JP2016087874A - 熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法および熱可塑性樹脂組成物ペレット - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法および熱可塑性樹脂組成物ペレット Download PDF

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知史 松原
剛士 嶋田
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剛士 嶋田
立川 浩司
Koji Tachikawa
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【課題】本発明は、成形機への搬送と計量の安定性が高い熱可塑性樹脂組成物のペレットを得るための製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して(B)充填材を0.01〜200重量部を溶融混練した後、ストランド状に押出し、ストランドを上下2つのロールで引き取り後切断する熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法であって、ストランド径(d)と2つのロール間の隙間(D)が(d−D)=1.5〜3.4mmである熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法および熱可塑性樹脂組成物ペレット
に関する。
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され、市場に供されている。中でも機械部品、電気電子部品は、近年の機器の小型化や軽量化に伴い、薄肉化や形状の複雑化が進みつつある。このため樹脂に高い流動性が求められるようになり、液晶性樹脂に代表される高流動熱可塑性樹脂組成物が開発されている。
一方、部品の寸法精度や強度ばらつきなど信頼性に対する要求の水準も高くなっている。特に小型化が進む電気電子部品では、ハンダリフロー時の反りやブリスターによるμmオーダーの寸法変化でさえ、基板との接合不良を引き起こす問題となっている。例えば射出成形においては、樹脂ペレットをスクリューに供給、搬送し、溶融して計量し、金型内に射出する工程がある。射出成形機の制御技術の進歩に伴い、射出の制御は精緻に行えるようになっている反面、ペレットの搬送と計量の安定化はペレット形状に依存する部分が多く、ばらつきの少ない成形品を得るためのネックになっている。
このペレットの搬送と計量を安定化する検討がこれまでにもなされている。例えば、高流動性樹脂である液晶性樹脂のペレット形状を揃えるためカッティング時のペレット温度が(Tm×0.35)≦ペレット温度≦(Tm×0.55)になるような条件でペレタイズする方法(例えば、特許文献1参照)や押出し機のダイス1穴あたりの樹脂の剪断速度が特定の範囲内にしてペレタイズする方法(例えば、特許文献2参照)が開示されている。しかしながら、上記方法では、含有する充填材の量やダイホール径などによってストランドの剛性や太さが変動すると、ペレットの長径に対する短径の比率がかわってしまい、ペレット形状が扁平になる。そのため、成形機へのペレットの搬送性および計量安定性が不十分であった。
特開平7−118394号公報 特開2002−18842号公報
本発明は、成形機への搬送と計量の安定性が高い、優れた形状を持つ熱可塑性樹脂組成物のペレットを得るための製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有する。
(1)(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して(B)充填材を0.01〜200重量部を溶融混練した後、ストランド状に押出し、ストランドを上下2つのロールで引き取り後切断する熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法であって、ストランド径(d)と2つのロール間の隙間(D)が(d−D)=1.5〜3.4mmである熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法、
(2)前記ロール間の隙間(D)が0.1〜1.0mmである上記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法、
(3)ストランドの線速度が2.0〜3.0m/sである上記(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。
(4)(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して(B)充填材を0.01〜200重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物ペレットであって、
前記熱可塑性樹脂組成物ペレットを成形してなる成形品の、ASTM D790に準拠して測定した曲げ弾性率が14GPa以上であり、かつ曲げ歪み量が3.0mm以下であり、
前記熱可塑性樹脂組成物ペレットの両端面がカッター刃により切断されているペレットを、ペレット10gからランダムに取り出した200個のペレット中50%以上含む、熱可塑性樹脂組成物ペレット。
本発明の製造方法によれば、成形機への搬送と計量の安定性が高い、優れた形状を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを得ることができ、得られたペレットを成形して得られる成形品は曲げ弾性率に優れており、薄肉部を有する精密成形品に最適に用いることができる。
