JP2016074935A - 溶射用複合粉体材料及び溶射絶縁基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い生産性を実現する溶射用複合粉体材料、及びこれにより製造された溶射絶縁基板、並びに半導体装置を提供する。
【解決手段】平均粒子径が20〜100μmのAlN粒子11を、Al粒子12またはY粒子12の少なくとも一種類により被覆してなる複合粒子を含み、20μm以上AlN粒子の平均粒子径値以下の範囲から選択される所定値未満の平均粒子径を有する微粒子が5体積%未満である、溶射用複合粉体材料1、かかる溶射用複合粉体材料1を銅もしくはアルミニウムからなる基材の一方の面に溶射してなる溶射膜を備える溶射絶縁基板、並びにこれを用いた半導体装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶射用複合粉体材料に関する。本発明は、特には、半導体装置の絶縁基板の製造において特に有用な溶射用複合粉体材料に関する。
従来、従来のパワー半導体用の絶縁層としては、銅板と銅板との間に絶縁性のセラミック層を活性金属や、ロウ付けなどの手法で接合した構造体が使用されている。しかし、その製造工程は長く、生産性が低いものである。
またこのような構造体を樹脂で封止してなる半導体モジュールを用いて、熱衝撃試験を行うと、突出したセラミック層を起点にしてクラックが発生し、絶縁信頼性上問題が生じる場合があった。
プラズマ溶射を用いた構造やプロセスに関する手法としては、平均的な直径が1μm以上10μm未満の略球状をした窒化アルミニウム粒子からなる溶射膜が形成されてなる窒化アルミニウム溶射部材が提案されている(特許文献1を参照)。しかし、特許文献1においては、他の部材との混合粉末を使用しているに過ぎず、また特許文献1に記載の製造方法は、必ずしも、生産性や絶縁信頼性が満足できるものではなかった。
特開2009-235558号公報
溶射部材を製造するにあたって、生産性を向上させうる溶射用複合粉体材料、並びに、このような溶射用複合粉体材料を用いて、高い生産性で製造しうる溶射絶縁基板並びに半導体装置が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、一実施形態によれば、溶射用複合粉体材料であって、平均粒子径が20〜100μmのAlN粒子を、Al粒子またはY粒子の少なくとも一種類により被覆してなる複合粒子を含み、20μm以上AlN粒子の平均粒子径値以下の範囲から選択される所定値未満の平均粒子径を有する微粒子が、5体積%未満である。
前記溶射用複合粉体材料において、20μm未満の平均粒子径を有する微粒子が、5体積%未満であることが好ましい。
前記溶射用複合粉体材料において、室温における安息角が、55°未満であることが好ましい。
前記溶射用複合粉体材料において、室温におけるCarrの流動性指数が、70以上であることが好ましい。
前記溶射用複合粉体材料において、前記Al粒子またはY粒子の平均粒子径が、20μm未満であることが好ましい。
前記溶射用複合粉体材料において、前記Al粒子またはY粒子による被覆の厚みが、1〜30μmであることが好ましい。
本発明は、別の実施形態によれば、溶射用複合粉体材料であって、平均粒子径が20〜100μmのAlN粒子を、Al粒子またはY粒子の少なくとも一種類で被覆する工程と、前記工程により得られた粒子混合物から、20μm以上AlN粒子の平均粒子径値以下の範囲から選択される所定値未満の粒子径を有する微粒子を、分級により除去する工程とを含む方法により調製される。
前記溶射用複合粉体材料において、前記分級により除去する工程が、20μm未満の平均粒子径を有する微粒子が5体積%未満となるように実施されることが好ましい。
前記溶射用複合粉体材料において、前記被覆する工程が、メカノヒュージョン法又は、スプレードライ法によることが好ましい。
本発明は、また別の実施形態によれば、銅もしくはアルミニウムからなる基材の一方の面に、前述のいずれかの溶射用複合粉体材料を溶射してなる溶射膜を備える、溶射絶縁基板である。
本発明は、さらにまた別の実施形態によれば、半導体装置であって、半導体素子と、前記半導体素子の一方の面に接合された前述の溶射絶縁基板と、前記半導体素子の他方の面に接合された外部回路との接続用プリント基板とを含む部材を、封止材で封止してなる。
前記半導体装置において、前記溶射絶縁基板の前記溶射膜面に、溶射により取り付けられた冷却体をさらに含むことが好ましい。
本発明に係る溶射用複合粉体材料は、溶射により例えば、半導体装置を構成する基板の製造において、生産性の向上に寄与することができる。また、本発明に係る溶射用複合粉体材料を用いて製造された溶射絶縁基板は、半導体モジュールの製造において、放熱グリースなどの放熱材を使用することなく、アルミ放熱フィンに取り付けることができる点で、非常に有利である。
