JP2000254704A - 板厚プレスによる熱延鋼板の製造方法及び製造装置 - Google Patents
板厚プレスによる熱延鋼板の製造方法及び製造装置Info
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Abstract
長尺のシートバーを使用することができる板厚プレスに
よる熱延鋼板の製造方法および製造装置を提供する。 【構成】 連続鋳造された板厚Hのスラブを、シートバ
ーに減厚加工する粗加工と、このシートバーを圧延して
所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上げ圧延加工を行い、冷
却した後に巻き取る熱延鋼板の製造方法であって、前記
粗加工の少なくとも一部に入側の傾斜部と出側の平坦部
とを備えた一対の金型を用いた板厚方向圧下率rを30
%以上とした板厚プレス加工を含むことと、この板厚プ
レス加工の前に材料に対して下式で決定される幅圧下量
以上の幅圧下を加えることを特徴とする板厚プレスによ
る熱延鋼板の製造方法。 幅圧下量=f(r,H)
Description
ような長尺の材料を板厚方向にプレスする板厚プレスに
よる熱延鋼板の製造方法および製造装置に関する。
に、スラブ20を粗圧延機7により中間厚さに圧延し
(この状態の圧延材をシートバーと呼ぶ)、その後、仕
上圧延機3で最終製品の厚さに圧延している。ここで、
スラブ20の寸法は、スラブ20を加熱する加熱炉13
の寸法が上限となる。その結果、転炉1杯分の鋼は、通
常10数本のスラブ20に分割される。
は、通常の板の圧延と同様に、先後端部にタングやフィ
ッシュテールと呼ばれる形状不良部分が、程度の差はあ
るものの必ず生じる。ちなみに、「タング」とは端部の
板幅中央部が舌状に突出した形状不良部をいい、「フィ
ッシュテール」とは端部の板幅両端部が魚の尻尾状に突
出した形状不良部をいう。タング及びフィッシュテール
のいずれも正常部より幅が狭いので変形し易い。
工程の仕上圧延機3でさらに変形が進み、圧延トラブル
の原因となるので、シートバー20Aの段階で形状不良
部分を切断除去する。この切断除去された部分(以下
「クロップ」という)が長くなればなるほど製品歩留り
が低下する。
る連続圧延機であり、板厚の薄くなった鋼帯に張力を付
与した状態で圧延を行う。しかしながら、仕上圧延され
た熱延鋼板の先端から100m前後の部分は、コイラ5
a,5bに到達するまでの期間、張力が作用しない状態
で圧延される。また、この間、先端部は搬送ロールとの
衝突や風圧による浮き上がり等により走行が不安定とな
るため、一般に定常状態(コイラ到達後)の半分近くま
で、圧延速度を低下させて圧延せざるを得ない。
最終スタンドを出た後は、張力ゼロとなるため形状が劣
化する。このような非定常部は、搬送中の温度低下や形
状不良に伴う冷却の不均一等により、一般に材質および
形状ともに定常部に比べて劣る。これらの材質および形
状不良、あるいは形状不良に伴う蛇行等による圧延トラ
ブルは、設備稼働率を低下させるので、歩留り低下の大
きな阻害要因となる。
は、複数のシートバーを接続して仕上げ圧延を行う方法
が開発されている。例えば、特開平4−89109号公
報には、先行するシートバーの後端部に後続のシートバ
ーの先端部を順次接合して、複数のシートバーに対して
連続的に仕上げ圧延を行う方法が提案されている。
ついても、定常状態と同様の圧延が可能となるので、上
記の前後端部(非定常部)の歩留りが向上する。また、
先端部についても、定常状態(コイラ到達後)と同じ圧
延速度で圧延することが可能となるので、圧延能率が向
上する。さらに、複数のシートバーを接続して圧延する
ので、間欠的に圧延する場合よりも圧延能率が向上す
る。
いは連続鋳造スラブの直接圧延等、長尺のシートバーを
製造する方法も提案されている。複数のスラブを接合す
る方法としては、特開昭57−106403号公報に
は、先行するスラブの後端部に後続のスラブの先端部を
順次接合して、これら接合された複数のスラブを、プラ
ネタリミル群により連続的にシートバーに圧延する方法
が提案されている。
は、転炉1杯分のスラブを大圧下圧延機によりシートバ
ーとし、そのままコイルに巻取り、その後このシートバ
