JP2019043818A - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクルージョンを発生させずに貫通らせん転位が少ないSiC単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、前記種結晶基板が、500本/cm以上の積層欠陥を有し、且つ少なくとも一部に(000−1)面に対して傾斜角を有する下面を有し、前記種結晶基板の前記下面を前記Si−C溶液に接触させて前記SiC単結晶を成長させること、を含む、SiC単結晶の製造方法。【選択図】図2
Description
本開示は、SiC単結晶の製造方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有する。そのため、Si単結晶やGaAs単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高出力、高周波、耐電圧、耐環境性等を実現することが可能であり、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量情報通信用デバイス材料、車載用高温デバイス材料、耐放射線デバイス材料等、といった広い範囲における、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
従来、SiC単結晶の成長法としては、代表的には気相法、アチソン(Acheson)法、及び溶液法が知られている。気相法のうち、例えば昇華法では、成長させた単結晶にマイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通状の欠陥や積層欠陥等の格子欠陥が生じやすい等の欠点を有するが、従来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造されており、成長結晶の欠陥を低減する試みも行われている。アチソン法では原料として珪石とコークスを使用し電気炉中で加熱するため、原料中の不純物等により結晶性の高い単結晶を得ることは不可能である。
溶液法は、黒鉛坩堝中でSi融液またはSi以外の金属を融解したSi融液を形成し、その融液中にCを溶解させ、低温部に設置した種結晶基板上にSiC結晶層を析出させて成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ熱平衡に近い状態での結晶成長が行われるため、低欠陥化が期待できる。このため、最近では、溶液法によるSiC単結晶の製造方法がいくつか提案されている(特許文献1)。
SiCパワーデバイスの特性を向上させるには、貫通らせん転位密度の低減が重要である。そこで、特許文献1には、貫通らせん転位上にマクロステップを進展させることで、貫通らせん転位を基底面欠陥(Frank型積層欠陥を伴う部分転位)に変換して、貫通らせん転位の少ないSiC単結晶を製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、マクロステップの進展の際に、ステップのパンチング(束化)が生じ、成長結晶にSi−C溶液のインクルージョンが発生し得ることが分かった。
そこで、インクルージョンを発生させずに貫通らせん転位が少ないSiC単結晶の製造方法が求められている。
本開示は、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
前記種結晶基板が、500本/cm以上の積層欠陥を有し、且つ少なくとも一部に(000−1)面に対して傾斜角を有する下面を有し、
前記種結晶基板の前記下面を前記Si−C溶液に接触させて前記SiC単結晶を成長させること、
を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
前記種結晶基板が、500本/cm以上の積層欠陥を有し、且つ少なくとも一部に(000−1)面に対して傾斜角を有する下面を有し、
前記種結晶基板の前記下面を前記Si−C溶液に接触させて前記SiC単結晶を成長させること、
を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、貫通らせん転位が少ないSiC単結晶を得ることができる。
本明細書において、(000−1)面等の表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを「−1」と表記したものである。
本開示は、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、前記種結晶基板が、500本/cm以上の積層欠陥(SF)を有し、且つ少なくとも一部に(000−1)面に対して傾斜角を有する下面を有し、前記種結晶基板の前記下面を前記Si−C溶液に接触させて前記SiC単結晶を成長させること、を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、貫通らせん転位(TSD)の変換現象を、マクロステップに頼るのではなく、積層欠陥との相互作用によって起こす。そのため、ステップ高さが低い状態、すなわちバンチングしにくい状態のまま、貫通らせん転位を基底面欠陥(Frank型積層欠陥を伴う部分転位)に変換することが可能となる。これにより、成長結晶に貫通転位密度の低い領域が形成され、ウェーハ全体として貫通らせん転位密度の低い領域を広く有するSiCウェーハが作製できる。
