JP4055218B2 - ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス鋼板の製造方法に関し、特に、ステンレス鋼の熱間圧延時に板幅端部に生じるエッジシーム疵を低減しつつ目標幅精度を維持できるステンレス鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年ホットストリップミルにおいては、省エネルギー対策として連鋳−ホットストリップミルの同期化操業の実現が大きな課題となっている。この同期化操業を安定して実現するためには、連鋳鋳込スラブ幅の統合が大きな要因として挙げられるが、スラブ幅が数種に統合されると、下工程のホットストリップミルにおいては、多種の要求製品幅に対応するために、熱間スラブサイジング技術が必須となってくる。
【0003】
この熱間スラブサイジング技術の一つとして、プレス金型を備えたサイジングプレス設備(幅プレス装置)により熱間スラブを連続して幅プレスする連続幅プレス方法が知られている。この方法は幅プレス時の接触長さが大きいために幅調整効率が大きく、また、粗圧延後のシートバー先尾端の非定常部(クロップ)が最小になるようにスラブ先尾端の成形条件を設定できるために、国内外の熱間圧延工場で広く採用されている。
【0004】
かかるサイジング技術の必要性は熱間ステンレス鋼にもあてはまるものであるから、サイジングプレス設備を利用した連続幅プレス方法は熱間ステンレス鋼にも適用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱間ステンレス鋼に対してこの連続幅プレス方法を適用し、かつ粗ミルエッジャー(粗ミル(粗水平圧延機)付属の竪ロール圧延機。以下単に「エッジャー」という)による幅圧延も適用すると、幅端部にエッジシーム疵と呼ばれる圧延方向に延びた表面欠陥が発生しやすいことが知られている。
【0006】
エッジシーム疵とは、図8に示すように、幅プレス後の圧延材(スラブ)12のコーナ部51(図8(a))、粗ミル圧延(粗水平圧延)で生じるバルジング部53側面の皺54(図8(b))、およびエッジャー圧延で新たに形成されるコーナ部55(図8(c))が、エッジャー圧延および水平圧延の繰返しで圧延材12の上下面に回り込み(図8(d))、粗水平圧延やそれ以後の仕上圧延で消失せずに製品まで残ったものをいう。
【0007】
エッジシーム疵は、その発生部分が製品にはならず耳切り代としてトリミングされることから、表面品質要求レベルの高いステンレス鋼板での製品歩留り低下の主要因となっており、これの軽減策が切望されている。
熱間ステンレス鋼に対して連続幅プレス方法を適用しながらエッジシーム疵を低減させる従来技術として、スラブ加熱温度を1000〜1300℃とし、プレス部が凸状に張り出した凸金型でスラブ幅端面を連続的に押圧する幅プレスを行い、かつ第1スタンド〜中間スタンドでのエッジャーによる幅圧下量を10mm以内として粗圧延する方法が特開平5−123713号公報に開示されている。
【0008】
粗圧延の初期パスでエッジャー圧延の幅圧下量を大きくすると、幅プレスでスラブ幅端部に形成された凹みが浅くなって圧延材側面に発生した皺が上下面に回り込みやすくなることから、このような皺の回り込み防止に対しては、上記従来技術のように粗圧延の初期パスで幅圧下量を小さくすることが有効である。
しかし、粗圧延の初期パスで幅圧下量を10mm以内にしても、それ以降のパスのエッジャー圧延で新たに形成されるコーナ部がエッジシームとなり、そのエッジシームが上下面に回り込むことは防ぎ得ず、製品でのエッジシーム回り込み量を十分に小さくすることができなかった。
【0009】
なお、本明細書でエッジシーム回り込み量とは、図9に示すように、板幅端(片側)から該片側半幅内で最も遠くまで回り込んだエッジシームまでの距離dであって、熱間圧延後、酸洗工程を経たコイルの長手中央部で板の左右、および上下面について測定されるものと定義する。
また、粗ミル後段の水平パスでも圧延材幅端部が膨出してバルジング部が形成され、かかる圧延材に幅調整の目的で幅圧下量の大きいエッジャー圧延を施すとエッジシームが生じてしまうのであるが、これも上記従来技術では防止することができない。
【0010】
