JP3221561B2 - ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼板の製造方法

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JP3221561B2 JP12360397A JP12360397A JP3221561B2 JP 3221561 B2 JP3221561 B2 JP 3221561B2 JP 12360397 A JP12360397 A JP 12360397A JP 12360397 A JP12360397 A JP 12360397A JP 3221561 B2 JP3221561 B2 JP 3221561B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス鋼板の
製造方法に関し、特に、スラブを熱間圧延する過程で、
被圧延材表裏面の幅方向エッジ部近くに発生する圧延
方向に長い欠陥(エッジシーム疵)起因の耳切り代を
低減できるステンレス鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間スラブの幅を広範囲にわたって減幅
調整する手段の一つとして、水平対抗プレスによる幅圧
下技術が開発されている。この方法は幅圧下時の接触長
さが大きいために圧下効率がよく、またスラブ先後端に
おける成形条件をクロップが最小になるように設定でき
るために国内外の熱延工場で広く採用されている。
【0003】この水平対抗プレスに用いられる金敷を利
用し、例えば板のエッジ部(幅端部)に発生する表面欠
陥のひとつであるエッジシーム疵の防止を目的として、
スラブ加熱温度を1000〜1300℃とし、凸部の幅が15〜40
mm、その高さが40〜50mm、その角度が 120〜 170°の金
型(金敷)で幅圧下し、該プレス後のスラブに第1スタ
ンドから中間スタンドまで幅圧下量を10mm以下にして粗
圧延を施す方法が特開平5−123713号公報に開示されて
おり、さらにはスラブの座屈防止およびエッジシーム疵
を軽減させる方法が特開平5−277510号公報に記載され
ている。
【0004】他方、幅プレスに限らない表面欠陥軽減技
術として、例えば特開平3−124304号公報には、スラブ
加熱温度とエッジシーム疵とを関係づける具体的な開示
はないものの、マルテンサイト系のステンレス鋼のスラ
ブ加熱温度を1200℃以上、加熱時間を4時間以下とする
ことが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱間仕上げ
圧延後の幅方向エッジ部に発生するエッジシーム疵の防
止を目的とする従来技術においては以下の問題点があっ
た。特開平5−123713号公報に開示されている技術で
は、幅圧下量が小さい場合にも、凸部の頂辺長さが短い
ために金敷に付与した凸形状がスラブ側面へ大きく転写
される。このため凹部の深さが深くなり、仕上げ圧延後
において被圧延材表裏面のエッジシーム疵は低減できて
も、凹部が被圧延材内部の欠陥として残ったり、幅縮小
量が大きい場合には、ますますスラブ側面の凹み量が大
きくなり、仕上げ圧延後の内部欠陥が大きくなる。
【0006】また、幅圧下量が大きい場合にはスラブ表
層においても幅方向の圧縮ひずみが大きくなるために、
この圧縮変形により表層の結晶粒が突起してスラブ表面
が凹凸状になり、その凸部が倒れ込んで、仕上げ圧延後
まで被圧延材表面に残留しエッジシーム疵になってい
た。なお、特開平5−123713号公報には加熱温度を1000
〜1300℃とすることが記載されているが、加熱時間に関
する記載はない。また、この温度範囲の加熱温度とエッ
ジシーム疵との関連性についての説明もない。
【0007】一方、特開平5−277510号公報では、W字
溝の中央に凸部を設けた金敷を用いた幅プレスにより大
きな減幅量を得ようとする。しかし、大きな減幅量は得
られても、W字溝によるスラブの幅方向圧縮変形により
表層の結晶粒が突起してスラブ表面が凹凸になり、この
凸部が倒れ込み、仕上げ圧延後まで被圧延材表面に残留
しエッジシーム疵となっていた。このようにエッジシー
ム疵が大きいと冷間圧延後まで被圧延材表裏面に残るこ
とから、耳切り代(トリム量)を低減することが困難に
なり、歩留りが低下していた。
【0008】本発明の目的は、これら従来技術の問題点
を一挙に解決し、幅プレスおよび竪ロールによる幅圧下
を含む一連の熱間圧延を経て製造されるステンレス鋼板
のエッジシーム疵をごく幅端に制限し、もってトリム量
を効果的に低減できるステンレス鋼板の製造方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は、連続鋳
造されたステンレス鋼のスラブを加熱炉で均一に加熱
し、水平対抗プレス金敷で幅プレスし、次いで竪ロール
での幅圧下と水平ロールでの厚み圧下とを施す粗圧延を
行い、次いで仕上げ圧延するステンレス鋼板の製造方法
において、水平対抗プレス金敷をスラブ厚方向中央部に
台形状の凸部を有する凸金敷とし、該凸金敷の断面に係
る凸部高さをスラブ厚の1/15〜1/4、凸部頂辺長さ
をスラブ厚の1/3〜3/4、凸部底辺長さをスラブ厚
