JP2016079349A - シリコーンコート層用硬化性組成物およびシリコーンコートシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリコーン樹脂(A)と、シロキサン化合物(B)と、光カチオン触媒(C)とを含有し、少なくともシロキサン化合物(B)が、カチオン硬化性であり、かつ、環状シロキサン骨格を有する化合物であるシリコーンコート層用硬化性組成物。シロキサン化合物(B)は、脂環式エポキシ基またはグリシジル基からなるカチオン反応性基を含む化合物であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
(式中、X1はカチオン反応性基を含む基であり、R3、R4及びR5は互いに同一の又は異なるアルキル基、芳香族基又はアラルキル基である。また、nは1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数である。)
で示されることが好ましい(発明6)。
〔シリコーンコート層用硬化性組成物〕
本実施形態に係るシリコーンコート層用硬化性組成物(以下、単に「硬化性組成物」という場合がある。)は、シリコーン樹脂(A)と、シロキサン化合物(B)と、光カチオン触媒(C)とを含有する。そして、少なくともシロキサン化合物(B)は、カチオン硬化性であり、かつ、環状シロキサン骨格を有する。なお、上記シロキサン化合物(B)には、上記シリコーン樹脂(A)は含まれないものとする。
シリコーン樹脂(A)は、ケイ素含有化合物の重合体(ポリオルガノシロキサン)である。シリコーン樹脂(A)の主骨格は、ポリシロキサン結合を有するものであれば特に制限はないが、例えば、下記式(a1)
(式中、X1は任意の官能基であり、特にカチオン反応性基を含む基が好ましく、R3、R4及びR5は互いに同一の又は異なるアルキル基、芳香族基又はアラルキル基である。また、nは1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数である。)
で示されるものであることが好ましい。
(式中、R6はアルキル鎖である。)
で示されるものであることが好ましい。X1がかかる構造を有することにより、シロキサン化合物(B)と同じカチオン重合反応を起こすことができるため、化合物間の結合を生じさせて、シリコーンコート層の硬度を高め、基材とシリコーンコート層との密着性をより向上させることができる。
シロキサン化合物(B)は、カチオン硬化性であり、かつ、環状シロキサン骨格を有する化合物である。前述した通り、このシロキサン化合物(B)には上記シリコーン樹脂(A)は含まれないため、本実施形態に係る硬化性組成物中、両者は別成分として存在する。本実施形態に係る硬化性組成物が特にこのシロキサン化合物(B)を含有することにより、当該硬化性組成物を硬化してなるシリコーンコート層は、良好な剥離性を示しつつ、基材に対する密着性が高いものとなる。基材に対する密着性の高さは、特にシロキサン化合物(B)が有する環状シロキサン骨格の極性が関与しているものと推測されるが、必ずしも明らかではない。
(式中、R1はアルキル鎖である。)
で示される構造を有することが好ましい。
(式中、R2はアルキル基である。)
で示される化合物であることが好ましい。式(b2)で示されるシロキサン化合物(B)は、剥離性に悪影響を与えることなく、基材に対するシリコーンコート層の密着性を向上させる効果に特に優れる。上記式(b2)中のR2は、メチル基またはエチル基が好ましい。
光カチオン触媒(C)は、光(紫外線)照射によってカチオン種を生じるため、シロキサン化合物(B)およびシリコーン樹脂(A)(カチオン反応性基を有する場合)のカチオン重合反応を進行させることができる。
本実施形態に係る剥離剤組成物は、上記成分の他、例えば、シランカップリング剤、反応抑制剤、密着向上剤、架橋剤、触媒、光開始剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤等を含有していてもよい。シランカップリング剤を含有すると、シリコーンコート層と基材との密着性をより高めることができる。
本実施形態に係るシリコーンコートシートは、シート状の基材と、基材の少なくとも一方の面に設けられたシリコーンコート層とを備えて構成される。
本実施形態に係るシリコーンコートシートの用途は特に限定されないが、例えば、粘着材料、グリーンシート、樹脂膜等の薄膜材料の表面を保護するため、または当該薄膜材料を製膜するために好ましく用いることができる。例えば、粘着シートの粘着剤層を保護する剥離シートとして使用することもできるし、グリーンシート(セラミックグリーンシート)を製膜するためのグリーンシート製造工程用剥離シートとして使用することもできる。また、ポリ塩化ビニル樹脂やウレタン樹脂等を合成皮革として形成する工程シートとして使用することもできる。本実施形態に係るシリコーンコートシートは、良好な剥離性を発揮するため、それらの剥離シートとして好適に使用することができる。
