JP2004122162A - 連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列および熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱間スラブを連続鋳造する連続鋳造設備と、該連続鋳造設備で鋳造された熱間スラブを粗バーに減厚加工する粗圧延機群と、粗バーをコイル状に巻取るコイルボックスと、該粗バーを圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上圧延機群と、仕上圧延機群にて所定の板厚に減厚された熱延鋼帯をインラインにて通常熱延鋼帯コイル1本分づつに切断するシャーと、該熱延鋼帯を巻取るコイラーとを、この順に配置した連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列であって、連続鋳造設備にて通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブを鋳造し、該長尺スラブを粗圧延機群にて一方向タンデム圧延により粗バーに減厚することを特徴とする連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は連続鋳造設備で鋳造した長尺スラブを熱間加工工程に直送し、粗圧延及び仕上圧延を行なって熱延鋼帯を製造するための連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列およびこの設備列を用いた熱延鋼帯の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、連続鋳造スラブからの薄鋼板(鋼帯)の製造は熱間圧延によって行なわれており、従来の熱延鋼帯の製造方法では、スラブを加熱炉で再加熱した後、粗圧延および仕上圧延によって所定の板厚とし、ランナウトテーブル上で所定温度まで冷却してからコイラーでコイル状に巻取っている。
【0003】
このような従来の圧延方式(以下、これを「バッチ圧延」という)では、熱延鋼帯の先端部が仕上圧延機群を出てからコイラーに巻付くまでの間、および熱延鋼帯の後端部が仕上圧延機群を出てからコイラーに巻取られるまでの間が無張力状態となり、特に薄物鋼帯においては鋼帯先端部および後端部がランナウトテーブル上で激しく波打つ現象が起こる。このため鋼帯先端部および後端部は、その冷却が不十分となって材質不良部分となりやすく、製品歩留りの低下を招いている。
【0004】
また、バッチ圧延では熱延鋼帯の最大長さは、圧延可能な最大スラブ寸法であるスラブ厚と加熱炉装入可能スラブ長で規定されてしまう。さらに、上記のようにバッチ圧延ではランナウトテーブル上での鋼帯先後端の走行が不安定であるため、例えば薄物材では鋼帯先端部の圧延速度を600mpm程度とし、鋼帯先端がコイラーに巻付いてから加速して1000mpm以上の定常圧延速度とし、次いで鋼帯後端が仕上圧延機群を出る直前から再び減速する、いわゆる加速圧延を行なっている。そのため、鋼帯先端から後端までを定常圧延速度で圧延するよりも鋼帯圧延時間が長くなり、その分生産効率が悪い。加えて、先行鋼帯の圧延と後行鋼帯の圧延間で圧延が行なわれない空転時間が生じ、このことが更に生産効率を悪くしている。
【0005】
このような従来の熱延鋼帯製造方法に対し、バッチ圧延の歩留り上の問題の回避と高生産性の確保を目的とした提案がいくつかなされている。
【0006】
まず、熱延鋼帯先後端部の材質不良による歩留り低下という問題に対しては、先行する粗バーの後端と後行する粗バーの先端とを走間にて接合し、複数の粗バーを連続的に仕上圧延して熱延鋼帯を得る圧延方法(以下、これを「連続熱間圧延方法」という)が提案されている。(例えば特許文献1参照。)。
【0007】
この連続熱間圧延方法では、鋼帯先後端部の非定常部は1本目の粗バーの先端部と連続接合された最後の粗バーの後端部のみであり、それ以外では高速での定常圧延が可能となる。これにより、バッチ圧延に比べて歩留りの向上と生産性の向上などを図ることができる。
【0008】
また、最大で転炉1チャージ分の連続鋳造を行ない、この連続鋳造スラブを大圧下圧延機にて粗バーに成形後、これを巻取って粗バーコイルとし、この粗バーコイルを巻戻して後段圧延機により仕上圧延を行なって所定の板厚とし、コイラーで巻取り中に切断する圧延方式が知れている(以下、これを「長尺スラブ圧延」という)。この方式では、長尺スラブであるがゆえ粗バー先後端部の非定常部は各々1つしかなく、歩留り低下が小さいという利点がある。また、通常、連続鋳造機によるスラブの鋳造能率は圧延ラインの能率と比べるとかなり低いが、この方式には複数の連続鋳造機―大圧下圧延機による粗バー製造ラインと1つの仕上げ圧延ラインを組み合わせることにより圧延能率の低下を防いでいることが知られている。(例えば特許文献2参照。)。
