JP2019014622A - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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寛典 大黒
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和明 関
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Abstract

【課題】口径拡大部への直線状インクルージョンの混入を抑制したSiC単結晶を溶液法により製造方法を提供する。
【解決手段】内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、種結晶基板が、c面の下面を有し、種結晶基板の下面とSi−C溶液の液面との間に第1の高さを有するメニスカスを形成すること、及び成長させるSiC単結晶の<11−20>断面における口径拡大面が(1−101)面または(1−102)面のどちらかに維持されるように、SiC単結晶の成長速度よりも遅い速度で種結晶基板を引き上げてSiC単結晶の成長面とSi−C溶液の液面との間の前記メニスカスの高さを第1の高さよりも小さくしながら且つ成長面の口径を拡大させながらSiC単結晶を成長させることを含む、SiC単結晶の製造方法。
【選択図】図8

Description

本開示は、SiC単結晶の製造方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有する。そのため、Si単結晶やGaAs単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高出力、高周波、耐電圧、耐環境性等を実現することが可能であり、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量情報通信用デバイス材料、車載用高温デバイス材料、耐放射線デバイス材料等、といった広い範囲における、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
従来、SiC単結晶の成長法としては、代表的には気相法、アチソン(Acheson)法、及び溶液法が知られている。気相法のうち、例えば昇華法では、成長させた単結晶にマイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通状の欠陥や積層欠陥等の格子欠陥が生じやすい等の欠点を有するが、従来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造されており、成長結晶の欠陥を低減する試みも行われている。アチソン法では原料として珪石とコークスを使用し電気炉中で加熱するため、原料中の不純物等により結晶性の高い単結晶を得ることは不可能である。
溶液法は、黒鉛坩堝中でSi融液またはSi以外の金属を融解したSi融液を形成し、その融液中にCを溶解させ、低温部に設置した種結晶基板上にSiC結晶層を析出させて成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ熱平衡に近い状態での結晶成長が行われるため、低欠陥化が期待できる。このため、最近では、溶液法によるSiC単結晶の製造方法がいくつか提案されている(特許文献1)。
特許文献1には、インクルージョンの形成を抑制してSiC単結晶の品質を向上することを目的として、メニスカス高さの変動幅を所定の範囲に維持して成長を行う、溶液法によるSiC単結晶の製造方法が開示されている。
特開2014−201509号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるようにメニスカス高さの変動幅を所定の範囲に維持して成長を行った場合でも、SiC単結晶の成長に伴って成長結晶の口径が拡大すると、メニスカスの角度が変化して成長結晶の口径拡大角が変化し、口径拡大部に直線状のインクルージョンが混入し得ることが分かった。
上記知見に基づき、本発明者は、口径拡大部の拡大面及び拡大角を維持するSiC単結晶の成長方法を見出した。
本開示は、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
前記種結晶基板が、(0001)面または(000−1)面の下面を有し、
前記種結晶基板の前記下面と前記Si−C溶液の液面との間に第1の高さを有するメニスカスを形成すること、及び
