JP2016079349A - シリコーンコート層用硬化性組成物およびシリコーンコートシート - Google Patents

シリコーンコート層用硬化性組成物およびシリコーンコートシート Download PDF

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Abstract

【課題】基材に対するシリコーンコート層の密着性に優れたカチオン硬化性のシリコーンコート層用硬化性組成物およびシリコーンコートシートを提供する。
【解決手段】シリコーン樹脂(A)と、シロキサン化合物(B)と、光カチオン触媒(C)とを含有し、少なくともシロキサン化合物(B)が、カチオン硬化性であり、かつ、環状シロキサン骨格を有する化合物であるシリコーンコート層用硬化性組成物。シロキサン化合物(B)は、脂環式エポキシ基またはグリシジル基からなるカチオン反応性基を含む化合物であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば剥離シート等として利用可能なシリコーンコートシートおよび当該シリコーンコートシートにおけるシリコーンコート層の形成に用いることのできる硬化性組成物に関するものである。
従来より、粘着シートの粘着剤層を保護するために、あるいはセラミックグリーンシート等の薄膜部材を形成するために、剥離シートが用いられている。この剥離シートは、一般的には、基材と、基材の一方の面に設けられた剥離剤層とから構成される。
剥離剤層を構成する剥離剤としては、シリコーン剥離剤が主に使用される。シリコーン剥離剤には、大きく分けて熱硬化型と紫外線硬化型とがあり、紫外線硬化型のシリコーン剥離剤は硬化に加熱工程を必要としないため、剥離シートの基材として、耐熱性の低い基材を使用することができる。
紫外線硬化型のシリコーン剥離剤には、ラジカル重合型、カチオン重合型などがある。これらの中でも、カチオン重合型のシリコーン剥離剤は、空気中で硬化させても酸素による硬化阻害がないため、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で硬化させる必要がないという利点がある。剥離剤層にカチオン硬化性シリコーン樹脂を使用した剥離シートとしては、例えば、特許文献1及び2に記載されたものが知られている。
特許第4946640号公報 特許第5040184号公報
しかしながら、剥離剤層に従来のカチオン硬化性シリコーン樹脂を使用した剥離シートにおいては、基材に対する剥離剤層の密着性が十分でなく、擦れや湿熱条件等によって剥離剤層が基材から脱落してしまうという問題があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、基材に対するシリコーンコート層の密着性に優れたカチオン硬化性のシリコーンコート層用硬化性組成物およびシリコーンコートシートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、シリコーン樹脂(A)と、シロキサン化合物(B)と、光カチオン触媒(C)とを含有し、少なくとも前記シロキサン化合物(B)が、カチオン硬化性であり、かつ、環状シロキサン骨格を有する化合物であることを特徴とするシリコーンコート層用硬化性組成物を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係るシリコーンコート層用硬化性組成物を硬化してなるシリコーンコート層は、特にカチオン硬化性で環状シロキサン骨格を有するシロキサン化合物(B)の作用により、良好な剥離性を示しつつ、基材に対する密着性が高いものとなる。
上記発明(発明1)において、前記シロキサン化合物(B)は、脂環式エポキシ基またはグリシジル基からなるカチオン反応性基を含む化合物であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記シロキサン化合物(B)は、下記式(b1)
Figure 2016079349

(式中、Rはアルキル鎖である。)
で示される構造を有することが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記シロキサン化合物(B)は、下記式(b2)
Figure 2016079349

(式中、Rはアルキル基である。)
で示される化合物であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記シリコーン樹脂(A)は、カチオン反応性基を有することが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)において、前記シリコーン樹脂(A)は、下記式(a1)
Figure 2016079349

(式中、Xはカチオン反応性基を含む基であり、R、R及びRは互いに同一の又は異なるアルキル基、芳香族基又はアラルキル基である。また、nは1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数である。)
で示されることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明6)において、前記式(a1)中のXは、下記式(a2)
Figure 2016079349

