JPH09206871A - 熱間スラブの幅プレス用金敷 - Google Patents

熱間スラブの幅プレス用金敷

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JPH09206871A
JPH09206871A JP8016490A JP1649096A JPH09206871A JP H09206871 A JPH09206871 A JP H09206871A JP 8016490 A JP8016490 A JP 8016490A JP 1649096 A JP1649096 A JP 1649096A JP H09206871 A JPH09206871 A JP H09206871A
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anvil
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JP8016490A
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English (en)
Inventor
Toshiki Hiruta
敏樹 蛭田
Toshio Imae
敏夫 今江
Kunio Isobe
邦夫 磯辺
Yukio Yarita
征雄 鑓田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 熱間スラブ側面に、幅縮小後の粗圧延での
スラブ側面の板表裏面への回り込みを抑制でき且つ板内
部欠陥にまで至らない適量の凹みを付与でき、しかもス
ラブ表層の結晶粒を過度に凹凸状にしない熱間スラブの
幅プレス用金敷を提供する。 【解決手段】 金敷Kのプレス加工面が、その縦断面中
央部に、スラブ厚より大なる底辺(下段底辺8)をもつ
先狭の下段凸部12と該下段凸部12の上辺(下段上辺7)
から更に突起する先狭の上段凸部11とからなる2段の凸
部4を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間スラブの幅プ
レス用金敷に関し、詳しくは、幅プレス(幅圧下ともい
う)を施して減幅した熱間スラブが熱間圧延される際に
該熱間圧延材の幅方向エッジ部に発生する欠陥を低減で
きる熱間スラブの幅プレス用金敷に関する。
【0002】
【従来の技術】加熱されたスラブの幅を広範囲にわたっ
て減幅調整する手段の一つとして、当該スラブの幅両端
を水平対向プレスにより幅方向に圧下して幅縮小する方
法が知られている。この方法は、幅圧下時の接触長さが
大きいために圧下効率がよく、また、圧延後のクロップ
が最小となるようにスラブ先後端における成形条件を設
定できるために国内外の熱延工場で広く採用されてい
る。
【0003】この水平対向プレスに用いられる金敷の形
状を工夫することによって、例えば板のエッジ部に発生
する表面欠陥のひとつであるシーム疵(エッジシーム疵
ともいう)の防止を図る技術が特開平5−123713号公報
に、さらにはスラブの座屈防止及びシーム疵軽減を図る
技術が特開平5−277510号公報に、夫々開示されてい
る。
【0004】通常の圧延機列では、圧延材の幅制御を行
うために水平圧延機の入側のみにあるいは入出側両方に
竪ロール圧延機を配置しておき、水平ロールと竪ロール
のロール軸心を圧延方向に数mずらした構造になってお
り、水平ロール圧延されている断面は、竪ロールによっ
てその幅端部が同時には拘束されない自由表面であるか
ら、そこがバルジ変形し、かかるバルジ変形領域におい
てしわが発生する。このしわは竪ロールによる複数回の
パスによって次第に大きくなり、これが圧延材の表面に
回り込んでシーム疵になる。
【0005】かかるシーム疵の発生を低減するために、
前記開示技術は、スラブの幅プレスによる幅縮小段階
で、夫々互いに対向する側面の縦断面中央部に凸部を形
成した一対の金敷を用いることにより、スラブ側面に凹
