JP2018095542A - n型SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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嵩幸 白井
Takayuki Shirai
嵩幸 白井
寛典 大黒
Hironori Oguro
寛典 大黒
楠 一彦
Kazuhiko Kusunoki
一彦 楠
和明 関
Kazuaki Seki
和明 関
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Abstract

【課題】n型の4H−SiC単結晶を安定して成長させることができるSiC単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液にSiC種結晶基板を接触させてn型SiC単結晶を結晶成長させる、n型SiC単結晶の製造方法であって、種結晶基板が、4H−SiCであり、且つ(000−1)面を有し、(000−1)面から結晶成長を行うこと、及びSi−C溶液を形成するための原料またはSi−C溶液に、アルミニウム及び窒化クロムを添加することを含み、アルミニウムの添加量x及び窒化クロムの添加量yが、式(1)〜(4):y≦1x/3+1/15 (1)、y≧17x/60−1/12 (2)、0.03≦y≦0.2 (3)、0.1≦x≦1 (4)の全てを満たす範囲内にある、n型SiC単結晶の製造方法。【選択図】図6

Description

本開示は、n型SiC単結晶の製造方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有する。そのため、Si単結晶やGaAs単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高出力、高周波、耐電圧、耐環境性等を実現することが可能であり、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量情報通信用デバイス材料、車載用高温デバイス材料、耐放射線デバイス材料等、といった広い範囲における、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
SiC単結晶の成長法としては、代表的には気相法、アチソン(Acheson)法、及び溶液法が知られている。気相法のうち、例えば昇華法では、成長させた単結晶にマイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通状の欠陥や積層欠陥等の格子欠陥及びポリタイプが生じやすいという欠点を有するが、結晶の成長速度が大きいため、従来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造されており、成長結晶の欠陥を低減する試みも行われている。アチソン法では原料として珪石とコークスを使用し電気炉中で加熱するため、原料中の不純物等により結晶性の高い単結晶を得ることは不可能である。
溶液法は、黒鉛坩堝中でSi融液またはSi以外の金属を融解したSi合金融液を形成し、その融液中にCを溶解させSi−C溶液を形成し、Si−C溶液の低温部に設置した種結晶基板上にSiC結晶層を析出させて成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ熱平衡に近い状態での結晶成長が行われるため、昇華法よりも低欠陥化が期待できる。このため、最近では、溶液法によるSiC単結晶の製造方法がいくつか提案されている。
また、SiC単結晶をパワーデバイス等の電子デバイスに適用しようとする場合等、電力損失を低減するために、体積抵抗率(以下、抵抗率とする)の小さなSiC単結晶を得ようとする試みが行われている。例えば、Si−C溶液に窒化物を添加してn型SiC単結晶を成長させることが提案されている(特許文献1)。
国際公開第2014/103394号
SiC単結晶には、積層構造が異なるポリタイプが200種類以上存在することが知られている。そのうち、4H−SiC単結晶は最も優れた物性値を有しており、デバイス応用に適している。また、n型SiC単結晶を成長させるためには、特許文献1等の従来技術に示されるように、SiC単結晶中に窒素をドープする方法が知られているが、窒素をドープする場合、4H−SiC単結晶を安定して成長させることは難しかった。
そのため、n型の4H−SiC単結晶を安定して成長させることができるSiC単結晶の製造方法が求められている。
本開示は、内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液にSiC種結晶基板を接触させてn型SiC単結晶を結晶成長させる、n型SiC単結晶の製造方法であって、
種結晶基板が、4H−SiCであり、且つ(000−1)面を有し、
(000−1)面から結晶成長を行うこと、及び
Si−C溶液を形成するための原料またはSi−C溶液に、アルミニウム及び窒化クロムを添加することを含み、
アルミニウムの添加量x及び窒化クロムの添加量yが、式(1)〜(4):