従来、種結晶基板の(000−1)面を成長面として溶液法でSiC単結晶を成長させようとすると、図1に示すように、種結晶基板に含まれる貫通らせん転位が成長結晶に伝搬し、成長結晶の貫通らせん転位密度は、種結晶基板の貫通らせん転位密度と実質的に同じになる。
これに対して、本開示の方法においては、少なくとも一部に(000−1)面に対して傾斜角を有する下面を有する種結晶基板を用い、種結晶基板の前記下面をSi−C溶液に接触させてdSiC単結晶を成長させる。
これにより、図2に示すように、積層欠陥との相互作用で、貫通らせん転位が基底面欠陥へと変換され、成長進行方向へと貫通らせん転位が伝播しなくなる。これによって、それ以降の成長層における貫通らせん転位密度を低減できる。
本開示の方法において、種結晶基板は、500本/cm以上の積層欠陥を有し、且つ少なくとも一部に(000−1)面に対して傾斜角を有する下面を備える。種結晶基板の下面は、少なくとも一部に(000−1)面に対して傾斜角を有すればよく、例えば、図2に示すように凹形状を有してもよく。図3に示すように傾斜していてもよく、または図4に示すように凸形状を有してもよい。図2〜4のいずれにおいても、積層欠陥との相互作用により貫通らせん転位が基底面方向に変換され、超低転位領域を得ることができる。
500本/cmの積層欠陥を有する種結晶基板は、市販のSiC単結晶から入手してもよく、あるいはSiC単結晶に熱応力を加えて積層欠陥の数を増やして得てもよい。例えば、昇華法で一般的に作製した(000−1)面を有するSiC単結晶を用意して、そのまま用いてもよく、黒鉛等の異種材料と接合して熱処理を行って積層欠陥の数を増やして得てもよい。
種結晶基板として、例えば、成長面がフラットであり(000−1)ジャスト面を有するSiC単結晶、(000−1)ジャスト面から0°よりも大きく例えば8°以下のオフセット角度を有するSiC単結晶、または成長面が凹形状を有し凹形状の成長面の中央部付近の一部に(000−1)面を有するSiC単結晶を用いることができる。
成長面が凹形状を有し凹形状の成長面の中央部付近の一部に(000−1)面を有するSiC単結晶及び(000−1)ジャスト面から0°よりも大きく例えば8°以下のオフセット角度を有するSiC単結晶は、500本/cm以上の積層欠陥を有するものであれば、そのまま、少なくとも一部に(000−1)面に対して傾斜角を有する下面を備える種結晶基板として用いることができる。
成長面がフラットであり(000−1)ジャスト面を有するSiC単結晶は、メルトバックや研磨により、種結晶基板として用いる下面の少なくとも一部に(000−1)面に対して傾斜角を形成することができる。
種結晶基板は、上記構成を有すればよく、種結晶基板の全体形状は、例えば板状、円盤状、円柱状、角柱状、円錐台状、または角錐台状等の任意の形状であることができる。
メルトバックは任意の方法で行うことができる。例えば、種結晶基板のメルトバックを行いたい箇所をSi−C溶液に浸漬し、炭素が飽和しないようにSi−C溶液を所定の昇温速度以上で昇温することによってメルトバックを行うことができる。別法では、Si−C溶液の内部から溶液の表面に向けて温度が増加する温度勾配、すなわち、SiC単結晶成長とは逆方向の温度勾配をSi−C溶液に形成することによりメルトバックを行うことができる。誘導コイルの出力を制御することによって上記逆方向の温度勾配を形成することができる。図5に示すように、メルトバック時にメニスカスを形成すると、メニスカスによる外周部の温度低下の影響で、種結晶基板の下面を凹形状にメルトバックすることができる。
積層欠陥密度の評価は、X線トポグラフィーを用いた非破壊検査で行うことができる。別法では、同ロット(同インゴットから切り出した)の別試料に対し、[0001]方向に平行な面を切断し、その面に露出する積層欠陥をアルカリエッチングによって顕在化させ、積層欠陥の数を計測することで行うことができる。別法では、同ロット(同インゴットから切り出した)の別試料に対し、オフ角をつけた状態でエピ成長を行い、PLイメージング法を用いて積層欠陥を検出することができる。
本開示のSiC単結晶の製造方法においては溶液法が用いられる。溶液法とは、内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、SiC種結晶基板を接触させてSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法である。Si−C溶液の内部から溶液の表面に向けて温度低下する温度勾配を形成することによってSi−C溶液の表面領域を過飽和にして、Si−C溶液に接触させた種結晶基板からSiC単結晶を成長させることができる。