ーのコイルを巻戻して仕上圧延を行う方法が提案されて
いる。同様に、特開昭59−85305号公報には、特
殊な連続鋳造機(ロータリキャスタと呼ぶ)により高速
鋳造されたスラブを、圧延によりシートバーとし、一旦
コイルボックスの中に巻き取った後、仕上圧延を行う方
法が提案されている。
断は、長尺のシートバーの先後端部だけでよく、個々の
スラブ毎のクロップ発生がなくなるので、その分、歩留
りが向上する。さらに、これらの方法では、仕上圧延に
おいても、前述の複数のシートバーを接続して仕上げ圧
延を行う方法と同様の効果が得られることになる。
た従来技術には次のような問題点がある。
技術では、複数のシートバーを接合するためには、シー
トバーの先後端部の形状不良部分を切断する必要があ
る。従って、クロップ発生による歩留り低下の問題は、
依然として解決されていない。さらに、シートバーの接
合部は、他の部分に比べて強度が低く、仕上圧延の最中
に接合部で破断して、ライン停止を余儀なくされるおそ
れがある。また、シートバーの接合は実際には溶接によ
り行われるため、接合部の組織が粗大化し、材質不良あ
るいは表面割れ発生の原因となる可能性もある。
数のスラブを接合する方法は、接合するスラブは板厚が
厚いため、短時間で完全に接合するのは困難である。ま
た、仮に短時間で接合できたとしても、大圧下で圧延す
ると接合部に静水圧成分の他に、引張り応力が作用して
接合面が剥離する。そのため、圧下率を小さくする必要
があり、粗圧延の能率が低下する。
特開昭59−85305号公報記載の連続鋳造されたス
ラブを直接圧延する方法では、鋳造速度の制限から、圧
延の能率を低下させるという問題がある。鋳造能力(単
位時間当り重量)は、後者の公報によれば10mpmの
鋳造速度が可能としているが、現実には操業上、品質上
このような高速の鋳造に成功したという報告例はない。
たスラブを直接圧延する方法では、鋳造速度の制限か
ら、粗圧延機の初段の圧延速度は、速くても数m/min前
後に抑えられる。これは、圧延機のロール回転数にする
と1rpm前後となり超低速の圧延となる。その結果、
圧延機のロールが1200℃前後の高温の材料と長時間
(数秒間)接触することになるため、ロールの表面割れ
や変形あるいは焼付きが発生するという問題がある。従
って、小規模な場合はともかく、熱延鋼板の製造のよう
に大規模かつ高温材料を対象とした設備においては実現
困難である。
では、通常の薄板の熱延工場に適用した場合、シートバ
ーのコイルは製品コイルの数個分であるから、100ト
ン近くの巨大なコイルとなる。その結果、巻取り装置等
のコイリング設備が巨大化することが避けられず、設備
コスト、工場のスペース等の観点から問題である。
になされたものであり、その目的はシートバーやスラブ
の接合をすることなく、長尺のシートバーを製造するこ
とが可能な板厚プレスによる熱延鋼板の製造方法および
製造装置を提供することを目的とする。
による熱延鋼板の製造方法は、連続鋳造された板厚Hの
スラブを、シートバーに減厚加工する粗加工と、このシ
ートバーを圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上げ
圧延加工を行い、冷却した後に巻き取る熱延鋼板の製造
方法であって、前記粗加工の少なくとも一部に入側の傾
斜部と出側の平坦部とを備えた一対の金型を用いた板厚
方向圧下率rを30%以上とした板厚プレス加工を含む
ことと、この板厚プレス加工の前に材料に対して下式で
決定される幅圧下量以上の幅圧下を加えることを特徴と
する。
熱間スラブを連続鋳造する連続鋳造設備と、該連続鋳造
設備で鋳造された熱間スラブをシートバーに減厚加工す
る粗加工設備と、該粗加工設備で得られたシートバーを
圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上圧延機群と、
該熱延鋼帯を巻き取るコイラをこの順に配置した連続鋳
造・熱延鋼板製造設備列であって、前記粗加工設備が減
厚加工手段の少なくとも一部として入り側の傾斜部と出
側の平坦部を備えた一対の金型を用いた鍛造加工手段を
有することと、前記減厚鍛造加工手段の上流に設けられ
る幅圧下手段と、を具備することを特徴とする。
て、粗圧延の前段の圧延を行う代りに板厚方向のプレス