(式中、Rはアルキル鎖である。)
で示されることが好ましい(発明7)。
上記発明(発明6,7)において、前記式(a1)で示される前記シリコーン樹脂(A)中におけるXのプロトン量と、R、RおよびRの合計のプロトン量との比は、NMRにより測定した積分比で1:20〜1:100であることが好ましい(発明8)。
上記発明(発明1〜8)において、前記シリコーン樹脂(A)100質量部に対する前記シロキサン化合物(B)の含有量は、1〜80質量部であることが好ましい(発明9)。
上記発明(発明5〜8)において、前記シリコーン樹脂(A)が有するカチオン反応性基と、前記シロキサン化合物(B)が有するカチオン反応性基とは、同一の官能基であることが好ましい(発明10)。
上記発明(発明1〜10)において、前記光カチオン触媒(C)は、オニウム塩化合物であることが好ましい(発明11)。
第2に本発明は、シート状の基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられたシリコーンコート層とを備えたシリコーンコートシートであって、前記シリコーンコート層が、前記シリコーンコート層用硬化性組成物(発明1〜11)を硬化してなることを特徴とするシリコーンコートシートを提供する(発明12)。
上記発明(発明12)において、前記基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなることが好ましい(発明13)。
上記発明(発明12,13)においては、粘着材料、グリーンシートおよび樹脂膜から選択される薄膜材料の表面を保護するため、または前記薄膜材料を製膜するために用いられることが好ましい(発明14)。
本発明によれば、良好な剥離性を有するとともに、シリコーンコート層の基材に対する密着性に優れたシリコーンコートシートが得られる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔シリコーンコート層用硬化性組成物〕
本実施形態に係るシリコーンコート層用硬化性組成物(以下、単に「硬化性組成物」という場合がある。)は、シリコーン樹脂(A)と、シロキサン化合物(B)と、光カチオン触媒(C)とを含有する。そして、少なくともシロキサン化合物(B)は、カチオン硬化性であり、かつ、環状シロキサン骨格を有する。なお、上記シロキサン化合物(B)には、上記シリコーン樹脂(A)は含まれないものとする。
上記硬化性組成物を硬化してなるシリコーンコート層は、特にカチオン硬化性で環状シロキサン骨格を有するシロキサン化合物(B)の作用により、良好な剥離性を示しつつ、基材に対する密着性が高いものとなる。
(1)シリコーン樹脂(A)
シリコーン樹脂(A)は、ケイ素含有化合物の重合体(ポリオルガノシロキサン)である。シリコーン樹脂(A)の主骨格は、ポリシロキサン結合を有するものであれば特に制限はないが、例えば、下記式(a1)
Figure 2016079349

(式中、Xは任意の官能基であり、特にカチオン反応性基を含む基が好ましく、R、R及びRは互いに同一の又は異なるアルキル基、芳香族基又はアラルキル基である。また、nは1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数である。)
で示されるものであることが好ましい。
上記式(a1)中のR、R及びRは、アルキル基としては、炭素数が1〜6個であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等がより好ましく、メチル基が特に好ましい。また、式(a1)中のR、R及びRは、芳香族基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が好ましく、アラルキル基としては、ベンジル基が好ましい。
式(a1)において、R、R及びRがメチル基であれば、シリコーンコート層の表面に軽剥離性を付与することができるので、得られるシリコーンコートシートは粘着材料用の剥離シートとして、あるいはセラミックグリーンシートや樹脂膜用の工程シートとして適用できるようになる。
シリコーン樹脂(A)は、官能基を有していなくてもよいし(式(a1)において、mが0の場合で、主骨格の末端にも官能基がない場合)、官能基を有していてもよい。官能基を有する場合には、式(a1)のように主骨格の側鎖に有していてもよいし、主骨格の末端に有していてもよい。
上記官能基Xの種類としては、特に限定されず、例えば、ビニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、ヒドロシリル基、(メタ)アクリロイル基などの他、カチオン反応性基が挙げられる。シリコーン樹脂(A)がカチオン反応性基を有すると、光(紫外線)照射によりシリコーン樹脂(A)がカチオン硬化性のシロキサン化合物(B)と反応して、得られるシリコーンコート層の基材に対する密着性がより高くなる。また、硬化性組成物を空気中で硬化させても酸素による硬化阻害がないため、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で硬化させる必要がない。かかる観点から、シリコーン樹脂(A)は、カチオン反応性基を有することが好ましい。
カチオン反応性基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、エポキシ基が好ましく、特に脂環式エポキシ基およびグリシジル基が好ましく、さらには3,4−エポキシシクロヘキシル基が好ましい。
上記式(a1)中のXは、下記式(a2)
Figure 2016079349