図1は、第1実施形態に係る複合粒子の概念図(a)及び電子顕微鏡による1000倍の拡大写真(b)である。 図2は、第1実施形態に係る複合粒子を構成するAlN粒子の概念図(a)及び電子顕微鏡による500倍の拡大写真(b)である。 図3は、第2実施形態による溶射絶縁基板及びその製造方法を模式的に示す断面図である。 図4は、パワー半導体モジュールにおける、本発明に係る溶射絶縁基板及び素子構成の一部を示す概念図である。 図5は、本発明に係る溶射絶縁基板を用いた、半導体モジュールの断面構造を示す概念図である。 図6は、溶射用複合粉体材料の製造において、分級前の粒子混合物の粒子径分布を、レーザ回折散乱式粒度分布測定器により測定した結果を示すグラフである。 図7は、溶射用複合粉体材料の製造において、分級後の粒子混合物の粒子径分布を、レーザ回折散乱式粒度分布測定器により測定した結果を示すグラフである。 図8は、パワー半導体モジュールにおける、従来技術に係る絶縁基板及び素子構成の一部を示す概念図である。 図9は、熱衝撃試験後の比較例の半導体モジュールの、X線透過写真に基づく部分的な模式図である。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
[第1実施形態:溶射用複合粉体材料]
本発明は、第1実施形態によれば、溶射用複合粉体材料であって、平均粒子径が20〜100μmのAlN粒子を、Al粒子またはY粒子の少なくとも一種類により被覆してなる複合粒子を含み、20μm以上AlN粒子の平均粒子径値以下の範囲から選択される所定値未満の平均粒子径を有する微粒子が、5体積%未満である。
図1に、本実施形態に係る複合粒子の概念図及び電子顕微鏡による写真を示す。複合粒子の概念的な断面図である図1(a)を参照すると、複合粒子1は、AlN粒子11を、Al粒子またはY粒子、あるいはそれらの両方12で被覆してなる。また、図1(b)を参照すると、複合粒子1は、その表面に、Al粒子及び/またはY粒子12が付着していることがわかる。
次に、図2は、本実施形態に係る複合粒子を構成するAlN粒子の概念図及び電子顕微鏡による写真を示す。図2(a)を参照すると、AlN粒子11の形状としては、図示するように、断面が略円形、すなわち、略球状のものが好ましいが、プラズマ溶射に用いることができる形状であればよく、ほかにも、角柱状、破砕状および平板状であってもよい。図2(b)を参照すると、AlN粒子は、2〜5μm程度のAlN微粒子をスプレードライ法で造粒後、高温熱処理により焼結した粒子径約50μmの粒子である。
AlN粒子11は、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置により測定した平均粒子径が、20〜100μm、好ましくは、30〜90μm、より好ましくは、40〜70μmのものを用いる。これは、平均粒子径が100μmより大きいと溶射に適さず、20μm未満では、膜のAlN比率が低くなり、好ましい特性が得られないためである。かかるAlN粒子11は、前述のようにスプレードライ法で造粒後、高温熱処理により焼結して得られたものが好ましい。
再び図1(a)を参照すると、Al粒子及び/またはY粒子12による被覆層の厚みは、例えば、1〜30μmであってよく、好ましくは、1〜20μm、より好ましくは、1〜10μmである。被覆層が30μmよりも厚いと、AlN粒子11の熱伝導性が生かせない場合がある。一方、被覆層が1μmよりも薄いと、被覆による十分な効果が得られない場合がある。被覆に用いるAl粒子またはY粒子としては、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置により測定した平均粒子径が、例えば、0.1〜20μmであり、好ましくは、0.2〜15μmであり、さらにより好ましくは、0.3〜12μmである。平均粒子径が20μmよりも大きいと、AlN粒子の被覆がしにくい場合がある。一方、平均粒子径が0.1よりも小さいと、バインダーとしての機能が果たせない場合がある。
AlN粒子を被覆するに際し、Al粒子またはY粒子、あるいはそれらの両方を用いることができる。Al粒子とY粒子との両方を用いる場合には、それらの粒子径は、同一でも異なっていても良い。また、Al粒子とY粒子との両方を用いる場合の質量比は、60:40〜95:5程度とすることが好ましいが、これらには限定されない。
本実施形態による複合粒子1は、AlN粒子11の表面全体が、Al粒子及び/またはY粒子12により被覆されていることが好ましいが、部分的に被覆されていない箇所が存在してもよい。