みを形成し、もってプレス後の粗圧延段階でスラブ幅端
部に発生するバルジングを補償することで、スラブ側面
が板の表裏面へ回り込まないようにして、シーム疵の発
生を低減しようとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、仕上げ圧延
中に被圧延材の幅方向エッジ部に発生するシーム疵の防
止を目的とした上記従来技術には、以下に述べるような
問題点があった。前記特開平5−123713号公報に開示さ
れている技術では、幅縮小量が小さい場合にも、凸部の
上辺長さが短いために金敷側面に付与した凸形状がスラ
ブ側面へ大きく転写される。このため凹部の深さが大き
くなり、シーム疵は低減できても、この深く入った凹部
が仕上げ圧延後において板内部の欠陥として残ることが
あった。そして幅縮小量が大きい場合には、スラブ側面
の凹み量がますます大きくなり、前記板内部の欠陥が大
きくなることに加え、スラブ表層部における幅方向の圧
縮ひずみも大きくなるために、この圧縮変形によりスラ
ブ表面の結晶粒が凹凸状になり、そのことにより相変わ
らずシーム疵が発生していた。
【0007】また、特開平5−277510号公報では、側面
に凸形状を内包するカリバ形状の金敷を用いて幅圧下す
ることにより大きな幅縮小を達成しようとする。しか
し、幅縮小量は大きくできても、カリバによるスラブ幅
方向の圧縮変形により表層の結晶粒が凹凸になり、この
結晶粒の凸部が倒れ込み、仕上げ圧延後まで板表面に残
留し、上記同様にシーム疵となっていた。
【0008】このように、従来技術ではシーム疵の発生
を抑えきれていないために、それが冷間圧延後まで板表
裏面に残り、耳切り代(トリム量)を低減することが困
難になり、歩留りが低下していた。ここで重要なこと
は、シーム疵の発生機構には2種類あるということであ
り、1つはスラブ側面の板表裏面への回り込みという機
構、他の1つは従来省みられていなかった幅縮小時に凹
凸状にされたスラブ表層の結晶粒の凸部倒れ込みという
機構である。それゆえ、これらのシーム疵発生機構を両
方とも考慮したシーム疵防止対策を確立する必要があ
る。
【0009】前記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、
熱間スラブ側面に、幅縮小後の粗圧延でのスラブ側面の
板表裏面への回り込みを抑制でき且つ板内部欠陥にまで
至らない適量の凹みを付与でき、しかもスラブ表層の結
晶粒を過度に凹凸状にしない熱間スラブの幅プレス用金
敷を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、一対で一組を
なし、夫々が、搬送中の熱間スラブを導入する入側傾斜
面と該入側傾斜面に連なり前記熱間スラブの搬送ライン
に平行なフラット面とを含むプレス加工面を備え、互い
に水平に対向して、近接離隔を繰り返すことにより前記
熱間スラブを幅方向に圧下して幅縮小を行う熱間スラブ
の幅プレス用金敷において、前記プレス加工面が、その
縦断面中央部に、スラブ厚より大なる底辺をもつ先狭の
下段凸部と該下段凸部の上辺から更に突起する先狭の上
段凸部とからなる2段の凸部を有することを特徴とする
熱間スラブの幅プレス用金敷である。
【0011】そして本発明においては、前記上段凸部の
上辺がスラブ厚の1/3以上1/2以下、底辺がスラブ
厚の1/3以上3/4以下、高さがスラブ厚の1/20以
上1/10以下であり、下段凸部の上辺が上段底辺よりも
10mm以上30mm以下の範囲で大、底辺がスラブ厚よりも10
mm以上30mm以下の範囲で大であり、且つ、2段の凸部の
高さがスラブ厚の1/4以下であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の幅プレス用金敷
の説明図であり、(a)は外観斜視図、(b)はそのA
A矢視部断面図である。図1において、Kは金敷、1は