(式中、Rはアルキル鎖である。)
で示されるものであることが好ましい。Xがかかる構造を有することにより、シロキサン化合物(B)と同じカチオン重合反応を起こすことができるため、化合物間の結合を生じさせて、シリコーンコート層の硬度を高め、基材とシリコーンコート層との密着性をより向上させることができる。
上記式(a2)中のRのアルキル鎖は、炭素数が1〜6個であることが好ましく、特に1〜2個であることが好ましい。
上記式(a1)中のnは、2〜600であることが好ましい。また、上記式(a1)中のmは、0〜3000であることが好ましい。さらに、nおよびmの関係としては、n+m=30〜1000であることが好ましく、n/(n+m)=0.01〜0.5であることが好ましい。
一方、式(a1)で示されるシリコーン樹脂(A)中におけるXのプロトン量と、R、RおよびRの合計のプロトン量との比は、NMRにより測定した積分比で1:5〜1:100であることが好ましく、特に1:20〜1:100であることが好ましく、さらには1:20〜1:50であることが好ましい。なお、NMRによるプロトン量の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
のプロトン量と、R、RおよびRの合計のプロトン量との比、またはn、mおよびそれらの関係が上記の範囲にあることにより、シリコーン樹脂(A)とカチオン硬化性のシロキサン化合物(B)との反応性に基づくシリコーンコート層の基材に対する密着性と、剥離性とのバランスを良好に保つことができる。
シリコーン樹脂(A)の重量平均分子量は、1,000〜500,000であることが好ましく、特に5,000〜100,000であることが好ましく、さらには10,000〜70,000であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
シリコーン樹脂(A)の重量平均分子量が1,000以上であると、本実施形態に係る硬化性組成物の塗工粘度が低くなり過ぎることを防止することができ、ハジキの発生を抑制し、均一な面状態のシリコーンコート層を得ることができる。また、シリコーン樹脂(A)の重量平均分子量が100,000以下であると、本実施形態に係る硬化性組成物の塗工粘度の上昇を抑え、希釈溶剤への溶解性を確保することができる。
(2)シロキサン化合物(B)
シロキサン化合物(B)は、カチオン硬化性であり、かつ、環状シロキサン骨格を有する化合物である。前述した通り、このシロキサン化合物(B)には上記シリコーン樹脂(A)は含まれないため、本実施形態に係る硬化性組成物中、両者は別成分として存在する。本実施形態に係る硬化性組成物が特にこのシロキサン化合物(B)を含有することにより、当該硬化性組成物を硬化してなるシリコーンコート層は、良好な剥離性を示しつつ、基材に対する密着性が高いものとなる。基材に対する密着性の高さは、特にシロキサン化合物(B)が有する環状シロキサン骨格の極性が関与しているものと推測されるが、必ずしも明らかではない。
環状シロキサン骨格を構成するシロキサン単位(Si−O)の個数は、特に制限はないが、4個(四量体)であることが好ましい。
シロキサン化合物(B)は、脂環式エポキシ基またはグリシジル基からなるカチオン反応性基を含む化合物であることが好ましい。脂環式エポキシ基としては、例えば、2,3−エポキシシクロブチル基、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、5,6−エポキシ−トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン−8−イル基、2,3−エポキシ−トリシクロ[4,2,1,02,5]ノナン−7−イル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−9−ヒドロキシ−1,5−ジオキサスピロ[5,5]ウンデカン−8−イル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−9−ヒドロキシ−2,4−ジオキサスピロ[5,5]ウンデカン−8−イル基等が挙げられる。シロキサン化合物(B)は、上記の中でも、特に3,4−エポキシシクロヘキシル基を含むことが好ましい。これらのカチオン反応性基は、反応性に優れ、シリコーンコート層の硬度を高めることができる。
上記カチオン反応性基は、環状シロキサン骨格のケイ素原子に、直接的または間接的に結合していることが好ましい。シロキサン化合物(B)は、具体的には、下記式(b1)
Figure 2016079349

(式中、Rはアルキル鎖である。)
で示される構造を有することが好ましい。
上記式(b1)中のRのアルキル鎖は、炭素数が1〜6個であることが好ましく、特に1〜2個であることが好ましい。
シロキサン化合物(B)は、下記式(b2)
Figure 2016079349