成長させるSiC単結晶の<11−20>断面における口径拡大面が(1−101)面または(1−102)面のどちらかに維持されるように、前記SiC単結晶の成長速度よりも遅い速度で前記種結晶基板を引き上げて前記SiC単結晶の成長面と前記Si−C溶液の液面との間の前記メニスカスの高さを前記第1の高さよりも小さくしながら且つ前記成長面の口径を拡大させながら前記SiC単結晶を成長させること、
を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、口径拡大部への直線状インクルージョンの混入を抑制したSiC単結晶を得ることができる。
図1は、種結晶基板とSi−C溶液との間に形成されるメニスカスの断面模式図である。 図2は、(1−101)面、(1−102)面、(1−103)面、及び(1−104)面を成長面として用いて結晶成長を行った場合の、成長結晶の成長速度、成長面の表面粗さRa、及び成長面の顕微鏡写真である。 図3は、従来技術でメニスカス高さを維持しながら結晶成長させた場合の、種結晶基板及び成長結晶の<11−20>断面の模式図である。 図4は、本開示の方法で結晶成長させた場合の、種結晶基板及び成長結晶の<11−20>断面の模式図である。 図5は、直径が異なる種結晶基板を用いてSiC単結晶を成長させる場合の、成長開始時のメニスカス高さと成長初期の口径拡大角との関係を表すグラフである。 図6は、第1のメニスカス高さ、引上げ量(引上げ速度×成長時間)、成長後のメニスカス高さ、及び成長量(成長速度×成長時間)の関係を表す模式図である。 図7は、実施例で得られた成長結晶の<11−20>断面を観察した顕微鏡写真である。 図8は、実施例で得られた成長結晶の透過X線像である。 図9は、比較例で得られた成長結晶の<11−20>断面を観察した顕微鏡写真である。 図10は、比較例で得られた成長結晶の透過X線像である。 図11は、本開示の方法に用いられ得るSiC単結晶製造装置の一例を表す断面模式図である。
本明細書において、(000−1)面等の表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを「−1」と表記したものである。
本開示は、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、前記種結晶基板が、(0001)面または(000−1)面の下面を有し、前記種結晶基板の前記下面と前記Si−C溶液の液面との間に第1の高さを有するメニスカスを形成すること、及び成長させるSiC単結晶の<11−20>断面における口径拡大面が(1−101)面または(1−102)面のどちらかに維持されるように、前記SiC単結晶の成長速度よりも遅い速度で前記種結晶基板を引き上げて前記SiC単結晶の成長面と前記Si−C溶液の液面との間の前記メニスカスの高さを前記第1の高さよりも小さくしながら且つ前記成長面の口径を拡大させながら前記SiC単結晶を成長させること、を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の製造方法によれば、口径拡大部に直線状のインクルージョンを発生させずにSiC単結晶を成長させることができる。
インクルージョンとは、SiC単結晶成長に使用するSi−C溶液の、成長結晶中の巻き込みである。直線状インクルージョン有無の検査方法として、透過X線を用いることができる。成長結晶にインクルージョンが発生する場合、インクルージョンには、例えば、Si−C溶液中に含まれ得るSi及びCよりも重いCr等の重金属が含まれるので、透過X線像を観察したときにインクルージョンは比較的黒くみえる。
(0001)面または(000−1)面に成長させた成長結晶を成長面から観察した場合、成長面の外周における6箇所の対称位置にファセット面が現れ、このファセット面に直線状インクルージョンが発生し得る。したがって、成長結晶の成長面から透過X線像を観察して、ファセット面に発生し得る直線状インクルージョンの有無を確認することができる。<11−20>断面は、上記6箇所のファセット面のうち2箇所ずつを通る面である。
透過X線像を観察する場合、種結晶基板から成長結晶を取り外さずに観察してもよい。成長結晶の成長面側にX線源を配置し、種結晶基板側に検出器を配置し、または逆方向に配置して観察を行うことができる。成長結晶の成長面に平行方向にスライスして成長結晶を切り出してから透過X線像を観察してもよい。
本開示の方法においては、種結晶基板は、(0001)面または(000−1)面の下面を有する。種結晶基板の下面または成長結晶の成長面とSi−C溶液の表面との間にメニスカスを形成することによって、口径拡大しながらSiC単結晶を成長させることができる。
種結晶基板は(0001)面または(000−1)面を有する限り、SiC単結晶の製造に一般に用いられる品質のSiC単結晶を種結晶基板として用いることができる。例えば昇華法で一般的に作成したSiC単結晶を種結晶基板として用いることができる。