単結晶製造装置への種結晶基板の設置は、種結晶基板の上面を種結晶保持軸に保持させることによって行うことができる。
種結晶基板のSi−C溶液への接触は、種結晶基板を保持した種結晶保持軸をSi−C溶液面に向かって降下させ、種結晶基板の下面をSi−C溶液面に対して並行にしてSi−C溶液に接触させることによって行うことができる。そして、Si−C溶液面に対して種結晶基板を所定の位置に保持して、SiC単結晶を成長させることができる。
結晶成長時の種結晶基板の保持位置は、種結晶基板の下面の位置が、Si−C溶液面に一致するか、Si−C溶液面に対して下側にあるか、またはSi−C溶液面に対して上側にあってもよい。図5に示すように、種結晶基板14の下面にのみSi−C溶液24を濡らしてメニスカス34を形成するように、種結晶基板の下面の位置が、Si−C溶液面に対して上方に位置することが好ましい。メニスカスを形成する場合、種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液面に対して0.3〜3mm上方の位置に保持することが好ましい。種結晶基板の下面をSi−C溶液面に対して上方の位置に保持する場合は、一旦、種結晶基板をSi−C溶液に接触させて種結晶基板の下面にSi−C溶液を接触させてから、所定の位置に引き上げる。このように、メニスカスを形成して結晶成長させることにより、種結晶保持軸にSi−C溶液が接触しないようにして、多結晶の発生の防止をより容易に行うことができる。
結晶成長時には、種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液面に一致するか、またはSi−C溶液面よりも下側にしてもよいが、多結晶の発生を防止するために、種結晶保持軸にSi−C溶液が接触しないようにすることが好ましい。これらの方法において、結晶成長中に種結晶基板の位置を調節してもよい。
種結晶保持軸はその端面に種結晶基板を保持する黒鉛の軸であることができる。種結晶保持軸は、円柱状、角柱状等の任意の形状であることができ、種結晶基板の上面の形状と同じ端面形状を有する黒鉛軸を用いてもよい。
Si−C溶液とは、Si系融液を溶媒とする炭素が溶解した溶液をいう。Si系融液とは、好ましくはSiまたはSi/Xの融液である。XはSi以外の1種類以上の金属であり、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成できれば特に制限されない。適当な金属Xの例としては、Ti、Mn、Cr、Ni、Ce、Co、V、Fe、Ge、Al等が挙げられる。
Si−C溶液の温度は、Si−C溶液の表面温度をいう。Si−C溶液の表面の温度は、SiC単結晶成長に適した炭素溶解度が得られる1800〜2200℃であることが好ましい。
Si−C溶液の温度測定は、熱電対、放射温度計等を用いて行うことができる。熱電対に関しては、高温測定及び不純物混入防止の観点から、ジルコニアやマグネシア硝子を被覆したタングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対が好ましい。
図8に示したSiC単結晶製造装置100は、Si系融液中に炭素が溶解してなるSi−C溶液24を収容した黒鉛坩堝10を備え、Si−C溶液の内部から溶液の表面に向けて温度低下する温度勾配を形成し、昇降可能な黒鉛軸12の先端に保持された種結晶基板14を、Si−C溶液24に接触させて、SiC単結晶を成長させることができる。黒鉛坩堝10及び/または黒鉛軸12を回転させてもよい。
保温のために、黒鉛坩堝10の外周は、断熱材18で覆われている。これらが一括して、石英管26内に収容されている。石英管26の外周には、加熱用の高周波コイル22が配置されている。高周波コイル22は、上段コイル22A及び下段コイル22Bから構成されてもよく、上段コイル22A及び下段コイル22Bはそれぞれ独立して制御可能である。
黒鉛坩堝10、断熱材18、石英管26、及び高周波コイル22は、高温になるので、水冷チャンバーの内部に配置される。水冷チャンバーは、Ar、He、N2等を用いて装置内及び黒鉛坩堝内の雰囲気を調整することを可能にするために、ガス導入口とガス排気口とを備える。
Si−C溶液の温度は、通常、輻射等のためSi−C溶液の内部よりも表面の温度が低い温度分布となるが、さらに、高周波コイル22の巻数及び間隔、高周波コイル22と黒鉛坩堝10との高さ方向の位置関係、並びに高周波コイルの出力を調整することによって、Si−C溶液24に、種結晶基板14が浸漬される溶液上部が低温、溶液下部が高温となるようにSi−C溶液24の表面に垂直方向の所定の温度勾配を形成することができる。例えば、下段コイル22Bの出力よりも上段コイル22Aの出力を小さくして、Si−C溶液24に溶液上部が低温、溶液下部が高温となる所定の温度勾配を形成することができる。温度勾配は、例えば、溶液表面からの深さがおよそ1cmまで、または3cmまでの範囲で、10〜50℃/cmであることができる。
