JP2018043907A - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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幹尚 加渡
Mikihisa Kawatari
幹尚 加渡
酒井 武信
Takenobu Sakai
酒井  武信
徹 宇治原
Toru Ujihara
徹 宇治原
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Abstract

【課題】SiC単結晶の成長中にメニスカス高さの調整を十分に行うことができるSiC単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】坩堝内に配置された、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持した種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、種結晶基板とSi−C溶液との間にメニスカスを形成すること、メニスカスにX線を照射し、X線の強度を変化させながらメニスカスの形状の透過観察を行って、メニスカスの高さを測定すること、及び測定したメニスカスの高さの、基準高さからの変化を補正するように、種結晶保持軸または坩堝の少なくとも一方を鉛直方向に移動させること、を含む、SiC単結晶の製造方法。【選択図】図8

Description

本開示は、SiC単結晶の製造方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有する。そのため、Si単結晶やGaAs単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高出力、高周波、耐電圧、耐環境性等を実現することが可能であり、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量情報通信用デバイス材料、車載用高温デバイス材料、耐放射線デバイス材料等、といった広い範囲における、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
従来、SiC単結晶の成長法としては、代表的には気相法、アチソン(Acheson)法、及び溶液法が知られている。気相法のうち、例えば昇華法では、成長させた単結晶にマイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通状の欠陥や積層欠陥等の格子欠陥が生じやすい等の欠点を有するが、従来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造されており、成長結晶の欠陥を低減する試みも行われている。アチソン法では原料として珪石とコークスを使用し電気炉中で加熱するため、原料中の不純物等により結晶性の高い単結晶を得ることは不可能である。
溶液法は、黒鉛坩堝中でSi融液またはSi以外の金属を融解したSi融液を形成し、その融液中にCを溶解させ、低温部に設置した種結晶基板上にSiC結晶層を析出させて成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ熱平衡に近い状態での結晶成長が行われるため、低欠陥化が期待できる。このため、最近では、溶液法によるSiC単結晶の製造方法がいくつか提案されており、SiC種結晶の成長界面とSi−C溶液の液面との間にメニスカスを形成して、SiC単結晶を成長させる方法が行われている(特許文献1)。
特開2014−201509号公報
一方で、メニスカス高さが変動すると、種結晶基板の成長面近傍のSi−C溶液の過飽和度の変動につながり、成長させるSiC単結晶の品質に大きく影響する。そこで、特許文献1においては、SiC単結晶の質の低下を抑制するために、種結晶保持軸及び坩堝の少なくとも一方を他方に対して高さ方向に相対移動させることにより、メニスカスの高さの変動幅を所定の範囲内に維持する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1等の従来技術においては、SiC単結晶の成長中に坩堝内のメニスカスの状態を正確に観察することができず、メニスカス高さの調整を十分に行うことが難しかった。
本開示は、坩堝内に配置された、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持した種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
種結晶基板とSi−C溶液との間にメニスカスを形成すること、
坩堝の側面を通してメニスカスにX線を照射し、X線の強度を変化させながらメニスカスの形状の透過観察を行って、メニスカスの高さを測定すること、及び
