JP3056466B2 - ステンレス鋼スラブの幅プレス用金敷 - Google Patents

ステンレス鋼スラブの幅プレス用金敷

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JP3056466B2
JP3056466B2 JP10233767A JP23376798A JP3056466B2 JP 3056466 B2 JP3056466 B2 JP 3056466B2 JP 10233767 A JP10233767 A JP 10233767A JP 23376798 A JP23376798 A JP 23376798A JP 3056466 B2 JP3056466 B2 JP 3056466B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スラブを熱間圧
延する過程で、被圧延材の幅方向エッジ部近くに発生す
る圧延方向に長い欠陥(エッジシーム疵と呼ぶ)を低減
できるステンレス鋼スラブの幅プレス用金敷に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間スラブの幅を広範囲にわたって減幅
調整する手段の一つとして、水平対抗プレスによる幅圧
下技術が開発されている。この方法は幅圧下時の接触長
さが大きいために圧下効率がよく、またスラブ先後端に
おける成形条件をクロップが最小になるように設定でき
るために国内外の熱延工場で広く採用されている。
【0003】この水平対抗プレスに用いられる金敷を利
用し、例えば板のエッジ部(幅端部)に発生する表面欠
陥のひとつであるエッジシーム疵の防止を目的として、
スラブ加熱温度を1000〜1300℃とし、中央部(金敷にお
けるプレス加工面上の厚み方向中央部を意味する。以下
同じ)に凸部を形成した金敷(凸金敷)で幅圧下する技
術が特開平5−123713号公報に開示されており、さらに
はスラブの座屈防止およびエッジシーム疵を軽減させる
方法が特開平5−277510号公報に記載されている。
【0004】これらの技術は、凸金敷を用いた幅プレス
によってスラブ側面を凹状として、幅プレス後の水平粗
圧延段階でスラブ幅端部に発生するバルジングを補償す
ることによりエッジシーム疵の回り込みを低減するもの
である。他方、幅プレスに限らない表面欠陥軽減技術と
して、例えば特開平3−124304号公報には、スラブ加熱
温度とエッジシーム疵とを関係づける具体的な開示はな
いものの、マルテンサイト系のステンレス鋼のスラブ加
熱温度を1200℃以上、加熱時間を4時間以下とすること
が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱間仕上げ
圧延後の幅方向エッジ部に発生するエッジシーム疵の防
止を目的とする従来技術においては以下の問題点があっ
た。特開平5−123713号公報に開示されている技術で
は、幅圧下量が小さい場合にも、凸部の頂辺長さが短い
ために金敷に付与した凸形状がスラブ側面へ大きく転写
される。このため凹部の深さが深くなり、仕上げ圧延後
において板表面のエッジシーム疵は低減できても、凹部
が板内部の欠陥として残ることがあった。さらに幅縮小
量が大きい場合には、ますますスラブ側面の凹み量が大
きくなり、仕上げ圧延後の内部欠陥が大きくなる。
【0006】また、幅圧下量が大きい場合にはスラブ表
層においても幅方向の圧縮ひずみが大きくなるために、
この圧縮変形によりスラブ表面の結晶粒が凹凸状にな
り、凸部の結晶粒が倒れ込んでエッジシーム疵になって
いた。なお、特開平5−123713号公報には加熱温度を10
00〜1300℃とすることが記載されているが、加熱時間に
関する記載はない。また、この温度範囲の加熱温度とエ
ッジシーム疵との関連性についての説明もない。
【0007】一方、特開平5−277510号公報では、W字
溝の中央に凸部を設けた金敷を用いた幅プレスにより大
きな減幅量を得ようとするものである。しかし、大きな
減幅量は得られても、W字溝によるスラブの幅方向圧縮