+(10〜30)mmとし、幅プレスに次ぐ粗圧延の最初の3
パスで水平ロールのみにより50%以上減厚し、その後の
竪ロールによる幅圧下を1パス当たり30mm以下に制限す
ることを特徴とするステンレス鋼板の製造方法である。
【0010】第2の本発明は、第1の本発明において、
スラブの加熱温度を 900〜1100℃、加熱時間を6時間以
下とすることを要旨とする。第3の本発明は、第1また
は第2の本発明において、加熱炉挿入前のスラブの側面
に、その上端および下端からそれぞれスラブ厚の1/4 以
上の範囲で、酸化防止剤を塗布することを要旨とする。
【0011】第4の本発明は、第1〜第3の本発明のい
ずれかにおいて、竪ロールによる幅圧下を幅圧下荷重が
一定となるように行うことを要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】図2は、本発明が適用される熱間
圧延設備列の配置図であり、21は加熱炉、22は幅プレス
装置、23は粗圧延機列(粗ミル列)、24はエッジヒー
タ、25は仕上げ圧延機列(仕上ミル列)、26はコイラ、
27は幅圧延機(エッジャー)、28は幅計である。
【0013】図8、図9は、エッジャー27の模式平面
図、模式側面図であり、これら図8、図9に示されるよ
うに、エッジャー27は被圧延材12の両幅端にあって被圧
延材12を幅圧下する竪ロール9、竪ロール9を支持する
チョック10、チョック10に付設され幅圧下荷重を検出す
るロードセル11から構成されている。なお、後述の第
の本発明を効果的に実施するために、エッジャー27での
幅圧下制御機構は油圧圧下制御機構とするのが好まし
い。
【0014】本発明者らの検討結果によれば、エッジシ
ーム疵の発生原因は以下のとおりである。被圧延材の幅
制御を行うために、通常の圧延機列には水平圧延機の入
側のみ、あるいは入側、出側両方にエッジャー27が配置
され、粗ミル列23および仕上げミル列25の水平ロールと
エッジャー27の竪ロールとのロール軸心位置を圧延長手
方向に数mずらした構造になっている。
【0015】そのため、水平ロールで圧延されている
圧延材の幅端部には竪ロールによる拘束が働かないの
で、幅端部の自由表面がバルジ変形し、このバルジ変形
領域において皺が発生する。この皺は加熱炉内で粗大化
したスラブ表層の結晶粒が凸状になったものであって、
下流側の水平圧延とエッジャー27による複数回のパスに
よって次第に幅端部から被圧延材の表面に回り込んで
エッジシーム疵になる。
【0016】ここで「エッジシーム回り込み量
(dES)」なる量を定義しておこう。これは図10の定義
図に示すように、熱間圧延後、酸洗工程を経たコイルの
長手中央部におけるエッジシーム疵発生位置から近隣の
板幅端までの距離の最大値であり、板の両幅端、および
表裏面について夫々測定される。第1の本発明によれ
ば、このエッジシーム回り込み量を従来よりも格段に小
さく抑えることができる。
【0017】第1の本発明の要件限定理由を以下に述べ
る。 <幅プレス装置での凸金敷の使用>図1は、本発明に係
る凸金敷の形状および配置に関し、(a)は外観斜視
図、(b)は凸部の断面図、(c)は平面配置図を夫々
示しており、1は凸金敷、2は熱間スラブを導入する入
側傾斜面、3はこの入側傾斜面2につながり熱間スラブ
の搬送ラインと平行な中間平行面、4は中間平行面3に
つながりスラブの後端部成形に役立つ出側傾斜面であっ
て、これら入側傾斜面2、中間平行面3および出側傾斜
面4の組み合わせにてプレス加工面が形成される。5は
凸部の頂部、6は凸部の傾斜部、7は凸部の底部を示
し、KH,KA,KBは夫々凸金敷1の断面に係る凸部
高さ、凸部頂辺長さ、凸部底辺長さを表し、Mはスラブ
(熱間スラブ)である。
【0018】凸金敷1は図1(c)に示すように対をな
し、左矢印の向きに搬送される熱間スラブMを両側から
挟むように配置され、上下の矢印で示すように、その相
互の往復運動を繰り返す(駆動手段は図示省略)ことに
よって搬送移動中の該スラブMをその全長にわたって幅
圧下する。冒頭に述べたようにかかる形態の幅圧下を
「水平対抗プレス」と称する。
【0019】なお、スラブ側面に食い込みやすくするた
めに凸金敷1の凸部は「台形状」すなわち、略対称に向
かい合う傾斜部6の間隔が頂部5に向かうほど狭まる形
状としている。特定断面寸法の凸金敷を採用してスラブ
側面を適切な凹状に成形加工することにより、水平圧延
時のスラブ側面のバルジングを補償して、スラブ側面に
発生する皺の表裏面への回り込みを防止するとともに、
表層にかかる圧縮力を緩和して、表面に発生する結晶粒
の凹凸を小さくし、結晶粒の倒れ込みを防止して、エッ
ジシーム疵の発生を幅のごくエッジ部のみに限定するこ
とができる。 <凸金敷断面寸法> 〔凸部高さ(KH)〕 スラブ厚 200〜260mm のフェライト系ステンレス鋼スラ
ブを1000℃に加熱し、プレス加工面が平坦な平金敷を用
いて幅プレス量を種々変えて幅プレスを行い、続いて竪
ロールによる幅圧下なしの粗水平圧延を3パス行ってト
ータルの圧下率を50%とする幅プレス実験を行い、粗圧
延後のバルジング量を調べた。
【0020】ここに、本発明において「幅プレス量」と
は、幅プレス前後のスラブ幅の差を意味し、「バルジン