入側傾斜面、2は入側傾斜面1に連なりスラブ搬送ライ
ンに平行なフラット面、3はフラット面2に連なる出側
傾斜面であり、これら入側傾斜面1、フラット面2、及
び出側傾斜面3でプレス加工面が構成されている。尚、
出側傾斜面3は必要に応じてスラブ尾端部の成形用に備
えられる。4は2段の凸部、5は上段上辺、6は上段底
辺、7は下段上辺、8は下段底辺、9は上段斜辺、10は
下段斜辺、11は上段凸部、12は下段凸部、13は段差部で
ある。
【0013】図1には1対の金敷Kのうち一方のみを示
すが、他方も同様の形状である。また、図2は、熱間ス
ラブの幅プレス実施状況を示す平面図である。図2にお
いてMはスラブ(熱間スラブ)、16はスラブ搬送の向き
を示す矢印、17は金敷Kの近接離隔方向を示す矢印であ
る。図1及び図2に示すように、本発明は、一対で一組
をなし、夫々が、搬送中の熱間スラブMを導入する入側
傾斜面1と該入側傾斜面1に連なり前記熱間スラブMの
搬送ラインに平行なフラット面2とを含むプレス加工面
を備え、互いに水平に対向して、近接離隔を繰り返すこ
とにより前記熱間スラブMを幅方向に圧下して幅縮小を
行う熱間スラブの幅プレス用金敷Kにおいて、前記プレ
ス加工面が、その縦断面中央部に、スラブ厚より大なる
底辺(下段底辺8)をもつ先狭の下段凸部12と該下段凸
部12の上辺(下段上辺7)から更に突起する先狭の上段
凸部11とからなる2段の凸部4を有することを特徴とす
る。
【0014】1対の金敷Kは、矢印16の向きに搬送中の
熱間スラブMを幅方向両側から挟むように配置され、図
示しない駆動手段によって互いに近接離隔するように矢
印17の方向に往復運動を繰り返すことにより、当該スラ
ブMをその全長にわたって幅方向に圧下して幅縮小を行
う。図1に例示した、本発明に係る2段の凸部を有する
熱間スラブの幅プレス用金敷の作用を以下に述べる。
【0015】本発明にあっては、金敷Kのプレス加工面
が、その縦断面中央部に、スラブ厚より大なる底辺(下
段底辺8)をもつ先狭の下段凸部12と該下段凸部12の上
辺(下段上辺7)から更に突起する先狭の上段凸部11と
からなる2段の凸部4を有することことが特徴的であ
る。この構成により、第1に、全体として先狭の凸部4
をスラブ側面の厚み方向中央部に当接して、スラブ側面
にバルジングを補償する凹部を無理なく形成でき、粗圧
延段階でのスラブ側面の板表裏面への回り込みが防止で
きるので、前記したシーム疵発生機構の1つである回り
込み機構によるシーム疵の発生を板の極エッジ部に限定
できる。
【0016】そして第2に、スラブ幅縮小量が比較的小
さい場合には、上段凸部11のみにより、また、スラブ幅
縮小量が大きい場合には、2段の凸部4をなす上段の凸
部11及び下段の凸部12の両方でもって、スラブMの側面
に凹部が形成されるから、その時々の幅縮小量に応じて
適度のスラブMの凹み量が得られる。よって、スラブ側
面の凹み深さが適量に保たれ、過大凹みに起因する仕上
げ圧延後の板内部欠陥を好適に防止できる。
【0017】第3に、下段底辺8の長さをスラブ厚より
も大きくとっているので、スラブ表層部は2段の凸部4
以外のプレス面には当接しない。したがってスラブ表面
に及ぼされる圧縮変形は適量が維持され、圧縮変形起因
の結晶粒の凹凸を小さくできるから、前記したシーム疵
発生機構の他の1つである結晶粒凸部の倒れ込み機構に
よるシーム疵の発生も低減できる。
【0018】そして本発明においては、前記上段凸部11
の上段上辺5がスラブ厚の1/3以上1/2以下、上段
底辺6がスラブ厚の1/3以上3/4以下、高さがスラ
ブ厚の1/20以上1/10以下であり、下段凸部12の下段
上辺7が上段底辺6よりも10mm以上30mm以下の範囲で
大、下段底辺8がスラブ厚よりも10mm以上30mm以下の範
囲で大であり、且つ、2段の凸部4の高さがスラブ厚の
1/4以下であることが好ましい。
【0019】上記の好適範囲を定める上で基礎とした本
発明者らによる実験の条件及び結果を開示しながら、以
