JP3257472B2 - 連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列および熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents

連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列および熱延鋼帯の製造方法

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JP3257472B2 JP26482797A JP26482797A JP3257472B2 JP 3257472 B2 JP3257472 B2 JP 3257472B2 JP 26482797 A JP26482797 A JP 26482797A JP 26482797 A JP26482797 A JP 26482797A JP 3257472 B2 JP3257472 B2 JP 3257472B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は連続鋳造設備で鋳造
した熱間長尺スラブを熱間加工工程に直送し、粗加工お
よび仕上圧延を行って熱延鋼帯を製造するための連続鋳
造・熱延鋼帯装置設備列およびこの設備列を用いた熱延
鋼帯の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、連続鋳造スラブからの薄鋼板(鋼
帯)の製造は熱間圧延によって行われており、従来の熱
延鋼帯の製造方法では、スラブを加熱炉で再加熱した
後、粗圧延および仕上圧延によって所定の板厚とし、ラ
ンナウトテーブル上で所定温度まで冷却してからコイラ
でコイル状に巻き取っている。
【0003】このような従来の圧延方式(以下、これを
“バッチ圧延”という)では、熱延鋼帯の先端部が仕上
圧延機群を出てからコイラに巻き付くまでの間、および
熱延鋼帯の後端部が仕上圧延機群を出てからコイラに巻
き終わるまでの間が無張力状態となり、このため特に薄
物鋼帯においては鋼帯先端部および後端部がランナウト
テーブル上で激しく波打つ現象が起こる。このため鋼帯
先端部および後端部は、その冷却が不十分となって材質
不良部分となりやすく、製品歩留りの低下を招く。
【0004】また、バッチ圧延では熱延鋼帯の最大長さ
は、圧延可能な最大スラブ寸法、すなわちスラブ厚と加
熱炉挿入可能スラブ長で規定されてしまう。さらに、上
記のようにバッチ圧延ではランナウトテーブル上での鋼
帯先後端の走行が不安定であるため、鋼帯先端部の圧延
速度を600mpm程度の低速とし、鋼帯先端部がコイ
ラに巻き付いてから加速して1000mpm以上の定常
圧延速度とし、次いで、鋼帯後端部が仕上圧延機群を出
る直前から再び減速することを繰り返す速度制御を行っ
ている。そのため鋼帯先端から後端までを定常圧延速度
で圧延するよりも鋼帯圧延時間が長くなり、その分生産
効率が悪い。加えて、先行鋼帯の圧延と後行鋼帯の圧延
間で圧延が行われない空転時間が生じ、このことがさら
に生産効率を悪くしている。
【0005】このようなバッチ圧延に対して、板厚が1
00mm未満の薄スラブを連続鋳造し、このスラブを全
く切断することなく仕上圧延までを行い、所定の板厚の
熱延鋼帯とした後切断するという圧延方法も提案されて
いる。しかし、一般に連続鋳造機の生産能力は圧延機よ
りも劣っているため、この方法では十分な生産量を確保
することができない。
【0006】このため従来、100mm以上の板厚のス
ラブを用いた熱延鋼帯の製造法に関し、バッチ圧延の歩
留まり上の問題の回避と高生産性の確保を目的とした提
案がいくつかなされている。先ず、熱延鋼帯先後端部の
材質不良による歩留まり低下という問題に対しては、特
開平4−89109号等において、先行するシートバー
(粗圧延終了後の材料)の後端と後行するシートバーの
先端を接合し、複数のシートバーを連続的に仕上圧延し
て熱延鋼帯を得る圧延方法(以下、これを“連続熱間圧
延法”という)が提案されている。
【0007】この連続熱間圧延法では、例えばn本のシ
ートバーを接合した場合、これらシートバーにより得ら
れる各鋼帯間では仕上圧延機−コイラ間の張力付与状態
が維持されるため、鋼帯コイルn本分の圧延を行っても
ランナウトテーブル上での波打ちによる材質不良発生
は、1本目の鋼帯コイル先端部に相当する部分とn本目
の鋼帯コイル後端部に相当する部分だけで済み、このた
めバッチ圧延に較べて歩留まりが向上する。また、ラン
ナウトテーブル上での鋼帯先後端の走行安定性を確保す
るための低速圧延も、1本目の鋼帯コイル先端部に相当
する部分とn本目の鋼帯コイル後端部に相当する部分だ
けについて行えばよく、それ以外では定常圧延速度で鋼
帯を圧延できるため、バッチ圧延に較べて圧延時間が短
くなり、その分生産効率も向上する。加えて、接合した
シートバーによる鋼帯間では圧延が行われない空転時間
が生じないため、この面でも生産効率が向上する。
【0008】しかし、この連続熱間圧延法で行われる粗
圧延はバッチ圧延と同じであるため、各シートバー先後
端にタングやフィッシュテールと呼ばれる平面形状不良
部分が生じる。このためシートバーどうしを接合するた
めには、仕上圧延前にシートバー先後端の平面形状不良
部分を切断除去する必要がある。したがって、例えばn
本のシートバーを接合するためにn本のスラブを粗圧延
すれば、切断部分(クロップ)は2n個発生することに
なり(このクロップ発生はバッチ圧延と同量である)、
これにより歩留まり低下は避けられない。また、シート
バーどうしの接合時には接合部を加熱する必要があるた
め、熱影響により僅かではあるが材質不良が発生する。
さらに、連続熱間圧延法ではシートバーの接合部分の強
度が弱いために、仕上圧延中に接合部が破断してライン
停止を余儀なくされるおそれもある。
【0009】また、スラブを連続鋳造で鋳造するとスラ
ブカットおよび端面仕上によりカットロスが発生する
が、連続熱間圧延法ではスラブ長はバッチ圧延と同じで
