JP2018150193A - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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Mikihisa Kawatari
幹尚 加渡
雅喜 土井
Masaki Doi
雅喜 土井
楠 一彦
Kazuhiko Kusunoki
一彦 楠
和明 関
Kazuaki Seki
和明 関
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Abstract

【課題】長時間成長が可能なSiC単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】黒鉛坩堝内に配置され、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持した種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、黒鉛坩堝内に、Si系融液を形成するための原料と黒鉛坩堝よりもかさ密度が小さいカーボン部材とを配置すること、及び黒鉛坩堝内において、原料とカーボン部材とを加熱してSi−C溶液を形成すること、を含む、SiC単結晶の製造方法。【選択図】図4

Description

本開示は、SiC単結晶の製造方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有する。そのため、Si単結晶やGaAs単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高出力、高周波、耐電圧、耐環境性等を実現することが可能であり、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量情報通信用デバイス材料、車載用高温デバイス材料、耐放射線デバイス材料等、といった広い範囲における、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
従来、SiC単結晶の成長法としては、代表的には気相法、アチソン(Acheson)法、及び溶液法が知られている。気相法のうち、例えば昇華法では、成長させた単結晶にマイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通状の欠陥や積層欠陥等の格子欠陥及び異種ポリタイプ(結晶多形)が生じやすい等の欠点を有するが、従来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造されており、成長結晶の欠陥を低減する試みも行われている。アチソン法では原料として珪石とコークスを使用し電気炉中で加熱するため、原料中の不純物等により結晶性の高い単結晶を得ることは不可能である。
溶液法は、黒鉛坩堝中でSi融液またはSi以外の金属を融解したSi融液を形成し、その融液中にCを溶解させ、低温部に設置した種結晶基板上にSiC結晶層を析出させて成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ熱平衡に近い状態での結晶成長が行われるため、低欠陥化が期待できる。このため、最近では、溶液法によるSiC単結晶の製造方法がいくつか提案されている(特許文献1)。
特開2014−047096号公報
特許文献1においては、黒鉛坩堝中でSi融液を形成し、その融液中に黒鉛坩堝から炭素を溶解させてSi融液に炭素を供給してSi−C溶液を形成し、種結晶基板上にSiC結晶層を析出させてSiC単結晶を成長させる方法が開示されている。しかしながら、黒鉛坩堝の溶解によって炭素を供給すると坩堝内面の溶損が生じるため、長時間の成長には限界がある。
そのため、長時間成長が可能なSiC単結晶の製造方法が求められている。
本開示は、黒鉛坩堝内に配置され、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持した種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
黒鉛坩堝内に、Si系融液を形成するための原料と黒鉛坩堝よりもかさ密度が小さいカーボン部材とを配置すること、及び
黒鉛坩堝内において、原料とカーボン部材とを加熱してSi−C溶液を形成すること、
を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、SiC単結晶の長時間成長が可能となる。