他方、エッジャー圧延がエッジシームの上下面回り込みを助長させる元凶であるからといって、凸金型による幅プレスのみで幅圧下を行い、粗圧延の全パスでエッジャーを開放する(エッジャー圧延しない)と、エッジシーム疵は顕著に低減するが、板幅端部にプレス金型の叩き痕が残ったり、粗圧延後のシートバーの先端部および尾端部に局部的な幅広がり(フレア)が生じたり、また、定常部の幅変動量も大きくなり、製品の幅精度が著しく悪化する問題があるので、幅プレスされたスラブ素材をエッジャー圧延なしで粗圧延するのは工業的に無理がある。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術の問題を有利に解決し、目標幅精度を落とさずに圧延材上下面へのエッジシームの回り込みを抑制して製品歩留りの向上が図れるステンレス鋼板の製造方法を提案することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ステンレス鋼連鋳スラブを加熱し、該スラブの幅端部が凹状になるように幅プレスしたのち、幅圧延と水平圧延を組み合わせて粗圧延し、引き続き仕上圧延して巻き取るステンレス鋼板の製造方法において、粗全パス数が6〜8パスになる粗圧延の最終パスおよび最終前パスでのみ幅圧延することを特徴とするステンレス鋼板の製造方法である(請求項1記載の発明)。
【0013】
また、本発明は、ステンレス鋼連鋳スラブを加熱し、該スラブの幅端部が凹状になるように幅プレスしたのち、幅圧延と水平圧延を組み合わせて粗圧延し、引き続き仕上圧延して巻き取るステンレス鋼板の製造方法において、粗圧延の最終パスおよび最終前パスでのみ幅圧延すること、および、最終前パスの幅圧延を幅圧延荷重一定として行うことを特徴とするステンレス鋼板の製造方法である(請求項2記載の発明)。
本発明において、前記幅プレスは、プレス部(スラブ当接部)に凸状に張り出した凸部をもつ凸金型を用いて行い、該凸金型の凸部の断面形状は、高さ:スラブ厚の1/15〜1/4、頂辺長さ:スラブ厚の1/3 〜3/4 、底辺長さ:スラブ厚+(10〜30mm)の台形状であることが好ましい(請求項3記載の発明)。
【0014】
【発明の実施の形態】
(請求項1記載の発明の説明)
図1は、本発明が適用される熱間圧延設備列の一例を示す模式図である。図1において、1は加熱炉、2は幅プレス装置、3はエッジャー付き粗ミルが4スタンド直列に配置された粗圧延機列、4は仕上圧延前のシートバー幅端部を加熱するエッジヒータ、5は仕上ミルが7スタンド直列に配置された仕上圧延機列、6はコイラ(巻取機)、8は幅プレス装置2入側・出側、粗ミル出側、仕上圧延機列5出側での板幅測定用の幅計である。なお、粗圧延機列3の第1スタンド〜第4スタンドの粗ミル(粗水平ミル)、エッジャーを適宜それぞれR1〜R4、E1〜E4と略記する。
【0015】
また、図2はエッジャーの概要を示す(a)平面図、(b)側面図であり、9は圧延材(スラブ)12の幅端部に当接して幅圧延する竪ロール(エッジャーロール)、10は竪ロール9を支持するチョック、11は幅圧延荷重測定用のロードセルである。竪ロール9はフラットロールであり、チョック10は図示しない油圧圧下機構によって幅圧下位置を調整される。図中、Wはエッジャー入側板幅、wはエッジャー出側板幅、ΔWは幅圧下量(=W−w)である。
【0016】
本発明は、このような類の熱間圧延設備列を用いて、ステンレス鋼連鋳スラブを、加熱炉1で加熱し、幅プレス装置2で該スラブの幅端部が凹状になるように幅プレスしたのち、エッジャー(E1〜E4)付き粗ミル(R1〜R4)(粗圧延機列3)で幅圧延と水平圧延を組み合わせて粗圧延し、仕上ミル(仕上圧延機列5)で仕上圧延し、巻取機6で巻き取る一連の熱延工程に適用される。
【0017】
本発明で、素材を連鋳スラブに限定したのは、冒頭に述べたように本発明が連鋳−熱延同期化操業技術の一環であることによる。
また、スラブ幅端部が凹状になるように幅プレスするとした理由は、これにより、幅プレス後の粗水平圧延でもたらされるスラブ側面のバルジング(スラブ側面の膨出)を補償でき、エッジシーム回り込み量を小さくできることにある。この点に関しては前記従来技術を踏襲している。
【0018】
請求項1記載の発明においては、上記のようにして幅プレスされたスラブを粗圧延してシートバーとする段階で、粗全パス数が6〜8パスになる粗圧延の最終パスおよび最終前パス(最終パスのひとつ前のパス)でのみ幅圧延することとした。この理由を以下に述べる。