あるため、バッチ圧延と同量のカットロスが発生する。
さらに、加熱炉から抽出したスラブのみで連続熱間圧延
法を行うと、一般には加熱炉の加熱能率は圧延機の圧延
能率よりも低いため、圧延機の圧延能率を活かし切れな
いことになる。
【0010】また、特開昭57−106403号には、
先行スラブと後行スラブの端部を接合し、この接続され
たスラブをプラネタリミル群、仕上圧延機群で連続的に
圧延する連続熱間圧延設備列が提案されている。この方
式ではスラブを接合して連続圧延を行うため、クロップ
カットに伴う歩留まり低下は避けられるが、上記特開平
4−89109号と同様に接合部分の強度が弱いため、
圧延中にその部分から破断するおそれがある。
【0011】特開昭57−106409号には、ロータ
リキャスタから抽出されたスラブをプラネタリミル群と
仕上圧延機群とにより連続圧延する連続熱間圧延設備
が、また、特開昭59−85305号には、ロータリキ
ャスタでスラブを抽出し、このスラブをロールキャスト
圧延機で圧延し、一旦コイルボックスに巻き取った後、
仕上圧延機群で所定の板厚に圧延する連続熱間圧延ライ
ンがそれぞれ提案されている。
【0012】上記特開昭59−85305号によれば、
ロータリキャスタによる鋳造は、板厚200mm程度の
鋳造スラブを最大10mpm程度の速度で鋳造できる可
能性があるとしているが、これまでにそのような高い生
産性での鋳造に成功したという報告例はなく、現状では
高生産性を目的とする熱間圧延ラインへの適用は考えに
くい。また、この方式では鋳造中の割れの問題や、矩形
断面スラブへの適用が困難であるといった問題もある。
【0013】また、上記特開昭57−106409号や
特開昭59−85305号で用いているようなプラネタ
リミルやロールキャスト圧延機には後述するような種々
の問題点があり、熱間圧延工程への実際の適用は難し
い。また、特開昭59−92103号には、最大で転炉
1チャージ分の連続鋳造を行い、この連続鋳造スラブを
大圧下圧延機にてシートバーに成形後、アップエンド状
態に巻き取ってシートバーコイルとし、このシートバー
コイルを巻き戻して後段圧延機により仕上圧延を行って
所定の板厚とし、コイラで巻取り中に切断する圧延方式
が提案されている。
【0014】この特開昭59−92103号の圧延方法
によれば、最大で転炉1チャージ分の長尺スラブを圧延
するため、クロップカット部はスラブ先後端部の2個所
しかなく、上述した連続熱間圧延法と較べてクロップカ
ットやスラブカットに伴う歩留まり低下が小さいという
利点がある。また、同号の提案では、設備を複数の連続
鋳造機−粗圧延機群と単独の仕上圧延ラインとから構成
し、複数の粗圧延機群から単独の仕上圧延ラインにシー
トバーコイルを供給することにより、連続鋳造設備の生
産能力と仕上圧延ラインの生産能力のアンバランス(一
般に、連続連鋳能力<仕上圧延能力)による圧延能率低
下を防止している。
【0015】しかし、この圧延方式においてシートバー
をアップエンド状態に巻き取り/巻き戻しを行うために
はシートバーを90度捩じる必要があり、このシートバ
ーを捩じるための設備が必要となる。また、例えば重量
100tの連続鋳造スラブのおおよそのサイズは100
0mm幅×250mm厚×50m長さであるが、これを
シートバーコイルに圧延すると直径4m以上で重量が1
00tの巨大なコイルとなり、コイリング設備も非常に
巨大なものとなってしまう。また、シートバーをコイリ
ングするとシートバー表面どうしが接触して擦過するた
め表面疵が発生するという問題点があり、表面性状の良
好な熱延鋼帯を製造できなくなる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、このような従来技術の課題を解決し、連続鋳造さ
れた鋼帯コイル複数本分に相当する長さ(“通常長さの
熱延鋼帯コイル複数本分に相当する長さの熱延鋼帯が得
られるスラブ長さ”、以下同様)の熱間長尺スラブから
高い生産効率で熱延鋼帯を製造することができ、しかも
内部欠陥等のない優れた品質の熱延鋼帯を得ることがで
きる連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列およびこの設備列を
用いた熱延鋼帯の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るための本発明の特徴は以下の通りである。 [1] 熱間スラブを連続鋳造する連続鋳造設備と、該連続
鋳造設備で鋳造された熱間スラブをシートバーに減厚加
工する粗加工設備と、該粗加工設備で得られたシートバ
ーを圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上圧延機群
と、該熱延鋼帯を巻き取るコイラとを、この順に配置し
た連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列であって、前記粗加工
設備が減厚加工手段の少なくとも一部として鍛造加工手
段を有し、且つ前記仕上圧延機群とコイラ間に熱延鋼帯
を走間で切断する手段を設けたことを特徴とする連続鋳
造・熱延鋼帯製造設備列。
【0018】[2] 上記[1]の設備列において、粗加工設
備を、連続鋳造設備出側と仕上圧延機群入側との中間点
よりも仕上圧延機群寄りに配置したことを特徴とする連
続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。 [3] 上記[1]または[2]の設備列において、再加熱したス
ラブを粗加工設備に供給できる加熱炉を、連続鋳造設備
−粗加工設備−仕上圧延機群−コイラからなる設備列に
対して併設したことを特徴とする連続鋳造・熱延鋼帯製
造設備列。 [4] 上記[1]〜[3]のいずれかの設備列において、連続鋳
造設備内、連続鋳造設備と粗加工設備との間、粗加工設
備内、粗加工設備と仕上圧延機群との間、のうちの1箇
所以上に、被加工材を保熱および/または加熱するため
の手段を設けたことを特徴とする連続鋳造・熱延鋼帯製
造設備列。
