JP2016078025A - 熱延鋼板の圧延方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特に粗圧延後のシートバー厚みが50mmを超える高強度厚肉熱延鋼板を安定的に製造するための圧延方法に関するものである。
また、通常、粗圧延機群3と仕上圧延機群7の間にはクロップシャー6が設けられ、粗圧延後の鋼板のクロップ部が切断されるが、さらに粗圧延機群3とクロップシャー6の間にロール本数が3〜11本程度のローラーレベラー5を設けて、粗圧延後のシートバー10の発生した反りを矯正した後にクロップ部を切断することも行われている。
したがって、鋼板の反りを回避するためには、粗圧延工程でのパスラインを厳格に制御して、鋼板(シートバー)の厚み中心とロールギャップの中心を一致させなければならないが、圧延パスの進行と共に、板厚みが薄くなってくるため、テーブルローラーのレベルを各圧延パスで変更する必要がある。このような機構を安定的に稼動させることは、鉄鋼設備のような大型機器では機械精度のばらつきが避けられないことから実質上困難である。
特許文献1に記載の技術は、粗圧延機の直後に第一の反り矯正装置を、仕上圧延機前に第二の反り矯正装置を設置して、シートバーの形状を修正する技術である。反りの矯正装置としてロールにより繰り返し曲げが可能なローラーレベラータイプが記載されている。
特許文献2には、同文献中の図5に示されているように、粗圧延機の出側に反り矯正ロールを設置して、圧延反りを修正する技術が記載されている。
しかし、このように肉厚のシートバーの先端部および後端部に反りが発生すると、特許文献1、2に記載された技術を適用して反りを矯正することは以下のとおり実質上困難である。
特許文献1に記載のローラーレベラーなどの矯正装置として、十分な矯正反力を付与可能なローラーレベラーを導入すれば、反り低減に十分な効果を発揮することができるが、粗圧延機出側でのシートバー厚みが50mm以上〜最大100mm程度となるケースでは、耐荷重が200トンを超えるような極めて高い矯正反力を持つローラーレベラーの導入が必要となる。このような設備は、設置するには設備の改造をともない、また設備自体も高コストである。
特許文献2に記載の矯正手段についても、通常、圧延機の近傍には、板厚計や幅計等の最終製品に大きく影響を及ぼすセンサー類が設置されており、矯正用ロールをセンサーともに設置することは、スペースの確保が困難であり、また、この装置も設置するには設備の改造をともない、大きな矯正反力を必要とするため、設備自体がかなり高コストである。
[1]加熱した鋼スラブを少なくとも1機以上の可逆式圧延機を含む粗圧延機群により粗圧延する粗圧延工程と粗圧延後の鋼板を仕上圧延機群により仕上圧延する仕上圧延工程とを有する熱延鋼板を製造する方法であって、粗圧延工程では、板厚みを薄くする圧延の最終パスを、前記少なくとも1機以上の可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機において上流側から下流側に向かう奇数目のパスで行い、該最終パスに続いて、同圧延機において、下流側から上流側に向かう偶数目パスと上流側から下流側に向かう奇数目パスをいずれも平坦化パスとする往復のパスを少なくとも1回以上行い、粗圧延機群の出側で粗圧延を完了した鋼板をローラーレベラーで矯正した後に、仕上圧延工程で仕上圧延することを特徴とする熱延鋼板の圧延方法。
[2]前記ローラーレベラーの耐荷重が200ton以下であることを特徴とする[1]に記載の熱延鋼板の圧延方法。
[3]前記平坦化パスが、圧延機のロールギャップを鋼板の板厚みに対して+50mm
以上〜+300mm以下の範囲内に設定して鋼板の先端部を通過させた後に、鋼板の後端部が通過する前にロールギャップを通過する鋼板の板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内に設定して該後端部を通過させるパスであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の熱延鋼板の圧延方法。
[4]前記粗圧延を完了した鋼板の板厚みが50mm以上〜100mm以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の熱延鋼板の圧延方法。
[5]前記のローラーレベラーのロールギャップを板厚みに対して+1mm以上〜+5mm以下の範囲内に設定することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の熱延鋼板の圧延方法。