測定したメニスカスの高さの、基準高さからの変化を補正するように、種結晶保持軸または坩堝の少なくとも一方を鉛直方向に移動させること、
を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、SiC単結晶の成長中にメニスカス高さの調整を十分に行うことができる。
図1は、成長開始時における坩堝壁、Si−C溶液、及びSi−C溶液の液面上方の雰囲気ガスの3相界面の状態を表す断面模式図である。 図2は、成長開始時におけるメニスカス形状を表すX線透過像である。 図3は、成長開始から所定時間経過した時点における坩堝壁、Si−C溶液、及びSi−C溶液の液面上方の雰囲気ガスの3相界面の状態を表す断面模式図である。 図4は、成長開始から所定時間経過した時点において、X線強度を変えずにメニスカスを観察した場合のX線透過像である。 図5は、成長開始から所定時間経過した時点において、本開示の方法でメニスカスを観察した場合のX線透過像である。 図6は、種結晶基板とSi−C溶液との間に形成されるメニスカスの断面模式図である。 図7は、種結晶基板とSi−C溶液との間に形成されるメニスカスの断面模式図である。 図8は、本開示の方法に用いられ得るSiC単結晶製造装置の一例を表す断面模式図である。 図9は、X線出力を変えずに観察した各成長時間におけるメニスカスのX線透過像である。 図10は、本開示の方法で観察した各成長時間におけるメニスカスのX線透過像である。 図11は、メニスカス高さの調節を行わずに成長させた成長結晶を側面から観察した外観写真である。 図12は、メニスカス高さの調節を行わずに成長させた成長結晶を成長面から観察した外観写真である。 図13は、メニスカス高さを一定に保ちながら成長させた成長結晶を側面から観察した外観写真である。 図14は、メニスカス高さを一定に保ちながら成長させた成長結晶を成長面から観察した外観写真である。
本明細書において、(000−1)面等の表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを「−1」と表記したものである。
従来、溶液法によるSiC単結晶の成長の際、メニスカスの状態をin−situ観察することができず、メニスカス高さを一定に保つために、経験に基づいた推定によって種結晶保持軸や坩堝を動かすしかなかった。再現性が得られないことがあり、メニスカス高さを正確に制御することができなかった。
本発明者は、X線を用いてメニスカス高さを観察してメニスカス高さを正確に制御する方法を検討した。溶液法によるSiC単結晶の成長においては、時間が経過するにつれて、坩堝壁、Si−C溶液、及びSi−C溶液の液面上方の雰囲気ガスの3相界面で雑結晶が発生しやすい。3相界面に雑結晶が発生するとその部分で観察用のX線が減衰するため、メニスカス高さの正確な観察ができないことが分かった。
図1に、成長開始時における坩堝壁、Si−C溶液、及びSi−C溶液の液面上方の雰囲気ガスの3相界面の状態を表す断面模式図を示す。成長開始時においては、図2に示すように、メニスカス部分の明確なX線透過像34’を得ることができる。
しかしながら、成長開始から所定時間経過すると、図3に示すように、坩堝壁、Si−C溶液、及びSi−C溶液の液面上方の雰囲気ガスの3相界面に雑結晶17が発生しやすく、さらにその部分にSi−C溶液が濡れ上がってしまう。そのため、図4に示すように、成長開始から所定時間経過した時点では、メニスカス形状を正確に観察することができない。
本発明者は、長時間安定して正確にメニスカス高さを観察する方法について鋭意研究を行い、その結果、X線の強度を変化させながらメニスカス形状の透過観察を行い、メニスカスの高さを測定する方法を見出した。
本開示は、坩堝内に配置された、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持した種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、種結晶基板とSi−C溶液との間にメニスカスを形成すること、坩堝の側面を通してメニスカスにX線を照射し、X線の強度を変化させながらメニスカスの形状の透過観察を行って、メニスカスの高さを測定すること、及び測定したメニスカスの高さの、基準高さからの変化を補正するように、種結晶保持軸または坩堝の少なくとも一方を鉛直方向に移動させること、を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、SiC単結晶の成長中に、時間の経過に伴いX線強度を変えながら透過観察を行うことにより、図5に示すように、メニスカス部分の明確なX線透過像34’を得ることができ、メニスカス高さを正確に測定することが可能になる。これにより、メニスカス高さの調整を十分に行うことができる。メニスカス高さの調整を十分に行うことができるので、意図しない過飽和度の変化を抑制することができ、また、異種ポリタイプなどの結晶欠陥の発生を回避することができる。