変形により表層の結晶粒が凹凸になり、この結晶粒の凹
凸が倒れ込み、仕上げ圧延後まで板表面に残留しエッジ
シーム疵となっていた。このようにエッジシーム疵が大
きいと冷間圧延後まで板上下面に残ることから、耳切り
代(トリム量)を低減することが困難になり、歩留りが
低下していた。
【0008】また、特開平3−124304号公報に提案され
ているように加熱温度を1200℃以上として、4時間以内
の加熱にすれば、肌荒れ防止はできても、スラブ表層の
脱炭層の結晶粒の凹凸に起因するエッジシーム疵の発生
により冷間圧延後でもエッジシーム疵の回り込み量が大
きく、耳切り代の低下を余儀なくされていた。本発明の
目的は、これら従来技術の問題点を一挙に解決し、幅プ
レスおよび竪ロールによる幅圧下を含む一連の熱間圧延
を経て製造されるステンレス鋼板のエッジシーム疵およ
び肌荒れの発生を効果的に低減できるステンレス鋼スラ
ブの幅プレス用金敷を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、中央部に台形
状の凸部を有する凸金敷であって、該凸金敷の断面に係
る凸部高さをスラブ厚の1/15〜1/4、凸部頂辺長さ
をスラブ厚の1/3〜3/4、凸部底辺長さをスラブ厚
+(10〜30)mmとすることを特徴とするステンレス鋼ス
ラブの幅プレス用金敷である。
【0010】
【発明の実施の形態】図2は本発明の実施に適した熱間
圧延設備列の配置図であり、10は加熱炉、11は幅プレス
装置、12は粗圧延機列、13はエッジヒータ、14は仕上げ
圧延機列、15は仕上げ圧延機列14で圧延された鋼板を巻
き取るコイラであり、16は各粗圧延機入側および仕上げ
圧延機列14入側に設置される竪ロール圧延機(別名エッ
ジャー)である。
【0011】本発明者らの検討結果によれば、エッジシ
ーム疵の発生原因は以下のとおりである。被圧延材の幅
制御を行うために、通常の圧延機列には水平圧延機の入
側のみ、あるいは入側と出側両方にエッジャー16が配置
され、粗圧延機列12および仕上げ圧延機列14の水平ロー
ルとエッジャー16の竪ロールとのロール軸心位置を圧延
方向に数mずらした構造になっている。
【0012】そのため、水平ロール圧延されている断面
の幅端部には竪ロールによる拘束が働かないので、幅端
部の自由表面がバルジ変形し、このときその領域におい
て皺が発生する。この皺は下流側のエッジャー16による
複数回のパスによって次第に大きくなり、遂には被圧延
材の表面に回り込んでエッジシーム疵になる。この皺の
主因は表面の粗大結晶粒の変形・倒れ込みによるもので
ある。すなわち、連続鋳造されたステンレス鋼のスラブ
は、加熱炉で加熱されるときに表面層が脱炭され、スラ
ブ表層の結晶粒が粗大化し、幅圧下時の幅方向の圧縮変
形により結晶粒が凸状になり(結晶粒が表層から突
起)、この突起した結晶粒が粗圧延、仕上げ圧延で倒れ
込み、エッジシーム疵となる。
【0013】特に結晶構造がフェライトであるフェライ
ト系ステンレス鋼では他のステンレス鋼よりも脱炭量が
大きく、その脱炭層は厚さ1mmから数ミリ程度に及び、
また幅プレスで凸凹化する範囲も広いことからエッジシ
ーム疵の回り込み量が大きくなる。エッジシーム疵を抑
制するのに有効な温度規制は、スラブの加熱温度を下げ
かつ加熱時間を規制すること、さらに仕上げ圧延前のシ
ートバーの幅端部温度を規制することである。前者によ
り、スラブ表層の脱炭による結晶粒粗大化を防止し、後
者により肌荒れを防止するものである。
【0014】加熱温度を下げることにより、脱炭層の厚
さが薄くなり、幅圧下時の幅方向圧縮変形における結晶
粒の凹凸が小さくなり、その深さが倒れ込みを生じない
程度に浅くなって冷間圧延後にエッジシーム疵が消滅す
る。この理由は、加熱温度をあるレベルまで下げると、
スラブ表層に、後々エッジシーム疵に発展しがちな1mm
以上の粗大な結晶粒がなくなるためである。
【0015】スラブ表面には結晶粒が一層に並んでお
り、加熱時にこの結晶粒が最も強く脱炭される。この脱
炭層の厚さを1mm以下に薄くするための有効な手段を見