種結晶基板の全体形状は、例えば板状、円盤状、円柱状、角柱状、円錐台状、または角錐台状等の任意の形状であることができる。
本開示の方法において、Si−C溶液は種結晶基板の下面のみに接し、種結晶基板の側面には濡れ上がらないようにすることが好ましい。種結晶基板の側面へのSi−C溶液の濡れ上がりを抑えるために、種結晶基板の形状は、成長面である下面とその反対側の上面が同じ面積である板状、円盤状、円柱状、若しくは角柱状、または下面が上面よりも大きい円錐台状若しくは角錐台状が好ましく、円錐台状若しくは角錐台状がより好ましい。
種結晶基板の厚みは、特に限定されないが、実用上15mm以下のものを用いることが好ましい。例えば1〜5mm厚の種結晶基板を用いることができる。
本開示の方法においては、種結晶基板の下面とSi−C溶液の液面との間に第1の高さを有するメニスカスを形成する。メニスカスの高さとは、Si−C溶液の液面と種結晶基板の成長面または成長結晶の成長面との間のSi−C溶液の液面に垂直方向の距離である。第1の高さとは、成長初期の種結晶基板の下面とSi−C溶液の液面との間のメニスカス高さである。
メニスカスとは、図1に示すように、表面張力によって種結晶基板14に濡れ上がったSi−C溶液24の液面(表面)に形成される凹状の曲面34をいう。種結晶基板14をSi−C溶液24に接触させた後、種結晶基板14の下面がSi−C溶液24の液面よりも高くなる位置に種結晶基板14を引き上げて保持することによって、第1の高さ15を有するメニスカスを形成することができる。
メニスカスの第1の高さ15は、<11−20>断面における口径拡大面として(1−101)面または(1−102)面が得られる高さであればよく、好ましくは0.1〜4.0mm、より好ましくは0.2〜3.0mm、さらに好ましくは0.3〜2.0mm、さらにより好ましくは0.5〜1.8mm、さらにより好ましくは1.0〜1.5mmである。
口径拡大面として、(1−101)面及び(1−102)面が、表面安定性が高く、バンチングが抑制され、インクルージョンの取り込みを抑制することができる。その他の面、例えば(1−103)面及び(1−104)面は、表面安定性が低く、インクルージョンが発生し得る。
図2に、(1−101)面、(1−102)面、(1−103)面、及び(1−104)面を成長面として用いて結晶成長を行った場合の、成長結晶の成長速度、成長面の表面粗さRa、及び成長面の顕微鏡写真を示す。
図2は、SiC単結晶から(1−101)面、(1−102)面、(1−103)面、及び(1−104)面を切り出した結晶を種結晶基板として用いて、切り出したそれぞれの面を成長面として用いてSiC単結晶を成長させて、成長結晶の品質を評価した結果である。
図2から、(1−101)面及び(1−102)面を成長面として成長させた結晶の成長面の表面粗さRaはそれぞれ、1.1μm及び1.4μmであり、(1−103)面及び(1−104)面を成長面として成長させるよりも表面安定性が高いことが分かる。このように、(1−101)面及び(1−102)面は表面安定性が高いので、バンチングが抑制され、インクルージョンの取り込みが抑制される。
本開示の方法においては、種結晶基板とSi−C溶液の液面との間に第1の高さを有するメニスカスを形成し、次いで、成長させるSiC単結晶の成長速度よりも遅い速度で種結晶基板を引き上げてSiC単結晶の成長面とSi−C溶液の液面との間のメニスカスの高さを第1の高さよりも小さくしながら且つ成長面の口径を拡大させながらSiC単結晶を成長させる。これにより、成長させるSiC単結晶の<11−20>断面における口径拡大面を(1−101)面または(1−102)面のどちらかに維持しながらSiC単結晶を成長させることができる。
SiC単結晶の成長速度とは、鉛直方向のSiC単結晶の成長速度である。成長させるSiC単結晶の成長速度よりも遅い速度で種結晶基板を引き上げることにより、SiC単結晶の成長面とSi−C溶液の液面との間のメニスカスの高さを第1の高さよりも小さくすることができる。
SiC単結晶の成長面とSi−C溶液の液面との間のメニスカスの高さを第1の高さよりも小さくすることにより、成長面の口径を拡大させながら成長させるSiC単結晶の<11−20>断面における口径拡大面を(1−101)面または(1−102)面のどちらかに維持することができる。
図3に、従来技術でメニスカス高さを維持しながら結晶成長させた場合の、種結晶基板及び成長結晶の<11−20>断面の模式図を示す。
図4に、本開示の方法で結晶成長させた場合の、種結晶基板及び成長結晶の<11−20>断面の模式図を示す。
