JP2016088794A - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バッファー層を形成せずに、貫通転位密度の小さいSiC単結晶を製造する方法を提供する。
【解決手段】内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液を用いてSiC種結晶基板からSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、前記Si−C溶液がSi及びCrを含み、前記種結晶基板中のホウ素密度Bsと前記成長させるSiC単結晶中のホウ素密度Bgとのホウ素密度差Bs−Bgを、1×1017個/cm3以上とすること、前記種結晶基板中のクロム密度Crsと前記成長させるSiC単結晶中のクロム密度Crgとのクロム密度差Crg−Crsを、1×1016個/cm3以上とすること、並びに前記種結晶基板の窒素密度Nsと前記成長させるSiC単結晶の窒素密度Ngとの窒素密度差Ng−Nsを、3.5×1018個/cm3〜5.8×1018個/cm3とすること、を含む、SiC単結晶の製造方法。
【選択図】図4

Description

本開示は、SiC単結晶の製造方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有する。そのため、Si単結晶やGaAs単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高出力、高周波、耐電圧、耐環境性等を実現することが可能であり、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量情報通信用デバイス材料、車載用高温デバイス材料、耐放射線デバイス材料等、といった広い範囲における、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
SiC単結晶の成長法としては、代表的には気相法、アチソン(Acheson)法、及び溶液法が知られている。気相法のうち、例えば昇華法では、成長させた単結晶にマイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通状の欠陥や積層欠陥等の格子欠陥及び結晶多形が生じやすいものの、従来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造されており、成長結晶の欠陥を低減する試みも行われている(特許文献1)。アチソン法では原料として珪石とコークスを使用し電気炉中で加熱するため、原料中の不純物等により結晶性の高い単結晶を得ることは不可能である。
溶液法は、黒鉛坩堝中でSi融液またはSi融液に合金を融解し、その融液中にCを溶解させ、低温部に設置した種結晶基板上にSiC結晶層を析出させて成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ熱平衡に近い状態での結晶成長が行われるため、昇華法よりも低欠陥化が期待できる。このため、最近では、溶液法によるSiC単結晶の製造方法がいくつか提案されており、結晶欠陥が少ないSiC単結晶を得る方法が提案されている(特許文献2)。
特開2006−290635号公報 特開2013−252979号公報
特許文献1及び2に記載の方法によれば、成長結晶中の貫通転位密度をある程度低減することができるものの、種結晶基板と成長結晶との間に濃度傾斜層(バッファー層)を形成する必要があり、貫通転位密度の低減を安定して行うには未だ十分ではない。そのため、バッファー層を形成せずに、貫通転位密度の小さいSiC単結晶を製造する方法が望まれている。
本開示は、内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液を用いてSiC種結晶基板からSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
前記Si−C溶液がSi及びCrを含み、
前記種結晶基板中のホウ素密度Bsと前記成長させるSiC単結晶中のホウ素密度Bgとのホウ素密度差Bs−Bgを、1×1017個/cm3以上とすること、
前記種結晶基板中のクロム密度Crsと前記成長させるSiC単結晶中のクロム密度Crgとのクロム密度差Crg−Crsを、1×1016個/cm3以上とすること、並びに
前記種結晶基板の窒素密度Nsと前記成長させるSiC単結晶の窒素密度Ngとの窒素密度差Ng−Nsを、3.5×1018個/cm3〜5.8×1018個/cm3とすること、
を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、バッファー層を形成せずに、貫通転位密度の小さいSiC単結晶を得ることができる。