出すために、 200mm厚のスラブを加熱し、加熱温度、加
熱時間、酸素分圧を種々変化させ、加熱炉10出側でスラ
ブ表層の脱炭層の厚さを調査した。図3は、その結果得
られたスラブ表層の脱炭層厚さと加熱温度、加熱時間、
酸素分圧との関係を例示するグラフである。
【0016】図3(a)に例示するように脱炭層厚さ
は、加熱温度と大きな相関があり、加熱温度とともに厚
くなり、1100℃までは 0.3mm程度と薄いが1200℃超では
急激に厚さを増し、1300℃で4mm超に達する。脱炭層厚
さは図3(b)に例示するように酸素分圧によっても厚
くなるがその増加率は小さい。圧延しやすさからいえば
加熱温度は高くし酸素分圧を下げることで脱炭層厚さを
抑制したいところだが、実操業ではスラブの挿入および
抽出時のシールに限界があって酸素分圧を1%以下に下
げることは困難であるため、脱炭層厚さを薄くするに
は、圧延に支障を来さない程度に加熱温度を低くするこ
とが工業的に有効な手段である。
【0017】かかる調査結果を基礎に実操業におけるば
らつきを考慮して、安定的にスラブ脱炭層厚さ1mm以下
とするには、加熱温度を1100℃以下とするのが好ましい
ことを知見した。しかし、900 ℃を下回る加熱では圧延
が困難になるので加熱温度は900 ℃以上とする必要があ
る。加熱時間については例えば図3(c)に示すよう
に、加熱時間が長いほど脱炭層厚さは厚くなる傾向があ
るがその増加率はさほど大きくない。とはいえ、加熱温
度が前記好適範囲の上限(1100℃)のとき、加熱時間が
6時間を超えると脱炭層厚さが1mm以上になってしまう
ので、加熱時間は6時間以下とするのが望ましい。
【0018】なお、スラブの中心までの均一加熱を考慮
すれば、例えば加熱温度の好適範囲下限の 900℃の場
合、3時間以上保持することが好ましい。他方、上記の
ように加熱温度を 900〜1100℃、加熱時間を6時間以下
に規制すると、仕上げ圧延において被圧延材の幅端部の
温度が800 ℃未満に低下しやすい。そうなると圧延荷重
が高くなり、ロール表層の黒皮が剥離しロールにかなり
の凹凸が生じて板の肌荒れを招くため、仕上げ圧延機列
14入側で例えばエッジヒータ13等により幅端部温度を80
0 ℃以上に維持する必要がある。
【0019】なお、温度が 900℃以上になると、ロール
表層の黒皮の生成・成長が剥離を上回りロール表層が黒
皮で均一に覆われるので、肌荒れ防止の観点からは幅端
部温度は900 ℃以上に維持することがより一層好まし
い。なお、以上説明した温度規制は、脱炭量が比較的大
きく表層の結晶粒が粗大化しやすいフェライト系ステン
レス鋼板に適用した場合に、特にその効果が顕著に発揮
されるが、オーステナイト系ステンレス鋼板に適用して
も有効である。
【0020】次に本発明について説明する。図1は、本
発明に係る凸金敷の形状および配置に関し、(a)は外
観斜視図、(b)は凸部の断面図、(c)は平面配置図
を夫々示しており、1は凸金敷、2は熱間スラブを導入
する入側傾斜面、3はこの入側傾斜面2につながり熱間
スラブの搬送ラインと平行な中間平行面、4は中間平行
面3につながりスラブの後端部成形に役立つ出側傾斜面
であって、これら入側傾斜面2、中間平行面3および出
側傾斜面4の組み合わせにてプレス加工面が形成され
る。5は凸部の頂部、6は凸部の傾斜部、7は凸部の底
部を示し、KH,KA,KBは夫々凸金敷1の断面に係
る凸部高さ、凸部頂辺長さ、凸部底辺長さを表し、Mは
スラブ(熱間スラブ)である。
【0021】凸金敷1は図1(c)に示すように対をな
し、左矢印の向きに搬送される熱間スラブMを両側から
挟むように配置され、上下の矢印で示すように、その相
互の往復運動を繰り返す(駆動手段は図示省略)ことに
よって搬送移動中の該スラブMをその全長にわたって幅
圧下する。冒頭に述べたようにかかる形態の幅圧下を
「水平対抗プレス」と称する。
【0022】なお、スラブ側面に食い込みやすくするた
めに凸金敷1の凸部は「台形状」すなわち、略対称に向
かい合う傾斜部6の間隔が頂部5に向かうほど狭まる形