本実施形態による溶射用複合粉体材料は、上記の複合粒子1を含み、所定の微粒子の含有量が5体積%未満であることを特徴とする。所定の微粒子とは、上記複合粒子1よりも粒子径が小さく、溶射装置の閉塞をもたらしうる粒子であって、具体的には、20μm以上、AlN粒子の平均粒子径値以下の範囲から選択される所定値未満の平均粒子径を有する微粒子をいう。例えば、AlN粒子11の平均粒子径値が100μmの場合には、所定値は、20〜100μmの範囲から目的及び用途に応じて選択することができる。所定値の選択基準としては、溶射装置の仕様や、溶射により製造する対象物の仕様があり得るが、これらには限定されない。したがって、AlN粒子11の平均粒子径値が100μmの場合には、例えば、平均粒子径が70μm未満の微粒子が5体積%未満、あるいは平均粒子径が50μm未満の微粒子が5体積%未満、あるいは平均粒子径が30μm未満の微粒子が5体積%未満、あるいは平均粒子径が20μm未満の微粒子が5体積%未満であってよい。また、例えば、AlN粒子11の平均粒子径値が、50μmの場合には、所定値は20〜50μmの範囲から選択することができ、例えば、平均粒子径が40μm未満の微粒子が5体積%未満、あるいは平均粒子径が30μm未満の微粒子が5体積%未満、あるいは平均粒子径が20μm未満の微粒子が5体積%未満であってよい。なお、AlN粒子11の平均粒子径が、例えば100μm程度と大きい場合には、AlN粒子の平均粒子径が、例えば20〜30μmと小さい場合と比較して、上記所定の微粒子が生じにくく、所定値を20μmとした場合でも、100μmとした場合でも、所定の微粒子の体積割合を5体積%未満程度とすることができ、装置の配管閉塞を防止することが可能である。
当該所定値未満の平均粒子径を有する微粒子の含有量は、好ましくは3%体積以下、より好ましくは2体積%以下、さらに好ましくは1体積%以下である。最も好ましくは、当該微粒子を実質的に含まない。所定値未満の平均粒子径を有する微粒子が、5体積%未満、あるいはそれ以下の好ましい体積%未満となっていることは、例えば、レーザ回折散乱式粒度分布測定器により確認することができる。
次に、本実施形態に係る溶射用複合粉体材料を製造方法の観点から説明する。第1実施形態による溶射用複合粉体材料の好ましい製造方法は、平均粒子径が20〜100μmのAlN粒子を、Al粒子またはY粒子の少なくとも一種類で被覆する工程と、前記工程により得られた粒子混合物から、20μm以上AlN粒子の平均粒子径値以下の範囲から選択される所定値未満の粒子径を有する微粒子を分級により除去する工程とを含む。
(1)被覆工程
第1工程として、AlN粒子を、Al粒子またはY粒子の少なくとも一種類で被覆する工程を実施する。AlN粒子を、Al粒子またはY粒子については、先に説明した平均粒子径を有するものを用いることができる。Al粒子及び/またはY粒子によるAlN粒子の被覆は、種々の方法により実施することができ、当業者であれば、特定の方法に限定されることなく、適切な方法を実施することができる。好ましくは、メカノヒュージョン法又は、スプレードライ法によることができる。
一例として、スプレードライ法によるAl粒子及び/またはY粒子によるAlN粒子の被覆は、AlN粒子と、Al粒子及び/またはY粒子と、バインダー樹脂と、分散剤と、溶媒とを湿式のボールミル処理により、スラリー化し、次いで、スプレードライ法により、噴霧乾燥することで複合粒子を製造することができる。
この場合、バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール、ロジン、澱粉、等を用いることができるが、これらには限定されない。また、分散剤としては、多価アルコールエステル等を用いることができるが、これには限定されない。溶媒としては、例えば、エタノール、アセトン、アセトニトリルなどの、これらの粒子や樹脂と反応性の低い汎用の有機溶媒を用いることができるが、これらには限定されない。
また、上記の所望の厚みで、AlN粒子の表面に、Al粒子及び/またはY粒子の被覆層を設けるためには、AlN粒子100質量部に対し、Al粒子及び/またはY粒子の総質量が、例えば、60〜5質量部となるように、好ましくは、40〜10質量部となるように、スラリーを調製することができる。さらに、その際の、バインダー樹脂の添加量は、AlN粒子100質量部に対し、例えば、20〜0.1質量部、好ましくは、10〜1質量部である。分散剤の添加量は、AlN粒子100質量部に対し、例えば、5〜0.001質量部、好ましくは、1〜0.01質量部である。また、溶媒の量は、AlN粒子100質量部に対し、例えば、50〜500質量部、好ましくは100〜300質量部である。
スプレードライ法を用いて製造した複合粒子においては、緻密なAlN焼結粒子と、Al粒子、Y粒子とは、バインダー樹脂により接合している。
あるいは、乾式プロセスとして、メカノヒュージョン法を用いて複合粒子を製造することもできる。この場合も、AlN粒子100質量部に対し、Al粒子及び/またはY粒子の総質量が、例えば、65〜5質量部となるように、好ましくは40〜10質量部となるように、これらの粒子を混合することで、上記の所望の厚みで、AlN粒子の表面に、Al粒子及び/またはY粒子の被覆層を設けることができる。