【0019】[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの連続鋳造・
熱延鋼帯製造設備列を用いた熱延鋼帯の製造方法であっ
て、連続鋳造設備において厚さが100mm以上で且つ
熱延鋼帯コイル複数本分に相当する長さの熱間長尺スラ
ブを鋳造し、該熱間長尺スラブを粗加工設備に供給して
少なくとも鍛造加工手段による大圧下の減厚加工を施す
ことによりシートバーに加工し、引き続き該シートバー
を仕上圧延機群で圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とし、
次いでコイラに巻き取るとともに、必要に応じて熱延鋼
帯を走間で切断し、所定の巻き取り長さの熱延鋼帯コイ
ルを得ることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
【0020】[6] 上記[5]の製造方法において、連続鋳
造設備出側で、熱間スラブを熱延鋼帯コイル複数本分に
相当する長さの長尺スラブに切断し、該熱間長尺スラブ
を粗加工設備に供給することを特徴とする熱延鋼帯の製
造方法。 [7] 上記[5]または[6]の製造方法において上記[3]また
は[4]の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列を用いた熱延鋼
帯の製造方法であって、連続鋳造設備から供給された熱
間長尺スラブの粗加工設備での減厚加工が完了後、連続
鋳造設備から次の熱間長尺スラブの供給があるまでの
間、加熱炉から抽出された通常長さの再加熱スラブを粗
加工設備に供給し、該再加熱スラブから粗加工設備での
減厚加工と仕上圧延機での圧延を経て熱延鋼帯を製造す
ることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列は、連続鋳造設
備と熱間圧延工程とを直結した直送圧延技術を利用し、
熱延鋼帯コイル複数本分に相当し且つ最大で転炉1チャ
ージ分に相当する長さのスラブ(以下、“長尺スラブ”
という)を連続鋳造し、直送圧延(但し、一部で圧延以
外の加工を行う)を行うことを可能とする設備であり、
熱間スラブを連続鋳造する連続鋳造設備と、該連続鋳造
設備で連続鋳造された熱間スラブをシートバーに減厚加
工する粗加工設備と、該粗加工設備で得られたシートバ
ーを圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上圧延機群
と、該熱延鋼帯を巻き取るコイラとをこの順に配置した
設備構成を有する。
【0022】本発明の連続鋳造・圧延設備列のように、
熱延鋼帯コイル複数本分(例えば、鋼帯コイルn本分)
に相当する長さの熱間長尺スラブを鋳造し、これを減厚
して熱延鋼帯を製造する方式では、鋼帯コイルn本分を
圧延しても仕上圧延前にクロップとして切り捨てる数は
スラブ先後端の2個だけである。また、従来の連続熱間
圧延法のように材料どうしの接合を行う必要がないた
め、接合部の強度低下や接合部の局部加熱による材質変
動等の問題も生じ得ない。さらに、鋼帯コイルn本分に
相当する圧延を行っても、ランナウトテーブル上での波
打ちによる材質不良の発生は、1本目の鋼帯コイル先端
部に相当する部分とn本目の鋼帯コイル後端部に相当す
る部分だけで済み、従来のバッチ圧延に較べて歩留まり
が向上する。また、スラブカット時のカットロスについ
ても同様である。
【0023】また、最大で転炉1チャージ分に相当する
長さのスラブを連続的に圧延することで、より高い歩留
まり向上効果を得ることができる。また、連続熱間圧延
法のようにシートバーをコイリングしたときに発生する
表面疵の問題も生じない。さらに、ランナウトテーブル
上での鋼帯先後端の走行安定性を確保するための低速圧
延についても、1本目の鋼帯コイル先端部に相当する部
分とn本目の鋼帯コイル後端部に相当する部分だけにつ
いて行えばよく、それ以外は定常圧延速度で圧延できる
ため圧延時間が短くなり、生産効率が向上する。加え
て、少なくとも鋼帯コイルn本分については鋼帯間での
圧延を行わない空転時間が生じないため、その分さらに
生産効率が向上する。
【0024】ところで、長尺スラブを圧延して熱延鋼帯
にする場合、通常の圧延方法では1パス当りの圧下量に
制約があるため、一般には複数パスの圧延が必要とな
る。この場合の圧延方式としてはレバース圧延またはタ
ンデム圧延の適用が考えられるが、両圧延方式とも長尺
スラブの圧延に適用した場合にはそれぞれ以下のような
問題があり、実際上その適用は難しい。
【0025】先ず、長尺スラブをレバース圧延により粗
圧延する方法では、圧延機前後の設備長が非常に長大と
なり、また、レバース圧延によって材料を繰り返し圧延
する際、長尺スラブはスラブ長が長い分材料の空冷時間
が長くなり、材料が持つ熱量が放散してしまうという問
題がある。
【0026】一方、長尺スラブをタンデム圧延により粗
圧延する方法では、レバース圧延に較べて圧延中の材料
の空冷時間が少ないため、材料の熱量の放散は少なくて
済む。しかし、この方法では粗圧延のパス数と同じ数の
圧延機が必要となるため設備コストが高くなる。
【0027】また、長尺スラブの場合には粗圧延して得
られるシートバーが長くなるため、シートバーが粗圧延
機群出側と仕上圧延機群入側の間の区間内に入り切らな
くなり、仕上圧延機と粗圧延機で同時にタンデム圧延が
行われることになる可能性がある。その場合、圧延速度
は仕上圧延機出側速度に依存することになるため、粗圧
延上流側の圧延機では低速の圧延となる。例えば、スラ
ブ厚を200mm、仕上圧延機出側速度を1000mp
mとすると、製品厚が3mmのときは粗圧延機入側速度
は60mpm、製品厚が1mmのときは粗圧延機入側速
度は20mpmとなり、非常な低速圧延となる。そし
て、この粗圧延上流側の圧延機をロール径1200m
m、圧下量60mmとすると、ロールと材料の接触時間
は0.5秒以上にもなり、従来圧延の4倍以上も長い接
触時間となる。通常、スラブ温度は1000〜1200
℃程度であるから、粗圧延上流側の圧延ロールは長時間