本開示の方法は溶液法を用いる。溶液法とは、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸の下端面に保持したSiC種結晶基板を接触させてSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法である。Si−C溶液の内部から溶液の液面(表面)に向けて温度低下する温度勾配を形成することによってSi−C溶液の表面領域を過飽和にして、Si−C溶液に接触させた種結晶基板から、SiC単結晶を成長させることができる。
本開示の方法においては、種結晶基板とSi−C溶液との間にメニスカスを形成する。メニスカスとは、図6及び図7に示すように、表面張力によって種結晶基板14に濡れ上がったSi−C溶液24の液面(表面)に形成される凹状の曲面34をいう。図6においては、Si−C溶液は、種結晶基板14の下面のみに濡れており、図7においては、Si−C溶液は、種結晶基板14の下面だけでなく側面にも濡れ上がっている。
すなわち、メニスカスとは、図6に示すように、種結晶基板14の成長面となる下面とSi−C溶液24の液面との間に形成される凹状の曲面34、または図7に示すように、種結晶基板14の側面とSi−C溶液24の液面との間に形成される凹状の曲面34をいう。
種結晶基板14とSi−C溶液24との間にメニスカスを形成しながら、SiC単結晶を成長させることができる。種結晶基板をSi−C溶液に接触させた後、種結晶基板の下面がSi−C溶液の液面よりも高くなる位置に種結晶基板を引き上げて保持することによって、または種結晶基板をSi−C溶液に接触させて種結晶基板の側面にSi-C溶液を濡れ上がらせることによって、メニスカスを形成することができる。
メニスカスの高さ15とは、凹状の曲面34の鉛直方向の高さ、すなわち、図6においては種結晶基板14の成長面となる下面とSi−C溶液24の液面との間の鉛直方向の高さであり、図7においては、種結晶基板14の側面に濡れ上がったSi−C溶液の最上部とSi−C溶液24の液面との間の鉛直方向の高さである。
成長面の外周部に形成されるメニスカス部分は輻射抜熱により温度が低下しやすいので、メニスカスを形成することによって、結晶成長面の界面直下の中央部よりも外周部のSi−C溶液の温度が低くなる温度勾配を形成して、凹形状の成長面を有するSiC単結晶を成長させることができる。
メニスカス高さは、狙いの成長結晶の口径等に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは0.3〜5.0mm、より好ましくは0.5〜4.0mm、さらに好ましくは1.0〜3.0mmである。上記範囲のメニスカス高さを形成することによって、より安定してSiC単結晶を成長させることができる。
本開示の方法においては、坩堝の側面を通してメニスカスにX線を照射し、X線の強度を変化させながらメニスカス形状の透過観察を行い、メニスカスの高さを測定する。
本開示の方法によれば、坩堝壁、Si−C溶液、及びSi−C溶液の液面上方の雰囲気ガスの3相界面におけるX線透過率の変化にともなってX線強度を変動させて、坩堝内部のメニスカス形状のX線透過像をin−situで観察し、メニスカス高さの変動をin−situで評価することができる。
また、本開示の方法を用いれば、SiC単結晶の成長中に成長結晶の厚みを正確に測定することもできるので、本開示の方法は、成長結晶の厚みや結晶成長速度をin−situで測定することにも応用可能である。
X線は、X線発生装置を用いて発生させることができる。透過X線を受ける位置に、イメージインテンシファイア及びCCDカメラを配置してもよい。透過X線を、イメージインテンシファイアにて可視像に変換し、変換した可視像をさらにCCDカメラにてデジタル信号に変換することができる。
X線透過率の変化にともなってX線強度を変動させる手法としては、例えば、デジタル信号に変換したX線透過像において、例えばメニスカスの最下端部にて所定値以上のコントラスト差が得られるように、X線管電圧を調節する等によりX線出力を調節すること、フィルタを用いること等が挙げられる。
本開示の方法においては、測定したメニスカスの高さの、基準高さからの変化を補正するように、種結晶保持軸または坩堝の少なくとも一方を鉛直方向に移動させる。
基準高さは任意に設定することができ、例えば結晶成長開始時のメニスカス高さにしてもよく、または結晶成長開始時のメニスカス高さから所定のずれの範囲、例えば結晶成長開始時±Ymm(Yは、0.0mm、0.1mm、0.2mm、または0.3mm)の範囲にしてもよい。