被覆工程により得られた粒子混合物は、いずれの方法を用いた場合でも、目的とする複合粒子以外に、目的外の微粒子が、通常、混入する。目的外の微粒子としては、例えば、被覆されなかったAlN粒子や、AlN粒子表面に付着することなく残存するAl粒子やY粒子があるが、これらには限定されない。
(2)分級工程
第2工程として、被覆工程により得られた粒子混合物から、20μm以上AlN粒子の平均粒子径値以下の範囲から選択される所定値未満の粒子径を有する微粒子を分級により除去する分級工程を実施する。具体的には、目的とする複合粒子と、それ以外の粒子を含みうる、上記工程の反応生成物から、所定値未満の粒子径を有する微粒子を除去する。上記所定値を基準とする理由は、AlN粒子の平均粒子径以上の粒子径で分級すると、目的の複合粒子を分級するおそれがある上に、粉体の収率が低くなり、経済的に不利益だからである。一方、20μmよりも小さい所定値で分級すると、粉体の凝集の原因となり得る微粒子を含んだ溶射用複合粉体材料となり、溶射時の配管閉塞の可能性が高くなるためである。
分級には、例えば、気流分級やふるい分級などの方法を用いることができる。気流分級は、比較的小さい粒子を除去するために好ましく用いられ、市販の気流分級装置を用い実施することができる。この分級を経ることで、AlN粒子の平均粒子径未満の粒子径を有する微粒子、例えば、100μ未満、70μ未満、50μ未満、40μm未満、あるいは30μ未満の粒子径を有する微粒子を除去し、特に好ましくは、20μm未満の粒子径を有する微粒子を概ね除去し、粉体の凝集を回避することができる。
ある実施形態においては、前記分級により除去する工程が、所定値未満の平均粒子径を有する微粒子が5体積%未満となるように実施されることが好ましく、20μm未満の平均粒子径を有する微粒子が5体積%未満となるように実施されることがより好ましい。分級工程を経た溶射用複合粉体材料において、特定の値未満の平均粒子径を有する微粒子が、5体積%未満となっていることは、例えば、レーザ回折散乱式粒度分布測定器により確認することができる。微粒子の量を特定の量まで低減するまで、上記分級方法を組み合わせて、繰り返し分級工程を実施することが好ましい。特定の値未満の平均粒子径を有する微粒子、例えば、20μm未満の平均粒子径を有する微粒子が、より好ましくは、2体積%未満、さらに好ましくは、1体積%未満となるまで、分級を行うことができる。
また、任意選択的な工程として、被覆工程により得られた粒子混合物から、過大な粒子をふるい分級などの分級により除去する工程を含んでもよい。粒子径が大きすぎると溶射の粉体が配管内で搬送されにくくなるためである。過大な粒子の粒子径は、被覆工程において用いるAlN粒子の平均粒子径及びAl粒子及び/またはY粒子の被覆層の厚みに起因する複合粒子の粒子径との関係で相対的に決定されるべきものであり、特定の粒子径には限定されない。例えば、粒子径が130μmより大きい粒子、粒子径が120μmより大きい粒子、粒子径が100μmより大きい粒子を過大な粒子ということができる。
他の任意選択的な工程として、水分率・溶剤含有率の低減のための工程を実施してもよい。このような工程は、分級後の粒子混合物を、温度が、例えば、70〜100℃、好ましくは80℃程度の熱風乾燥方法により、乾燥することにより実施することができるが、乾燥の方法は特定の方法には限定されない。
このようにして得られた溶射用複合粉体材料は、室温における安息角が、55°未満であることが好ましい。室温における安息角は、例えば、R.L.Carr, Chem. Eng., pp.163-168, 18(1965)に定義されている方法により測定することができ、測定装置としては、例えば、セイシン企業のマルチテスターMT1001などの、粉体測定装置を用いることができる。室温における安息角が、55°未満であると、溶射用複合粉体材料全体として、凝集しにくいといった利点がある。
また、室温におけるCarrの流動性指数が、70以上であることが好ましい。室温におけるCarrの流動性指数もまた、上記文献の開示に基づいて、同様の装置を用いて測定し、得ることができる。Carrの流動性指数が、70以上である場合にも、上記と同様に、粉体の凝集が起こりにくいといった利点がある。
かかる製造方法による溶射用複合粉体材料においては、上記所定値未満の粒子径を有する微粒子が除去され、好ましくは、5体積%未満となっている。このような溶射用複合粉体材料は、溶射に用いる装置、例えば、流動床式型の粉体供給装置の配管を閉塞させることがなく、連続的に溶射を実施することができる。そのため、本実施形態による溶射用複合粉体材料を用いて、溶射部材を製造する際の生産性が高い。