【0009】
また特許文献2では、その実施例に図示されているように、スラブの連続鋳造と粗圧延が同時に行なわれ、かつこの粗圧延機としてはプラネタリーミルのごとく大圧下圧延機を使用することが示されている。また、長尺スラブであるがゆえ粗バーコイルが大単重となるため、コイル軸心が水平になった状態で発生するコイル潰れなどを防止するために、大圧下圧延機にて加工された粗バーを90度捩ってアップエンド状態(コイル軸心がコイル搬送面に対して垂直になるような姿勢)に巻取り、その状態から仕上圧延に供する時には逆に90度捩り返す方法を提案している。
【0010】
【特許文献1】
特開平4−89109号公報
【0011】
【特許文献2】
特開昭59−92103号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の複数の粗バーの溶接接合による連続熱間圧延方法では、接合するために各粗バー先後端部のタング(舌形状)、フィッシュテール(魚の尻尾形状)などの平面形状不良部をクロップとして切り落とす必要があり、この部分の歩留り落ちはバッチ圧延の場合と同じである。また、溶接接合部は熱影響により材質不良となってしまうため歩留りロスとなる他、溶接が不十分な場合には仕上圧延機のスタンド間にて破断し、ライン停止を余儀なくされ逆に生産能率を阻害する要因となることもある。また、連続熱間圧延方法では、接合された粗バーの最先端部を除き定常速度での圧延が可能であるが、接合以前は異なるコイルボックスに巻取られるため、粗バー間での温度差が生ずることが不可避であり、定常速度で圧延した場合には粗バーでの温度差に相当した材質のばらつきが生ずるという問題点がある。
【0013】
また、特許文献2のプラネタリーミルでの圧延方法は、加工様式が小径ロールによる微少延伸の繰り返しであるため、圧延後の幅端部がVエッジと呼ばれる2枚板形状となり、熱間圧延工程の後行程として板端部のトリミングが必要になるため歩留りが悪いという問題点がある。また、粗バーをアップエンドで巻取った場合、下側になっている板端側はコイル置き台と接しているが、片や逆板端は空冷状態であることから、板幅に沿った温度分布が発生しやすく、仕上圧延での不通板安定や板幅方向の材質不均一を発生させてしまうという問題点がある。また、特許文献2の方法では、連続鋳造スラブの直送圧延による熱延鋼帯製造のみを対象としたものであり、鋳造スラブのオフラインでの手入れが必要な表面厳格材などの高表面品質材が製造できないという問題点がある。
【0014】
さらに、通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブを、粗圧延工程にて一方向のタンデム圧延にて粗バーに減厚する場合、板厚が厚い状態である前段圧延ではスラブ温度が高く、かつタンデム圧延であるが故に必然的に圧延速度が遅くなるため、圧延時にロール表面への入熱量が非常に大きなる。このため、ロール表層は大きな熱負荷を受け、ロール表面の肌荒れや、ひどい場合には熱亀裂の発生からロール表層のバンディング(部分剥離、駆落ち)に至ることもあり、その結果、熱延鋼帯の表面品質を大きく損ねたり、ロ−ル交換を余儀なくされることもある。
【0015】
ここで、通常長さのスラブとは、長尺スラブより短く、且つ複数本の熱延鋼帯コイルに切断されない、通常の加熱炉に装入して加熱できる長さのスラブを意味する。通常長さのスラブの大きさは、加熱炉、コイラーの能力差によって一概には決められないが、おおよそ、長さが約6m〜約10m、幅が約700mm〜約2000mm、厚さが約200mm〜約300mmである。
【0016】
本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブを用いて高い生産効率で、且つ長手方向の材質の均一性の高い熱延鋼帯を製造することができる連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列および熱延鋼帯の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列および熱延鋼帯の製造方法は以下のような特徴を有する。
【0018】