引取りロールの概略図 実施例において作製したコネクター成形品の斜視図
本発明は、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して(B)充填材を0.01〜200重量部を溶融混練した後、ストランド状に押出し、ストランドを上下2つのロールで引き取り後切断する熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法であって、ストランド径(d)と2つのロール間の隙間(D)が(d−D)=1.5〜3.4mmである熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法である。
本発明の実施形態における(A)熱可塑性樹脂としては、加熱すると流動性を示し、これを利用し成形加工できる合成樹脂のことである。その具体例としては、例えばポリアミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、液晶ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらのうち、流動性、機械的性質および成形機への搬送と計量の安定性が高い、優れた形状を有するペレットが得られるなどの点から液晶ポリエステル樹脂が好ましい。
なお、優れた形状を有するペレットとは、ペレットの両端面がカッター刃で切断されており、かつその断面が楕円形もしくは円形であり、その長径と短径の比が1.02〜1.20であることが好ましく、更に好ましくは1.04〜1.18である。成形にこのようなペレットを用いると、成形機への搬送、計量を安定して行うことができ、得られる成形品の特性バラつきが抑制できる。
ペレットの両端面がカッター刃で切断されていることを測定する方法としてペレット10gから200個をランダムに取出し、200個のペレットの長さ方向の両端面を目視観察し、少なくとも1端面が折損しているペレットの個数を数え、少なくとも1端面が折損したペレットの割合を算出する方法がある。
また、ペレットの断面形状の測定方法としてペレット10gから両端面がカッター刃により切断されているペレット20個をランダムに取り出し、切断面の長径と短径の比をノギスで計測し、20個の平均値を求める方法がある。
ペレットの両端面がカッター刃で切断された形状を有するペレットの割合はペレット200個のペレット中50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が最も好ましい。上記範囲から外れる場合は成形機への搬送、計量が不安定となってしまう。
以下、熱可塑性樹脂に、液晶ポリエステル樹脂を用いた場合を説明する。液晶ポリエステル樹脂は異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有する。特に薄肉流動性に優れているため、高い流動性が必要とされる、薄肉部が多い製品に多用することができる。薄肉部が多い製品を製造する際には、特に成形機へのペレットの搬送性や計量安定性が要求されるため、液晶ポリエステル樹脂を用いた場合は本発明の効果が最も期待できる。
液晶ポリエステル樹脂は、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶ポリエステル樹脂が挙げられる。また液晶ポリエステル樹脂は、上記構造単位に加えて、芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位を含有しても良い。
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位が挙げられ、p−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどから生成した構造単位が挙げられ、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンが好ましい。芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位が挙げられ、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
液晶ポリエステルの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶ポリエステルが好ましく用いられ、なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位の液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位の液晶ポリエステルが特に好ましく用いられる。
中でも下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される液晶ポリエステル樹脂が好ましい。構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%が好ましく、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%が好ましく、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%が好ましく、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計が実質的に等モルであることが好ましい。
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位を、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であることが好ましく、70モル〜78モル%がより好ましく、73〜78モル%が特に好ましい。