(式中、Rはアルキル基である。)
で示される化合物であることが好ましい。式(b2)で示されるシロキサン化合物(B)は、剥離性に悪影響を与えることなく、基材に対するシリコーンコート層の密着性を向上させる効果に特に優れる。上記式(b2)中のRは、メチル基またはエチル基が好ましい。
ここで、シリコーン樹脂(A)が有するカチオン反応性基と、シロキサン化合物(B)が有するカチオン反応性基とは、同一の官能基であることが好ましく、特に同一の脂環式エポキシ基またはグリシジル基であることが好ましく、さらには共に3,4−エポキシシクロヘキシル基であることが好ましい。これにより、両者の反応系が同じとなるため、シリコーン樹脂(A)とシロキサン化合物(B)とが直接化学結合することができ、得られるシリコーンコート層の硬度が向上するとともに、基材に対する密着性がより高くなる。
本実施形態に係る硬化性組成物において、シリコーン樹脂(A)100質量部に対するシロキサン化合物(B)の含有量は、1〜80質量部であることが好ましく、特に5〜30質量部であることが好ましく、さらには7〜15質量部であることが好ましい。シリコーン樹脂(A)100質量部に対するシロキサン化合物(B)の含有量が1質量部以上であることにより、シロキサン化合物(B)による効果が良好に発揮され、得られるシリコーンコート層の基材に対する密着性が高くなる。また、シリコーン樹脂(A)100質量部に対するシロキサン化合物(B)の含有量が80質量部以下であることにより、シリコーン樹脂(A)の量を確保し、得られるシリコーンコート層の剥離性を良好なものにすることができる。
(3)光カチオン触媒(C)
光カチオン触媒(C)は、光(紫外線)照射によってカチオン種を生じるため、シロキサン化合物(B)およびシリコーン樹脂(A)(カチオン反応性基を有する場合)のカチオン重合反応を進行させることができる。
光カチオン触媒(C)としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩;鉄アレーン錯体等のメタロセン系化合物;β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;スルホンイミド化合物類、ジアゾメタン化合物類等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記の中でも、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩が好ましく、中でもヨードニウム塩が好ましい。これらは、光(紫外線)照射によってカチオン種が生じ易いため、シロキサン化合物(B)およびシリコーン樹脂(A)(カチオン反応性基を有する場合)のカチオン重合反応が効率良く進行し、良好な剥離性および基材密着性を有するシリコーンコート層が形成される。
本実施形態に係る硬化性組成物における、光カチオン触媒(C)の含有量は、シロキサン化合物(B)およびカチオン反応性基を有するシリコーン樹脂(A)の合計量100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましく、特に2〜7質量部であることが好ましく、さらには3〜5質量部であることが好ましい。
(4)その他の成分
本実施形態に係る剥離剤組成物は、上記成分の他、例えば、シランカップリング剤、反応抑制剤、密着向上剤、架橋剤、触媒、光開始剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤等を含有していてもよい。シランカップリング剤を含有すると、シリコーンコート層と基材との密着性をより高めることができる。
シランカップリング剤としては、官能基を有する有機基と加水分解性を示すアルコキシ基とを有するシラン化合物が好ましく、加水分解性基を持たないシロキサン化合物(B)とは異なる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物などが挙げられる。上記の中でも、エポキシ構造を有するケイ素化合物が好ましく、特に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る剥離剤組成物がシランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリコーン樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、特に1〜30質量部であることが好ましく、さらには5〜20質量部であることが好ましい。
また、本実施形態に用いられるシリコーン樹脂(A)の官能基Xがアルケニル基の場合、架橋剤としては側鎖又は末端にヒドロシリル基を有するシロキサン化合物が挙げられる。さらに、本実施形態に用いられるシリコーン樹脂(A)の官能基Xがアルケニル基の場合、触媒として白金系触媒が好ましい。
〔シリコーンコートシート〕
本実施形態に係るシリコーンコートシートは、シート状の基材と、基材の少なくとも一方の面に設けられたシリコーンコート層とを備えて構成される。
(1)用途
本実施形態に係るシリコーンコートシートの用途は特に限定されないが、例えば、粘着材料、グリーンシート、樹脂膜等の薄膜材料の表面を保護するため、または当該薄膜材料を製膜するために好ましく用いることができる。例えば、粘着シートの粘着剤層を保護する剥離シートとして使用することもできるし、グリーンシート(セラミックグリーンシート)を製膜するためのグリーンシート製造工程用剥離シートとして使用することもできる。また、ポリ塩化ビニル樹脂やウレタン樹脂等を合成皮革として形成する工程シートとして使用することもできる。本実施形態に係るシリコーンコートシートは、良好な剥離性を発揮するため、それらの剥離シートとして好適に使用することができる。
また、本実施形態に係るシリコーンコートシートは、上記剥離シートのようにシリコーンコート層が薄膜材料等に接して使用される用途に限られない。例えば、ハードコートシートや防汚シートのように、シリコーンコート層が外部に露出して使用されるものであってもよい。
(2)基材
