JP2016073097A - 駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷への電力供給が可能であるとともに、回転電機の出力を高めることができる駆動装置を提供する。【解決手段】駆動装置1の第1インバータ20は、高電位側に配置される第1上アーム素子21〜23および低電位側に配置される第1下アーム素子24〜26を有し、モータジェネレータ10のコイル11〜13の一端111、121、131、第1電源41、および、負荷51と接続される。第2インバータ30は、高電位側に配置される第2上アーム素子31〜33および低電位側に配置される第2下アーム素子34〜36を有し、コイル11〜13の他端112、122、132、および、第2電源42と接続される。第1制御部61は、第1インバータ20の駆動を制御する。第2制御部62は、第2インバータ30の駆動を制御する。これにより、駆動装置1により、負荷51への給電と高出力でのモータジェネレータ10の駆動とを実現可能である。【選択図】 図1

Description

本発明は、駆動装置に関する。
従来、ハイブリッド車用のインバータ駆動システムが知られている。例えば特許文献1では、1つのモータに対し、2つのインバータを設けている。高電圧モードでは、パルス幅変調信号の基本波成分の位相を180°ずらすことで2つの電源電圧の和によりモータを駆動する。また、低電圧モードでは、一方のインバータの上下アームのいずれかを3相同時オンし、他方のインバータをパルス幅変調により制御する。
特開2006−211891号公報
特許文献1は、ハイブリッド車用のインバータ駆動システムであるため、2つの電源電圧を比較的高電圧にする必要がある。また、特許文献1において、例えばアクセサリやスタータ等、車両主機と比較して低電圧で用いられる装置への電力供給については、何ら言及されていない。特許文献1の構成に、例えば12[V]負荷等の低電圧で用いられる負荷を追加する場合、オルタネータ等の装置を別途に設ける必要があり、全体として大型化する。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、負荷への電力供給が可能であるとともに、回転電機の出力を高めることができる駆動装置を提供することにある。
本発明の駆動装置は、巻線を有する回転電機と、第1インバータと、第2インバータと、第1制御部と、第2制御部と、を備える。
第1インバータは、高電位側に配置される第1上アーム素子および低電位側に配置される第1下アーム素子を有し、巻線の一端、第1電源、および、第1負荷と接続される。
第2インバータは、高電位側に配置される第2上アーム素子および低電位側に配置される第2下アーム素子を有し、巻線の他端、および、第2電源と接続される。
第1制御部は、第1インバータの駆動を制御する。
第2制御部は、第2インバータの駆動を制御する。
本発明では、第1電源が、第1インバータを介した回転電機との電力授受、および、負荷への給電を行う。また、回転電機には、第1電源および第2電源からの電力供給が可能である。すなわち、本発明では、負荷への給電と、比較的高出力での回転電機の駆動と、を1つの駆動装置にて実現している、といえる。
また、回転電機の一端側には、第1インバータおよび第1電源が設けられ、他端側には、第2インバータおよび第2電源が設けられるので、例えば反転駆動動作させることにより、回転電機に第1電源電圧と第2電源電圧との和に相当する電圧を印加可能である。これにより、1つの電源にて回転電機を駆動する場合と比較し、大幅な電流増加を伴うことなく、回転電機の高出力化が可能であり、配線等を含むシステム全体を小型化することができる。
本発明の第1実施形態による補機駆動システムを示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態による第1片側駆動動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態の第1片側駆動動作におけるスイッチング素子のオンオフ状態および駆動電圧を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による第2片側駆動動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態の第2片側駆動動作におけるスイッチング素子のオンオフ状態および駆動電圧を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による反転駆動動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態の反転駆動動作におけるスイッチング素子のオンオフ状態および駆動電圧を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態の反転駆動動作におけるスイッチング素子のオンオフ状態および駆動電圧を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による同相駆動動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態の同相駆動動作におけるスイッチング素子のオンオフ状態および駆動電圧を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による給電動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態の給電動作におけるスイッチング素子のオンオフ状態を説明する説明図である。 本発明の第2実施形態による補機駆動システムを示す概略構成図である。