本開示の方法において使用し得る溶液法による単結晶製造装置の断面模式図である。 図2は、SiC単結晶の結晶成長で用いた黒鉛坩堝の断面写真である。 図3は、図2の破線で囲った部分を拡大した写真である。 図4は、本開示の方法を説明する模式図である。 図5は、従来技術の方法を説明する模式図である。 図6は、実施例の結晶成長に用いた黒鉛坩堝の断面写真である。 図7は、図6の破線で囲った部分を拡大した写真である。 図8は、実施例で得られた成長結晶を成長面から観察した写真である。 図9は、比較例で得られた成長結晶を成長面から観察した写真である。 図10は、実施例及び比較例における坩堝溶損量を比較したグラフである。 図11は、比較例で得られた成長結晶を成長面から観察した写真である。
本明細書において、(000−1)面等の表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを「−1」と表記したものである。
従来の溶液法によるSiC単結晶の成長においては、坩堝及び原料を加熱して原料を溶融させ、さらに坩堝中の炭素を溶融原料に溶かし込むことによってSi−C溶液を形成する。このように、SiC単結晶の結晶成長に必要な炭素を坩堝から得ている。
そのため、原料加熱を加熱し溶融させて所定の温度まで昇温する過程、及びSiC単結晶の結晶成長の過程で、坩堝が溶解し、坩堝厚さが減少して坩堝の溶損に至ることがあり、結晶成長時間を長くすることが難しかった。
黒鉛坩堝は概して均質(密度がほぼ一定)な材質であるため、溶損のしやすさは温度分布に依存する。高周波誘導加熱を加熱手法として用いると、坩堝は温度分布を持つため、坩堝とSi−C溶液との界面のうち温度が最も高い箇所から優先的に坩堝が溶解する。その結果、局所的な溶損が生じる。
図1に、本開示の方法を実施するのに適したSiC単結晶製造装置の一例を示す。概して、図1に示す破線の丸印で示したSi−C溶液の液面と坩堝との境界付近が最も高温に加熱され、且つ高周波コイルによる電磁撹拌によって、Si−C溶液は坩堝内を流動しているため、坩堝から溶け出す炭素量(坩堝の溶損量)は、上記境界付近が最も多くなる。そのため、上記境界付近の溶損が概して、結晶成長時間を長くすることが制限され、成長結晶の長尺化が困難となる。
図2に、SiC単結晶の結晶成長で用いた黒鉛坩堝の断面写真を示す。坩堝の内部には、冷えた固まったSi−C溶液がある。図2の破線で囲った部分を拡大した写真を図3に示す。図3の破線で示した箇所は、結晶成長に坩堝を用いる前の初期の坩堝形状を表す。Si−C溶液の液面と坩堝との境界付近の坩堝の厚みが薄くなっていることが分かる。
黒鉛坩堝の溶解によって結晶成長時間が制限されるという問題の別の解決手段として、黒鉛坩堝の肉厚を大きくすることが挙げられる。しかしながら、坩堝の肉厚を大きくすると、高周波電流によって発生する磁束により生じる誘導電流の浸透深さがSi−C溶液内に届きにくくなるため、Si−C溶液に発生するローレンツ力が小さくなる。その結果、結晶成長に必要な溶液撹拌を十分に行うことができず、結晶成長速度の低下や成長結晶への多結晶付着等の結晶品質の低下を招く。そのため、本問題の解決手段とはならない。
このような従来の状況に鑑みて、本発明者は、黒鉛坩堝内に、Si系融液を形成するための原料に加えて、黒鉛坩堝よりもかさ密度が小さいカーボン部材を、配置することにより、坩堝の溶損量を抑制することができることを見出した。
本開示のSiC単結晶の製造方法は、黒鉛坩堝内に配置され、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持した種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、黒鉛坩堝内に、Si系融液を形成するための原料と黒鉛坩堝よりもかさ密度が小さいカーボン部材とを配置すること、及び黒鉛坩堝内において、原料とカーボン部材とを加熱してSi−C溶液を形成することを含む。
本開示の方法によれば、長時間成長を行うことができるので、大きな結晶成長厚みを得ることができる。
カーボン部材は、黒鉛坩堝よりも小さいかさ密度を有するので、黒鉛坩堝よりも優先的に溶解する。そのため、黒鉛坩堝の溶損を低減することができる。黒鉛坩堝が有する温度差以上に、黒鉛坩堝とカーボン部材との密度差による溶解速度差の方が大きいため、相対的にかさ密度が大きい黒鉛坩堝は、相対的にかさ密度が小さいカーボン部材の溶解が終わるまで、ほとんど溶解しない。本開示の方法によれば、黒鉛坩堝の肉厚を大きくする必要がないため、結晶成長中のSi−C溶液の電磁撹拌を十分に行うことができ、成長結晶の結晶品質も確保することができる。
カーボン部材のかさ密度は、好ましくは0.1g/cm3以下である。カーボン部材の体積は、好ましくは、カーボン部材の体積及び密度より見積もられる炭素の物質量が、Si−C溶液の組成及びSi−C溶液の加熱温度で決まる炭素溶解度を超えない範囲である。原料に対するカーボン部材の添加量は、Si−C溶液が所定の炭素溶解度を有する量であることができ、2000℃におけるSi−C溶液中の炭素溶解度が、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、さらにより好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%となる量である。カーボン部材は、好ましくはカーボンフェルトである。黒鉛坩堝のかさ密度は、例えば、約1.6〜2.0g/cmである。