状としている。本発明は、前記の温度規制下で、ステン
レス鋼スラブの幅圧下を水平対抗プレス金敷を用いた幅
プレスによって行う場合のエッジシーム疵の発生を抑制
するためのものであり、特定断面寸法の凸金敷を採用し
てスラブ側面を適切な凹状に成形加工することにより、
水平圧延時のスラブ側面のバルジングを補償して、スラ
ブ側面に発生する皺の表裏面への回り込みを防止すると
ともに、表層にかかる圧縮力を緩和して、表面に発生す
る結晶粒の凹凸を小さくし、結晶粒の倒れ込みを防止し
て、エッジシーム疵の発生を幅の極エッジ部のみに限定
することができる。
【0023】ここに本発明者らは、実験により、粗圧延
の最初の3パスで50%以上減厚する場合、3パス目の粗
圧延終了後の被圧延材の幅端部断面形状が矩形に近いほ
ど、下流の粗圧延、仕上げ圧延における側面の回り込み
量が小さくなる傾向があることを見出し、かかる知見に
基づいて、スラブ側面に凸金敷による幅プレスで刻んだ
凹部が初期3パスの粗水平圧延によるバルジングで補償
されて矩形に近い幅端部断面が得られるように、凸金敷
の断面寸法の好適範囲を定めた。
【0024】そのため、本発明の幅プレス用金敷で幅プ
レス後、粗圧延の1〜3パスの途上に竪ロールによる幅
圧下が介入すると、4パス目の入側の被圧延材幅端部が
矩形状にならず、下流の粗圧延、仕上げ圧延での側面回
り込み量が大きくなってしまう。よって、幅プレス後の
粗圧延の最初の3パスで竪ロールによる幅圧延を行わな
ず50%以上に減厚することに限定した。
【0025】凸金敷の断面寸法に係る限定理由を以下に
述べる。 〔凸部高さ(KH)〕スラブ厚 200〜260mm のフェライ
ト系ステンレス鋼スラブを1000℃に加熱し、プレス加工
面が平坦な平金敷を用いて幅プレス量を種々変えて幅プ
レスを行い、続いて竪ロールによる幅圧下なしの粗水平
圧延を3パス行ってトータルの圧下率を50%とする幅プ
レス実験を行い、粗圧延後のバルジング量を調べた。
【0026】ここに、本発明において「幅プレス量」と
は、幅プレス前後のスラブ幅の差を意味し、「バルジン
グ量」とは、幅プレス前のスラブ側端コーナ部が粗水平
圧延3パス後に板表面に移動した位置から、幅プレス後
のスラブ幅端部までの距離を意味する。なお、バルジン
グ量の説明図を図4に示す。図4はスラブの幅プレス後
の幅端部断面を示しており、PSCは幅プレス前のスラブ
側端コーナ部、Vはバルジング量である。
【0027】図5は、上記幅プレス−粗圧延実験結果を
整理して得たもので、平金敷による幅プレス量とバルジ
ング量の対スラブ厚比(V/H)との関係を示すグラフ
である。図5に示すように、V/Hは幅プレス量の50mm
程度から200 mm程度までの増加に伴い1/15から1/4
まで増加する。したがって予めスラブ側面にこれに見合
う深さの凹みを付与しておくことにより、粗水平圧延3
パス後のバルジング量が補償され被圧延材断面幅端部が
矩形に近くなる。よって、かかる凹みを付与するための
凸金敷の凸部高さKHはスラブ厚の1/15〜1/4とする
のが好ましい。 〔凸部頂辺長さ(KA)〕上記の幅プレス実験におい
て、平金敷に代えて凸部高さKHを上記好適範囲とし凸
部頂辺長さKA,凸部底辺長さKBを種々変えた凸金敷
とし、粗水平圧延(竪ロールによる幅圧下なし)3パス
後のバルジング量を調べた。
【0028】図6は、その結果得られた凸部頂辺長さの
対スラブ厚比(KA/H)と被圧延材断面形状およびバ
ルジング量(V)との関係を示すグラフである。図6に
示されるように、KA/Hが1/3未満では断面形状が
ダブルバルジングとなり、VはKA/Hの減少につれて
増加する。また、KA/Hが3/4超えでは断面形状が
シングルバルジングとなり、VはKA/Hの増加につれ
て増加する。KA/Hが1/3〜3/4の範囲は断面が
ダブルバルジングとシングルバルジングとの中間の矩形
に近い形状でありこの範囲でVが最低値となる。
【0029】なお、図6には、スラブ厚200 mm、凸金敷
の凸部高さKH18mm、凸部底辺長さKB220 mm、幅プレ