下にこれら好適範囲の限定理由を述べる。 (1) 上段凸部の形状・寸法の好適範囲 上段凸部11の高さの好適範囲を定めるにあたり、図3に
外観斜視図を示す平金敷を用いて、スラブ厚Hが 200〜
260 mmのフェライト系ステンレス鋼スラブを1200℃に加
熱して幅プレスを行い、続いて粗圧延を3パス行って板
とした。この粗圧延では、全圧下率を50%とし、竪ロー
ルによる圧下は行っていない。尚、図3において前掲図
1と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0020】この幅プレス及び粗圧延実験において、幅
縮小量とバルジング量とを測定した。図4はその測定結
果を整理して得られた幅縮小量とバルジング量との関係
を示すグラフである。図4において、15はスラブコーナ
部、Hはスラブ厚、Pは粗圧延3パス後の板(粗圧延
材)、Vはバルジング量、ΔWは幅縮小量である。尚、
幅縮小量とは、幅プレスによる幅縮小前後のスラブ幅の
変化量を、バルジング量Vとは、図4に示すとおり板P
エッジからスラブコーナ部15が粗圧延3パス後に板Pの
表面に移動した位置までの距離を、夫々意味する。尚図
4において縦軸にとったバルジング量は、スラブ厚Hに
対する比(V/H)で表している。
【0021】図4より、バルジング量は幅縮小量ととも
に増大することがわかる。そして幅縮小量が70mm程度以
下の比較的小さい範囲では、V/Hが1/15程度で一定
であるから、スラブ側面にスラブ厚の1/15程度の凹部
を形成することにより粗圧延でのスラブ側面の回り込み
を防止できる。しかし、上記比較的小さい幅縮小量の範
囲でスラブ側面にスラブ厚の1/10程度よりも大きい凹
部を形成させると、その後の粗圧延でスラブ側面が十分
にバルジ変形しないので、仕上げ圧延後でも凹部が内部
欠陥として存在することになる。
【0022】そして、この段階でスラブ側面が十分にバ
ルジ変形しない場合には、次の竪ロール圧延段階でスラ
ブ側面の幅方向圧縮変形が大となりスラブ表層の結晶粒
が凹凸状になり易いためシーム疵の発生に至る。このた
め初期の3パス目でスラブ側面を矩形にする必要があ
り、スラブ幅縮小量に応じて適切な凹形状を付与する必
要がある。尚、4パス目以降の粗圧延で竪ロール圧延を
行わない方法もあるが、板幅精度が低下し大幅な歩留り
低下をもたらす。
【0023】上記検討から、幅縮小量が比較的小さい範
囲では、上段凸部11の高さを、ばらつきも考慮して、ス
ラブ厚の1/20〜1/10程度とすることにより粗圧延に
おけるバルジングを好適に補償できることがわかる。よ
って上段凸部11の高さの好適範囲をスラブ厚の1/20以
上1/10以下とした。次に上段上辺5及び上段底辺6の
長さの好適範囲について述べる。
【0024】図5は、上段凸部11の上辺及び底辺の長さ
の好適範囲を定める実験に用いた凸金敷の要部断面図で
ある。図5において、KAは上辺長、KBは底辺長、K
Hは凸高である。実験条件は、前記の幅プレス及び粗圧
延実験において、図3に示した平金敷に代えて図5に示
す凸金敷を用い、幅縮小量ΔW=30〜50mmの範囲で幅プ
レスを行った以外は前記条件と同じである。
【0025】この実験では、凸金敷の凸高KHを、上記
の好適範囲(スラブ厚の1/20〜1/10程度)内であ
る、スラブ厚の1/15に固定し、上辺長KA及び底辺長
KBを変数として、粗圧延後の板のバルジング状況を観
察するととともに、幅プレス後のスラブ側面への金敷凸
部の転写率(スラブ側面部の実測凹み深さ/KH)を求
めた。
【0026】その結果、上辺長KAをスラブ厚さの1/
3よりも小さくした場合には粗圧延でスラブ側面にダブ
ルバルジングが発生し、仕上げ圧延後の板内部に欠陥が
残る可能性が高いことがわかった。よってKA(対スラ
ブ厚比)≧1/3とするのが好ましい。図6は、転写率
に及ぼす凸金敷の上辺長KA及び底辺長KBの影響を示
す特性図である。図6において、図中の数字は転写率で