図1は、本開示の方法において使用し得る溶液法による単結晶製造装置の断面模式図である。 図2は、実施例で成長させたSiC単結晶の貫通転位の観察写真である。 図3は、比較例で成長させたSiC単結晶の貫通転位の観察写真である。 図4は、種結晶基板及び成長結晶の窒素密度差と成長結晶の貫通転位密度との関係を表すグラフである。
本明細書において、(000−1)面等の表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを「−1」と表記したものである。
溶液法でSiC単結晶を成長させる場合、一般的に、成長結晶には窒素が含有し得る。窒素はSiCの格子定数を変化させるため、種結晶基板と成長結晶との間で窒素密度が異なると格子定数の差が大きくなり、成長結晶に新たな貫通転位が発生する原因となり得る。そのため、従来、種結晶基板と成長結晶との間の窒素密度差を無くすようにしたり、種結晶基板と成長結晶との間に、窒素密度を連続的に変化させるバッファー層を形成して、格子定数の違いによる歪みを緩和することが行われている。
しかしながら、種結晶基板と成長結晶との間の窒素密度を無くすといっても、具体的にどの程度の範囲内に窒素密度差を小さくすればよいのか不明であった。また、溶液法でバッファー層を形成するためには成長途中で窒素ガス等の窒素原料を投入する必要があるが、成長条件の乱れの原因になり得るなど、溶液法で精度良くバッファー層を形成することは容易ではなかった。さらには、バッファー層を形成すると微視的には歪みは低減されるが、種結晶基板と成長結晶との間の窒素密度差は低減されず、種結晶基板と成長結晶との結晶全体に含まれる歪みの総量は低減されないため、貫通転位の安定した低減が難しい。
本発明者は、上記課題に鑑みて、種結晶基板と成長結晶との間にバッファー層を形成する必要がなく、且つ貫通転位密度の小さいSiC単結晶の製造することができる方法について鋭意研究を行い、本開示の方法を見出した。
種結晶基板として昇華法で成長させたSiC単結晶を用い、Si−C溶液としてSi−Cr系溶媒を用いて、溶液法でSiC単結晶を成長させる場合、B及びCrの影響を考慮して、種結晶基板と成長結晶との窒素密度差を所定範囲に制御することが、新たな貫通転位の発生を抑制して、貫通転位密度が低いSiC単結晶を得るために効果的であることが分かった。
本開示の方法は、内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液を用いてSiC種結晶基板からSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、前記Si−C溶液がSi及びCrを含み、前記種結晶基板中のホウ素密度Bsと前記成長させるSiC単結晶中のホウ素密度Bgとのホウ素密度差Bs−Bgを、1×1017個/cm3以上とすること、前記種結晶基板中のクロム密度Crsと前記成長させるSiC単結晶中のクロム密度Crgとのクロム密度差Crg−Crsを、1×1016個/cm3以上とすること、並びに前記種結晶基板の窒素密度Nsと前記成長させるSiC単結晶の窒素密度Ngとの窒素密度差Ng−Nsを、3.5×1018個/cm3〜5.8×1018個/cm3とすること、を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、種結晶基板と成長結晶との間にバッファー層を実質的に形成すること無しに、貫通転位密度が小さいSiC単結晶を成長させることができる。本明細書において、貫通転位には、貫通らせん転位及び貫通刃状転位が含まれる。
また、従来、種結晶基板と成長結晶との間の格子定数差による歪みの影響により、結晶成長厚みが厚いほど貫通転位密度が大きくなりやすかったが、本開示の方法によれば、SiC単結晶を厚く成長させる場合でも貫通転位密度の小さいSiC単結晶を得ることができる。特に、好ましくは1mm厚以上、より好ましくは2mm厚以上、さらに好ましくは3mm厚以上の成長厚みでも、貫通転位密度の小さいSiC単結晶を得ることができる。本開示の方法によれば、厚いSiC単結晶を成長させる際に、バッファー層の形成が不要なので、バッファー層を形成する場合に比べて、成長時間の短縮も可能である。
理論に束縛されるものではないが、種結晶基板に対して成長結晶にCrがより多く含まれ、Bがより少なく含まれると、いずれも、種結晶基板に対して成長結晶の格子定数を大きくする方向に作用する。一方で、種結晶基板に対して成長結晶に窒素がより多く含まれると、種結晶基板に対して成長結晶の格子定数を小さくする方向に作用する。このように、Cr及びBの作用で格子定数が大きくなる分を、Nの作用で格子定数を小さくさせることにより、種結晶基板と成長結晶との間の格子定数の差を小さくなり、貫通転位密度の小さいSiC単結晶を得ることができると考えられる。以下、詳しく説明する。
SiC単結晶中の窒素密度が大きいほど、SiCの格子定数が小さくなる。したがって、種結晶基板の窒素密度に対して成長結晶の窒素密度が大きくなるほど、種結晶基板の格子定数に対して成長結晶の格子定数は小さくなる。