カーボン部材の配置方法は特に限定されず、例えば、先にSi、Cr等のSi系融液の原料を坩堝内に投入した後にカーボン部材を配置してもよく、先にカーボン部材を坩堝内に配置した後にSi、Cr等のSi系融液の原料を投入してもよく、またはSi、Cr等のSi系融液の原料とカーボン部材とを同時に坩堝内に配置してもよい。好ましくは、カーボン接着剤を用いて、カーボン部材を黒鉛坩堝の内部に固定する。
カーボン部材の形状は、坩堝内に配置可能な形状であれば特に限定されず、例えば直方体または球体であることができる。
図4及び図5に、本開示のSiC単結晶の製造方法を、従来技術と比較して模式的に説明する。図4は、本開示のSiC単結晶の製造方法を説明する模式図であり、図5は、従来技術のSiC単結晶の製造方法を説明する模式図である。
本開示の方法においては、黒鉛坩堝内に、Si系融液を形成するための原料に加えて、黒鉛坩堝よりもかさ密度が小さいカーボン部材を配置する。黒鉛坩堝の周囲に配置した加熱装置により、黒鉛坩堝、原料、及びカーボン部材を加熱して、Si−C溶液を形成する。その際、従来技術においては、Si−C溶液の炭素溶解度が飽和するまで黒鉛坩堝を溶解させる。一方で、本開示の方法においては、カーボン部材が溶解するので、黒鉛坩堝をほとんど溶解させることなく、炭素が飽和したSi−C溶液を形成することができる。従来技術においては、結晶成長開始時点で黒鉛坩堝の厚みが局所的に薄くなっており、長時間の結晶成長を行うことができない。一方で、本開示の方法においては、結晶成長開始時点で黒鉛坩堝の厚みが確保されているので、長時間の結晶成長が可能である。
本開示の方法によれば、黒鉛坩堝の溶損量が低減されるので、好ましくは20時間以上、より好ましくは30時間以上の結晶成長を行うことができる。
本開示の方法によれば、上記のように長時間の結晶成長を行うことができるので、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上の成長厚みを有するSiC単結晶を安定して成長させることができる。
本開示のSiC単結晶の製造方法においては溶液法が用いられる。溶液法とは、内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、SiC種結晶基板を接触させてSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法である。Si−C溶液の内部から溶液の表面に向けて温度低下する温度勾配を形成することによってSi−C溶液の表面領域を過飽和にして、Si−C溶液に接触させた種結晶基板からSiC単結晶を成長させることができる。
本開示の方法においては、SiC単結晶の製造に一般に用いられる品質のSiC単結晶を種結晶基板として用いることができる。例えば昇華法で一般的に作成したSiC単結晶を種結晶基板として用いることができる。また、本方法に用いられ得る種結晶基板は、例えば板状、円盤状、円柱状、角柱状、円錐台状、または角錐台状等の任意の形状であることができる。
単結晶製造装置への種結晶基板の設置は、種結晶基板の上面を種結晶保持軸に保持させることによって行うことができる。
種結晶基板のSi−C溶液への接触は、種結晶基板を保持した種結晶保持軸をSi−C溶液面に向かって降下させ、種結晶基板の下面をSi−C溶液面に対して並行にしてSi−C溶液に接触させることによって行うことができる。そして、Si−C溶液面に対して種結晶基板を所定の位置に保持して、SiC単結晶を成長させることができる。
種結晶基板の保持位置は、種結晶基板の下面の位置が、Si−C溶液面に一致するか、Si−C溶液面に対して下側にあるか、またはSi−C溶液面に対して上側にあってもよい。種結晶基板の下面をSi−C溶液面に対して上方の位置に保持する場合は、一旦、種結晶基板をSi−C溶液に接触させて種結晶基板の下面にSi−C溶液を接触させてから、所定の位置に引き上げる。種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液面に一致するか、またはSi−C溶液面よりも下側にしてもよいが、多結晶の発生を防止するために、種結晶保持軸にSi−C溶液が接触しないようにすることが好ましい。これらの方法において、結晶成長中に種結晶基板の位置を調節してもよい。
種結晶保持軸はその端面に種結晶基板を保持する黒鉛の軸であることができる。種結晶保持軸は、円柱状、角柱状等の任意の形状であることができ、種結晶基板の上面の形状と同じ端面形状を有する黒鉛軸を用いてもよい。
