JP2013079412A - 金属粉末の製造方法、金属粉末、及び圧粉磁心 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な製造工程を設けることで従来の製造方法よりも容易に大粒径化することが可能な金属粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】 鉄基の金属粒子に炭素絶縁膜を有する金属粉末の製造方法であって、酸化鉄粉末を700℃以上1200℃以下の範囲で仮焼する第1熱処理と、前記の仮焼した酸化鉄粉末に炭素粉末を混合し、非酸化性雰囲気中で熱処理する第2熱処理を有することを特徴とする。前記第2熱処理の熱処理温度を1150℃超とすることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モータコアやリアクトル、インダクタ用途で高効率の圧粉磁心とすることが可能な金属粉末、及びその製造方法、並びにその金属粉末を用いた圧粉磁心に関する。
モータコアやリアクトル、インダクタ等の各用途では高効率な圧粉磁心が要求される。圧粉磁心は軟磁性の金属粉末をバインダと共に所定形状に圧縮成形したものであり、金属粉末として一般的に水アトマイズ法等で製造された純鉄または鉄基の金属粉末が用いられている。これらの金属粉末の平均粒径は数10μmから100μm程度である。
圧粉磁心の磁心損失を小さくすることで各用途での高効率化が可能である。この点は省エネルギーの観点から重要である。磁心損失はヒステリシス損失と渦電流損失から成る。
ヒステリシス損失は圧粉磁心の保磁力に関与し、この保磁力が大きくなればヒステリシス損失も大きくなる。金属粉末を圧縮成形する際に圧粉磁心内に歪みが残留して保磁力が増大するが、圧縮成形後に歪取り熱処理を施すことで歪みが緩和されてヒステリシス損失を小さくすることができる。
また、金属粉末の周囲に絶縁膜を被覆して金属粉末同士を導通させないようにすることで、渦電流損失を小さくすることができる。
ヒステリシス損失は使用周波数に比例して大きくなり、渦電流損失は使用周波数の2乗に比例して大きくなるので、高周波用途では両方の磁心損失が増大する。
このため、金属粉末の周囲に絶縁膜を被覆して渦電流損失の増大を防ぎ、かつ、この絶縁膜を上記の歪取り熱処理の温度でも皮膜破壊されない高耐熱性とすることが重要である。
絶縁膜として例えばリン酸塩ガラスが用いられる。しかしリン酸塩ガラスによる絶縁膜は歪取り熱処理の際に結晶化が進行し、それに伴い被覆が破壊されて金属粉末同士が焼結し、その結果として絶縁性が低下することが知られている。よってリン酸塩ガラスを用いる場合には歪取り熱処理は400℃程度に留める必要があった。
特許文献1は、酸化鉄粉末を炭素またはホウ素で固相還元し、金属粒子に炭素または窒化ホウ素絶縁膜を形成した金属粉末が開示されている。炭素または窒化ホウ素絶縁膜はリン酸塩ガラスの絶縁膜よりも耐熱性が高く、600℃程度の歪取り熱処理が可能である。また特許文献2では金属粒子に炭素絶縁膜を有する平均粒径2.0〜15.0μmの金属粉末が得られることが開示されている。
特開2005−273011号公報 特開2009−272615号公報
特許文献1で示されている金属粉末は、ナノサイズ粒子(平均粒径:1〜1000nm)からなり、炭素または窒化ホウ素絶縁膜は耐熱性を有するものの金属粉末の粒径は小さく圧粉磁心用途としては適さない。すなわち、圧粉磁心に用いる金属粉末は平均粒径が1μm以下であると圧縮成形による高密度化が行なえず、圧縮成形後の圧粉磁心における金属粒子の体積率(占積率)が低くなり、圧粉磁心の透磁率が低下してしまう。圧粉磁心用の金属粉末であれば、少なくとも1μm超の平均粒径が必要である。
特許文献2の金属粉末は、酸化鉄粉末と炭素粉末の混合粉末を熱処理し、金属粒子に炭素絶縁膜を形成すると同時に酸化鉄を粒成長させている。特許文献2の実施例における金属粉末は実質的にSiを含まない組成であり、後述するように熱処理によって粒成長させやすい組成ではあるが、それでも平均粒径は2.0〜15.0μmと未だ十分な大きさであるとは言えない。なお、金属粒子がSiを含む組成では、熱処理により小粒径化するため、金属粉末の平均粒径はさらに小さくなるものと思われる。