溶液法でSiC単結晶を成長させる場合、一般的に、種結晶基板として昇華法で成長させたSiC単結晶が用いられる。昇華法で成長させたSiC単結晶は、概して窒素及びホウ素を含有し、特に溶液法で成長させたSiC単結晶よりも高いホウ素密度を有し得る。
昇華法で成長させた種結晶基板を用いて溶液法によりSiC単結晶を成長させる場合、種結晶基板のホウ素密度に対して、成長結晶のホウ素密度の方が小さくなり得る。SiC単結晶中のホウ素密度が小さいほど、SiCの格子定数は大きくなる。
昇華法で成長させたSiC単結晶のホウ素密度は、概して1×1017個/cm3〜1×1018個/cm3、大きくても1×1019個/cm3以下である。これに対して、本開示の方法で用いられるSi−C溶液は、不可避不純物以外のホウ素は実質的に含まないため、溶液法で成長させたSiC単結晶のホウ素密度は、相対的に非常に小さく、SIMSの検出下限外、すなわち1×1014個/cm3以下となる。
したがって、種結晶基板中のホウ素密度Bsと成長させるSiC単結晶中のホウ素密度Bgとのホウ素密度差Bs−Bgの下限は、実質的に1×1017個/cm3以上であり、または8×1017個/cm3以上、さらには1×1018個/cm3以上である。Bs−Bgの上限は特に限定されるものではないが、例えば実質的に1×1019個/cm3以下である。
一方で、溶液法でSiC単結晶を成長させる場合、炭素の溶解量を高めるために、Si−C溶液としてSi及びCrを含む溶媒(Si−Cr系溶媒ともいう)が用いられ得る。本明細書において、Si−C溶液とは、Si及びCrを含む融液を溶媒とするCが溶解した溶液をいう。Si−C溶液としてSi−Cr系溶液を用いて溶液法により成長させたSiC単結晶は、クロムを含有し得る。
溶液法により、昇華法で成長させた種結晶基板及びSi−Cr系溶媒を用いてSiC単結晶を成長させる場合、種結晶基板のクロム密度に対して成長結晶のクロム密度の方が大きくなる。SiC単結晶中のクロム密度が大きいほど、SiCの格子定数は大きくなる。したがって、種結晶基板のクロム密度に対して成長結晶のクロム密度が大きくなるほど、種結晶基板の格子定数に対して成長結晶の格子定数は大きくなる。
昇華法で成長させたSiC単結晶のクロム密度は、概して1×1013個/cm3〜1×1014個/cm3あり、溶液法で成長させたSiC単結晶のクロム密度は相対的に非常に大きく、1×1016個/cm3〜5×1017個/cm3、好ましくは6×1016個〜1×1017個/cm3となる。
したがって、種結晶基板中のクロム密度Crsと成長させるSiC単結晶中のクロム密度Crgとのクロム密度差Crg−Crsの下限値は、実質的に1×1016個/cm3以上、または6×1016個/cm3以上、さらには1×1017個/cm3以上である。クロム密度差Crg−Crsの上限値は特に限定されるものではないが、例えば実質的に5×1017個/cm3以下である。
Si−C溶液の組成は、原子組成百分率で、好ましくはSi/Cr=50〜80/20〜50である。Si−C溶液は、ホウ素を実質的に含まない。また、Si−C溶液は、その表面温度が1800〜2200℃であることが好ましい。Si−C溶液の上記組成範囲及び温度範囲において、Cの溶解量の変動を小さくし得る。上記Si−C溶液の組成範囲内で、溶液法で成長させたSiC単結晶のクロム密度はほぼ一定となる。理論に束縛されるものではないが、上記組成範囲内におけるSi−C溶液中のクロムの量は、成長結晶に固溶し得るクロムの固溶上限に対応する量を超えているため、と考えられる。上記Si−C溶液の温度範囲内において、Si−C溶液の温度が高いほど、溶液法で成長させたSiC単結晶のCr密度は大きくなる。
Si−C溶液には、Si及びCr以外に、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成し得る元素Xを加えてもよく、例えば、Mn、Ni、Ce、Co、及びVが挙げられる。これらの元素はSi−C溶液中に添加しても、成長させるSiC単結晶中にはほとんど混入されず格子定数への影響は無視できる。Si−C溶液が、Si及びCr以外に追加の元素Xを含む場合、原子組成百分率でSi/Cr/X=50〜80/20〜40/0〜10の融液を溶媒とするSi−C溶液が、C及びCrの溶解量の変動が少なく好ましい。
種結晶基板中の窒素密度Nsと成長させるSiC単結晶中の窒素密度Ngとの窒素密度差Ng−Nsは、2.0×1018個/cm3より大きく、好ましくは3.5×1018個/cm3以上である。Ng−Nsの下限値を上記範囲にすることにより、B及びCrの格子定数への影響を低減することができる。一方で、Ng−Nsの上限値は、窒素自体のSiC単結晶内への混入による格子歪みの影響を小さくする観点から、6.2×1018個/cm3より小さく、好ましくは5.8×1018個/cm3以下である。したがって、種結晶基板中の窒素密度Nsと成長させるSiC単結晶中の窒素密度Ngとの窒素密度差Ng−Nsは、例えば、3.5×1018個/cm3〜5.8×1018個/cm3にすることができる。