y≦1x/3+1/15 (1)
y≧17x/60−1/12 (2)
0.03≦y≦0.2 (3)
0.1≦x≦1 (4)
の全てを満たす範囲内にある、
n型SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、n型の4H−SiC単結晶を安定して成長させることができる。
図1は、Si−C溶液にAlを添加しないで結晶成長させた場合の2次元核発生による結晶成長の態様を表す断面模式図である。 図2は、Si−C溶液にAlを添加して結晶成長させた場合の2次元核発生による結晶成長の態様を表す断面模式図である。 図3は、Si−C溶液にAlを添加しないで結晶成長させた場合の種結晶基板及び成長結晶の断面写真である。 図4は、Si−C溶液にAlを添加して結晶成長させた場合の種結晶基板及び成長結晶の断面写真である。 図5は、本開示の製造方法に用いられ得るSiC単結晶製造装置の断面模式図の一例である。 図6は、実施例1〜5及び比較例1〜5のAl添加量とCrN添加量との関係をプロットし、並びに式(1)〜(4)を満たす範囲を破線で示したグラフである。
本明細書において、(000−1)面等の表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを「−1」と表記したものである。
上記のように、従来、溶液法により窒素ドープしてn型SiC単結晶を得るために、Si−C溶液を形成するための原料またはSi−C溶液に窒化物を添加する方法が提案されている。
溶液法によるSiC単結晶の成長においては、結晶の外周部に二次元核が生成され、そこを基点に結晶成長が進行する。成長結晶に窒素をドープする特許文献1等の従来法においては、図1に示すように、4Hの種結晶基板を用いているにも関わらず、3Cや6H等の4H以外の二次元核が生成し得るため、4H−SiC単結晶を安定的に得ることが難しかった。
本発明者は、Si−C溶液を形成するための原料またはSi−C溶液に、窒化クロムを添加し、さらにアルミニウムを添加することによって、n型の4H−SiC単結晶を安定して成長させることができることを見出した。
本開示のSiC単結晶の製造方法は、内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液にSiC種結晶基板を接触させてn型SiC単結晶を結晶成長させる、n型SiC単結晶の製造方法であって、種結晶基板が、4H−SiCであり、且つ(000−1)面を有し、(000−1)面から結晶成長を行うこと、及びSi−C溶液を形成するための原料またはSi−C溶液に、アルミニウム及び窒化クロムを添加することを含み、アルミニウムの添加量x及び窒化クロムの添加量yが、式(1)〜(4):y≦1x/3+1/15 (1)、y≧17x/60−1/12 (2)、0.03≦y≦0.2 (3)、0.1≦x≦1 (4)の全てを満たす範囲内にある。
窒化クロムの添加によってn型SiC単結晶を成長させることができ、これに加えて、Alを添加することで、4Hの二次元核を生成しやすくなるので、4H−SiC単結晶を安定して成長させることができる。図2に示すように、Alを添加した場合は4Hの二次元核が生成するため、ステップフロー成長により、n型の4H−SiC単結晶を安定して成長させることができる。
理論に束縛されるものではないが、Alを添加することにより4Hの二次元核が生成する理由は以下のように考えられる。4H−SiC種結晶基板の(000−1)面(C面)を成長面として、Alを添加しないで窒素をドープさせながら結晶成長を行う場合、図3に示すように種結晶基板の成長面から結成成長が進むが、Alを添加して結晶成長させる場合、図4に示すように、成長結晶の{11−20}面の外周部に{1−102}面が存在し、{1−102}面と(000−1)面との交点が最成長部となるように結晶成長が進む。最成長部とは二次元核の生成部である。{1−102}面は、(000−1)面に対して斜めの面であるため、成長結晶の口径拡大部が{1−102}面を有するように4H−SiC種結晶基板の結晶構造を引き継ぐことができる。そのため、窒素をドープさせながら結晶成長を行う場合でも、{1−102}面上に付着成長することによって、4Hの二次元核が生成して、4Hを維持しながら結晶成長することができると考えられる。
窒化クロムは、CrN、Cr2N、またはこれらの混合物であることができ、好ましくはCrNである。窒化クロムは、上記以外にも価数の異なる化合物の形をとるものを含んでもよい。
添加した窒化クロム及びアルミニウムは、Si−C溶液を形成するための原料またはSi−C溶液と混合され、窒素及びアルミニウムを含むSi−C溶液の溶媒を形成することができる。
アルミニウムの添加量x及び窒化クロムの添加量yを、次の式(1)〜(4):
y≦1x/3+1/15 (1)
y≧17x/60−1/12 (2)
0.03≦y≦0.2 (3)
0.1≦x≦1 (4)