よって本発明は、簡易な製造工程を設けることで従来の製造方法よりも容易に大粒径化することが可能な金属粉末の製造方法、さらには、円形度や耐熱性が高い圧粉磁心に好適な金属粉末を提供することを目的とする。
第1の本発明は、鉄基の金属粒子に炭素絶縁膜を有する金属粉末の製造方法であって、
酸化鉄粉末を700℃以上1200℃以下の範囲で仮焼する第1熱処理と、前記の仮焼した酸化鉄粉末に炭素粉末を混合し、非酸化性雰囲気中で熱処理する第2熱処理を有することを特徴とする。
第2の本発明は、第1の本発明に記載の金属粉末の製造方法であって、前記第2熱処理の熱処理温度を1150℃超とすることを特徴とする。
第3の本発明は、第1又は第2の本発明に記載の金属粉末の製造方法であって、前記第2熱処理において前記炭素粉末と共にSi合金粉末を混合し、金属粉末中にSi元素を0.5質量%以上7.0質量%以下で含ませることを特徴とする。
第4の本発明は、第3の本発明に記載の金属粉末の製造方法によって製造された、平均粒径が3μm以上、円形度が0.85以上、表面炭素濃度が90at%以上であることを特徴とする金属粉末である。
第5の本発明は、第4又は第5の本発明に記載の金属粉末を用いたことを特徴とする圧粉磁心である。
第1の本発明では、簡易な製造工程を設けることで従来の製造方法よりも容易に大粒径化することが可能な金属粉末の製造方法を提供することができる。
第2の本発明では、上記効果に加え、円形度が高い金属粉末で、圧粉磁心の占積率を高めることが可能な金属粉末の製造方法を提供することができる。
第3の本発明では、さらに、炭素絶縁膜の耐熱性が高くさらに圧粉磁心に好適な合金組成である金属粉末の製造方法を提供することができる。
第4の本発明では、平均粒径が3μm以上、円形度が0.85以上、表面炭素濃度が90at%以上であることを特徴とする金属粉末を提供することができる。
第5の本発明では、第4の本発明で得た金属粉末を用いた圧粉磁心を提供することができる。
本発明の実施形態で第1の熱処理温度が700℃、第2熱処理温度が1180℃の金属粉末のSEM観察写真である。 参考例の金属粉末のSEM観察写真である。 比較用の第1熱処理の熱処理温度が600℃の酸化鉄粉末のSEM観察写真である。 本発明に用いる第1熱処理の熱処理温度が900℃の酸化鉄粉末のSEM観察写真である。 本発明に用いる第1熱処理の熱処理温度が1200℃の酸化鉄粉末のSEM観察写真である。 金属粉末中のSi量と平均粒径(d50)との関係を示す図である。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明は鉄基の金属粒子に炭素絶縁膜を有する金属粉末の製造方法であって、酸化鉄粉末を700℃以上1200℃以下の範囲で仮焼する第1熱処理と、前記の仮焼した酸化鉄粉末に炭素粉末を混合し、非酸化性雰囲気中で熱処理する第2熱処理を有することを特徴とする。
第1熱処理で酸化鉄粉末を700℃以上1200℃以下の範囲で熱処理することにより、第1熱処理後の酸化鉄粉末を大粒径化でき、かつ、第2熱処理後の金属粉末を極力大きい粒径に維持することができる。
この第1熱処理によって酸化鉄粉末の平均粒径が大きくなるのは、この温度範囲の加熱により粉末同士が粒成長することによるものである。
第1熱処理の熱処理温度は700℃以上1200℃以下とする必要が有る。700℃未満では酸化鉄を大粒径化する効果が十分に得られない。
熱処理温度が高いと第1熱処理における大粒径化は促進されるが第2熱処理後の金属粉末が小粒径化する。また1200℃を越えると酸化鉄粉末同士が焼結し、粉末としての利用が困難となる。
第1熱処理の熱処理温度の下限は好ましくは800℃以上である。さらに好ましくは900℃以上である。上限は1150℃以下とすることが好ましい。