ある。縦軸及び横軸にとった上辺長さKA及び底辺長さ
KBは、対スラブ厚比で示した。
【0027】図6から、転写率90〜100 %が得られる領
域は、先狭の要請からくるKA<KBにおいて、KA≦
1/2、KB≦3/4を満たす領域であることがわか
る。この結果と上記のKA≧1/3なる結果とから、上
段凸部11に関し、上段上辺5がスラブ厚の1/3以上1
/2以下、上段底辺6がスラブ厚の1/3以上3/4以
下という好適範囲を定めた。 (2) 下段凸部の形状・寸法の好適範囲 下段凸部12の下段上辺7は、幅縮小量の小さい範囲(<
70mm)においてスラブ側面に付与する凹みを大きくしな
いため、上段底辺6よりも10〜30mm長くすることが好ま
しい。これにより、2段の凸部4の段差部13が、下段凸
部のスラブ側面への無用な転写を防止するストッパとし
て効果的に作用する。段差部13が両側で10mmよりも小さ
いとストッパとしての役割を十分果たすことができな
い。他方、段差部13が両側で30mmを超えると、幅縮小量
の大きい範囲(≧70mm)で下段凸部12の凸形状がスラブ
側面に転写されず、バルジング補償に有効なスラブ側面
の凹みを形成することが困難になる。
【0028】したがって下段上辺7は上段底辺6よりも
10〜30mm長くとるのが好適である。次に下段底辺8及び
2段の凸部4の高さの好適範囲について説明する。図4
に示したように、幅縮小量が大きくなるほどバルジング
量は大きくなるので、幅プレス段階でそれを補償するよ
うにスラブ側面に凹みを付与するのが肝要である。
【0029】図4によれば、粗圧延後の板P側面のバル
ジング量は、ほぼ最大の幅縮小量 200mm近傍においてス
ラブ厚の高々1/4程度である。よって、2段の凸部4
の高さの好適範囲をスラブ厚の1/4以下とした。下段
凸部12の高さはスラブ厚の1/4から上段凸部11の高さ
を減じた値とすればよい。このとき下段凸部12の下段底
辺8の長さは、請求項1記載のようにスラブ厚よりも大
きくとる。その理由は前述したように、幅プレス時にス
ラブ端部の表面が2段の凸部4以外に当たらないように
して、スラブ表層の結晶粒の凹凸を防止するためであ
る。
【0030】下段底辺8の長さの好適範囲を定めるため
に、図1に示した2段の凸部4を有する形状の金敷K
(2段凸金敷とよぶ)で、高さを上記好適範囲の上限
(スラブ厚の1/4)とし、下段底辺8の長さを変数と
したもの用い、それ以外は図4のデータを得たときの実
験条件と同じ条件で幅プレスを行い、スラブ側面の最大
凹み深さを測定した。
【0031】図7は、2段凸金敷の下段底辺の長さと当
該2段凸金敷を用いて幅縮小量ΔW= 200〜220mm の範
囲で幅プレスされたスラブ側面の最大凹み深さとの関係
を示す特性図である。尚、最大凹み深さは対スラブ厚比
で、下段底辺の長さは該長さからスラブ厚を減じた値
(スラブ厚加算長さ)で、夫々表した。前掲図4によれ
ば、幅縮小量ΔW= 200〜220mm で幅プレスされたスラ
ブの粗圧延3パス後のバルジング量(V/H)は1/5
〜1/4であり、このバルジング量を補償するには、図
7から、2段凸金敷の下段底辺8の長さをスラブ厚より
10〜30mmの範囲で大きくとるのが好適であることがわか
る。下段底辺8の長さの好適範囲の限定理由は以上の通
りである。尚、このときスラブコーナ部15は2段の凸部
4以外の金敷Kの部位には当接していない。
【0032】
【実施例】図8は、本発明を実施した熱間連続圧延設備
の概念図である。図8において、20は加熱炉、21は幅プ
レス設備、22は粗圧延機列、23は仕上げ圧延機列、24は
コイラである。尚前掲図2と同一部材には同一符号を付
し説明を省略する。図8に示す熱間連続圧延設備を用い
て、C:0.05wt%、Si: 0.3wt%、Mn: 0.1wt%、Cr:
17wt%を含有する厚さ 200mm×長さ6m×幅1300mmのフ
ェライト系ステンレス鋼スラブを、加熱炉20にて1200℃