以下、本発明による駆動装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による駆動装置を図1〜図12に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の駆動装置1は、図示しない車両に搭載される補機駆動システム5に適用される。補機駆動システム5は、駆動装置1、第1電源41、第2電源42、および、第1負荷としての負荷51等を備える。
駆動装置1は、回転電機としてのモータジェネレータ10、第1インバータ20、第2インバータ30、第1制御部61、および、第2制御部62等を備える。
モータジェネレータ10は、3相交流の回転機である。本実施形態のモータジェネレータ10は、エンジン8と接続され、第1電源41および第2電源42の電力によって駆動されることでエンジン8を始動させるスタータとしての機能、および、エンジン8から伝わる運動エネルギによって駆動されて発電するオルタネータとしての機能を併せ持つISG(Integrated Starter Generator)である。
モータジェネレータ10は、U相コイル11、V相コイル12、および、W相コイル13を有する。U相コイル11、V相コイル12およびW相コイル13が「巻線」に対応する。以下適宜、U相コイル11、V相コイル12およびW相コイル13を「コイル11〜13」という。また、U相コイル11に通電される電流をU相電流Iu、V相コイル12に通電される電流をV相電流Iv、W相コイル13に通電される電流をW相電流Iwという。
第1インバータ20は、3相インバータであり、コイル11〜13への通電を切り替えるべく、高電位側に配置される第1上アーム素子21〜23と低電位側に配置される第1下アーム素子24〜26とが接続される。
第1インバータ20は、コイル11〜13の一端111、121、131と接続される。具体的には、U相の第1上アーム素子21と第1下アーム素子24との接続点27が、U相コイル11の一端111に接続される。V相の第1上アーム素子22と第1下アーム素子25との接続点28が、V相コイル12の一端121に接続される。W相の第1上アーム素子23と第1下アーム素子26との接続点29が、W相コイル13の一端131に接続される。
また、第1インバータ20は、第1電源41および負荷51と接続される。
第2インバータ30は、3相インバータであり、コイル11〜13への通電を切り替えるべく、高電位側に配置される第2上アーム素子31〜33と低電位側に配置される第2下アーム素子34〜36とが接続される。
第2インバータ30は、コイル11〜13の他端112、122、132と接続される。具体的には、U相の第2上アーム素子31と第2下アーム素子34との接続点37が、U相コイル11の他端112に接続される。V相の第2上アーム素子32と第2下アーム素子35との接続点38が、V相コイル12の他端122に接続される。W相の第2上アーム素子33と第2下アーム素子36との接続点39が、W相コイル13の他端132に接続される。
また、第2インバータ30は、第2電源42と接続される。
このように、本実施形態では、第1インバータ20および第2インバータ30は、コイル11〜13の両端に接続される。
以下適宜、第1上アーム素子21〜23、第1下アーム素子24〜26、第2上アーム素子31〜33、および、第2下アーム素子34〜36を、スイッチング素子21〜26、31〜36という。また、「U1上アーム素子21」といった具合に、対応する相とインバータを併記する。
本実施形態のスイッチング素子21〜26、31〜36は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であるが、例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いてもよい。
第1電源41は、充放電可能な直流電源であり、第1インバータ20と接続され、第1インバータ20を経由してモータジェネレータ10と電力を授受可能に設けられる。本実施形態の第1電源41は、12[V]の鉛蓄電池である。
第2電源42は、充放電可能な直流電源であり、第2インバータ30と接続され、第2インバータ30を経由してモータジェネレータ10と電力を授受可能に設けられる。本実施形態の第2電源42は、48[V]のリチウム蓄電池とする。