測定したメニスカス高さの基準高さからの変化を補正するように、好ましくはメニスカス高さが一定になるように、坩堝または種結晶保持軸の位置を、任意のタイミングで制御することができる。メニスカス高さの補正を行うタイミングは、リアルタイムに連続的に行ってもよく、あるいは、例えば1分〜2時間毎若しくは10分〜1時間毎に行ってもよい。
CCDカメラには、制御部が接続されていてもよい。CCDカメラで変換されたデジタル信号からメニスカス高さを算出し、測定したメニスカス高さの基準高さからの変化を補正するように、種結晶保持軸または坩堝の少なくとも一方を鉛直方向に移動させる移動量を算出し、種結晶保持軸に接続された種結晶保持軸駆動部または坩堝に接続された坩堝駆動部に、駆動用の信号を送ることができる。
デジタル信号に変換したX線透過像からメニスカス高さを算出する手法としては、好ましくは、画像処理による曲線化(数式化)を行い、メニスカス高さを算出する方法、X線透過像において一定以上のコントラスト差を基準に、メニスカスの最下端を決定し、メニスカス高さを測定する方法が挙げられる。
図8に、本開示の方法を実施し得るSiC単結晶製造装置の一例を示す。図示したSiC単結晶製造装置100は、SiまたはSi/Xの融液中にCが溶解してなるSi−C溶液24を収容した坩堝10を備え、Si−C溶液の内部から溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配を形成し、昇降可能な種結晶保持軸12の先端に保持された種結晶基板14をSi−C溶液24に接触させて、種結晶基板14を基点としてSiC単結晶を成長させることができる。
Si−C溶液24は、原料を坩堝に投入し、加熱融解させて調製したSiまたはSi/Xの融液にCを溶解させることによって調製される。坩堝10を、黒鉛坩堝などの炭素質坩堝またはSiC坩堝とすることによって、坩堝10の溶解によりCが融液中に溶解し、Si−C溶液を形成することができる。こうすると、Si−C溶液24中に未溶解のCが存在せず、未溶解のCへのSiC単結晶の析出によるSiCの浪費が防止できる。Cの供給は、例えば、炭化水素ガスの吹込み、または固体のC供給源を融液原料と一緒に投入するといった方法を利用してもよく、またはこれらの方法と坩堝の溶解とを組み合わせてもよい。
保温のために、坩堝10の外周は、断熱材18で覆われている。これらが一括して、石英管26内に収容されている。石英管26の外周には、加熱用の高周波コイル22が配置されている。高周波コイル22は、上段コイル22A及び下段コイル22Bから構成されている。上段コイル22A及び下段コイル22Bは、それぞれ平行巻きに配置され、上段コイル22A及び下段コイル22Bの鉛直方向の間隔を、例えば20mm程度にして配置される。上段コイル22A及び下段コイル22Bはそれぞれ独立して制御可能である。
坩堝10、断熱材18、石英管26、及び高周波コイル22は、高温になるので、水冷チャンバー28の内部に配置される。水冷チャンバー28は、装置内の雰囲気調整を可能にするために、ガス導入口とガス排気口とを備え、さらに、対向するように2つのX線透過像観察用耐熱ガラス窓を備える。
上段コイル22A及び下段コイル22Bの間に配置された耐熱ガラス窓をX線が通過するように、チャンバーの外側であって一方の耐熱ガラス窓に向けて、X線発生装置が配置されている。X線発生装置は、X線が略水平に発生する向きに配置され得る。他方の耐熱ガラス窓からでてくる透過X線を受ける位置に、イメージインテンシファイア及びCCDカメラが配置されている。透過X線は、イメージインテンシファイアにて可視像に変換され、CCDカメラにてデジタル信号に変換される。
CCDカメラには、制御部が接続されている。CCDカメラで変換されたデジタル信号からメニスカス高さを算出し、測定したメニスカス高さの基準高さからの変化を補正するように、種結晶保持軸または坩堝の少なくとも一方を鉛直方向に移動させる移動量を算出し、種結晶保持軸に接続された種結晶保持軸駆動部または坩堝に接続された坩堝駆動部に、駆動用の信号を送ることができる。種結晶保持軸駆動部及び坩堝駆動部は、駆動用の信号にもとづいて、種結晶保持軸または坩堝の少なくとも一方を鉛直方向に移動させることができる。種結晶保持軸駆動部及び坩堝駆動部は、別々でもよく一体であってもよい。
本開示の方法に用いられ得る種結晶基板として、例えば昇華法で一般的に作成したSiC単結晶を用いることができる。種結晶基板は、成長面がフラットであり(0001)ジャスト面または(000−1)ジャスト面を有するSiC単結晶であることができる。種結晶基板の全体形状は、例えば板状、円盤状、円柱状、角柱状、円錐台状、または角錐台状等の任意の形状であることができる。
種結晶保持軸12に種結晶基板14を保持させることは、接着剤等を用いて種結晶基板14の上面を種結晶保持軸12の下端面に接着させることによって行うことができる。