[6]前記粗圧延機群が前記可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機より下流側に少なくとも1機以上の非可逆式圧延機を備え、該少なくとも1機以上の非可逆式圧延機のいずれかの圧延機において、平坦化パスを行うことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の圧延方法。
[7]前記少なくとも1機以上の非可逆式圧延機のいずれかの圧延機での平坦化パスが、圧延機のロールギャップを+50mm以上〜+300mm以下の範囲内に設定して鋼板の先端部を通過させた後に、鋼板の後端部が通過する前にロールギャップを通過する鋼板の板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内に設定して該後端部を通過させるパスであることを特徴とする[6]に記載の熱延鋼板の圧延方法。
一般的な熱延鋼板の製造ラインについてはすでに図1に示した。この図1に示す熱延鋼板の製造設備では、粗圧延機群がリバース圧延可能な可逆式圧延機31と下流側への搬送方向のみの圧延が可能な非可逆式圧延機32からなり、圧延機の下に示される矢印(実線)が圧下パス(板厚みを薄くする圧延パス)を表している。そして、可逆式圧延機31では、通常、5〜11パス程度の圧下パスが可逆の方向に(上流側から下流側、あるいは下流側から上流側に)行われるが、可逆式圧延機において、最終のパスでは、圧延と次の圧延機への搬送とを同時に実施するため、可逆式圧延機31の圧延パス回数は必ず奇数となり、圧延をしつつ下流側にある圧延機へシートバー10を搬送する。そのため、可逆式圧延機における最終パスの圧延方向は、次圧延機へのシートバー10の搬送方向と必ず一致する。
なお、上記の「上流側から下流側」とは、図1に示されるような熱延鋼板の製造ラインにおいて、加熱炉1からコイラー9への方向を指し、「下流側から上流側」とは、図1に示されるようなコイラー9から加熱炉1への方向を指しており、以下においても同様である。
圧延時に発生する反りの原因はいくつかあるが、その大きな原因として圧延機噛み込み時のパスラインの誤差による鋼板先端の反りがある。
図2(a)は、鋼板10が左から右に搬送されて上下の圧延ロール(ワークロール)33、33に噛み込まれる状態を示している。また、図2(b)は、鋼板が上下圧延ロールに噛み込んだ後、さらに鋼板の先端部の圧延が進行した状態を示している。圧延方向は左から右に向かう方向である。
図3(a)は、圧延が進行し、鋼板10の後端部が上下の圧延ロールにこれから圧延される状態を示している。また、図3(b)は、さらに圧延が進行し、鋼板10の後端が上下のワークロールのロールギャップから抜け出ようとしている状態を示している。
図3(a)から分かるように、鋼板の後端部側では、ロールギャップ中心と鋼板10の板厚み中心がほぼ一致した状態で圧延が進行しており、そのため、図3(b)から分かるように、鋼板10に垂直方向の力は発生せずに、圧延形状は平坦となる。
前者の図4の場合は、複数ロールからなるローラーレベラーのローラー間に鋼板の先端が衝突して詰りが発生しやすいといった問題がある。後者の図5の場合は、反りが鋼板の後端部であるため、前者のような問題はないものの、厚肉シートバーや高強度のシートバーに発生した反りを矯正する場合、大きな矯正反力を持つローラーレベラーで矯正する必要がある。
したがって、ローラーレベラーでの通板性の観点から、ローラーレベラー噛み込み側の鋼板の先端部の反りはできるだけ小さくすると共に、鋼板の後端部では、矯正板力がローラーレベラーの耐荷重範囲に収まる程度の反りにすることが必要である。
ここで、本発明における上下圧延ロールのロールギャップやローラーレベラーのロールギャップについて触れておく。
図6には、通過する鋼板の「板厚み」と「ロール〜鋼板ギャップ」が上下圧延ロールとローラーレベラーの場合についてそれぞれ示されている〔6図(a)および6図(b)〕。この図から分かるように、ロール〜鋼板ギャップが+(プラス)の場合、ロールギャップの値は、通過する鋼板の板厚みの値にロール〜鋼板ギャップの値を加算したものである。
例えば、ロールギャップを鋼板の板厚みに対して+50mmに設定する圧延パスとは、ロールギャップを板厚みの値にロール〜鋼板ギャップの値50mmを加算した値に設定する圧延パスであることを意味している。
また、ロール〜鋼板ギャップを0(ゼロ)mmに設定する圧延パスとは、板厚みを薄くする圧延パス、すなわち圧下パスであることを意味している。
本実施態様の熱延設備では、粗圧延機群が少なくとも1機以上の可逆式圧延機と少なくとも1機以上の非可逆式圧延機から構成されているが、図7では、1機の可逆圧延機31とその下流に1機の非可逆圧延機32のみが示されている。
また、粗圧延機群3に非可逆式圧延機32を備えなくとも粗圧延は可能であるから、非可逆圧延機32は必須のものではない。
