JP2016086124A - 軟磁性体の製造方法 - Google Patents

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【課題】 安価で且つ渦電流損失の小さい軟磁性体の製造方法を提供すること。【解決手段】 鉄を主成分とする鉄系軟磁性母材粒子により構成される鉄系軟磁性母材粉末と鉄系軟磁性母材粒子の粒径よりも小さい粒径を有するシリコン粒子により構成されるシリコン微粉末とを混合した混合粉末に機械的エネルギーを作用させることにより、鉄系軟磁性母材粒子の表層にシリコン粒子が分散して埋め込まれたシリコン分散層を形成するシリコン分散層形成工程と、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子を軟磁性フェライトによって被覆するフェライト被覆工程と、軟磁性フェライトにより被覆された鉄系軟磁性母材粒子により構成される粉末を加圧して圧粉成形体を作製する圧粉工程と、圧粉成形体を焼結する焼結工程と、を含む、軟磁性体の製造方法とすること。【選択図】 図5

Description

本発明は、軟磁性体の製造方法に関する。
従来から、軟磁性粉末を圧粉成形し、その後に圧粉成形体を焼結する軟磁性体の製造方法は知られている。こうして製造された軟磁性体をコアに用いる場合、渦電流損失を抑えるために高い電気抵抗(比抵抗)を有する軟磁性体が好ましく用いられる。電気抵抗を高めるために、例えば軟磁性粉末を構成する軟磁性粒子の表面に絶縁性(比抵抗)の高いシリコン(ケイ素)或いはシリコン化合物層を形成するといった試みもなされている。
特許文献1は、900℃〜1250℃の高温度で鉄粉末を加熱した後に破砕して鉄粉砕粒子の結晶粒径を成長させる工程と、結晶粒径の大きな鉄粉砕粒子からなる鉄粉末にシリコン粉末又はフェロシリコン粉末を添加して混合粉末を調製する工程と、得られた混合粉末を920℃〜1100℃で加熱した後に粉砕することにより、鉄粉末を構成する鉄粒子の表層にシリコン層を形成する工程と、シリコン層が表層に形成された鉄粒子により構成される粉末を加圧して圧粉成形体を成形する工程と、圧粉成形体を焼結する工程と、を含む、軟磁性体の製造方法を開示する。
特許文献2は、鉄系粉末をオーステナイト相が形成される温度域(1000℃程度)まで加熱する工程と、その温度域にて気相反応を用いて鉄系粉末を構成する鉄系粒子の表層部にケイ素を濃化させることにより、鉄系粒子の表層にシリコン層を形成する工程と、シリコン層が表層に形成された鉄系粒子により構成される粉末を加圧して圧粉成形体を成形する工程と、圧粉成形体を焼結する工程と、を含む、圧粉磁心(コア)の製造方法を開示する。
特許文献3は、軟磁性粒子の表面にシリコン化合物を接触させるとともに1100℃程度に加熱することによりシリコン化合物からシリコンを脱離させる工程と、脱離したシリコンを軟磁性粒子の表層に浸透拡散させることにより、軟磁性粒子の表層にシリコン層を形成する工程と、を含む、磁心用粉末の製造方法を開示する。
特許第4430607号 特許第4539585号 特許第4560077号
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1乃至3に記載されたいずれの方法においても、軟磁性粒子の表層にシリコン層を形成する際に非常に高い温度まで軟磁性粒子を加熱しなければならない。従って、熱処理コストが高いという問題がある。
本発明は、安価で且つ渦電流損失の小さい軟磁性体の製造方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、鉄を主成分とする鉄系軟磁性母材粒子により構成される鉄系軟磁性母材粉末と鉄系軟磁性母材粒子の粒径よりも小さい粒径を有するシリコン粒子により構成されるシリコン微粉末とを混合した混合粉末に機械的エネルギーを作用させることにより、鉄系軟磁性母材粒子の表層にシリコン粒子が分散して埋め込まれたシリコン分散層を形成するシリコン分散層形成工程と、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子を軟磁性フェライトによって被覆するフェライト被覆工程と、軟磁性フェライトにより被覆された鉄系軟磁性母材粒子により構成される粉末を加圧して圧粉成形体を作製する圧粉工程と、圧粉成形体を焼結する焼結工程と、を含む、軟磁性体の製造方法を提供する。この場合、焼結工程にて、鉄系軟磁性母材粒子の粒界にシリコン酸化物層及び軟磁性フェライト層が形成されるように、圧粉成形体を焼結するのがよい。さらにこの場合、焼結工程にて、シリコン酸化物層及び軟磁性フェライト層によって隣接する鉄系軟磁性母材粒子間の導通が遮断されるように、圧粉成形体を焼結するのがよい。
本発明によれば、鉄を主成分とする鉄系軟磁性母材粒子により構成される鉄系軟磁性母材粉末と鉄系軟磁性母材粒子の粒径よりも小さい粒径を有するシリコン粒子により構成されるシリコン微粉末との混合粉末に機械的エネルギーを作用させることによって、熱処理によらず、安価に鉄系軟磁性母材粒子の表層にシリコン層(シリコン分散層)を形成することができる。