本実施形態に係るシリコーンコートシートの基材は、シリコーンコート層を積層することができれば特に限定されるものではない。かかる基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙、無塵紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;各種プラスチックフィルム;不織布;金属箔;あるいはこれらを含む積層シートなどが挙げられる。これらの中でも、特に基材がプラスチックフィルムからなる場合に、本実施形態によるシリコーンコート層の基材密着性向上の効果が得られ易い。
上記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、酢酸ビニルなどのプラスチックからなるフィルムが挙げられ、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。
ここで、例えば、本実施形態に係るシリコーンコートシートを使用してセラミックグリーンシートを製造する場合には、上記プラスチックフィルムの中でも、ポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、さらには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、加工時、使用時等において、埃等が発生しにくいため、例えば、埃等によるセラミックスラリー塗工不良等を効果的に防止することができる。
上記基材においては、その表面に設けられるシリコーンコート層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果及び操作性の面から好ましく用いられる。
基材の厚さは、シリコーンコートシートの用途に応じて適宜決定すればよいが、通常は10〜300μmであり、好ましくは15〜200μmであり、特に好ましくは20〜125μmである。
(3)シリコーンコート層
本実施形態に係るシリコーンコートシートのシリコーンコート層は、前述したシリコーンコート層用硬化性組成物を硬化してなるものである。
シリコーンコート層の厚さは、シリコーンコートシートの用途に応じて適宜決定すればよいが、通常は0.01〜20μmであることが好ましく、特に0.03〜1μmであることが好ましく、さらには0.03〜1μmであることが好ましい。シリコーンコート層の厚さが0.01μm以上であると、シリコーンコートシートを剥離シートとして用いた場合に、剥離性を安定的に発揮することができる。一方、シリコーンコート層の厚さが20μm以下であれば、シリコーンコート層の硬化によりシリコーンコートシートがカールすることを抑制することができる。
(4)シリコーンコートシートの製造方法
本実施形態に係るシリコーンコートシートは、基材の一方の面に、前述したシリコーンコート層用硬化性組成物及び所望により有機溶剤を含有する塗工液を塗工した後、乾燥し、光(紫外線)照射により硬化させてシリコーンコート層を形成することにより得られる。塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
上記有機溶剤としては特に制限はなく、様々なものを用いることができる。例えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素化合物をはじめ、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びこれらの混合物等が用いられる。
紫外線照射に使用する紫外線照射装置としては、特に限定されないが、例えば、無電極ランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、UV−LEDランプ、ブラックライト等が挙げられる。
紫外線の照度は、1〜3000mW/cmであることが好ましく、特に200〜2000mW/cmであることが好ましく、さらには800〜1800mW/cmであることが好ましい。また、紫外線の光量は、10〜1000mJ/cmであることが好ましく、特に20〜600mJ/cmであることが好ましく、さらには100〜300mJ/cmであることが好ましい。紫外線の照度および光量が上記の範囲内にあることで、上記硬化性組成物が良好に硬化し、得られるシリコーンコート層が良好な剥離性を発揮するとともに、基材に対する密着性も高くなる。
(5)物性
(5−1)シリコーンコート層の基材に対する密着性
本実施形態に係るシリコーンコートシートにおいては、シリコーンコート層の基材に対する密着性が優れる。具体的には、後述する試験例に示すように、湿熱環境(40℃・80%RH)の促進条件を施した後であっても、シリコーンコート層はラブオフ試験により基材から脱落し難い。また、後述する試験例に示すように学振試験を行ったときでも、シリコーンコート層の基材に対する密着性(%)(=(研磨部分の剥離力/未研磨部分の剥離力)×100)は高く、好ましくは115%以下、特に好ましくは110%以下、さらに好ましくは105%以下の値を達成することができる。なお、本明細書にける学振試験を行ったときの密着性とは、学振試験によって生じるシリコーンコート層の脱落に起因する、学振試験前後でのシリコーンコート層の剥離力の変化率をいう。この密着性の値が100%に近いほど、シリコーンコート層の脱落が少なく、シリコーンコート層と基材との密着性に優れることを示す。
(5−2)剥離力
本実施形態に係るシリコーンコート層用硬化性組成物を硬化してなるシリコーンコート層は、シロキサン化合物(B)を含有することにより、好ましくはさらにシリコーン樹脂(A)がカチオン重合型のシリコーン樹脂であることにより、弾性率が高くなり、それによって軽剥離性に優れるものとなる。
具体的には、本実施形態に係るシリコーンコートシートのアクリル粘着テープに対する剥離力は、好ましくは20〜400mN/20mm、特に好ましくは30〜200mN/20mm、さらに好ましくは40〜130mN/20mmの値を達成することができる。また、本実施形態に係るシリコーンコートシートのポリビニルブチラール(PVB)フィルムに対する剥離力は、好ましくは5〜70mN/20mm、特に好ましくは10〜60mN/20mm、さらに好ましくは20〜40mN/20mmの値を達成することができる。