(1)熱間スラブを連続鋳造する連続鋳造設備と、該連続鋳造設備で鋳造された熱間スラブを粗バーに減厚加工する粗圧延機群と、粗バーをコイル状に巻取るコイルボックスと、該粗バーを圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上圧延機群と、仕上圧延機群にて所定の板厚に減厚された熱延鋼帯をインラインにて通常熱延鋼帯コイル1本分づつに切断するシャーと、該熱延鋼帯を巻取るコイラーとを、この順に配置した連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列であって、連続鋳造設備にて通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブを鋳造し、該長尺スラブを粗圧延機群にて一方向タンデム圧延により粗バーに減厚することを特徴とする連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。
【0019】
(2) 粗圧延機群の第1スタンドのロールバイト入口直近に、ロールバイト側に向かって冷却水を噴射するように、長尺スラブ表面冷却用の冷却ノズルを配置することを特徴とする上記(1)に記載の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。
【0020】
(3) 粗圧延機群とコイルボックス間、またはコイルボックスと仕上圧延機群間のいずれか一方に粗バーの加熱装置を配置することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。
【0021】
(4)再加熱した通常長さのスラブを粗圧延機群に供給できる加熱炉を、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列に併設したことを特徴とする連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。
【0022】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列を用いた熱延鋼帯の製造方法であって、連続鋳造設備において通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブを鋳造し、該長尺スラブを粗圧延機群にて一方向タンデム圧延により減厚して粗バーに加工し、該粗バーをコイルボックスにて巻取り、必要に応じて粗圧延機群とコイルボックス間、またはコイルボックスと仕上圧延機群間のいずれか一方に配置された加熱装置により粗バーを加熱し、引き続き該粗バーを仕上圧延機群で圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とし、次いでコイラーに巻取るとともに、必要に応じて熱延鋼帯を走間で切断し、所定の巻取り長さの熱延鋼帯コイルを得ることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
【0023】
(6)仕上圧延機群での圧延を一定速度で行なうことを特徴とする上記(5)に記載の熱延鋼帯の製造方法。
【0024】
(7)連続鋳造設備から供給された長尺スラブの粗圧延機群での減厚加工が完了後、連続鋳造設備から次の長尺スラブの供給があるまでの間、加熱炉から抽出された通常長さの再加熱スラブを粗圧延機群に供給し、該再加熱スラブから粗圧延機群での減厚加工と仕上圧延機群での圧延を経て熱延鋼帯を製造することを特徴とする上記(5)または(6)に記載の熱延鋼帯の製造方法。
【0025】
(8) 粗圧延機群の第1スタンドのロールバイト入口直近に、ロールバイト側に向かって冷却水を噴射するように配置された、長尺スラブ表面冷却用の冷却ノズルを用いて冷却水を噴射し、ロールバイト直前のスラブ表面の温度を低下させることを特徴とする上記(5)乃至(7)のいずれかに記載の熱延鋼帯の製造方法。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列の一実施形態であり、熱間スラブ9を連続鋳造する連続鋳造設備1と、この連続鋳造設備1で鋳造された熱間スラブ9を粗バーに減厚加工する粗圧延機群2と、粗バーをコイル状に巻取るコイルボックス3と、このコイルボックス3より払い出された粗バーを加熱する加熱装置7と、この粗バーを圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上圧延機群4と、仕上圧延機群4にて所定の板厚に減厚された熱延鋼帯をインラインにて通常熱延鋼帯コイル1本分づつに切断するシャー5と、この熱延鋼帯を巻取るコイラー6とを、この順に配置した連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列である。
