JP2016088611A - パウチ - Google Patents
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Abstract
Description
最内層がシーラント層でなる包装材フィルムの該シーラント層面が向かい合わされ、その周縁がシールされ、該周縁シール部の一側辺端縁部に引き裂きによる開口予定部位を有する包装袋において、前記開口予定部位に、頂点を開口予定方向に向けた複数の連続したV字型ハーフカット溝が並列に刻設され、前記V字型のハーフカット溝の頂点を通るように連続した直線状ハーフカット溝が刻設され、さらに前記V字型のハーフカット溝の頂点より上部側および下部側に連続した1本以上の直線状ハーフカット溝が該V字型ハーフカット溝と交差または接するように刻設されていることを特徴とする易開封性包装袋を提案している。
基材フィルム11の表側には、熱可塑性樹脂層12設けられ、内側には、シーラント層13が設けられている。
この図では、さらに、接着剤層11と最内層であるシーラント層13との間に、金属箔を想定したバリア層14が設けられている。
ハーフカットは、外形抜きなどの工程などで、積層フィルム10の主要な基材層の半分又は、最内層のシーラント層13を残して、それよりも表側の層に刃を入れて、人手で切れるようにしたもので、ここでは、直線状に一端から他端まで刃を入れたり、V字の頂点が直線で一列に並べられたようなハーフカットも併用して加工するとしている。ミシン目のように、破線状に入れるハーフカットもある。
所で、外層12には、2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムのような、腰も強く、容易に伸び難い樹脂が用いられる場合が多い。その為、外層フィルムの厚みの半分以上、好ましくは3分の2以上に、予め刃を入れておかないと、手では容易に引き裂くことができない。
ハーフカットに用いる刃は、ビク刃、彫刻刃、腐食刃などの平抜き刃やロータリー刃を使っていた。これらは、刃が微妙な圧力の差で、刃が入る深さが変化し易い。そのような状況でハーフカットを入れていたので、正確に刃の入る深さを制御できず、刃が深く入ってシーラント層13にまで到達してしまったりして、バリア層が破壊され、バリア性が低下したり、落下衝撃強度が低下し、輸送などで破袋してしまう問題が発生していた。また、ハーフカットの刃の入り方が浅すぎて、基材が充分に切れず、手で引き裂くことができなくなってしまう場合もあり、安定しない問題があった。
しかも、この易開封の加工は、積層する前のフィルム単体で加工しても良いし、積層して製袋する前に加工することもできる。
この為、工程が組み易く、かつ、加熱圧縮加工を1工程、あるいは2工程加えるだけで加工できるので、従来の生産ラインを容易に改造して利用できる。
図1は、本発明のパウチの一例で、開封引き裂き部5を、スタンディングパウチに熱圧縮によって施した外観斜視図である。
本発明のパウチ1は、外観上、従来のハーフカットを施した開封引き裂き部を設けたパウチと、特に目だった違いは無い。
開封引き裂き部5の端部は、図1のように、切り欠き4を設けてもかまわないし、印刷で開封引き裂き位置を示してもかまわない。
見た目には、他の熱圧縮しない部分との違いがないので、何らかの引き裂く位置を、消費者に示す表示を設けることが望ましい。
図2−1は、本発明のパウチで、ハーフカットを施さず、帯状に熱圧縮した開封引き裂き部分を持っている。接着層11の表側には、熱可塑性樹脂層12設けられ、内側には、シーラント層13が設けられている。
この図では、さらに、接着層11と最内層のシーラント層13との間に、金属箔のバリア層14が設けられている例になっている。
この図は、第1段階として、12ミリメートル幅の帯状に、第1熱圧縮を行って第1破断帯51を設け、更に、その中央に5ミリメートル幅の帯状に、第2段階の第2熱圧縮を行って第2破断帯52を設けている。
これらの層は、熱可塑性樹脂層のガラス転移点以上の温度を掛け、熱圧縮によって、特に破断させているのではなく、熱と圧力によって、揃ってしまっている樹脂の分子の向きを変化させているだけである。
このヒートシーラーは、インパルスシーラーであっても、通常の熱板式ヒートシーラーでもかまわない。
インパルスシーラーの場合は、押圧、加熱、冷却が、順次、押圧した状態で行われるが、熱板式ヒートシーラーの場合は、シリコンフィルムなどを介在させるか、先端に非着性の樹脂を含浸させたようなヒートヘッドを用いることが好ましい。
図4−1は、図2で示した熱可塑性樹脂層12の開封引き裂き部5近傍で、その製膜部50と、第1破断帯51と、第2破断帯52を示す。