ス量100 mmの場合を例示したが、図6に示される傾向
は、本発明に係るKH,KBの好適範囲ならびに図5に
示したスラブ厚および幅プレス量の範囲にわたり同様に
認められる。よって、凸部頂辺長さKAはスラブ厚の1
/3〜3/4とするのが好ましい。 〔凸部底辺長さ(KB)〕図7は、上記の幅プレス実験
において、幅プレス後粗圧延前のスラブについて調べた
転写率と凸部底辺長さのスラブ厚に対する超過分(KB
−H)との関係を示すグラフである。ここに、「転写
率」とは、凸部高さKHに対するスラブ側面の最大凹み
深さの百分率(%)であり、凸部高さKHが完全にスラ
ブ側面に転写された状態が100 %である。
【0030】図7に示されるように、KB−Hが10mm未
満で転写率が90%を超えるが、そこでは幅プレス時にス
ラブ側端コーナ部が、金敷の凸部の傾斜部ではなく底辺
の平坦部によって押される状況になるため、幅方向の圧
縮変形が大きくなり、それによるスラブ表層の結晶粒の
凹凸も大きくなってエッジシーム疵として残りやすくな
る。また、KB−Hが30mmを超えると転写率が80%を下
回り、スラブ側面の凹み深さが不足して粗圧延3パス後
の被圧延材断面を矩形に近づけることができなくなる。
【0031】なお、図7は、KHがH/10、幅プレス量
が 200〜220mm 、KA/Hが1/3および3/4の場合
についての例を示すが、図7に示される傾向は、本発明
に係るKHの好適範囲および図5に示したスラブ厚およ
び幅プレス量の範囲にわたり同様に認められた。よっ
て、凸部底辺長さKBをスラブ厚H+(10〜30)mmとす
るのが好ましい。
【0032】
【実施例】スラブは、C:0.05wt%、Si: 0.3wt%、M
n: 0.1wt%、Cr:17wt%を含有する連鋳製の厚さ 200m
m、幅1300mm、長さ6mのフェライト系ステンレス鋼ス
ラブであり、図2に示した熱間圧延設備列を用いて熱間
圧延を行った。なお、粗圧延機のワークロール径は1300
mm、バレル長は2200mm、仕上げ圧延機のワークロール径
は 700mm、バレル長は2000mm、仕上げ圧延機列14の出側
速度は 1000m/minである。
【0033】発明例B1〜B6として、前記スラブを加熱炉
にて1000℃×4hrの条件で加熱後、本発明の断面寸法規
定範囲内の3種類の凸金敷を用いて、幅プレス量50mmお
よび200 mmの幅プレスを行い、次いで4スタンドの粗圧
延機列により、最初の3パスは竪ロールによる幅圧下を
行わず板厚100 mmまで減厚(減厚率50%)し、以後3パ
スを加えて計6パスの粗圧延を行って粗圧延機列出側で
板厚25mm、幅1300mmのシートバーとし、さらに、該シー
トバーを、仕上げ圧延機列入側のエッジヒータで幅端部
温度を800 ℃以上に維持しながら7スタンドの仕上げ圧
延機列により板厚4mmに仕上げ圧延し巻き取った。ま
た、これら熱延コイルを酸洗後4スタンドの冷間圧延機
により圧下率70%で冷間圧延した。
【0034】一方、比較例B7〜B10 として、前記スラブ
を加熱炉にて1200℃×4hrの条件で加熱後、特開平5-12
3713号公報に記載の寸法を有する凸金敷および特開平5-
277510号公報に記載のW字溝の中央に凸部を有する金敷
各1種類を用いて、幅プレス量50mmおよび200 mmの幅プ
レスを行い、以後、スラブ加熱温度が高いため仕上げ圧
延機入側でのエッジヒータによる加熱は行わなかったこ
と以外は発明例と同じ工程で板厚4mmに仕上げ圧延し巻
き取った。また、冷間圧延も発明例と同じにして行っ
た。
【0035】発明例の凸金敷ならびに比較例の凸金敷お
よびW字溝金敷の凸部断面寸法(凸部高さKH,凸部頂
辺長さKA,凸部底辺長さKB)は表1に示す通りであ
り、またW字溝金敷の溝深さは300 mmとした。なお、表
1の比較例B9,B10がW字溝の金敷を用いたものである。
かくして得られた熱延コイルの長手方向ミドル部につい
て熱延後シーム量を表1に示す。ここに、シーム量と
は、本発明で採用するエッジシーム疵の評価値であり、
幅端部から最も幅中央寄りの疵(エッジシーム疵および