【0027】
また、仕上圧延機群4の出側には熱延鋼帯を所定の巻き取り温度にまで冷却するランナウト冷却装置10が配置される。
【0028】
前記粗圧延機群2は、例えば連続鋳造スラブの厚さを200〜250mm程度とした場合、4〜5台の水平圧延機により構成すればよい。また、この粗圧延機群は,通常の2Hiあるいは4Hiの水平圧延機からなり、特許文献2のごとく大圧下圧延機を用いる必要はない。これにより、プラネタリーミルでの圧延によって生じる粗バー幅端部のVエッジなどによる歩留り悪化を伴うことがない。
【0029】
前記コイルボックス3は、粗バーをコイル状に巻取り、この状態で熱伝導により粗バー長手方向、板幅方向の温度を均等化する。
【0030】
前記粗バーの加熱装置7は、硬質材の仕上圧延機での圧延荷重を軽減するためや、薄物仕上材圧延時の仕上温度確保などのために粗バーを加熱するものであるが、通常、誘導加熱方式またはトンネル炉などのガス燃焼方式の加熱炉を用いるとよい。
【0031】
以下、上記設備構成を用いた本発明法の一実施形態を説明する。
【0032】
連続鋳造設備1において通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブ9を鋳造し、この長尺スラブ9を粗圧延機群2にて一方向タンデム圧延により減厚して粗バーに加工し、この粗バーをコイルボックス3にて巻取り、その後粗バーをコイルボックス3より巻戻した後、コイルボックス3と仕上圧延機群4間に配置された加熱装置7により粗バーを加熱し、引き続きこの粗バーを仕上圧延機群4で圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とし、次いでコイラー6に巻取るとともに、必要に応じて熱延鋼帯を走間で切断し、所定の巻取り長さの熱延鋼帯コイルを得る。
【0033】
また、図2は本発明による連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列の他の実施形態であり、図1の実施形態とは粗バー加熱装置7の配置が異なるのみである。つまり、熱間スラブ9を連続鋳造する連続鋳造設備1と、この連続鋳造設備1で鋳造された熱間スラブ9を粗バーに減厚加工する粗圧延機群2と、粗圧延機群2にて減厚された粗バーを加熱する装置7と、粗バーをコイル状に巻取るコイルボックス3と、この粗バーを圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上圧延機群4と、この仕上圧延機群4にて所定の板厚に減厚された熱延鋼帯をインラインにて通常熱延鋼帯コイル1本分づつに切断するシャー5と、この熱延鋼帯を巻取るコイラー6とを、この順に配置した連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列である。
【0034】
また、仕上圧延機群4の出側には熱延鋼帯を所定の巻き取り温度にまで冷却するランナウト冷却装置10が配置される。
【0035】
前記粗バー加熱装置7は、粗バーの温度低下を避けるため、できるだけコイルボックス3に近い位置に配置することが望ましい。粗バーの幅端部のみを加熱するエッジヒーターをこの粗バーの全体加熱装置7の前後に併設することも可能である。
【0036】
以下、上記設備構成を用いた本発明法の一実施形態を説明する。
【0037】
連続鋳造設備1において通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブ9を鋳造し、この長尺スラブ9を粗圧延機群2にて一方向タンデム圧延により減厚して粗バーに加工し、粗圧延機群2にて減厚された粗バーを加熱装置7により加熱し、加熱後の粗バーをコイルボックス3にて巻取り、その後コイルボックス3より巻戻した後、この粗バーを仕上圧延機群4で圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とし、次いでコイラー6に巻取るとともに、必要に応じて熱延鋼帯を走間で切断し、所定の巻取り長さの熱延鋼帯コイルを得る。
【0038】
なお、図1および図2に示す両実施形態において、連続鋳造設備1と粗圧延機群2とは極力近づけることが望ましいが、既設備等を利用し、連続鋳造設備1と粗圧延機群2間距離が離れている場合には、その間にスラブを保温する保護カバーとか、スラブを加熱する誘導加熱装置等のスラブの保加熱装置を配置することによりスラブの温度低下を防止することが望ましい。
【0039】
図3は、長尺スラブ表面冷却用の冷却ノズルの配置の一例を示す説明図である。
【0040】