シリコン分散層形成工程にて形成されるシリコン分散層中のシリコン粒子は、鉄系軟磁性母材粒子の表層に分散しているだけであって、シリコン粒子が連続的に接触していない。そのためシリコン分散層の電気抵抗は低い。しかし、その後の焼結工程にて、シリコン分散層中にシリコンが均一に拡散されるとともに、シリコンと軟磁性フェライトが反応して比抵抗の高いシリコン酸化物層が生成される。こうして生成されたシリコン酸化物層が鉄系軟磁性母材粒子の表面を覆う。また、フェライト被覆工程の実行により、隣接する鉄系軟磁性母材粒子間(すなわち鉄系軟磁性母材粒子の粒界)に比抵抗の高い軟磁性フェライトが介在される。つまり、隣接する鉄系軟磁性母材粒子の間に比抵抗の高いシリコン酸化物層及び軟磁性フェイライト層が形成される。そして、高い比抵抗を有する2つの絶縁層(シリコン酸化物層及びフェライト層)によって、鉄系軟磁性母材粒子間の導通が確実に遮断される。よって、本発明によれば、高い比抵抗を有する軟磁性体、つまり、渦電流損失の小さい軟磁性体を製造することができる。
さらに、本発明によれば、焼結工程にて軟磁性フェライトが還元されて酸素が鉄系軟磁性母材粒子内に移動しようとするが、鉄系軟磁性母材粒子の表面を覆うシリコン酸化物層により鉄系軟磁性母材粒子内部への酸素の移動が阻害される。こうして酸素の移動が阻害されるため、鉄系軟磁性母材粒子の内部酸化、及び、軟磁性フェライト層の酸化が防止される。その結果、磁気特性の低下及び電気抵抗の低下を効果的に防止することができる。
鉄系軟磁性母材粒子の粒界にシリコン酸化物層及び軟磁性フェライト層が形成されるような焼結条件(焼結温度条件、焼結時間、昇温速度等)は、シリコン酸化物層の膜厚、或いは軟磁性フェライト層の膜厚等により変化するために、一概に表すことはできないが、例えば、焼結体(焼結後の圧粉成形体)に振幅1.0T、周波数800MHzの交流磁界を印加した際における渦電流損失が50w/kg以下であるように、前記圧粉成形体を焼結するような焼結条件であるとよい。
本発明において、シリコン分散層形成工程では、鉄系軟磁性母材粉末とシリコン微粉末との混合粉末に機械的エネルギーを作用させる。機械的エネルギーは、鉄系軟磁性母材粒子にシリコン粒子を押し付けるように混合粉末に作用する圧縮力、及び、鉄系軟磁性母材粒子に押し付けられたシリコン粒子をせん断するように混合粉末に作用するせん断力、として表されるとよい。つまり、シリコン分散層形成工程では、鉄系軟磁性母材粉末とシリコン微粉末との混合粉末に圧縮力及びせん断力を作用させるのがよい。せん断力により鉄系軟磁性母材粒子の表面にシリコン粒子が分散される。そして圧縮力により、分散されたシリコン粒子が鉄系軟磁性母材粒子の表面に埋め込まれる。
フェライト被覆工程は、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子の表面を粉末状の軟磁性フェライトによって覆う工程であるのがよい。粉末状の軟磁性フェライトによって鉄系軟磁性母材粒子の表面を覆うことにより、その後の圧粉工程において比較的自由に圧粉成形体を変形させることができる。この場合、フェライト被覆工程は、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子により構成される粉末と軟磁性フェライト粒子により構成される粉末とを混合した混合粉末に機械的エネルギーを作用させることにより、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子を前記軟磁性フェライト粒子によって覆う工程であるのがよい。
これによれば、フェライト被覆工程後の焼結工程にて圧粉成形体が加熱されることにより、軟磁性フェライト粉末どうしが結合して鉄系軟磁性母材粒子間に軟磁性フェライト層が形成されるとともに、軟磁性フェライトとシリコン分散層中のシリコン粒子が反応して鉄系軟磁性母材粒子の表面にシリコン酸化物層が形成される。隣接する鉄系軟磁性母材粒子の間にこれらのフェライト層及びシリコン酸化物層が存在することにより、上述したように鉄系軟磁性母材粒子どうしの導通が確実に遮断される。
鉄系軟磁性母材粒子は純鉄粒子であってもよい。鉄系軟磁性母材粒子が純鉄粒子である場合、製造される軟磁性体の透磁率を高めることができる。よって、高い透磁率が求められるモータコアに、本発明の製造方法により製造された軟磁性体を好適に用いることができる。また、鉄系軟磁性粒子が1.0wt%以下のシリコンを含む鉄−シリコン合金であってもよい。鉄系軟磁性粒子にシリコンを含ませることにより、焼結工程にてシリコン酸化物層が十分に鉄系軟磁性粉末の表面を覆うことができない場合であっても、その部分を鉄系軟磁性粉末中のシリコンが補うことにより、軟磁性体の比抵抗を十分に高めることができる。
また、分散層形成工程が、メカノフュージョン法によりなされるのがよい。これによれば、メカノフュージョン装置によって鉄系軟磁性粉末とシリコン粉末との混合粉末にせん断力及び圧縮力を作用させることによって、確実に、鉄系軟磁性母材粒子の表面にシリコン分散層を形成することができる。この場合、さらに、フェライト被覆工程もメカノフージュン法によりなされるのがよい。これによれば、分散層形成工程とフェイライト被覆工程とを、同一のメカノフュージョン装置を用いて連続的に実施することができ、製造工程を簡略化することができる。
シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子の断面の模式図である。 メカノフュージョン法の動作原理を示す図である。 粉末状の軟磁性フェライトで表面が被覆された鉄系軟磁性母材粒子の断面の模式図である。 圧粉工程により作製された圧粉成形体中のフェライト被覆粒子の断面を示す模式図である。 焼結後における鉄系軟磁性母材粒子の粒界の断面組織の模式図である。 鉄系軟磁性母材粒子の粒界の軟磁性フェライトの還元が進行した状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る軟磁性体の製造方法は、シリコン分散層形成工程と、フェイライト被覆工程と、圧粉工程と、焼結工程とを含む。
シリコン分散層形成工程では、鉄を主成分とする鉄系軟磁性母材粒子の集合体により構成される鉄系軟磁性母材粉末とシリコン粒子の集合体により構成されるシリコン微粉末とを混合した混合粉末に機械的エネルギーを作用させて、鉄系軟磁性母材粒子の表面にシリコン粒子が分散して埋め込まれたシリコン分散層を形成する。
図1は、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子の断面の模式図である。図1(a)にシリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子1の全体の断面を示し、図1(b)にシリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子1の表層部分の拡大断面を示す。図1に示すように、鉄系軟磁性母材粒子1の表層部分に、シリコン分散層2が形成される。シリコン分散層2は、図1(a)によく示すように、鉄系軟磁性母材粒子1の全表面を覆うように形成されているのが理想的である。シリコン分散層2は、図1(b)によく示すように、多数のシリコン粒子3が鉄系軟磁性母材粒子1の表層に分散して埋め込まれている。
鉄系軟磁性母材粒子は鉄を主成分とする。純鉄粒子、或いは1.0wt%以下のシリコンを含む鉄−シリコン合金粒子が、鉄系軟磁性母材粒子として好ましく用いられる。鉄系軟磁性母材粒子の平均粒子径は、50μm以上であり且つ200μm以下であるのがよい。鉄系軟磁性粒子の平均粒子径が50μm未満であると、保磁力が大きく、ヒステリシス損失が増大するといった問題が発生する。一方、鉄系軟磁性粒子の平均粒子径が200μmを越えると、粒子内に渦電流が流れやすくなり、渦電流損失が増大するといった問題が発生する。
シリコン粒子は、鉄系軟磁性母材粒子の粒径よりも小さい粒径を有する。具体的には、シリコン粒子の平均粒子径は、鉄系軟磁性母材粒子の平均粒子径の1/10000以上であり且つ1/100以下であるとよい。シリコン粒子の平均粒子径が鉄系軟磁性母材粒子の平均粒子径の1/10000未満である場合、シリコン粒子が小さすぎて酸化、発火しやすく、大気中での取り扱いが困難となるといった問題が発生する。一方、シリコン粒子の平均粒子径が鉄系軟磁性母材粒子の平均粒子径の1/100を越える場合、鉄系軟磁性母材粒子に対してシリコン粒子が大きすぎて、シリコン粒子を鉄系軟磁性母材粒子の表層に均一に埋め込むことができない。
また、混合粉末中におけるシリコン微粉末の含有量は、鉄系軟磁性母材粉末100重量部に対して0.1重量部以上0.6重量部以下であるのがよい。シリコン微粉末の含有量が0.1重量部未満である場合、シリコン微粉末の含有割合が少なすぎるために、鉄系軟磁性母材粒子の表面に一様にシリコン分散層を形成することができない。一方、シリコン微粉末の含有量が0.6重量部を越える場合、鉄系軟磁性母材粉末の含有量が相対的に減少するために、製造される軟磁性体の磁気特性が悪化する。
また、シリコン分散層形成工程では、鉄系軟磁性母材粉末とシリコン微粉末との混合粉末に機械的エネルギーを作用させる。ここで、シリコン粒子の硬度はHv(ビッカース硬度)1000程度であり、鉄系軟磁性母材粒子よりも硬い(例えば、純鉄の硬度はHv110程度である)。また、上述したように、シリコン粒子の平均粒子径は鉄系軟磁性母材粒子の平均粒子径よりもはるかに小さい。つまり、シリコン粒子は小さくて硬く、一方、鉄系軟磁性母材粒子は大きくて柔らかい。従って、混合粉末に機械的エネルギーを作用させると、図1に示すように、シリコン粒子が鉄系軟磁性粒子の表層に埋め込まれる。
この場合、シリコン分散層形成工程は、メカノフュージョン法によりなされるとよい。メカノフュージョン法とは、機械的エネルギーを利用して、ある物質を他の物質上に融合させる乾式処理方法である。図2は、メカノフュージョン法の動作原理を示す図である。図2に示すように、内部に混合粉末Pが充填された円筒状のロータ10がその軸周りに回転する。ロータ10を高速で回転させると、遠心力によりロータ10の内壁に混合粉末Pが付着する。また、ロータ10内にプレスヘッド11が配設されている。このプレスヘッド11がロータ10の内壁に付着した混合粉末Pを圧縮する。また、圧縮力を作用させた状態でロータ10が高速回転することにより、混合粉末Pにせん断力が作用する。図2においては、圧縮力はロータ10の径方向に作用し、せん断力はロータ10の内壁の接線方向に作用する。