図3に示すように、メニスカス高さを維持しながら結晶成長させる従来技術においては、口径拡大角が成長途中で変化してしまうために、口径拡大部に直線状インクルージョンが取り込まれ得る。このようなインクルージョンから転位や欠陥が発生するため、インクルージョンが発生するとSiC成長結晶の品質が低下する。
図4に示すように、本開示の方法によれば、口径拡大面が(1−101)面または(1−102)面のどちらかに維持されるので、口径拡大部に直線状インクルージョンが取り込まれない。
本開示において、口径拡大面とは、成長結晶40の成長面42に対する側面であって、成長結晶の<11−20>断面における成長面に向かって拡大する端部51をいう。口径拡大部とは、成長結晶40のうち、種結晶基板の下面の直下領域48の外側に成長させた部分46をいう。口径拡大角とは、口径拡大面51がc軸となす角度θをいう。
<11−20>断面における(1−101)面及び(1−102)面はそれぞれ、c軸とのなす角度が15度及び28度の面である。すなわち、成長結晶は、c軸に対して15度または28度の口径拡大角を有する。
口径拡大面は選択的に現れるので、口径拡大角は特定の角度を有する。(1−101)面または(1−102)面が得られているかどうかの判定は、c軸に対する口径拡大角が実質的に約15度または約28度であるかどうかを測定することによって行うことができる。
図5に、直径が異なる種結晶基板を用いてSiC単結晶を成長させる場合の、成長開始時のメニスカス高さと成長初期の口径拡大角との関係を表すグラフを示す。図5は、直径が50mm及び56mmの種結晶基板を用いてSiC単結晶を成長させたときの、成長開始時のメニスカス高さである第1のメニスカス高さと成長初期の成長結晶の口径拡大角とをプロットして得られたグラフである。
図5から、第1のメニスカス高さが同じである場合、大径の種結晶基板から結晶成長させるときの方が、小径の種結晶基板を用いて結晶成長させるときよりも、口径拡大角は小さくなることが分かる。したがって、メニスカス高さを維持する場合、結晶成長の口径が拡大して成長面の直径が大きくなると、成長結晶の口径拡大角は小さくなってしまう。
一方で、結晶成長において口径が拡大して成長面の直径が大きくなるとともに、メニスカス高さを小さくすることによって、成長結晶の口径拡大角を維持することができる。
事前に、直径が異なる種結晶基板を用いてSiC単結晶の成長試験を行い、種結晶基板の直径に応じた、メニスカス高さと口径拡大角の関係と、成長速度(成長量及び成長時間)とを把握しておくことが好ましい。
図6に、第1のメニスカス高さ、引上げ量(引上げ速度×成長時間)、成長後のメニスカス高さ、及び成長量(成長速度×成長時間)の関係を表す模式図を示す。成長後のメニスカス高さが第1のメニスカス高さよりも小さくなるようにするには、引上げ量を成長量よりも小さくすればよく、すなわち引き上げ速度を成長速度よりも小さくすればよい。
具体的には、次の式(1):
第1のメニスカス高さ+引き上げ速度×成長時間=成長後のメニスカス高さ+成長速度×成長時間 (1)
を満たすように、第1のメニスカス高さと(引上げ速度×成長時間)との合計が、成長後のメニスカス高さと(成長速度×成長時間)との合計に等しく、且つ成長後のメニスカス高さが第1のメニスカス高さよりも小さくなる範囲で、種結晶基板の引き上げ速度を決定することができる。
例えば、直径が50mmの種結晶基板を用いて口径が56mmのSiC単結晶を口径拡大角30度で成長させる場合、事前に得た図5のマップ及び成長速度に基づいて口径拡大角が28度に維持されるように、すなわち口径拡大面が(1−102)面に維持されるよう、上記式(1)において、第1のメニスカス高さ(初期メニスカス高さ)として0.9mm、口径が56mmになるときのメニスカス高さとして0.0mm、及び事前に調べた成長量(成長速度×成長時間)を代入し、種結晶基板の引き上げ速度を算出することができる。
このように決定した引き上げ速度で種結晶基板を引き上げることによって、SiC単結晶が成長して成長面の口径が大きくなるにつれてメニスカス高さを低くして口径拡大角を一定に維持して、口径拡大面を(1−101)面または(1−102)面のどちらかに維持することができる。
図11に、本開示の製造方法に用いられ得るSiC単結晶製造装置の断面模式図の一例を示す。図示したSiC単結晶製造装置100は、SiまたはSi/X(XはSi以外の1種以上の金属)の融液中にCが溶解してなるSi−C溶液24を収容した坩堝10を備え、Si−C溶液の内部から溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配を形成し、鉛直方向に昇降可能な種結晶保持軸12の先端に保持された種結晶基板14をSi−C溶液24に接触させて、種結晶基板14からSiC単結晶を成長させることができる。