グ量」とは、幅プレス前のスラブ側端コーナ部が粗水平
圧延3パス後に被圧延材表裏面に移動した幅端の位置か
ら、粗水平圧延3パス後の被圧延材幅端部までの距離を
意味する。なお、バルジング量の説明図を図4に示す。
図4は被圧延材粗水平圧延3パス後の幅端部断面を示
しており、PSCは幅プレス前のスラブ側端コーナ部、V
はバルジング量である。
【0021】図5は、上記幅プレス−粗圧延実験結果を
整理して得たもので、平金敷による幅プレス量とバルジ
ング量の対スラブ厚比(V/H)との関係を示すグラフ
である。図5に示すように、V/Hは幅プレス量の50mm
程度から200 mm程度までの増加に伴い1/15から1/4
まで増加する。したがって予めスラブ側面にこれに見合
う深さの凹みを付与しておくことにより、粗水平圧延3
パス後のバルジング量が補償され被圧延材断面幅端部が
矩形に近くなる。よって、かかる凹みを付与するための
凸金敷の凸部高さKHはスラブ厚の1/15〜1/4とする
のが好ましい。 〔凸部頂辺長さ(KA)〕上記の幅プレス実験におい
て、平金敷に代えて凸部高さKHを上記好適範囲とし凸
部頂辺長さKA,凸部底辺長さKBを種々変えた凸金敷
とし、粗水平圧延(竪ロールによる幅圧下なし)3パス
後のバルジング量を調べた。
【0022】図6は、その結果得られた凸部頂辺長さの
対スラブ厚比(KA/H)と被圧延材断面形状およびバ
ルジング量(V)との関係を示すグラフである。図6に
示されるように、KA/Hが1/3未満では断面形状が
ダブルバルジングとなり、VはKA/Hの減少につれて
増加する。また、KA/Hが3/4超えでは断面形状が
シングルバルジングとなり、VはKA/Hの増加につれ
て増加する。KA/Hが1/3〜3/4の範囲は断面が
ダブルバルジングとシングルバルジングとの中間の矩形
に近い形状でありこの範囲でVが最低値となる。
【0023】なお、図6には、スラブ厚200 mm、凸金敷
の凸部高さKH18mm、凸部底辺長さKB220 mm、幅プレ
ス量100 mmの場合を例示したが、図6に示される傾向
は、第2の本発明に係るKH,KBの好適範囲ならびに
図5に示したスラブ厚および幅プレス量の範囲にわたり
同様に認められる。よって、凸部頂辺長さKAはスラブ
厚の1/3〜3/4とするのが好ましい。 〔凸部底辺長さ(KB)〕図7は、上記の幅プレス実験
において、幅プレス後粗圧延前のスラブについて調べた
転写率と凸部底辺長さのスラブ厚に対する超過分(KB
−H)との関係を示すグラフである。ここに、「転写
率」とは、凸部高さKHに対するスラブ側面の最大凹み
深さの百分率(%)であり、凸部高さKHが完全にスラ
ブ側面に転写された状態が100 %である。
【0024】図7に示されるように、KB−Hが10mm未
満で転写率が90%を超えるが、そこでは幅プレス時に
スラブ側端コーナ部が、金敷の凸部の傾斜部ではなく底
辺の平坦部によって押される状況になるため、幅方向の
圧縮変形が大きくなり、それによるスラブ表層の結晶粒
の凹凸も大きくなってエッジシーム疵として仕上げ圧延
後も残りやすくなる。また、KB−Hが30mmを超えると
転写率が80%を下回り、スラブ側面の凹み深さが不足し
て粗圧延3パス後の被圧延材断面を矩形に近づけること
ができなくなる。
【0025】なお、図7は、KHがH/10、幅プレス量
が 200〜220mm 、KA/Hが1/3および3/4の場合
についての例を示すが、図7に示される傾向は、本発明
に係るKHの好適範囲および図5に示したスラブ厚およ
び幅プレス量の範囲にわたり同様に認められた。よっ
て、凸部底辺長さKBをスラブ厚H+(10〜30)mmとす
るのが好ましい。 <粗圧延:初期3パスまで> 発明者らは図12に結果を示す別途の実験により、粗圧
延(粗水平圧延)の最初の3パスで50%未満しか減厚
ない場合、エッジシーム回り込み量が急増することを見
出した。よって、幅プレス後の粗圧延の最初の3パスで
水平ロールのみにより50%以上(すなわち、スラブ厚H
の1/2以上)減厚するよう規制した。前述の通り、本
発明者らは3パス目の粗圧延終了後の被圧延材の幅端部
断面形状が矩形に近いほど、下流の粗圧延、仕上げ圧延
における側面の回り込み量が小さくなる傾向があること
を見出し、かかる知見に基づいて、スラブ側面に凸金敷
による幅プレスで刻んだ凹部が初期3パスの粗水平圧延
によるバルジングで補償されて矩形に近い幅端部断面が
得られるように、凸金敷の断面寸法の好適範囲を定めた
のであった。
【0026】そのため、粗圧延の1〜3パスの途上に竪
ロールによる幅圧下(エッジングという)が介入する
と、4パス目の入側の被圧延材幅端部が矩形状になら
ず、下流の粗圧延、仕上げ圧延でのエッジシーム回り込
み量が大きくなってしまう。図14は、エッジングに続い
て水平圧延される被圧延材12の断面形状の変化を示し、
(a)はエッジング前、(b)はエッジング後水平圧延
前、(c)は水平圧延後の断面図である。図14に示すよ
うに、エッジング後は竪ロールにより新たなコーナ部P
PCが形成されるとともに幅端部が増厚し、続く水平圧延
で、この増厚分だけ幅端部での圧下量が大きくなるため
幅戻りが生じ、該コーナ部PPC被圧延材表裏面に回り
込んでエッジシーム疵になる。
【0027】このため、凸金敷により粗圧延初期のバル