本実施形態では、第1電源41の電圧を第1電源電圧V1とし、第2電源42の電圧を第2電源電圧V2とする。また、本実施形態では、第1電源41は、第2電源42より高容量であり、第2電源42は、第1電源41より高出力である。
第1コンデンサ43は、第1電源41から第1インバータ20側への電流、または、第1インバータ20から第1電源41側への電流を平滑化する平滑コンデンサである。
第2コンデンサ44は、第2電源42から第2インバータ30側への電流、または、第2インバータ30側から第2電源42側への電流を平滑化する平滑コンデンサである。
負荷51は、第1電源41の電力が供給される定電圧負荷である。負荷51は、例えば図示しないアクセサリ電源を経由して第1電源41の電力が供給される補機類や電装品等が含まれる。少なくとも一部の負荷51のマイナス端子は、図示しない車体に接続されることにより、接地される。本実施形態では、負荷51が「第1負荷」に対応する。
第1制御部61および第2制御部62は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、RAM、I/O、および、これらを接続するバスライン等が備えられる。
第1制御部61は、モータジェネレータ10の駆動要求、第1電源41および第2電源42の充電状態、ならびに、負荷51の給電要求である電力要求に基づき、第1インバータ20の駆動を制御する。詳細には、第1制御部61は、電力要求に応じた駆動動作となるように、第1インバータ20のスイッチング素子21〜26のオンオフ作動を制御する第1制御信号を生成し、スイッチング素子21〜26のゲートに出力する。
第2制御部62は、モータジェネレータ10の駆動要求、第1電源41および第2電源42の充電状態、ならびに、負荷51の給電要求である電力要求に基づき、第2インバータ30の駆動を制御する。詳細には、第2制御部62は、電力要求に応じた駆動動作となるように、第2インバータ30のスイッチング素子31〜36のオンオフ作動を制御する第2制御信号を生成し、スイッチング素子31〜36のゲートに出力する。
本実施形態では、第1インバータ20、第1電源41、第1コンデンサ43、負荷51、および、第1制御部61を第1系統101とし、第2インバータ30、第2電源42、第2コンデンサ44、および、第2制御部62を第2系統102とする。
第1系統101および第2系統102が、共にボディアースにより接地されると、第1系統101と第2系統102との間にて車体を経由して電流が流れ、モータジェネレータ10を駆動できなくなる。本実施形態では、負荷51の少なくとも一部が接地されることで第1系統101側が接地されるため、第2系統102側を接地しない。
ここで、駆動装置1の動作について、図2〜図12に基づいて説明する。図2等において、オンされるスイッチング素子を実線、オフされるスイッチング素子を破線で示す。また、図2等において、エンジン8、第1制御部61および第2制御部62の記載を省略した。
まず、第1インバータ20および第2インバータ30の駆動動作について、第1電源41および第2電源42の少なくとも一方の電力を用いてモータジェネレータ10を駆動する場合を説明する。
(1)第1片側駆動動作
第1電源41の電力によりモータジェネレータ10を駆動する場合、第1インバータ20および第2インバータ30を第1片側駆動動作とする。第1片側駆動動作では、図2に示すように、第2上アーム素子31〜33の全相、または、第2下アーム素子34〜36の一方をオン、他方をオフすることにより、第2インバータ30を中性点化する。なお、熱損失の偏りを低減すべく、第2上アーム素子31〜33がオンされる状態と、第2下アーム素子34〜36がオンされる状態とを適宜切り替えるようにしてもよい。
また、電力要求に応じ、第1インバータ20を制御する。
図2に示す例では、U1上アーム素子21、V1下アーム素子25、W1下アーム素子26、および、第2上アーム素子31〜33がオンされる。このとき、図2中に矢印Y11に示す経路の電流が流れる。
また、矢印YL1で示すように、負荷51には第1電源41から電力が供給される。後述する第2片側駆動動作、および、反転駆動動作においても同様である。
図3には、U相の制御例を示しており、(a)がU相電流Iuに係る基本波、(b)がU1上アーム素子21のオンオフ状態、(c)がU1下アーム素子24のオンオフ状態、(d)がU2上アーム素子31のオンオフ状態、(e)がU2下アーム素子34のオンオフ状態、(f)がモータジェネレータ10に印加される駆動電圧を示している。後述の図5、図7、図8および図10についても同様である。
図3に示すように、電力要求に応じた第1基本波F1とキャリア波との比較によるPWM制御等により第1インバータ20をスイッチングし、第2インバータ30を中性点化することにより、モータジェネレータ10には、パルスの高さが第1電源電圧V1の駆動電圧が印加される。
(2)第2片側駆動動作