図1の設備列でステンレス鋼板(SUS430相当)を製造するとき、従来の粗圧延スケジュールは、表1に示すようにリバース圧延時の逆パスを除く全パス(6〜8パス)にエッジャーが使用される(条件B)。エッジシーム疵抑制に関する従来の考え方は、前記のように粗圧延の初期〜中期のパスの幅圧下量を制限するというものであったが、思わしい結果がえられない。そこで、同表に示すように、粗圧延の初期〜中期のパスにはエッジャーを使用せず最終の2パスでのみ使用するスケジュール(条件A)での粗圧延を試行し、コイル数 100本についてエッジシーム回り込み量(前記定義の通り)を調べると共に、このようにエッジャー圧延を削減した場合に悪化が懸念されるコイル内幅変動量のデータも採取(仕上圧延機列5出側の幅計8を使用)し、従来の実績(コイル数 100本)と比較した。なお、コイル内幅変動量は、コイル先尾端の非定常部10mを除いた定常部内で最大値と最小値の差の値を採用した(以下同じ)。
【0019】
【表1】
【0020】
図3は、その結果をまとめて得られた、条件A、条件Bのエッジシーム回り込み量とコイル内幅変動量の範囲を示すグラフである。同図からわかるように、条件Aでは条件Bに対し、エッジシーム回り込み量が約10mm小さくなり、コイル内幅変動量については範囲が悪化側に3mm程度拡がるに留まる。すなわち条件Aによれば、条件Bよりも耳切り代を片側で7mm程度以上節減できるという顕著な歩留り向上効果がえられるとの知見を得た。この知見に基づいて、上記のように請求項1記載の発明を構成したのである。
(請求項2記載の発明の説明)
次に、請求項2記載の発明の形態として、最終前パスのエッジャー圧延を幅圧延荷重一定で行うとしたのは、そうすることにより目標幅精度をクリアしながらエッジシーム回り込み量をさらに抑制できるという本発明者らの知見による。
【0021】
この点に関し、前掲図3の結果の一部(表1で粗全パス数が6パスの場合に該当)を整理してえられたエッジシーム回り込み量と粗圧延の最終前パス(第N−1パス)、最終パス(第Nパス)の幅圧延荷重(P(N-1) 、P(N) と略記)との関係を示すグラフを図4に、同様に整理してえられたコイル内幅変動量とP(N-1) 、P(N) との関係を示すグラフを図5にそれぞれ示す。
【0022】
ここで、P(N) およびP(N-1) は、圧延長手方向20点に対応する圧延荷重の平均値をとった。
図4、図5は、エッジシーム回り込み量がP(N-1) のみと強い相関があり、コイル内幅変動量はP(N-1) 、P(N) の両方と同程度の相関があることを物語っており、このことから、エッジシーム回り込み量を制御する観点からすれば、P(N-1) を一定値に制御することが有効であることがわかる。
【0023】
なぜなら、幅プレス後のスラブ幅には通常−10〜10mm程度のバラツキがあり、従来のようにスラブ単位でエッジャーの開度を一定にして幅圧延を行うと、必然的にスラブの長手方向で幅圧下率のバラツキが発生し、実際の板幅が予測値より大きい長手部分で幅圧下量(ひいては幅圧延荷重)が大きくなって図4の関係に従いその部分のエッジシーム回り込み量が大きくなる。これに対し、幅圧延荷重を一定に制御して幅圧延すれば、スラブ長手方向の幅圧下率ひいては幅圧下量が一定となるのでエッジシーム回り込みを小さくできる。
【0024】
一方、コイル内幅変動量に対しては図5よりP(N-1) とP(N) の寄与が同程度であるため、P(N-1) を一定にしてもP(N) を変更することによって、幅精度を従来並みのレベルでクリアすることができる。
例えば、図4は、P(N-1) ≦400kN 以下とすればエッジシーム回り込み量が10mm以下となり、また、図5は、P(N-1) ≧ 600kNとしP(N) を大きくするほどコイル内幅変動量が小さくなることを示しているので、この場合、E3ではP(N-1) の管理目標値を400kN と設定し、E4では竪ロール開度をP(N) が200kN 以上になるように設定することで、従来は30mmのレベルであったエッジシーム回り込み量を10mm以下の範囲、コイル内幅変動量を4〜6mmの範囲に収めることが可能である。
【0025】
ただし、このP(N-1) の管理目標値は、粗水平パススケジュールの違いや鋼種の違い等の圧延条件の変動によって変化し得るものであるから、この例での400kN という数値に限定されず、こうした圧延条件の変動に際しては別途実験により図4、図5と同様の特性曲線を得てそれに基づいて設定すべきものである。