なお、上記剥離力の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。剥離力が上記の範囲にあることで、本実施形態に係るシリコーンコートシートのシリコーンコート層に積層した薄膜材料(例えば、粘着剤層、セラミックグリーンシート等)と当該シリコーンコートシートとを剥離するときの剥離不良を低減させることができる。
(5−3)シリコーン移行量
本実施形態に係るシリコーンコート層用硬化性組成物を硬化してなるシリコーンコート層は、シロキサン化合物(B)を含有することにより、好ましくはさらにシリコーン樹脂(A)がカチオン重合型のシリコーン樹脂であることにより、当該シリコーンコート層に積層された材料、例えば粘着剤層やセラミックグリーンシートに対するシリコーン移行量が少ないものとなる。
具体的には、シリコーンコート層の表面にアクリル系粘着剤層を形成した後、当該アクリル系粘着剤層をシリコーンコート層から剥離したときに、アクリル系粘着剤層におけるシリコーンコート層に接触していた面(粘着面)のシリコーン移行量が少ない。シリコーン移行量は、蛍光X線分析法(XRF)によって測定されるケイ素原子の測定値が80cps以下であることが好ましく、特に60cps以下であることが好ましく、さらには40cps以下であることが好ましい。
なお、アクリル系粘着剤層そのものは、XRFによりケイ素が検出されない水準であることが大半であるため、当該ケイ素原子比率をシリコーンコート層からのシリコーン系化合物の移行量の評価基準として利用することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、基材におけるシリコーンコート層の反対側の面や、基材とシリコーンコート層との間には、帯電防止層等の他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〜21〕
シリコーン樹脂(A)として、前述した式(a1)および式(a2)の構造を有し、R、R及びRがCHである、3,4−エポキシシクロヘキシル基含有オルガノポリシロキサン(荒川化学工業社製,商品名「POLY−200」、商品名「POLY−201」、および商品名「POLY−215」)を用意した。
上記「POLY−200」、「POLY−201」および「POLY−215」について、核磁気共鳴装置(BRUKER社製,NMR Fourier300)を用いてNMR測定を行ったところ、各オルガノポリシロキサンにおけるプロトン量の比(Xのプロトン量:R、RおよびRの合計のプロトン量)は以下の通りであった。
「POLY−200」…1:38
「POLY−201」…1:39
「POLY−215」…1:26
また、上記「POLY−200」、「POLY−201」および「POLY−215」について、GPC装置(東ソー社製,商品名「HLC−8320GPC」)を用いて重量平均分子量を測定したところ、以下の通りであった。
「POLY−200」…15,000
「POLY−201」…50,000
「POLY−215」…15,700
シリコーン樹脂(A)として、上記3,4−エポキシシクロヘキシル基含有オルガノポリシロキサン(荒川化学工業社製,商品名「POLY−200」(実施例1〜7)、商品名「POLY−201」(実施例8〜14)、または商品名「POLY−215」(実施例15〜21))をイソプロピルアルコール(IPA)溶媒にて固形分濃度が3.0質量%となるよう希釈した。
上記溶液に、シロキサン化合物(B)としての3,4−エポキシシクロヘキシル基含有シランオリゴマー(信越化学工業社製,商品名「X40−2670」,前述した式(b2)(RはCH)で示される)を、シリコーン樹脂(A)100質量部(固形分換算;以下同じ)に対し、表1に示すように、1〜60質量部添加した。その後、この溶液に、光カチオン触媒(C)としてのオニウム塩系光開始剤(ジフェニルヨードニウムとテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンとの塩;荒川化学工業社製,商品名「CATA−211」)を5.0質量部添加し、シリコーンコート層用硬化性組成物の溶液(塗布液)を得た。
得られた剥離剤組成物の塗布液を、基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製,商品名「ダイアホイルT100−38」,厚さ38μm)上にバーコーターにより均一に塗布した。次いで、80℃で30秒間加熱乾燥した後、紫外線照射(光量60mJ/m,照度1500mW/cm)により剥離剤組成物を硬化させ、基材上に厚さ0.2μmのシリコーンコート層が積層されたシリコーンコートシートを得た。
〔実施例22〕
シリコーン樹脂(A)としての3,4−エポキシシクロヘキシル基含有オルガノポリシロキサン(荒川化学工業社製,商品名「POLY−201」)をイソプロピルアルコール(IPA)溶媒にて固形分濃度が3.0質量%となるよう希釈した。
上記溶液に、シロキサン化合物(B)としての3,4−エポキシシクロヘキシル基含有シランオリゴマー(信越化学工業社製,商品名「X40−2670」,前述した式(b2)(RはCH)で示される)を、シリコーン樹脂(A)100質量部に対し、10質量部添加した。
次いで、上記溶液に、シランカップリング剤としての2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製,商品名「KBM303」)を10質量部添加した。その後、この溶液に、光カチオン触媒(C)としてのオニウム塩系光開始剤(ジフェニルヨードニウムとテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンとの塩;荒川化学工業社製,商品名「CATA−211」)を5.0質量部添加し、シリコーンコート層用硬化性組成物の溶液(塗布液)を得た。
得られた剥離剤組成物の塗布液を使用し、実施例1と同様にしてシリコーンコートシートを製造した。
〔比較例1〜3〕