第1熱処理の炉中の雰囲気は大気が好ましい。第1熱処理後の酸化鉄粉末は軽く凝集しているため、乳鉢やライカイ機等で解砕することが好ましい。
好ましい熱処理時間は0.5時間(h)以上10h以下である。0.5h未満であると粒成長の効果が十分に得られず、10hを超えると第1熱処理での工程時間が長くなり工業的に好ましくない。さらに好ましい熱処理時間は1h以上5h以下である。
第2熱処理により、酸化鉄粉末は炭素粉末側に酸素を奪われ還元される事で鉄基の金属粒子となり、さらに金属粒子の表面に炭素絶縁膜が形成される。
第2熱処理の熱処理温度は600℃以上1600℃以下の範囲が好ましい。第2熱処理の熱処理温度が600℃未満では金属粒子に炭素絶縁膜が十分に被覆されない。第2熱処理の熱処理温度が1600℃を超えると熱処理炉に高い耐熱性が要求され製造コストが嵩んでしまう。
第2熱処理の熱処理温度は1150℃超とすることが好ましく、円形度が0.85以上の金属粉末を得ることができる。円形度を0.85以上とすることで、圧粉磁心の占積率を高めることができる。また、圧縮成形時に金属粉末への局所的な応力集中を低減し、炭素絶縁膜の破壊を回避することができる。第2熱処理の熱処理温度が1150℃以下では炭素絶縁膜が部分的に被覆されない部分が発生しやすく、還元された金属粒子同士が一体化して円形度が0.85未満となる。
好ましい第2熱処理の熱処理温度は1155℃以上1300℃以下、さらに好ましくは1160℃以上1250℃以下である。
好ましい熱処理時間は0.5h以上10h以下である。0.5h未満であると炭素絶縁膜の形成効果が十分に得られず、10hを超えると第1熱処理での工程時間が長くなり工業的に好ましくない。さらに好ましい熱処理時間は1h以上5h以下である。
第2熱処理において還元反応を十分に進行させるためには、非酸化性雰囲気であることが好ましく、Ar、Heなどの不活性ガスや水素、窒素、炭酸ガスなどが選択される。特に安全かつ安価な点では窒素雰囲気がより好ましい。
本発明の金属粉末の「円形度」の測定方法を述べる。金属粉末の円形度は、金属粉末のSEM等の写真から測定する。
複数の金属粉末の中から、平均粒径d50の半分の大きさの粒径から1.5倍の大きさの粒径を持つ金属粉末を任意に選択し、そこからさらに任意に10個の金属粉末を取り出す。この金属粉末の写真を撮影し、金属粉末の投影形状を取り、投影形状の内接円と外接円を描き、数1の式で計算する。ここで内接円とは最大の円となるものを表し、外接円とは最小径の円を指すものとする。真球の場合は円形度が1.0であり、いびつになる程に円形度は小さくなる。
原料となる酸化鉄粉末はFe2O3、Fe3O4、FeOなどの組成を用いることができる。特にFe2O3は安価に入手が可能であり好ましい。酸化鉄粉末の平均粒径は0.01μm以上、3.0μm以下が好ましい。平均粒径が0.01μm未満であると第1熱処理における大粒径化の効果が少なくなる。一方、3.0μmを越える酸化鉄の製造は困難であり、工業材料としての入手や製造が難しく実用的ではない。後に第1熱処理によって大粒径化することを考慮すると、好ましい粒径は0.1μm以上、2.8μm以下である。
前記金属粒子はSiを0.5質量%以上7.0質量%以下で含むものが好ましい。第2熱処理において金属粒子中のSi量が上記範囲になるようにSi合金原料を酸化鉄粉末に混合することで、炭素絶縁膜が金属粒子の表面に均一に形成されやすくなる。
金属粒子中のSi量が0.5質量%未満であると、炭素絶縁膜による耐熱性の効果が十分に得られない。また、鉄中に存在する炭化鉄が残留しやすく、その結果として金属粉末の硬度が高くなり圧縮性が低下して圧縮成形が難しくなる。Si量が7.0質量%を超えると金属粉末の透磁率が下がり、圧粉磁心として用いる際に磁気飽和しやすくなる。また、第2熱処理後に得られる金属粉末の平均粒径が小さくなってしまう。
上記範囲のSiを含む本発明の金属粉末は、X線光電子分光法で分析した表面炭素濃度が90at%以上である。