の全てを満たす範囲内にすることによって、6H等の4H以外のポリタイプの発生を抑え、且つn型とp型との中間の導電型である半絶縁性型になることを抑制して、n型の4H−SiC単結晶を安定して成長させることができる。図6に、式(1)〜(4)を満たす範囲を破線で示したグラフを示す。アルミニウムの添加量x(at%)及び窒化クロムの添加量y(at%)は、Si−C溶液を形成するための原料、アルミニウム、及び窒化クロムの合計量100at%を基準とする。ここで、Si−C溶液を形成するための原料とは、Si−C溶液を形成するためのSi融液またはSi合金融液の原料をいう。
得られたSiC単結晶が4Hであるか否かの判定は、成長結晶の成長面についてラマン分光分析を行うことによって行うことができる。判定方法の詳細は、後述の実施例に記載する。
得られたSiC単結晶がn型かどうかの導電型の判定は、成長結晶の断面透過像の色を観察することによって行うことができる。判定方法の詳細は、後述の実施例に記載する。
一般に、p型SiC単結晶を成長させるために、Si−C溶液にAlを添加することが知られているが、本開示の方法においてはAl添加量が窒素添加量に比べて少ないため、所望の抵抗率を有するn型SiC単結晶を得ることができる。
本開示の方法によれば、4H率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%のSiC単結晶を得ることができる。
本開示の方法においては、溶液法が用いられる。溶液法とは、内部(深部)から液面(表面)に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸の下端面に保持したSiC種結晶基板を接触させてSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法である。Si−C溶液の内部からSi−C溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配を形成することによって、Si−C溶液の表面領域を過飽和にして、Si−C溶液に接触させた種結晶基板から、SiC単結晶を成長させることができる。
本開示の方法に用いる種結晶基板は、(000−1)面を有する4H−SiC単結晶であればよく、SiC単結晶の製造に一般に用いられる品質の単結晶を種結晶基板として用いることができる。例えば、昇華法で一般的に作製した(000−1)面を有するSiC単結晶を用意して、種結晶基板として用いることができる。
図5に、本開示の製造方法に用いられ得るSiC単結晶製造装置の断面模式図の一例を示す。図示したSiC単結晶製造装置100は、SiまたはSi/X(XはSi以外の1種以上の金属)の融液中にCが溶解してなるSi−C溶液24を収容した坩堝10を備え、Si−C溶液の内部から溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配を形成し、鉛直方向に昇降可能な種結晶保持軸12の先端に保持された種結晶基板14をSi−C溶液24に接触させて、種結晶基板14からSiC単結晶を成長させることができる。
種結晶基板14のSi−C溶液24への接触(以下、シードタッチともいう)は、種結晶基板14を保持した種結晶保持軸12をSi−C溶液24の液面に向かって降下させ、種結晶基板14の下面である(000−1)面をSi−C溶液24の液面に対して平行にしてSi−C溶液24に接触させることによって行うことができる。そして、Si−C溶液24の液面に対して種結晶基板14を所定の位置に保持して、SiC単結晶を成長させることができる。
種結晶基板の保持位置は、種結晶基板の下面である(000−1)面の位置が、Si−C溶液面に一致するか、Si−C溶液面に対して下側にあるか、またはSi−C溶液面に対して上側にあってもよい。種結晶基板の下面をSi−C溶液面に対して上方の位置に保持する場合は、一旦、種結晶基板をSi−C溶液に接触させて種結晶基板の下面にSi−C溶液を接触させてから、所定の位置に引き上げる。種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液面に一致するか、またはSi−C溶液面よりも下側にしてもよいが、多結晶の発生を防止するために、種結晶保持軸にSi−C溶液が接触しないようにすることが好ましい。これらの方法において、結晶成長中に種結晶基板の位置を調節してもよい。
本開示の方法において、Si−C溶液24とは、Si、Cr、及びAlを含むものである限り、SiまたはSi/X(XはSi以外の1種以上の金属)の融液を溶媒とするCが溶解した溶液であることができる。Xは一種類以上の金属であり、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成できれば特に制限されない。適当な金属Xの例としては、Cr及びAl以外には、Ti、Mn、Ni、Ce、Co、V、Fe等が挙げられる。
Si−C溶液24は、原料を坩堝に投入し、加熱融解させて調製した融液に、Cを溶解させることによって調製される。坩堝10を、黒鉛坩堝などの炭素質坩堝またはSiC坩堝とすることによって、坩堝10の溶解によりCが融液中に溶解し、Si−C溶液24を形成することができる。こうすると、Si−C溶液24中に未溶解のCが存在せず、未溶解のCへのSiC単結晶の析出によるSiCの浪費が防止できる。Cの供給は、例えば、炭化水素ガスの吹込み、または固体のC供給源を融液原料と一緒に投入するといった方法を利用してもよく、またはこれらの方法と坩堝の溶解とを組み合わせてもよい。