本実施形態に係るシリコーンコートシートの基材は、シリコーンコート層を積層することができれば特に限定されるものではない。かかる基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙、無塵紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;各種プラスチックフィルム;不織布;金属箔;あるいはこれらを含む積層シートなどが挙げられる。これらの中でも、特に基材がプラスチックフィルムからなる場合に、本実施形態によるシリコーンコート層の基材密着性向上の効果が得られ易い。
本実施形態に係るシリコーンコートシートのシリコーンコート層は、前述したシリコーンコート層用硬化性組成物を硬化してなるものである。
本実施形態に係るシリコーンコートシートは、基材の一方の面に、前述したシリコーンコート層用硬化性組成物及び所望により有機溶剤を含有する塗工液を塗工した後、乾燥し、光(紫外線)照射により硬化させてシリコーンコート層を形成することにより得られる。塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
(5−1)シリコーンコート層の基材に対する密着性
本実施形態に係るシリコーンコートシートにおいては、シリコーンコート層の基材に対する密着性が優れる。具体的には、後述する試験例に示すように、湿熱環境(40℃・80%RH)の促進条件を施した後であっても、シリコーンコート層はラブオフ試験により基材から脱落し難い。また、後述する試験例に示すように学振試験を行ったときでも、シリコーンコート層の基材に対する密着性(%)(=(研磨部分の剥離力/未研磨部分の剥離力)×100)は高く、好ましくは115%以下、特に好ましくは110%以下、さらに好ましくは105%以下の値を達成することができる。なお、本明細書にける学振試験を行ったときの密着性とは、学振試験によって生じるシリコーンコート層の脱落に起因する、学振試験前後でのシリコーンコート層の剥離力の変化率をいう。この密着性の値が100%に近いほど、シリコーンコート層の脱落が少なく、シリコーンコート層と基材との密着性に優れることを示す。
本実施形態に係るシリコーンコート層用硬化性組成物を硬化してなるシリコーンコート層は、シロキサン化合物(B)を含有することにより、好ましくはさらにシリコーン樹脂(A)がカチオン重合型のシリコーン樹脂であることにより、弾性率が高くなり、それによって軽剥離性に優れるものとなる。
本実施形態に係るシリコーンコート層用硬化性組成物を硬化してなるシリコーンコート層は、シロキサン化合物(B)を含有することにより、好ましくはさらにシリコーン樹脂(A)がカチオン重合型のシリコーン樹脂であることにより、当該シリコーンコート層に積層された材料、例えば粘着剤層やセラミックグリーンシートに対するシリコーン移行量が少ないものとなる。
シリコーン樹脂(A)として、前述した式(a1)および式(a2)の構造を有し、R3、R4及びR5がCH3である、3,4−エポキシシクロヘキシル基含有オルガノポリシロキサン(荒川化学工業社製,商品名「POLY−200」、商品名「POLY−201」、および商品名「POLY−215」)を用意した。
「POLY−200」…1:38
「POLY−201」…1:39
「POLY−215」…1:26
「POLY−200」…15,000
「POLY−201」…50,000
「POLY−215」…15,700
シリコーン樹脂(A)としての3,4−エポキシシクロヘキシル基含有オルガノポリシロキサン(荒川化学工業社製,商品名「POLY−201」)をイソプロピルアルコール(IPA)溶媒にて固形分濃度が3.0質量%となるよう希釈した。
シリコーン樹脂(A)としての3,4−エポキシシクロヘキシル基含有オルガノポリシロキサン(荒川化学工業社製,商品名「POLY−200」(比較例1)、商品名「POLY−201」(比較例2)、または商品名「POLY−215」(比較例3))をイソプロピルアルコール(IPA)溶媒にて固形分濃度が3.0質量%となるよう希釈した。この溶液に、光カチオン触媒(C)としてのオニウム塩系光開始剤(ジフェニルヨードニウムとテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンとの塩;荒川化学工業社製,商品名「CATA−211」)を5.0質量部添加し、シリコーンコート層用硬化性組成物の溶液(塗布液)を得た。
シリコーン樹脂(A)としての3,4−エポキシシクロヘキシル基含有オルガノポリシロキサン(荒川化学工業社製,商品名「POLY−201」)をイソプロピルアルコール(IPA)溶媒にて固形分濃度が3.0質量%となるよう希釈した。
実施例および比較例で得られたシリコーンコートシートを、40℃・80%RHの雰囲気下、1〜7日間放置した。シリコーンコートシートの製造直後、上記雰囲気下1日放置後、3日放置後および7日放置後のそれぞれの段階でシリコーンコート層を指でこすり、シリコーンコート層の基材からの脱落の有無を観察した。結果を表1に示す。
○:脱落なし
×:脱落あり