図3において、9はスラブ、11は高圧水を噴射するデスケーリングノズル、12は長尺スラブ表面冷却用の冷却ノズル、13は粗圧延機群の第1スタンドの圧延ロール、14はスラブの両端面を圧延するエッジャーロール、15はスラブを搬送するテーブルロールを示す。
【0041】
本発明では、図3に示すように粗圧延機群の第1スタンドのロールバイト入口直近にロールバイト側に向かって冷却水を噴射するように配置された、長尺スラブ表面冷却用の冷却ノズル12を用いて冷却水を噴射し、ロールバイト直前のスラブ表面の温度を低下させることが好ましい。
【0042】
通常、粗圧延機群の第1スタンドのロールバイト直前では、高圧水を噴射するデスケーリングノズル11を用いて、高圧水噴射により酸化スケールを吹き飛ばすデスケーリングが行われている。デスケーリングでは、剥離した酸化スケールがロールバイトに噛み込まれて鋼板表面に疵をつけぬよう、通常は圧延方向と逆方向に傾斜して高圧水が噴射されている。本発明では、粗圧延機群の第1スタンドのデスケーリングノズル11とロールバイトとの間に、スラブ表面と裏面に対応してそれぞれに冷却ノズル12をロールバイト側に傾斜させて配置して冷却水を噴射し、圧延ロールと接触する直前のスラブ表面の温度を低下させている。圧延時のロールへの入熱量は、スラブの表面温度と圧延ロールの表面温度との温度差に比例するので、スラブ表面から圧延ロール表面への熱の移動を低減させることが可能となり、結果として圧延ロールの熱損傷を低減することが可能となる。なお、本冷却水の噴射はデスケーリングのような高圧である必要はない。また、冷却ノズルをロールバイト側に傾斜させる理由は、デスケーリング水との干渉を防ぐこと、冷却ノズルと圧延ロールとの間に完全に水膜層を形成させて、冷却効率を高めることなどの理由による。この段階では、スラブ厚みは200〜300mmと厚い状態であり、短時間の表面冷却による断面全体の平均温度の低下は非常に少ない。
【0043】
本発明法においては、長尺スラブを粗圧延機群にて一方向タンデム圧延により減厚して粗バーに加工し、コイルボックスに巻取るため、粗バー全長、全幅に亘る均熱性に優れるという特徴があり、かつ特許文献2で問題となるような幅端部不良が発生することもない。このことより、仕上圧延機群での圧延を加減速すること無しに一定速度にて行なうことが可能となる。コイルボックスに巻取った場合、コイルボックスを用いない粗バ−ままの状態では不可避である後端部にかけての温度低下量が少なくなるため、後端部での温度低下を補償するために行われる加速圧延を行う必要がないからである。これにより、材質の均一性に非常に優れた熱延鋼帯の製造が可能となり、また、圧延時間を短縮することができ、スラブから粗バーを製造する際の温度低下を小さくすることが可能となる。
【0044】
以上の発明実施の形態は、通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブの圧延に関するものであるが、圧延ラインに併設された加熱炉を用いて再加熱された通常長さのスラブの圧延についても長手方向の材質均一化に関して全く同様の効果が得られ、長尺スラブ鋳造タイミングと再加熱スラブ圧延を適宜組み合わせることにより、圧延機の稼働率を最大限に高めることが可能であり、高い生産性を確保することが可能である。また、上記のスラブ加熱炉を併設し、再加熱スラブでの圧延を行なうことにより、通常、スラブ表面の溶削などの手入れが必要である表面厳格材の製造も可能である。
【0045】
【実施例】
表1は、図1と図2に示した本発明による連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列にてスラブの厚さを230mm、スラブの長さを通常長さのスラブ約5本に相当する50mとし、この長尺スラブを4台の粗圧延機群にて40mmの粗バーに減厚し、仕上圧延機群にて1.2mmの仕上板厚に減厚した際の、スラブ先端部と後端部について粗圧延機群入側、粗圧延機群出側直近、コイルボックス入側、仕上圧延機群入側、仕上圧延機群出側に設置された温度計の計測値を示したものである。なお、コイルボックスを用いた場合、粗バーは巻取られた後に払い出されるため、粗バー後端部が仕上圧延での先端部となる。
【0046】
【表1】
【0047】
表1によれば、図1および図2のいずれの形態においても、粗バーの加熱装置により仕上圧延機入側温度を確保すれば、熱延鋼帯全長に亘って必要な圧延仕上温度を確保することができることが判る。
【0048】