第2電源42の電力によりモータジェネレータ10を駆動する場合、第1インバータ20および第2インバータ30を第2片側駆動動作とする。第2片側駆動動作では、図4に示すように、第1上アーム素子21〜23の全相、または、第1下アーム素子24〜26の全相の一方をオン、他方をオフすることにより、第1インバータ20を中性点化する。なお、熱損失の偏りを低減すべく、第1上アーム素子21〜23がオンされる状態と、第1下アーム素子24〜26がオンされる状態とを適宜切り替えるようにしてもよい。
また、電力要求に応じ、第2インバータ30を制御する。
図4に示す例では、第1上アーム素子21〜23、U2上アーム素子31、V2下アーム素子35、および、W2下アーム素子36がオンされる。このとき、図4中に矢印Y12に示す経路の電流が流れる。
図5に示すように、第1インバータ20を中性点化し、電力要求に応じた第2基本波F2とキャリア波との比較によるPWM制御等により第2インバータ30をスイッチングすることにより、モータジェネレータ10には、パルスの高さが第2電源電圧V2である駆動電圧が印加される。
(3)反転駆動動作
第1電源41および第2電源42の電力によりモータジェネレータ10を駆動する場合、第1インバータ20および第2インバータ30を反転駆動動作とする。反転駆動動作では、電力要求に応じた第1基本波F1に基づいて第1インバータ20の駆動を制御し、電力要求に応じた第2基本波F2に基づいて第2インバータ30の駆動を制御する。
本実施形態では、第1制御部61が第1インバータ20の電圧指令に応じた第1基本波F1とキャリア波との比較により第1制御信号を生成し、第2制御部62が第2インバータ30の電圧指令に応じた第2基本波F2とキャリア波との比較により第2制御信号を生成するものとする。反転駆動動作において、第1基本波F1と第2基本波F2とは、位相が反転される。換言すると、第1基本波F1と第2基本波F2とは、位相が略180[°]ずれている。なお、第1基本波F1と第2基本波F2との位相差は、180[°]であるが、第1電源電圧V1と第2電源電圧V2との和に相当する電圧をモータジェネレータ10に印加可能な程度のずれは許容される。
第1基本波F1の振幅と第2基本波F2の振幅とが等しい場合、各相にてオンされる素子が第1インバータ20と第2インバータ30とで上下反対となる。図6に示す例では、U1上アーム素子21、V1下アーム素子25、W1下アーム素子26、V2上アーム素子32、W2上アーム素子33、および、U2下アーム素子34がオンされ、このとき、図6中に矢印Y13で示す経路の電流が流れる。
なお、第1基本波F1および第2基本波F2は、振幅が等しくてもよいし、異なっていてもよい。また、第1基本波F1および第2基本波F2は、いずれも正弦波である場合のように同様の波形であってもよいし、例えば第1インバータ20または第2インバータ30の一方を正弦波PWM制御し、他方を過変調PWM制御するといった場合のように、波形が異なっていてもよい。後述する同相駆動動作の場合も同様である。
なお、反転駆動動作にて、振幅や波形が異なる場合、各相にてオンされる素子は、第1インバータ20と第2インバータ30とで、必ずしも上下反対にならない。
図7は、上記位相反転制御の一例を示し、モータジェネレータ10には、パルスの高さが第1電源電圧V1と第2電源電圧V2の和に相当する電圧(すなわちV1+V2)が駆動電圧として印加される。
反転駆動動作において、図8に示すように、第2インバータ30において、第2基本波とキャリア波との比較によるPWM制御に替えて、第2基本波の半周期毎にスイッチング素子31〜36のオンオフを切り替える矩形波制御としてもよい。これにより、スイッチング損失を低減することができる。
本実施形態では、モータジェネレータ10はISGであって、エンジン8のスタータとして機能する。そのため、アイドルストップからの復帰時や冷間始動時等の高出力動作が必要な場合、第1インバータ20および第2インバータ30を反転駆動動作させ、第1電源41および第2電源42からの電力をモータジェネレータ10へ供給することにより、モータジェネレータ10の出力を高めることができる。
(4)同相駆動動作
同相駆動動作において、第1基本波F1と第2基本波F2とは、同位相とし、位相差は0[°]であるが、第1電源電圧V1と第2電源電圧V2との差に相当する電圧をモータジェネレータ10に印加可能な程度のずれは許容される。
第1基本波F1の振幅と第2基本波F2の振幅とが等しい場合、各相にてオンされる素子が第1インバータ20と第2インバータ30とで上下同じとなる。図9に示す例では、U1上アーム素子21、V1下アーム素子25、W1下アーム素子26、U2上アーム素子31、V2下アーム素子35、および、W2下アーム素子36がオンされることにより、矢印Y14で示す経路の電流が流れる。
このとき、モータジェネレータ10には、第1電源電圧V1と第2電源電圧V2との差に相当する電圧が駆動電圧として印加され、電圧が低い方の電源が高い方の電源の電力により充電される。図10は、同相駆動動作の一例を示し、第2電源電圧V2が第1電源電圧V1より大きいので、モータジェネレータ10には、パルスの高さが(V2−V1)に相当する電圧が駆動電圧として印加され、第2電源42の電力により第1電源41が充電される。