圧縮力によって、小さくて硬いシリコン粒子が大きくて柔らかい鉄系軟磁性粒子の表層に分散して埋め込まれ、せん断力によって埋め込まれたシリコン粒子が鉄系軟磁性粒子の表層に分散する。このようにして、鉄系軟磁性母材粒子の表層にシリコン粒子が分散して埋め込まれたシリコン分散層が形成される。
こうしたシリコン分散層形成工程により、熱処理によらず、鉄系軟磁性母材粒子の表層にシリコン層(シリコン分散層)が形成される。シリコン分散層中のシリコン粒子は、シリコン分散層中を比較的自由に移動できる。従って、その後の圧粉工程により加圧された際における成形体の変形の妨げになりにくい。
シリコン分散層形成工程にて鉄系軟磁性母材粒子の表層にシリコン分散層を形成した後に、フェライト被覆工程が実行される。フェライト被覆工程では、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子に軟磁性フェライトが被覆される。軟磁性フェライトの比抵抗は高い。よって、軟磁性フェライトで表面が被覆された鉄系軟磁性母材粒子は、電気的に孤立する。すなわち、軟磁性フェライトの被覆層が絶縁被膜として機能して、鉄系軟磁性母材粒子間における導通が遮断される(絶縁が確保される)。これにより、鉄系軟磁性母材粒子間の導通に起因した軟磁性体の電気抵抗の低下を防止できる。さらに、磁性を持つ軟磁性フェライトを被覆することで、磁性を持たない絶縁被膜を被覆する場合よりも、軟磁性体の磁気特性を向上させることができる。
軟磁性フェライトの被覆量は、鉄系軟磁性母材粉末100重量部に対して0.5重量部以上であり且つ4.0重量部以下であるのがよい。軟磁性フェライトの被覆量が0.5重量部未満であると、連続した皮膜になり難く、鉄系軟磁性母材粒子間の絶縁が確保されなくなるといった問題が発生する。一方、軟磁性フェライトの被覆量が4.0重量部を越えると、皮膜が厚くなり、磁気特性(透磁率)が低下するといった問題が発生する。
また、軟磁性フェライトの被覆膜厚は、0.1μm以上であり且つ10μm以下であるのがよい。軟磁性フェライトの被覆膜厚が0.1μm未満であると、薄すぎて、鉄系軟磁性母材粒子間の導通を十分に遮断することができない。一方、軟磁性フェライトの被覆膜厚が10μmを越えると、単位体積当たりにおける鉄系軟磁性母材粒子の量が低下し、軟磁性体の透磁率の低下、ヒステリシス損失の増大を招く。
なお、本実施形態に係る軟磁性体の使用用途に応じて軟磁性フェライトの被覆膜厚を調整してもよい。例えば、本実施形態に係る軟磁性体をモータコアに用いる場合、高い透磁率が要求されるために、軟磁性フェライトの被覆膜厚は、絶縁性を確保できる範囲でできるだけ薄くするのがよい。
また、フェライト被覆工程では、めっき等の化学修飾法による軟磁性フェライトの被覆も可能であるが、粉末状の軟磁性フェライトを鉄系軟磁性母材粒子の表面に被覆するとよい。つまり、フェライト被覆工程は、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子の表面を粉末状の軟磁性フェライトによって覆う工程であるのがよい。好ましくは、フェライト被覆工程は、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子により構成される粉末と軟磁性フェライト粒子により構成される粉末とを混合した混合粉末に機械的エネルギーを作用させることにより、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子を軟磁性フェライト粒子によって覆う工程であるのがよい。粉末状の軟磁性フェライトによってシリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子の表面を覆うことにより、その後の圧粉工程にて鉄系軟磁性母材粒子が変形した場合にあっても、その変形に追随するように軟磁性フェライト被膜を変形させることができる。
また、軟磁性フェライトが粉末状である場合、メカノフュージョン法により軟磁性フェライトを鉄系軟磁性母材粒子に被覆することができる。この場合、シリコン分散層形成工程とフェイライト被覆工程とを同一のメカノフュージョン装置を用いて連続的に実施することができ、製造工程を簡略化することができる。
また、軟磁性フェライトが粉末状である場合、軟磁性フェライト粉末を構成する軟磁性フェライト粒子の平均粒子径は、シリコン粒子の平均粒子径よりも大きく、且つ、鉄系軟磁性母材粒子の平均粒子径よりも小さいのがよい。具体的には、軟磁性フェライト粒子の平均粒子径は、0.01μm以上であり且つ1μm以下であるのがよい。軟磁性フェライト粒子の平均粒子径が0.01μm未満であると、シリコン分散層中に軟磁性フェライト粒子が埋め込まれてしまう。一方、軟磁性フェライト粒子の平均粒子径が1μmを越えると、薄くても絶縁が確保できるような均質な皮膜を形成し難いといった問題が発生する。