シリコーン樹脂(A)としての3,4−エポキシシクロヘキシル基含有オルガノポリシロキサン(荒川化学工業社製,商品名「POLY−200」(比較例1)、商品名「POLY−201」(比較例2)、または商品名「POLY−215」(比較例3))をイソプロピルアルコール(IPA)溶媒にて固形分濃度が3.0質量%となるよう希釈した。この溶液に、光カチオン触媒(C)としてのオニウム塩系光開始剤(ジフェニルヨードニウムとテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンとの塩;荒川化学工業社製,商品名「CATA−211」)を5.0質量部添加し、シリコーンコート層用硬化性組成物の溶液(塗布液)を得た。
得られた剥離剤組成物の塗布液を使用し、実施例1と同様にしてシリコーンコートシートを製造した。
〔比較例4〜5〕
シリコーン樹脂(A)としての3,4−エポキシシクロヘキシル基含有オルガノポリシロキサン(荒川化学工業社製,商品名「POLY−201」)をイソプロピルアルコール(IPA)溶媒にて固形分濃度が3.0質量%となるよう希釈した。
次いで、上記溶液に、シランカップリング剤としての2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製,商品名「KBM303」)を10質量部(比較例4)または30質量部(比較例5)添加した。その後、この溶液に、光カチオン触媒(C)としてのオニウム塩系光開始剤(ジフェニルヨードニウムとテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンとの塩;荒川化学工業社製,商品名「CATA−211」)を5.0質量部添加し、シリコーンコート層用硬化性組成物の溶液(塗布液)を得た。
得られた剥離剤組成物の塗布液を使用し、実施例1と同様にしてシリコーンコートシートを製造した。
〔試験例1〕(ラブオフ試験)
実施例および比較例で得られたシリコーンコートシートを、40℃・80%RHの雰囲気下、1〜7日間放置した。シリコーンコートシートの製造直後、上記雰囲気下1日放置後、3日放置後および7日放置後のそれぞれの段階でシリコーンコート層を指でこすり、シリコーンコート層の基材からの脱落の有無を観察した。結果を表1に示す。
○:脱落なし
×:脱落あり
〔試験例2〕(学振試験)
実施例および比較例で得られたシリコーンコートシートについて、学振試験機(大栄科学精器製作所社製,商品名「RT−200」)を使用して、シリコーンコートシートのシリコーンコート層表面に対し無延伸ポリプロピレンフィルムを200gの荷重で圧接して、10往復研磨した。その後、研磨部分および未研磨部分のそれぞれにアクリル粘着テープ(日東電工社製,31Bテープ)を2kgローラーにて貼付した。
23℃、50%RHの条件下で30分養生した後、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用いて180°の角度、100m/minの剥離速度でアクリル粘着テープを剥離し、剥離するのに必要な力(剥離力;mN/20mm)を測定した。そして、研磨部分の剥離力および未研磨部分の剥離力から、以下の式に基づいて密着性(%)を算出した。結果を表1に示す。
密着性(%)=(研磨部分の剥離力/未研磨部分の剥離力)×100
〔試験例3〕(テープ剥離力測定)
実施例および比較例で得られたシリコーンコートシートのシリコーンコート層表面に、アクリル粘着テープ(日東電工社製,31Bテープ,20mm幅)を2kgローラーにて貼付した。23℃、50%RHの条件下で30分養生した後、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用いて180°の角度、0.3m/分の剥離速度でアクリル粘着テープを剥離し、剥離するのに必要な力(剥離力;mN/20mm)を測定した(測定回数n=2)。結果を表1に示す。
〔試験例4〕(対PVB剥離力測定)
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製,商品名「エスレック BL−S」;以下「PVB」という)100質量部に、混合溶媒としてトルエン240質量部及びエタノール160質量部を加え、ディスパーで均一に撹拌混合し、PVB塗工液を調製した。そして、実施例および比較例で得られたシリコーンコートシートのシリコーンコート層上に、アプリケーターを用いて上記PVB塗工液を塗布し、乾燥してPVB層を形成した。なお、乾燥後のPVB層の膜厚は3μmとした。
次いで、上記シリコーンコートシート上のPVB層の表面に、粘着テープ(日東電工社製,商品名「31Bテープ」)を貼り合わせた積層体を作製し、23℃、50%RHの環境下に24時間放置した。次に、この積層体を40mm×100mmに裁断して、対PVB剥離力測定用の試験片とした。
23℃、50%RHの環境において、高速剥離試験機(テスター産業社製)を用いて、試験片のシリコーンコートシートを剥離角度180°、剥離速度100m/分で剥離して剥離力を測定した。このときの測定範囲における剥離力の最大値(単位:mN/20mm)を対PVB剥離力とした。
〔試験例5〕(シリコーン移行量の測定)
実施例および比較例で得られたシリコーンコートシートのシリコーンコート層表面に、アクリル系粘着剤(トーヨーケム社製,製品名「BPS5127」)を、乾燥後の膜厚が30μmになるようにアプリケーターにて塗布し、100℃で2分間加熱乾燥し、粘着剤層を形成した。この粘着剤層の露出面に、粘着シート基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)を貼合し、23℃、50%RHの条件下で1日保管した。その後、粘着剤層からシリコーンコートシートを剥離し、露出した粘着剤層表面(粘着面)におけるシリコーン量(cps)を蛍光X線装置(波長分散卓上型蛍光X線分析計;リガク社製,商品名「Mini−Z」)によって測定した。結果を表1に示す。
Figure 2016079349
表1から明らかなように、実施例で得られたシリコーンコートシートは、良好な剥離力を発揮しつつ、シリコーンコート層の基材に対する密着性に優れ、また、粘着面に対するシリコーン移行量が少なかった。
本発明のシリコーンコート層用硬化性組成物およびシリコーンコートシートは、例えば、粘着シートの剥離シートとして、あるいはグリーンシート製造工程用剥離シート等として好適に使用することができる。