本願において、Si−C溶液とは、SiまたはSi/X(XはSi以外の1種以上の金属)の融液を溶媒とするCが溶解した溶液をいう。Xは一種類以上の金属であり、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成できれば特に制限されない。適当な金属Xの例としては、Ti、Mn、Cr、Ni、Ce、Co、V、Fe等が挙げられる。
Si−C溶液はSi/Cr/X(XはSi及びCr以外の1種以上の金属)の融液を溶媒とするSi−C溶液が好ましい。さらに、原子組成百分率でSi:Cr:X=30〜80:20〜60:0〜10の融液を溶媒とするSi−C溶液が、Cの溶解量の変動が少なく好ましい。例えば、坩堝内にSiに加えて、Cr、Ni等を投入し、Si−Cr溶液、Si−Cr−Ni溶液等を形成することができる。
Si−C溶液は、その液面(表面)温度が、Si−C溶液へのCの溶解量の変動が少ない1800〜2200℃が好ましい。
Si−C溶液の温度測定は、熱電対、放射温度計等を用いて行うことができる。熱電対に関しては、高温測定及び不純物混入防止の観点から、ジルコニアやマグネシア硝子を被覆したタングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対が好ましい。
Si−C溶液の温度は、通常、輻射等のためSi−C溶液の内部よりも液面の温度が低い温度分布となるが、さらに、高周波コイル22の巻数及び間隔、高周波コイル22と坩堝10との高さ方向の位置関係、並びに高周波コイルの出力を調整することによって、Si−C溶液24に種結晶基板14が接触する溶液上部が低温、溶液下部(内部)が高温となるようにSi−C溶液24の液面に垂直方向の温度勾配を形成することができる。例えば、下段コイル22Bの出力よりも上段コイル22Aの出力を小さくして、Si−C溶液24に溶液上部が低温、溶液下部が高温となる温度勾配を形成することができる。温度勾配は、例えば溶液の液面からの深さがおよそ1cmまでの範囲で10〜50℃/cmにすることができる。
Si−C溶液24中に溶解したCは、拡散及び対流により分散される。種結晶基板14の下面近傍は、加熱装置の出力制御、Si−C溶液24の液面からの放熱、及び種結晶保持軸12を介した抜熱等によって、Si−C溶液24の内部よりも低温となる温度勾配が形成され得る。高温で溶解度の大きい溶液内部に溶け込んだCが、低温で溶解度の低い種結晶基板付近に到達すると過飽和状態となり、この過飽和度を駆動力として種結晶基板14上にSiC結晶を成長させることができる。
(参考例1)
直径22mm及び厚み340μmの円盤状の4H−SiC単結晶であって、下面が(000−1)面(ジャスト面)を有する昇華法により作製したSiC単結晶を用意して種結晶基板として用いた。種結晶基板の上面を、直径が25mmの円柱形状の黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。
図8に示す単結晶製造装置を用い、Si−C溶液24を収容する黒鉛坩堝に、Si/Crを原子組成百分率で60:40の割合で融液原料として仕込んだ。単結晶製造装置の内部の空気をヘリウムで置換した。
水冷チャンバー28は、対向して配置される2つのX線観察用耐熱ガラス窓29(パイレックス(登録商標)ガラス)を備える。
上段コイル22A及び下段コイル22Bの間に配置された耐熱ガラス窓をX線が通過するように、チャンバーの外側であって一方の耐熱ガラス窓に向けて、X線発生装置27(TITAN−160型、160kV、45mA)を配置した。他方の耐熱ガラス窓からでてくる透過X線を受ける位置に、イメージインテンシファイア30(東芝電子管デバイス株式会社製、IA−7VS−K)及びCCDカメラ32(センテック株式会社製、STC−CL83A)を配置した。
黒鉛坩堝10の周囲に配置された高周波コイル22に通電して加熱により黒鉛坩堝10内の原料を融解し、Si/Cr合金の融液を形成した。そしてSi/Cr合金の融液に黒鉛坩堝10から十分な量のCを溶解させて、Si−C溶液24を形成した。
上段コイル22A及び下段コイル22Bの出力を調節して黒鉛坩堝10を加熱し、Si−C溶液24の内部から溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配を形成した。所定の温度勾配が形成されていることの確認は、昇降可能な熱電対を用いて、Si−C溶液24の温度を測定することによって行った。高周波コイル22A及び22Bの出力制御により、Si−C溶液24の液面における温度を2000℃まで昇温させ、並びに溶液の液面から3mmの範囲で溶液内部から溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配が20℃/cmとなるように高周波コイル22の出力を調節した。