図3は、粉末状の軟磁性フェライトで表面が被覆された鉄系軟磁性母材粒子(以下、フェライト被覆粒子と呼ぶこともある)の断面の模式図である。図3(a)がフェライト被覆粒子4の全体の断面を示し、図3(b)がフェライト被覆粒子4の表層部付近の拡大断面を示す。図3に示すように、フェライト被覆粒子4は、シリコン分散層2が表層に形成された鉄系軟磁性母材粒子1と、鉄系軟磁性母材粒子1の表面に被覆された軟磁性フェライト層5とを有する。軟磁性フェライト層5は軟磁性フェライト粒子6からなり、鉄系軟磁性母材粒子1の表層に形成されたシリコン分散層2を覆っている。なお、図3(b)に示すように、軟磁性フェライト粒子6はシリコン分散層2中のシリコン粒子3よりも大きい。そのため、シリコン分散層2中に軟磁性フェライト粒子6が埋め込まれない。軟磁性フェライト粒子6の大きさによっては、多少は軟磁性フェライト粒子6がシリコン分散層2中に埋め込まれる可能性があるが、鉄系軟磁性母材粒子1同士の接触を妨げる層が存在する限りにおいては、軟磁性フェライト粒子6がシリコン分散層2中に混ざっていても問題は生じない。
フェライト被覆工程の後に圧粉工程が実行される。圧粉工程では、例えば金型のキャビティ内に、フェライト被覆工程にて作製されたフェライト被覆粒子により構成される粉末が充填される。そして、キャビティに充填された粉末を加圧することにより圧粉成形体が作製される。粉末の加圧は周知の加圧装置によって行うことができる。加圧力が高ければ高いほど、圧粉成形体の密度を高くすることができる。
図4は、圧粉工程により作製された圧粉成形体中のフェライト被覆粒子4の断面を示す模式図である。図4(a)に、隣接する2個のフェライト被覆粒子4の接触状態を示し、図4(b)に、隣接する2個のフェライト被覆粒子4の接触界面の拡大断面を示す。図4に示すように、圧粉工程での加圧によって、フェライト被覆粒子4どうしが接触する。また、図4(b)によく示すように、フェライト被覆粒子4の表面の軟磁性フェライト層5によって、鉄系軟磁性母材粒子1どうしの直接の接触が妨げられる。
軟磁性体は高密度であるほど磁気特性、強度に優れるため、圧粉工程では高荷重をかけて圧粉成形体の密度が高密度となるように圧粉成形が行われる。しかし、高密度化には、圧粉成形体を構成する粒子の著しい変形を伴う。従って、鉄系軟磁性母材粒子が連続した絶縁被膜で覆われている場合、圧粉工程にて被膜が母材粒子の変形に追随することができず、被膜が破れて絶縁性の低下をもたらす虞がある。この点について、本実施形態によれば、シリコン分散層は鉄系軟磁性母材粒子表面にシリコン粒子を埋め込むことにより形成されているため、圧粉工程時に加圧された場合であっても加圧による母材の変形に伴って変形することができる。そして、圧粉成形後には、図4(b)に示すように、軟磁性フェライト層5を挟んで、隣接する鉄系軟磁性母材粒子1のシリコン分散層2,2が対峙する構造が、各鉄系軟磁性母材粒子の粒界で実現される。
さらに、軟磁性フェライト層5が粉末状のフェライト粒子6によって構成されていれば、圧粉工程時に軟磁性フェライト層5を構成するフェライト粒子6が流動することにより、軟磁性フェライト層5も容易に鉄系軟磁性母材粒子1の変形に追随して変形することができる。よって、加圧変形によって軟磁性フェライト層5が破壊されることも防止でき、より一層、隣接する鉄系軟磁性母材粒子間での絶縁を確保することができる。
圧粉工程にて圧粉成形体を作製した後、圧粉成形体を焼結する(焼結工程)。圧粉成形時の加圧によって圧粉成形体に歪が蓄積されるため、ヒステリシス損失(保磁力)が大きくなっている。従って、この歪を除去するために焼結が実施される。また、圧粉成形のみでは軟磁性フェライト層を介した鉄系軟磁性母材粒子間の結合力が弱いため強度が低い。焼結により粒子間の結合を強めることで、軟磁性体の高強度化を図ることができる。また、鉄系軟磁性母材粒子の表面を被覆している軟磁性フェライト層が軟磁性フェライト粒子により形成されている場合、焼結過程で軟磁性フェライト粒子同士の結合、粒の成長が生じる。これもまた、強度の向上に寄与する。
ところで、焼結温度が高いほど、焼結体である軟磁性体の保磁力は低下し、且つ、強度が向上する傾向にある。その一方で、高温焼結によって軟磁性フェライトの還元が進行するとともに鉄系軟磁性母材粒子の内部酸化が進行する。これらの反応によって酸化鉄(FeO)が生成される。FeOは常温で常磁性であり、導電性を有し、強度が低いことから、FeO相が軟磁性体中に多量に存在すると、透磁率の低下、渦電流損失の増大、強度の低下を招く。つまり、焼結温度を高めると、鉄系軟磁性母材粒子の粒界にFeOが多量に生成されて、軟磁性フェライト層(絶縁被膜)が劣化する。これに対し、本実施形態によれば、鉄系軟磁性母材粒子の粒界でのFeOの発生が抑えられるため、焼結温度を高めた場合でも、軟磁性フェライト層(絶縁被膜)の劣化がさほど進行しない。つまり、軟磁性フェライト層の耐熱性が高められている。
図5に、焼結後における鉄系軟磁性母材粒子の粒界の断面組織の模式図の一例を示す。図5に示すように、焼結が進行すると、鉄系軟磁性母材粒子1の表層に形成されたシリコン分散層中のシリコン粒子が拡散する。このため、鉄系軟磁性母材粒子1の表面におけるシリコンの濃度が均一化される。図5において、鉄系軟磁性母材粒子1の表層におけるシリコンの濃度が濃淡により表現される。鉄系軟磁性母材粒子1の最表面におけるシリコンの濃度が最も高く、内側(中心)に向かうにつれてシリコンの濃度が低下する。