第2熱処理で用いる炭素粉末はグラファイトやカーボンブラック、天然黒鉛の炭素粉が適している。炭素を含む化合物であってもよい。すなわち石炭や活性炭、コークスや脂肪酸、ポリビニルアルコールなどの高分子であってもよい。上記炭素粉末の平均粒径は0.01~100μmが好ましく、より好ましくは0.01~50μmである。0.01μm未満の炭素粉末は高価で実用的ではない。また100μmを越えると酸化鉄との混合に偏りが生じ、第2熱処理での酸化鉄粉末に対する炭素粉末の固相還元が不十分となって好ましくない。
酸化鉄粉末に対する炭素粉末の混合比は酸化鉄粉末を100質量%として20質量%以上30質量%以下とすることが好ましい。20質量%未満であると酸化鉄の還元に必要な炭素が不足するため好ましくない。また30質量%を越えると還元反応は十分進行するものの、反応後の余剰炭素粉末の除去が製造の藍路となり生産効率が低下するので好ましくない。
金属粒子は鉄を主成分として元素Xを添加してFe-X合金粒子とすることができる。元素XはAl、Co、Ni、Siから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にSiは前記のように第2熱処理における金属粒子の表面での炭素析出効果が大きいので好適である。前記元素Xの化合物粉末とは元素X単体、炭化物、窒化物が好ましい。前記元素Xの酸化物は熱力学的に安定であるので熱還元された鉄と反応することが困難となり相応しくない。固相反応性を考慮すると、前記元素Xの化合物粉末の粒径は0.001〜5μmの範囲内であるのが好ましい。粒径が0.001μm未満では比表面積が大きすぎて容易に酸化し、取り扱いが困難である。また5μm超では比表面積が小さすぎるため、鉄との反応性が低く添加効果が期待できない。より好ましくは0.001〜1μmが好ましい。
平均粒径はレーザー散乱式粒度分布計から得られるd50の値とする。
本発明において炭素絶縁膜とは金属粒子の表面の一部または全周が炭素で被覆された膜を指す。X線光電子分光(X-ray
Photoelectron Spectroscopy:XPS)分析によって得られる粉末表面の炭素濃度は70at%以上が好ましく、特に金属粒子中のSi量が1質量%以上の金属粉末とする場合には90at%以上となる。
本発明の金属粉末を圧縮成形すると、1~10MHzの周波数帯域で優れた磁気特性を示す圧粉磁心を得ることができる。この圧粉磁心は、窒素中で800℃で焼鈍した後の10MHzにおける透磁率が、焼鈍前の透磁率に対して−15%未満である。熱処理前後での透磁率の変化率が小さいのは炭素被覆膜が圧縮時に破壊されずに耐熱膜として機能しているためである。すなわち絶縁性を破壊することなく渦電流損失の増大を抑制することができるため、焼鈍後の透磁率低下は-15%未満とすることができる。
(実施例1)
平均粒径2.7μmの酸化鉄(Fe2O3)粉末を大気中において700℃で2時間保持することにより第1熱処理を行なった。第1熱処理後のFe2O3の平均粒径は4.4μmであった。なお、平均粒径はレーザー散乱式の粒度分布計(HORIBA、LA-920)を用いて測定したd50の値である。このFe2O3粉を75.0質量%、カーボンブラック粉(三菱化学、#44)を25.0質量%となるように秤量し、イソプロピルアルコール(IPA)中でボールミルにて17時間混合した。混合後のスラリーをドラフト内で乾燥し、得られた原料混合粉を窒素雰囲気中において1200℃で2時間保持する第2熱処理を行うことで、固相還元反応により酸化鉄粉末中の酸素が還元され、また、還元されてできた金属粒子の表面に炭素絶縁膜が形成される。その後、IPA中で超音波洗浄を行なった後、磁石で磁性粒子のみを磁気捕集して本実施形態の金属粉末を得た。圧縮成形後の金属粉末の平均粒径は17.8μm、円形度は0.89であった。また、原料Fe2O3粉と第2熱処理後の金属粉末の平均粒径を測定した。