Si−C溶液24中に溶解した炭素は、拡散及び対流により分散される。種結晶基板14の下面近傍は、コイル22の上段/下段の出力制御、Si−C溶液の表面からの放熱、及び黒鉛軸12を介した抜熱によって、Si−C溶液24の下部よりも低温となる温度勾配が形成されている。高温で溶解度の大きい溶液下部に溶け込んだ炭素が、低温で溶解度の低い種結晶基板下面付近に到達すると過飽和状態となり、この過飽和度を駆動力として種結晶基板上にSiC単結晶が成長する。
(実施例1)
直径が50mm、厚みが700μmの円盤状4H−SiC単結晶であって、下面が(000−1)面を有する昇華法により作製したSiC単結晶を用意して、種結晶基板として用いた。上記SiC単結晶と同じインゴットから切り出した別試料に対し、[0001]方向に平行な面を切断し、その面に露出する積層欠陥をKOHエッチングによって顕在化させ、積層欠陥の数を計測し、500本/cmの積層欠陥が含まれていた。種結晶基板の上面を、円柱形状の黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。
直径が50mm、厚みが700μmの円盤状4H−SiC単結晶であって、下面が(000−1)面を有する昇華法により作製したSiC単結晶を用意して、種結晶基板として用いた。上記SiC単結晶と同じインゴットから切り出した別試料に対し、[0001]方向に平行な面を切断し、その面に露出する積層欠陥をKOHエッチングによって顕在化させ、積層欠陥の数を計測し、500本/cmの積層欠陥が含まれていた。種結晶基板の上面を、円柱形状の黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。
円柱状の黒鉛の種結晶保持軸12を用意した。種結晶基板14の下面が(000−1)面になるようにして、種結晶基板14の上面を、種結晶保持軸12の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。
図8に示す単結晶製造装置を用い、内径100mmの黒鉛坩堝に、Si、Cr、及びNiを、Si:Cr=60:40(at%)の原子組成比率で、Si−C溶液を形成するための融液原料として仕込んだ。
単結晶製造装置の内部を1×10-3Paに真空引きした後、1気圧になるまでアルゴンガスを導入して、該単結晶製造装置の内部の空気をアルゴンで置換した。高周波コイルに通電して加熱により黒鉛坩堝内の原料を融解し、Si/Cr合金の融液を形成した。そして、黒鉛坩堝からSi/Cr合金の融液に十分な量のCを溶解させて、Si−C溶液を形成した。
上段コイル22A及び下段コイル22Bの出力を調節して黒鉛坩堝10を加熱し、Si−C溶液24の内部から溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配を形成した。所定の温度勾配が形成されていることの確認は、昇降可能な熱電対を用いて、Si−C溶液24の温度を測定することによって行った。高周波コイル22A及び22Bの出力制御により、Si−C溶液24の液面における温度を1950℃まで昇温させた。
次いで、Si−C溶液24の液面における温度を2000℃に昇温させるために高周波コイル22A及び22Bの出力を上げ、Si−C溶液24の液面が設定温度に追随する前に、種結晶保持軸12を鉛直下方向に移動させ、種結晶保持軸12に接着した種結晶基板の下面をSi−C溶液面に平行に保ちながらSi−C溶液に着液させるシードタッチを行った。シードタッチの直後に、種結晶基板の下面の位置がSi−C溶液の液面よりも0.4mm上方に位置するように、鉛直方向上方に黒鉛軸を引き上げて図5に示すような形状のメニスカスを形成した。0.4mm引き上げた位置でメニスカスを形成しながら、Si−C溶液24の液面における温度が2000℃に上昇するまで、種結晶基板の下面の中央部が(000−1)面に垂直方向に0.1mmを凹んだ凹形状になるようにメルトバックを行った。
Si−C溶液24の液面における温度を2000℃に、且つSi−C溶液24の液面から1cmの範囲で溶液内部から溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配が20℃/cmとなるように高周波コイル22の出力を調節して、20時間保持してSiC単結晶を成長させた。
結晶成長の終了後、種結晶保持軸を上昇させて、種結晶基板及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を、Si−C溶液24及び種結晶保持軸12から切り離して回収した。図6に、種結晶基板及び成長結晶の断面透過X線トポグラフィーによる転位挙動観察像を示す。貫通らせん転位の変換が行われ、貫通らせん転位が少なくインクルージョンが含まれないSiC成長結晶が得られた。