ジングを防止できても、エッジャーで大きな幅圧下を行
うとエッジシーム疵発生することになる。したがって
エッジシーム疵を有効に防止するためには、凸金敷で幅
プレスを行った後は、エッジングしないほうがよい。
【0028】しかし、幅プレス後の被圧延材12の幅は不
可避的にバラツキをもつものであり、全てのエッジャー
をフリーにする圧延では幅精度が不良となり、エッジシ
ーム疵は十分抑制できても、目標幅よりも広い幅とな
り、結果的にトリム量を削減できない。 <粗圧延:4パス目以降> 上述のように、全てのエッジャーをフリーとした粗圧延
では本発明の目的が果たせない。しかし、本発明ではさ
らに、粗圧延4パス目以降のエッジャー使用条件を規制
することで以下に述べるように目的を達成できる。
【0029】熱間圧延においては仕上げ圧延機列出側に
おいて目標幅になるように、粗ミルおよび仕上げミルに
おいて板幅制御が行われる。図11は、図2に示した熱間
圧延設備列における粗ミル列23の再掲図である。上述の
ように、幅プレス後のスラブはまず第1スタンドの粗水
平ミル(R1)31で3パスだけリバース圧延される。こ
のとき、R131入側のエッジャー(E1)71はフリ
ーにされ、幅圧下は行わない。
【0030】この圧延材は、続いて、第2〜第4スタ
ンドの粗水平ミル(R2〜R4)32、33、34で各1パス
平圧延されてシートバーとなる。前記圧延材は、厚
み圧下率にもよるが、被圧延材厚がH/2よりも薄くな
った場合には、R2〜R4(32、33、34)夫々の入側に
設置されたエッジャー(E2〜E4)72、73、74により
幅圧下エッジング)される。
【0031】図12は、エッジング開始厚および幅圧下量
/パスとエッジシーム回り込み量(dES)との関係を示
すグラフである。なお、図12のエッジング開始厚とは、
R2〜R4(32、33、34)による厚み圧下率を調整しな
がらの水平圧延の途、初めてエッジングを行うときの
被圧延材厚のことであり、そのときのエッジャーはE2
(72)とは限らない。
【0032】図12から、幅圧下量/パスが20mm、30mmの
場合、エッジング開始厚がスラブ厚の1/2以下でエッ
ジシーム回り込み量が高々10mm以下になり、その改善効
果が認められることがわかる。これは、凸金敷による幅
プレスで形成されたスラブ側面の凹形状が、スラブ厚の
1/2以下をエッジング開始厚とするエッジングを伴う
粗水平圧延によりバルジングしてほぼ矩形になるためで
あり、このことは、本発明に係る凸金敷を用いた幅プレ
ス後の粗水平圧延の初期3パスまでをエッジャーフリー
とし、水平ロールのみでスラブ厚の1/2以上(すなわ
ち厚み圧下率50%以上)減厚し、以後E2〜E4を駆使
した幅圧下を伴ってR2〜R4で粗水平圧延するとき、
そのときの幅圧下量/パスを30mm以下とするのが好まし
いことを示している。
【0033】よって、粗4パス目以降の竪ロールによる
幅圧下を1パス当たり30mm以下に制限した。これの具体
的実施要領を以下に示す。図11に示したように、R2〜
R4(32〜34)およびE2〜E4(72〜74)入出側には
幅計81〜84が設置されているので、粗圧延途で板幅が
検出可能であり、幅圧下水平圧延後の板幅変化も検出
可能である。R2〜R4(32〜34)での水平圧延におけ
る幅広がり量ΔEWは、計算式または種々圧下率を変え
た予備水平圧延により予測可能であり、被圧延材厚h,
入側幅W,幅圧下率rの関数fとして次式のように表す
ことができる。
【0034】 ΔEW=f(h,W,r) …………(1) そして粗水平ミル出側幅(目標幅)をwとすれば、エッ
ジャーによる幅圧下量ΔWは、 ΔW=W−w+ΔEW …………(2) として容易に求めることができる。
【0035】なお、H/2以下の被圧延材厚での最初の
エッジングで、粗水平ミル出側の目標幅wを達成するに
は、エッジングを行わないH/2超の被圧延材厚での粗
水平ミル圧延すなわちR1でのリバース圧延によるΔE
累積の分を見越し、予め入側幅Wを小さくしておく
ことが肝要であり、ここでΔWが30mmを超える場合に
は、予め前段の幅プレス量をその分を見越して大きく
ておくことによってそれを達成可能である。一方、これ
より下流側のエッジングでは、粗水平ミル入出側の目標
を適切に決めることによってΔWを30mm以下に制限でき
る。
【0036】次に、第2の本発明の要件(スラブ加熱条
件)限定理由を述べる。第1の本発明が、加熱後のスラ
ブを熱間圧延していく過程でのエッジシーム回り込み量
を小さく制限するものであるのに対し、第2の本発明
は、加熱時のスラブ表層からエッジシーム疵に発展する
要因を除こうとするものであり、第1の本発明と併用
ることで、トリム量をさらに軽減できる。
【0037】スラブ加熱時の結晶粒の粗大化は脱炭によ
って助長される。特に結晶構造がフェライトであるフェ
ライト系ステンレス鋼では、他のステンレス鋼よりも脱
炭量が大きく、その脱炭層は厚さ1mmから数ミリ程度に
及び、したがって、幅プレスで凹凸化する範囲も広い。
そこで、スラブの加熱温度を下げかつ加熱時間を規制す
ることが好ましい。
【0038】加熱温度を下げることにより、脱炭層の厚
さが薄くなり、幅圧下時の幅方向圧縮変形における結晶
粒の凹凸が小さくなり、そのさが倒れ込みを生じない