にわたって高温かつ高負荷下におかれることになり、現
在用いられている圧延ロール材質ではヒートアタックに
より正常な表層を保持し得ない。
【0028】以上のような理由から、長尺スラブの粗圧
延に通常の圧延方法(タンデム圧延、レバース圧延)を
適用することは難しい。したがって、長尺スラブをシー
トバーまで適切に減厚加工するには、1パスで大圧下を
施すことができる圧下手段を備えることにより、少ない
パス数で所定の減厚が可能であり、しかも圧下手段がヒ
ートアタックによる損傷を生じることがない加工設備を
用いる必要があると考えられ、また、このように材料に
大圧下を施すことにより加工発熱が大きくなるため、シ
ートバーとしたときの材料の温度降下も通常圧延の場合
よりも小さくできる利点がある。ここで“大圧下”と
は、具体的には30%以上、好ましくは50%以上の圧
下率(減厚率)を指す。
【0029】ところで、先に述べた従来技術(特開昭5
7−106409号および特開昭59−85305号)
では、スラブの大圧下手段としてプラネタリミルやロー
ルキャスト圧延機を用いている。しかし、これらの手段
を用いた場合、粗圧延での温度降下を小さくできるとい
う利点はあるものの、以下のような問題がある。 (1) プラネタリミルやロールキャスト圧延機は自力で材
料を噛み込むことができないため、圧延機の入側からピ
ンチロールで材料を押し込む必要があるが、このピンチ
ロールの部分では、上記タンデム圧延の場合と同じくヒ
ートアタックによるロール表層の損傷が避けられない。
【0030】(2) プラネタリミルやロールキャスト圧延
機による圧延は加工様式としては鍛造に近いとも言える
が、基本的には小径ロールによる微少延伸(圧延)の繰
り返しである。このため圧延後の幅端部がVエッジと呼
ばれる2枚板形状となり、後工程で幅端のトリミングが
必要になるため歩留まりが悪いという問題がある。 (3) プラネタリミルやロールキャスト圧延機は、その機
構上の制約から圧延速度を大きく変化させることが難し
いため、タンデム型ストリップミルに適用するには生産
性が悪い。
【0031】(4) 連続鋳造スラブは板厚中央部付近に空
隙などの内部欠陥が発生しやすいが、通常の粗圧延では
ロールの材料に対する接触弧長に比して板厚が大きいた
め、圧下歪が板厚中央部まで浸透しにくく、内部欠陥が
解消されにくい。このため、場合によっては仕上圧延出
側においても内部欠陥が残存することがある。この点、
上記のプラネタリミルやロールキャスト圧延機ではロー
ルの材料に対する接触弧長が極端に短く、通常の粗圧延
にも増して圧延歪が板厚中央部に浸透しにくいため、内
部欠陥が残存する危険性は通常の粗圧延に較べてさらに
高い。
【0032】このようにスラブを減厚加工するための大
圧下手段としてプラネタリミルやロールキャスト圧延機
を用いることには種々の問題があり、このため実際上の
適用は困難である。そこで本発明者らは、これらに代わ
る新たな大圧下手段として鍛造加工手段を用いることを
考えた。この鍛造加工手段によれば、上記プラネタリミ
ルやロールキャスト圧延機のような制約を受けることな
く1回の圧縮成形でスラブの板厚を大幅に減少させるこ
とができるとともに、長尺スラブの減厚加工手段として
以下のような利点がある。
【0033】(1) 鍛造加工を行う加工手段は、加工中に
材料に対する接触と離反を繰り返すため、高温の材料と
の接触時間は圧延に較べて短い。このため高温スラブと
の接触により鍛造金型が損傷するようなことがない。 (2) スラブは金型により板厚表裏面から拘束されるため
幅端部でVエッジが発生するようなことはなく、むしろ
シングルバルジ変形となりやすい。このため次工程での
トリミングの必要がなく、歩留まりが高い。
【0034】(3) 鍛造加工は圧延とは違って材料に作用
する応力の静水圧成分が高くなる特徴がある。このため
材料に存在する内部欠陥が圧着しやすい。また、上述し
たように大きな圧下量(圧縮成形による減厚量)を得る
ことができるため圧下歪が大きく取れ、この点からも内
部欠陥の圧着には有利である。本発明者らによる実験
(図2)によれば、スラブを板厚方向で鍛造加工により
圧縮成形した場合、内部欠陥は1回の圧縮成形当りの鍛
造圧下率(={[1回の圧縮成形による板厚の減少分]
/[当該圧縮成形前の板厚]}×100)が30%以上
で十分に低減され、鍛造圧下率50%以上でほぼ完全に
解消することができる。 (4) 金型と材料の接触長さを調整することで、材料から
金型への抜熱が小さく、且つ加工発熱が大となる条件を
選ぶことができる。さらに、大圧下が可能であるため1
回の圧縮成形で大きな加工発熱が得られる。
【0035】図1は、従来の熱間圧延ラインにおける粗
圧延設備と減厚加工手段として鍛造装置を備えた粗加工
設備をそれぞれ用い、厚さ250mmスラブを厚さ30
mmのシートバーに減厚加工したときの当該設備内での
材料の温度降下量を試算したものであり、これによれ
ば、鍛造加工手段を備えた粗加工設備を用いることによ
り、材料温度降下量を従来の熱間圧延ラインで粗圧延す
る場合に較べて1/3程度にできることが判る。したが
って、粗加工設備入側のスラブ温度が従来の熱間圧延ラ
インのそれと等しければ、仕上圧延入側温度は従来の熱
間圧延ラインよりも高くなり、このため仕上圧延出側温
度を材料のAr3点以上とすることが容易になる。
【0036】以上のような理由から本発明の設備では、
粗加工設備を構成する減厚加工手段の少なくとも一部と
して鍛造加工手段を設ける。この場合、粗加工設備は、
熱間スラブを大圧下で減厚加工できる1または2以上の
鍛造加工手段(鍛造装置)だけで構成してもよいし、或
いは1または2以上の鍛造加工手段と他の減厚加工手
段、例えば1または2以上の粗圧延機とを組み合わせて
構成してもよい。また、鍛造加工手段は加工用の金型で
スラブを1回または2回以上圧下(圧縮成形)し、これ
を減厚加工するものであるが、その構造や機構、機能等
に特別な制約はない。
【0037】また、鋼帯コイル複数本分の長さに相当す
る熱延鋼帯を通常のコイラで一度に巻き取ることはでき
