好ましくは0.2〜0.75重量%の酸化防止剤を用いるのが好ましく、さらに酸化防止剤はフェノール系酸化防止剤であるのが好ましい。好ましい酸化防止剤を例示すると、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエンすなわち「ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)」、「ブチル化ヒドロキシエチルベンゼン(BHEB)」などの化合物、あるいは次の化合物である。ビスフェノール−A(BPA)、ジフェニロールプロパンもしくは2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン;トパノール(Topanol)CA(TCA、あるいは、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン);イルガノックス(Irganox:登録商標)1010(テトラキス−(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)メタン);イルガノックス(登録商標)1076(オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート);イルガノックス(登録商標)1135(ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C7−C9分岐アルキルエステル);イルガノックス(登録商標)1141(2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)−フェノール);トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート;トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート;および1,3,5−[トリス(パラ−4−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルベンジル]2,4,6−トリメチルベンゼン。
特に同じ機械で多くのグレードのエステルが製造されるときには、最終エステルにだけ最終製品タンクへの経路中にあるいは経路上で酸化防止剤を加えることが好ましく、その後に最終製品タンクで均質化処理をするのが好ましい。酸化防止剤は、最終製品タンクへの流れから抽出した同じ最終製品の小体積中に溶解するのが好ましい。この手順により、異なる製品グレード間での二次汚染を防止できる。
本発明を、以下の実施例を参照して、説明する。
ここでは、本発明による改良を用いない運転を説明する。下記の全データが、表1に記載の全グレードに適用される。
Figure 2008542230
第1のろ過操作について、下記のパラメータを適用する。
Figure 2008542230
この実施例により製造された最終可塑剤製品は、3〜5ppmのナトリウムを含み、0.01〜0.02mgKOH/gの製品酸度を有していた。この製品は、イソシアネートモノマーと混合されると、早期重合を起こした。高いナトリウム濃度はまた、室温に冷却し充分に時間が経つと、すなわち数日後には、曇りとして見えた。加水分解/中和工程に続く1番目のフィルターの運転寿命は、フィルター装置の1mのろ過面積当たり、2〜2.5トンの原エステルのオーダーであった。
ここでは、本発明による改良がなされた後の運転を説明する。下記の全データが、表1に記載の全グレードに適用される。
Figure 2008542230
第1のろ過操作について、下記のパラメータを適用する。
Figure 2008542230
この実施例による最終可塑剤製品は、0.2ppm未満のナトリウムを含み、0.03〜0.05mgKOH/gの製品酸度を有していた。この製品は、イソシアネートモノマーと混合されても、早期重合を起こさなかった。加水分解/中和工程に続く1番目のフィルターの運転寿命は、フィルター装置の1mのろ過面積当たり、2〜2.5トンから10トンの処理される原エステルのオーダーに増加した。

Claims (43)

  1. エステル化触媒の存在下で酸もしくは無水物とアルコールとの反応により生成された原エステルを精製するプロセスであって、
    前記原エステルを、アルカリ性のアルカリ金属塩水溶液で処理する工程を備え、
    原エステルの酸度に関して理論量より少ないアルカリ金属塩を用い、
    処理中に存在する水の量が、原エステルの重量を基準に0.9から1.4重量%である;
    プロセス。
  2. エステル化触媒は、チタン触媒である;
    請求項1に記載のプロセス。
  3. 酸あるいは無水物反応物の量に関して最大で0.07重量%のチタンを使用する;
    請求項に記載2のプロセス。
  4. 原エステルの処理が100℃から140℃の範囲の温度で行われる;
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプロセス。
  5. 前記処理が、水分の蒸発を防止するのに充分な加圧状態で行われる;
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプロセス。
  6. 前記圧力が4〜10bargである;
    請求項5に記載のプロセス。
  7. 反応物が過剰に用いられ、前記アルカリ性アルカリ金属塩水溶液での処理の前に、前記過剰反応物の少なくとも50%が前記原エステルから除去される;
    請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のプロセス。
  8. 前記原エステルの前記水溶液による処理に続いて、水が除去される;
    請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のプロセス。