種結晶基板14のSi−C溶液24への接触(以下、シードタッチともいう)は、種結晶基板14を保持した種結晶保持軸12をSi−C溶液24の液面に向かって降下させ、種結晶基板14の下面をSi−C溶液24の液面に対して平行にしてSi−C溶液24に接触させることによって行うことができる。そして、Si−C溶液24の液面に対して種結晶基板14を所定の位置に保持して、SiC単結晶を成長させることができる。
種結晶基板14の下面をSi−C溶液24に接触させた後、種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液24の液面に対して上方の位置に保持して、種結晶基板14とSi−C溶液24との間にメニスカスを形成しながら、SiC単結晶を成長させる。
本開示の方法において、Si−C溶液24とは、SiまたはSi/X(XはSi以外の1種以上の金属)の融液を溶媒とするCが溶解した溶液をいう。Xは一種類以上の金属であり、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成できれば特に制限されない。適当な金属Xの例としては、Ti、Mn、Cr、Ni、Ce、Co、V、Fe等が挙げられる。
Si−C溶液24は、原料を坩堝に投入し、加熱融解させて調製したSiまたはSi/Xの融液に、Cを溶解させることによって調製される。坩堝10を、黒鉛坩堝などの炭素質坩堝またはSiC坩堝とすることによって、坩堝10の溶解によりCが融液中に溶解し、Si−C溶液24を形成することができる。こうすると、Si−C溶液24中に未溶解のCが存在せず、未溶解のCへのSiC単結晶の析出によるSiCの浪費が防止できる。Cの供給は、例えば、炭化水素ガスの吹込み、または固体のC供給源を融液原料と一緒に投入するといった方法を利用してもよく、またはこれらの方法と坩堝の溶解とを組み合わせてもよい。
Si−C溶液24の温度は、通常、輻射等のためSi−C溶液24の内部よりも液面の温度が低い温度分布となるが、さらに、高周波コイル22の巻数及び間隔、高周波コイル22と坩堝10との高さ方向の位置関係、並びに高周波コイル22の出力を調整することによって、Si−C溶液24に種結晶基板14が接触する溶液上部が低温、溶液下部(内部)が高温となるようにSi−C溶液24の液面に垂直方向の温度勾配を形成することができる。例えば、下段コイル22Bの出力よりも上段コイル22Aの出力を小さくして、Si−C溶液24に溶液上部が低温、溶液下部が高温となる温度勾配を形成することができる。温度勾配は、例えば溶液の液面からの深さがおよそ1cmまでの範囲で10〜50℃/cmにすることができる。
Si−C溶液24中に溶解したCは、拡散及び対流により分散される。種結晶基板14の下面近傍は、加熱装置の出力制御、Si−C溶液24の液面からの放熱、及び種結晶保持軸12を介した抜熱等によって、Si−C溶液24の内部よりも低温となる温度勾配が形成され得る。高温で溶解度の大きい溶液内部に溶け込んだCが、低温で溶解度の低い種結晶基板付近に到達すると過飽和状態となり、この過飽和度を駆動力として種結晶基板14上にSiC結晶を成長させることができる。
Si−C溶液24は、その液面(表面)温度が、Si−C溶液へのCの溶解量の変動が少ない1800〜2200℃が好ましい。
Si−C溶液24の温度測定は、熱電対、放射温度計等を用いて行うことができる。熱電対に関しては、高温測定及び不純物混入防止の観点から、ジルコニアやマグネシア硝子を被覆したタングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対が好ましい。
単結晶製造装置100への種結晶基板14の設置は、種結晶基板14の上面を種結晶保持軸12に保持させることによって行うことができる。種結晶基板14の種結晶保持軸12への保持には、カーボン接着剤を用いることができる。
種結晶保持軸12は、その端面に種結晶基板14を保持する軸であり、黒鉛の軸であることができ、円柱状、角柱状等の任意の形状を有することができる。
保温のために、坩堝10の外周は、断熱材18で覆われている。断熱材18に覆われた坩堝10は一括して、石英管26内に収容される。石英管26の外周には、加熱装置として高周波コイル22が配置される。高周波コイル22は、上段コイル22A及び下段コイル22Bから構成されてもよく、上段コイル22A及び下段コイル22Bはそれぞれ独立して制御可能である。
坩堝10、断熱材18、石英管26、及び高周波コイル22は、高温になるので、水冷チャンバーの内部に配置される。水冷チャンバーは、装置内の雰囲気調整を可能にするために、ガス導入口とガス排気口とを備える。
(実施例1)