ないため、本発明の設備では走行中の熱延鋼帯を走間で
切断できる手段を仕上圧延機群とコイラ間に設ける。通
常、この切断手段は走間シャーにより構成される。本発
明の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列を構成する他の設備
については、従来使用されている形式のものを適用する
ことができ、熱間スラブをシートバーとした後は大圧下
の必要はないため、仕上圧延機群についても従来使用さ
れている通常の設備でよい。
【0038】長尺スラブの減厚加工によって得られるシ
ートバーは非常に長くなり、このためシートバーを粗加
工設備出側と仕上圧延機群入側との間の区間に収めるこ
とはほとんど不可能である。したがって、粗加工と仕上
圧延をタンデムとして加工が行われることになるが、粗
加工設備による減厚加工を終了したシートバーはスラブ
よりも板厚が薄く温度降下しやすいことから、シートバ
ーである時間はなるべく短い方がよい。このため粗加工
設備は、連続鋳造設備出側と仕上圧延機群入側との中間
点よりも仕上圧延機群寄りの位置、より望ましくは仕上
圧延機群入側になるべく近い位置に配置することが好ま
しい。
【0039】また、連続鋳造設備出側、粗加工設備出
側、仕上圧延機群出側での各材料体積速度を比較する
と、通常、連続鋳造設備出側の材料体積速度が一番小さ
い。したがって、長尺スラブを鋳造後、一旦切断した後
に粗加工設備での減厚加工を開始した方が圧延速度が速
くなり、ひいては材料の温度低下を小さくすることがで
きる。したがってこのような観点からは、連続鋳造設備
出側にスラブ切断手段を設け、鋳造されたスラブを鋼帯
複数本分に相当する長さの長尺スラブに切断し、この長
尺スラブを粗加工設備に供給して減厚加工を行うように
することが好ましい。
【0040】また、鋼帯コイルn本分に相当する長尺ス
ラブの鋳造には、通常長さのスラブ鋳造の約n倍の時間
がかかる。そこで、通常長さのスラブを加熱できる加熱
炉を設備列に対して併設し、長尺スラブの鋳造中は加熱
炉から通常長さの再加熱スラブを抽出して粗加工設備に
供給するようにすれば、長尺スラブの鋳造中における粗
加工設備の非稼動時間を最小限にすることができ、熱延
鋼帯の生産性がさらに向上する。したがって、再加熱し
たスラブを粗加工設備に供給できる加熱炉を、連続鋳造
設備−粗加工設備−仕上圧延機群−コイラからなる設備
列に対して併設することが好ましい。通常、この加熱炉
は連続鋳造設備−粗加工設備間のラインに並ぶ位置に併
設される。
【0041】鋼帯コイル複数本分に相当する長さの長尺
スラブを鋼帯に圧延する場合、スラブ長が長いために連
続鋳造設備内にスラブを保持する時間や圧延時間、圧延
待機時間が長くなり、バッチ圧延に較べて鋼帯製造中の
材料の温度低下が大きくなる。そこで、連続鋳造設備
内、連続鋳造設備と粗加工設備との間、粗加工設備
内、粗加工設備と仕上圧延機群との間、のうちの少な
くとも1箇所以上に被加工材からの熱放出を抑制するた
めの保熱装置または被加工材をオンラインで加熱できる
加熱装置若しくは上記保熱、加熱の両機能を兼ね備えた
装置を設けることが望ましい。
【0042】次に、以上述べたような連続鋳造・熱延鋼
帯製造設備列を用いた本発明による熱延鋼帯の製造方法
について説明する。連続鋳造設備では、厚さが100m
m以上のスラブが鋳造される。一般に連続鋳造設備では
鋳造されるスラブの厚さが大きくなるほど生産能力も増
大し、十分な生産能力を得るには厚さ100mm以上の
スラブを鋳造する必要がある。また、厚さ100mm未
満のスラブでは、粗加工設備で大圧下による減厚加工を
行わなくてもシートバー厚となってしまうため、大圧下
の減厚加工を施すことができず、このため大圧下加工に
よりスラブの内部欠陥を解消することができなくなる。
【0043】連続鋳造設備で鋳造された熱間スラブを、
切断しないまま連続して粗加工設備に装入(この場合に
は、転炉1チャージ分に相当する長さの長尺スラブを連
続して装入)するか、若しくはスラブ切断手段により鋼
帯コイル複数本分に相当する長さの長尺スラブに切断し
た後、粗加工設備に装入し、減厚加工手段の一部または
全部が鍛造加工手段で構成された粗加工設備においてシ
ートバー厚まで減厚加工する。
【0044】鍛造加工手段による1回の圧縮成形当りの
鍛造圧下率(={[1回の圧縮成形による板厚の減少
分]/[当該圧縮成形前の板厚]}×100)は30%
以上、望ましくは50%以上とすることが好ましく、こ
れによりスラブ板厚中央部の内部欠陥もほとんど消滅
し、品質の良好な熱延鋼帯を製造できる。図2は鍛造加
工手段による1回の圧縮成形当りの鍛造圧下率とシート
バーの内部欠陥発生率との関係を示しており、これによ
れば1回の圧縮成形当りの鍛造圧下率を30%以上とす
ることにより内部欠陥の発生率は0.01%以下に抑え
られ、また、鍛造圧下率50%以上では内部欠陥発生率
は0.001%程度となり、内部欠陥はほぼ完全に解消
している。なお、鍛造加工手段による熱間スラブの圧縮
成形の回数は任意であり、所望の減厚量(粗加工設備が
他の減厚加工手段を有する場合には、この減厚加工手段
による減量量との関係で決まる所望の減厚量)に応じて
1回または2回以上の圧縮成形が施される。
【0045】上記のように熱間長尺スラブを粗加工設備
で減厚加工してシートバーとした後、引き続きこのシー
トバーを仕上圧延機群にて所定の板厚まで仕上圧延して
熱延鋼帯とし、これをコイラで巻取り、熱延鋼帯コイル
とする。また、コイラに巻取られる熱延鋼帯は、1鋼帯
コイルの長さ毎に走間で切断される。以上のようなスラ
ブおよびシートバーの加工工程において、先に述べた
〜の箇所のうちの1箇所以上に設けられた保熱および
/または加熱装置でスラブやシートバーを保熱および/
または加熱することにより、鋼帯製造中における材料の
温度低下を適切に防止することができる。
【0046】鋳造されたスラブを鋼帯コイル複数本分に
相当する長さの長尺スラブに切断した後、粗加工を行な
う方式では、予め加熱炉で通常長さのスラブを加熱して
おき、粗加工設備において先行の長尺スラブの減厚加工