肌荒れの両方を含む)までの距離を意味し、概ねトリム
量に対応する。なお、シーム量は幅方向OP(オペレー
タ)側、DR(ドライブ)側および上下面(表では「OP
下」、「DR下」等と表示)について調査した。
【0036】発明例B1〜B6の熱延後シーム量は、比較例
に比して良好な結果が得られている。比較例B7,B8 では
スラブ幅側端コーナ部が金敷凸部の底部に直に当たり、
スラブ表層が幅方向に強く圧縮されることから、表層結
晶粒が凸凹になり、熱延シーム量が大きくなった。また
幅プレス量が大きいほどシーム量も大きい。比較例B9,B
10ではW字溝による拘束力が作用してスラブ表層が幅方
向にさらに強く圧縮され、それにより表層結晶粒も凹凸
度合いを増した結果、特に幅プレス量200 mmで実施例B
中最大の熱延シーム量となった。
【0037】冷延したコイルの長手方向ミドル部上下面
で冷延後のシーム量を前記と同様に調査したところ、冷
延後シーム量は、熱延後シーム量とほぼ同じ値であっ
た。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、幅プレスおよび竪ロー
ルによる幅圧下を含む一連の熱間圧延で製造されるステ
ンレス鋼板のエッジシーム疵を従来よりも一段と低減で
き、かつ肌荒れも抑制できるので、従来30mm/片側であ
ったステンレス鋼板のトリム量を、10mmm /片側以下に
低減できるという格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る凸金敷の形状および配置に関し、
(a)は外観斜視図、(b)は凸部の断面図、(c)は
平面配置図を夫々示す。
【図2】本発明の実施に適した熱間圧延設備列の配置図
である。
【図3】スラブ表層の脱炭層厚さと加熱温度、加熱時
間、酸素分圧との関係を例示するグラフである。
【図4】バルジング量の説明図である。
【図5】平金敷による幅プレス量とバルジング量の対ス
ラブ厚比(V/H)との関係を示すグラフである。
【図6】凸部頂辺長さの対スラブ厚比(KA/H)と被
圧延材断面形状およびバルジング量(V)との関係を示
すグラフである。
【図7】転写率と凸部底辺長さのスラブ厚に対する超過
分(KB−H)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 凸金敷 2 入側傾斜面 3 中間平行面 4 出側傾斜面 5 凸部の頂部 6 凸部の傾斜部 7 凸部の底部 10 加熱炉 11 幅プレス装置 12 粗圧延機列 13 エッジヒータ 14 仕上げ圧延機列 15 コイラ 16 竪ロール圧延機(エッジャー) H スラブ厚 KH 凸部高さ KA 凸部頂辺長さ KB 凸部底辺長さ M スラブ(熱間スラブ) PSC 幅プレス前のスラブ側端コーナ部 V バルジング量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鑓田 征雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究所内 (56)参考文献 特開 平5−123713(JP,A) 特開 平5−277510(JP,A) 特開 平8−300011(JP,A) 特開 平9−206871(JP,A) 実開 昭63−90540(JP,U) 実開 平5−53703(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 15/00 B21B 1/02 B21J 1/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中央部に台形状の凸部を有する凸金敷で
    あって、該凸金敷の断面に係る凸部高さをスラブ厚の1
    /15〜1/4、凸部頂辺長さをスラブ厚の1/3〜3/
    4、凸部底辺長さをスラブ厚+(10〜30)mmとすること
    を特徴とするステンレス鋼スラブの幅プレス用金敷。
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