さらに、第1熱処理の熱処理温度をそれぞれ800℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃として条件を変えた金属粉末を作製した。
酸化鉄粉末と金属粉末の平均粒径、円形度の測定結果を表1に示す。
(比較例1−1〜1−3)
比較例1−1として酸化鉄粉末に対して第1熱処理を施さなかった以外は実施例1−1同様にして金属粉を得た。また、比較例1−2,1−3として第1熱処理の熱処理温度をそれぞれ600℃、1300℃として条件を変えた金属粉末を作成した。酸化鉄粉末と金属粉末の平均粒径、円形度の測定結果を表1に示す。但し、比較例1−3の酸化鉄粉末は粉末同士が焼結して一体化しており、平均粒径の測定はできなかった。
図3に第1熱処理の熱処理温度が600℃の酸化鉄粉末のSEM観察写真を、図4に第1熱処理の熱処理温度が900℃の酸化鉄粉末のSEM観察写真を、図5に第1熱処理の熱処理温度が1200℃の酸化鉄粉末のSEM観察写真を示す。
また表1の結果から、単に大粒径化した酸化鉄粉末を用いれば第2熱処理後の金属粉末も大粒径化するということではなく、第1熱処理における熱処理温度を本発明の範囲にすることで金属粉末の平均粒径が大きくなることがわかる。
(実施例2)
第2熱処理後の組成がFe-1質量%Siとなるよう、酸化鉄粉、SiC粉およびカーボンブラック粉(三菱化学、#44)の配合比をそれぞれ74.25質量%、0.75質量%および25質量%となるように秤量し、イソプロピルアルコール(IPA)中でボールミルにて17時間混合した。以降は実施例1−1と同様にして金属粉末を得た。
さらに、第1熱処理の熱処理温度をそれぞれ800℃、900℃、1000℃、1100℃、1100℃、1200℃として条件を変えた金属粉末を作成した。
酸化鉄粉末と金属粉末の平均粒径、円形度の測定結果を表2に示す。
(比較例2−1〜2−3)
比較例2−1として、酸化鉄粉末に対して第1熱処理を施さなかった以外は実施例2−1と同様にして金属粉を得た。また、比較例2−2,2−3として第1熱処理の熱処理温度をそれぞれ600℃、1300℃として条件を変えた金属粉末を作成した。酸化鉄粉末と金属粉末の平均粒径、円形度の測定結果を表2に示す。但し、比較例2−3の酸化鉄粉末は粉末同士が焼結して一体化しており、平均粒径の測定はできなかった。
実施例1と同様に、第1熱処理によって酸化鉄粉末が大粒径化することがわかる。また、単に大粒径化した酸化鉄粉末を用いれば第2熱処理後の金属粉末も大粒径化するということではなく、第1熱処理における熱処理温度を本発明の範囲にすることで金属粉末を大粒径化できることがわかる。
(実施例3)
第2熱処理後の組成がFe-3質量%Siとなるよう、酸化鉄粉、SiC粉およびカーボンブラック粉の配合比をそれぞれ72.75質量%、2.25質量%および25.0質量%とした以外は実施例1−1と同様にして金属粉末を得た。
また、第1熱処理の熱処理温度をそれぞれ800℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃とした以外は上記と同様に金属粉末を得た。
酸化鉄粉末と金属粉末の平均粒径、円形度の測定結果を表3に示す。
(比較例3−1〜3−3)
比較例3−1として、酸化鉄粉末に対して第1熱処理を施さなかった以外は実施例3−1と同様にして金属粉を得た。また、比較例3−2,3−3として第1熱処理の熱処理温度をそれぞれ600℃、1300℃として条件を変えた金属粉末を作成した。酸化鉄粉末と金属粉末の平均粒径、円形度の測定結果を表2に示す。但し、比較例3−3の酸化鉄粉末は粉末同士が焼結して一体化しており、平均粒径の測定はできなかった。

実施例1と同様に、第1熱処理によって酸化鉄粉末が大粒径化することがわかる。また、単に大粒径化した酸化鉄粉末を用いれば第2熱処理後の金属粉末も大粒径化するということではなく、第1熱処理における熱処理温度を本発明の範囲にすることで極力大きい粒径を維持することができる。
(実施例4)