[第2実施形態:溶射絶縁基板]
本発明は、第2実施形態によれば、溶射絶縁基板であって、銅もしくはアルミニウムからなる基材の一方の面に、第1実施形態による溶射用複合粉体材料を溶射してなる溶射膜を備える溶射絶縁基板である。
図3は、本実施形態による溶射絶縁基板及びその製造方法を模式的に示す断面図である。図3(c)を参照すると、溶射絶縁基板30は、基材20の一方の面に、溶射膜10を備えてなる。
基材20は、銅もしくはアルミニウムからなるブロックであってよく、その厚みは、用途に合わせて当業者が適宜決定することができるが、通常、0.3〜10mm、好ましくは、0.5〜5mmである。溶射膜10の厚みは、例えば、0.020〜1.5mm、好ましくは、0.2〜1.0mmである。厚みが、0.020mmよりも薄いと、絶縁性が得られない場合があり、1.5mmよりも厚いと、膜の密着力が低下する場合があるためである。溶射膜10は、第1実施形態による溶射用複合粉体材料を、基材20に溶射することによって得ることができる。
次に、第2実施形態による溶射絶縁基板を、その製造方法の観点から説明する。溶射絶縁基板の製造方法は、銅もしくはアルミニウムからなる基材の一方の面を粗面化する工程と、粗面化された基材に、第1実施形態による溶射用複合粉体材料を溶射する工程とを含む。
図3(a)は、基材20を模式的に示す断面図である。これのような基材20に対し、その一方の表面を粗面化する工程を実施する。粗面化は、既知のブラスト処理などにより実施することができる。図3(b)は、ブラスト処理後の基材20を模式的に示す断面図である。
次いで、溶射用複合粉体材料を溶射する工程を実施する。ここでは、大気プラズマ溶射、高速フレーム溶射などの方法を適宜用いて、第1実施形態による溶射用複合粉体材料を、粗面化された基材に溶射する。図3(c)に、その結果得られる溶射絶縁基板30を示す。このようにして得られた溶射絶縁基板30は、その側面が概ね平坦であり、突出した構造などを含まず、比較的単純な構造な構造となっている。さらに、製造工程も短く経済的であるため、従来技術による絶縁基板と比較して、有利に用いることができる。
このような溶射絶縁基板30を、半導体装置の一例である、半導体モジュールにおいて用いる場合を例に挙げてさらに説明する。図4は、パワー半導体モジュールにおける、基板及び素子構成の一部を示す概念図である。図4において、溶射絶縁基板30の基材20側に、接合層22を介して、半導体素子21が載置されている。半導体素子21は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)や、フライ・ホイール・ダイオード(Fly Wheel Diode:FWD)であってよいが、これらには限定されない。一方、溶射絶縁基板30の溶射膜10側には、冷却体であるアルミフィン23が設けられ、図示しない他の部材とともに封止材により封止されて、半導体モジュール100を構成する。
図示するように、溶射膜10とアルミフィン23との間には、シリコーングリース等の放熱材が存在しない。アルミフィン23を、溶射膜10上に、溶射により製造することができるためである。このような構成とすることにより、グリースの不均一性、すなわち、空気を包含することに基づく熱抵抗増大を抑制できるといった利点がある。
アルミフィン23の溶射による製造は、コールドスプレー法により、例えば、特定の形状になるようにマスクを通して溶射することにより、あるいは、溶射ノズルの移動パターンを特定の形状になるようにプログラミングして溶射することにより、実施することができる。図4のアルミフィン23は、汎用の櫛型の形状のフィンを概念的に示したものであるが、フィン形状、厚さ、サイズ、ピッチは限定されるものではない。また、フィンの材料は、高熱伝導性で、軽く安価なアルミニウムが好ましく用いられるが、これには限定されない。熱伝導性、加工性、軽量性に優れる他の金属、例えば銅を用いることもできる。
図8に、パワー半導体モジュールにおける、従来技術に係る絶縁基板及び素子構成の一部を示す概念図を示す。従来技術による半導体モジュール200は、セラミックスからなる絶縁層の両面に銅ブロックを直接接合したDBC(登録商標)基板130を用い、その上面に、接合層122を解して、半導体素子121が載置されている。そして、基板130の下面には、放熱材の層124を介して、アルミフィン123が取り付けられている。このような従来技術の構成では、DBC(登録商標)基板130の製造に多くの工程がかかるほか、中心の絶縁層が突出した構造を有することに起因する、絶縁信頼性の問題があった。これに対して、図4に示す、本実施形態に係る溶射絶縁基板30は、このような不利益がないものとなっている。さらに詳細には、本実施形態に係る溶射絶縁基板30は、単純な構造で製造工程が短く、生産性に優れている。さらには、本実施形態に係る溶射絶縁基板30は、その構造に起因して、熱衝撃試験時の封止材のクラックをなくすことができ、信頼性が向上したものとなっている。