Si−C溶液とは、Si系融液を溶媒とする炭素が溶解した溶液をいう。Si系融液とは、好ましくはSiまたはSi/Xの融液である。XはSi以外の1種類以上の金属であり、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成できれば特に制限されない。適当な金属Xの例としては、Ti、Mn、Cr、Ni、Ce、Co、V、Fe、Ge、Al等が挙げられる。
Si系融液は、より好ましくはSi/Cr/Xの融液である。Xは、Si及びCr以外の1種以上の金属である。適当な金属Xの例としては、Ti、Mn、Ni、Ce、Co、V、Fe、Ge、Al等が挙げられる。原子組成百分率でSi:Cr:X=30〜80:20〜70:0〜20の融液を溶媒とするSi−C溶液が、炭素の溶解量の変動が少なく、より好ましい。例えば、坩堝内にSiに加えて、Cr等の原料を投入し、Si/Cr融液に炭素が溶解したSi−C溶液を形成することができる。
Si−C溶液の温度は、Si−C溶液の表面温度をいう。Si−C溶液の表面の温度は、SiC単結晶成長に適した炭素溶解度が得られる1900〜2100℃であることが好ましい。
Si−C溶液の温度測定は、熱電対、放射温度計等を用いて行うことができる。熱電対に関しては、高温測定及び不純物混入防止の観点から、ジルコニアやマグネシア硝子を被覆したタングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対が好ましい。
図1に示したSiC単結晶製造装置100は、Si系融液中に炭素が溶解してなるSi−C溶液24を収容した黒鉛坩堝10を備え、Si−C溶液の内部から溶液の表面に向けて温度低下する温度勾配を形成し、昇降可能な黒鉛軸12の先端に保持された種結晶基板14を、Si−C溶液24に接触させて、SiC単結晶を成長させることができる。黒鉛坩堝10及び/または黒鉛軸12を回転させてもよい。
Si−C溶液24は、Si、Cr等の原料32とカーボン部材30とを黒鉛坩堝10に投入し、加熱融解させて調製される。Si、Cr等の原料とカーボン部材とを加熱融解させて調製したSi−C溶液に、坩堝から炭素が溶け出し得るが、本開示の方法によれば、その溶出量を従来よりも大幅に抑えることができる。
保温のために、黒鉛坩堝10の外周は、断熱材18で覆われている。これらが一括して、石英管26内に収容されている。石英管26の外周には、加熱用の高周波コイル22が配置されている。高周波コイル22は、上段コイル22A及び下段コイル22Bから構成されてもよく、上段コイル22A及び下段コイル22Bはそれぞれ独立して制御可能である。
黒鉛坩堝10、断熱材18、石英管26、及び高周波コイル22は、高温になるので、水冷チャンバーの内部に配置される。水冷チャンバーは、Ar、He、N2等を用いて装置内及び黒鉛坩堝内の雰囲気を調整することを可能にするために、ガス導入口とガス排気口とを備える。
Si−C溶液の温度は、通常、輻射等のためSi−C溶液の内部よりも表面の温度が低い温度分布となるが、さらに、高周波コイル22の巻数及び間隔、高周波コイル22と黒鉛坩堝10との高さ方向の位置関係、並びに高周波コイルの出力を調整することによって、Si−C溶液24に、種結晶基板14が浸漬される溶液上部が低温、溶液下部が高温となるようにSi−C溶液24の表面に垂直方向の所定の温度勾配を形成することができる。例えば、下段コイル22Bの出力よりも上段コイル22Aの出力を小さくして、Si−C溶液24に溶液上部が低温、溶液下部が高温となる所定の温度勾配を形成することができる。温度勾配は、例えば、溶液表面からの深さがおよそ1cmまで、または3cmまでの範囲で、10〜50℃/cmであることができる。
Si−C溶液24中に溶解した炭素は、拡散及び対流により分散される。種結晶基板14の下面近傍は、コイル22の上段/下段の出力制御、Si−C溶液の表面からの放熱、及び黒鉛軸12を介した抜熱によって、Si−C溶液24の下部よりも低温となる温度勾配が形成されている。高温で溶解度の大きい溶液下部に溶け込んだ炭素が、低温で溶解度の低い種結晶基板下面付近に到達すると過飽和状態となり、この過飽和度を駆動力として種結晶基板上にSiC単結晶が成長する。
成長結晶に多結晶が含まれているかいないかの判定は、外観観察または顕微鏡観察により、容易に行うことができる。
(実施例1)
直径が50mm、厚みが700μmの円盤状4H−SiC単結晶であって、下面が(000−1)面を有する昇華法により作製したSiC単結晶を用意して、種結晶基板として用いた。種結晶基板の上面を、円柱形状の黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。
内径が100mm、外径が115mm、Si−C溶液の液面位置における側壁の厚み(肉厚)が7.5mm、及びかさ密度が1.86g/cm3である黒鉛坩堝10を用意した。この側壁の厚みである7.5mmを、黒鉛坩堝の溶損量算出の基準の厚みとした。溶損量は、坩堝使用前の初期厚み(7.5mm)から坩堝使用後の厚みを引いた値(mm)とした。図1に示す単結晶製造装置を用い、Si−C溶液を収容する黒鉛坩堝の内部に、カーボン部材として、内径90mm、外径100mm、及び高さ25mmの円筒形状を有し、かさ密度が0.1g/cm3のカーボンフェルトを、カーボン接着剤を用いて固定し、さらに、Si/CrをSi:Cr=60:40の原子組成比率でSi−C溶液を形成するための融液原料として仕込んだ。カーボン部材の体積は、Si及びCrとともに溶解した時のSi−C溶液の炭素溶解度の約50%になる量であった。