が完了した後、連続鋳造設備から次の長尺スラブが供給
されるまでの間、加熱炉から抽出した再加熱スラブを粗
加工設備に供給し、このスラブから熱延鋼帯を製造する
ことができる。このように粗加工設備において、連続鋳
造設備側から直送される長尺スラブの減厚加工と加熱炉
から供給される再加熱スラブの減厚加工を適宜組み合わ
せて実施することにより、長尺スラブの鋳造中において
も粗加工設備を稼動させることができ、生産効率をより
高めることができる。この方法によれば、例えば粗加工
設備において連続鋳造設備側から直送される長尺スラブ
の減厚加工だけを行った場合に較べ、生産効率を約10
%程度も高めることができる。
【0047】図3は、以上述べた本発明による熱延鋼帯
の製造方法と従来法である連続熱間圧延法およびバッチ
圧延法について、製造されれる鋼帯コイル本数と製品歩
留まりとの関係を示したもので、本発明による熱延鋼帯
の製造方法によれば、従来法に較べて良好な歩留まりが
得られることが判る。
【0048】図4(A)〜(C)は、それぞれ本発明の
連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列とこの設備列による熱延
鋼帯の製造プロセスの実施形態を示している。図4
(A)において、1は連続鋳造設備、2は粗加工設備、
3は仕上圧延機群、4は走間シャー、5a,5bはコイ
ラであり、この実施形態では粗加工設備2は1基の板厚
鍛造装置6だけで構成されている。この実施形態の連続
鋳造・熱延鋼帯製造設備列は、連続鋳造設備1で鋳造さ
れた熱間長尺スラブを切断することなく、連続的に減厚
加工、仕上圧延して熱延鋼帯とするようにした設備列で
ある。
【0049】図4(A)の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備
列では、連続鋳造設備1で鋳造された熱間長尺スラブ2
0を切断しないまま粗加工設備2に供給し、この粗加工
設備2を構成する板厚鍛造装置6で鍛造加工してシート
バー厚まで減厚し、引き続き仕上圧延機群3にて所定の
製品板厚まで圧延して熱延鋼帯21とし、これをコイラ
5で巻取り、鋼帯コイルとする。この際、先ずコイラ5
aで鋼帯21を巻き取り、製品コイルとして所定の巻き
取り長さになったところで走間シャー4によって走行中
の鋼帯21を切断し、この切断部より後行の鋼帯21を
コイラ5bで巻き取る。そして、このコイラ5bについ
ても製品コイルとして所定の巻き取り長さになったとこ
ろで走間シャー4によって鋼帯21を切断し、上記と同
様に鋼帯21を巻き取るコイラをコイラ5bからコイラ
5aへと切り替える。
【0050】図4(B)は本発明の他の実施形態を示す
もので、この実施形態の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列
は、連続鋳造設備1の出側に図示しないスラブ切断手段
を備えており、鋳造されたスラブを所定の長さの長尺ス
ラブ(例えば、熱延鋼帯コイル3本分以上に相当するの
長さのスラブ)に切断し、この熱間長尺スラブを減厚加
工して熱延鋼帯とするようにした設備列である。また、
連続鋳造設備1と粗加工設備2間のオフラインには、通
常長さのスラブを加熱する加熱炉13を併設している。
その他、連続鋳造設備1、粗加工設備2、仕上圧延機群
3、走間シャー4、コイラ5a,5b等の構成は図4
(A)の実施形態と同様である。
【0051】この図4(B)の連続鋳造・熱延鋼帯製造
設備列では、連続鋳造設備1で鋳造されたスラブをスラ
ブ切断手段により例えば熱延鋼帯コイル3本分以上に相
当するの長さの長尺スラブ20に切断し、この熱間長尺
スラブ20を粗加工設備2を構成する板厚鍛造装置6で
鍛造加工してシートバー厚まで減厚し、引き続き仕上圧
延機群3にて所定の製品板厚まで圧延して熱延鋼帯21
とし、これをコイラ5で巻取り、鋼帯コイルとする。こ
の際、図4(A)の場合と同様に、先ずコイラ5aで鋼
帯21を巻き取り、製品コイルとして所定の巻き取り長
さになったところで走間シャー4によって走行中の鋼帯
21を切断し、この切断部より後行の鋼帯21をコイラ
5bで巻き取る。そして、このコイラ5bについても製
品コイルとして所定の巻き取り長さになったところで走
間シャー4によって鋼帯21を切断し、上記と同様に鋼
帯21を巻き取るコイラをコイラ5bからコイラ5aへ
と切り替える。
【0052】また、連続鋳造設備1での長尺スラブ20
の鋳造にはある程度時間がかかるため、予め加熱炉13
で通常長さのスラブを加熱しておき、粗加工設備2で先
行する長尺スラブ20の加工が完了した後、次の長尺ス
ラブ20が連続鋳造設備1から粗加工設備2に供給され
るまでの間、加熱炉13から抽出した再加熱スラブを粗
加工設備2に供給し、この再加熱スラブから熱延鋼帯を
製造する。
【0053】図4(C)は本発明の他の実施形態を示す
もので、この実施形態の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列
は、粗加工設備2の減厚加工手段を前段の板厚鍛造装置
6と後段の粗圧延機7とで構成するとともに、連続鋳造
設備1内の出側付近に保熱装置8を、連続鋳造設備1と
粗加工設備2の間に保熱装置9を、粗加工設備2内の板
厚鍛造装置6と粗圧延機7の間に保熱装置10を、粗加
工設備2と仕上圧延機群3との間に保熱装置11をそれ
ぞれ設け、さらに、該保熱装置11と仕上圧延機群3と
の間に、シートバーの板端および/または板全面を加熱
できる加熱装置12を設けたものである。その他、連続
鋳造設備1、粗加工設備2、仕上圧延機群3、走間シャ
ー4、コイラ5a,5b、加熱炉13、連続鋳造設備出
側のスラブ切断手段等の構成は図4(A)、(B)に示
される実施形態と同様である。
【0054】この図4(C)の連続鋳造・熱延鋼帯製造
設備列では、連続鋳造設備1で鋳造されたスラブをスラ
ブ切断手段により例えば熱延鋼帯コイル3本分以上に相
当するの長さの長尺スラブ20に切断し、この熱間長尺
スラブ20を粗加工設備2を構成する板厚鍛造装置6と