図4−2の熱圧縮しない製膜部50は、樹脂を溶融してダイから押出し、冷却したものであるが、製膜時にテンションを掛けて引っ張る必要があり、完全な延伸状態ではない場合もあるが、多少とも、製膜工程で延伸され、伸びた方向に分子が揃った状態になっている。
図4−3の熱圧縮しない製膜部50を第1熱圧縮した第1破断帯51では、熱可塑性樹脂
である為、加熱により、分子間の結び付きが解除され、しかも、結晶化樹脂である為、それぞれの分子は縮まって、それぞれが折り畳まれる。特に、加熱しながら圧縮されるので、分子が強制的に動かされ、分子間の結び付きの解除が促進される。
図4−4の第2熱圧縮を行った第2破断帯52では、再度加熱・圧縮されるので、分子間の結び付きがより解除され、分子は更に折り畳まれ、球晶化してくる。
結局、層を構成している分子間の結び付きが解除されて来るので、熱圧縮による開封引き裂き部5は、容易に引き裂くことができるように、変化する。
すなわち、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリプロピレン樹脂などの結晶化率が高い樹脂で出来た層は、製膜時にガラス移転点より高く、融点より低い温度で、専用の機械を用い、高い延伸倍率で延伸されて製膜されている。その為、熱圧縮によって分子間の結び付きが解除され、延伸されていた分子は折り畳まれ、引き裂きしやすいように変化し、熱圧縮の前後における引き裂き性の変化は、より大きなものになる。時にこのような樹脂では、結晶化が進み、透明性が低下し、白化する。
図3−1のように、まず、パウチを構成する積層フィルムを、シート状の状態で、帯状に熱圧縮を掛け、開封引き裂き部5が設けられている。開封引き裂き部5の位置がはっきり分かるように、矢印の印刷53と、カット部の印刷54をしている。
加熱圧縮するには、インパルスシーラーが便利である。この場合、加熱は帯状の薄いニクロム板に通す電圧と電流、時間によって、シーラーに流れる電力量が制御でき、圧縮する圧力も調整しやすい。もちろん、薄い帯状のニクロム板の幅が開封引き裂き部5の幅になる。
第1熱圧縮した第1破断帯51の幅は、10ミリメートル以上100ミリメートル以下が好ましい。10ミリメートル未満だと、表裏が開封位置のずれで熱圧縮部分から逸れる恐れがある。また、100ミリメートル以上であると、フィルムに大きな歪を引き起こし、安定した製造が出来ない。
熱圧縮温度は、シーラントのシールが可能な温度以上にする必要がある。例えば、シーラントが低密度ポリエチレンであれば約110℃、ポリプロピレンであれば約140℃が好ましい。
又、第2熱圧縮する第2破断帯52の幅は5ミリメートル以下とする。5ミリメートル以上の場合、線沿いに直線的に引き裂くことが難しくなるためである。もちろん、直線的に引き裂く必要が無ければ、第2破断帯52を設けなくてもかまわないし、第2破断帯52の幅を5ミリメートル以上にしてもかまわない。
その後、底シール22をして、筒状から袋形状に変化させ、開いている上部から内容物を注入し、開封引き裂き部5より上側を融着して上シールする。
外層として、ポリエチレンテレフタレート2軸延伸フィルム12ミクロンメーター。
シーラント層として、直鎖状低密度ポリエチレン50ミクロンメーター。
それらを、ポリウレタン系接着剤を介してドライラミネーション機によって貼り合せ、積層フィルムを作り、スリットを掛けた。
スリットを掛けた積層フィルムの状態で、幅40ミリメートルで、ヒートシーラーによって、温度130℃、圧力0.2MPa、時間1秒の熱圧縮を掛け、開封引き裂き部を設けた。
サイドシール、底シールを行い、サンプルの5センチ角の厚紙を入れ、開封引き裂き部の上側5ミリメートル先を上シールした。
実施例1と同じ構成の積層フィルムを作り、幅40ミリメートルで、ヒートシーラーによって、温度130℃、圧力0.2MPa、時間1秒の第1熱圧縮を掛け、次に、その幅の中央に、幅5ミリメートルで、ヒートシーラーによって、温度130℃、圧力0.2MPa、時間1秒の第2熱圧縮を掛け、開封引き裂き部を設けた。
サイドシール、底シールを行い、サンプルの5センチ角の厚紙を入れ、開封引き裂き部の上側5ミリメートル先を上シールした。
実施例1と同じ構成の積層フィルムを作り、幅40ミリメートルで、ヒートシーラーによって、温度130℃、圧力0.2MPa、時間1秒の第1熱圧縮を掛け、次に、その幅の中央に、幅8ミリメートルで、ヒートシーラーによって、温度130℃、圧力0.2MPa、時間1秒の第2熱圧縮を掛け、開封引き裂き部を設けた。
サイドシール、底シールを行い、サンプルの5センチ角の厚紙を入れ、開封引き裂き部の上側5ミリメートル先を上シールした。
シーラント層として、無延伸ポリプロピレン70ミクロンメーターを用いた。(パウチの縦方向がフィルムの流れ方向とした。)