また、粗圧延機群の下流には順にローラーレベラー5、クロップシャー6、仕上圧延機群7、鋼板を冷却するランアウトテーブルに設けられた冷却装置8および仕上圧延後の鋼板を巻き取るコイラー9が設けられている。
本実施形態では、加熱されたスラブをまず1機以上の可逆式圧延機で圧下パスからなる可逆圧延を行い減厚するが、可逆式圧延機のうちで最下流にある(すなわち最もコイラー8側寄りにある)可逆式圧延機31において、最終の圧下パスを奇数パス目とする(すなわち圧下パスを奇数パス目で完了させる)。したがって、この最終圧下パスは、鋼板(シートバー)10が上流側から下流側に向かう方向に行われることになる(図7の粗圧延機31下に示す最下の実線の矢印参照)。
なお、可逆式圧延機のうちで少なくとも1機以上の可逆式圧延機が1機のみからなる場合はこの1機の圧延機が、可逆式圧延機のうちで最下流にある可逆式圧延機となる。
本実施態様では、まず加熱したスラブは粗圧延機群が有する少なくとも1機以上の可逆式圧延機31、・・・、31で圧下パス(板厚みを薄くする圧延パス)を繰り返して多パス圧延が施されるが、可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機31において圧下パスを奇数パス目で完了する。この最終の圧下パスは奇数パス目であるから、上流側から下流側の方向に圧延される。図8(a)にはこの最終の圧下パスが示されている。
次に、この最終の圧下パスが行われた可逆式圧延機31(上記の可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機)で往復の平坦化パスが行われる。8図(b)〜(e)には、上述した最終の圧下パスに続いて行われる往復の平坦化パスの通板状況が示されている。
往復の平坦化パスの最初の「往」のパスは、偶数パス目のパスであるから、下流側から上流側に向かうパスであり、次の「復」のパスは上流側から下流側に向かうパスである。
本実施例では往復の平坦化パスを行うから、8図(b)、(c)が「往」の平坦化パスを、8図(d)〜(f)が「復」の平坦化パスをそれぞれ示している。
ロールギャップを板厚み+1mm未満に設定した場合は、圧延時の板厚みの誤差があった場合、可逆式圧延機で軽圧下される。その際、鋼板の上下面に温度偏差があった場合は、反りが助長されてしまうためである。また、ロールギャップ設定を板厚み+50mmよりも大きく設定した場合は、圧延機下流側の反りの矯正効果が少なくなってしまう。矯正効果を大きくするためには、ロール〜鋼板ギャップ設定は極力狭いほうが良いため、好ましくは鋼板厚みに対して+5mm以下にするのが好適である。
また、続く「復」の平坦化パスにより、鋼板の上流側端部に反りが発生している部位は、上下の圧延ロールと接触することにより矯正力が作用し、反りが低減して平坦化する。
往復の平坦化パスにより、鋼板10の圧延方向の先端部と後端部をおおむね同じ条件で反り矯正することができるから、その後のローラーレベラーへの鋼板の通板不良を防止するとともに、矯正時にローラーレベラーへの負荷を低減できる。そして、ローラーレベラーによってさらに鋼板の反りを矯正することができるから、仕上圧延機群での圧延において、通板を安定した状態で行うことができる。
また、ローラーレベラーへの負荷の低減は、高強度厚肉鋼板の製造においても、従来の熱延製造ラインで使用されている、一般の耐荷重が200ton以下のローラーレベラーの使用を可能とする。
本実施態様の熱延設備では、粗圧延機群が少なくとも1機以上の非可逆式圧延機から構成されているが、図9では、3機の可逆圧延機31、31、31で構成されている。粗圧延機群以外の製造設備については図7に示したものと同じである。
この実施形態では、加熱されたスラブをまず少なくとも1機以上の可逆式圧延機で圧下パスからなる可逆圧延を行い減厚するが、図9に示された圧延パスのパターンから分かるように、粗圧延機群3の可逆式圧延機のうちで最下流側にある可逆式圧延機31において、圧下パスを奇数目パスで完了し、次いで、第1の実施形態と同様に、同圧延機において往復の平坦化パスを少なくとも1回以上行う。以後の鋼板は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、ローラーレベラーへの通板不良を防止し、仕上圧延機群での圧延において、通板を安定した状態で行うことができる。また、矯正時にローラーレベラーへの負荷を低減できることや高強度厚肉の熱延鋼板の製造においても、従来の熱延製造ラインで使用されている、一般の耐荷重が200ton以下のローラーレベラーの使用が可能となることも同様である。
一般的にローラーレベラーは複数のロールを上面及び下面に配置し、上下のロールの垂直方向軸心をずらした状態で押し込むことで、鋼板に曲げ歪を与えることで矯正している。