構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%が好ましく、58〜75モル%がより好ましく、58〜70モル%が特に好ましい。
構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%が好ましく、65〜85モル%がより好ましく、70〜80モル%が特に好ましい。
また構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルである。ここでいう「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成する構造単位が等モルであることを示す。このため、末端を構成する構造単位まで含めた場合には必ずしも等モルとはならない態様も、「実質的に等モル」の要件を満たしうる。
このような組成比を有する液晶ポリエステルは、本発明の効果である搬送、計量の安定性に優れたペレットを得る製造方法において、特に優れた形状のペレットを得やすく好ましい。
本発明の実施形態において各構造単位の含有量は液晶ポリエステル樹脂をNMR(核磁気共鳴)試験管に量りとり、液晶ポリエステル樹脂が可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/重テトラクロロエタン−d混合溶媒)に溶解して、H−NMRスペクトル測定を行い、各構造単位由来のピーク面積比から算出することができる。
本発明の実施形態の液晶ポリエステルは、公知のポリエステルの脱酢酸重合法により得ることができる。
例えば、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶ポリエステル樹脂を製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶ポリエステル樹脂を製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶ポリエステル樹脂を製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶ポリエステル樹脂を製造する方法。
本発明の実施形態において、液晶ポリエステル樹脂を脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶ポリエステル樹脂が溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、および無水酢酸を、反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら加熱して水酸基をアセチル化させた後、液晶ポリエステル樹脂の溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合して反応を完了させる方法が挙げられる。上記反応容器は、撹拌翼を備えることとしても良く、また、留出管を備えることとしても良く、また、下部に吐出口を備えることとしても良い。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を、例えば、およそ1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
液晶ポリエステル樹脂の重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を触媒として使用することもできる。
本発明の実施形態において、融点(Tm)は、示差走査熱量計により測定することができる。液晶ポリエステル樹脂を室温から40℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点(Tm)として算出できる。
また、本発明の実施形態における液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、5〜100Pa・sがより好ましく、10〜50Pa・sが特に好ましい。なお、溶融粘度は液晶ポリエステル樹脂の融点+10℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
また、本発明の実施形態における熱可塑性樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、充填剤を0.01〜200重量部配合してなる。本発明の実施形態において用いられる充填材としては、ガラス繊維などの繊維状充填材や、繊維状充填材以外の充填材が挙げられる。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミック繊維、ボロンウィスカー繊維、アスベスト繊維などを挙げることができる。繊維状充填材以外の充填材としては、例えば、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、ワラステナイト、酸化チタン、二硫化モリブデン等の粉状、粒状あるいは板状の無機フィラーを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。
特に搬送や計量の安定性に優れたペレットが得やすいため、板状無機フィラーが好ましく、マイカ、タルクがより好ましく、マイカを用いることが特に好ましい。
本発明の実施形態における充填材の充填量は熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜200重量部であり、好ましくは1〜150重量部であり、更に好ましくは10〜100重量部である。