程度にくなって冷間圧延後にエッジシーム疵が消滅す
る。この理由は、加熱温度をあるレベルまで下げると、
スラブ表層に、後エッジシーム疵に発展しがちな1mm
以上の粗大な結晶粒が生成しなくなるためである。
【0039】スラブ表面には結晶粒が一層に並んでお
り、加熱時にこの結晶粒が最も強く脱炭される。この脱
炭層の厚さを1mm以下に薄くするための有効な手段を見
出すために、 200mm厚のスラブを加熱し、加熱温度、加
熱時間、酸素分圧を種々変化させ、加熱炉10出側でスラ
ブ表層の脱炭層の厚さを調査した。図3は、その結果得
られたスラブ表層の脱炭層厚さと加熱温度、加熱時間、
酸素分圧との関係を例示するグラフである。
【0040】図3(a)に例示するように脱炭層厚さ
は、加熱温度と大きな相関があり、加熱温度の上昇とと
もに厚くなり、1100℃までは 0.3mm程度と薄いが1200℃
超では急激に厚さを増し、1300℃で4mm超に達する。脱
炭層厚さは図3(b)に例示するように酸素分圧によっ
ても厚くなるがその増加率は小さい。圧延しやすさから
いえば加熱温度は高くしたいところだが、脱炭層厚さを
薄くするには、圧延に支障をきたさない程度に加熱温度
を低くすることが工業的に有効な手段である。
【0041】かかる調査結果を基礎に実操業におけるバ
ラツキを考慮して、安定的にスラブ脱炭層厚さ1mm以下
とするには、加熱温度を1100℃以下とするのが好ましい
ことを知見した。しかし、900 ℃を下回る加熱では圧延
負荷上がり困難になるので加熱温度は900 ℃以上とす
る必要がある。加熱時間については例えば図3(c)に
示すように、加熱時間が長いほど脱炭層厚さは厚くなる
傾向がある。図示しない加熱温度が前記好適範囲の上限
(1100℃)のとき、加熱時間が6時間を超えると脱炭層
厚さが1mm以上になってしまうので、加熱時間は6時間
以下とするのが望ましい。
【0042】これらのことから第2の本発明では、第1
の本発明において、スラブの加熱温度を900 〜1100℃、
加熱時間を6時間以下とするよう規制した。なお、スラ
ブの中心までの均一加熱を考慮すれば、例えば加熱温度
の好適範囲下限の 900℃の場合、3時間以上保持するこ
とが好ましい。また、この第2の本発明は、脱炭量が比
較的大きく表層の結晶粒が粗大化しやすいフェライト系
ステンレス鋼板に適用した場合に、特にその効果が顕著
に発揮されるが、オーステナイト系ステンレス鋼板に適
用しても有効である。
【0043】次に、第3の本発明の要件(スラブ側面酸
化防止剤塗布)限定理由を述べる。前記のように、第2
の本発明では、ステンレス鋼スラブ(特にフェライト系
ステンレス鋼スラブ)の加熱温度を 900〜1100℃、加熱
時間を6時間以下に規制して結晶粒の粗大化を阻止し、
スラブ側面の粒間凹凸(しわ)の発生をなくすことで、
このしわが表面に回り込んでできるエッジシーム疵の低
減を図ったのであるが、例えば材質特性確保のために合
金元素を十分固溶させる必要があって、スラブ加熱温度
を1100℃以下に下げるのが困難なケースもある。
【0044】本発明者らは、かかるケースにおいてもエ
ッジシーム疵を有効に低減できる方法を鋭意検討して、
加熱前のスラブ側面に酸化防止剤を塗布すれば、加熱時
の酸化に伴う脱炭を防止できて結晶粒粗大化が抑制で
き、ひいてはエッジシーム疵の低減につながる可能性が
あると着し、以下の実験を行った。図16に示すよう
に、加熱炉装入前のスラブ91(C:0.05wt%、Si:0.3
wt%、Mn:0.1 wt%、Cr:17wt%を含有する厚さ200mm
×幅1300mmの連鋳製フェライトステンレス鋼)の側面
に、その上下端からスラブ厚み方向にとった塗布領域92
(上下対称)の幅を種々変えて、Cr酸化物を主体とする
酸化防止剤を塗布し、約2時間乾燥させた。その後、図
2および図11に示した熱間圧延設備列を用いて、該スラ
ブ91を加熱炉にて1200℃×4時間加熱し、KH=H/10
(=20mm)、KA=H/2(=100mm)、KB=H+10mm(=210mm)
の凸金型をセットした幅プレス装置により幅圧下量200
mm の幅プレスを施し、次いで、R1リバース圧延によ
る初期3パスで、E1をフリーとしてエッジングは行わ
ず、板厚100mm まで減厚(厚み圧下率50%)し、4パス
目以降のR2〜R4では、E2〜E4の一部または全部
を使用してエッジングを行いながら、計6パスの粗水平
圧延を行い、粗ミル列出側で板厚35mm、幅1100mmのシー
トバーとし、次いで7スタンドの仕上げミル列により板
厚4mmに仕上げ圧延し、コイラで巻き取って熱延コイル
を得た。かくして得られた熱延コイルについてエッジシ
ーム回り込み量(コイルの長手方向中央部;両幅端表裏
の平均値)を調査した。
【0045】その結果、図17に示すように、エッジシー
ム回り込み量は、スラブ側面への酸化防止剤塗布面積率
(=塗布領域92の面積/スラブ側面の面積×100
(%))の増大につれて減少し、該面積率が50%以上の
領域でエッジシーム回り込み量が10mm未満に低減すると
いう重要な知見を得た。この知見に基づき、スラブ側面
に上下端からそれぞれスラブ厚の1/4 以上の範囲(スラ
ブ側面塗布面積率≧50%に相当)で酸化防止剤を塗布す
ることとした。なお、酸化防止剤がスラブ側面から