Claims (14)

  1. シリコーン樹脂(A)と、
    シロキサン化合物(B)と、
    光カチオン触媒(C)と
    を含有し、
    少なくとも前記シロキサン化合物(B)が、カチオン硬化性であり、かつ、環状シロキサン骨格を有する化合物である
    ことを特徴とするシリコーンコート層用硬化性組成物。
  2. 前記シロキサン化合物(B)は、脂環式エポキシ基またはグリシジル基からなるカチオン反応性基を含む化合物であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
  3. 前記シロキサン化合物(B)は、下記式(b1)
    Figure 2016079349

    (式中、Rはアルキル鎖である。)
    で示される構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
  4. 前記シロキサン化合物(B)は、下記式(b2)
    Figure 2016079349

    (式中、Rはアルキル基である。)
    で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
  5. 前記シリコーン樹脂(A)は、カチオン反応性基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
  6. 前記シリコーン樹脂(A)は、下記式(a1)
    Figure 2016079349

    (式中、Xはカチオン反応性基を含む基であり、R、R及びRは互いに同一の又は異なるアルキル基、芳香族基又はアラルキル基である。また、nは1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数である。)
    で示されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
  7. 前記式(a1)中のXは、下記式(a2)
    Figure 2016079349

    (式中、Rはアルキル鎖である。)
    で示されることを特徴とする請求項6に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
  8. 前記式(a1)で示される前記シリコーン樹脂(A)中におけるXのプロトン量と、R、RおよびRの合計のプロトン量との比は、NMRにより測定した積分比で1:20〜1:100であることを特徴とする請求項6または7に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
  9. 前記シリコーン樹脂(A)100質量部に対する前記シロキサン化合物(B)の含有量は、1〜80質量部であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
  10. 前記シリコーン樹脂(A)が有するカチオン反応性基と、前記シロキサン化合物(B)が有するカチオン反応性基とは、同一の官能基であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
  11. 前記光カチオン触媒(C)は、オニウム塩化合物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物。
  12. シート状の基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面に設けられたシリコーンコート層と
    を備えたシリコーンコートシートであって、
    前記シリコーンコート層は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシリコーンコート層用硬化性組成物を硬化してなる
    ことを特徴とするシリコーンコートシート。
  13. 前記基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなることを特徴とする請求項12に記載のシリコーンコートシート。
  14. 粘着材料、グリーンシートおよび樹脂膜から選択される薄膜材料の表面を保護するため、または前記薄膜材料を製膜するために用いられることを特徴とする請求項12または13に記載のシリコーンコートシート。
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