また、図9中に矢印YL2で示すように、負荷51には、第2電源42から電力が供給される。
同相駆動動作は、第1電源41の充電を伴うため、第1電源41のSOCが上限値に近く、第1電源41を充電できない場合には実行されない。
モータジェネレータ10を駆動するとき、駆動電圧が低いほど、損失が小さい。そのため、要求される回転数およびトルクを実現可能な駆動動作のうち、駆動電圧が最も小さい駆動動作を選択することが望ましい。
なお、第1電源電圧V1と第2電源電圧V2とが等しい場合、第1片側駆動動作にてモータジェネレータ10に印加される駆動電圧と、第2片側駆動動作にてモータジェネレータ10に印加される駆動電圧とは等しい。この場合、例えばスイッチング素子21〜26、31〜36の熱損失等に応じ、第1片側駆動動作と第2片側駆動動作とを適宜切り替えるようにしてもよい。
次に、モータジェネレータ10がエンジン8により駆動されて発電が行われる場合の第1インバータ20および第2インバータ30の動作について説明する。
第1インバータ20および第2インバータ30を第1片側駆動動作とし、第2インバータ30を中性点化し、第1インバータ20をモータジェネレータ10の発電電力に基づいて回生動作させる。これにより、図2の矢印Y11と反対方向の電流が流れ、モータジェネレータ10の発電電力により第1電源41が充電されるとともに、モータジェネレータ10の発電電力が負荷51に給電される。
また、第1インバータ20および第2インバータ30を第2片側駆動動作とし、第1インバータ20を中性点化し、第2インバータ30をモータジェネレータ10の発電電力に基づいて回生動作させる。これにより、図4の矢印Y12と反対方向の電流が流れ、第2電源42が充電される。
(5)給電動作
続いて、モータジェネレータ10を停止した状態にて、第2電源42の電力を第1電源41および負荷51側へ給電する給電動作について図11および図12に基づいて説明する。図12では、(a)がU相電流Iu、(b)がU1上アーム素子21のオンオフ状態、(c)がV1下アーム素子25のオンオフ状態、(d)がU2上アーム素子31のオンオフ状態、(e)がV2下アーム素子35のオンオフ状態を示す。
給電動作では、特定の相に直流電流を通電すべく、第1インバータ20において、第1相の上アーム素子、および、第2相の下アーム素子を常時オンにする。また、第2インバータ30において、第1相の上アーム素子、および、第2相の下アーム素子の一方を常時オン、他方を所定のデューティにてオンオフを切り替える。オンオフ切り替えに係る「所定のデューティ」は、負荷51に給電する給電量および第1電源41に充電する充電量に応じて設定される。
例えば、図11および図12に示すように、第1相をU相、第2相をV相とすると、第1インバータ20のU1上アーム素子21およびV1下アーム素子25をオン、第2インバータ30のU2上アーム素子31およびV2下アーム素子35の一方をオン、他方を所定のデューティでオンオフを切り替える。本実施形態では、U2上アーム素子31をオン、V2下アーム素子35を所定のデューティでオンオフを切り替える。図11においては、V2下アーム素子35がオンされている状態を示している。
また、モータジェネレータ10のコイル11〜13およびコンデンサ43、44をLC回路とみなすことができ、給電動作時に通電される電流は、LC回路で整流された直流電流となる。図11の例では、矢印Y15で示すように、U相コイル11において第2インバータ30側から第1インバータ20側への直流電流が流れ、V相コイル12において第1インバータ20側から第2インバータ30側への直流電流が流れる。
なお、本実施形態では、第1インバータ20のスイッチング素子21〜26は、低電圧側から高電圧側へ流れる電流を許容する還流ダイオードを有しているので、給電動作において、第1インバータ20の第1相の上アーム素子および第2相の下アーム素子をオンしなくてもよい。
給電動作により、第2電源42の電力が、第1電源41および負荷51へ給電される。給電動作において、特定の相に直流電流を流すため、直流電流を流し始める際にモータジェネレータ10のロータが電流に応じたロック位置まで僅かに回転するが、システム全体としてみたときには問題にならない程度である。また、ロータ位置に応じ、ロータの移動量が少なくなるように、直流電流が通電される相を選択することが望ましい。
すなわち、図11および図12の例では、第1相がU相、第2相がV相としたが、第1相は、U相、V相またはW相のいずれであってもよく、第2相は、第1相以外の2相のうちのいずれであってもよい。
以上詳述したように、駆動装置1は、モータジェネレータ10と、第1インバータ20と、第2インバータ30と、第1制御部61と、第2制御部62と、を備える。
モータジェネレータ10は、コイル11〜13を有する。
第1インバータ20は、高電位側に配置される第1上アーム素子21〜23および低電位側に配置される第1下アーム素子24〜26を有し、コイル11〜13の一端111、121、131、第1電源41、および、負荷51と接続される。