直径が50.8mm、厚みが700μmの円盤状4H−SiC単結晶であって、下面が(000−1)面を有する昇華法により作製したSiC単結晶を用意し、これを種結晶基板として用いた。種結晶基板の上面を、円柱形状の黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。
図11に示す単結晶製造装置100を用い、Si−C溶液24を収容する黒鉛坩堝10に、Si/Crを原子組成百分率でSi:Cr=60:40の割合で融液原料として仕込んだ。
単結晶製造装置100の内部を1×10-3Paに真空引きした後、1気圧になるまでヘリウムガスを導入して、単結晶製造装置100の内部の空気をヘリウムで置換した。黒鉛坩堝10の周囲に配置された加熱装置としての高周波コイル22に通電して加熱により黒鉛坩堝10内の原料を融解し、Si/Cr合金の融液を形成した。そしてSi/Cr合金の融液に黒鉛坩堝10から十分な量のCを溶解させて、Si−C溶液24を形成した。
上段コイル22A及び下段コイル22Bの出力を調節して黒鉛坩堝10を加熱し、Si−C溶液24の表面における温度を2000℃に昇温させ、並びにSi−C溶液24の表面から1cmの範囲で溶液内部から溶液表面に向けて温度低下する平均温度勾配が30℃/cmとなるように制御した。Si−C溶液24の表面の温度測定は放射温度計により行い、Si−C溶液24の温度勾配の測定は、鉛直方向に移動可能な熱電対を用いて行った。
種結晶保持軸12に接着した種結晶基板14の下面をSi−C溶液24の液面に平行にして、種結晶基板14の下面の位置を、Si−C溶液24の液面に一致する位置に配置して、Si−C溶液に種結晶基板の下面を接触させるシードタッチを行い、次いで、種結晶保持軸12及び種結晶基板14を1.0mm引き上げてメニスカスを形成した。0.060mm/hの速度で種結晶基板を引き上げながら40時間、結晶成長を行った。SiC単結晶の成長速度は0.083mm/hであり、成長速度に対して種結晶基板の引き上げ速度を遅くした。
結晶成長の終了後、種結晶保持軸12を上昇させて、室温まで冷却して、種結晶基板14及び種結晶基板を基点として成長したSiC結晶を、Si−C溶液24及び種結晶保持軸12から切り離して回収した。
図7に、種結晶基板及び成長結晶の<11−20>断面を観察した顕微鏡写真を示す。図7に示すように、口径拡大角は一定であり(1−102)面が維持されていた。図8に、得られた成長結晶の透過X線像を示す。透過X線像は、成長面側にX線源を配置し、種結晶基板側に検出器を配置して観察して得た。図8に示すように、口径拡大部にインクルージョンは含まれていなかった。
(比較例1)
SiC単結晶の成長速度0.085mm/hに対して種結晶基板の引き上げ速度を0.087mm/hとして実質的に同じにして、50時間の結晶成長を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件でSiC単結晶の成長を行った。
図9に、種結晶基板及び成長結晶の<11−20>断面を観察した顕微鏡写真を示す。図9に示すように、(1−103)面から成長途中で(1−102)面に口径拡大面が変化していた。図10に、得られた成長結晶の透過X線像を示す。透過X線像は、成長面側にX線源を配置し、種結晶基板側に検出器を配置して観察して得た。図10に示すように、口径拡大部にはインクルージョンが含まれていた。
100 単結晶製造装置
10 坩堝
12 種結晶保持軸
14 種結晶基板
15 第1のメニスカスの高さ
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管
34 メニスカス
40 SiC成長結晶
42 成長面
46 口径拡大部
48 種結晶基板の直下領域
51 口径拡大面

Claims (1)

  1. 内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
    前記種結晶基板が、(0001)面または(000−1)面の下面を有し、
    前記種結晶基板の前記下面と前記Si−C溶液の液面との間に第1の高さを有するメニスカスを形成すること、及び
    成長させるSiC単結晶の<11−20>断面における口径拡大面が(1−101)面または(1−102)面のどちらかに維持されるように、前記SiC単結晶の成長速度よりも遅い速度で前記種結晶基板を引き上げて前記SiC単結晶の成長面と前記Si−C溶液の液面との間の前記メニスカスの高さを前記第1の高さよりも小さくしながら且つ前記成長面の口径を拡大させながら前記SiC単結晶を成長させること、
    を含む、SiC単結晶の製造方法。
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