SiC成長結晶の窒素密度は、例えば、結晶成長を行う坩堝内の雰囲気中の窒素分圧を変更することにより調節することができる。
坩堝内の雰囲気中の窒素分圧を高めると、Si−C溶液中への窒素の溶解量が増加し、成長結晶中の窒素密度を高めることができる。結晶成長を行う坩堝内の雰囲気中の窒素分圧は、例えばアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスに所定量の窒素ガスを加えることによって調節し得る。窒素分圧の調節は、例えば、単結晶製造装置内の水冷チャンバーに備えられたガス導入口を通して、所定量のAr、He等の不活性ガスとN2ガスとを導入することによって行うことができる。
坩堝内の雰囲気中の窒素分圧は、使用する種結晶基板の窒素密度、成長結晶の狙いの窒素密度等により変わり得るが、好ましくは5kPa以下、より好ましくは2kPa以下、さらに好ましくは実質的に0kPaに制御する。ただし、0kPaの場合でも、坩堝内の雰囲気中に微量の窒素が含まれるので、SiC成長結晶に窒素が固溶し得る。
坩堝内の雰囲気中の窒素分圧の変更に加えてまたは独立して、Si−C溶液内に窒化物(窒素化合物)を直接添加することによっても、Si−C溶液中の窒素の溶解量を変更して、SiC成長結晶の窒素密度を調節することができる。さらには、Si−C溶液の温度を変更することによっても、Si−C溶液中の窒素の溶解量を変更して、SiC成長結晶の窒素密度を調節することができる。例えば、表面温度が1800〜2200℃の範囲内において、Si−C溶液の温度を高くすることによって、Si−C溶液中への窒素の溶解量を大きくすることができる。
また、雰囲気ガス及び添加窒化物以外に、例えば黒鉛坩堝の細孔内の窒素ガスや断熱材に吸着している窒素ガス等の窒素源があり得るので、これらの窒素源からの窒素の影響を含めて雰囲気中の窒素分圧を調節し、Si−C溶液に溶解させる窒素量を制御することが好ましい。
窒化物としては、SiC成長結晶に不要な不純物を含ませないものであれば任意の窒素化合物を用いることができるが、例えば、窒化クロム、窒化ニッケル、またはそれらの混合物が挙げられる。窒化物の添加量も任意の量にすることができるが、概して添加量はSi−C溶液に対して微量でよく、例えば、窒化物を含むSi−C溶液の全体量を基準とした窒素原子換算量で、0〜0.5at%、または0.02〜0.1at%にすることができる。このような窒化物のSi−C溶液への添加は、溶液法で成長させるSiC単結晶のクロム密度に影響しない。
SiC単結晶中の窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度は、二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて測定することができる。SIMSでは、ArイオンのスパッタリングによってSiC結晶の表面を除去しながら、質量分析によりSiC結晶中の窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度が測定され得る。本明細書に記載される窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度の単位は、個/cm3(原子数/cm3)である。
本開示の方法により得られるSiC単結晶の貫通転位密度は、好ましくは1×105個/cm2未満、より好ましくは3×104個/cm2以下、さらに好ましくは1×103個/cm2以下である。
成長結晶の貫通転位の有無の評価は、(0001)面を露出させるように鏡面研磨して、溶融水酸化カリウム、過酸化ナトリウム等を用いた溶融アルカリエッチングを行って、転位を強調させて、SiC単結晶の表面のエッチピットを顕微鏡観察することによって行われ得る。
本開示の方法においては溶液法が用いられる。SiC単結晶を製造するための溶液法とは、坩堝内において、Si−C溶液の内部から溶液の表面に向けて温度低下する温度勾配を形成することによってSi−C溶液の表面領域を過飽和にして、Si−C溶液に接触させた種結晶基板を基点として、種結晶基板上にSiC単結晶を成長させる方法である。
本方法においては、SiC単結晶の製造に一般に用いられる品質の昇華法で一般的に作成したSiC単結晶を種結晶基板として用いることができる。
このような昇華法で一般的に作成したSiC単結晶には、概して、貫通転位が多く含まれており、例えば1×104〜1×105個/cm2の貫通転位を有し得る。本開示の方法によれば、種結晶基板の貫通転位密度と同等の貫通転位密度を得ることができるので、貫通転位密度の小さい種結晶基板を用いることが好ましい。