面、面に多少はみ出して塗布されても問題はない。
【0046】酸化防止剤としては、この例で用いたCr酸
化物を主体とするもの以外にも、酸化鉄を主体とするも
の等、市販のものが使用できる。この第3の本発明は、
第1の本発明と併用してエッジシーム疵を有効に低減で
きるが、第2の本発明と併用すればその低減効果はさ
らに大きくなることが期待される。
【0047】次に、第4の本発明の要件(幅圧下荷重一
定制御)限定理由を述べる。この第4の本発明は、第1
〜第3の本発明のいずれかと併用され、コイル長手方向
のエッジーシーム回り込み量のバラツキを低減する効果
がある。幅プレス後のスラブおよび粗圧延中被圧延材
(被圧延材と総称)の幅には通常長手方向に−10mm〜+
10mm程度の不可避的バラツキがある。このようなバラツ
キがあるゆえ、竪ロール開度を一定にしてエッジングを
行うと、被圧延材の長手方向で幅圧下率/パスにバラツ
キが発生する。幅が予測値よりも広い箇所では幅圧下量
/パスが大きくなり、図12に示したようにエッジシーム
回り込み量は大きくなる。
【0048】これに対し、第4の本発明の規定に従って
幅圧下荷重を一定にするようにエッジングを行うと、被
圧延材長手方向の幅圧下率/パスは、入側幅のバラツキ
の影響を受けず一定になり、したがって幅圧下量/パス
も一定になることから、長手方向のエッジシーム回り込
み量のバラツキが小さくなり、耳切り後にエッジシーム
疵が残留する不具合が低減する。
【0049】なお、幅圧下荷重を一定に制御しながらエ
ッジングを行うには、エッジング開始位置での幅圧下荷
重をロックオンしてロックオン荷重PLを設定し、時々
刻々の幅圧下荷重をPとすればその差ΔPは、 ΔP=PL−P …………(3) で表されるから、荷重差ΔPを0にするように圧下位置
制御を行えばよい。
【0050】図13は、かかる圧下位置制御に好適なエッ
ジャーの幅圧下制御機構の例を示す概念的断面図であ
り、13はチョック10を介して竪ロール9を変位させる油
圧圧下装置、14はロードセル11から荷重情報を取り込み
式(3)のΔPを0にする圧下位置を演算する圧下位置
演算装置、15は圧下位置演算装置13の指令に基づき油圧
圧下装置13の圧下位置を制御する圧下位置制御装置、16
は油圧圧下装置13の反力壁となるハウジングである。な
お、図8、図9と同一部材には同一符号を付し説明を省
略する。
【0051】図13に示すように、エッジャーに油圧圧下
装置13および制御系(圧下位置演算装置14、圧下位置制
御装置15)を装備することで、高速かつ高精度の圧下位
置制御が可能である。
【0052】
【実施例】<実施例1> C:0.05wt%、Si: 0.3wt%、Mn: 0.1wt%、Cr:17wt
%を含有する連鋳製の厚さ 200mm、幅1300mm、長さ6m
の複数本のフェライト系ステンレス鋼スラブを、図2お
よび図11に示した熱間圧延設備列を用い、加熱炉で加熱
後、幅プレス装置で幅プレスし、次いでR1リバース圧
延による初期3パスでE1をフリーとしてエッジングは
行わず板厚100 mmまで減厚(厚み圧下率50%)し、4パ
ス目以降のR2〜R4では、E2〜E4の一部または全
部を使用してエッジングを行いながら、計6パスの粗水
平圧延を行い、粗ミル列出側で板厚25mmのシートバーと
し、次いで7スタンドの仕上げミル列により板厚4mmに
仕上げ圧延し、コイラで巻き取って熱延コイルを得た。
【0053】スラブ加熱の温度および時間、幅プレス装
置の凸金敷諸元(KH,KA,KB)、幅プレス量なら
びにE2〜E4による幅圧下量/パスの最大値を表1に
示す。表1において*、**を付した要因は夫々第1、
第2の本発明要件を外れるものであり、要因に*を含む
コイルを比較例、**のみを含むコイルを乙実施例、そ
れ以外のコイルを甲実施例とした。
【0054】なお、図2の熱間圧延設備列において、粗
ミルのワークロール径は1300mm、バレル長は2200mm、仕
上げミルのワークロール径は 700mm、バレル長は2000m
m、エッジャーの竪ロール径は600mm 、仕上げ圧延機列
の出側速度は 1000m/minである(以下同じ)。かくして
得られた熱延コイルについてエッジシーム回り込み量を
調査した結果を表1に併記する。なお、エッジシーム回
り込み量は幅方向各端を示すOP(オペレータ)側、D
R(ドライブ)側および表裏面(表1では「OP」,
「DR」等と表示)について調査した。
【0055】
【表1】
【0056】表1より、甲、乙実施例のエッジシーム回
り込み量は、比較例に比べて格段に小さくなっており、
第1の本発明の効果が明らかである。また、実施例の甲
乙を比較すると、甲のほうがエッジシーム回り込み量が
小さい値であり、第2の本発明が有効であることが示さ
れている。なお、比較例A10,A11では、図1(b)に
示したKAの長さが短いために、板の内部まで欠陥が存
在し、トリム量を大きくとる必要があった。 <実施例2>実施例1と同じ熱間圧延設備列を使用し
て、実施例1と同組成同寸法の複数本のスラブを1100℃
に4時間加熱し、KH=H/10(=20mm)、KA=H/
2(=100 mm)、KB=H+10mm(=210 mm)の凸金敷
をセットした幅プレス装置により幅プレスを施した後、