[第3実施形態:半導体装置]
本発明は、第3実施形態によれば、半導体装置であって、半導体素子と、前記半導体素子の一方の面に接合された第2実施形態による溶射絶縁基板と、前記半導体素子の他方の面に接合された外部回路との接続用プリント基板とを含む部材を、封止材で封止してなる。半導体装置は任意選択的に、溶射により取り付けられた冷却体を備えてもよい。
図5は、第3実施形態に係る半導体装置の一例である、半導体モジュール100の断面構造を示す図である。半導体モジュール100においては、銅基材20の下面に溶射膜10を設けた溶射絶縁基板30が設けられる。そして、各溶射絶縁基板30の、溶射膜10面には、アルミフィン23が溶射により取り付けられている。溶射絶縁基板30の銅基材20側の面である上面には、導電接合層22aを介して、SiCパワー半導体素子21が複数個搭載され取り付けられている。さらにSiCパワー半導体素子21の上面には、導電接合層22bによりインプラントピン28を備えたインプラント方式プリント基板29が取り付けられている。インプラント方式プリント基板29の上面と、銅基材20の上面には、それぞれ、外部接続端子27が取り付けられ、半導体モジュール100の外部との電気的接続が可能に構成されている。SiCパワー半導体素子21の周囲は、熱硬化性樹脂からなる封止層24で絶縁封止されており、半導体モジュール100を構成している。なお、本明細書において、上面、下面とは、説明の目的で、図中の上下を指す相対的な用語であって、半導体装置の使用態様等との関係で上下を限定するものではない。また、図1は概念図であって、プリント基板29、インプラントピン28等の部材構成は、図示する形態には限定されない。また、封止層24の溶射絶縁基板30及び半導体素子21が存在しない箇所には、図示しない取付金具が設けられていてもよい。
なお、図示する実施形態においては、複数の溶射絶縁基板30を備えて構成されるモジュールにおいて、各溶射絶縁基板30に、独立した別個の冷却体であるアルミフィン23が設けられているが、モジュール全体に1つの冷却体が設けられる実施形態も可能である。さらに、溶射により溶射膜10面に直接設けられた冷却体以外に、放熱グリースを介して、取り付けられたアルミフィンやその他の冷却体であってもよく、その場合も、溶射絶縁基板ごとに冷却体が取り付けられていてもよく、モジュール全体に1つの冷却体が設けられていてもよい。
次に、第2実施形態による半導体モジュール100を、その製造方法の観点から説明する。SiCパワー半導体モジュールの製造方法は、主として、溶射絶縁基板30、半導体素子21、並びにプリント基板29が接合された部材を組み立てる工程と、前記部材を樹脂封止する工程とから構成される。
溶射絶縁基板30、半導体素子21、並びにプリント基板29が接合された部材を組み立てる工程は、第2実施形態にしたがい、アルミフィン23からなる冷却体が溶射により取り付けられた溶射絶縁基板30を製造する工程と、溶射絶縁基板30の基材20面に、導電接合層22aにより1以上のSiCパワー半導体素子21を搭載する工程と、SiCパワー半導体素子21の溶射絶縁基板30とは反対側の面に、導電接合層22bにより、インプラントピン28を有するインプラント方式のプリント基板29を取り付ける工程と、前記基材20及び前記プリント基板29に外部接続端子27を接続する工程とを含む。このような組み立て工程及び使用する部材の仕様等については、従来技術に開示される、通常の方法に従ってよい。例えば、出願人による、特開2013-004729号公報や、特開2012-191010号公報において説明した各工程を適用することができる。また、冷却体として溶射により取り付けられたフィンを備える半導体モジュールにおいては、フィンが取り付けられた溶射絶縁基板30を組み立てることもできるし、組み立てた後にフィンをとりつけることもできる。
樹脂封止する工程は、予め通常の方法で減圧脱泡した、エポキシ樹脂などの封止材24で、溶射絶縁基板30、半導体素子21、並びにプリント基板29が接合された部材を封止する。封止は、トランスファー成形、液状トランスファー成形、射出成型等の成形法により、所定の形状に成形することにより実施する。その後、封止材24を構成する熱硬化性樹脂を所定の温度及び時間条件で、例えば、100〜180℃で、1〜10分、熱硬化させて封止工程を完了する。封止層24は、異なる熱硬化性樹脂やナノコンポジット樹脂からなる2種類以上の異なる層から構成されていてもよい。
第3実施形態による半導体モジュール100によれば、特には、使用雰囲気が高温、例えば、175℃以上となる半導体装置において、溶射絶縁基板30を用いることにより半導体装置の信頼性を高めると共に、コストを低減することができる。