第2熱処理後の組成がFe-6質量%Siとなるよう、酸化鉄粉、SiC粉およびカーボンブラック粉の配合比をそれぞれ70.5質量%、4.50質量%、25.0質量%とした以外は実施例1−1と同様にして金属粉末を得た。
また、第1熱処理の熱処理温度をそれぞれ800℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃とした以外は上記と同様に金属粉末を得た。
酸化鉄粉末と金属粉末の平均粒径、円形度の測定結果を表4に示す。
(比較例4−1〜4−3)
比較例4−1として、酸化鉄粉末に対して第1熱処理を施さなかった以外は実施例4−1と同様にして金属粉を得た。また、比較例4−2,4−3として第1熱処理の熱処理温度をそれぞれ600℃、1300℃として条件を変えた金属粉末を作成した。酸化鉄粉末と金属粉末の平均粒径、円形度の測定結果を表4に示す。但し、比較例4−3の酸化鉄粉末は粉末同士が焼結して一体化しており、平均粒径の測定はできなかった。
実施例1と同様に、第1熱処理によって酸化鉄粉末が大粒径化することがわかる。また、単に大粒径化した酸化鉄粉末を用いれば第2熱処理後の金属粉末も大粒径化するということではなく、第1熱処理における熱処理温度を本発明の範囲にすることで極力大きい粒径を維持することができる。
図6は、金属粒子中のSi量の違いによる金属粉末の平均粒径を纏めたものである。
実施例1~4において、第1熱処理温度を1000℃、第2熱処理温度を1200℃とした実施例1-5,2-5,3-5,4-5をとりあげて比較し、金属粒子中のSi量と金属粉末の平均粒径との関係を調べた。
Si量が0%であると金属粉末の平均粒径は25μmであるのに対し、Si量が増加するに伴い平均粒径は小粒径化している。第1熱処理を施さない場合は、特にSi量が3%以上で平均粒径が小さくなってしまい、粉末の圧縮性が低下する問題がある。これに対し、第1熱処理を施しておけばSiを添加しても平均粒径は2.5μm以上となり、高密度化に優れた圧粉用の金属粉末が得られる。
(実施例5)
第2熱処理温度と金属粉末の円形度の関係について調べた。
平均粒径2.7μmの酸化鉄(Fe2O3)粉末を大気中において1200℃で2時間保持することにより第1熱処理を行なった。この酸化鉄粉末を75.0質量%、カーボンブラック粉(三菱化学、#44)を25.0質量%となるように秤量し、イソプロピルアルコール(IPA)中でボールミルにて17時間混合した。混合後のスラリーをドラフト内で乾燥し、得られた原料混合粉を窒素雰囲気中において第2熱処理を行った。第2熱処理の熱処理温度は、1120℃、1140℃、1160℃、1180℃、1200℃と条件を変え、2時間保持する条件とした。
その後、IPA中で超音波洗浄を行なった後、磁石で磁性粒子のみを磁気捕集して本実施形態の金属粉末を得た。図2は第2熱処理の熱処理温度を1140℃とした時の金属粉末のSEM像、図1は第2熱処理の熱処理温度を1180℃とした時の金属粉末のSEM像である。得られた金属粉末をSEMで観察して円形度を測定した。また、アルバック・ファイ社製PHI Quantera IIを用いてX線光電子分光分析法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)により金属粉末の表面C濃度を分析した。結果を表5に示す。
実施例5-1〜5-3の金属粉末の円形度は0.85以上と大きく、粒子形状が真球に近い。このため、粒子間の摩擦が低減して粉末としての流動性が向上するので圧縮成形の際に圧粉磁心における金属粒子の占積率を高めることができる。
また実施例5-1〜5-3の金属粉末の表面炭素濃度は70at%以上と高濃度であり、金属粉末の表面が炭素絶縁膜で十分に被覆されている。本発明の金属粉末はカーボンブラックを還元剤として酸化鉄粉末を固相還元することで得られるが、同時に余剰の炭素が金属粉末の表面に被覆される。一方、参考例5-1、5-2に見られるように低温で固相還元した場合は円形度が低下し、粒子は異形状となる。このとき表面炭素濃度は低下しており、炭素絶縁膜が不均一であることを表している。炭素は高融点物質であるので金属粉末同士の焼結を抑制する耐熱膜として作用する。したがって流動性の向上と耐熱性という観点から、1150℃超の高温で固相還元反応させると円形度が高く、なおかつ表面炭素濃度の高い、圧粉磁心用途に好適な金属粉末を得ることができる。