X線トポグラフィーの撮影条件は次の通りである:試料の(10−10)断面;厚さ0.35mmに両面CMP研磨仕上げ;g=0008透過。
(実施例2)
積層欠陥密度が800本/cmの種結晶基板を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件でメルトバック及び結晶成長を行い、種結晶基板及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を回収し、断面透過X線トポグラフィーによる転位挙動を観察した。
積層欠陥密度が800本/cmの種結晶基板を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件でメルトバック及び結晶成長を行い、種結晶基板及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を回収し、断面透過X線トポグラフィーによる転位挙動を観察した。
(実施例3)
積層欠陥密度が1700本/cmの種結晶基板を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件でメルトバック及び結晶成長を行い、種結晶基板及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を回収し、断面透過X線トポグラフィーによる転位挙動を観察した。
積層欠陥密度が1700本/cmの種結晶基板を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件でメルトバック及び結晶成長を行い、種結晶基板及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を回収し、断面透過X線トポグラフィーによる転位挙動を観察した。
(比較例1)
積層欠陥密度が0本/cmの種結晶基板を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件でメルトバック及び結晶成長を行い、種結晶基板及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を回収した。図7に、種結晶基板及び成長結晶の断面透過X線トポグラフィーによる転位挙動観察像を示す。成長結晶には、インクルージョンは含まれていなかったが、貫通らせん転位の変換が行われず、成長結晶には貫通らせん転位が多量に含まれていた。
積層欠陥密度が0本/cmの種結晶基板を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件でメルトバック及び結晶成長を行い、種結晶基板及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を回収した。図7に、種結晶基板及び成長結晶の断面透過X線トポグラフィーによる転位挙動観察像を示す。成長結晶には、インクルージョンは含まれていなかったが、貫通らせん転位の変換が行われず、成長結晶には貫通らせん転位が多量に含まれていた。
(比較例2)
積層欠陥密度が52本/cmの種結晶基板を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件でメルトバック及び結晶成長を行い、種結晶基板及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を回収し、断面透過X線トポグラフィーによる転位挙動を観察した。
積層欠陥密度が52本/cmの種結晶基板を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件でメルトバック及び結晶成長を行い、種結晶基板及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を回収し、断面透過X線トポグラフィーによる転位挙動を観察した。
表1に、種結晶基板の積層欠陥密度による、貫通らせん転位変換の有無を示す。
100 単結晶製造装置
10 黒鉛坩堝
12 黒鉛軸
14 種結晶基板
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管
34 メニスカス
10 黒鉛坩堝
12 黒鉛軸
14 種結晶基板
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管
34 メニスカス
Claims (1)
- 内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
前記種結晶基板が、500本/cm以上の積層欠陥を有し、且つ少なくとも一部に(000−1)面に対して傾斜角を有する下面を有し、
前記種結晶基板の前記下面を前記Si−C溶液に接触させて前記SiC単結晶を成長させること、
を含む、SiC単結晶の製造方法。
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