実施例および比較例で得られたシリコーンコートシートについて、学振試験機(大栄科学精器製作所社製,商品名「RT−200」)を使用して、シリコーンコートシートのシリコーンコート層表面に対し無延伸ポリプロピレンフィルムを200gの荷重で圧接して、10往復研磨した。その後、研磨部分および未研磨部分のそれぞれにアクリル粘着テープ(日東電工社製,31Bテープ)を2kgローラーにて貼付した。
密着性(%)=(研磨部分の剥離力/未研磨部分の剥離力)×100
実施例および比較例で得られたシリコーンコートシートのシリコーンコート層表面に、アクリル粘着テープ(日東電工社製,31Bテープ,20mm幅)を2kgローラーにて貼付した。23℃、50%RHの条件下で30分養生した後、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用いて180°の角度、0.3m/分の剥離速度でアクリル粘着テープを剥離し、剥離するのに必要な力(剥離力;mN/20mm)を測定した(測定回数n=2)。結果を表1に示す。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製,商品名「エスレック BL−S」;以下「PVB」という)100質量部に、混合溶媒としてトルエン240質量部及びエタノール160質量部を加え、ディスパーで均一に撹拌混合し、PVB塗工液を調製した。そして、実施例および比較例で得られたシリコーンコートシートのシリコーンコート層上に、アプリケーターを用いて上記PVB塗工液を塗布し、乾燥してPVB層を形成した。なお、乾燥後のPVB層の膜厚は3μmとした。
実施例および比較例で得られたシリコーンコートシートのシリコーンコート層表面に、アクリル系粘着剤(トーヨーケム社製,製品名「BPS5127」)を、乾燥後の膜厚が30μmになるようにアプリケーターにて塗布し、100℃で2分間加熱乾燥し、粘着剤層を形成した。この粘着剤層の露出面に、粘着シート基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)を貼合し、23℃、50%RHの条件下で1日保管した。その後、粘着剤層からシリコーンコートシートを剥離し、露出した粘着剤層表面(粘着面)におけるシリコーン量(cps)を蛍光X線装置(波長分散卓上型蛍光X線分析計;リガク社製,商品名「Mini−Z」)によって測定した。結果を表1に示す。
Claims (14)
- シリコーン樹脂(A)と、
シロキサン化合物(B)と、
光カチオン触媒(C)と
を含有し、
少なくとも前記シロキサン化合物(B)が、カチオン硬化性であり、かつ、環状シロキサン骨格を有する化合物である
ことを特徴とするシリコーンコート層用硬化性組成物。 - 前記シロキサン化合物(B)は、脂環式エポキシ基またはグリシジル基からなるカチオン反応性基を含む化合物であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
- 前記シリコーン樹脂(A)は、カチオン反応性基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
- 前記式(a1)で示される前記シリコーン樹脂(A)中におけるX1のプロトン量と、R3、R4およびR5の合計のプロトン量との比は、NMRにより測定した積分比で1:20〜1:100であることを特徴とする請求項6または7に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
- 前記シリコーン樹脂(A)100質量部に対する前記シロキサン化合物(B)の含有量は、1〜80質量部であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
- 前記シリコーン樹脂(A)が有するカチオン反応性基と、前記シロキサン化合物(B)が有するカチオン反応性基とは、同一の官能基であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
- 前記光カチオン触媒(C)は、オニウム塩化合物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
- シート状の基材と、
前記基材の少なくとも一方の面に設けられたシリコーンコート層と
を備えたシリコーンコートシートであって、
前記シリコーンコート層は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物を硬化してなる
ことを特徴とするシリコーンコートシート。 - 前記基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなることを特徴とする請求項12に記載のシリコーンコートシート。
- 粘着材料、グリーンシートおよび樹脂膜から選択される薄膜材料の表面を保護するため、または前記薄膜材料を製膜するために用いられることを特徴とする請求項12または13に記載のシリコーンコートシート。
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