その他は実施例1と同じにした積層フィルムを作り、幅40ミリメートルで、ヒートシーラーによって、温度130℃、圧力0.2MPa、時間1秒の熱圧縮を掛け、開封引き裂き部を設けた。
サイドシール、底シールを行い、サンプルの5センチ角の厚紙を入れ、開封引き裂き部の上側5ミリメートル先を上シールした。
実施例1と同じ構成の積層フィルムを作り、熱圧縮しない状態で、サイドシール、底シールを行い、サンプルの5センチ角の厚紙を入れ、開封引き裂き部の上側5ミリメートル先を上シールした。
シーラント層として、無延伸ポリプロピレン70ミクロンメーターを用いた。(パウチの縦方向がフィルムの流れ方向とした。)
その他は実施例1と同じにした積層フィルムを作り、熱圧縮しない状態で、サイドシール、底シールを行い、サンプルの5センチ角の厚紙を入れ、開封引き裂き部の上側5ミリメートル先を上シールした。
実施例と比較例について、下記の方法で試験し、比較評価した。
<易カット性>
一般主婦10人に3パウチずつ、計30パウチを渡し、手で引き裂きを行い、その結果、容易に引き裂くことが出来たパウチが28以上を○、それ未満を×とした。
<引き裂き強度>
株式会社エー・アンド・デイ製の引張・圧縮試験機、テンシロン万能材料試験機(登録商標)RTG―1250によって、開封引き裂き部の上下をそれぞれ挟み、300ミリメートル/分の速度で引き裂き、その引き裂き強度を測定した。3パウチ測定し、平均を求めた。
<引き裂き直線性>
引き裂き強度で引き裂いた引き裂き部が、上シールに平行な3ミリメートル幅の2直線の間に納まっている場合に○、収まらない場合×とした。
実施例2は、易カット性、引き裂き直線性、共に○で、引き裂き強度は1.1N(ニュートン)であった。
実施例3は、易カット性は○であったが、引き裂き直線性は×で、引き裂き強度は1.1N(ニュートン)であった。
実施例4は、易カット性は○であったが、引き裂き直線性は×で、引き裂き強度は2.9N(ニュートン)であった。
比較例1は、易カット性、引き裂き直線性、共に×で、引き裂き強度は6.8N(ニュートン)であった。
比較例2は、易カット性、引き裂き直線性、共に×で、引き裂き強度は5.1N(ニュートン)であった。
しかも、この易開封の加工は、積層する前のフィルム単体で加工しても良いし、積層して製袋する前に加工することもできるので、工程が組み易く、かつ、加熱圧縮加工を1工程、あるいは2工程加えるだけで加工できるので、生産ラインを容易に改造して利用できるなど、本発明のメリットは大きい。
10・・・・・・・・積層フィルム
11・・・・・・・・接着層
12・・・・・・・・熱可塑性樹脂層
13・・・・・・・・シーラント層
14・・・・・・・・バリア層
21・・・・・・・・背シール
22・・・・・・・・底シール
23・・・・・・・・上シール
4・・・・・・・・・切り欠き
5・・・・・・・・・開封切り裂き部
50・・・・・・・・製膜部(熱圧縮しない製膜部)
51・・・・・・・・第1破断帯
52・・・・・・・・第2破断帯
53・・・・・・・・矢印の印刷
54・・・・・・・・カット部の印刷
7・・・・・・・・・分子(樹脂分子間の結び付きがある)
71・・・・・・・・分子(樹脂分子間の結び付きが解除)
72・・・・・・・・分子(樹脂分子間の結び付きが、より解除)
Claims (6)
- 少なくとも、最外層の熱可塑性樹脂層と最内層のシーラント層とを有する積層フィルムからなるパウチにおいて、積層フィルムをパウチに製袋した際の開封引き裂き部を、温度が熱可塑性樹脂層のガラス転移点以上で熱圧縮したことを特徴とするパウチ。
- 積層フィルムがバリア層を含むことを特徴とする請求項1に記載のパウチ。
- 開封引き裂き部の引き裂き強度を、非圧縮部の引き裂き強度の60パーセント以下とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のパウチ。
- 熱圧縮した開封引き裂き部の中央付近に、更に幅5ミリメートル以下で、再度、熱圧縮をしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパウチ。
- シーラント層として、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、又はエチレン・プロピレン共重合体フィルムを用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパウチ。
- 熱可塑性樹脂層として、ポリエチレンテレフタレートフィルム、又は、ポリプロピレンフィルムを用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパウチ。
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