単結晶製造装置の内部を1×10-3Paに真空引きした後、1気圧になるまでヘリウムガスを導入して、単結晶製造装置の内部の空気をヘリウムで置換した。高周波コイルに通電して加熱により黒鉛坩堝内の原料を融解し、Si−C溶液を形成した。
上段コイル及び下段コイルの出力を調節して黒鉛坩堝を加熱し、Si−C溶液の表面における温度を2000℃に昇温させ、並びに溶液表面から1cmの範囲で溶液内部から溶液表面に向けて温度低下する温度勾配が30℃/cmとなるように制御した。Si−C溶液の温度勾配の測定は、昇降可能な熱電対を用いて行った。
黒鉛軸に接着した種結晶基板の下面をSi−C溶液面に並行にして、種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液の液面に一致する位置に配置して、Si−C溶液に種結晶基板の下面を接触させるシードタッチを行い、その位置で1.5時間保持して、結晶を成長させた。
結晶成長の終了後、黒鉛軸を上昇させて、種結晶基板及び種結晶基板から成長したSiC結晶を、Si−C溶液及び黒鉛軸から切り離して回収した。
結晶成長に用いた黒鉛坩堝の断面写真を図6及び図7に示す。図6は、SiC単結晶の結晶成長で用いた黒鉛坩堝の断面写真であり、図7は、図6の破線で囲った部分を拡大した写真である。坩堝の内部には、冷えた固まったSi−C溶液がある。図7の破線で示した箇所は、結晶成長に坩堝を用いる前の初期の坩堝形状を表す。Si−C溶液の液面と坩堝との境界付近の坩堝の厚みの減少はわずかであることが分かる。Si−C溶液の液面位置における黒鉛坩堝の厚み(肉厚)は6.6mmであり、黒鉛坩堝の溶損量は0.9mmであった。
得られた成長結晶を成長面から観察した写真を図8に示す。成長結晶はSiC単結晶であり、多結晶付着等のマクロな欠陥は含まれていなかった。
(比較例1)
坩堝内にカーボン部材を配置しなかったこと以外は実施例1と同様に、結晶成長を行った。
得られた成長結晶を成長面から観察した写真を図9に示す。結晶成長に用いた黒鉛坩堝の断面写真を図2及び3に示す。図2は、SiC単結晶の結晶成長で用いた黒鉛坩堝の断面写真であり、図3は、図2の破線で囲った部分を拡大した写真である。坩堝の内部には、冷えた固まったSi−C溶液がある。図3の破線で示した箇所は、結晶成長に坩堝を用いる前の初期の坩堝形状を表す。
成長結晶はSiC単結晶であり、多結晶付着等のマクロな欠陥は含まれていなかったが、図3から、Si−C溶液の液面と坩堝との境界付近の坩堝の厚みが大きく減少していることが分かる。Si−C溶液の液面位置における黒鉛坩堝の厚み(肉厚)は5.1mmであり、黒鉛坩堝の溶損量は2.4mmであった。
図10に、実施例1及び比較例1における坩堝溶損量を比較したグラフを示す。図10のグラフでは、比較例1における坩堝溶損量を100として、実施例1及び比較例1における坩堝溶損量を表す。溶損量は、坩堝使用前のSi−C溶液の液面位置における側壁の初期厚み(肉厚)から坩堝使用後の同じ位置における厚み(肉厚)を引いた値(mm)である。実施例1の坩堝溶損量は、比較例1の坩堝溶損量に比べて63%減少していた。
(比較例2)
内径が100mm、外径が130mm、及びSi−C溶液の液面位置における側壁の厚み(肉厚)が15.0mmである黒鉛坩堝10を用い、黒鉛坩堝内にカーボン部材を配置しなかったこと以外は実施例1と同様に、結晶成長を行った。
得られた成長結晶を成長面から観察した写真を図11に示す。成長結晶には多結晶が付着しており良好な結晶品質が得られなかった。
100 単結晶製造装置
10 黒鉛坩堝
12 黒鉛軸
14 種結晶基板
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管
30 カーボン部材
32 原料

Claims (1)

  1. 黒鉛坩堝内に配置され、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持した種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
    前記黒鉛坩堝内に、Si系融液を形成するための原料と前記黒鉛坩堝よりもかさ密度が小さいカーボン部材とを配置すること、及び
    前記黒鉛坩堝内において、前記原料と前記カーボン部材とを加熱してSi−C溶液を形成すること、
    を含む、SiC単結晶の製造方法。
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