また、図4は、図1に示した実施形態の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列において、長尺スラブより製造された熱延鋼帯全長に亘り仕上圧延機群の出側に設置された温度計にて計測された仕上温度の推移と、コイラー前のシャーで1本づつの熱延鋼帯コイルに分割して巻取った各熱延鋼帯コイルについて、板幅中心部の降伏点と引張強さを測定した結果を示した図である。
【0049】
また、図5は、図2に示した他の実施形態の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列において、長尺スラブより製造された熱延鋼帯全長に亘り仕上圧延機群の出側に設置された温度計にて計測された仕上温度の推移と、コイラー前のシャーで1本づつの熱延鋼帯コイルに分割して巻取った各熱延鋼帯コイルについて、板幅中心部の降伏点と引張強さを測定した結果を示した図である。
【0050】
これら図4および図5の実施例において、対象とした鋼種の仕上目標温度は800℃であり、仕上圧延速度は熱延鋼帯コイル先端から後端に至るまで700mpmで一定である。降伏点、引張強さともに熱延鋼帯コイル全長に亘りほぼ均一となっていることが判る。なお、本実施例ではいずれも粗バー加熱装置にて100℃程度の昇温を実施しているが、仕上板厚が厚い場合には仕上圧延機群内での温度降下量が減少するため、必ずしも粗バー加熱装置を使用する必要はない。
【0051】
図6および図7は、粗圧延機群入側板厚230mm、出側板厚160mmで、粗圧延機群の第1スタンドのロール径1293mm、初期材料温度1188℃、ロールバイト入口直前での冷却長(図7に記載の表面冷却区間)約200mmの場合の、粗圧延機群の第1スタンドのロールバイト直近に配置したスラブ表面冷却用の冷却ノズルの効果を確認した実施例である。
【0052】
図6は、粗圧延機群の第1スタンドのロールバイト直近にスラブ表面冷却用の冷却ノズルを配置した場合の圧延中のロール表面温度の変化を示すグラフであり、図7は同圧延中のスラブ表面温度の変化を示すグラフである。両図とも、比較のためロールバイト入口直近に冷却ノズルを配置しなかった場合の温度変化も示してある。図7にて明らかなように、本発明によるロールバイト直近での表面冷却を行った場合、スラブ表面温度は急激に400℃程度低下している。これにより、スラブ表面と圧延ロール表面との温度差が低減するため、圧延ロールへの入熱量が減少し、図6ではスラブ表面冷却を行わなかった場合と比較してロール表面温度が約100℃低下している。圧延ロール表面がロールバイト内にて達する最高温度が低下することにより、ロール表面が受ける熱負荷が大きく軽減されるため、本発明による方法を採用した場合には、粗圧延機群の第1スタンドの圧延ロールの肌荒れは、下流側の粗圧延機とほぼ同程度であった。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列によれば、通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブを用いて高い生産効率でかつ長手方向の材質均一性に優れた熱延鋼帯を製造することができる。また、本製造設備列に対して通常長さのスラブを加熱することができる加熱炉を併設し、粗圧延機において連続鋳造設備側より直送される長尺スラブの粗圧延と加熱炉から供給される再加熱スラブの粗圧延とを適宜組み合わせて実施することにより、長尺スラブの鋳造中においても粗圧延設備を稼動させることができ、これにより生産効率を更に高めることができる。また、粗圧延機群の第1スタンドのロールバイト直近にスラブ表面冷却用の冷却ノズルを配置した場合、本圧延ロールの肌荒れを大幅に低下できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列の一実施形態を示す説明図
【図2】本発明による連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列の他の実施形態を示す説明図
【図3】本発明による長尺スラブ表面冷却用の冷却ノズルの配置の一例を示す説明図
【図4】図1に示す連続鋳造・熱延鋼帯設備列で製造された熱延鋼帯コイルの仕上温度、降伏点、引張強さの長手方向分布を示す図
【図5】図2に示す連続鋳造・熱延鋼帯設備列で製造された熱延鋼帯コイルの仕上温度、降伏点、引張強さの長手方向分布を示す図
【図6】圧延中のロール表面温度の変化を示すグラフ
【図7】圧延中のスラブ表面温度の変化を示すグラフ
【符号の説明】
1 連続鋳造設備
2 粗圧延機群
3 コイルボックス
4 仕上圧延機群
5 シャー
6 コイラー
7 粗バー加熱装置
8 スラブ加熱炉
9 スラブ
10 ランナウト冷却装置