第2インバータ30は、高電位側に配置される第2上アーム素子31〜33および低電位側に配置される第2下アーム素子34〜36を有し、コイル11〜13の他端112、122、132、および、第2電源42と接続される。
第1制御部61は、第1インバータ20の駆動を制御する。
第2制御部62は、第2インバータ30の駆動を制御する。
本実施形態の第1電源41が、第1インバータ20を介したモータジェネレータ10との電力授受、および、定電圧負荷である負荷51への給電を行う。また、モータジェネレータ10には、第1電源41および第2電源42からの電力供給が可能である。すなわち、本実施形態では、負荷51への給電と、比較的高出力でのモータジェネレータ10の駆動と、を1つの駆動装置1にて実現している、といえる。
また、モータジェネレータ10の一端側には、第1インバータ20および第1電源41が設けられ、他端側には、第2インバータ30および第2電源42が設けられ、反転駆動動作させることにより、モータジェネレータ10に第1電源電圧V1と第2電源電圧との和に相当する電圧を印加可能である。これにより、1つの電源にてモータジェネレータ10を駆動する場合と比較し、大幅な電流増加を伴うことなく、モータジェネレータ10の高出力化が可能であり、配線等を含むシステム全体を小型化することができる。
第1電源電圧V1は、第2電源電圧V2以下であって、負荷51は、接地され、第2電源42および第2制御部62は、非接地である。
これにより、モータジェネレータ10を適切に駆動することができる。
第1電源41は、第2電源42より高容量であり、第2電源42は、第1電源41より高出力である。これにより、第1電源41から安定して負荷51に給電可能である。また、モータジェネレータ10の出力を高めたい場合には、第2電源42側からの給電を行うことにより、モータジェネレータ10の高出力化が可能である。
第1制御部61および第2制御部62は、モータジェネレータ10の駆動要求、第1電源41および第2電源42の充電状態、ならびに、負荷51の給電要求の少なくとも1つである電力要求に応じ、第1インバータ20および第2インバータ30の駆動動作を切り替える。
第1インバータ20および第2インバータ30の駆動動作を切り替えることにより、モータジェネレータ10の駆動、第1電源41および第2電源42の充電、ならびに、負荷51への給電を適切に制御することができる。
駆動動作には、第1片側駆動動作、第2片側駆動動作、および、反転駆動動作が含まれる。
第1片側駆動動作では、第2インバータ30を中性点化し、第1インバータ20を電力要求に基づいて制御する。
第2片側駆動動作では、第1インバータ20を中性点化し、第2インバータ30を電力要求に基づいて制御する。
反転動作は、電力要求に応じた第1基本波F1に基づいて第1インバータ20を駆動し、電力要求に応じた第2基本波F2に基づいて第2インバータ30を駆動する動作であって、第1基本波F1の位相と第2基本波F2の位相とが反転されている。
第1片側駆動動作では第1電源電圧V1、第2片側駆動動作では第2電源電圧V2、反転駆動動作では第1電源電圧V1と第2電源電圧V2との和に相当する電圧(すなわちV1+V2)がモータジェネレータ10に印加される。電力要求に応じて駆動動作を切り替え、最適な電圧をモータジェネレータ10に印加することにより、駆動装置1における損失を低減することができる。
反転駆動動作において、第1インバータ20は、キャリア波および第1基本波F1に基づいてパルス幅変調(PWM)制御され、第2インバータ30は、キャリア波および第2基本波F2に基づいてパルス幅変調(PWM)制御される。
これにより、第1インバータ20および第2インバータ30を適切に反転駆動動作させることができる。
また、反転駆動動作は、以下のようにしてもよい。すなわち、第1インバータ20は、キャリア波および第1基本波F1に基づいてパルス幅変調(PWM)制御され、第2インバータ30は、第2基本波F2の半周期ごとにスイッチング素子31〜36のオンオフを切り替える矩形波制御される。
また、第2インバータ30をキャリア波および第2基本波F2に基づいてパルス幅変調制御し、第1インバータ20を第1基本波F1の半周期ごとにスイッチング素子21〜26のオンオフを切り替える矩形波制御としてもよい。
矩形波制御される第1インバータ20または第2インバータ30において、スイッチング回数を低減することができるので、スイッチング損失を低減することができる。なお、電圧が大きいほどスイッチング損失が大きいため、高電圧が印加される側のインバータを矩形波制御するほうが、スイッチング損失低減効果が大きい。
第1電源電圧V1と第2電源電圧V2とが異なる場合、駆動動作には、同相駆動動作が含まれる。
同相駆動動作は、第1基本波F1に基づいて第1インバータ20を駆動し、第2基本波F2に基づいて第2インバータ30を駆動する動作であって、第1基本波F1の位相と第2基本波F2の位相とが同位相である。