黒鉛軸に接着した種結晶基板の(000−1)面である下面をSi−C溶液面に平行に保ちながら、種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液の液面に一致する位置に配置して、Si−C溶液に種結晶基板の下面を接触させるシードタッチを行った。シードタッチの直後に、種結晶基板の下面の位置がSi−C溶液の液面よりも2.0mm上方に位置するように、鉛直方向上方に黒鉛軸を引き上げて図6に示すような形状のメニスカスを形成した。2.0mm引き上げた位置でメニスカスを形成しながら24時間保持してSiC結晶を成長させた。X線発生装置27からメニスカスに向かって水平方向からX線を照射し、イメージインテンシファイア30で透過X線を可視像に変換し、CCDカメラ32でデジタル信号に変換した。さらに、デジタル信号に変換したX線透過像において、所定値以上のコントラスト差を基準にしてメニスカスの最下端を決定し、メニスカス高さを測定した。
成長開始から、2時間で80kV、12時間及び24時間経過時点で140kVにして、X線強度を変えながらメニスカス形状を観察し、メニスカス高さを測定した。メニスカス形状のX線透過像を図9に示す。
成長開始から2時間経過時点では、X線出力80kVの観察によって、メニスカス高さの測定が可能であり、メニスカス高さは2.5mmであった。
成長開始から12時間経過時点及び24時間経過時点において、メニスカスの下部のコントラストが所定値以上になるようにX線出力を140kVまで上げてメニスカス高さを測定した。12時間経過時点、24時間経過時点のメニスカス高さはそれぞれ、4.5mm、6.5mmであった。24時間経過後に成長結晶を回収した。
成長結晶を側面から観察した外観写真を図11に、成長面から観察した外観写真を図12に示す。結晶成長の途中からメニスカス高さが増加した影響により、結晶成長速度が急増し、成長結晶中へのSi−C溶液の取り込みが発生したことが分かる。成長面の最表面においてポリタイプは15R及び6Hに変化していた。
(実施例1)
10分毎にメニスカス測定を行い、その都度、基準高さである2.0mmからの変化をゼロに補正するように、種結晶保持軸を鉛直方向に移動させたこと以外は、参考例1と同様の条件で24時間、SiC単結晶の成長を行った。
成長結晶を側面から観察した外観写真を図13に、成長面から観察した外観写真を図14に示す。メニスカス高さを一定に保つことにより、安定的な結晶口径の拡大と平滑な成長面を実現した。成長面の最表面においてもポリタイプは4Hを保っていた。
(参考例2)
成長開始から、2時間、12時間及び24時間経過時点で、X線強度を80kVにしてX線強度を変えずにメニスカス形状を観察し、メニスカス高さを測定した。メニスカス形状のX線透過像を図10に示す。
成長開始から12時間経過時点、24時間経過時点では、メニスカスの下部のコントラストがうまく得られず、メニスカス高さを測定することができなかった。
(参考例3)
成長開始時点でX線強度を140kVにしてメニスカス形状を観察しようとしたところ、Si−C溶液の液面付近のコントラストが不明瞭であり、メニスカス形状を観察することができなかった。
100 単結晶製造装置
10 坩堝
12 種結晶保持軸
14 種結晶基板
15 メニスカスの高さ
17 雑結晶
16 種結晶基板のジャスト面
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管
27 X線発生装置
28 水冷チャンバー
29 ガラス窓
30 イメージインテンシファイア
32 CCDカメラ
34 メニスカス
34’ メニスカス部分のX線透過像
40 SiC成長結晶

Claims (1)

  1. 坩堝内に配置された、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持した種結晶基板を接触させてSiC単結晶を結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
    前記種結晶基板と前記Si−C溶液との間にメニスカスを形成すること、
    前記坩堝の側面を通して前記メニスカスにX線を照射し、前記X線の強度を変化させながら前記メニスカスの形状の透過観察を行って、前記メニスカスの高さを測定すること、及び
    前記測定したメニスカスの高さの、基準高さからの変化を補正するように、前記種結晶保持軸または前記坩堝の少なくとも一方を鉛直方向に移動させること、
    を含む、SiC単結晶の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019196050A1 (zh) * 2018-04-12 2019-10-17 大连理工大学 一种基于碳化硅单晶的 x 射线探测器及其制备方法

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