11 デスケーリングノズル
12 冷却ノズル
13 粗圧延機群の第1スタンドの圧延ロール
14 エッジャーロール
15 テーブルロール
Claims (8)
- 熱間スラブを連続鋳造する連続鋳造設備と、該連続鋳造設備で鋳造された熱間スラブを粗バーに減厚加工する粗圧延機群と、粗バーをコイル状に巻取るコイルボックスと、該粗バーを圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とする仕上圧延機群と、仕上圧延機群にて所定の板厚に減厚された熱延鋼帯をインラインにて通常熱延鋼帯コイル1本分づつに切断するシャーと、該熱延鋼帯を巻取るコイラーとを、この順に配置した連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列であって、連続鋳造設備にて通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブを鋳造し、該長尺スラブを粗圧延機群にて一方向タンデム圧延により粗バーに減厚することを特徴とする連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。
- 粗圧延機群の第1スタンドのロールバイト入口直近に、ロールバイト側に向かって冷却水を噴射するように、長尺スラブ表面冷却用の冷却ノズルを配置することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。
- 粗圧延機群とコイルボックス間、またはコイルボックスと仕上圧延機群間のいずれか一方に粗バーの加熱装置を配置することを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。
- 再加熱した通常長さのスラブを粗圧延機群に供給できる加熱炉を、請求項1乃至3のいずれかに記載の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列に併設したことを特徴とする連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の連続鋳造・熱延鋼帯製造設備列を用いた熱延鋼帯の製造方法であって、連続鋳造設備において通常長さのスラブ複数本分に相当する長尺スラブを鋳造し、該長尺スラブを粗圧延機群にて一方向タンデム圧延により減厚して粗バーに加工し、該粗バーをコイルボックスにて巻取り、必要に応じて粗圧延機群とコイルボックス間、またはコイルボックスと仕上圧延機群間のいずれか一方に配置された加熱装置により粗バーを加熱し、引き続き該粗バーを仕上圧延機群で圧延して所定の板厚の熱延鋼帯とし、次いでコイラーに巻取るとともに、必要に応じて熱延鋼帯を走間で切断し、所定の巻取り長さの熱延鋼帯コイルを得ることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
- 仕上圧延機群での圧延を一定速度で行なうことを特徴とする請求項5に記載の熱延鋼帯の製造方法。
- 連続鋳造設備から供給された長尺スラブの粗圧延機群での減厚加工が完了後、連続鋳造設備から次の長尺スラブの供給があるまでの間、加熱炉から抽出された通常長さの再加熱スラブを粗圧延機群に供給し、該再加熱スラブから粗圧延機群での減厚加工と仕上圧延機群での圧延を経て熱延鋼帯を製造することを特徴とする請求項5または6に記載の熱延鋼帯の製造方法。
- 粗圧延機群の第1スタンドのロールバイト入口直近に、ロールバイト側に向かって冷却水を噴射するように配置された、長尺スラブ表面冷却用の冷却ノズルを用いて冷却水を噴射し、ロールバイト直前のスラブ表面の温度を低下させることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の熱延鋼帯の製造方法。
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JP2012213807A (ja) * | 2012-06-20 | 2012-11-08 | Baoshan Iron & Steel Co Ltd | 効率的且省エネルギーな帯鋼連続鋳造及び連続圧延プロセス |
CN110479763A (zh) * | 2019-07-19 | 2019-11-22 | 浙江瑞浦科技有限公司 | 一种连铸坯直接热轧成六角不锈钢盘卷的方法 |
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2002
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