昇華法で一般的に作成したSiC単結晶は、例えば4.2×1018個/cm3〜1.5〜1019個/cm3の窒素密度を有し得るが、本開示の方法によれば、種結晶基板の窒素密度に対する成長結晶の窒素密度の差を、所定の範囲内にすればよいのであって、種結晶基板の窒素密度の絶対値は影響しない。本方法に用いられ得る種結晶基板は、例えば板状、円盤状、円柱状、角柱状、円錐台状、または角錐台状等の任意の形状であることができる。
単結晶製造装置への種結晶基板の設置は、種結晶基板の上面を種結晶保持軸に保持させることによって行うことができる。
種結晶基板のSi−C溶液への接触は、種結晶基板を保持した種結晶保持軸をSi−C溶液面に向かって降下させ、種結晶基板の下面をSi−C溶液面に対して並行にしてSi−C溶液に接触させることによって行うことができる。そして、Si−C溶液面に対して種結晶基板を所定の位置に保持して、SiC単結晶を成長させることができる。
種結晶基板の保持位置は、種結晶基板の下面の位置が、Si−C溶液面に一致するか、Si−C溶液面に対して下側にあるか、またはSi−C溶液面に対して上側にあってもよい。種結晶基板の下面をSi−C溶液面に対して上方の位置に保持する場合は、一旦、種結晶基板をSi−C溶液に接触させて種結晶基板の下面にSi−C溶液を接触させてから、所定の位置に引き上げる。種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液面に一致するか、またはSi−C溶液面よりも下側にしてもよいが、多結晶の発生を防止するために、種結晶保持軸にSi−C溶液が接触しないようにすることが好ましい。これらの方法において、結晶成長中に種結晶基板の位置を調節してもよい。
種結晶保持軸はその端面に種結晶基板を保持する黒鉛の軸であることができる。種結晶保持軸は、円柱状、角柱状等の任意の形状であることができ、種結晶の上面の形状と同じ端面形状を有する黒鉛軸を用いてもよい。
Si−C溶液の温度測定は、熱電対、放射温度計等を用いて行うことができる。熱電対に関しては、高温測定及び不純物混入防止の観点から、ジルコニアやマグネシア硝子を被覆したタングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対が好ましい。
図1に、本開示の方法を実施するのに適したSiC単結晶製造装置の一例を示す。図示したSiC単結晶製造装置100は、Si−C溶液24を収容した坩堝10を備え、Si−C溶液の内部から溶液の表面に向けて温度低下する温度勾配を形成し、昇降可能な種結晶保持軸12の先端に保持された種結晶基板14をSi−C溶液24に接触させて、SiC単結晶を成長させることができる。坩堝10及び種結晶保持軸12を回転させることが好ましい。
Si−C溶液24は、原料を坩堝10に投入し、加熱融解させて調製したSi及びCrを含む融液にCを溶解させることによって調製される。坩堝10を、黒鉛坩堝などの炭素質坩堝またはSiC坩堝とすることによって、坩堝10の溶解によりCが融液中に溶解し、Si−C溶液24が形成される。こうすると、Si−C溶液24中に未溶解のCが存在せず、未溶解のCへのSiC単結晶の析出によるSiCの浪費が防止できる。Cの供給は、例えば、炭化水素ガスの吹込み、または固体のC供給源を融液原料と一緒に投入するといった方法を利用してもよく、またはこれらの方法と坩堝の溶解とを組み合わせてもよい。
保温のために、坩堝10の外周は、断熱材18で覆われている。これらが一括して、石英管26内に収容されている。石英管26の外周には、加熱用の高周波コイル22が配置されている。高周波コイル22は、上段コイル22A及び下段コイル22Bから構成されてもよく、上段コイル22A及び下段コイル22Bはそれぞれ独立して制御可能である。
坩堝10、断熱材18、石英管26、及び高周波コイル22は、高温になるので、水冷チャンバーの内部に配置される。水冷チャンバーは、Ar、He、N2等を用いて装置内及び坩堝内の窒素分圧を調整することを可能にするために、ガス導入口とガス排気口とを備える。
Si−C溶液24の温度は、通常、輻射等のためSi−C溶液24の内部よりも表面の温度が低い温度分布となるが、さらに、高周波コイル22の巻数及び間隔、高周波コイル22と坩堝10との高さ方向の位置関係、並びに高周波コイル22の出力を調整することによって、Si−C溶液24に、種結晶基板14が浸漬される溶液上部が低温、溶液下部が高温となるようにSi−C溶液24の表面に垂直方向の所定の温度勾配を形成することができる。例えば、下段コイル22Bの出力よりも上段コイル22Aの出力を小さくして、Si−C溶液24に溶液上部が低温、溶液下部が高温となる所定の温度勾配を形成することができる。
Si−C溶液24中に溶解したCは、拡散及び対流により分散される。種結晶基板14の下面近傍は、コイル22の上段/下段の出力制御、Si−C溶液24の表面からの放熱、及び種結晶保持軸12を介した抜熱によって、Si−C溶液24の下部よりも低温となる温度勾配が形成されている。高温で溶解度の大きい溶液下部に溶け込んだCが、低温で溶解度の低い種結晶基板14の下面付近に到達すると過飽和状態となり、この過飽和度を駆動力として種結晶基板14上にSiC単結晶が成長する。