(実施例6)
金属粉末中のSi量が表面炭素濃度にどのように影響を与えるかを調べた。
実施例1−3の金属粉末に対して0.6質量%のポリビニルブチラール(PVB)を添加して造粒した後、圧力1000MPa(10ton/cm2)でトロイダル形状(外径7mm、内径4mm、厚さ1mm)の圧粉磁心を作製した。この圧粉磁心の透磁率をインピーダンスアナライザー(アジレント、4291B)を用いて測定した。なお、測定周波数は1MHz~1.8GHzである。金属粉末についてXPS分析して得た表面炭素濃度と成形体密度、及び10MHzにおける複素比透磁率の実部(μ’)を表3に示す。また圧粉磁心に含まれる成形歪の除去を目的として、圧粉磁心の窒素雰囲気において800℃で2時間熱処理を施し、複素比透磁率(μ’)を測定した。歪除去熱処理前後の複素比透磁率の変化率Δμを測定した。複素比透磁率の変化率Δμは以下の数2の式で表される。
結果を表6に示す。
また、第2熱処理後の金属粒子の組成がFe-0.5質量%Si、Fe-1質量%Si、Fe-3質量%Si、Fe-6質量%Siとなるよう、酸化鉄粉、SiC粉およびカーボンブラック粉の配合比を変え、上記と同様にして金属粉末および圧粉磁心を得た。金属粉末の表面炭素濃度、成形体密度、μ’、およびΔμを表6に示す。
金属粉末のSi量を1質量%以上とすることで平均粒径を4μm以上、なおかつ表面C濃度を90at%以上に高めることができる。本実施形態の金属粉末を用いて作製した圧粉磁心の透磁率μ’は10以上と高く、焼鈍前後の透磁率の変化率Δμを-15%未満に抑制することができる。焼鈍後のμ’の低下は、歪除去焼鈍に伴う粒子間の絶縁破壊によって渦電流損失が増大することが原因である。本発明の金属粉末を用いれば、炭素被覆膜が耐熱膜として作用するため、渦電流損失の増大を抑制できる。

Claims (5)

  1. 鉄基の金属粒子に炭素絶縁膜を有する金属粉末の製造方法であって、
    酸化鉄粉末を700℃以上1200℃以下の範囲で仮焼する第1熱処理と、前記の仮焼した酸化鉄粉末に炭素粉末を混合し、非酸化性雰囲気中で熱処理する第2熱処理を有することを特徴とする金属粉末の製造方法。
  2. 請求項1に記載の金属粉末の製造方法であって、
    前記第2熱処理の熱処理温度を1150℃超とすることを特徴とする金属粉末の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の金属粉末の製造方法であって、
    前記第2熱処理において前記炭素粉末と共にSi合金粉末を混合し、鉄基粉末中にSi元素を0.5質量%以上7.0質量%以下で含ませることを特徴とする金属粉末の製造方法。
  4. 請求項3に記載の金属粉末の製造方法によって製造された、平均粒径が3μm以上、円形度が0.85以上、表面炭素濃度が90at%以上であることを特徴とする金属粉末。
  5. 請求項4に記載の金属粉末を用いたことを特徴とする圧粉磁心。

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JP2014229839A (ja) * 2013-05-24 2014-12-08 株式会社タムラ製作所 圧粉磁心とその製造方法
CN105195748A (zh) * 2015-09-30 2015-12-30 黄穗 一种含硅还原铁精粉的制备方法
KR20160134548A (ko) 2015-05-14 2016-11-23 티디케이가부시기가이샤 연자성 금속 분말, 및, 연자성 금속 압분 코어

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