0.01重量部未満では、熱可塑性樹脂組成物のストランドの剛性が小さくなり、本発明の製造方法を適用しても優れた形状のペレットを得られなくなり、200重量部を超えた場合には、熱可塑性樹脂組成物のストランドを引くことができなくなり、本発明の製造方法を適用できなくなる。
また、本発明の実施形態における熱可塑性樹脂組成物は、酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤、離型剤(例えば、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(例えば、ニトロシンなど)または顔料(例えば、硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラックなど)を含む着色剤、可塑剤、および帯電防止剤から選択される通常の添加剤を配合することができる。本発明の目的を損なわない程度の範囲で配合することにより、所定の特性を付与することができる。
本発明の実施形態における熱可塑性樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂および前記充填剤と、必要により他の成分を溶融混練することにより得る。
本発明における製造方法において、溶融混練する方法としては、例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用いて、200〜350℃の温度で溶融混練する方法を挙げることができる。
溶融混練された後、ストランド状に押し出す方法としては、例えば円形、楕円形、多角形、ひし形、正方形、長方形などの形状の口金を介して吐出する方法が挙げられる。口金が円形か楕円形の場合、形状の安定したペレットが得られるので好ましく、より好ましくは円形である。
吐出口を介して吐出された単数または複数本のストランドは、冷却水が流されたトラフ中に吐出され、冷却水にて冷却されながら固化し、ストランド引き取りロールに搬送される。
また、熱可塑性樹脂のストランドをカッティングする工程は特に限定はないが、溶融状態の熱可塑性樹脂を吐出口からストランド状に吐出された紐状物を冷却水により冷却した後、空気層などの気層を経由後、上下2つの引き取りロールでストランドを引き取り後、カッターにより切断する方法などが挙げられる。前記冷却水の温度は10〜90℃が好ましく、20〜70℃が好ましい。また、水浴にくぐらせる時間としては10秒以下が好ましく、5秒以下がより好ましい。冷却後のストランドは空気層などの気層や冷却水などの液層を経由してもよいが、空気層を経由することが好ましい。
図1に、引取りロールの概略図を示す。図1aは引き取りロールの上面図(真上から見た図)、図1bは側面図(真横から見た図)、図1cは背面図(ロール後ろから(ストランドが出る方向)見た図)、図1dは正面図(ストランドを通す前の、ロール後ろから見た図)である。
本発明における引き取りロールは、上ロール(図1のb)と下ロール(図1のc)からなる、上下2つの引き取りロールである。また、ロールの配置はロールの中心線(図1のeおよびf)が上から見たときに重なるように上下に配置されていることが好ましい。
また、ロールの大きさは少なくとも2つの外径が同じであることが好ましい。この場合にロールの回転速度が同じになり、ストランドの走行が安定して、ペレット形状が安定して得られるため好ましい。
ロールの材質は、2つ以上のロールでそれぞれ異なることが好ましく、金属ロールとゴムロールの組み合わせや金属ロールと樹脂ロール、樹脂ロールとゴムロールなどの組み合わせが例示され、金属ロールと硬質ゴムロールの組み合わせがペレット形状の安定化のために好ましい。金属ロールと硬質ゴムロールの組み合わせを用いて上下に2つロールを配置する場合には、金属ロールが下であることが振動などの影響を軽減でき、ペレット形状の安定化が得やすいため好ましい。
また、少なくとも1つ以上のロールは自走することが好ましく、より好ましくは1つのロールが自走することである。1つ以上が自走することで、カッターとロール間に働く引張応力を緩和して、優れた形状を持つペレットが得やすくなる。上下2つのロールのうち1つが自走する場合、自走するロールは下ロールの方が好ましい。
本願発明の実施形態においては、2つのロール間の隙間(D)とストランド径(d)の差(d−D)を1.5〜3.4mmにする。より好ましくは1.8〜3.3mmであり、この範囲においては優れた形状を持つペレットを安定的に得られやすく、さらに好ましくは2.2〜3.2mmであり、この範囲においては特に優れた形状のペレットを得ることが出来る。(d−D)が1.5mmよりも小さいとストランドを引き取れなくなりストランド切れが発生する。一方、(d−D)が3.4mmよりも大きくなるとペレットが扁平状になり、計量が不安定になる。
ストランド径(d)とは、ロールに入る前のストランド断面の直径である。ストランド断面が楕円形状をしている場合、その長径と短径の積の平方根を2倍した値として求めることができる。
2つの引き取りロール間の隙間(D)とは、ストランドを通す前の2つの引取りロール間の隙間の距離である。
2つの引取りロールは、ロール間が開かれる方向に抵抗がかかるように油圧や空圧シリンダー、バネなどで押さえられており、ロール間の隙間(D)はロール間がそれ以上近づかないようにネジなどで設定した最接近距離である。
通常ロール間の隙間(D)は、太いストランドを引取る際にロール間にストランドが差し込めない場合に差し込みやすくするために設けるものというのが当業者に一般的であるが、本発明はロール間の隙間(D)をストランド径に対して特定の関係で設定することで、カッター刃での切断時の応力でストランドが折れたり、潰れたりせず、優れた形状をもつペレットが得られることを新たに見出したものである。