なお、エッジャーで幅圧延荷重一定制御を行うためには、幅圧延開始位置での圧延荷重PLをロックオンし、幅圧延中の荷重Pとの差ΔP(=PL−P)を0にするように圧下位置制御を行えばよく、それには図6に示すように、圧下位置制御装置15でストロークを制御されながらエッジャーロール9のチョック10を駆動する油圧圧下装置13とハウジング16との間に設けたロードセル11で前記Pを検出し、該検出値を圧下位置演算装置14に入力して前記ΔPが0になる圧下位置を演算し、圧下位置制御装置15がこの演算値に従って油圧圧下装置13のストロークを制御する構成の制御系をエッジャーに装備すればよい。駆動系には電動モータも充当できるが、この例のように油圧圧下装置13を用いるほうが応答が速くて有利である。
(請求項3記載の発明の説明)
次に、スラブ幅端部を凹形状に加工するのに好適な幅プレス装置について説明する。
【0026】
図7は本発明での幅プレスに係る(a)凸金型の立体図、(b)凸金型プレス部の断面図、(c)作業時の平面図である。
図7(a),(b)に示すように、本発明で幅プレスに用いる金型は、プレス部(スラブ当接部)20Aに凸状に張り出した凸部20Bをもつ凸金型20であることが好ましい。これにより、スラブ幅端部に凸部20Bをめり込ませ、その転写空間としての凹部を形成することが容易となる。
【0027】
そして、この凸部20Bの断面形状は、図7(b)に示すように台形状であることが好ましく、その台形寸法に関しては、高さ24がスラブ厚の1/15〜1/4 、頂辺25の長さがスラブ厚の1/3 〜3/4 、底辺26の長さがスラブ厚+(10〜30)mmであることが好ましい。というのは、この形状の凸金型を用いて幅プレスすることにより、凸部の凹部への転写の正確度が増し、かつ以後の水平圧延で生じるスラブ幅端部のバルジングの程度が軽減されてより矩形に近い断面形状が得られるからである。
【0028】
本発明者らは、図1の設備列で請求項2記載の本発明を実施する際に、上記好適寸法範囲の台形状凸部をもつ凸金型で幅プレスすると、この好適寸法範囲を外れる凸金型で幅プレスしたときよりも、エッジシーム回り込み量がさらに20%程度低減することを実験で確認した。
なお、この凸金型20は、プレス部20Aのプレス加工面が、スラブを導入する入側傾斜面21、この入側傾斜面21につながりスラブ搬送ラインに平行な平行面22、この平行面22につながりスラブ後端部の成形に与かる出側傾斜面23から形成されている。
【0029】
また、幅プレス工程とは、図7(c)に示すように、凸金型20をスラブ12搬送ラインの両側に凸部20Bを対向させて配置し、スラブ12を間欠搬送しながら凸金型20を対向方向に所定ストロークで進退させて該スラブ12の幅端面を押圧することにより、該スラブ12を段階的に所定幅に調整する工程であり、装置自体は本発明の凸金型20の特徴を除けば周知技術であるから、凸金型20の駆動装置、ストローク制御装置等の付帯装置は図示を省略した。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
図1の熱間圧延設備列を用い、C:0.05wt%、Si: 0.3wt%、Mn: 0.1wt%、Cr:17wt%を含有する厚さ 200mm、長さ6m、幅1300mmのフェライト系ステンレス鋼スラブ(SUS430)を加熱炉1で1100℃に4時間加熱し、粗圧延機列3で粗圧延して板厚35mmのシートバーとし、次いでこのシートバーを仕上圧延機列5で仕上圧延して板厚4mmの熱延鋼板としコイラ6で巻き取る熱延プロセスにおいて、表1に示した全6パスの条件Bに沿い、R1での3パスのリバース圧延の全圧下率を50%とし、エッジャーロール開度をスラブ毎に設定して粗圧延する操業形態を従来例とし、かかる操業形態に本発明を適用して実施例とした。
【0031】
従来例の装置・操業諸元について、幅プレス装置2の金型は図7の凸金型20であり台形状の凸部20Bの断面寸法は、高さ=50mm、頂辺の長さ=40mm、底辺の長さ=150mm であり、粗水平ミルのワークロールは直径1300mm、バレル長2200mm、エッジャーの竪ロールは直径 600mm、仕上ミルのワークロールは直径 700mm、バレル長2000mmであり、仕上圧延機列5出側の速度は 1000m/minである。
【0032】
実施例は、従来例において粗圧延に係る前記条件Bに代えて、表1の全6パスの条件Aとした実施例1(請求項1記載の発明に対応)と、実施例1において前掲の図4、図5を参考に、E3でP(N-1) を400kN と一定値に制御し、E4でP(N) ≧200kN が維持できるように竪ロール開度を設定するようにした実施例2(請求項2記載の発明に対応)と、実施例1、2において凸金型の台形状凸部断面寸法を、前記寸法に代えて、高さ=20mm(スラブ厚の1/10)、頂辺の長さ=100mm (スラブ厚の1/2 )、底辺の長さ=120mm (スラブ厚+10mm)とした実施例3、4(請求項3記載の発明に対応)の四通り実施した。