一方、シートバー厚みが50mm以上の厚肉鋼板では、鋼板に曲げ歪を与えるには数1000ton程度の非常に大きな荷重を必要とするが、熱延における一般のローラーレベラーの耐荷重はせいぜい200ton程度であり、矯正が困難である。そこで、鋼板全長に曲げ歪を加えるのではなく、わずかに反りのある圧延方向上流側のみが矯正されるように、ローラーレベラーのロール〜鋼板ギャップ〔図6(b)参照〕を板厚みに対して+1mm以上〜+5mm以下の範囲内に設定する手法とする。このようなギャップ設定とすることに加えて、上記で述べた圧延ロールによる反りの平坦化を組み合わせることで、ローラーレベラー5の矯正反力が極めて小さくなり、耐荷重200ton以下のローラーレベラーに使用によって、全長にわたり反りの少ないシートバー10の製造が可能となる。なお、ローラーレベラーのロールギャップは、本発明の範囲で、出側に対して入側を広くする設定にしたり、入側と出側のロールギャップを一致させて、ローラーレベラーの上下ロールを平行に配置する設定にしたり、いずれでもかまわない。
また、本発明は、発明の技術思想から、粗圧延完了後の鋼板の厚みが50mm以上、仕上圧延後の鋼板の板厚みが20mm以上となるような高強度厚肉熱延鋼板の製造のみならず、通常の熱延鋼板の製造にも適用できることは明らかである。
以下の実施例1、2および比較例1、2が適用される熱延鋼板の製造ラインは、図7に示されるものと同じであり、上流側から下流側に1機の可逆式圧延機31(No.1圧延機)と1機の非可逆式圧延機32(No.2圧延機)を備え、その下流に、耐荷重120tonのローラーレベラー5、クロップシャー6、仕上圧延機群7、ランアウトテーブルの冷却装置7および鋼板を巻き取るコイラー8を備えるものである。
この場合、可逆式圧延機が1機であるので、この可逆式圧延機が少なくとも1機以上の可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機に相当することになる。
そして、このラインにおいて、厚み250mm、幅1850mm、長さ9090mmの寸法の鋼スラブを熱間圧延ラインの粗圧延群3により60mm厚みまで圧延してシートバー10を製造した。
粗圧延が終了した鋼板(シートバー)は、仕上圧延工程前にシートバー10をオシレーション待機し、シートバー10の表面温度が900℃以下になったところで、耐荷重120tonのローラーレベラー5のロールギャップを板厚みに対して+3mmに設定して反りを修正して平坦化した後に、クロップシャー6でシートバー10のクロップ部を切断した後に、仕上圧延機群7の仕上圧延により、厚み20mmの鋼板に仕上げ、ランアウトテーブルの冷却装置8で500℃まで冷却したのちにコイラー9にて巻き取った。ただし比較例2では、ローラーレベラーによる矯正は行わなかった。
本発明の実施例1では、粗圧延機群3の可逆式圧延機31において9パス目まで圧下パス(板厚みを薄くする圧延パス)とし、同圧延機において、10パス目および11パス目で、往復の平坦化パスを行った。12パス目は非可逆圧延機32において空パスとした。
表1に実施例1の圧延パスのパターン(パススケジュール)を示した。
平坦化パスでは、ロールギャップを板厚みに対して+50mm広くしてシートバー10の先端部を通過させ、次いで後端部が通板する前に、ロールギャップを板厚みに対して+30mmに設定して、後端部を通過させて通板した。
そして、非可逆式圧延機31から搬送された鋼板を、非可逆式圧延機32では、ロールギャップを板厚みに対して+200mmに設定して空パスとした。
次いで、粗圧延工程からの鋼板をローラーレベラー5で反りを矯正し、クロップシャー6でクロップ部を切断した後に仕上圧延機群7で仕上圧延して、冷却装置7で冷却した後に、コイラー9で巻き取った。
本発明の実施例2では、粗圧延機群3の可逆式圧延機31において9パス目まで圧下パスとし、同圧延機において、10パス目および11パス目を往復の平坦化パスとした。そして、続く12パス目は非可逆式圧延機32において平坦化パスを行った。
表2に実施例2の圧延パスのパターンを示した。
次いで、粗圧延工程からの鋼板をローラーレベラー5で平坦化した。以下の工程は実施例1と同じである。
表3に比較例1、2の圧延パスのパターンを示した。
比較例1では、粗圧延後の鋼板をローラーレベラー5による平坦化を行ったのに対して、比較例2ではローラーレベラー5を使用しなかった。以後の工程は実施例1と同じである。
実施例1では、粗圧延後のシートバーの下流側および上流側の端部の反りがそれぞれ2mm、28mmであり、いずれも粗圧延後のシートバーの反りを30mm以下に抑えることができ、耐荷重120tonのローラーレベラー5の通板、矯正を良好に行うことができ、更に反りの矯正により平坦化した状態でクロップシャー6によりクロップ部を切断することができた。続く仕上げ圧延機群での通板、圧延も良好であり、鋼板に仕上げることができた。