Si−C溶液24は、その液面(表面)温度が、Si−C溶液へのCの溶解量の変動が少ない1800〜2200℃が好ましく、2000〜2200℃がより好ましい。
Si−C溶液24の温度測定は、熱電対、放射温度計等を用いて行うことができる。熱電対に関しては、高温測定及び不純物混入防止の観点から、ジルコニアやマグネシア硝子を被覆したタングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対が好ましい。
単結晶製造装置100への種結晶基板14の設置は、種結晶基板14の上面を種結晶保持軸12に保持させることによって行うことができる。種結晶基板14の種結晶保持軸12への保持には、カーボン接着剤を用いることができる。
種結晶保持軸は、その端面に種結晶基板14を保持する黒鉛の軸であることができる。種結晶保持軸は、円柱状、角柱状等の任意の形状であることができ、種結晶基板の上面の形状と同じ端面形状を有する黒鉛軸を用いてもよい。
保温のために、坩堝10の外周は、断熱材18で覆われている。断熱材18に覆われた坩堝10は一括して、石英管26内に収容される。石英管26の外周には、加熱装置として高周波コイル22が配置される。高周波コイル22は、上段コイル22A及び下段コイル22Bから構成されてもよく、上段コイル22A及び下段コイル22Bはそれぞれ独立して制御可能である。
坩堝10、断熱材18、石英管26、及び高周波コイル22は、高温になるので、水冷チャンバーの内部に配置される。水冷チャンバーは、装置内の雰囲気調整を可能にするために、ガス導入口とガス排気口とを備える。
Si−C溶液24の温度は、通常、輻射等のためSi−C溶液24の内部よりも液面の温度が低い温度分布となるが、さらに、高周波コイル22の巻数及び間隔、高周波コイル22と坩堝10との高さ方向の位置関係、並びに高周波コイル22の出力を調整することによって、Si−C溶液24に種結晶基板14が接触する溶液上部が低温、溶液下部(内部)が高温となるようにSi−C溶液24の液面に垂直方向の温度勾配を形成することができる。例えば、下段コイル22Bの出力よりも上段コイル22Aの出力を小さくして、Si−C溶液24に溶液上部が低温、溶液下部が高温となる温度勾配を形成することができる。温度勾配は、例えば溶液の液面からの深さがおよそ1cmまでの範囲で10〜50℃/cmにすることができる。
Si−C溶液24中に溶解したCは、拡散及び対流により分散される。種結晶基板14の下面近傍は、加熱装置の出力制御、Si−C溶液24の液面からの放熱、及び種結晶保持軸12を介した抜熱等によって、Si−C溶液24の内部よりも低温となる温度勾配が形成され得る。高温で溶解度の大きい溶液内部に溶け込んだCが、低温で溶解度の低い種結晶基板付近に到達すると過飽和状態となり、この過飽和度を駆動力として種結晶基板14上にSiC結晶を成長させることができる。
以下の実施例及び比較例で得られたSiC単結晶が、4Hであるか否かの判定は、以下の方法によって行った。
成長結晶の成長面の中央部、上下、及び左右の合計5箇所について、ラマン分光分析(フォトンデザイン製、PLIS−200TS)を行った。上下及び左右の分析位置は、中央部と端部との中間点である。分析条件は次の通りである:励起波長532nm、20mW、レーザー照射径2.7μm、後方散乱配置、露光時間2秒、積算回数1回、回折格子1600gr/mm、共焦点ホール径10μm、室温、大気中。
ラマン分光分析を行った5箇所のSiC単結晶が全て4Hであった場合、成長結晶を4H−SiCと判定した。4Hかどうかの判定は、4Hのみのラマンピークが得られていれば4Hと判定し、4H以外のラマンピークがみられたら4Hではないと判定した。分析した5箇所のうち一つでも4H−SiCと判定されなかった場合は、その成長結晶は4H−SiCではないと判定した。
以下の実施例及び比較例で得られたSiC単結晶が、n型かどうかの導電型の判定は、以下の方法によって行った。
成長結晶の断面透過像の色を光学顕微鏡で観察することによって、n型またはSI型の判定を行った。n型の成長結晶は茶色であり、SI型の成長結晶は無色透明である。また、成長結晶の断面透過像の全面が茶色である場合、全面n型と判定し、成長結晶の成長前半部分の断面透過像が茶色であり成長後半部分の断面透過像が無色透明である場合、一部SI型と判定した。
(実施例1)
直径が50.8mm、厚みが700μmの円盤状4H−SiC単結晶であって、下面が(000−1)面を有する昇華法により作製したSiC単結晶を、種結晶基板として用意した。
直径が12.7mmの円柱状の黒鉛の種結晶保持軸12を用意した。種結晶基板14の下面が(000−1)面になるようにして、種結晶基板14の上面を、種結晶保持軸12の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。