特に、成形品とした際に、その成形品のASTM D790に準拠して測定した曲げ弾性率が14GPa以上であり、曲げ歪み量が3.0mm以下である、熱可塑性樹脂組成物のペレットを製造する際に、(d)−(D)=1.5〜3.4mmとすることで、ストランドがロールを通過する際にかかる応力を低減することができるため、ロールでストランドが折れることを防ぎ、カッター刃までストランドを送ることができる。さらに、カッター刃での切断時の応力でストランドが折れたり、潰れたりせず、優れた形状をもつペレットが得られるという効果を奏する。成形品としたときに、上記曲げ弾性率および曲げ歪み量を有する熱可塑性樹脂組成物としては、先述した液晶ポリエステル100重量部に、充填剤0.01〜200重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成が挙げられる。
曲げ弾性率、曲げ歪み量は熱可塑性樹脂組成物ペレットを用いて、射出成形により曲げ試験片を作製し、ASTM D790に準拠して測定することができる。
(d−D)が上記の特定範囲にあれば、特に限定されるものでないが、ロール間の隙間(D)は0.1mm〜1.0mmが好ましい。より好ましくは0.2mm〜0.9mmであり、この範囲においてはペレット形状が安定化しやすく好ましい。さらに好ましくは0.3mm〜0.8mmであり、この範囲においては、特に搬送や計量の安定性に優れたペレットを得ることができる。
ストランド径は1.6mm〜4.4mmが好ましい。この範囲であると、端面が折損したペレットの割合が少なくなり、生産性および計量安定性が向上する。1.6mmよりも細くなるとストランドが折れやすくなり、端面が折損したペレット量が多くなり生産性が悪くなる。1.8mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい。一方で4.4mmよりも太くなると得られるペレットのサイズが大きくなるため、計量安定性が悪くなる。4.0mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましい。
また、ロールの回転速度はストランドの線速度を2.0〜3.0m/分の範囲にするために調整することが好ましく、より好ましくはストランドの線速度は2.2〜2.8m/分の範囲である。ストランド線速度が上記範囲の場合、端面が折損したペレットの少ない、優れた形状を有するペレットを得ることができる。ストランドの線速度はライン速度計で測定することができる。
また、引き取りロールにて引き取られた後のストランドをカットし、ペレットとする方法は特に限定されないが、固定刃と回転刃からなるカッターで連続的に切断する方法が例示される。
引取りロールとカッターは引き取りロールから送り出されたストランドが刃に垂直に入るように配置され、引取りロールと回転刃の軸は平行であることが好ましい。
回転刃と固定刃が接近する切断部(固定刃の上面)と本発明の実施形態におけるロールとの高さ方向の位置関係は特に限定されるものではないが、ロール2本が上下に配置された場合には、下側のロールの最上部の高さを0mmとし、上方向をプラス、下方向をマイナスとした場合に、切断部はプラス10mm〜マイナス20mmの範囲にあることが好ましく、より好ましくはプラス5mm〜マイナス10mmの範囲にあることであり、最も好ましくはプラス2mm〜マイナス5mmの範囲にあることである。このような範囲にある場合には、本発明の効果である優れた形のペレットが得られやすく好ましい。
また、回転刃の刃数は10〜30枚が好ましく、より好ましくは12〜28枚、さらに好ましくは14〜26枚である。このような範囲においては、本発明の効果である優れた形状のペレットが得られ好ましい。
特に、成形品とした際に、その成形品のASTM D790に準拠して測定した曲げ弾性率が14GPa以上であり、曲げ歪み量が3.0mm以下である熱可塑性樹脂組成物においては、ストランドに与える衝撃を小さく抑えるため、回転刃の数は多い方が好ましい。20〜30枚が好ましい。成形品とした際に、その成形品の曲げ弾性率が14GPaを超え、曲げ歪み量が3.0mmを超える熱可塑性樹脂組成物においては、回転刃の数は少ない方が好ましい。10〜20枚が好ましい。
本発明の製造方法によって得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットは、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する三次元成形品、シート、容器、パイプ、フィルムなどに加工することが可能である。なかでも射出成形により得られる電気・電子部品用途に適している。
このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットは各種ギヤー、各種ケース、センサー、LED用部品、液晶バックライトボビン、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、リレー用スプールおよびベース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品(プラズマ、有機EL、液晶)、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ECUコネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。フィルムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、シート用途としてはドアトリム、バンパーやサイドフレームの緩衝材、座席用材、ピラー、燃料タンク、ブレーキホース、ウインドウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブなどを挙げることができる。また、カメラモジュール部品、光ピックアップレンズホルダ、オートフォーカスカメラレンズモジュールなどの摺動性部品にも好適に用いることができる。