また、焼結過程において、鉄系軟磁性母材粒子1の粒界に存在する軟磁性フェライトが還元されるとともに、シリコン分散層中のシリコンと軟磁性フェライトが反応して鉄系軟磁性母材粒子1の表面にFeSiO、SiO等のシリコン酸化物薄膜(シリコン酸化物層)7が生成される。シリコン酸化物層7の比抵抗は高い。従って、鉄系軟磁性母材粒子1の表面に生成されたシリコン酸化物層7及び、鉄系軟磁性母材粒子1の粒界に存在する還元されていない軟磁性フェライト層5によって、隣接する鉄系軟磁性母材粒子1間での絶縁性が確保される。
また、鉄系軟磁性母材粒子1の表面にシリコン酸化物層7が生成することによって、軟磁性フェライトの還元により脱離した酸素の鉄系軟磁性母材粒子1内への移動が阻害される。こうした酸素の移動が阻害される結果、鉄系軟磁性母材粒子の粒界での酸化鉄(FeO)の生成も阻害される。また、仮に、図5に示すようにFeO層8が鉄系軟磁性母材粒子1の粒界に多少析出したとしても、FeO相の拡大は抑制される。つまり、軟磁性フェライト層5及びシリコン酸化物層7の劣化が効果的に防止される。このため、焼結温度を高めた場合でも、軟磁性フェライトの還元による劣化が抑えられる。すなわち、耐熱性が向上する。
なお、焼結後に鉄系軟磁性母材粒子の粒界にFeO相が多く残存していると、磁気特性、強度の低下を招く。ここで、FeO相は高温における準安定相であり、560℃以下で長時間保持すると、共析変態(4FeO=Fe+Fe)を生じる。共析変態により析出されるFe相及びαFe相は強磁性体であり、また、Fe相の比抵抗及び強度は高い。従って、600℃以上の温度の焼結によりFeO相が析出した場合であっても、焼結後の冷却過程で共析変態によりFeO相からFe相とαFe相を析出させることにより、より一層磁気特性及び強度に優れた軟磁性体を得ることができる。
また、上記したように、焼結時に生成されるシリコン酸化物層によって、一定の焼結温度、焼結時間までは、FeOの生成を効果的に抑えることができるものの、さらに高温、或いは長時間の焼結を行った場合、鉄系軟磁性母材粒子の粒界に存在する軟磁性フェライトの還元が進行する。図6は、鉄系軟磁性母材粒子の粒界の軟磁性フェライトの還元が進行した状態を示す図である。図6に示す状態においては、鉄系軟磁性母材粒子1の粒界全体にFeO層8が拡散する。隣接する鉄系軟磁性母材粒子1同士はFeO層8を介して電気的に導通する。このため電気抵抗が大きく低下する。また、粒界内でシリコン酸化物塊9がFeO層8に取り込まれて点在し、もはや層状をなしていない。層状でないシリコン酸化物塊9は絶縁に寄与しない。
また、一旦、図6に示すように隣接する鉄系軟磁性母材粒子1間(粒界)がFeO層8で満たされた場合には、焼結後の冷却過程でFeO相からFe相及びαFe相を析出させても、絶縁性の回復は望めない。従って、焼結温度、焼結時間は、シリコン酸化物層及び軟磁性フェライト層が絶縁層(高抵抗層)として機能する範囲とするべきである。そのような範囲は、シリコン分散層形成工程にて形成されるシリコン分散層中のシリコンの濃度、濃度分布、フェライト被覆工程にて鉄系軟磁性母材粒子に被覆されるフェライト層の膜厚等により変化する。従って、好ましい焼結条件を定量的に定義することはできないが、焼結により成形された軟磁性体に交流磁場[振幅1.0T、周波数800Hz]を印加した際における渦電流損失が50W/kg以下であるように焼結条件を設定するのがよい。上記した渦電流損失よりも大きい渦電流損失が発生した場合、モータコアとして使用した場合における効率が著しく低下するため、実用的でない。
(実施例1)
鉄系軟磁性母材粉末としての高純度純鉄粉(株式会社神戸製鋼所製、300NH、平均粒子径100μm)と、シリコン微粉末としてのSilicon nanopowder(Sigma−Aldrich製 粒径<100nm)を、Ar雰囲気のグローブボックス内で所定の割合で混合して混合粉末を調製した。その後、混合粉末を取り出し、メカノフュージョン装置(ホソカワミクロン株式会社製)に投入し、ロータ回転数1000rpm、室温(水冷)、Arフロー雰囲気といった条件下で、混合粉末にせん断力及び圧縮力を20分間作用させた。この場合において、混合粉末の温度は50℃〜80℃程度まで上昇することがある。これにより、鉄系軟磁性母材粒子の表層にシリコン粒子が分散して埋め込まれたシリコン分散層を形成した(シリコン分散層形成工程)。
次に、シリコン分散層が表層に形成された鉄系軟磁性母材粒子に軟磁性フェライト粒子からなるフェライト層を被覆した。この場合において、シリコン分散層形成工程にて用いたメカノフュージョン装置を用い、所定の割合で、シリコン分散層が表層に形成された鉄系軟磁性母材粒子により構成される粉末と軟磁性フェライト粒子により構成される粉末(戸田工業株式会社製Ni−Zn−Cu径FRX−952 平均粒子径0.7μm)とを混合し、混合粉末をメカノフュージョン装置に投入した。そして、ロータ回転数1000rpm、室温(水冷)、Arフロー雰囲気といった条件下で、混合粉末にせん断力及び圧縮力を40分間作用させた。これにより、シリコン分散層が形成された鉄系軟磁性母材粒子を粉末状の軟磁性フェライトによって被覆して、フェライト被覆粒子を作製した(フェライト被覆工程)。