図5に示す単結晶製造装置を用い、Si−C溶液を収容する黒鉛坩堝に、Si及びCrを、Si−C溶液を形成するための融液原料として仕込み、さらに、CrNの粉末(三津和化学薬品製)及びアルミニウムの粉末(高純度化学研究所製、ALE06GB)を添加した。Si、Cr、Al、及びCrNの各添加量は、原子組成比率で、Si:Cr:Al:CrN=59.76:39.64:0.40:0.20(at%)であった。
単結晶製造装置の内部を1×10-3Paに真空引きした後、1気圧になるまでアルゴンガスを導入して、該単結晶製造装置の内部の空気をアルゴンで置換した。高周波コイルに通電して加熱により黒鉛坩堝内の原料を融解し、Si、Cr、Al、及びNを含有する融液を形成した。そして黒鉛坩堝からSi、Cr、Al、及びNを含有する融液に、十分な量のCを溶解させて、Si−C溶液を形成した。
上段コイル22A及び下段コイル22Bの出力を調節して黒鉛坩堝10を加熱し、Si−C溶液24の表面における温度を2000℃に昇温させ、並びにSi−C溶液の表面から1cmの範囲で溶液内部から溶液表面に向けて温度低下する温度勾配が30℃/cmとなるように制御した。Si−C溶液の表面の温度測定は放射温度計により行い、Si−C溶液の温度勾配の測定は、鉛直方向に移動可能な熱電対を用いて行った。
種結晶保持軸12を鉛直下方向に移動させ、種結晶保持軸12に接着した種結晶基板の下面となる(000−1)面をSi−C溶液面に平行に保ちながら、種結晶基板の下面の位置をSi−C溶液の液面に一致する位置に配置して、Si−C溶液に種結晶基板の下面を接触させるシードタッチを行い、その位置で10時間保持してSiC単結晶を成長させた。
結晶成長の終了後、種結晶保持軸12を上昇させて、種結晶基板14及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を、Si−C溶液24及び種結晶保持軸12から切り離して回収した。
得られた成長結晶は4H−SiCであり、導電型は全面n型であった。
(実施例2〜4)
融液原料の仕込み組成を、表1に示す原子組成比率にしたこと以外は、実施例1と同様の条件でSiC単結晶を成長させ、成長結晶が4Hであるか否か及び導電型の判定を行った。
(比較例1〜5)
融液原料の仕込み組成を、表1に示す原子組成比率にしたこと以外は、実施例1と同様の条件でSiC単結晶を成長させ、成長結晶が4H−SiCであるか否か及び導電型の判定を行った。
表1に、実施例1〜5及び比較例1〜5の溶媒組成、並びに得られた成長結晶のポリタイプ及び導電型を示す。
SIとは、n型とp型との中間の導電型であり、半絶縁性型ともいう。
図6に、実施例1〜5及び比較例1〜5のAl添加量とCrN添加量との関係をプロットし、並びに以下に示す式(1)〜(4)を満たす範囲を破線で示したグラフを示す。
実施例1及び3のデータから、(1)式:
y≦1x/3+1/15 (1)
(式中、xはAl添加量を表し、yはCrN添加量を表す。以下、式(2)〜(4)において同様)
を算出した。
実施例2及び5のデータから、(2)式:
y≧17x/60−1/12 (2)
を算出した。
実施例1及び2のデータと実施例5のデータとから、(3)式:
0.03≦y≦0.2 (3)
を算出した。
実施例2及び3のデータから、(4)式:
0.1≦x≦1 (4)
を算出した。
Al添加量xとCrN添加量yが、上記式(1)〜(4)の全てを満たす範囲内にあるとき、n型の4H−SiC単結晶を安定して得ることができた。
100 単結晶製造装置
10 坩堝
12 種結晶保持軸
14 種結晶基板
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管

Claims (1)

  1. 内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液にSiC種結晶基板を接触させてn型SiC単結晶を結晶成長させる、n型SiC単結晶の製造方法であって、
    前記種結晶基板が、4H−SiCであり、且つ(000−1)面を有し、
    前記(000−1)面から結晶成長を行うこと、及び
    前記Si−C溶液を形成するための原料または前記Si−C溶液に、アルミニウム及び窒化クロムを添加することを含み、
    アルミニウムの添加量x及び窒化クロムの添加量yが、式(1)〜(4):
    y≦1x/3+1/15 (1)
    y≧17x/60−1/12 (2)
    0.03≦y≦0.2 (3)
    0.1≦x≦1 (4)
    の全てを満たす範囲内にある、
    n型SiC単結晶の製造方法。
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JP2011102206A (ja) * 2009-11-10 2011-05-26 Toyota Motor Corp n型SiC単結晶の製造方法、それによって得られるn型SiC単結晶およびその用途
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