特に、本発明の製造方法で得られる熱可塑性樹脂組成物ペレットは精密射出成形用途に最適であり、センサー、ボビン、コネクター、ソケット、リレー部品、スイッチなどで、特に0.2mm以下の薄肉部を有するような部品に好ましく用いることができ、特にコネクターに最適である熱可塑性樹脂組成物ペレットを得ることができる。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。各実施例および比較例に用いた液晶ポリエステル樹脂とマイカを以下に示す。
なお、液晶ポリエステル樹脂の組成分析は以下の方法により行なった。
(1)液晶ポリエステル樹脂の組成分析
液晶ポリエステル樹脂の組成分析は、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)測定により実施した。液晶ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位由来のピーク面積比から組成を分析した。
(A)液晶ポリエステル樹脂
[製造例1]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル251重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸284重量部、イソフタル酸90重量部および無水酢酸1252重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込み、脱酢酸重縮合により液晶ポリエステル(a−1)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(a−1)について組成分析を行なったところ、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位(構造単位(I))と4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))とハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計に対するp−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位(構造単位(I))の割合は、75モル%であった。4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))とハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計に対する4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))の割合は、60モル%であった。テレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))とイソフタル酸由来の構造単位(構造単位(V))の合計に対するテレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))の割合は、76モル%であった。4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))およびハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計と、テレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))およびイソフタル酸由来の構造単位(構造単位(V))の合計とは、実質的に等モルであった。
[製造例2]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸11.05kg、4,4’−ジヒドロキシビフェニル1.40kg、テレフタル酸1.25kg、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート2.40kgおよび無水酢酸10.67kgを仕込み、脱酢酸重縮合により液晶ポリエステル(a−2)を得た。
(B)充填材
(b−1)ヤマグチマイカ(株)製“A−41”(体積平均粒子径47μm)
(b−2)ヤマグチマイカ(株)社製“AB−25s”(体積平均粒子径:23.8μm)
GF:日本電気硝子(株)社製“チョップドストランド ECS03 T−747GH”(数平均繊維長3.0mm、数平均繊維径10.0μm)
[評価方法]
(1)ペレット形状
得られたペレット10gから200個をランダムに取り出し、ペレットの長さ方向の両端面を目視観察し、少なくとも1端面が折損した端面であるペレットの個数を数えた。200個のうち、少なくとも1端面が折損したペレットの割合を算出した。
得られたペレット10gから両端面がカッター刃により切断されているペレット20個をランダムに取り出し、切断面の長径と短径の比をノギスで計測し、20個の平均値を求めた。
(2)突発ショート回数
各実施例および比較例で得られた液晶樹脂組成物ペレットを、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、シリンダ温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+20℃に設定し、金型温度90℃の条件で射出成形を行い、図2に示す端子間ピッチが0.4mm、製品の最小肉厚部が0.2mm、外形寸法が幅3mm×高さ2mm×長さ30mmのコネクター型の長尺成形品(コネクター成形品1)を10000ショット連続で成形した。図2は上記コネクター成形品1の斜視図である。コネクター成形品1の片側の端尺面2に設置したピンゲートG1から液晶性ポリエステル樹脂組成物を充填し、成形品を得た。10000ショット中でのランダムショートの発生個数を数えた。ランダムショートは少ない方が良好である。