次に、フェライト被覆粒子により構成される粉末約3gを金型に充填し、成形圧力800Mpaの加圧力で加圧して冷間圧粉成形した(圧粉工程)。圧粉成形体の形状は、外径20mm、内径14mm、厚さ2.5〜2.8mmのリング状とした。
最後に、圧粉成形体を雰囲気炉に投入し、雰囲気炉内をArガスで置換した後、Arガスフロー下で圧粉成形体を焼結した。焼結時における昇温速度は20℃/分であり、所定温度まで加熱した後、10分間その温度を保持した(焼結工程)。その後、焼結体を冷却した。冷却速度は、600℃までは20℃/分とし、600℃〜300℃までは5℃/分とした。300℃まで低下したところで雰囲気炉から焼結体を取り出した。以上の工程を経て、軟磁性体(試料)を製造した。
上記の工程に従い、種々の作製条件(鉄系軟磁性母材粉末の組成、シリコン微粉末の混合量、軟磁性フェライトの被覆量、焼結温度)にて複数の試料を製造した。製造した試料に対し、直流B−Hカーブトレーサー(理研電子株式会社製)を用い、外部磁場8kA/mにおける磁束密度Bm[T]及び保磁力Hc[A/m]を測定した。磁束密度Bmが大きいほど透磁率が高く、保磁力Hcが小さいほど鉄損(ヒステリシス損失)が低いと判断できる。また、交流B−Hアナライザー(岩通計測株式会社製)を用い、振幅1.0T、周波数800Hzの磁界を各試料に印加した場合における鉄損、ヒステリシス損失(ヒス損)、渦電流損失(渦電流損)を測定した。表1に各試料の作製条件、密度(コア密度)、磁気特性(磁束密度、保磁力、鉄損、ヒス損、渦電流損)を示す。
なお、表1に示すシリコン微粉末の混合量(wt%)及び軟磁性フェライトの被覆量(wt%)は、鉄系軟磁性母材粉末100重量部に対する重量部である(後述する表2、表3においても同じ)。また、渦電流損失が50W/kg以下であるものを発明例とし、50W/kgを越えるものを比較例とした(後述する表2、表3においても同じ)。
比較例1においては渦電流損失が極めて大きい。これは、鉄系軟磁性母材粒子の粒界にシリコン酸化物層及び軟磁性フェライト層が形成されていないために、試料の比抵抗が低いことが原因であると考えられる。比較例2,7,8においても渦電流損失が依然として大きい。これは、鉄系軟磁性母材粒子の粒界にシリコン酸化物層は形成されているが、軟磁性フェライト層が形成されていないため、試料の比抵抗が比較的低いことが原因であると考えられる。
比較例3,4においては、比較例1,2,7,8と比較して渦電流損失はかなり小さい。しかしながら、渦電流損失は50W/kgを越えており、十分に小さいとは言えない。これは、鉄系軟磁性母材粒子の粒界に軟磁性フェライト層は形成されているがシリコン酸化物層が形成されていないため、焼結工程時に絶縁層(軟磁性フェライト層)が劣化したことが原因であると考えられる。
これに対し、発明例1〜9においては、鉄系軟磁性母材粒子の粒界にシリコン酸化物層と軟磁性フェライト層が形成されるので、渦電流損失が50W/kg以下と小さい。従って、この結果から、本実施形態に係る製造方法によれば、渦電流損失の小さな軟磁性体を製造できることが実証され得る。また、発明例1〜9においては、シリコン分散層形成工程にて熱処理によらずシリコン分散層が形成される。よって、熱処理に伴うコスト増加を抑え、安価で且つ渦電流損失の小さい軟磁性体の製造方法を提供することができる。
一方、比較例5,6,9においては、シリコン酸化物層及び軟磁性フェライト層が形成されているにも関わらず、渦電流損失が50W/kg以上である。これは、材料組成に対して焼結温度が高すぎるため、焼結工程時に粒界にFeO相が形成されたことが原因であると推察される。
(実施例2)
軟磁性体をモータコアに適用する場合、透磁率が高い方が好ましい。透磁率を高くするためには、鉄系軟磁性母材粒子に被覆する軟磁性フェライトの被覆量を少なくするとよい。従って、軟磁性フェライトの被覆量を少なめ(0.5wt%)とした試料を作製し、渦電流損失が増大しないような焼結条件を検討した。表2に各試料の作成条件、密度、磁気特性を示す。
ここで、比較例10においては、焼結時における昇温速度を20℃/分とし、所定温度(800℃)まで加熱した後、10分間その温度を保持した。一方、発明例10においては、焼結時における昇温速度を40℃/分として所定温度(800℃)まで加熱し、その後、焼結温度(800℃)での保持は行わずに冷却をすぐに開始した。冷却条件は、比較例10及び発明例10ともに実施例1と同じである。表2の結果から、焼結時間の短い発明例10では渦電流損失は低く、隣接する鉄系軟磁性母材粒子間の絶縁が維持されていることがわかる。
(実施例3)
鉄系軟磁性母材粒子を鉄−シリコン合金(シリコン含有量0.5wt%)として、実施例1と同様の方法により試料を作製した。表3に各試料の作製条件、密度、磁気特性を示す。