以下に、実施例により、本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は、本発明の例示であって、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
平均粒子径が50μmの球状AlN焼結粉(トクヤマ製)を80質量部と、平均粒子径が1μmのAlを15質量部と、平均粒子径が0.4μmのYを5質量部と、エタノールと、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂を5質量部と、と分散剤(SN ディスパーサント9228 サンノプコ株式会社製)を0.5質量部とを混ぜ、ボールミルによりスラリー化した。次いで、回転数9000rpm、ディスク径50mmのスプレードライ装置(大川原化工機株式会社製)により、目的とする複合粒子を含む粒子混合物を得た。そして、気流分級機(株式会社セイシン企業製 型式N−01)を用いて、回転数2000rpm、ブロワー流量1.4m/h、処理速度600g/hの条件で、気流分級を実施した。さらに、ふるい分級(振動式ふるい器網目75μm)により、粒子混合物の粒子径を調整後、乾燥して、実施例1の溶射用複合粉体材料を得た。
以上のようにして得られた実施例1の溶射用複合粉体材料について、粉体の安息角、粒度分布、Carrの流動性指数と、溶射時での配管の閉塞の有無を評価した。Carrの流動性指数、安息角は、文献の定義に従い、マルチテスターMT1001(株式会社セイシン企業製)を用いて測定した。一方、粒度分布は、レーザ回折散乱式粒度分布測定器 LMS2000e(株式会社セイシン企業製)を用いて測定した。
さらに、実施例1の溶射用複合粉体材料を用いて、溶射絶縁基板を製造した。厚さ1mmのCu基材にブラスト処理をして、粗面化した。その後、以下の溶射条件で大気プラズマ溶射を行い、厚さ200μm以上の溶射膜を作製した。
[溶射条件]
電流 600A
溶射距離 120mm
ガス流量 Ar 60slm、H 9slm
ガン移動速度 45m/min
パス回数 80回以上
(実施例2)
実施例1において、セラミックスの配合を、平均粒子径が50μmの球状AlN焼結粉(トクヤマ製)を60質量部と、Al(平均粒子径10μm)35質量部、平均粒子径が0.4μmのYを5質量部に変更した以外は、実施例1と同様に溶射用複合粉体材料を製造し、評価した。
(実施例3)
実施例1において、セラミックスの配合を、平均粒子径が20μmの球状AlN焼結粉(トクヤマ製)を60質量部と、Al(平均粒子径1μm)を20質量部、AlN(粒子径10μm)を20質量部に変更した以外は、実施例1と同様に溶射用複合粉体材料を製造した。
(実施例4)
実施例3において、セラミックスの配合を、平均粒子径が20μmの球状AlN焼結粉(トクヤマ製)を60質量部と、Al(平均粒子径10μm)を40質量部に変更した以外は、実施例3と同様に溶射用複合粉体材料を製造した。
(実施例5)
実施例4において、セラミックスの配合を、平均粒子径が20μmの球状AlN焼結粉(トクヤマ製)を40質量部と、Al(平均粒子径10μm)を60質量部に変更した以外は、実施例3と同様に溶射用複合粉体材料を製造した。
(実施例6)
実施例1において、セラミックスの配合を平均粒子径が100μmの球状AlN焼結粉(トクヤマ製)80質量部とAl(平均粒子径1μm)20質量部に変更した以外は、実施例1と同様に溶射用複合粉体材料を製造した。この場合のふるい分級は、振動式ふるい器で、網目125μmのものを用いて実施した。
(比較例1〜3)
比較例1は、実施例1において、粉体の分級を実施しなかった以外は実施例1と同様に行った。比較例2は、実施例3において、粉体の分級を実施しなかった以外は実施例3と同様に行った。比較例3は、実施例6において粉体の分級を実施しなかった以外は実施例6と同様に行った。
これらの粉体を用いてプラズマ溶射を行った際の、配管の閉塞についての結果を下記表1に示す。配管の閉塞の有無の判定基準は、溶射開始後、20分間の間に閉塞が無いこととした。表1に示すように、本発明の実施例1〜6においては配管の閉塞が無く連続的に生産が可能となった。また、このように分級を行うことで、粉体の物性を事前に評価する事により、粉体および製造工程の管理が可能になる。
(粒度分布測定)
実施例1による溶射用複合粉体材料の製造において、複合粒子を製造する工程を経た後、分級工程前の粒子混合物について、粒度分布測定を行った。粒度分布の測定は、レーザ回折散乱式粒度分布測定器を用いて、行った。結果を図6に示す。グラフにおいて、実線は体積比率、破線は累積体積比率、一点鎖線は分級を行った粒子径を示す。分級工程前の粒子混合物には、粒子径が20μm未満の微粒子の存在に起因する分布ピークが見られる。この分布ピークは、被覆されなかったAl粒子、Y粒子に起因するものである。また、その総量は、本実施例においては、10体積%程度になることがグラフからわかる。また、実線で表される分布の右側の大きなピークは、Al粒子及びY粒子に被覆されたAlN粒子からなる複合粒子を表す。