実施例2では、粗圧延後のシートバーの下流側および上流側の端部の反りがともに2mmであり、耐荷重120tonのローラーレベラー5の通板、矯正を良好に行うことができ、更に矯正により平坦化した状態でクロップシャー6によりクロップ部を切断することができた。続く仕上げ圧延機群での通板、圧延も良好であり、鋼板に仕上げることができた。
比較例1では粗圧延後のシートバーの下流側の端部は反りが10mmと良好であったが、上流側の端部には150mmの大きな反りが発生した。上流側の端部(すなわち後端部)の反りが大きかったため、ローラーレベラー5への進入はできたものの、ローラーレベラー中のロール間にシートバーが引っかかってしまい、その後の仕上圧延ができなかった。
比較例2はローラーレベラーが不使用である例であるが、この例では、粗圧延後のシートバーの下流側端部は反りが30mmと比較的小さかったが、上流側端部には200mmと大きな反りが発生した。その後クロップシャーによる切断は良好に行えたものの、上流側の端部(すなわち後端部)の反りが大きく仕上圧延群に噛み込まず、その後の圧延ができなかった。
2 サイジングプレス
3 粗圧延機群
4 エッジャー
5 ローラーレベラー
6 クロップシャー
7 仕上圧延機群
8 冷却装置
9 コイラー
10 シートバー(鋼板)
31 可逆式圧延機
32 非可逆式圧延機
33 圧延ロール
Claims (7)
- 加熱した鋼スラブを少なくとも1機以上の可逆式圧延機を含む粗圧延機群により粗圧延する粗圧延工程と粗圧延後の鋼板を仕上圧延機群により仕上圧延する仕上圧延工程とを有する熱延鋼板を製造する方法であって、
粗圧延工程では、板厚みを薄くする圧延の最終パスを、前記少なくとも1機以上の可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機において上流側から下流側に向かう奇数目のパスで行い、該最終パスに続いて、同圧延機において、下流側から上流側に向かう偶数目パスと上流側から下流側に向かう奇数目パスをいずれも平坦化パスとする往復のパスを少なくとも1回以上行い、粗圧延機群の出側で粗圧延を完了した鋼板をローラーレベラーで矯正した後に、仕上圧延工程で仕上圧延することを特徴とする熱延鋼板の圧延方法。 - 前記ローラーレベラーの耐荷重が200ton以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の圧延方法。
- 前記平坦化パスが、圧延機のロールギャップを鋼板の板厚みに対して+50mm以上〜+300mm以下の範囲内に設定して鋼板の先端部を通過させた後に、鋼板の後端部が通過する前にロールギャップを通過する鋼板の板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内に設定して該後端部を通過させるパスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱延鋼板の圧延方法。
- 前記粗圧延を完了した鋼板の板厚みが50mm以上〜100mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱延鋼板の圧延方法。
- 前記のローラーレベラーのロールギャップを板厚みに対して+1mm以上〜+5mm以下の範囲内に設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱延鋼板の圧延方法。
- 前記粗圧延機群が前記可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機より下流側に少なくとも1機以上の非可逆式圧延機を備え、該少なくとも1機以上の非可逆式圧延機のいずれかの圧延機において、平坦化パスを行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧延方法。
- 前記少なくとも1機以上の非可逆式圧延機のいずれかの圧延機での平坦化パスが、圧延機のロールギャップを+50mm以上〜+300mm以下の範囲内に設定して鋼板の先端部を通過させた後に、鋼板の後端部が通過する前にロールギャップを通過する鋼板の板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内に設定して該後端部を通過させるパスであることを特徴とする請求項6に記載の熱延鋼板の圧延方法。
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