これにより、例えば第2電源電圧V2が第1電源電圧V1より大きい場合、第2電源42の電力により、モータジェネレータ10を駆動しつつ、第1電源41を充電することができる。
第1電源電圧V1と第2電源電圧V2とが異なる場合、駆動動作には、給電動作が含まれる。
給電動作では、電圧が低い方の電源と接続される第1インバータ20または第2インバータ30の第1相の上アーム素子および第2相の下アーム素子をオンする。また、電圧が高い方の電源と接続される第1相の上アーム素子または第2相の下アーム素子の一方をオン、他方を所定のデューティでオンオフを切り替える。
これにより、第1相および第2相に直流電流が流れるので、モータジェネレータ10を駆動することなく、高電圧側から低電圧側への給電を行うことができる。
モータジェネレータ10は、エンジン8と接続され、第1電源41および第2電源42の少なくとも一方の電力により駆動されてエンジン8を始動するスタータ機能、および、エンジン8により駆動されて発電するオルタネータ機能を有する。
スタータ機能、オルタネータ機能、および、負荷51への給電が1つの駆動装置1にて実現されるため、システムを簡素化することができる。また、アイドルストップからの復帰時等、モータジェネレータ10をスタータとして用いる場合、反転駆動動作とすることで高電圧にてモータジェネレータ10を動作させることができるので、電流増加を抑えることができる。これにより、補機駆動システム5を小型化することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による駆動システムを図13に示す。
図13に示すように、補機駆動システム6では、第2電源42の電力が供給される定電圧負荷である負荷52が設けられる。第2電源42は48[V]の電源であるので、負荷52としては、例えばポンプやモータ等、比較的大電力を要するものが好適である。
本実施形態では、第2インバータ30、第2電源42、第2コンデンサ44、負荷52、および、第2制御部62が第2系統103を構成し、負荷52が「第2負荷」に対応する。
上記実施形態でも説明した通り、第1系統101および第2系統103が共に車体に接続されると、車体を経由して電流が流れることにより、モータジェネレータ10を駆動できなくなる。また一般に、12[V]電源である第1電源41と接続される負荷51は、車体と接地されるものが多い。そのため、第2電源42に接続される負荷52は絶縁され、第2系統103は接地されない。
本実施形態の駆動動作については、上記実施形態と同様とする。
本実施形態では、第2インバータ30は、負荷52と接続される。負荷52は、非接地である。
例えば第1電源電圧V1と第2電源電圧V2とが異なる場合、適切な電圧の電力を負荷51、52に給電することができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
上記実施形態では、第1電源が12[V]電源であり、第2電源が48[V]電源である。他の実施形態では、第1電源および第2電源の電圧は、12[V]および48[V]に限らず、いくつであってもよい。上記実施形態では、第1電源電圧よりも第2電源電圧が大きい。他の実施形態では、第1電源電圧が第2電源電圧以上であってもよい。
上記実施形態では、第1電源を鉛蓄電池とし、第2電源をリチウム蓄電池とした。他の実施形態では、第1電源および第2電源は、例えば、電気二重層キャパシタ等、充放電可能などのような蓄電装置を用いてもよい。また、第1電源および第2電源は、蓄電装置の種類が同一でもよいし、異なっていてもよい。
上記実施形態では、反転駆動動作において、第1インバータおよび第2インバータをともにPWM制御する例、および、第1インバータをPWM制御し、第2インバータを矩形波制御する例を説明した。他の実施形態では、第1インバータを矩形波制御し、第2インバータをPWM制御してもよい。
また、第1インバータおよび第2インバータを、PWM制御以外の制御方法にて制御してもよい。
上記実施形態では、回転電機は、ISGである。他の実施形態では、回転電機をISG以外の装置としてもよい。また、上記実施形態では、駆動装置は、車両の補機駆動システムに適用される。他の実施形態では、駆動装置を補機駆動システム以外のシステムに適用してもよい。なお、駆動装置を車両以外に適用する場合、ボディアース以外の方法にて接地してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
1・・・駆動装置
10・・・モータジェネレータ(回転電機)
20・・・第1インバータ
30・・・第2インバータ
41・・・第1電源
42・・・第2電源
51・・・負荷(第1負荷)
52・・・負荷(第2負荷)
61・・・第1制御部
62・・・第2制御部

Claims (11)

  1. 巻線(11、12、13)を有する回転電機(10)と、
    高電位側に配置される第1上アーム素子(21〜23)および低電位側に配置される第1下アーム素子(24〜26)を有し、前記巻線の一端(111、121、131)、第1電源(41)、および、第1負荷(51)と接続される第1インバータ(20)と、