R1〜R4にて板厚35mmのシートバーに仕上げ、さらに
これらのシートバーを7スタンドの仕上げミル列により
板厚4mmに仕上げ圧延し、巻き取って熱延コイルを得
た。
【0057】なおここでは、仕上げミル列出側板幅
(「仕上げ幅」という)を1250mmおよび1200mmの二水準
に揃える熱間圧延を行っている。この実施例2において
は、粗圧延において、まずR1で3パスのリバース圧延
を行ってH/2(=100 mm)に減厚する点では同じと
し、幅圧下条件を以下の〜のように変えて実施例
A、実施例B、および従来例とした。 実施例A:R1で水平圧延中はE1をフリーとしR2
〜R4入側のE2〜E4で竪ロール開度一定で幅圧下量
/パスを30mm以下に制限して幅圧下を行った。実施例
B:実施例Aにおいて竪ロール開度一定に代えて幅圧下
荷重一定とし第4の本発明を実施した。 従来例:R1で水平圧延中にE1を使って10%以下の
幅圧下を行いR2〜R4入側のE2〜E4では幅圧下量
/パスに特に制限を設けず結果的に35〜45mmの幅圧下量
/パスで幅圧下された。
【0058】これらの熱延コイルのエッジシーム回り込
み量を測定するとともに、各コイルの長手方向に関し、
先端、先端から1/4、3/4、および尾端の4部位に
ついても長手中央部(1/2)に準じて同様の測定を行
った。以下、これらコイル長手中央部以外の部位の値も
「エッジシーム回り込み量」と呼び、コイル長手中央部
のエッジシーム回り込み量をとくに「代表エッジシーム
回り込み量」と呼んで区別する。
【0059】実施例A、B、および従来例の、仕上げ幅
(コイル長手方向の平均値)、幅プレス量、エッジング
による幅圧下量/パス、ならびに代表エッジシーム回り
込み量を表2に示す。なお、エッジシーム回り込み量の
測定はOP側の表裏のみとし、DR側については割愛し
た。なお、実施例A、Bでは、エッジング幅圧下量/パ
スを30mm以内に制限して従来例と同じ仕上げ幅を得よう
としているので、幅プレス量を従来例より大きくとって
ある。
【0060】
【表2】
【0061】表2に示されるように、実施例A、Bで
は、加熱したスラブ(厚みH)を本発明の凸金敷で幅プ
レス後、R1リバース粗圧延初期3パスでE1フリーと
してH/2に減厚し、以後の粗圧延に伴うエッジングの
幅圧下量/パスを30mm以内に制限したので、代表エッジ
シーム回り込み量が、本発明の規定外のエッジングスケ
ジュールによる従来例に比べ格段に低減した。
【0062】図15は、エッジシーム回り込み量のコイル
長手方向分布図であり、(a)は従来例、(b)は実施
例A、(c)は実施例Bについて夫々示す。なお、図15
にプロットしたエッジシーム回り込み量は上下の平均値
である。図15より、エッジシーム回り込み量のコイル長
手方向バラツキは、実施例Aと従来例とでともに±3〜
5mmと顕著な差はないが、第4の本発明要件(幅圧下荷
重一定制御実施)を満たす実施例Bでは、±2mm以下に
まで軽減し、第4の本発明の効果が顕現した。 <実施例3>実施例1と同じ熱間圧延設備列を使用し
て、実施例1と同組成同寸法の複数本のスラブの側面
に、第3の本発明に従い表3に示す種々の範囲(上下対
称)でCr酸化物を主体とする酸化防止剤(商品名:ハイ
レクト A−4090)を塗布し、約2時間乾燥させた後、
該スラブを加熱炉にて1200℃×4時間加熱し、以後実施
例2と同一工程で熱延コイルを得て、実施例2と同じ要
領でエッジシーム回り込み量を調査した結果を表3およ
び図18に示す。この実施例3では、実施例2の実施例
A、実施例B、従来例と同じ幅圧下条件のものを夫々実
施例AT、実施例BT、従来例Tと呼ぶ。なお、従来例
Tではスラブ側面に酸化防止剤を塗布していない。
【0063】
【表3】
【0064】表3より、実施例AT、BTは、従来例T
に比べて、代表エッジシーム回り込み量が大幅に低減
し、スラブ側面への酸化防止剤塗布の効果が明らかであ
る。なお、表2と表3を見比べると、側面に酸化防止剤
を塗布しないスラブを1100℃に加熱した場合よりも、側
面に酸化防止剤を塗布したスラブを1200℃に加熱した場
合のほうが代表エッジシーム回り込み量が小さく、第3
の本発明のほうが第2の本発明よりもエッジシーム疵低
減効果が大きい。
【0065】図18より、実施例AT、BTは、従来例T
に比べて、コイル長手方向のエッジシーム回り込み量の
ばらつきが大幅に軽減した。図15と図18を見比べると、
このばらつきの程度は実施例2、実施例3で大差がな
く、エッジシーム疵のコイル長手方向ばらつきに関して
も、第3の本発明は第4の本発明と同程度に高い低減効
果を奏する。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、幅プレスおよび竪ロー
ルによる幅圧下を含む一連の熱間圧延で製造されるステ
ンレス鋼板のエッジシーム疵を従来よりも一段と低減で
き、従来30mm/片側であったステンレス鋼板のトリム量
を10mm/片側以下に低減できて歩留りが向上し、さらに
エッジングでの幅圧下荷重一定制御を行うことによりコ
イル長手方向のエッジシーム回り込み量のバラツキを一
層軽減でき、耳切り後のエッジシーム疵残りも減少して