いくつかの態様において、SiC単結晶の成長前に、SiC種結晶基板14の表面層をSi−C溶液24中に溶解させて除去するメルトバックを行ってもよい。SiC単結晶を成長させる種結晶基板14の表層には、転位等の加工変質層や自然酸化膜などが存在していることがあり、SiC単結晶を成長させる前にこれらを溶解して除去することが、高品質なSiC単結晶を成長させるために効果的である。溶解する厚みは、SiC種結晶基板14の表面の加工状態にもよるが、加工変質層や自然酸化膜を十分に除去するために、およそ5〜50μmが好ましい。
メルトバックは、Si−C溶液24の内部から溶液の表面に向けて温度が増加する温度勾配、すなわち、SiC単結晶成長とは逆方向の温度勾配をSi−C溶液24に形成することにより行うことができる。高周波コイル22の出力を制御することによって上記逆方向の温度勾配を形成することができる。
いくつかの態様において、あらかじめ種結晶基板14を加熱しておいてから種結晶基板14をSi−C溶液24に接触させてもよい。低温の種結晶基板14を高温のSi−C溶液24に接触させると、種結晶基板14に熱ショック転位が発生することがある。種結晶基板14をSi−C溶液24に接触させる前に、種結晶基板14を加熱しておくことが、熱ショック転位を防止し、高品質なSiC単結晶を成長させるために効果的である。種結晶基板14の加熱は種結晶保持軸12ごと加熱して行うことができる。または、この方法に代えて、比較的低温のSi−C溶液24に種結晶基板14を接触させてから、結晶を成長させる温度にSi−C溶液24を加熱してもよい。この場合も、熱ショック転位を防止し、高品質なSiC単結晶を成長させるために効果的である。
(実施例1)
直径が12mm、厚みが700μmの円盤状4H−SiC単結晶であって、下面が(000−1)面を有する昇華法により作製したSiC単結晶を用意して種結晶基板として用いた。種結晶基板は、3×104個/cm2の貫通転位密度、4.2×1018個/cm3の窒素密度、8×1017個/cm3のホウ素密度、及び1×1014個/cm3のクロム密度を有していた。種結晶保持軸12として直径12mmの円柱形状の黒鉛軸を用意し、種結晶基板の上面を、黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。
貫通転位密度の測定は、結晶の(0001)面を鏡面研磨して、510℃の溶融KOH及びNa22を用いてアルカリエッチングし、エッチング面について顕微鏡観察を行い、エッチピットの個数を計測することによって行った。以下の実施例及び比較例で測定した貫通転位密度は、観察された全てのエッチピットに基づいて測定した値である。
窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度の測定は、二次イオン質量分析法(SIMS、Cameca製)により測定した。標準試料として、SiC基板にN、B、及びCrをイオン注入した試料を用いた。
図1に示す単結晶製造装置100を用い、Si−C溶液24を収容する黒鉛坩堝10に、Si/Crを60:40の原子組成比率でSi−C溶液24を形成するための融液原料として仕込み、さらに、ドナー原料の窒化物として、窒化物を含むSi−C溶液の全体量を基準とした窒素原子換算量で、0.02at%のCr2Nの粉末(三津和化学薬品製、3N)を添加した。
単結晶製造装置100の内部を1×10-3Paに真空引きした後、1気圧になるまでアルゴンガスを導入して、単結晶製造装置100の内部の空気をアルゴンで置換し、窒素分圧を0kPaに制御した。高周波コイル22に通電して加熱により黒鉛坩堝10内の原料を融解し、Si/Cr合金の融液を形成した。そして黒鉛坩堝10からSi/Cr合金の融液に、十分な量のCを溶解させて、Si−C溶液24を形成した。
上段コイル22A及び下段コイル22Bの出力を調節して黒鉛坩堝10を加熱し、Si−C溶液24の表面における温度を2000℃に昇温させ、並びに溶液表面から1cmの範囲で溶液内部から溶液表面に向けて温度低下する温度勾配が20℃/cmとなるように制御した。Si−C溶液24の表面の温度測定は放射温度計により行い、Si−C溶液24の温度勾配の測定は、昇降可能な熱電対を用いて行った。
黒鉛軸に接着した種結晶基板14の下面をSi−C溶液24の液面に並行にして、種結晶基板14の下面の位置を、Si−C溶液24の液面に一致する位置に配置して、Si−C溶液24に種結晶基板14の下面を接触させるシードタッチを行い、次いで、Si−C溶液24が濡れ上がって黒鉛軸に接触しないように、黒鉛軸を1.5mm引き上げ、その位置で10時間保持して、結晶を成長させた。