  9. 前記水が除去されて、原エステル中に0.05重量%より多くはない水が残される;
    請求項8に記載のプロセス。
  10. 前記水は、フラッシングにより除去される;
    請求項8または請求項9に記載のプロセス。
  11. 前記処理された原エステルは、ろ過される;
    請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のプロセス。
  12. 前記ろ過の媒体は、非金属である;
    請求項11に記載のプロセス。
  13. 前記原エステルの前記アルカリ性アルカリ金属塩水溶液での処理前、処理中あるいは処理後に、ろ過助剤が前記原エステルに加えられる;
    請求項11または請求項12に記載のプロセス。
  14. 原エステルに対して、最大で0.08重量%のろ過助剤が使用される;
    請求項13に記載のプロセス。
  15. 前記原エステルの前記アルカリ性アルカリ金属塩水溶液での処理前、処理中あるいは処理後に、吸着剤が前記原エステルに加えられる;
    請求項11ないし請求項14のいずれか1項に記載のプロセス。
  16. 原エステルに対して、最大で0.05重量%の吸着剤が使用される;
    請求項15に記載のプロセス。
  17. 前記吸着剤は、酸性ではない活性炭である;
    請求項15または請求項16に記載のプロセス。
  18. 前記処理は、1つ以上のバッフルおよび/または機械式かくはん器を備える中和容器で行われる;
    請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載のプロセス。
  19. 前記中和容器は縦型ドラムを備える;
    請求項18に記載のプロセス。
  20. 前記原エステルは、前記中和容器の頂部に注入される;
    請求項18または請求項19に記載のプロセス。
  21. 前記アルカリ性アルカリ金属塩水溶液は、原エステルが中和容器に入る少し前に、原エステルの流れに注入される;
    請求項18ないし請求項20のいずれか1項に記載のプロセス。
  22. 少なくとも80%のエステルが、中和容器に少なくとも20分の滞留時間を有する;
    請求項18ないし請求項21のいずれか1項に記載のプロセス。
  23. 前記処理されたエステルは、中和容器からフラッシュドラムへと通過し、水分を除去する;
    請求項18ないし請求項22のいずれか1項に記載のプロセス。
  24. 前記フラッシングは2段階で行われる;
    請求項23に記載のプロセス。
  25. 前記フラッシング工程のうち少なくとも1つは、真空状態で行われる;
    請求項23または請求項24に記載のプロセス。
  26. 前記真空フラッシング工程は、5〜100kPaの圧力にて行われる;
    請求項25に記載のプロセス。
  27. 水分が除去されて、原エステル中に500重量ppmより多い水分は残らない;
    請求項23ないし請求項26のいずれか1項に記載のプロセス。
  28. 前記アルカリ金属は、ナトリウムかカリウムである;
    請求項1ないし請求項27のいずれか1項に記載のプロセス。
  29. 前記金属塩は、水酸化物である;
    請求項1ないし請求項28のいずれか1項に記載のプロセス。
  30. 前記水酸化物との前記処理の後に、二酸化炭素が加えられる;
    請求項29に記載のプロセス。
  31. 前記金属塩は、カーボネートまたはバイカーボネートである;
    請求項1ないし請求項28のいずれか1項に記載のプロセス。
  32. 前記原エステルは、炭酸ナトリウムの水溶液で処理される;
    請求項31に記載のプロセス。
  33. 前記水溶液は、7〜13重量%の炭酸ナトリウムを含有する;
    請求項32に記載のプロセス。
  34. 前記エステルは、可塑剤エステルである;
    請求項1ないし請求項33のいずれか1項に記載のプロセス。
  35. 前記可塑剤エステルは、安息香酸エステル、フタル酸エステル、シクロヘキサン酸エステル、シクロヘキサジエンエステルまたはトリメリット酸エステルである;
    請求項34に記載のプロセス。
  36. 前記可塑剤エステルは、4〜15の炭素原子を持つアルコールのエステルである;
    請求項34または請求項35に記載のプロセス。
  37. 前記アルコールが、6〜13の炭素原子を持つ;
    請求項36に記載のプロセス。
  38. 前記精製されたエステルに、酸化防止剤が加えられる;
    請求項1ないし請求項37のいずれか1項に記載のプロセス。
  39. 前記酸化防止剤は、最終製品タンクへの経路中あるいは経路上で最終エステルに加えられる;
    請求項38に記載のプロセス。
  40. 貯蔵中安定な可塑剤化合物であって:
    0.01重量ppm未満のチタンを含有する第1のC〜C13のフタル酸エステルを含み、
    0.1〜2.0重量%の酸化防止剤と、前記可塑剤の前記第1のC〜C13のフタル酸エステルを形成するのに用いたアルコールより、少なくとも2以上多い炭素原子を、あるいは少なくとも2以上少ない炭素原子を持つアルコールから形成された50〜2500重量ppmの第2のフタル酸エステルとを含有する;
    化合物。
  41. 0.2〜0.75重量%の酸化防止剤を含有する;
    請求項40に記載の化合物。
  42. 前記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤である;
    請求項40または請求項41に記載の化合物。
  43. エステル化に続いて、請求項1ないし請求項39のいずれかによる精製プロセスを行う方法により調整された;
    請求項40ないし請求項42のいずれか1項に記載の化合物。
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