粗圧延機7で順次鍛造加工および粗圧延してシートバー
厚まで減厚し、引き続き仕上圧延機群3にて所定の製品
板厚まで圧延して熱延鋼帯21とし、これをコイラ5で
巻取り、鋼帯コイルとする。この際の鋼帯21の巻き取
り方法は、上述した図4(A)、(B)と同様である。
【0055】また、この実施形態では、上記のような保
熱装置8,9,10,11および加熱装置12を設置す
ることで被加工材の温度降下を効果的に抑制することが
でき、このため連続鋳造設備1の出側でのスラブ温度を
低くできるとともに、所定の仕上圧延出側温度を確保す
ることが容易になる。
【0056】上記保熱装置8〜11としては、通常、セ
ラミックスファイバーや金属箔等で内張りされた保熱カ
バーが用いられ、このような保熱カバーを用いることに
より、被加工材からの熱放散を効果的に抑制することが
できる。また、保熱装置の内側にガスバーナー等の加熱
手段を設け、この加熱手段による加熱によって放熱分の
温度補償を行うようにすることも可能である。
【0057】なお、保熱装置としてはコイルボックス等
の使用も考えられるが、このようなコイルボックスを本
発明設備に適用することは事実上困難である。コイルボ
ックスは被圧延材をコイル状に巻き取ることができるた
め、テーブル上に被圧延材を放置するよりも熱の散逸が
少なく、仕上圧延の待機時間中の材料の温度低下防止に
は有効な手段となり得る。しかし、このようなコイルボ
ックスを本発明設備に適用した場合、鋼帯コイル複数本
分に相当する長さのシートバーを巻き取る必要があるこ
とからコイルボックスが巨大化してしまい、したがっ
て、このような巨大な装置を設備内に設置することは事
実上困難である。
【0058】上記加熱装置12のように、被加工材をオ
ンラインで加熱するための装置としては種々の方式のも
のが考えられる。特に、板全面を加熱する手段として
は、応答性や加熱効率が良好で且つ被接触での加熱が可
能であることなどから、誘導加熱方式による加熱手段が
優れている。また、加熱による温度分布の均一性、設備
コスト、被加工材の板厚範囲での加熱効率などの面か
ら、誘導加熱方式のなかでも特にソレノイド型の誘導加
熱装置が優れている。
【0059】図4(C)に示すように連続鋳造・熱延鋼
帯製造設備列内に保熱装置8,9,10,11と加熱装
置12(ソレノイド型誘導加熱装置)を設置し、必要に
応じて加熱装置12によりシートバーの補助的加熱を行
った場合について、本発明者らが仕上圧延出側温度を試
算したところ、仕上圧延出側温度は全サイズにおいて従
来(従来の熱間圧延ラインでの圧延)よりも20℃程度
も高くできることが判った。これは連続鋳造設備出側で
のスラブ温度を50〜100℃程度も低くできることを
意味している。
【0060】なお、図4(A)〜(C)の各実施形態で
使用している板厚鍛造装置6は、例えば同図に示すよう
に製造ライン上流側の金型面が傾斜状に、これに続く製
造ライン下流側の金型面がストレート状に構成された金
型を有する構造とし、このような金型を用いてスラブに
1回または2回以上の圧下(圧縮成形)を施すことがで
きる装置としてあるが、板厚鍛造機装置の構造や機能等
はこれに限定されるものではなく、スラブを板厚方向で
圧縮成形して減厚加工できる鍛造装置であれば、その構
造や機能等は問わない。
【0061】また、上記図4(A)〜(C)の各実施形
態からも判るように、粗圧延設備2は板厚鍛造装置を含
む1または2以上の減厚加工手段により構成することが
でき、その場合、1または2以上の板厚鍛造装置6だけ
で構成しても、或いは1または2以上の板厚鍛造装置6
と他の減厚加工手段、例えば1または2以上の粗圧延機
7とを組み合わせて構成してもよい。後者の場合には、
例えば図4(C)の実施形態に示すように、板厚鍛造装
置6の製造ライン上流側および/または下流側に粗圧延
機7等の減厚加工手段を設けることができる。
【0062】また、粗加工設備2や仕上圧延機群3内に
は、被加工材の板幅を調整するための手段を設けること
ができる。また、粗圧延設備1が製造ライン上流側の板
厚鍛造装置6と製造ライン下流の粗圧延機7とからなる
場合、スラブの鍛造(圧縮成形)を1回または2回以上
行う板厚鍛造装置6と連続的な圧延を行う粗圧延機7と
の速度差を解消するための、速度緩衝手段を粗加工設備
2内に設けてもよい。なお、本発明の連続鋳造・熱延鋼
帯製造設備列は、上述した図4(A)〜(C)の実施形
態に限定されるものではなく、上述した説明に従い種々
の形態を採り得る。
【0063】
【発明の効果】以上述べたように本発明の連続鋳造・熱
延鋼帯製造設備列によれば、コンパクトな設備構成の下
で、連続鋳造された鋼帯コイル複数本に相当する長さの
熱間スラブから高い生産効率で熱延鋼帯を製造すること
ができ、しかも内部欠陥のない高品質の熱延鋼帯を得る
ことができる。
【0064】また、設備列に対して通常長さのスラブを
加熱することができる加熱炉を併設し、粗加工設備にお
いて連続鋳造設備側から直送される熱間長尺スラブの減
厚加工と加熱炉から供給される再加熱スラブの減厚加工
とを適宜組み合わせて実施することにより、長尺スラブ
の鋳造中においても粗圧延設備を稼動させることがで
き、これにより生産効率をさらに高めることができる。
【0065】さらに、連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列の
適所に被加工材を保熱および/または加熱できる手段を
設ることにより、仕上圧延出側温度の確保が容易とな
り、また、連続鋳造設備出側のスラブ温度を従来よりも
低くすることもできるため、従来に較べて熱延鋼帯の製
造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の粗圧延設備における材料温度降下量と鍛
造装置を備えた粗加工設備における材料温度降下量を比
較して示すグラフ
【図2】粗加工設備での鍛造加工手段による1回の圧縮
成形当りの鍛造圧下率とシートバーの内部欠陥発生率と
の関係を示すグラフ
【図3】本発明の製造法と従来技術の製造法について、