結晶成長の終了後、黒鉛軸を上昇させて、種結晶基板14及び種結晶基板14を基点として成長したSiC結晶を、Si−C溶液24及び黒鉛軸から切り離して回収した。得られた成長結晶は、直径12mm及び厚み3.5mmを有しており、SiC単結晶であり雑晶は含まれていなかった。
得られた成長結晶の貫通転位密度を測定するため、種結晶基板から成長結晶部分を切り出し、成長結晶の(0001)面を鏡面研磨し、510℃の溶融KOH及びNa22を用いてアルカリエッチングした。エッチング面について顕微鏡観察を行った。図2にエッチング面の顕微鏡写真を示す。図2にみられるエッチピットの個数を計測し、成長結晶の貫通転位密度を測定した。
成長結晶の貫通転位密度は3×104個/cm2であり、種結晶基板の貫通転位密度と同等であり、新規の貫通転位発生がないことを確認した。図2にみられるエッチピットは種結晶由来の貫通転位である。
成長結晶中の窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度を、二次イオン質量分析法(SIMS、Cameca製)により、鏡面研磨した成長面について測定した。標準試料として、SiC基板にN、B、及びCrをイオン注入した試料を用いた。成長結晶の窒素密度は1.0×1019個/cm3であり、ホウ素密度は測定下限である1×1014個/cm3以下(以下、1×1014個/cm3とも表示する)であり、クロム密度は1×1017個/cm3であった。
種結晶基板と成長結晶の窒素密度差は5.8×1018/cm3であり、ホウ素密度差及びクロム密度差については測定下限値に基づいて計算して、ホウ素密度差は8×1017個/cm3であり、クロム密度差は1×1017個/cm3であった。
(実施例2)
1×104個/cm2の貫通転位密度及び4.8×1018個/cm3の窒素密度を有すること以外は実施例1と同様の種結晶基板を用い、Si−C溶液24の表面における温度を1900℃にし、窒化物を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で結晶成長させ、成長したSiC結晶を回収した。
実施例1と同様に、成長結晶の貫通転位密度の測定、並びに窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度の測定を行った。得られた成長結晶は直径12mm及び厚み2.6mmを有しており、成長結晶はSiC単結晶であり雑晶は含まれていなかった。また、成長結晶の貫通転位密度は1×104個/cm2であり、種結晶基板の貫通転位密度と同等であった。また、成長結晶の窒素密度は8.3×1018個/cm3であり、ホウ素密度は測定下限である1×1014個/cm3以下であり、クロム密度は6×1017個/cm3であった。
種結晶基板と成長結晶の窒素密度差は3.5×1018/cm3であり、ホウ素密度差及びクロム密度差については測定下限値に基づいて計算して、ホウ素密度差は8×1017個/cm3であり、クロム密度差は6×1017個/cm3であった。
(比較例1)
1×104個/cm2の貫通転位密度及び4.7×1018個/cm3の窒素密度を有すること以外は実施例1と同様の種結晶基板を用い、ドナー原料の窒化物として、窒化物を含むSi−C溶液の全体量を基準とした窒素原子換算量で、0.07at%のCr2Nの粉末(三津和化学薬品製、3N)を添加したこと以外は、実施例1と同様の方法で結晶成長させ、成長したSiC結晶を回収した。
実施例1と同様に、成長結晶の貫通転位密度の測定、並びに窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度の測定を行った。得られた成長結晶は直径12mm及び厚み3.5mmを有しており、成長結晶はSiC単結晶であり雑晶は含まれていなかった。また、成長結晶の貫通転位密度は1×105個/cm2であり、種結晶基板の貫通転位密度に対して一桁大きかった。また、成長結晶の窒素密度は1.4×1019個/cm3であり、ホウ素密度は測定下限の1×1014個/cm3以下であり、クロム密度は1×1017個/cm3であった。
種結晶基板と成長結晶の窒素密度差は9.3×1018/cm3であり、ホウ素密度差及びクロム密度差については測定下限値に基づいて計算して、ホウ素密度差は8×1017個/cm3であり、クロム密度差は1×1017個/cm3であった。
(比較例2)
1×104個/cm2の貫通転位密度及び4.8×1018個/cm3の窒素密度を有すること以外は実施例1と同様の種結晶基板を用い、ドナー原料の窒化物として、窒化物を含むSi−C溶液の全体量を基準とした窒素原子換算量で、0.03at%のCr2Nの粉末(三津和化学薬品製、3N)を添加したこと以外は、実施例1と同様の方法で結晶成長させ、成長したSiC結晶を回収した。