を行う。この場合の板厚方向圧下率rは、鋳造欠陥等の
内部欠陥の発生率の観点から0.3以上とする。
aとを備えた上下一対の金型6を用いて板厚プレス加工
を行うが、金型6の入側に傾斜部6bを設けているの
は、金型6の端部で材料の表面に段差が生じないように
するためである。金型入側の傾斜部6bと接触する材料
は、圧下率rが平坦部6aの0.3以上から非接触部の
ゼロ(r=0)まで連続的に変化するので、段差発生に
よる表面割れ等のトラブルを防止することができる。
減厚されたとき、材料の板厚方向に圧下歪が分布する。
平面歪状態である板幅中央部の方が分布が大きく、幅方
向にも変形する平面歪状態である板端部では分布は小さ
い。したがって、内質改善効果を圧下歪分布の最大値で
評価すると板端部は内質改善効果が小さい。
圧下を行い、板端部にドッグボーンと呼ばれる板厚の盛
り上がりを形成させるとともに、板端部の板厚を増加さ
せてから板厚プレス加工を行うことにより、板端部の圧
下歪を増加させて板中央部と同等の内質改善効果を与え
ることができる。
本発明の好ましい実施の形態について説明する。
レスによる熱延鋼板の製造装置の概要図である。連続鋳
造機1で連続鋳造されたスラブ20は、加熱装置13で
目標温度域に加熱され、幅圧下装置9で幅圧下圧延さ
れ、粗加工設備2内で板厚プレス加工され、さらに粗圧
延機7で粗圧延されてシートバー20Aとなる。長尺の
シートバー20Aは、保熱装置11および加熱装置12
により温度調整された後に仕上圧延機3に導入され、目
標厚さまで仕上圧延され、鋼帯となる。さらに、鋼帯
は、切断機4を経由して最終的にコイラ5a,5bによ
り巻き取られるようになっている。
圧延する左右一対のエッジャーローラ、あるいはスラブ
20を幅方向からプレスする左右一対のサイジングプレ
スからなるものである。
る板厚プレス装置と、保熱装置10と、粗圧延機7とを
具備している。長尺の連続鋳造スラブ20は、金型6に
より板厚方向にプレス鍛造され、保熱装置10により所
定温度に保持されながら粗圧延機7で粗圧延される。な
お、板厚方向のプレス加工は、熱間スラブ20を所定の
送り量fで間欠的に送りながら繰返し行われる。
下率r)(%)をとり、縦軸に内部欠陥発生率(%)を
とって、両者の相関について種々の条件下で調べた結果
を示す特性線図である。材料として板厚100mmと2
00mmの連続鋳造スラブを用いた。板厚100mmの
スラブに対しては圧延圧下率を10%,20%とそれぞ
れ変えたものと鋳造したままの状態のものとを用いた。
内部欠陥の発生率は通常の金属組織検査(マクロ腐食
法)により行った。図中にて曲線Aは連続鋳造したまま
の板厚100mmスラブの結果を、曲線Bは連続鋳造し
たままの板厚200mmスラブの結果を、曲線Cは圧下
率10%で圧延した板厚100mmスラブの結果を、曲
線Dは圧下率20%で圧延した板厚100mmスラブの
結果をそれぞれ示す。図から明らかなように、いずれの
材料についても圧下率を30%以上としたときに内部欠
陥発生率が許容値の0.01%を下回るようになること
が判明した。
る材料の圧下歪(=ln(H/h))をとり、縦軸に板
厚方向最大塑性歪をとって、両者の相関を長尺材料の幅
中央部と幅方向端部とにつき調べた結果を示す特性線図
である。図から明らかなように、板厚方向プレス加工の
圧下率rが30%のときは、板厚中央部では圧下率30
%に相当する圧下歪(約0.357)で板厚方向最大歪
0.68程度となっているが、幅方向端部を同等の板厚
方向最大歪にするには幅方向端部の圧下歪を0.1程度
大きくする必要がある。
延する際の幅圧下量dwをスラブ厚さHで割ったdw/
H値をとり、縦軸に幅方向端部の歪増加量をとって、幅
圧延を行ったときに幅方向端部の板厚が増加し、板厚プ
レス加工時の圧下歪が増加する量をそれぞれプロットし
た特性図である。図中にて白丸は厚さHが250mmの
スラブの結果を、白三角は厚さHが300mmのスラブ
の結果を、白三角は厚さHが200mmのスラブの結果
をそれぞれプロット表示したものである。図から明らか
なように、幅圧下量に対して圧下歪増加量はほぼ正比例
する。このような両者の関係から、幅方向端部の圧下歪
を0.1増加させるには幅圧下量をスラブ厚Hの1/4
以上とする必要がある。なお、このような両者の正比例