    高電位側に配置される第2上アーム素子(31〜33)および低電位側に配置される第2下アーム素子(34〜36)を有し、前記巻線の他端(112、122、132)、および、第2電源(41)と接続される第2インバータ(30)と、
    前記第1インバータの駆動を制御する第1制御部(61)と、
    前記第2インバータの駆動を制御する第2制御部(62)と、
    を備えることを特徴とする駆動装置(1)。
  2. 前記第1電源の電圧は、前記第2電源の電圧以下であって、
    前記第1負荷は、接地され、
    前記第2電源および前記第2制御部は、非接地であることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記第1電源は、前記第2電源より高容量であり、
    前記第2電源は、前記第1電源より高出力であることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
  4. 前記第1制御部および前記第2制御部は、前記回転電機の駆動要求、前記第1電源および前記第2電源の充電状態、ならびに、前記第1負荷の給電要求の少なくとも1つである電力要求に応じ、前記第1インバータおよび前記第2インバータの駆動動作を切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動装置。
  5. 前記駆動動作には、
    前記第2インバータを中性点化し、前記第1インバータを前記電力要求に基づいて制御する第1片側駆動動作、
    前記第1インバータを中性点化し、前記第2インバータを前記電力要求に基づいて制御する第2片側駆動動作、
    および、前記電力要求に応じた第1基本波に基づいて前記第1インバータを駆動し、前記電力要求に応じた第2基本波に基づいて前記第2インバータを駆動する動作であって、前記第1基本波の位相と前記第2基本波の位相とが反転されている反転駆動動作が含まれることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
  6. 前記反転駆動動作において、
    前記第1インバータは、キャリア波および前記第1基本波に基づいてパルス幅変調制御され、
    前記第2インバータは、前記キャリア波および前記第2基本波に基づいてパルス幅変調制御されることを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
  7. 前記反転駆動動作において、
    前記第1インバータまたは前記第2インバータの一方は、キャリア波および対応する前記第1基本波または前記第2基本波に基づいてパルス幅変調制御され、
    前記第1インバータまたは前記第2インバータの他方は、対応する前記第1基本波または前記第2基本波の半周期ごとにスイッチング素子のオンオフを切り替える矩形波制御されることを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
  8. 前記第1電源の電圧と前記第2電源の電圧とが異なる場合、
    前記駆動動作には、
    前記第1基本波に基づいて前記第1インバータを駆動し、前記第2基本波に基づいて前記第2インバータを駆動する動作であって、前記第1基本波の位相と前記第2基本波の位相とが同位相である同相駆動動作が含まれることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の駆動装置。
  9. 前記第1電源の電圧と前記第2電源の電圧とが異なる場合、
    前記駆動動作には、
    電圧が低い方の電源と接続される前記第1インバータまたは前記第2インバータの第1相の上アーム素子および第2相の下アーム素子をオンし、
    電圧が高い方の電源と接続される前記第1インバータまたは前記第2インバータの前記第1相の上アーム素子または前記第2相の下アーム素子の一方をオン、他方を所定のデューティでオンオフを切り替える給電動作が含まれることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の駆動装置。
  10. 前記第2インバータは、第2負荷(52)と接続され、
    前記第2負荷は、非接地であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の駆動装置。
  11. 前記回転電機は、エンジン(5)と接続され、前記第1電源および前記第2電源の少なくとも一方の電力により駆動されて前記エンジンを始動するスタータ機能、および、前記エンジンにより駆動されて発電するオルタネータ機能を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の駆動装置。
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