(3)曲げ弾性率および曲げ歪み量
各実施例および比較例で得られた液晶ポリエステル樹脂組成物ペレットを、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、シリンダ温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+10℃に設定し、金型温度90℃、射出速度100mm/sの条件で射出成形を行い、縦127mm×横12.5mm×厚み3mmの曲げ試験片を成形した。得られた曲げ試験片を用いて、ASTM D790に準拠して測定した。
[実施例1〜5、実施例8、比較例1〜2]
スクリューの直径が45.8mmの噛み合い型同方向2軸押出機を用い、シリンダC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C12(ダイ側ヒーター)の、C6部に中間供給口を設置し、C8部に真空ベントを設置した。ニーディングディスクをC3部、C7部に組み込んだスクリューアレンジメントを用い、表1に示す(A)液晶ポリエステル樹脂を元込め部(供給口1)から添加し、(B)充填剤を中間供給口(供給口2)から投入した。シリンダ温度を335℃に設定し、溶融混練した後、表1に示すストランド径となるように、円形の吐出口からストランドを吐出した。なお、ストランド径は、ロールに入る前のストランド断面の直径を測定した。ストランドの断面が楕円形状をしている場合には、その長径と短径の積の平方根を2倍した値として求めた。
ストランドを水温40℃の水浴に2秒くぐらせ、空気層を経て引き取りロールへと導入した。引き取りロールは、2つのロールの中心軸が上から見たときに重なるように上下に配置されており、上ロールの材質が硬質ゴムであり、下ロールの材質が金属であり、下ローラーが自走する引取りローラーを用いた。2つのロールの外径は同じであった。ストランドの線速度が表1に示す値になるようにロールの回転速度を調整し、2つのロール間の隙間(D)を表1に示す値に設定してストランドを引取った。引取りロールの中心軸と中心軸が平行になるように引取りロールの横に設置した回転刃の刃数が26枚である回転刃と固定刃からなるカッターによりペレタイズしペレットを得た。なお、ストランドカッターの回転刃と固定刃が接近する切断部(固定刃の上面)とロールとの高さ方向の位置関係を、下側のロールの最上部の高さを0mmとし、上方向をプラス、下方向をマイナスとした場合に、切断部の位置をマイナス3mmとした。
[実施例6]
実施例1のカッター回転刃の刃数のみを13枚にかえて実施した以外は実施例1と同様に実施した。
[実施例7]
実施例1のストランドカッターの回転刃と固定刃が接近する切断部とロールとの高さ方向の位置関係が、下側のロールの最上部の高さを0mmとし、上方向をプラス、下方向をマイナスとした場合に、切断部をマイナス7mmにかえて実施した以外は実施例1と同様に実施した。
表1からも明らかなように、本発明の製造方法によると優れた形状のペレットが得られ、射出成形時の突発ショートが起こりにくいことから成形安定性に優れており、曲げ弾性率の優れた性能ばらつきの少ない精密成形品が得られることがわかる。
a:ストランド
b:引取りロール上
c:引取りロール下
d:ストランド径
e、f:各引き取りロールの中心線
D:ロールクリアランス
1:コネクター成形品
2:短尺面
G1:ピンゲート

Claims (4)

  1. (A)熱可塑性樹脂100重量部に対して(B)充填材を0.01〜200重量部を溶融混練した後、ストランド状に押出し、ストランドを上下2つのロールで引き取り後切断する熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法であって、ストランド径(d)と2つのロール間の隙間(D)が(d−D)=1.5〜3.4mmである熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。
  2. 前記ロール間の隙間(D)が0.1〜1.0mmである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。
  3. ストランドの線速度が2.0〜3.0m/sである請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。
  4. (A)熱可塑性樹脂100重量部に対して(B)充填材を0.01〜200重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物ペレットであって、
    前記熱可塑性樹脂組成物ペレットを成形してなる成形品の、ASTM D790に準拠して測定した曲げ弾性率が14GPa以上であり、かつ曲げ歪み量が3.0mm以下であり、
    前記熱可塑性樹脂組成物ペレットの両端面がカッター刃により切断されているペレットを、ペレット10gからランダムに取り出した200個のペレット中50%以上含む、熱可塑性樹脂組成物ペレット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022113845A1 (ja) * 2020-11-24 2022-06-02 住友化学株式会社 ペレット、ペレットの製造方法及び射出成形体の製造方法

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