品質が向上するという格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る凸金敷の形状および配置に関し、
(a)は外観斜視図、(b)は凸部の断面図、(c)は
平面配置図を夫々示す。
【図2】本発明が適用される熱間圧延設備列の配置図で
ある。
【図3】スラブ表層の脱炭層厚さと加熱温度、加熱時
間、酸素分圧との関係を例示するグラフである。
【図4】バルジング量の説明図である。
【図5】平金敷による幅プレス量とバルジング量の対ス
ラブ厚比(V/H)との関係を示すグラフである。
【図6】凸部頂辺長さの対スラブ厚比(KA/H)と被
圧延材断面形状およびバルジング量(V)との関係を示
すグラフである。
【図7】転写率と凸部底辺長さのスラブ厚に対する超過
分(KB−H)との関係を示すグラフである。
【図8】エッジャーの模式平面図である。
【図9】エッジャーの模式側面図である。
【図10】エッジシーム回り込み量の定義図である。
【図11】図2に示した熱間圧延設備列における粗ミル列
の再掲図である。
【図12】エッジング開始厚および幅圧下量/パスとエッ
ジシーム回り込み量(dES)との関係を示すグラフであ
る。
【図13】エッジャーの幅圧下制御機構の例を示す概念的
断面図である。
【図14】エッジングに続いて水平圧延される被圧延材の
断面形状の変化を示し、(a)はエッジング前、(b)
はエッジング後水平圧延前、(c)は水平圧延後の断面
図である。
【図15】エッジシーム回り込み量のコイル長手方向分布
図であり、(a)は従来例、(b)は実施例A、(c)
は実施例Bについて夫々示す。
【図16】スラブ側面への酸化防止剤塗布の説明図であ
る。
【図17】エッジシーム回り込み量に及ぼすスラブ側面へ
の酸化防止剤塗布面積率の影響を示すグラフである。
【図18】実施例AT、BT、従来例Tについてのエッジ
シーム回り込み量のコイル長手方向分布図である。
【符号の説明】
1 凸金敷 2 入側傾斜面 3 中間平行面 4 出側傾斜面 5 凸部の頂部 6 凸部の傾斜部 7 凸部の底部 9 竪ロール 10 チョック 11 ロードセル 12 被圧延材 13 油圧圧下装置 14 圧下位置演算装置 15 圧下位置制御装置 16 ハウジング 21 加熱炉 22 幅プレス装置 23 粗圧延機列(粗ミル列) 24 エッジヒータ 25 仕上げ圧延機列(仕上げミル列) 26 コイラ 27 幅圧延機(エッジャー) 28 幅計 31 第1スタンドの粗水平ミル(R1) 32 第2スタンドの粗水平ミル(R2) 33 第3スタンドの粗水平ミル(R3) 34 第4スタンドの粗水平ミル(R4) 71 R1入側のエッジャー(E1) 72 R2入側のエッジャー(E2) 73 R3入側のエッジャー(E3) 74 R4入側のエッジャー(E4) 81 E2およびR2入側の幅計 82 E3およびR3入側の幅計 83 E4およびR4入側の幅計 84 R4出側の幅計 91 スラブ(加熱炉挿入前) 92 塗布領域 H スラブ厚 KH 凸部高さ KA 凸部頂辺長さ KB 凸部底辺長さ M スラブ(熱間スラブ) PSC 幅プレス前のスラブ側端コーナ部 PPC エッジングでできたコーナ部 V バルジング量 dES エッジシーム回り込み量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多田 昌哉 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 1/02 B21B 3/02 B21B 15/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造されたステンレス鋼のスラブを
    加熱炉で均一に加熱し、水平対抗プレス金敷で幅プレス
    し、次いで竪ロールでの幅圧下と水平ロールでの厚み圧
    下とを施す粗圧延を行い、次いで仕上げ圧延するステン
    レス鋼板の製造方法において、水平対抗プレス金敷を
    ラブ厚方向中央部に台形状の凸部を有する凸金敷とし、
    該凸金敷の断面に係る凸部高さをスラブ厚の1/15〜1
    /4、凸部頂辺長さをスラブ厚の1/3〜3/4、凸部
    底辺長さをスラブ厚+(10〜30)mmとし、幅プレスに次
    ぐ粗圧延の最初の3パスで水平ロールのみにより50%以
    上減厚し、その後の竪ロールによる幅圧下を1パス当た
    り30mm以下に制限することを特徴とするステンレス鋼板
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 スラブの加熱温度を 900〜1100℃、加熱
    時間を6時間以下とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 加熱炉挿入前のスラブの側面に、その上
    端および下端からそれぞれスラブ厚の1/4 以上の範囲
    で、酸化防止剤を塗布する請求項1または2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 竪ロールによる幅圧下を幅圧下荷重が一
    定となるように行う請求項1〜3のいずれかに記載の方
    法。
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