製造される鋼帯コイル本数と製品歩留まりとの関係を示
すグラフ
【図4】本発明の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列とこの
設備列による熱延鋼帯の製造プロセスの実施形態を示す
説明図
【符号の説明】
1…連続鋳造設備、2…粗加工設備、3…仕上圧延機
群、4…走間シャー、5a,5b…コイラ、6…板厚鍛
造装置、7…粗圧延機、8,9,10,11…保熱装
置、12…加熱装置、13…加熱炉、20…スラブ、2
1…鋼帯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B21B 15/00 B21B 15/00 B 45/00 45/00 H B21J 1/04 B21J 1/04 B22D 11/12 B22D 11/12 A (72)発明者 寺内 琢雅 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 岡崎 慎二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 山科 修一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−230712(JP,A) 特開 平4−46606(JP,A) 特開 昭61−249053(JP,A) 特開 昭61−286035(JP,A) 特開 昭62−192241(JP,A) 特開 平8−164460(JP,A) 特開 平10−211504(JP,A) 特開 平10−277601(JP,A) 特開 平4−89109(JP,A) 特開 昭57−106403(JP,A) 特開 昭57−106409(JP,A) 特開 昭59−85305(JP,A) 特開 昭59−92103(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 13/22 B21B 1/00 B21B 1/26 B21B 1/46 B21B 15/00 B21B 45/00 B21J 1/04 B22D 11/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間スラブを連続鋳造する連続鋳造設備
    と、該連続鋳造設備で鋳造された熱間スラブをシートバ
    ーに減厚加工する粗加工設備と、該粗加工設備で得られ
    たシートバーを圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕
    上圧延機群と、該熱延鋼帯を巻き取るコイラとを、この
    順に配置した連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列であって、 前記粗加工設備が減厚加工手段の少なくとも一部として
    鍛造加工手段を有し、且つ前記仕上圧延機群とコイラ間
    に熱延鋼帯を走間で切断する手段を設けたことを特徴と
    する連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。
  2. 【請求項2】 粗加工設備を、連続鋳造設備出側と仕上
    圧延機群入側との中間点よりも仕上圧延機群寄りに配置
    したことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造・熱延
    鋼帯製造設備列。
  3. 【請求項3】 再加熱したスラブを粗加工設備に供給で
    きる加熱炉を、連続鋳造設備−粗加工設備−仕上圧延機
    群−コイラからなる設備列に対して併設したことを特徴
    とする請求項1または2に記載の連続鋳造・熱延鋼帯製
    造設備列。
  4. 【請求項4】 連続鋳造設備内、連続鋳造設備と粗加工
    設備との間、粗加工設備内、粗加工設備と仕上圧延機群
    との間、のうちの1箇所以上に、被加工材を保熱および
    /または加熱するための手段を設けたことを特徴とする
    請求項1、2または3に記載の連続鋳造・熱延鋼帯製造
    設備列。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4に記載の連続
    鋳造・熱延鋼帯製造設備列を用いた熱延鋼帯の製造方法
    であって、連続鋳造設備において厚さが100mm以上
    で且つ熱延鋼帯コイル複数本分に相当する長さの熱間長
    尺スラブを鋳造し、該熱間長尺スラブを粗加工設備に供
    給して少なくとも鍛造加工手段による大圧下の減厚加工
    を施すことによりシートバーに加工し、引き続き該シー
    トバーを仕上圧延機群で圧延して所定の板厚の熱延鋼帯
    とし、次いでコイラに巻き取るとともに、必要に応じて
    熱延鋼帯を走間で切断し、所定の巻き取り長さの熱延鋼
    帯コイルを得ることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
  6. 【請求項6】 連続鋳造設備出側で、熱間スラブを熱延
    鋼帯コイル複数本分に相当する長さの長尺スラブに切断
    し、該熱間長尺スラブを粗加工設備に供給することを特
    徴とする請求項5に記載の熱延鋼帯の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項3または4に記載の連続鋳造・熱
    延鋼帯製造設備列を用いた熱延鋼帯の製造方法であっ
    て、連続鋳造設備から供給された熱間長尺スラブの粗加
    工設備での減厚加工が完了後、連続鋳造設備から次の熱
    間長尺スラブの供給があるまでの間、加熱炉から抽出さ
    れた通常長さの再加熱スラブを粗加工設備に供給し、該
    再加熱スラブから粗加工設備での減厚加工と仕上圧延機
    群での圧延を経て熱延鋼帯を製造することを特徴とする
    請求項5または6に記載の熱延鋼帯の製造方法。
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