関係はサイジングプレスにおいても同様である。
に相当)であれば,幅圧下歪を加えなくても,板厚プレ
ス加工によって内質改善に十分な板厚圧下歪を与えるこ
とができる。
だしr>0.3)に対して必要な幅圧下量を簡略式で表
わすと、例えば下式(1)のようになる。
置の金型6までの距離が長く、幅圧下と板厚プレスを同
時に行わない場合には、材料の温度降下および生産能率
の両観点から処理速度の速い幅圧下圧延を適用すること
が望ましい。
場合は、幅圧下圧延を用いてもよいし、サイジングプレ
スを用いてもよい。
部での板厚プレス加工圧下率(%)、スラブ幅中央部で
の内質欠陥の評価、スラブ幅方向端部での内質欠陥の評
価をそれぞれ表わし、本発明の種々の実施例と比較例と
を比べることにより本発明の効果を示す図である。厚さ
Hが250mmの連続鋳造スラブに対して幅圧延量を0
〜70mmの範囲で種々変えて幅圧下を行った後に、圧
下率を20〜36%の範囲で種々変えて板厚プレスを行
った材料の各部位における内質欠陥発生率につき調査し
た。その調査結果の評価を図中にて記号○×で表わし
た。記号○は欠陥無しのため合格であり、記号×は欠陥
有りのため不合格である。サンプル番号3,6,7,8
(実施例)はいずれも幅中央部および幅方向端部ともに
合格であった。一方、サンプル番号1(比較例)は幅中
央部および幅方向端部ともに不合格であり、サンプル番
号2,4,5(比較例)はいずれも幅方向端部が不合格
であった。
を、板厚プレス加工の前において板厚プレス圧下率rと
スラブ厚Hとの関数f(r,H)を用いて求められる量
以上の幅圧下量を加えることで、板端部の圧下歪を板中
央部に比べて大きくし、板端部と板中央部との歪状態の
違いによる最大圧下歪の差を補うことができるため、幅
方向全体にわたり内部欠陥の発生率を低減することがで
きる。このようにして内部欠陥の発生率を低減したスラ
ブを板厚方向にプレス加工し、引き続き連続的に圧延し
てシートバーとすることにより、シートバーやスラブの
接合をすることなく、長尺のシートバーを得ることがで
きる。
延鋼板の製造装置の概要を示す図。
(%)との相関を示す特性線図。
ln(H/h))と板厚方向最大塑性歪との相関を示す
特性線図。
ことによる板厚プレス時の圧下歪の増加量の結果をそれ
ぞれプロットした特性図。
…切断機、5a,5b…コイラ、6…金型、6a…平行
部(平坦部)、6b…テーパ部(傾斜部)、7…粗圧延
機、8,10,11…保熱装置、9…幅圧下装置、12
…加熱装置、13…加熱炉、20…連続鋳造スラブ、2
0A…シートバー。
Claims (2)
- 【請求項1】 連続鋳造された板厚Hのスラブを、シー
トバーに減厚加工する粗加工と、このシートバーを圧延
して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上げ圧延加工を行
い、冷却した後に巻き取る熱延鋼板の製造方法であっ
て、前記粗加工の少なくとも一部に入側の傾斜部と出側
の平坦部とを備えた一対の金型を用いた板厚方向圧下率
rを30%以上とした板厚プレス加工を含むことと、こ
の板厚プレス加工の前に材料に対して下式で決定される
幅圧下量以上の幅圧下を加えることを特徴とする板厚プ
レスによる熱延鋼板の製造方法。 幅圧下量=f(r,H) - 【請求項2】 熱間スラブを連続鋳造する連続鋳造設備
と、該連続鋳造設備で鋳造された熱間スラブをシートバ
ーに減厚加工する粗加工設備と、該粗加工設備で得られ
たシートバーを圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕
上圧延機群と、該熱延鋼帯を巻き取るコイラをこの順に
配置した連続鋳造・熱延鋼板製造設備列であって、前記
粗加工設備が減厚加工手段の少なくとも一部として入り
側の傾斜部と出側の平坦部を備えた一対の金型を用いた
鍛造加工手段を有することと、前記減厚鍛造加工手段の
上流に設けられる幅圧下手段と、を具備することを特徴
とする板厚プレスによる熱延鋼板の製造装置。
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1999
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