に加熱し、粗圧延機列22の入側に配設した幅プレス設備
21に取り付けた金敷Kでもって幅縮小量ΔW=40,70,
200mm の幅プレスを行って減幅し、引き続き4スタンド
の粗圧延機列22によって板厚25mmのシートバーとし、更
に仕上げ圧延機列23により板厚4mmに仕上げ、コイラ24
で巻き取った。
【0033】得られたコイルについて上面及び下面への
シーム疵の回り込み量を評価した。尚、この回り込み量
は板幅エッジからシーム疵までの距離の最大値で代表し
た。この代表値をシーム量と呼ぶ。図9は、実施例に用
いた金敷の要部断面図であり、(a)は発明例、(b)
比較例1、(c)は比較例2を夫々示す。発明例は2段
凸金敷、比較例1は特開平5−123713号公報に開示され
るような1段凸金敷、比較例2は特開平5−277510号公
報に開示されるような含1段凸カリバ金敷である。図9
において、KAは凸上辺長、KBは比較例にあっては凸
底辺長、発明例にあっては上段凸底辺長、KHは比較例
にあっては凸高、発明例にあっては上段凸高、Dはカリ
バ長、KKBは下段凸長、KKHは2段凸高である。
【0034】これら金敷の寸法は、比較例1及び比較例
2では、KA=40mm(スラブ厚の1/5)、KB=120
mm、KH=50mm(スラブ厚の1/4)、D=300 mmと夫
々固定し、発明例では、KKB=220 mm(スラブ厚+20
mm)、KKH=50mm(スラブ厚の1/4)を固定し、K
A,KB,KHの組み合わせを本発明の好適範囲内で3
水準選択して夫々発明例1〜3とした。
【0035】発明例1〜3及び比較例1,2の金型を用
いて幅圧下を行い、前記条件で熱間連続圧延して得られ
たコイルのシーム量を、幅縮小量ΔW=40、70、200 mm
の各場合について表1〜表3に示す。尚表1〜表3には
金敷の寸法に係るKA、KB、KHを併記した。又、シ
ーム量は上面及び下面の夫々について示した。表1か
ら、ΔWが40mmと小さい場合のシーム量は、発明例で10
mm程度以下と比較例2の30〜40mmより格段に小さい値で
あり。比較例2に対しての本発明のシーム疵低減効果が
明白である。この程度の小さいΔWの範囲では比較例1
でもKH>H(スラブ厚)を満たしながら幅プレスされ
るので、スラブ表層部への圧縮力が比較的小さいから発
明例と同程度のシーム量である。比較例2で30〜40mmと
特にシーム量が大きいのは、その金敷のカリバ面がスラ
ブ表層を圧下するためそこに大きな圧縮応力がかかって
結晶粒が凹凸状になり、それに因ってシーム疵が幅エッ
ジから離れた板面内に発生することによる。
【0036】表2から、本発明の金敷によればΔWが70
mmと増加しても、シーム量は10mm程度以下の小さい値を
維持するが、比較例1ではスラブコーナ部が金敷の平部
(凸部底辺が位置する面)に当たるようになって、スラ
ブ表層も圧下されることから、表層部の結晶粒が凹凸に
なりシーム量が20mm程度に大きくなったことがわかる。
すなわちこの範囲のΔWで、比較例1に対する発明例の
優位性が顕現する。
【0037】表3から、ΔW= 200mmの幅大圧下の場
合、比較例1及び2では幅プレス後のスラブ側面の形状
がΔW=70mmのときと変わらず、スラブ表層が大きく圧
縮されてそこの結晶粒の凹凸が大となる事情も同じた
め、シーム量も同様に大きな値であることが認められ
る。これに対し、発明例ではKKBがスラブ厚よりも大
であるために、スラブ側面が垂直に押されないから、ス
ラブ表層の結晶粒に大きな圧縮力が作用せず、したがっ
て結晶粒の凹凸も小さくなり、10mm程度以下の小さいシ
ーム量が維持できている。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、幅縮小を施したスラブ
の圧延においてシーム疵を従来よりも一段と低減できる
ので、従来30mm/片側であったステンレス鋼のトリム量
を、10mm/片側まで低減でき、歩留りの向上を図ること