【0033】
従来例、実施例による仕上圧延後のコイルについて調べたエッジシーム回り込み量とコイル内幅変動量(それぞれコイル 100本の平均値)を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
表2より、実施例1は、従来例よりもエッジシーム回り込み量が小さく、コイル内幅変動量はやや大きいがそれらの合計は小さい。実施例2は、エッジシーム回り込み量が実施例1より小さく、コイル内幅変動量は実施例1より若干大きい程度であり、それらの合計は実施例1より小さい。実施例3、4は、エッジシーム回り込み量が実施例2より小さく、コイル内幅変動量は実施例2と同じレベルであるので、それらの合計は実施例2よりもさらに小さい。
【0036】
このように、本発明によれば、製品幅精度を従来レベルに維持しながらエッジシーム疵を軽減できるので、ステンレス鋼の製品歩留りを向上させることができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、ステンレス鋼連鋳スラブを、加熱−幅プレス−粗圧延(幅圧延を含む)−仕上圧延−巻取りの熱延一貫工程により熱延ステンレス鋼板とするプロセスにおいて、幅プレスと粗圧延の組合せに新手法を導入したから、従来レベルの製品幅精度を維持しながらエッジシーム回り込み量を従来の30mm(片側)レベルから10mm(片側)レベルに軽減できるようになり、製品の耳切り代が低減して歩留りが向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される熱間圧延設備列の一例を示す模式図である。
【図2】エッジャーの概要を示す(a)平面図、(b)側面図である。
【図3】条件A、条件Bのエッジシーム回り込み量とコイル内幅変動量の範囲を示すグラフである。
【図4】エッジシーム回り込み量とP(N-1) 、P(N) との関係を示すグラフである。
【図5】コイル内幅変動量とP(N-1) 、P(N) との関係を示すグラフである。
【図6】本発明に適した幅圧延荷重一定制御系の模式図である。
【図7】本発明での幅プレスに係る(a)凸金型の立体図、(b)凸金型プレス部の断面図、(c)作業時の平面図である。
【図8】エッジシーム疵発生機構を示す圧延材幅断面図である。
【図9】エッジシーム回り込み量の説明図である。
【符号の説明】
1 加熱炉
2 幅プレス装置
3 粗圧延機列
4 エッジヒータ
5 仕上圧延機列
6 コイラ(巻取機)
8 幅計
9 竪ロール(エッジャーロール)
10 チョック
11 ロードセル
12 圧延材(スラブ)
13 油圧圧下装置
14 圧下位置演算装置
15 圧下位置制御装置
16 ハウジング
20 凸金型
20A プレス部(スラブ当接部)
20B 凸部
21 入側傾斜面
22 平行面
23 出側傾斜面
24 高さ
25 頂辺
26 底辺
51、55 コーナ部
53 バルジング部
54 皺
Claims (3)
- ステンレス鋼連鋳スラブを加熱し、該スラブの幅端部が凹状になるように幅プレスしたのち、幅圧延と水平圧延を組み合わせて粗圧延し、引き続き仕上圧延して巻き取るステンレス鋼板の製造方法において、粗全パス数が6〜8パスになる粗圧延の最終パスおよび最終前パスでのみ幅圧延することを特徴とするステンレス鋼板の製造方法。
- ステンレス鋼連鋳スラブを加熱し、該スラブの幅端部が凹状になるように幅プレスしたのち、幅圧延と水平圧延を組み合わせて粗圧延し、引き続き仕上圧延して巻き取るステンレス鋼板の製造方法において、粗圧延の最終パスおよび最終前パスでのみ幅圧延すること、および、前記最終前パスの幅圧延を幅圧延荷重一定として行うことを特徴とするステンレス鋼板の製造方法。
- 前記幅プレスは、プレス部(スラブ当接部)に凸状に張り出した凸部をもつ凸金型を用いて行い、該凸金型の凸部の断面形状は、高さ:スラブ厚の1/15〜1/4 、頂辺長さ:スラブ厚の1/3 〜3/4 、底辺長さ:スラブ厚+(10〜30mm)の台形状である請求項1または2記載の方法。
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