実施例1と同様に、成長結晶の貫通転位密度の測定、並びに窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度の測定を行った。得られた成長結晶は直径12mm及び厚み3.5mmを有しており、成長結晶はSiC単結晶であり雑晶は含まれていなかった。図3にエッチング面の顕微鏡写真を示す。成長結晶の貫通転位密度は1×105個/cm2であり、種結晶基板の貫通転位密度に対して一桁大きかった。また、成長結晶の窒素密度は1.1×1019個/cm3であり、ホウ素密度は測定下限の1×1014個/cm3以下であり、クロム密度は1×1017個/cm3であった。
種結晶基板と成長結晶の窒素密度差は6.2×1018/cm3であり、ホウ素密度差及びクロム密度差については測定下限値に基づいて計算して、ホウ素密度差は8×1017個/cm3であり、クロム密度差は1×1017個/cm3であった。
(比較例3)
1×104個/cm2の貫通転位密度及び1.5×1019個/cm3の窒素密度を有すること以外は実施例1と同様の種結晶基板を用い、Si−C溶液24の表面における温度を1900℃にし、ドナー原料の窒化物として、窒化物を含むSi−C溶液の全体量を基準とした窒素原子換算量で、0.1at%のCr2Nの粉末(三津和化学薬品製、3N)を添加したこと以外は、実施例1と同様の方法で結晶成長させ、成長したSiC結晶を回収した。
実施例1と同様に、成長結晶の貫通転位密度の測定、並びに窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度の測定を行った。得られた成長結晶は直径12mm及び厚み2.6mmを有しており、成長結晶はSiC単結晶であり雑晶は含まれていなかった。また、成長結晶の貫通転位密度は1×105個/cm2であり、種結晶基板の貫通転位密度に対して一桁大きかった。また、成長結晶の窒素密度は1.7×1019個/cm3であり、ホウ素密度は測定下限の1×1014個/cm3以下であり、クロム密度は6×1017個/cm3であった。
種結晶基板と成長結晶の窒素密度差は2.0×1018/cm3であり、ホウ素密度差及びクロム密度差については測定下限値に基づいて計算して、ホウ素密度差は8×1017個/cm3であり、クロム密度差は6×1016個/cm3であった。
種結晶基板の貫通転位密度、窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度を表1に、成長結晶の貫通転位密度、窒素密度、ホウ素密度、及びクロム密度を表2に、種結晶基板と成長結晶との貫通転位密度差、窒素密度差、ホウ素密度差、及びクロム密度差を表3に示す。
図4に、種結晶基板及び成長結晶の窒素密度差と成長結晶の貫通転位密度との関係を表すグラフを示す。
100 単結晶製造装置
10 黒鉛坩堝
12 黒鉛軸
14 種結晶基板
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管

Claims (6)

  1. 内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液を用いてSiC種結晶基板からSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
    前記Si−C溶液がSi及びCrを含み、
    前記種結晶基板中のホウ素密度Bsと前記成長させるSiC単結晶中のホウ素密度Bgとのホウ素密度差Bs−Bgを、1×1017個/cm3以上とすること、
    前記種結晶基板中のクロム密度Crsと前記成長させるSiC単結晶中のクロム密度Crgとのクロム密度差Crg−Crsを、1×1016個/cm3以上とすること、並びに
    前記種結晶基板の窒素密度Nsと前記成長させるSiC単結晶の窒素密度Ngとの窒素密度差Ng−Nsを、3.5×1018個/cm3〜5.8×1018個/cm3とすること、
    を含む、SiC単結晶の製造方法。
  2. 前記ホウ素密度差Bs−Bgを、8×1017個/cm3以上とすることを含む、請求項1に記載のSiC単結晶の製造方法。
  3. 前記クロム密度差Crg−Crsを、6×1016個/cm3以上とすることを含む、請求項1または2に記載のSiC単結晶の製造方法。
  4. 前記種結晶基板が昇華法で成長させたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法。
  5. 前記Si−C溶液が、原子組成百分率で、Si/Cr=50〜80/20〜50の組成を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法。
  6. 前記Si−C溶液が、1800〜2200℃の表面温度を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法。
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