ができるという格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の幅プレス用金敷の説明図であり、
(a)は外観斜視図、(b)は(a)のAA矢視部断面
図である。
【図2】熱間スラブの幅プレス実施状況を示す平面図で
ある。
【図3】平金敷の外観斜視図である。
【図4】幅縮小量とバルジング量との関係を示すグラフ
である。
【図5】凸金敷の要部断面図である。
【図6】転写率に及ぼす凸金敷の上辺長及び底辺長の影
響を示す特性図である。
【図7】2段凸金敷の下段底辺の長さとスラブ側面の最
大凹み深さとの関係を示す特性図である。
【図8】本発明を実施した熱間連続圧延設備の概念図で
ある。
【図9】実施例に用いた金敷の要部断面図である。
【符号の説明】
1 入側傾斜面 2 フラット面 3 出側傾斜面 4 2段の凸部 5 上段上辺 6 上段底辺 7 下段上辺 8 下段底辺 9 上段斜辺 10 下段斜辺 11 上段凸部 12 下段凸部 13 段差部 15 スラブコーナ部 16 スラブ搬送の向きを示す矢印 17 金敷の近接離隔方向を示す矢印 20 加熱炉 21 幅プレス設備 22 粗圧延機列 23 仕上げ圧延機列 24 コイラ D カリバ長 H スラブ厚 K 金敷(2段凸金敷) KA 上辺長(凸上辺長) KB 底辺長(凸底辺長(上段凸底辺長)) KH 凸高(上段凸高) KKB 下段凸長 KKH 2段凸高 M スラブ(熱間スラブ) P 粗圧延3パス後の板(粗圧延材) V バルジング量 ΔW 幅縮小量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯辺 邦夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 鑓田 征雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対で一組をなし、夫々が、搬送中の熱
    間スラブを導入する入側傾斜面と該入側傾斜面に連なり
    前記熱間スラブの搬送ラインに平行なフラット面とを含
    むプレス加工面を備え、互いに水平に対向して、近接離
    隔を繰り返すことにより前記熱間スラブを幅方向に圧下
    して幅縮小を行う熱間スラブの幅プレス用金敷におい
    て、前記プレス加工面が、その縦断面中央部に、スラブ
    厚より大なる底辺をもつ先狭の下段凸部と該下段凸部の
    上辺から更に突起する先狭の上段凸部とからなる2段の
    凸部を有することを特徴とする熱間スラブの幅プレス用
    金敷。
  2. 【請求項2】 上段凸部の上辺がスラブ厚の1/3以上
    1/2以下、底辺がスラブ厚の1/3以上3/4以下、
    高さがスラブ厚の1/20以上1/10以下であり、下段凸
    部の上辺が上段底辺よりも10mm以上30mm以下の範囲で
    大、底辺がスラブ厚よりも10mm以上30mm以下の範囲で大
    であり、且つ、2段の凸部の高さがスラブ厚の1/4以
    下であることを特徴とする請求項1記載の熱間スラブの
    幅プレス用金敷。
JP8016490A 1996-02-01 1996-02-01 熱間スラブの幅プレス用金敷 Pending JPH09206871A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101817055A (zh) * 2010-04-12 2010-09-01 燕山大学 径向旋转精锻机用的v字锥型锤砧
CN112170798A (zh) * 2020-08-28 2021-01-05 东北大学 一种应用于连铸大方坯的生产线及其锻轧方法
CN114618892A (zh) * 2022-03-30 2022-06-14 马鞍山钢铁股份有限公司 一种治理热轧带钢边部线状缺陷的方法

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