次いで、分級工程後の粒子混合物について、同様に粒度分布測定を行った結果を図7に示す。グラフにおいて、実線、破線、一点鎖線は、図6と同じ意味内容を示す。分級工程後の粒子混合物には、粒子径が20μm未満の微粒子の存在に起因する小さな分布ピークが消失しており、粒子径が20μm未満の微粒子は、0.04体積%程度であることがグラフからわかる。
(熱衝撃試験)
実施例1〜6及び比較例1〜3で製造した溶射絶縁基板を用いて、図5に示すような半導体モジュールを製造した。封止材としては、ナガセケムテックス製エポキシ樹脂を用い、200℃で、4時間、熱硬化させた。得られた半導体モジュールについて、熱衝撃試験を行った。具体的には、低温側は、−40℃で30分保持、高温側は150℃で30分保持を1サイクルとし、これを300サイクル実施した。試験後の半導体装置の、封止樹脂部におけるクラックの存在を目視とX線透過観察で確認したが、クラックは存在しなかった。一方、溶射絶縁基板に代えて、図8に示す従来技術による構造のDBC基板を用いた以外は上記と同様にして、比較例の半導体モジュールを組み立て、比較例の半導体モジュールに対し、同様の熱衝撃試験を行った。熱衝撃試験後の比較例の半導体モジュールの、X線透過写真に基づく部分的な模式図を、図9に示す。比較例の半導体モジュール200において、封止層24には、DBC基板130の突出した基板の先端を起点に、内部クラック140の発生が見られた。この結果から、基板構造の相違に起因する、本発明の溶射絶縁基板の効果が示された。
本発明に係る溶射用複合粉体材料は、インバータサーボ、UPS、電源機器など向けのパワー半導体用の絶縁基板、及びこれを用いた半導体装置の製造において有用である。
1 複合粒子
11 AlN粒子
12 Al粒子、Y粒子の被覆層
10 溶射膜
20 基材
30 溶射絶縁基板
100 半導体装置
21 SiC半導体素子a
22a 導電接合層
22b 導電接合層
23 アルミフィン(冷却体)
24 封止層
28 インプラントピン
29 インプラント方式プリント基板
130 DBC(登録商標)基板
140 クラック
200 従来技術による半導体モジュール

Claims (12)

  1. 平均粒子径が20〜100μmのAlN粒子を、Al粒子またはY粒子の少なくとも一種類により被覆してなる複合粒子を含み、20μm以上AlN粒子の平均粒子径値以下の範囲から選択される所定値未満の粒子径を有する微粒子が5体積%未満である、溶射用複合粉体材料。
  2. 20μm未満の粒子径を有する微粒子が、5体積%未満である、請求項1に記載の溶射用複合粉体材料。
  3. 室温における安息角が、55°未満である、請求項1または2に記載の溶射用複合粉体材料。
  4. 室温におけるCarrの流動性指数が、70以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の溶射用複合粉体材料。
  5. 前記Al粒子またはY粒子の平均粒子径が、20μm未満である、請求項1〜4のいずれかに記載の溶射用複合粉体材料。
  6. 前記Al粒子またはY粒子による被覆の厚みが、1〜30μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の溶射用複合粉体材料。
  7. 平均粒子径が20〜100μmのAlN粒子を、Al粒子またはY粒子の少なくとも一種類で被覆する工程と、
    前記工程により得られた粒子混合物から、20μm以上、AlN粒子の平均粒子径値以下の範囲から選択される所定値未満の粒子径を有する微粒子を分級により除去する工程と
    を含む方法により調製される、溶射用複合粉体材料。
  8. 前記分級により除去する工程が、20μm未満の平均粒子径を有する微粒子が5体積%未満となるように実施される、請求項7に記載の溶射用複合粉体材料。
  9. 前記被覆する工程が、メカノヒュージョン法又は、スプレードライ法による、請求項7または8に記載の溶射用複合粉体材料。
  10. 銅もしくはアルミニウムからなる基材の一方の面に、請求項1〜9に記載の溶射用複合粉体材料を溶射してなる溶射膜を備える、溶射絶縁基板。
  11. 半導体素子と、前記半導体素子の一方の面に接合された請求項10に記載の溶射絶縁基板と、前記半導体素子の他方の面に接合された外部回路との接続用プリント基板とを含む部材を、封止材で封止してなる半導体装置。
  12. 前記溶射絶縁基板の前記溶射膜面に、溶射により取り付けられた冷却体をさらに含む、請求項10に記載の半導体装置。
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