比較例11においては、渦電流損失が大きい。これは、鉄系軟磁性母材粒子の粒界にシリコン酸化物層及び軟磁性フェライト層が形成されていないために試料の比抵抗が低いことが原因であると考えられる。比較例12においても渦電流損失が大きい。これは、鉄系軟磁性母材粒子の粒界にシリコン酸化物層は形成されているものの、軟磁性フェライト層が形成されておらず、それ故に試料の比抵抗が低いことが原因であると考えられる。一方、比較例13においては、渦電流損失が比較的小さい。この理由は、鉄系軟磁性母材粒子の粒界に軟磁性フェライト層が形成され、且つ、母材粒子中のシリコンと軟磁性フェライトが焼結時に反応してシリコン酸化物層も粒界に形成されたため、試料の比抵抗が高まったことが原因であると推察される。
発明例11〜13においては、渦電流損失が極めて小さい。これは、鉄系軟磁性母材粒子の粒界に十分な量の軟磁性フェライト層及びシリコン酸化物層が形成された結果、試料の比抵抗が大きく高められたことが原因であると考えられる。従って、母材粒子にFe−Si合金を用いた場合であっても、十分な磁気特性を有する軟磁性体を製造することができることがわかる。また、発明例13においては、磁束密度は比較的小さいが、900℃の高温焼結を行った場合でも鉄損及び渦電流損失が小さい。よって、この例に係る軟磁性体は、リアクトルコアに好適であり、且つ、高強度である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては、鉄系軟磁性母材粒子が純鉄或いは鉄−シリコン合金である例を示したが、鉄が主成分である軟磁性材料であればよい。また、上記実施形態では、メカノフュージョン法により鉄系軟磁性母材粒子の表層にシリコン分散層を形成した例を示したが、機械的エネルギーを混合粉末に作用させる手法であれば、メカノフュージョン法以外の方法を採用してもよい。このように、発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
1…鉄系軟磁性母材粒子、2…シリコン分散層、3…シリコン粒子、4…フェライト被覆粒子、5…軟磁性フェライト層、6…軟磁性フェライト粒子、7…シリコン酸化物層、8…FeO層、9…シリコン酸化物塊、10…ロータ、11…プレスヘッド

Claims (8)

  1. 鉄を主成分とする鉄系軟磁性母材粒子により構成される鉄系軟磁性母材粉末と前記鉄系軟磁性母材粒子の粒径よりも小さい粒径を有するシリコン粒子により構成されるシリコン微粉末とを混合した混合粉末に機械的エネルギーを作用させることにより、前記鉄系軟磁性母材粒子の表層にシリコン粒子が分散して埋め込まれたシリコン分散層を形成するシリコン分散層形成工程と、
    前記シリコン分散層が形成された前記鉄系軟磁性母材粒子を軟磁性フェライトによって被覆するフェライト被覆工程と、
    前記軟磁性フェライトにより被覆された前記鉄系軟磁性母材粒子により構成される粉末を加圧して圧粉成形体を作製する圧粉工程と、
    前記圧粉成形体を焼結する焼結工程と、
    を含む、軟磁性体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の軟磁性体の製造方法において、
    前記焼結工程にて、前記鉄系軟磁性母材粒子の粒界にシリコン酸化物層及び軟磁性フェライト層が形成されるように、前記圧粉成形体を焼結する、軟磁性体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の軟磁性体の製造方法において、
    前記焼結工程は、焼結体に振幅1.0T、周波数800MHzの交流磁界を印加した際における渦電流損失が50w/kg以下であるように、前記圧粉成形体を焼結する工程である、軟磁性体の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の軟磁性体の製造方法において、
    前記フェライト被覆工程は、前記シリコン分散層が形成された前記鉄系軟磁性母材粒子により構成される粉末と軟磁性フェライト粒子により構成される粉末とを混合した混合粉末に機械的エネルギーを作用させることにより、前記シリコン分散層が形成された前記鉄系軟磁性母材粒子を前記軟磁性フェライト粒子によって覆う工程である、軟磁性体の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の軟磁性体の製造方法において、
    前記鉄系軟磁性母材粒子が純鉄粒子である、軟磁性体の製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の軟磁性体の製造方法において、
    前記鉄系軟磁性母材粒子が1.0wt%以下のシリコンを含む鉄−シリコン合金粒子である、軟磁性体の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の軟磁性体の製造方法において、
    前記分散層形成工程が、メカノフュージョン法によりなされる、軟磁性体の製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の軟磁性体の製造方法において、
    前記フェライト被覆工程が、メカノフージュン法によりなされる、軟磁性体の製造方法。
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